説明

チオフェンヒドロキサム酸誘導体の鏡像異性体類及びHDACインヒビターとしてのそれらの使用

式(I)(式中、Ar, R1及びR2は明細書に定義される意味を有する)で表される化合物、それらの化合物の製造方法、及びそのような化合物を含む、HDAC阻害活性を有する薬剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェンヒドロキサム酸誘導体の新規(R)−及び(S)−鏡像異性体類、それらの製造方法、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに医薬的活性剤としてのそれらの化合物の使用に関する。
本発明の新規化合物は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)のインヒビターである。いくつかの構造種類のHDACインヒビターが同定されており、そしてMarks, P. A.,など., J. Nat. Cancer Inst. 92 (2000) 1210-1216に再考される。より特定には、WO 98/55449号, アメリカ特許第5,369,108号, WO 01/38322号, WO 01/70675号, 及び WO 02/22577号は、HDAC阻害活性を有する、アルカノイル、アルキレニル、アルケニレニル、ベンジル及びシンナミルヒドロキサメートを報告している。
【0002】
本発明の誘導体は、下記式I:
【化1】

【0003】
[式中、Arは、置換されていないか、あるいは次の置換基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-フェニル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)-アルキルにより1,2又は3度、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり;
R1は、水素;置換されていないか、あるいは次の置換基:ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリノ、4-メチルピペラジニル又はアリールにより1度又は数度、置換されていてもよいフェニル、アルキル又はアルケニルであり;あるいは
R1は、Ar−基と共に、テトラヒドロナフタレン−、インダン−又はジベンゾスベラン−環を形成し;
R2は、水素又はアルキルであり;
nは、1,2又は3である]
で表される化合物の(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び医薬的に許容できるその塩である。
【0004】
転写調節は、細胞分化、増殖及びアポプトシスにおける主要現象である。1組の遺伝子の転写活性化が細胞目的を決定し、そしてこの理由のために、転写は種々の因子により強く調節される。前記工程に関連するその調節機構の1つは、転写因子のそれらの標的DNAセグメントへの接近性を調節することにより転写に影響を及ぼす、DNAの三次構造の変更である。ヌクレオソーム結合性が、コアーヒストンのアセチル化状態により調節される。低アセチル化状態においては、ヌクレオソームは強く圧縮され、そして従って、転写のためには非許容性である。
【0005】
他方では、ヌクレオソームは、コアーヒストンのアセチル化により弛緩され、そして結果的に、転写に対して許容性である。ヒストのアセチル化状態は、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)及びヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性のバランスにより支配される。最近、HDACインヒビターは、種々のタイプの癌細胞、例えば、結腸癌、T−細胞リンパ腫及び赤白血病細胞における成長及びアポプトシスを阻止することが見出されている。アポプトシスが癌進行のための決定的な因子である場合、HDACインヒビターは、アポプトシスの効果的インデューサーとして癌治療のための有能な試薬である(Koyama, Y., など., Blood 96 (2000) 1490-1495)。
【0006】
本発明者は、チオフェンヒドロキサム酸誘導体の一定の鏡像異性体が改良された抗−細胞−増殖活性及びHDAC阻害活性を示し、そして驚くべきことには、改良された生理学−及び薬物動力学性質、例えば良好な溶解性及び改良された血漿安定性を示すことを現在、見出した。
本発明の目的は、式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体の新規(R)及び(S)−鏡像異性体、医薬的に許容できるその塩、上記化合物の調製、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに疾病、特に上記に言及されたような疾病及び障害の制御又は予防、又は対応する薬剤の製造への上記に化合物の使用である。
【0007】
本明細書において使用される場合、用語“アルキル”とは、1〜8個、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は枝分かれの炭化水素基、例えばメチル、エチル、nープロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル及びそれらの異性体を意味する。
用語“アルケニル”とは、1又は2個の分離された二重結合、好ましくは1つの二重結合を含む、上記に定義されるような不飽和アルキル鎖を意味する。例としては、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル又は1−ヘキセニルを列挙できる。
【0008】
用語“アリール”とは、本明細書において使用される場合、フェニル又はナフチル、例えば1−ナフチル、2−ナフチル又は3−ナフチルを意味する。
用語“ヘテロアリール”とは、N、O又はSから独立して選択された、3個までの、好ましくは1又は2個のヘテロ原子を含み、そして残りの環原子は炭素原子である、5〜10員の単−又は二−環式芳香族環を意味する。そのようなヘテロアリール基の例は、チオフェニル、フリル、プロリル、イミダゾル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、チエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、インドリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニルである。
【0009】
用語“ハロゲン”とは、本明細書において使用される場合、弗素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。
【0010】
本発明の1つの態様は、
Arが、次の置換基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)- アルキルにより、1又は2度、任意に置換されていてもよいアリール又はチオフェン−2−イル基であり;
R1は、水素;又は次の置換基:ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリノ、4-メチルピペラジニル又はアリールにより任意に置換されていてもよいアルキルであり;
R2は、アルキル又は水素であり;
nは、1,2又は3である式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的許容できるその塩である。
【0011】
そのような(R)鏡像異性体は、例えば下記のものである:
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]、
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−{[1−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド}、又は
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−ビフェニル−4−イル−エチル)−アミド]。
【0012】
そのような(S)鏡像異性体は、例えば下記のものである:
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]、
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−{[1−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド}、又は
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−ビフェニル−4−イル−エチル)−アミド]。
【0013】
本発明のもう1つの態様は、
Arが、次の置換基:ハロゲン、アルキル、-O-アルキル、-OH、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)- アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)- アルキルにより1度、置換されているフェニルであり;
R1が水素又はアルキルであり;
R2が水素である;
式Iの(R)−又は(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できるその塩である。
【0014】
そのような(R)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-p-トリル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-クロロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(3-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[ 1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド、
【0015】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メチルスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, 及び
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチル-ブチルカルボニル)-フェニル]-エチル}-アミド)。
【0016】
そのような(S)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-p-トリル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-クロロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(3-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド},
【0017】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[ 1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メタンスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, 及び
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-フェニル]-エチル}-アミド)。
【0018】
本発明のさらにもう1つの態様は、
Arが、フェニルであり;
R1が、フェニル;又は次の置換基:ハロゲン、-OH、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリニル、4-メチルピペラジニル又はフェニルにより任意に置換されていてもよいアルキルであり;
R2が、水素又はアルキルである;
式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び医薬的に許容できるその塩である。
【0019】
そのような(R)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−フェニル−エチル)−アミド]、
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-プロピル)-アミド]、
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピル)-アミド,]
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
【0020】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド]、
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル-1-フェニル-プロピル)-アミド], 及び
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル-1-フェニル-ブチル)-アミド]。
【0021】
そのような(S)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−フェニル−エチル)−アミド]、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-プロピル)-アミド]、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピル)-アミド,]
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
【0022】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド]、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル-1-フェニル-プロピル)-アミド], 及び
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル-1-フェニル-ブチル)-アミド]。
【0023】
本発明のさらにもう1つの態様は、
Arが、ナフチルであり;
R1及びR2が独立して、水素;
置換されていないか、又は次の置換基:アルキル、ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)又は-N(アルキル)2により1度又は数度、置換されていてもよいアルキル−又はアルケニルである式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体;及び生理学的に許容できるその塩である。
【0024】
そのような(R)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-1-イル-エチル)-アミド], 及び
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-2-イル-エチル)-アミド]。
そのような(S)鏡像異性体は例えば、つぎのものである:
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-1-イル-エチル)-アミド],及び
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-2-イル-エチル)-アミド]。
【0025】
本発明のさらにもう1つの態様は、
Ar及びR1が一緒になって、テトラヒドロナフタレニル、インダニル又はジベンゾスベラニルを形成し、これらのすべては、次の置換基:アルキル、ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)又は-N(アルキル)2により任意に置換されておりそして、
R2が水素である式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できる塩である。
【0026】
そのような(R)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-インダン-1-イルアミド, 及び
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド]。
そのような(S)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-インダン-1-イルアミド, 及び
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド]。
【0027】
本発明のさらにもう1つの態様は、
Arが、置換されていないか、又は次の置換基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-フェニル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)-アルキルにより1,2又は3度、置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
R1が、水素;置換されていないか、又は次の置換基:ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリノ、4-メチルピペラジニル又はアリールにより1度又は数度、置換され得るフェニル、アルキル又はアルケニルであり;又は
R1が、Ar−基と共に、テトラヒドロナフタレン−、インダン−又はジベンゾスベラン環を形成し;
R2が、水素又は
アルキルであり;
nは、1,2又は3である式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できるその塩である。
【0028】
本発明のさらにもう1つの態様は、
Arが、置換されていないか、あるいは次の基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-フェニル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)-アルキルにより1,2又は3度、置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
R1が、水素であり;
R2が、アルキルであり;
nは、1,2又は3である式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できるその塩である。
【0029】
本発明のさらにもう1つの態様は、
Arが、ベンゾフラン-2-イル、イソキサゾール-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、フラン-2-イル又はピロール-3-イルであり;それらのすべては、置換されていないか、あるいは
フェニル又はアルキルにより1又は2度、置換され得る;
R1が、水素であり;そして
R2が、アルキルである式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できるその塩である。
【0030】
そのような(R)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル-1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド},及び
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド]。
【0031】
そのような(S)鏡像異性体は例えば、次のものである:
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド},及び
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド]。
【0032】
そのような(R)−及び(S)−鏡像異性体は例えば、次のものである:
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−{[1−(4−フェノキシ−フェニル)エチル]−アミド}5−ヒドロキシアミド、及び
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−{[1−(4−フェノキシ−フェニル)エチル]−アミド}5−ヒドロキシアミド。
【0033】
本発明のさらにもう1つの態様は、下記式III :
【化2】

【0034】
[式中、R3はメチル基である]で表される化合物と、下記式III ―A:
Ar−C(R1)(R2)−NH2 (III−A)
[式中、Ar、R1及びR2は、請求項1に与えられる意味を有する]で表される鏡像異性体的に純粋な(R)又は(S)−アミンとを、適切な活性剤の存在下で反応せしめ、下記式II:
【0035】
【化3】

【0036】
で表される化合物を得、これを、ヒドロキシルアミン又はその塩酸塩により処理し、請求項1記載のそれぞれの鏡像異性体的に純粋な化合物を得;そして所望には、前記化合物を、その医薬的に許容できる塩に転換することによる、式Iの(R)−及び(S)−鏡像異性体の立体選択性製造のための方法である。
【0037】
式Iの本発明の化合物又は医薬的に許容できるその塩は、化学的に関連する化合物の調製に適用できることが知られているいずれかの方法により調製され得る。そのような方法は、式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体又は医薬的に許容できるその塩を調製するために使用される場合、本発明のさらなる特徴として提供され、そしてAr、R1及びR2が、特にことわらない限り、前記定義されたいずれかの意味を有する次の代表的な例により示される。必要な出発材料は、有機化学の標準方法により得られる。そのような出発材料の調製は、付随する非制限的な例内に記載されている。他方では、必要な出発材料は、当業者の技術内であるそれらの方法に類似する方法により得られる。
【0038】
(a)式Iの化合物の生成のための1つの好ましい方法は、下記式II:
【化4】

【0039】
[式中、Ar, R1及びR2は前記に定義される意味を有し、そしてR3は(C1-C4)アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基である]で表される化合物と、ヒドロキシルアミンとの適切な塩基の存在下での反応を包含する。前記反応は、不活性溶媒又は希釈剤、例えばメタノール又はエタノール下で、0℃〜100度の温度、便利にはほぼ周囲温度、及び10〜12のpHで行われる。適切な塩基は、例えばアルコレート、例えばナトリウムメチレートである。ヒドロキシルアミンの現場生成の代わりに、それは別々に開放され、そして無機溶媒、例えばメタノール又はエタノールのようなアルコール中、溶液として適用され得る。
【0040】
式IIの化合物は、下記式III :
【化5】

【0041】
[式中、R3は前記に定義される意味を有する]で表される化合物から調製される。この反応は典型的には、二段階一ポット方法を包含する。第1段階においては、式III のカルボキシレートが活性化される。この反応は、不活性溶媒又は希釈剤において、例えばジクロロメタン、ジオキサン又はテトラヒドロフランにおいて、活性剤の存在下で行われる。酸の適切な反応性誘導体は、ハロゲン化アシル、例えば酸及び無機酸の塩化物の反応により形成される塩化アシル、例えば塩化チオニル;混合された無水物、例えば酸及びクロロホルメート、例えばイソブチルクロロホルメートの反応により形成される無水物;酸及びフェノール、例えばペンタフルオロフェノールの反応により形成される活性エステル;酸及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの反応により形成される活性エステル;酸及びN, N’−カルボニルジイミダゾールの反応により形成されるIII に対応するカルボニルイミダゾール;酸及びアジド、例えばジフェニルホスホリルアジドの反応により生成されるアシルアジド;酸及びシアニド、例えばジエチルホスホリルシアニドの反応により形成されるアシルシアニド;又は酸及びカルボジイミド、例えばジシクロへキシルカルボジイミドの反応の生成物、又は酸及びビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリドの反応の生成物である。反応は、−30℃〜60℃、便利には0℃で又はそれ以下で行われる。第2段階においては、式Ar−C(R1)(R2)−NH2(式中、R1及びR2は前記に定義される意味を有する)で表される鏡像異性体的に純粋なアミンが、溶液に、活性化のために使用される温度で添加され、そして温度が周囲温度にゆっくりと調節される。
【0042】
適切なスキャベンジャー塩基、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンが反応混合物に添加され得る。それらの方法は、当業者に良く知られている。原則として、Houben-Weyl, "Methoden der organischen Chemie", Vols. XV/1 and XV/2, Georg Thieme Verlag, Stuttgartに記載されるようにペプチド化学に使用されるようなアミドの合成のためのすべての方法がまた適用できる。
【0043】
式III の化合物は、例えばアメリカ特許第2,680,731号及びJ. Heterocycl. Chem. 28 (1991)17におけるように文献に記載されている。それらのモノエステルは通常、ジエステルの鹸化又はその対応するアルデヒドの酸化により調製されるが、しかし他の方法もまた有用であり、そして当業者に良く知られている。
【0044】
式Ar−C(R1)(R2)−NH2(式中、R1及びR2は前記に定義される意味を有する)で表される鏡像異性体的に純粋なアミンは市販されており、又はJ. Am. Chem. Soc. 64 (1942) 477; J. Am. Chem. Soc. 105 (1983) 1578; 又は Hanano, T., など., Bioorg. Med. Chem. Lett. 10 (2000) 881-884に記載されるように、合成化学の標準方法により調製され得る。式Ar−C(R1)(R2)−NH2(R1及びR2は上記定義される意味を有する)で表されるラセミ体アミンは、Rasor, P., and Voss, E., Applied Catalysis A 221 (2001) 145-158, and Iglesias, L. E., など., Tetrahedron: Asymmetry 8 (1997) 2675-2677に記載されるように、ラセミ体の酵素分離のような既知方法により、それらの鏡像異性体に分離され得る。
【0045】
(b)式Iの化合物の調製のためのもう1つの好ましい方法は、下記式IV:
【化6】

【0046】
[式中、Yは適切な保護基であり、そしてAr, R1及びR2は前記に定義される意味を有する]で表される化合物の保護解除である。
式IVの化合物は新規であり、そして本発明に包含される。
【0047】
適切な保護基は、ベンジル−、p−メトキシベンジル−、tert−ブチルオキシカルボニル−、トリチル−又はシリル基、例えばトリメチルシリル−又はジメチル−tert−ブチルシリル基であり得る。実施される反応は、保護基の型に依存する。保護基がベンジル−又はp−メトキシベンジル基である場合、実施される反応は、貴金属触媒、例えば適切なキャリヤー、例えば炭素、硫酸バリウム又は炭酸バリウム上、パラジウムの存在下で、周囲温度及び圧力下で、不活性溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール又はエタノールにおける水添分解である。保護基がtert−ブチルオキシカルボニル−、トリチル−又はシリル基、例えばトリメチルシリル−又はジメチル−tert−ブチルシリル基である場合、反応は、-20℃〜60℃、好ましくは0℃〜周囲温度で、酸の存在下で行われる。
【0048】
酸は、不活性溶媒、例えばジエチルエーテル又はジオキサン中、塩酸、又はジクロロメタン中、トリフルオロ酢酸の溶液であり得る。保護基がシリル基、例えばトリメチル又はジメチル−tert−ブチルシリル基である場合、反応はまた、不活性溶媒、例えばジクロロメタンにおいて、弗化物源、例えば弗化ナトリウム又は弗化テトラブチルアンモニウムの存在下で行われ得る。すべての保護基Yは、すべての基R1又はR2と必ずしも適合できる必要はない。それらの基の特徴が一定の保護基の使用を可能にしない場合、他の保護基Y又は他の調製方法が適用される必要がある。
【0049】
式IVの化合物は、下記式V:
【化7】

【0050】
で表される化合物と、下記式VI:
【化8】

【0051】
[式中、Yは上記に定義されるような適切な保護基である]で表される化合物との反応により得られる。この反応は典型的には、2−段階1−ポット方法を包含する。第1段階においては、式Vのカルボキシレートが活性化される。この反応は、不活性溶媒又は希釈剤、例えばジクロロメタン、ジオキサン又はテトラヒドロフランにおいて、活性化剤の存在下で行われる。
【0052】
酸の適切な反応性誘導体は、ハロゲン化アシル、例えば酸及び無機酸の塩化物の反応により形成される塩化アシル、例えば塩化チオニル;混合された無水物、例えば酸及びクロロホルメート、例えばイソブチルクロロホルメートの反応により形成される無水物;活性エステル、例えば酸及びフェノール、例えばペンタフルオロフェノールの反応により形成されるエステル;酸及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの反応により形成される活性エステル;アシルアジド、例えば酸及びアジド、例えばジフェニルホスホリルアジドの反応により生成されるアジド;アシルシアニド、例えば酸及びシアニド、例えばジエチルホスホリルシアニドの反応により形成されるシアニド;又は酸及びカルボジイミド、例えばジシクロへキシルカルボジイミドの反応の生成物、又は酸及びビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリドの反応の生成物である。
【0053】
反応は、−30℃〜60℃、便利には0℃で又はそれ以下で行われる。第2段階においては、化合物VIが、溶液に、活性化のために使用される温度で添加され、そして温度が周囲温度にゆっくりと調節される。それらの方法は、当業者に良く知られている。原則として、Houben-Weイル, "Methoden der organischen Chemie", Vols. XV/1 and XV/2, Georg Thieme Verlag, Stuttgartに記載されるようにペプチド化学に使用されるようなアミドの合成のためのすべての方法がまた適用できる。
【0054】
式Vの化合物は、加水分解により式IIの化合物から調製される。加水分解が行われる条件は、基R3の性質に依存する。R3がメチル又はエチル基である場合、反応は塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸カリウムの存在下で、不活性溶媒又は希釈剤、例えばメタノール又はエタノールにおいて行われる。R3がtert−ブチル基である場合、反応は、不活性溶媒、例えばジエチルエーテル又はジオキサン中、塩酸、又はジクロロメタン中、トリフルオロ酢酸の溶液において、酸の存在下で行われる。R3がベンジル基である場合、反応は、貴金属触媒、例えば適切なキャリヤー、例えば炭素上、パラジウム又は白金の存在下での水添分解により行われる。すべての加水分解方法がすべての基R1又はR2と適合できる必要は必ずしもない。それらの基の特徴が一定の加水分解方法の使用を可能にしない場合、他の調製方法が適用される必要がある。
【0055】
(c)式Iの化合物の調製のためのもう1つの好ましい方法は、式Vの化合物とヒドロキシルアミンとの反応である。この反応は典型的には、2−段階1−ポット方法を包含する。第1段階においては、式Vのカルボキシレートが活性化される。この反応は、不活性溶媒又は希釈剤、例えばジクロロメタン、ジオキサン又はテトラヒドロフランにおいて、活性化剤の存在下で行われる。
【0056】
酸の適切な反応性誘導体は、ハロゲン化アシル、例えば酸及び無機酸の塩化物の反応により形成される塩化アシル、例えば塩化チオニル;混合された無水物、例えば酸及びクロロホルメート、例えばイソブチルクロロホルメートの反応により形成される無水物;活性エステル、例えば酸及びフェノール、例えばペンタフルオロフェノールの反応により形成されるエステル;酸及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾールの反応により形成される活性エステル;アシルアジド、例えば酸及びアジド、例えばジフェニルホスホリルアジドの反応により生成されるアジド;アシルシアニド、例えば酸及びシアニド、例えばジエチルホスホリルシアニドの反応により形成されるシアニド;又は酸及びカルボジイミド、例えばジシクロへキシルカルボジイミドの反応の生成物、又は酸及びビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)−ホスホリルクロリドの反応の生成物である。
【0057】
反応は、−30℃〜60℃、便利には0℃で又はそれ以下で行われる。第2段階においては、ヒドロキシルアミン、溶液に、活性化のために使用される温度で添加され、そして温度が周囲温度にゆっくりと調節される。それらの方法は、当業者に良く知られている。原則として、Houben-Weイル, "Methoden der organischen Chemie", Vols. XV/1 and XV/2, Georg Thieme Verlag, Stuttgartに記載されるようにペプチド化学に使用されるようなアミドの合成のためのすべての方法がまた適用できる。
【0058】
(d)式Iの化合物のさらにもう1つの好ましい調製方法は、式Ar−C(R1)(R2)−NH2(式中、R1及びR2は上記に定義される意味を有する)で表されるラセミ性アミンを適用する、方法(a)、(b)、(c)又は(e)に従ってのラセミ性化合物の合成である。ラセミ体は、最終生成物の段階又は式IIの前駆体上で両鏡像異性体に分離され得る。分離は、適切な溶離剤と共に適切な光学的活性の固定相を用いて、分析、半予備又は予備尺度でのクロマトグラフィー処理により行われ得る。
【0059】
適切な光学的活性の固定相は、シリカ(例えば、ChiraSper, Merck; Chiralpak OT/OP, Baker)、セルロースエステル又はカルバメート(例えば、Chiracel OB/OY, Baker)、又は他のもの(例えば、Crownpak, Daicel or Chiracel OJ-R, Baker)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。鏡像異性体の分離のための他の方法、例えば式Iの化合物、及び他の光学的活性化合物、例えば樟脳スルホン酸又はブルシンからのジアステレオマー化合物の形成、及びそれらのジアステレオマー化合物の分解、続く光学的活性剤からの生成がまた適用され得る。
【0060】
(e)式Iの化合物はまた、固相支持された合成方法により調製され得る。2,5−チオフェンジカルボン酸が、樹脂、例えばWang樹脂(EMC microcollections, Tuebingenにより供給されるWang−O−NH2樹脂)に結合されるヒドロキシルアミン成分(−O−NH2)と反応せしめられ、樹脂−結合されたヒドロキサム酸が形成される。第2炭酸成分が、Houben-Weイル, "Methoden der organischen Chemie", Vols. XV/1 and XV/2に記載されるように、アミド結合形成の標準方法によりアミンAr−C(R1)(R2)−NH2と反応せしめられる。この後、ヒドロキサム酸が固定支持体から生成される。これは、例えばTFAにより行われ得る。典型的には、ヒドロキサム酸の分解は、周囲温度がトリイソプロピルシランの存在下で、ジクロロメタン中、50%TFAによる樹脂の処理により達成される。粗生成物は、必要なら、LC−MSにより精製され得る。
【0061】
本発明の化合物は、それらの医薬的に許容できる塩の形で存在することができる。用語、“医薬的に許容できる塩”とは、式Iの化合物の生物学的有効性及び性質を保持し、そして適切な非毒性有機又は無機酸又は有機又は無期塩基から形成される、従来の酸付加塩又は塩基付加塩を言及する。酸付加塩サンプルは、無機酸、例えば塩酸、臭酸、ヨウ酸、硫酸、スルファミド酸、リン酸及び硝酸から誘導されるそれらの塩、及び有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、琥珀酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸及び同様のものから誘導されたそれらの塩を包含する。塩基付加塩のサンプルは、水酸化アンモニア、カリウム、ナトリウム及び第四アンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムから誘導されたそれらの塩を包含する。塩への医薬化合物(すなわち、薬物)の化学的変性は、化合物の改良された物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動及び溶解性を得るために、当業者に良く知られている技法である。例えば、Ansel, H., など., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 6th ed., 1995, at pp. 196 and 1456-1457を参照のこと。
【0062】
本発明の目的は、薬理学的に有効な量の1又は複数の鏡像異性体的に純粋な式Iの化合物及び医薬的に許容できる賦形剤及び/又は希釈剤を含む医薬組成物である。
【0063】
本発明のさらなる観点によれば、活性成分として1又は複数の鏡像異性体的に純粋な式Iの化合物、及び医薬的に許容できるアジュバントを含む薬剤が供給される。そのような薬剤又は医薬組成物は、経口投与のために適切な形、例えば錠剤、被覆された錠剤、糖剤、カプセル、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形;滅菌溶液、懸濁液又はエマルジョンのような非経口注射(静脈、皮下、筋肉内、血管内又は浸潤)の形;軟膏又はクリームとしての局部投与の形;又は座剤としての直腸投与の形で存在することができる。それらの医薬製剤は、医薬的に不活性な、無機又は有機キャリヤーによる本発明の化合物の処理により得られる。
【0064】
ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩、及び同様のものが、錠剤、被覆された錠剤、糖剤及び硬質ゼラチンカプセルのためのそのようなキャリヤーとして使用され得る。硬質ゼラチンカプセルのための適切なキャリヤーは、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール、及び同様のものである。しかしながら、活性物質の性質に依存して、キャリヤーは通常、軟質ゼラチンカプセルの場合、必要とされない。溶液及びシロップの生成のための適切なキャリヤーは、例えば水、ポリオール、グリセロール、植物油及び同様のものである。座剤のための適切なキャリヤーは、例えば天然の又は硬化油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリマー、及び同様のものである。
【0065】
さらに、医薬製剤は、保存剤、溶解剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝液、マスキング剤又は酸化防止剤を含むことができる。それらはまた、他の治療的に価値ある物質を含むこともできる。
【0066】
好ましい医薬製剤は、錠剤配合のための次の方法を用いることにより得られる:
【表1】

【0067】
方法:
1.適切なミキサーにおいて品目1,2及び3を15分間、混合する。
2.段階1からの粉末混合物を、20%Povidone K30溶液(品目4)と共に粒質化する。
3.段階2からの粒質物を50℃で乾燥する。
4.段階3からの粒質物を、適切な微粉砕装置に通す。
5.段階4からの微粉砕された粒質物を適切なプレス上で圧縮する。
化合物1は、例1に記載される。
【0068】
もう1つの好ましい医薬製剤は、本発明の化合物の微小−懸濁液である。前記微小−懸濁液を得るために、次の材料を使用した:
注射当たり7.5%の変性されたゼラチンXF20(Braun)の水溶液(溶解され、0.45μmの孔サイズを有するフィルターを通して濾過され、そしてオートクレープ処理された)、フィルター(特注の100μmのメッシュサイズ)、フィルターホルダー、カップリング、0.25mmの直径を有する、洗浄されたガラスビーズ、及び加熱殺菌されたRetschミル。
【0069】
典型的なバッチの調製のために、例1に記載されるような、6244mgの化合物1を、30gのガラスビーズを含む、2つの50mlボトルフラスコ中に計量し、へらにより分散し、そしてかき混ぜた。次に、10mlのゼラチンビークルを、個々のボトルに添加した。ボトルをかき混ぜ、キャップをし、そして光からの保護のためにアルミ箔により包装した。内容物を、Retschミルにおいて30/秒で14時間、微粉砕した。次に、微小−懸濁液を、400gでの2分間の遠心分離により、受容体バイアルにカップリングされ、そして6の洗浄段階を包含するフィルターホルダー上の2層のフィルター(100μm)を用いてビーズから抽出し、130mlの最終体積にする。
【0070】
均質化の後、内容物をHPLCにより、95%の収率に対応する45.7mg/mlであることを決定した。微小−懸濁液を、18.6mlにより希釈し、40m/mlの最終濃度にした。その得られる球状の粒質様粒子は、顕微鏡により決定される場合、1〜5μmの直径を示す。貯蔵のために、使用の前、微−懸濁液は、かき混ぜることにより激しく均質化されるべきである。
【0071】
チオフェンヒドロキサム酸誘導体は、動物の体表面積m2当たり5〜5000mg、すなわち0.1〜100mg/kgの単位用量で温血動物に投与され、そしてこれは通常、治療的有効用量を提供する。単位用量、例えば錠剤又はカプセルは通常、1〜250mgの活性成分を含むであろう。好ましくは、1〜100mg/kgの範囲での毎日の用量が使用される。しかしながら、毎日の用量は、必然的に、処理される宿主、投与の特定経路及び処理される疾病の重症度に依存して変化するであろう。従って、最適用量は、いずれかの特定患者を処理する実施者により決定され得る。
【0072】
本発明の化合物の活性を示すために、ヒト結腸癌細胞系に対するそれらの効果を、標準MTT−アッセイを用いて評価した。MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)は、腫瘍細胞の細胞毒性効果又はインビトロ化学感受性の定量的決定のために広く使用される。このアッセイは、代謝活性細胞による黄色のテトラゾリウム塩(MTT)の紫色のホルマザン結晶への分解に基づかれる。詳細については、Rubinstein, L. V., など., J. Natl. Cancer Inst. 82 (1990) 1113を参照のこと。
【0073】
本発明者は、次の通りに進行せしめた:HT−29細胞(ヒト結腸癌細胞系)を、RPMI1640、2.5%FCS, 2mMのグルタミン、100μg/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンにおいて培養した。アッセイのために、細胞を、同じ培地においてウェル当たり900個の細胞で、384ウェルプレートに接種した。次の日、化合物(DMSOにおいて10mMに溶解された)を、30μM〜1.5nMの範囲の種々の濃度で添加した。5日後、MTTアッセイを主に、製造業者(Roche Molecular Biochemicalsからの細胞増殖キット, MTT)の説明書に従って行った。手短には、MTTラベル用試薬を添加し、0.5mg/mlの最終濃度にし、添加、そして37℃、5%CO2下で4時間インキュベートした。このインキュベーションの間、紫色のホルマザン結晶が形成された。溶解溶液(0.02MのHCl中、20%SDS)の添加の後、プレートを37℃、5%CO2下で一晩インキュベートした。注意しての混合の後、プレートを550nmでVictor2(走査多ウェル分光計、Wallac)により測定した。
【0074】
生存細胞の数の低下は、サンプルにおける合計の代謝活性の低下をもたらす。その低下は、紫色のホルマザン結晶の溶解に起因する紫色の量に直接的に相互関連する。IC50の決定をXL−fitを用いて行った。
【0075】
【表2】

【0076】
HDACインヒビターとしての本発明の化合物の活性をさらに示すために、ヒストンデアセチラーゼ阻害に対するそれらの効果を、次の生化学的消光アッセイを用いて評価した:
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の機能は、ヒストンH4におけるリシンの脱アセチル化である。ヒストンH4に由来する17個のアミノ酸のペプチドを、C−末端でTAMRAにより、及びN−末端でQSY-7によりラベルし、そして基質(TAMRA−ヒストンH4の最初のaa−QSY7)として使用した。HDACによる脱アセチル化に続いて、酵素Lys Cは、リシンの後のペプチドを切断することができる。これは、消光効果の損失及び高い蛍光シグナルをもたらす。化合物によるHDACの阻害は、Lys Cが基質を切断せず、そして消光効果が持続するので、低いシグナルをもたらす。
【0077】
用量応答曲線について、30μMで出発して、1:3で希釈し、10種の濃度を得た。10μlの化合物希釈溶液を、384ウェルプレートの個々のウェルに添加した。10μlのHDACを添加した(HEK293細胞から精製された組換えHDAC-1;酵素活性は個々の調製物について評価されるべきである)。10μlの基質を添加した(試験緩衝液において1:1000に希釈された1mM原液に由来する、1μMの最終濃度)。室温での90分のインキュベーションの後、反応を、3μg/mlのLys C及び0.075%SDSを含む試験緩衝液20μlの添加により停止した。一晩のインキュベーションの後、TAMRAの蛍光シグナルを測定した(WallacからのVictor2、吸光度544nm、発光590nm)。DMSO−処理された対照ウェルのO.D.は100%であり、化合物により処理されたウェルの%阻害率は、100%に対して計算される。10種の濃度に基づいて、IC50曲線を、XL. Fit3を用いて生成する。
【0078】
使用される試験緩衝液:10 mM Hepes pH8, 10 mM NaCl, 10% グリセロール, 0.005% Triton X100, 0.1 mM EDTA, 0.1 mM TCEPの混合物。プレートとして、384ウェルプレート(黒、Greiner, 781077)を使用した。
【0079】
【表3】

【0080】
本発明の化合物の活性を支持するための追加のデータを、次のインビボ試験を用いて得た:
腫瘍担持のマウスにおけるヒストンH3のアセチル化レベルの決定
HT−29細胞は、ヒト結腸腺癌に由来し、そしてATCCから得られ、そして薬理学的使用のために内部研究用細胞銀行に保存された。細胞を、10%の熱不活性化されたFCSにより補充されたRPMI1640/2mMのL−グルタミン培地において培養した。接種のために、HT29腫瘍細胞を、培養フラスコから除き(トリプシン−EDTA、50U/mg)、そして培養培地(RPMI1640、10%の熱不活性化されたFCS)に移し、洗浄し、そして無菌PBSに再懸濁し、5×106/100μlの最終細胞濃度に達した。細胞懸濁液を、規則的な振盪により注意して混合し、細胞凝集を回避し、そして1.0mlの注射器中に満たした。
【0081】
NMRIヌードマウスの腹側乳房領域の右上方四分の一におけるHT29ヒト結腸癌細胞のs.c.接種の後、動物を、異種異植片がヒストンアセチル化の分析のために十分な、約1000mm3又はそれ以上の体積に達するまで、週2〜3度、調査した。7.5%の変性されたゼラチン及び0.22%のNaCl溶液における微小−懸濁液として配合される、400mg/kgの例1の1回のi.p.適用の後、それぞれのグループの動物を、投与後3,6,12及び24時間で殺害した。腫瘍を、アセチル化されたヒストン(H3)の分析のために切除した。腫瘍のアリコート(約200mg)を、アセチル化されたH3について分析した。
【0082】
ヒストンを、標準方法により異種異植片から抽出し(Richon, V. M., など., PNAS 97 (2000) 10014-10019; Yoshida, M.,など., J. Biol. Chem. 265 (1990) 17174-17179)、分離し、そしてアセチル化されたH3を、抗−アセチル化された−H3 Pabs (UpState Biotechnology, Cat. # 06-599)を用いて、Slot Blot and Immuno Blot 技法 (SB-IB, Bio-Rad Laboratories GmbH, Munich, Germany)により同定した。ヒストンタンパク質を決定し(Pierceキット)、そして3mg/mlに調節し、SB-IBにおけるH3分析のために、標準化された量の1μgのヒストンタンパク質を適用した。
【0083】
アセチル化されたH3の定量化を、Lumi-Imager 装置 (Roche Diagnostics)により生物発光を測定するECL(Enhanced Chemo Luminescence, Amersham Pharmacia, HybondTMECLTM Nitrocellulose 膜)により行った。データを、BLU/μgのヒストンタンパク質(BLU=Bio-Luminescence-Units)として、又はBLU%−対−ビークル対照として表す。例1の1回の投与の後、ビークルグループに比較して、24時間まで続く、アセチル化されたH3の著しく且つ有意な上昇が存在した。最大アセチル化を、投与の6時間後、達成した。平均値及び%変化率の表にされた要約が下記に示される。
【0084】
【表4】

【0085】
HCT116異種異植片モデルにおける抗腫瘍活性の決定
HCT116細胞系(NCI系)は、ヒト結腸腺癌からの誘導され、そして内部研究用細胞銀行に保持された。細胞を、10%熱不活性化されたFCSにより充填された、RPMI1640/2mMのL-グルタミン培地において培養した。接種のために、HCT116腫瘍細胞を、培養フラスコから除き(トリプシン−EDTA, 50U/mg)、そして培養培地(RPMI1640, 10%不活性化されたFCS)中に移し、洗浄し、そして無菌PBSに再懸濁し、5×106/100μlの最終細胞濃度を達成した。細胞懸濁液を、規則的な振盪により注意して混合し、細胞凝集を回避し、そして1.0mlの注射器に充填した。腫瘍細胞接種を、雄のNMRIヌードマウスの右側腹部の上方四分の一部分、すなわちヌードマウスの前脚の腋の下と中線領域との間で軽い麻酔(Ethrane)下で行った。この部位においては、5×106個のHCT116細胞が、100μlのPBSの体積にs.c.開放された。
【0086】
すべての方法は、適切な衣類を着用したSPF条件下で行われた。腫瘍の細胞のs.c.接種の後、測定できる腫瘍がすべての動物において進行した。マウスを、一次腫瘍寸法に従って、10日目に段階に分類し、そしてランダム化した。21日の毎日の経口投与を、試験製品としてWO 93/07148, WO 95/31977, アメリカ特許第5,369,108号 ('108 特許)の例1及び化合物3を用いて行った。75匹の雄のNMRIヌードマウスを、5種の研究グループに分けた。
【0087】
個々のグループは、15匹の雄の動物から構成された。個々のグループは、7.5%の変性されたゼラチン及び0.22%のNaClの溶液中、微小懸濁液として配合される試験製品を、次の処理スケームに従って、29日間にわたって経口路により毎日1度、与えられた:3日間の処理、2日間の薬剤休止、5日間の処理、2日間の薬剤休止、5日間の処理、2日間の薬剤休止、5日間の処理、2日間の薬剤休止、3日間の処理。適用体積は10ml/kgであった。選択される経口用量は、50, 100及び200mg/kgの例1及び200mg/kgの‘108特許の化合物3であった。処理は、それぞれ、200mg/kg、100mg/kg及び50mg/kgのグループにおいて、87%、49%及び40%の用量−依存性の有意な腫瘍重量阻害性をもたらした。‘108特許の化合物3(200mg/kg)は、例1の化合物の100mg/kg処理グループに類似する結果(49%の腫瘍重量の阻害性)を示した。
【0088】
PC-3異種移植片モデルにおける抗腫瘍活性の決定
PC-3前立腺癌細胞をまず、NCI収集から得、そしてRoche細胞銀行Penzbergにおける拡張の後、寄託した。腫瘍細胞系を、10%FBS及び2mMのL−グルタミンを含むRPMI1640培地において、5%CO2で水−飽和された雰囲気下で37℃で通常通りに培養した。培養継代を、週2度、トリプシン/EDTA 1x (Roche Diagnostics)により行った。細胞継代3を、本発明の研究に使用した。
【0089】
細胞注射の日、細胞を培養フラスコ(Greiner T75)から収穫し、50mlの培養培地に移し、1度、洗浄し、そしてPBSに再懸濁した。PBSによる追加の洗浄の後、最終細胞力価をNeubauer−Chamberにより測定した。腫瘍細胞懸濁液(PBS)を注意してかき混ぜ(細胞凝集を低めるために)、そして氷上に保存した。細胞懸濁液を、1.0mlの注射器中に充填した。一次腫瘍を生成するために、100μlのPBS中、2×106個のPC-3腫瘍細胞を、個々のマウス(NMRIヌードマウス)の右側腹部中に皮下注射した。腫瘍の細胞のs.c.接種の後、測定できる腫瘍がすべての動物において進行した。マウスを、一次腫瘍寸法に従って、10日目に段階に分類し、そしてランダム化した。15日の毎日の経口投与を、試験製品として'108 特許の例1及び化合物3を用いて行った。90匹の雄のNMRIヌードマウスを、6種の研究グループに分けた。
【0090】
個々のグループは、15匹の雄の動物から構成された。個々のグループは、7.5%の変性されたゼラチン及び0.22%のNaClの溶液中、微小懸濁液として配合される試験製品を、19日間にわたって経口路により毎日1度、与えられた(それぞれ、5日間の処理及び2−日の薬剤フリー期間)。適用体積は10ml/kgであった。選択される経口用量は、25、50、 100及び200mg/kgの例1及び200mg/kgの‘108特許の化合物3であった。ビークルグループが停止基準に達する、腫瘍細胞注射の28日後に、研究を停止した。15日間の処理後、ビークルグループに比較して、それぞれ100mg/kg及び200mg/kgのグループに関して51%及び81%の用量−依存性の有意な腫瘍重量阻害性が存在した。‘108特許の化合物3 (200mg/kg)は、例1の100mg/kg処理グループに類似する結果(53%の腫瘍重量阻害率)を示した。例1により処理された、25mg/kg及び50mg/kgグループの腫瘍重量阻害率はそれぞれ15%及び36%であった。
【0091】
本発明の1つの態様は、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘発による腫瘍細胞増殖の阻害のための、前記に定義されるような薬剤である。
本発明のもう1つの態様は、造血及びリンパ系の新生物の処理のための、前記に定義されるような薬剤である。
本発明のさらにもう1つの態様は、癌処理のための前記に定義されるような薬剤である。
本発明のさらにもう1つの態様は、結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌の処理のための前記に定義されるような薬剤である。
【0092】
本発明のさらにもう1つの態様は、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘発による腫瘍細胞増殖の阻害のための薬剤の製造のためへの1又は複数の式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物の使用である。
本発明のさらにもう1つの態様は、癌処理のための薬剤の製造のためへの1又は複数の式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物の使用である。
本発明のさらにもう1つの態様は、結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌の処理のための薬剤の製造のためへの1又は複数の式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物の使用である。
【0093】
本発明のさらにもう1つの態様は、結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌の処理のための薬剤の製造のためへの1又は複数の式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物の使用である。
本発明のさらにもう1つの態様は、造血及びリンパ系の新生物の処理のための薬剤の製造のためへの1又は複数の式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物の使用である。
【0094】
本発明のさらにもう1つの態様は、有効量の1又は複数の式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物を、腫瘍細胞に投与することによる、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘発により腫瘍細胞増殖を阻害するための方法である。本発明のこの観点のさらなる特徴によれば、前記に定義されるような鏡像異性体的に純粋なチオフェンヒドロキサム酸誘導体の有効量を、温血動物、例えばヒトに投与することを含んで成る処理の必要な前記動物において抗−細胞増殖効果を生成するための方法が提供される。
従って、本発明のさらにもう1つの態様は、前記収容が、結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌である、上記に記載されるような方法である。
【0095】
本発明のさらに好ましい観点によれば、治療によるヒト又は動物身体の処理方法への使用のための前記に定義されるような式Iの鏡像異性体的に純粋な化合物が提供される。本発明者は、前記本発明の化合物がそれらのヒストンデアセチラーゼ阻害活性から生じると思われる抗−細胞−増殖性質を有することを現在見出した。従って、本発明の化合物は、悪性細胞の増殖を処理するための方法を提供する。従って、本発明の鏡像異性体的に純粋な化合物は、特に乳房、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、暴行、膵臓及び卵巣癌の処理に抗−増殖効果を提供することにより癌の処理において有用であることが予測される。本発明の誘導体が組織、例えば肝臓、腎臓、前立腺及び膵臓における広範囲の白血病、リンパ性悪性及び固形腫瘍、例えば癌及び肉腫に対する活性を有することがさらに予測される。
【0096】
前記に定義される抗−細胞−増殖処理は、単独治療として適用されるか、又は本発明のチオフェンヒドロキサム酸誘導体の他に、1又は複数の他の抗−腫瘍物質、例えば次のものから選択されたそれらの物質を含むことができる:有糸分裂インヒビター、例えばビンブラスチン;アルキル化剤、例えばシス−プラスチン、カルボプラチン及びシクロホスファミド;微小管アセンブリーのインヒビター、例えばパクリタキセル又は他のタキサン;抗代謝物、例えば5−フルオロウラシル、カペシタビン、サイトシンアラビノシド及びヒドロキシウレア又は例えば介在性抗生物質、例えばアドリアマイシン及びブレオマイシン;免疫刺激剤、例えばトラスツズマ(trastuzumab);DNA合成インヒビター、例えばゲムシタビン;酵素、例えばアスパラジナーゼ;トポイソメラーゼインヒビター、例えばエトポシド;生物学的応答調節剤、例えばインターフェロン;及び抗−ホルモン、例えば抗エストロゲン、例えばタモキシフェン、又は例えば抗アンドロゲン、例えば(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)−プロピオンアニリド、又は治療剤及びCancer: Principles & Practice of Oncology, Vincent T. DeVita, Jr., Samuel Hellmann, Steven A. Rosenberg; 5th ed., Lippincott-Raven Publishers, 1997に記載されるような成分。そのような結合した処理は、その処理の個々の成分の同時、連続的又は別々の投与により達成され得る。本発明のこの観点によれば、前記に定義されるような式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体、及び癌の結合した処理のための上記に定義されるような追加の抗−腫瘍物質を含んで成る医薬生成物が提供される。
【0097】
本発明は現在、次の非制限的例により示され、ここで特にことわらない限り、次の意味を有する:
(i)蒸発は、真空下で回転蒸発により行われ、そして作業方法は、残留固形物、例えば乾燥剤の濾過による除去の後に行われ;
(ii)操作は、18〜25℃の範囲の周囲温度で及び不活性ガス、例えばアルゴン又は窒素の雰囲気下で行われ;
(iii)カラムクロマトグラフィー(フラッシュ方法による)及び高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)は、E. Merck, Darmstadt, Germanyから得られたMerck Kieselgel シリカ 又は Merck Lichroprep RP-18逆相シリカ上で、又はISOLUTE Flash吸着剤上で、及びSepartis, Grenzach-Wyhlen, Germanyから得られたISOLOTE Flashカラム上で行われ;
【0098】
(iv)収率は、単なる例示のために与えられ、そして必ずしも達成できる最大値ではなく;
(v)融点は、Metter SP62自動融点装置、油−浴装置又はKoflerホットプレート装置を用いて決定され;
(vi)式Iの最終生成物の構造は、核(一般的に、陽子)磁気共鳴(NMR)及び質量スペクトル技法(APCIを用いてのMicromass PlatformII又はエレクトロスプレーを用いてのMicromass Platform ZMD)により確められ;
(vii)中間体は一般的に十分には特徴づけられておらず、そして純度は薄層クロマトグラフィーにより評価され;
【0099】
(viii)次の略語が使用される:
CH2Cl2:ジクロロメタン;
CO2 :二酸化炭素;
DMF :N, N−ジメチルホルムアミド;
DMSO :ジメチルスルホキシド;
HCl :塩酸;
MeOH :メタノール;
rt :室温;
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム;
TFA :トリフルオロ酢酸;
THF :テトラヒドロフラン;
mp :融点
【実施例】
【0100】
調製例:
例1:(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−フェニル−エチル)−アミド]
a)(R)−5−(1−フェニル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルの合成:
塩化チオニル(200ml)中、40g(215mモル)のメチルチオフェン−2,5−ジカルボキシレートの懸濁液を、約72時間、還流条件下で処理する(HCl発生の最終)。反応混合物を、室温に冷却し、そして塩化チオニルを減圧下で蒸発し、出発材料から中間体の酸塩化物を生成する。THF(320ml)中、(R)−1−フェニルエチルアミン(35.5ml、279mモル)及びトリエチルアミン(150ml、1.07モル)の溶液を、−15℃に冷却し、そしてTHF(400ml)中前記酸塩化物の冷却溶液(−15℃)をゆっくりと添加する。攪拌を同じ温度で1時間、続け、そして室温に温めた後、さらに16時間、続ける。その反応混合物を濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発する。得られる残渣を、CH2Cl2に溶解し、そして生成物を、水性作業及び再結晶化の後、白色固形物(mp=131-133℃)として、83%の収率(52g)で単離する。
【0101】
b)(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−フェニル−エチル)−アミド]の合成:
中間体メチルエステル(35g、120mモル)を、メタノール中、ヒドロキシルアミンの溶液(605ml、2M)に溶解し、そして続いて、メタノール中、水酸化カリウムの溶液(105ml、1.15M)により処理する。溶液を室温で16時間、攪拌し、ドライ−アイスにより処理し、そして溶媒を減圧下で蒸発する。固体残渣を水に懸濁し、pH値を9に調節する。懸濁液を冷却し、そして沈殿物を濾過し、乾燥し、そして酢酸エチル/メタノー溶離剤を用いてフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望する生成物19.7g(50%)を淡褐色粉末(mp=180℃)として得る。他方では、生成物を、メタノールからの再結晶化により精製することができる。
【0102】
例2
例1の調製方法に従って、(R)−形状のキラルアミンに適合する次の一般式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体を調製した:
a) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-p-トリル-エチル)-アミド], (mp=189℃);
b) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, (mp=200℃);
c) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-クロロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, (mp=195℃);
d) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, (mp=209℃);
e) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-1-イル-エチル)-アミド], (mp=200℃);
f) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-2-イル-エチル)-アミド], (mp=200℃);
g) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-プロピル)-アミド], (mp=190-195℃);
【0103】
h) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(3-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}, (mp=160℃);
i) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド} (mp=195℃);
j) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-アミド] (mp=215℃);
k) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピル)-アミド];
l) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-アミド] (mp=192℃);
m) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-インダン-1-イルアミド, (mp=183℃); 及び
n) (R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド], (mp=171℃)。
【0104】
例3:(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−p−トリル−エチル)−アミド]
a)(S)−5−(1−p−トリル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルの合成:
CH2Cl2(5ml)中、1.4g(7.5mモル)のメチルチオフェン−2,5−ジカルボキシレートの溶液を、1.5ml(18mモル)の塩化チオニル及び1滴のDMFにより処理し、そして続いて、80℃で1時間、加熱する。溶媒及び過剰の塩化チオニルを減圧下で蒸発し、そして残渣をCH2Cl2(10ml)に溶解し、そしてCH2Cl2(10ml)及びトリエチルアミン(2ml、14.2mモル)中、(S)−1−(p−トリル)エチルアミン(1.0g、7.4mモル)によりゆっくりと処理する。室温での攪拌を、さらに1時間、続ける。生成物を、酸性作業及び再結晶化の後、黄色の固形物(mp=165℃)として71%の収率(1.6g)で単離する。
【0105】
b)(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−p−トリル−エチル)−アミド]の合成:
メタノール中、ヒドロキシルアミンの冷溶液(15ml、2M)に、(S)−5−(1−p−トリル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(910mg、3mモル)及び続いて、メタノール中、水酸化カリウムのもう1つの冷溶液(4ml、0.75M)を添加する。室温に温めた後、溶液をその温度で、さらに2時間、攪拌する。次に、混合物をドライ−アイスにより処理し、沈殿物を濾過し、そして濾液を減圧下で蒸発乾燥する。固体残渣を、水により十分に洗浄し、濾過し、乾燥し、そしてメタノールから再結晶化し、640mg(70%)の所望する生成物を、白色固形物(mp=189℃)として得る。
【0106】
例4
例3の調製方法に従って、(S)−形状のキラルアミンに適合する次の一般式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体を調製した:
a) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-p-トリル-エチル)-アミド], (mp=198℃);
b) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, (mp=199℃);
c) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-クロロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, (mp=197℃);
d) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, (mp=183℃);
e) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-1-イル-エチル)-アミド], (mp=167℃);
f) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-2-イル-エチル)-アミド], (mp=200℃);
g) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-プロピル)-アミド], (mp=210℃);
【0107】
h) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(3-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}, (mp=170℃);
i) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド} (mp=190℃);
j) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-アミド] (mp=165℃);
k) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピル)-アミド];
l) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-アミド] (mp=189℃);
m) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-インダン-1-イルアミド, (mp=178℃); 及び
n) (S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン1-イル)-アミド], (mp=173℃)。
【0108】
例5:チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]
a)5−(1−チオフェン−2−イル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルの合成:
CH2Cl2(20ml)中、500mg(2.7mモル)のメチルチオフェン−2,5−ジカルボキシレートの溶液を、617mg(4mモル)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物及び772mg(4mモル)の4’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩により処理し、そして攪拌を周囲温度で1時間、続ける。410mg(3.2mモル)の1−チオフェン−2−イル−エチルアミンを、前記反応混合物に添加し、続いて周囲温度で一晩、攪拌する。生成物を、酸性作業及びシリカゲル上での精製の後、蝋状固形物として、84%の収率(0.67g)で単離する。
【0109】
b)チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]の合成:
メタノール中、ヒドロキシルアミンの冷溶液(15ml、2M)に、5−(1−チオフェン−2−イル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(300mg、1mモル)及び続いて、メタノール中、水酸化カリウムのもう1つの冷溶液(2ml、0.5M)を添加する。室温に温めた後、溶液をその温度で、さらに3時間、攪拌する。次に、混合物をドライ−アイスにより処理し、沈殿物を濾過し、そして濾液を減圧下で蒸発乾燥する。固体残渣を、水により十分に洗浄し、濾過し、乾燥し、そして、260mg(87%)の所望する生成物を、白色固形物(mp=173℃)として得る。
【0110】
例6
例5の調製方法に従って、次の式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体を調製した:
a) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
b) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド];
c) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド];
d) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチルフェニル)-エチル]-アミド};
e) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
f) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
g) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド];
【0111】
h) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド];
i) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル-1-フェニル-プロピル)-アミド];
j) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル-1-フェニル-ブチル)-アミド];
k) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
l) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド};
m) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド];
n) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メタンスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド};
【0112】
o) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
p) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
q) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド];
r) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド];
s) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル-1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド};
t) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
u) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フェノキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
【0113】
v) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
w) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド];
x) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ビフェニル-4-イル-エチル)-アミド];
y) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
z) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチルブチルカルバモイル)-フェニル]-エチル}-アミド); 及び
aa) チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-メチルチオフェン-2-イル)-エチル]-アミド}。
【0114】
例7:(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]
例5に記載されるラセミ化合物チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]を、CHIRACEL O7 CSP 固定相, Chiral Technologies Europe及びメタノール/水溶離剤を用いてのクロマトグラフィー分離により、(R)及び(S)鏡像異性体の両者に分離し、鏡像異性体的に富化された(R)−形状生成物(mp=173℃)(鏡像異性体過剰、純度及び収率の決定)を得る。他方では、両鏡像異性体の分離を、同じ固定相を利用する5−(1−チオフェン−2−イル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルの段階上で行い、(R)−形状のエステルを得、続いて、これを、例5bの調製方法に従って、最終生成物に転換する。
【0115】
例8
例7の調製方法に従って、次の一般式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体を調製した:
a) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
b) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド];
c) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド](mp=88℃);
d) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチルフェニル)-エチル]-アミド}(mp=155℃);
e) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド(mp=178℃);
f) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニルエチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド(mp=190℃);
g) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド];
【0116】
h) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド];
i) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル-1-フェニル-propイル)-アミド];
j) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル-1-フェニル-ブチル)-アミド];
k) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
l) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド};
m) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド];
n) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メタンスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド};
【0117】
o) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
p) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
q) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド];
r) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド];
s) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル-1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド};
t) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
u) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フェノキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
【0118】
v) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
w) (R)− チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド];
x) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ビフェニル4-イル-エチル)-アミド];
y) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
z) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチルブチルカルバモイル)-フェニル]-エチル}-アミド); 及び
aa) (R)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-メチルチオフェン-2-イル)-エチル]-アミド}。
【0119】
例9:(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]
例6に記載されるラセミ化合物チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]を、CHIRACEL O7 CSP 固定相, Chiral Technologies Europe及びメタノール/水溶離剤を用いてのクロマトグラフィー分離により、(R)及び(S)鏡像異性体の両者に分離し、鏡像異性体的に富化された(S)−形状生成物(mp=170℃)(鏡像異性体過剰、純度及び収率の決定)を得る。他方では、両鏡像異性体の分離を、同じ固定相を利用する5−(1−チオフェン−2−イル−エチルカルバモイル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステルの段階上で行い、(S)−形状のエステルを得、続いて、これを、例5bの調製方法に従って、最終生成物に転換する。
【0120】
例10
例9の調製方法に従って、次の一般式Iのチオフェンヒドロキサム酸誘導体を調製した:
a) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
b) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド];
c) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド](mp=97℃);
d) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチルフェニル)-エチル]-アミド}(mp=157℃);
e) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド(mp=142℃);
f) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニルエチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド(mp=189℃);
g) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド];
【0121】
h) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド];
i)(S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル1-フェニル-プロピル)-アミド];
j)(S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル1-フェニル-ブチル)-アミド];
k)(S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド;
l) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド};
m) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド];
n) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メタンスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド};
o) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
【0122】
p) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
q) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド];
r) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド];
s) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル-1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド};
t) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
u) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フェノキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
v) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
【0123】
w) (S)− チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド];
x) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ビフェニル4-イル-エチル)-アミド];
y)(S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド;
z) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチルブチルカルバモイル)-フェニル]-エチル}-アミド); 及び
aa) (S)−チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-メチルチオフェン-2-イル)-エチル]-アミド}。
【0124】
文献の列挙
Ansel, H., et. al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 6th ed., 1995, at pp. 196 and 1456-1457;
Cancer: Principles & Practice of Oncology, Vincent T. DeVita, Jr., Samuel Hellmann, Steven A. Rosenberg; 5th ed., Lippincott-Raven Publishers, 1997;
Hanano, T., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 10 (2000) 881-884;
Houben-Weyl, "Methoden der organischen Chemie", Vols. XV/1 and XV/2, Georg Thieme Verlag, Stuttgart;
Iglesias, L. E., et al., Tetrahedron: Asymmetry 8 (1997) 2675-2677;
J. Am. Chem. Soc. 105 (1983) 1578;
J. Am. Chem. Soc. 64 (1942) 477;
J. Heterocycl. Chem. 28 (1991) 17;
Koyama, Y., et al., Blood 96 (2000) 1490-1495;
【0125】
Marks, P. A., et al., J. Nat. Cancer Inst. 92 (2000) 1210-1216;
Rasor, P., and Voss, E., Applied Catalysis A 221 (2001) 145-158;
Richon, V. M., et al., PNAS 97 (2000) 10014-10019;
Rubinstein, L. V., et al., J. Natl. Cancer Inst. 82 (1990) 1113;
アメリカ特許第2,680,731号;
アメリカ特許第5,369,108号;
WO 01/38322号;
WO 01/70675号;
WO 02 /22577 号;
WO 93 /07148 号;
WO 95 /31977 号;
WO 98 /55449 号;
Yoshida, M., et al., J. Biol. Chem. 265 (1990) 17174-17179。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

[式中、Arは、置換されていないか、あるいは次の置換基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-フェニル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)-アルキルにより1,2又は3度、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール基であり;
R1は、水素;置換されていないか、あるいは次の置換基:ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリノ、4-メチルピペラジニル又はアリールにより1度又は数度、置換されていてもよいフェニル、アルキル又はアルケニルであり;あるいは
R1は、Ar−基と共に、テトラヒドロナフタレン−、インダン−又はジベンゾスベラン−環を形成し;
R2は、水素又はアルキルであり;
nは、1,2又は3である]
で表される化合物の(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び医薬的に許容できるその塩。
【請求項2】
Arが、次の置換基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)- アルキルにより、1又は2度、任意に置換されていてもよいアリール又はチオフェン−2−イル基であり;
R1は、水素;又は次の置換基:ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリノ、4-メチルピペラジニル又はアリールにより任意に置換されていてもよいアルキルであり;
R2は、アルキル又は水素であり;
nは、1,2又は3である;
請求項1記載の(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的許容できるその塩。
【請求項3】
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]、
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−{[1−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド}、又は
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−ビフェニル−4−イル−エチル)−アミド]
である請求項1又は2記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項4】
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−チオフェン−2−イル−エチル)−アミド]、
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−{[1−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エチル]−アミド}、又は
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−ビフェニル−4−イル−エチル)−アミド]
である請求項1又は2記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項5】
Arが、次の置換基:ハロゲン、アルキル、-O-アルキル、-OH、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)- アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)- アルキルにより1度置換されているフェニルであり;
R1が水素又はアルキルであり;
R2が水素である;
請求項1又は2記載の(R)−又は(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できるその塩。
【請求項6】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-p-トリル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-クロロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(3-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[ 1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド、
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メチルスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, 又は
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-フェニル]-エチル}-アミド)である請求項5記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項7】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-p-トリル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-フルオロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-クロロ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-ブロモ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(3-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-トリフルオロメチル-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[ 1-(4-tert-ブチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(4-メタンスルホニル-フェニル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(3-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(2-アミノ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エチル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-エトキシ-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-{[1-(4-カルバモイル-フェニル)-エチル]-アミド}5-ヒドロキシアミド, 又は
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-({1-[4-(3-メチル-ブチルカルバモイル)-フェニル]-エチル}-アミド)、
である請求項5記載の(S)−鏡像異性体。
【請求項8】
Arが、フェニルであり;
R1が、フェニル;又は次の置換基:ハロゲン、-OH、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリニル、4-メチルピペラジニル又はフェニルにより任意に置換されていてもよいアルキルであり;
R2が、水素又はアルキルである;
請求項1又は2記載の(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び医薬的に許容できるその塩。
【請求項9】
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−フェニル−エチル)−アミド]である請求項8記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項10】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-プロピル)-アミド]、
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピル)-アミド,]
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド]、
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル-1-フェニル-プロピル)-アミド], 又は
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル-1-フェニル-ブチル)-アミド]、
である請求項8記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項11】
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−ヒドロキシアミド5−[(1−フェニル−エチル)−アミド]である請求項8記載の(S)−鏡像異性体。
【請求項12】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-プロピル)-アミド,]
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-ヒドロキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-ヒドロキシ-1-フェニル-プロピル)-アミド]、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メトキシ-1-フェニル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(2-ジメチルアミノ-1-フェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-2-ピロリジン-1-イル-エチル)-アミド]、
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-モルホリン-4-イル-1-フェニル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1,2-ジフェニル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ペンチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フェニル-ブチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(2-メチル-1-フェニル-プロピル)-アミド], 又は
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(3-メチル-1-フェニル-ブチル)-アミド]
である請求項8記載の(S)−鏡像異性体。
【請求項13】
Arが、ナフチルであり;
R1及びR2が独立して、水素;置換されていないか、又は次の置換基:アルキル、ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)又は-N(アルキル)2
により1度又は数度、置換されていてもよいアルキル−又はアルケニルである、
請求項1又は2記載の(R)−及び(S)−鏡像異性体、及び生理学的に許容できるその塩。
【請求項14】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-1-イル-エチル)-アミド], 又は
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-2-イル-エチル)-アミド]である請求項13記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項15】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-1-イル-エチル)-アミド], 又は
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ナフタレン-2-イル-エチル)-アミド]である請求項13記載の(S)−鏡像異性体。
【請求項16】
Ar及びR1が一緒になって、テトラヒドロナフタレニル、インダニル又はジベンゾスベラニルを形成し、これらのすべては、次の置換基:アルキル、ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)又は-N(アルキル)2により任意に置換されておりそして、
R2が水素である、
請求項1記載の化合物、及び生理学的に許容できる塩。
【請求項17】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-インダン-1-イルアミド, 及び
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド]である請求項16記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項18】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-インダン-1-イルアミド, 及び
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド]である、請求項16記載の(S)−鏡像異性体。
【請求項19】
Arが、置換されていないか、又は次の置換基:ハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-フェニル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)-アルキルにより1,2又は3度、置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
R1が、水素;置換されていないか、又は次の置換基:ハロゲン、-OH、-NO2、-NH2、-O-アルキル、-O-アリール、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、モルホリノ、4-メチルピペラジニル又はアリールにより1度又は数度、置換され得るフェニル、アルキル又はアルケニルであり;又は
R1が、Ar−基と共に、テトラヒドロナフタレン−、インダン−又はジベンゾスベラン環を形成し;
R2が、水素又はアルキルであり;
nは、1,2又は3である;
請求項1記載の化合物、及び生理学的に許容できるその塩。
【請求項20】
Arが、置換されていないか、あるいは次の置換基のハロゲン、フェニル、アルキル、-O-アルキル、-O-フェニル、-O-(CH2)n-O-、-OH、-NO2、-NH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、-NH-C(O)-アルキル、-SO2アルキル、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、-SO2N(アルキル)2、-C(O)-NH2、-C(O)-NH-アルキル、-C(O)-N(アルキル)2又は-C(O)-アルキルにより1,2又は3度、置換されていてもよいヘテロアリール基であり;
R1が、水素であり;
R2が、アルキルであり;そして
nは、1,2又は3である;
請求項19記載の化合物、及び生理学的に許容できるその塩。
【請求項21】
Arが、ベンゾフラン-2-イル、イソキサゾール-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、フラン-2-イル又はピロール-3-イルであり;それらのすべては、置換されていないか、又は
フェニル又はアルキルにより1又は2度、置換されていてもよい;
R1が、水素であり;そして
R2が、アルキルである;
請求項19記載の化合物、及び生理学的に許容できるその塩。
【請求項22】
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド},
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド],
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル-1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド}, 又は
(R)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド]である請求項21記載の(R)−鏡像異性体。
【請求項23】
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-[(1-ベンゾフラン-2-イル-エチル)-アミド]5-ヒドロキシアミド,
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(5-フェニル-イソキサゾール-3-イル)-エチル]-アミド},
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-2-イル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-フラン-2-イル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-3-イル-エチル)-アミド],
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-{[1-(1-メチル-1H-ピロール-3-イル)-エチル]-アミド}, 又は
(S)-チオフェン-2,5-ジカルボン酸 2-ヒドロキシアミド 5-[(1-ピリジン-4-イル-エチル)-アミド]である請求項21記載の(S)−鏡像異性体。
【請求項24】
(R)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−{[1−(4−フェノキシ−フェニル)エチル]−アミド}5−ヒドロキシアミド、及び
(S)−チオフェン−2,5−ジカルボン酸2−{[1−(4−フェノキシ−フェニル)エチル]−アミド}5−ヒドロキシアミドである請求項1記載の(R)−及び(S)−鏡像異性体。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項記載の化合物の立体選択性製造のための方法であって、
下記式III :
【化2】

[式中、R3はメチル基である]で表される化合物と、下記式III ―A:
Ar−C(R1)(R2)−NH2 III−A
[式中、Ar、R1及びR2は、請求項1に与えられる意味を有する]で表される鏡像異性体的に純粋な(R)又は(S)−アミンとを、適切な活性剤の存在下で反応せしめ、下記式II:
【化3】

で表される化合物を得、これを、ヒドロキシルアミン又はその塩酸塩により処理し、請求項1記載のそれぞれの鏡像異性体的に純粋な化合物を得;そして所望には、前記化合物を、その医薬的に許容できる塩に転換する方法。
【請求項26】
活性成分としての1又は複数の請求項1〜24のいずれか1項記載の化合物、及び医薬的に許容できるアジュバントを含む薬剤。
【請求項27】
腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘発による腫瘍細胞増殖の阻害のための請求項26記載の薬剤。
【請求項28】
癌処理のための請求項26記載の薬剤。
【請求項29】
造血及びリンパ系の新生物の処理のための請求項26記載の薬剤。
【請求項30】
結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌の処理のための請求項26記載の薬剤。
【請求項31】
腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘発による腫瘍細胞増殖の阻害のための薬剤の製造のためへの請求項1〜24のいずれか1項記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項32】
癌処理のための薬剤の製造のためへの請求項1〜24のいずれか1項記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項33】
造血及びリンパ系の新生物の処理のための薬剤の製造のためへの請求項1〜24のいずれか1項記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項34】
結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌の処理のための薬剤の製造のためへの請求項1〜24のいずれか1項記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項35】
有効量の請求項1〜24のいずれか1項記載の1又は複数の化合物を、腫瘍細胞に投与することによる、腫瘍細胞におけるヒストンアセチル化の誘発により腫瘍細胞増殖を阻害するための方法。
【請求項36】
前記収容が、結腸−、乳−、肺−、前立腺−、直腸−、胃−、膀胱−、膵臓−又は卵巣−癌である請求項35記載の方法。
【請求項37】
請求項25記載の方法により、又は同等の方法により調製される、請求項1〜24のいずれか1項記載の化合物。
【請求項38】
上記に記載されるような発明。

【公表番号】特表2006−513181(P2006−513181A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560408(P2004−560408)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014235
【国際公開番号】WO2004/054999
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】