説明

チオール基含有感紫外線化合物および、その用途

【課題】紫外線照射により接着性を発揮する等の作用を示す感紫外線化合物、該化合物を用いた、金属薄膜と熱可塑性高分子との接着性に優れたナノインプリント用接着剤、微細な金属薄膜パターンを有する基板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】感紫外線化合物は、式(I)で示される。接着剤は、該化合物を含み、基板は、0.01μm〜10μmの線幅の金属薄膜パターンを有し、ワイヤーグリッド偏光板、回折格子、電子デバイス用金属配線基板等に有用である。


(R1〜R6の特定の基が−X−(CH2)m−SH(XはO、OCO、COO、NH又はNHCO、mは1〜20)であり、残りの基が、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感紫外線化合物、これを用いたナノインプリント用接着剤、金属薄膜パターンを有する基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の社会に流通する情報量は飛躍的に増大し、これを処理する情報機器の小型化と多機能化に対する期待が高まっている。これに応えるためには情報記録密度と情報処理速度の向上が不可欠であることから、情報機器を構成する半導体集積回路の高集積化が進められている。この半導体集積回路の高集積化によって配線パターンの微細化が進み、現在では100nm以下の微細構造が形成されている。今後更なる微細化が要求されており、ITRS2006年版によると、2007年には65nm、2010年には45nm、そして2013年には32nmのDRAMハーフピッチが要求されている。
これら微細化要求に対して高屈折率液体を用いる液浸リソグラフィプロセスや、光源に極端紫外線を用いるEUVリソグラフィプロセスが提案されている。しかし、液浸リソグラフィプロセスにおいては極性溶媒や有機溶媒を用いるため、光酸発生剤の光分解物の溶出によるステッパーレンズへの汚染の問題がある。また、EUVリソグラフィにおいては各要素技術に関連する設備投資額が極端に増大する。
【0003】
そこで、非特許文献1および特許文献1によれば、プリンストン大学のChou教授らによってナノインプリントリソグラフィプロセスが提案された。このプロセスは、フォトリソグラフィと比較して簡便であることから、設備投資額を抑制でき製造コストを大幅に圧縮することができる。従って、フォトリソグラフィに代わる量産技術と期待されている。
ナノインプリントリソグラフィプロセスを大別すると、熱ナノインプリントリソグラフィと光ナノインプリントリソグラフィがある。前者は、インプリントされる基板上に熱可塑性高分子を成膜した後加温して軟化させ、その上から凹凸形状にパターニングされたモールドを押し付け、冷却後離型してモールドの凹凸形状を基板上の熱可塑性高分子からなる膜に転写するプロセスである。前者の熱ナノインプリントリソグラフィでは、自己支持性のある膜厚数十μm以上の熱可塑性高分子の膜にモールドを押し付けて、該熱可塑性高分子に凹凸形状を容易に成型することができる。ところが、凹凸の高さ差が熱可塑性高分子の膜厚より大きい場合、例えば、固体基板上にスピン塗布等で製膜した熱可塑性高分子の薄膜にモールドを押し付けると、形成されたパターンの凸部の一部がモールドから離型せずに基板から剥がれて構造欠陥を生じる問題がある。この問題を克服するために、熱可塑性高分子に依存した成型温度、冷却温度、保持時間、離型速度等の成型条件の最適化やモールド表面の離型剤の選出を行い、凹部と凸部の境目に生じる残留応力を低減させる工夫が行われているが、いまだ十分ではない。
【0004】
特許文献2によれば、前述の構造欠陥を抑制するために、モールド材料表面と化学的に反応する官能基を有するパーフルオロポリエーテル等の反応性離型剤で、表面を処理したモールドが提案されている。しかし、パターニング材料とモールドとは、ナノインプリントプロセス時に必ず接触することから、パターンの転写回数が多くなるにつれて、モールド表面の離型剤の脱落が生じる。その結果、パターニング材料の離型性が低下し、パターンの剥がれが問題となる。特に、金属薄膜上に熱可塑性高分子からなるパターニング材料を形成させて熱ナノインプリントする場合、金属薄膜に対する熱可塑性高分子の密着性が低いためにパターンの剥れが顕著になる。そこで、一定面積あるいは一定回数のナノインプリントの後、モールドの再表面処理を行う必要がある。しかし、このような処理は、生産性に影響を及ぼすと共に、モールドの洗浄工程が付加されるため、モールドの寿命が短くなるという問題が生じる。
【0005】
非特許文献2によれば、金の層を有する基板上に熱可塑性高分子薄膜を設け、熱ナノインプリントによって凹凸を転写し、RIE(反応性イオンエッチング)プロセスの後ウェットケミカルエッチングによって金を除き、最後に酸素プラズマで熱可塑性高分子を除くことによる金の微細パターン形成方法とその基板が報告されている。ところが、一般的に金属と熱可塑性高分子樹脂は密着性が低いため、ナノインプリント時の高分子の剥がれや、金をエッチングする際エッチング液の浸透による金パターンの消失、変形、痩せが生じる。
非特許文献3によれば、SiO2表面を有する基板にベンゾフェノン基を有するシランカップリング剤を修飾し、次いで炭化水素基を有する高分子層を設け紫外線を照射することによって、高分子とベンゾフェノンを共有結合させる方法が報告されている。この方法では、表面に水酸基などを有する金属酸化物からなる基板や微粒子において効果が認められる。しかし、金等の金属表面にはアンカー効果が期待できないことと、ナノインプリントプロセスへの応用まで想定されていない。
非特許文献4によれば、2−メチルベンゾフェノンを有するチオール基を金クラスター表面に吸着させた後、光を照射し分子内水素移動による光エノール化が報告されている。ところが、ベンゾフェノンの2位にアルキル基が置換されているため、ラジカルによる水素の引き抜き反応が分子内に限定され、ベンゾフェノンと樹脂の間で共有結合を生成させることができない。このため、金クラスターに対する樹脂の接着性が十分では無い。
【0006】
また、熱ナノインプリントリソグラフィーでは、昇温、保持、冷却といった熱サイクルに時間がかかるため、スループットの向上が望まれている。この問題を解決するために、高性能なヒーター・冷却器の開発や、非特許文献5に記載されるローラーナノインプリント、非特許文献6,7に記載されるゾル−ゲル系材料を用いた室温ナノインプリントが提案されている。また、非特許文献8では、分子量の効果を検討し、低分子量のポリマーを用いた場合、高分子量のポリマーに比べ粘度が低下し、保持時間短縮の可能性が述べられている。しかし、非特許文献8で検討している熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、58000および353000であり、58000以下の熱可塑性高分子を用いた際の効果は検討されていない。
【0007】
一方、従来基板上に金属薄膜パターンを形成させる方法として、銅などの金属薄膜を有する基板上にスクリーン印刷、インクジェット印刷等の印刷法或いはフォトリソグラフィ法によってエッチングレジスト層を形成させ、次にウェットエッチングによる金属層を除去するサブトラクティブ法が知られている。また、基板を印刷法或いはフォトリソグラフィ法によってめっきレジスト層を形成させ、無電解めっきや電解めっきによって導体金属層を形成させるアディティブ法も知られている。これらは10μm以上の導体線幅の形成法で実用化されているが、10μm以下の微細加工、更には1μm以下の導体線幅の形成には対応できない。
そこで、非特許文献9によれば、膜厚がナノメートルのサイズである自己組織化膜のパターニングを利用した無電解めっきによる金属配線方法が報告されている。ところが、無電解めっきだけでは金属の密着性が低く耐久性に問題があること、金属密度が低く電解メッキの必要があること、光分解によって生じる有機物や金属酸化物等の不純物の影響によって導電性が低下すること、配線エッジの形状が不均一であるなどの問題がある。
【特許文献1】米国特許第5772905号明細書
【特許文献2】特開2004−351693号公報
【非特許文献1】S. Y. Chou, et al., Applied Physics Letters, 67, 3114-3116 (1995)
【非特許文献2】Ch. Pannemann, T. Diekmann, U. Hilleringman Microelectronic Engineering, 67-68, 845-852 (2003)
【非特許文献3】O. Prucker, et al., J. Am. Chem. Soc., 121, 8766-8770 (1999)
【非特許文献4】A. J. Kell, C. C. Montcalm, M. S. Workentin, Can. J. Chem. 81, 484-494 (2003)
【非特許文献5】H.Tan, A. Gilbertson and S. Y. Chou: J. Vac. Sci. Technol. B 16, 3926 (1998)
【非特許文献6】S. Matsui, Y. Igaku, H. Ishigaki, J. Fugita, M. Ishida, Y. Ochiai, H. Namatsu, M. Komuro and H. Hiroshima; J. Vac. Sci. Technol. B 19, 2801 (2001).
【非特許文献7】Y. Igaku, S. Matsui, H. Ishigaki, J. Fugita, M. Ishida, Y. Ochiai, M. Komuro and H. Hiroshima; J. Vac. Sci. Technol. B 19, 2801 (2001).(Jpn. J. Appl. Vac. Phys. 41, 4198 (2002)).
【非特許文献8】H. Schulz, M. Wissen, N. Bogdanski, H.-C. Scheer, K. Mattes, Ch. Friedrich; Microelect. Eng. 83, 259 (2006)
【非特許文献9】P. Zhu, Y. Masuda, K. Koumoto, J. Mater. Chem., 14, 976-981 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、紫外線照射により接着性を発現する等の作用を示す新規な感紫外線化合物、該化合物を用いた、基板表面の金属薄膜と熱可塑性高分子とを強固に接着させることが可能なナノインプリント用接着剤を提供することにある。
本発明の別の課題は、基板表面の金属薄膜と熱可塑性高分子とを強固に接着した基板、金属薄膜パターンの消失、変形を抑制でき、設計どおりの微細な金属薄膜パターンを有する基板を製造することが可能な金属薄膜パターンを有する基板の製造方法、並びに該方法により得られる基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、式(I)で示される感紫外線化合物が提供される。
【化2】

(式中、R1〜R3から選択される1つの基が、若しくはR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が−X−(CH2)m−SH(ここで、XはO、OCO、COO、NH又はNHCOを示し、mは1〜20の整数を示す)であり、残りの基が、それぞれ単独に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
【0010】
また本発明によれば、上記感紫外線化合物を含むナノインプリント用接着剤が提供される。
更に本発明によれば、金属薄膜層と、上記感紫外線化合物の硬化膜層と、熱可塑性高分子の膜層とをこの順で備えた基板(以下、基板(a1)ということがある)が提供される。
更にまた本発明によれば、金属薄膜層と、上記感紫外線化合物の硬化物及び熱可塑性高分子を含む膜層とを備えた基板(以下、基板(a2)ということがある)が提供される。
また本発明によれば、上記基板(a1)又は基板(a2)の膜層に、熱ナノインプリント法により凹凸を形成した基板(以下、基板(b)ということがある)が提供される。
更に本発明によれば、上記基板(b)において、凹部分における熱可塑性高分子の残膜をドライエッチングにより除去する工程、凹部分における金属薄膜をウェットエッチングにより除去する工程、及び凸部分における熱可塑性高分子を剥離する工程を含み、上記基板(b)に0.01μm〜10μmの線幅の金属薄膜パターンを形成することを特徴とする金属薄膜パターンを有する基板の製造方法が提供される。
更にまた本発明によれば、上記製造方法により製造した、0.01μm〜10μmの線幅の金属薄膜パターンを有する基板(以下、基板(c)ということがある)が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感紫外線化合物は、紫外線照射により金属薄膜表面と熱可塑性高分子表面を強固に接着させる接着成分等として有用であり、ナノインプリント法等に利用できる。
本発明のナノインプリント用接着剤は、本発明の感紫外線化合物を含むので、金属薄膜表面と熱可塑性高分子表面を強固に接着することができる。
本発明の基板(c)の製造方法では、本発明の上記接着剤を利用するので、熱ナノインプリントにおける熱可塑性高分子の剥がれや、ウェットエッチングにおけるエッチング液の金属薄膜と熱可塑性高分子との間の界面への浸潤を抑制することができ、金属薄膜パターンの消失、変形を防止し、設計通りの微細な金属薄膜パターンを有する基板(c)を得ることができる。また、この方法は、電子線リソグラフィよりも遥かに生産性に優れており、かつ従来の熱ナノインプリント法と比較して金属薄膜パターンの解像度とその品質にも優れ、モールドの劣化がほとんどなく生産性に優れている。こうして得られた金属微細パターンを有する本発明の基板(c)は、ワイヤーグリッド偏光板、回折格子、電子デバイス用金属配線基板等に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
<感紫外線化合物>
本発明の感紫外線化合物は、上記式(I)で表される化合物である。
式中、R1〜R3から選択される1つの基が、若しくはR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が−X−(CH2)m−SHであり、残りの基が、それぞれ単独に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素数が7以上になると、ベンゾフェノン基の基板表面に対する吸着密度が低下するため、紫外線の照射量を増大させる必要がある。
ここで、XはO、OCO、COO、NH又はNHCOを示し、合成反応の容易さの理由からはOCO、COO、NHCOが好ましい。mは1〜20の整数を示し、原料の入手のしやすさと熱可塑性高分子との光反応性の理由からは5〜12が好ましい。mが20を超えると分子鎖の屈曲性が大きくなり、該化合物の吸着量が減少し、接着機能が低下する恐れがある。
また、式(I)中、R2単独が、若しくはR2及びR5の2つの基が−X−(CH2)m−
SHである化合物が好ましく挙げられ、この際のXは、O、OCO、NH又はNHCOが好ましい(このような化合物を以下、化合物(A)ということがある)。合成反応の容易さの理由からはOCO、NHCOが好ましい。このような化合物(A)は、金属薄膜表面と熱可塑性高分子表面を更に強固に接着させることができる。また紫外線照射量を抑制して生産性を高めることができる。化合物(A)における上記炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基が挙げられる。
【0013】
炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基が挙げられる。立体障害に起因する光反応性と金基板への密着性の理由からはメチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が好ましい。
酸素原子あるいは窒素原子で連結されている炭素数1〜6の炭化水素基は、上記炭素数1〜6の炭化水素基の例示の基が酸素原子あるいは窒素原子で連結されている基を好ましく挙げることができる。
【0014】
上記式(I)中のR1〜R3の1つの基が−X−(CH2)m−SHであり、残りの基が水素原子である感紫外線化合物としては、例えば、3−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4−(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、3−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、3−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、3−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、3−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、3−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、3−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0015】
上記式(I)中のR1〜R3の1つの基が−X−(CH2)m−SHであり、残りの基が水素原子以外の基を含む感紫外線化合物としては、例えば、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(4−メルカプトブチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(4−メルカプトブチルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10-メルカプトデシルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)-4‘−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11-メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0016】
上記式(I)中のR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が−X−(CH2)m−SHである感紫外線化合物としては、例えば、3,3’−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】
本発明の感紫外線化合物において好ましいものとしては、例えば、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(4−メルカプトブチルオキシ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(4−メルカプトブチルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルオキシ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルオキシカルボニル)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルオキシカルボニル)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(2−メルカプトエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(2−メルカプトエチルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキシルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、3−メチル−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3−メトキシ−4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、3,5−ジメチル−4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4−(3−メルカプトプロピオニルアミノ)−4’−メチルベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4’−ブチルベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−4’−シクロヘキシルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)−3’,5’−ジメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−3’,4’,5’−トリメトキシベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェニルベンゾフェノン、4−(11−メルカプトドデカノイルアミノ)−4’−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−メルカプトエチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトウンデカノイルオキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(12−メルカプトドデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(18−メルカプトオクタデシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−メルカプトプロピオニルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(11−メルカプトドデカノイルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
本発明の感紫外線化合物において、原料入手の容易さ、合成の容易さ、熱可塑性高分子との光反応性、金基板への密着性の理由から最も好ましいものとしては、R1が水素原子であり、R2が10−メルカプトデシルアミノ基、または6−メルカプトヘキサノイルアミノ基であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子であり、R5がメトキシ基、10−メルカプトデシルアミノ基、または6−メルカプトヘキサノイルアミノ基であり、R6が水素原子である、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノン、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4’−メトキシベンゾフェノン、または4,4’−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンである。
【0019】
本発明の感紫外線化合物の製造は、例えば、まず、安息香酸クロリドとフェノール、安息香酸クロリドと安息香酸、安息香酸クロリドとニトロベンゼンのそれぞれを、塩化アルミニウム存在下に反応させるFriedel-Crafts反応によってヒドロキシベンゾフェノン、カルボキシベンゾフェノン、ニトロベンゾフェノンを得る。ヒドロキシベンゾフェノン、カルボキシベンゾフェノンのハロアルキル化とスルフィド化によって目的とする感紫外線化合物を得ることができる。
また、アミノベンゾフェノンは、ニトロベンゾフェノンを還元することによって得ることができ、これのハロアルキル化とスルフィド化によって目的とする感紫外線化合物を得ることができる。
前記ベンゾフェノン反応原料である安息香酸クロリド、フェノール、安息香酸、ニトロベンゼンが、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、フェニル基、フェノキシ基で核置換されていてもよいが、本発明の感紫外線化合物の2位、6位、2’位、6’位は水素原子である必要がある。
【0020】
以下、更に具体的に感紫外線化合物の合成例を示す。
ヒドロキシベンゾフェノンを原料とする3−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンの合成は、3−ヒドロキシベンゾフェノンと1,8−ジブロモオクタンをアルカリ存在下に反応させて8−ブロモオクチルエーテルを得、チオ尿素と反応させた後アルカリによる加水分解と塩酸処理によって行うことができる。
同じくヒドロキシベンゾフェノンを原料とする4−(8−メルカプトヘプチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンの合成は、4−ヒドロキシベンゾフェノンと8−ブロモオクタン酸クロリドとを、トリエチルアミン存在下に反応させて8−ブロモオクタン酸エステルを得、チオ尿素と反応させた後アルカリによる加水分解と塩酸処理によって行うことができる。
カルボキシベンゾフェノンを原料とする4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの合成は、4−カルボキシベンゾフェノンの酸塩化物と1−ヒドロキシ−8−ブロモオクタンとを、トリエチルアミン存在下に反応させて8−ブロモオクチルエステルを得、チオ尿素と反応させた後アルカリによる加水分解と塩酸処理によって行うことができる。
ニトロベンゾフェノンを原料とする4−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノンの合成は、4−ニトロベンゾフェノンの接触還元により4−アミノベンゾフェノンを得、これと1,8−ジブロモオクタンをアルカリ存在下に反応させて8−ブロモオクチルアミンを得、チオ尿素と反応させた後アルカリによる加水分解と塩酸処理によって行うことができる。
同じくニトロベンゾフェノンを原料とする4−(8−メルカプトオクタノイルアミノ)ベンゾフェノンの合成は、4−ニトロベンゾフェノンの接触還元により4−アミノベンゾフェノンを得、これと8−ブロモオクタン酸クロリドをトリエチルアミン存在下に反応させて8−ブロモオクタン酸アミドを得、チオ尿素と反応させた後アルカリによる加水分解と塩酸処理によって行うことができる。
【0021】
本発明の感紫外線化合物は、該化合物を含有するナノインプリント用接着剤、または、該化合物と熱可塑性高分子とを含有するナノインプリント用接着剤として用いることができる。これらのナノインプリント用接着剤を塗布して、金属薄膜を有する基板上に該化合物の吸着膜を形成させることができる。以下に、感紫外線化合物を含有するナノインプリント用接着剤(以下、接着剤(a1)という)と、該化合物と熱可塑性高分子を共に含有するナノインプリント用接着剤(以下、接着剤(a2)という)について説明する。
【0022】
<接着剤(a1)>
接着剤(a1)は、本発明の感紫外線化合物を有する溶液であり、ベンゾフェノンの光化学反応を促進させるための添加物をさらに含んでいてもよい。
前記溶媒は、感紫外線化合物を溶解させる溶媒であれば良く、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、乳酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン等のエーテル;クロロホルム、ブチルクロリド等のハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。これらは2種以上の混合溶媒としてもよい。作業環境の点からエタノールが好ましい。
前記添加物は、ベンゾフェノンの光化学反応の進行を促進する役割を有する化合物が好ましく、例えば、炭素数6から20のアルキルチオールが挙げられる。
金属薄膜の表面に形成される吸着膜は、分子間相互作用により光化学反応に寄与するベンゾフェノン部同士が密となる。そのためベンゾフェノン間での光エネルギー移動等により失活しやすい。吸着膜内のベンゾフェノンの密度を低下させ、光励起によりベンゾフェノン部のビスラジカルを効率よく発生させるために、ベンゾフェノン構造をもたないチオール化合物を希釈剤として加えてもよい。また、ベンゾフェノンの光励起を促進する増感剤を添加してもよい。
接着剤(a1)において、該感紫外線化合物の濃度は、通常0.0001〜1mol/dm3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.1mol/dm3である。0.0001mol/dm3より低濃度の場合、吸着膜が金属薄膜表面に均質に形成されないことがある。1mol/dm3より高濃度であっても効果に違いが見られない。
【0023】
<接着剤(a2)>
接着剤(a2)は、本発明の感紫外線化合物と熱可塑性高分子を共に含有する溶液であり、上述のベンゾフェノンの光化学反応を促進させるための希釈剤や増感剤の添加物をさらに含んでいてもよい。
前記溶媒は、感紫外線化合物および熱可塑性高分子を溶解させる溶媒であれば良く、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、エトキシプロピルアセテート、乳酸エチル等のエステル;テトラヒドロフラン等のエーテル;クロロホルム、ブチルクロリド等のハロゲン化アルキル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。
前記熱可塑性高分子としては、重量平均分子量が1000〜10000000であって、室温以上のガラス転移温度を有し、溶媒に可溶で、かつ、ウェットエッチングに用いるエッチング液に不溶な高分子であれば良く、更に好ましくは分子内に炭化水素基を有する熱可塑性樹脂が好ましい。特に重量平均分子量が1000〜50000であることがより好ましく、1000〜10000であることが最も好ましい。ここで、熱可塑性高分子の重量平均分子量を小さくすることにより、後述する基板(b)の製造時における熱ナノインプリント条件における保持時間を短縮することができるので好ましい。
ここで炭化水素基とは、例えば、メチル基、メチレン基、メチン基が挙げられる。熱可塑性高分子としては、水系のエッチング液を用いる場合、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン(PSt)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルが挙げられる。
また、基板への塗布特性改善のため、界面活性剤、レベリング剤等を添加することもできる。これらの添加剤としては、イオン系、またはノニオン系界面活性剤、あるいはシリコーン誘導体、フッ素誘導体が挙げられる。
接着剤(a2)において、該感紫外線化合物の濃度は、通常0.0001〜1mol/dm3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.1mol/dm3である。0.0001mol/dm3より低濃度の場合、吸着膜が金属薄膜表面に均質に形成されないことがある。1mol/dm3より高濃度であっても効果に違いが見られない。
熱可塑性高分子の濃度は、通常0.1〜10質量%の範囲である。0.1質量%より低濃度の場合、熱可塑性高分子の膜に斑ができ、均質な膜が得られないことがある。10質量%より高濃度の場合、膜厚が1μmを超えることがあり、ウェットエッチングの際に、レジストパターンの高アスペクト比に由来して、エッチング液の供給・交換が起こりにくくなることがあり、金属薄膜のパターン形成に構造欠陥を生じることがある。
【0024】
<基板(a1)及び基板(a2)>
本発明において、基板(a1)は、金属薄膜層と、上記感紫外線化合物の硬化膜層と、熱可塑性高分子の膜層とをこの順で備えた基板であり、上記接着剤(a1)を用いて製造することができる。
また、基板(a2)は、金属薄膜層と、感紫外線化合物の硬化物及び熱可塑性高分子を含む膜層とを備えた基板であり、上記接着剤(a2)を用いて製造することができる。
【0025】
基板(a1)及び基板(a2)において、金属薄膜層は、上記感紫外線化合物のチオール基が吸着する表面を有する薄膜であれば特に制限は無い。金属薄膜を形成する金属としては、例えば、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Ti又はFeが挙げられ、金属表面が酸化されていないAu、Ag、Cu、Ni又はFeが好ましく挙げられる。大気下においても金属表面が酸化されないAuが特に好ましい。
金属薄膜層の厚さは、形成させる金属薄膜パターンの配線厚みに相当し、5nm〜20μmが好ましい。5nm未満であると基板面内での体積抵抗率に斑が生じることがあり、また、20μmより大きいと製膜時間が長時間となること、金属薄膜の作製コストが高価となる。また、接着剤(a1)又は接着剤(a2)を、後述するようにAg、Cu、Ni、Ti又はFeの金属薄膜表面に成膜させる場合は、予め金属薄膜の表面を還元処理することが好ましい。
前記金属薄膜は、基板上に形成される。基板材料としては、熱ナノインプリントリソグラフィにより成型する熱可塑性高分子のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する材料であれば特に制限は無く、例えば、シリコン、ガラス、石英、アルミナ、チタン酸バリウム等の無機酸化物;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、或いはそれらの積層体、複合体が挙げられる。最終的に得られた基板をエレクトロニクス用の配線基板として用いる場合、平滑性、低熱膨張率、絶縁性の点から、シリコン、ガラス、石英等の無機材料やポリイミド等の耐熱性有機材料からなる基板が好ましい。
該基板表面には、該基板と金属薄膜との密着性を向上させるために、基板表面にクロム等の密着層を、通常膜厚0.5nm〜10nmで予め形成させることもできる。
基板への金属薄膜の形成方法としては、例えば、DC(直流)スパッタ、RF(高周波)スパッタ、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッタ等のスパッタリング法;抵抗加熱蒸着法、無電解めっき法、電解めっき法、金属ナノ粒子の加熱融着による方法、圧延した金属箔を貼り付ける方法を用いることができる。
【0026】
基板(a1)及び基板(a2)において、上記基板に形成された金属薄膜上に、感紫外線化合物の硬化膜層、又は感紫外線化合物の硬化物及び熱可塑性高分子を含む膜層を積層させるには、まず、金属薄膜を有する基板上に、スピンコート法、浸漬法等で接着剤(a1)又は接着剤(a2)を塗布し、更に送風下、加熱下や減圧下で溶媒を蒸散させることによって吸着膜層を形成する。
【0027】
次に、基板(a1)の場合は、形成した吸着膜層上に、更に熱可塑性高分子膜を形成させる。該熱可塑性高分子としては、上述の接着剤(a2)に用いる熱可塑性高分子と同様なものを例示することができる。
熱可塑性高分子膜の形成は、例えば、熱可塑性高分子を溶媒に溶解させた溶液を、上記吸着膜上にスピンコート法、浸漬法、スプレイコート法、フローコート法、ロールコート法等により積層し、更に送風下、加熱下や減圧下で溶媒を蒸散させることによって行うことができる。溶媒としては、上述の接着剤(a2)において例示したものを用いることができる。また、熱可塑性高分子を溶媒に溶解させた溶液には、塗布特性改善のため、例えば、イオン系、またはノニオン系等の界面活性剤;シリコーン誘導体、フッ素誘導体等のレベリング剤を含ませることができる。
この際、熱可塑性高分子の濃度は、通常0.1〜10質量%の範囲である。0.1質量%より低濃度の場合、熱可塑性高分子の膜に斑ができ、均質な膜が得られないことがある。10質量%より高濃度の場合、膜厚が1μmを超えることがあり、ウェットエッチングの際に、レジストパターンの高アスペクト比に由来して、エッチング液の供給・交換が起こりにくくなることがあり、金属薄膜のパターン形成に構造欠陥を生じることがある。
【0028】
次に、上記で形成した吸着膜層や熱可塑性高分子膜に対して、通常、波長が200nm〜400nmの紫外線を照射して硬化させることにより、基板(a1)及び基板(a2)を製造することができる。
紫外線照射の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、Hg−Xe灯、ハロゲンランプを用いることができ、用いる熱可塑性高分子の吸収帯を考慮して適宜カットオフフィルター等を使用することができる。200nm未満の紫外線は熱可塑性高分子に対する透過率が低いこと、光源が高価であることから好ましくなく、400nmを超える光はベンゾフェノンの光誘起ラジカル形成の効率が低いので好ましくない。
紫外線の照射エネルギーは、通常10〜250J/cm2である。10J/cm2未満であるとベンゾフェノンの光化学反応が十分に進行せず接着機能が発揮されない恐れがあり、250J/cm2を超える場合は光酸素酸化反応、熱可塑性高分子膜自体の光化学反応等による膜の劣化により熱可塑性高分子の熱物性が変わり、膜の表面等にひび割れが生じる恐れがある。
【0029】
上記紫外線照射によって、感紫外線化合物におけるベンゾフェノンのカルボニル基が励起しビラジカルが発生する。ベンゾフェノンの酸素原子上に発生するラジカルは速やかに熱可塑性高分子の炭化水素基から水素原子を引き抜きアルコールに変化する。一方のベンゾフェノンの炭素上に生じたラジカルは、熱可塑性高分子の炭化水素上に生じたラジカルとの再結合によって共有結合を生成する。この原理により、チオールの金属薄膜に対する吸着とベンゾフェノンの熱可塑性高分子に対する共有結合によって、基板(a1)及び基板(a2)における各層が強固に接着される。
【0030】
本発明の基板(b)は、上記基板(a1)又は基板(a2)に対し、熱ナノインプリント法により凹凸を形成した基板である。該凹凸は、通常、熱ナノインプリント用モールド及び熱ナノインプリント装置を用いて形成することができる。
<熱ナノインプリント用モールドの説明>
熱ナノインプリント用モールドは、熱ナノインプリント法により基板上の熱可塑性高分子膜を凹凸に成型するためのモールドであって、その材質は、主に、表面酸化シリコン、合成シリカ、溶融シリカ、石英、シリコン、ニッケルである。
熱ナノインプリント用モールドは、公知の技術を用いて、モールド材料の表面に所望の凹凸パターンを形成させることにより得ることができる。モールドの凹部がウェットエッチングプロセス後最終的に残存する金属薄膜のパターンに相当する。
表面酸化シリコンの表面シリカ層、合成シリカ、溶融シリカ、石英の化学組成は、ほぼ同じSiO2であるので、上記材質の平板を公知の半導体微細加工技術を用いて加工することにより凹凸パターンを形成することができる。一例を挙げると、表面が平滑な該平板にネガ型電子線レジストを塗布し、電子線描画装置により電子レジストに電子線描画する。その後、現像を行うと、電子線未照射部のレジストが除去され、平板上の電子線照射部にレジスト膜が残存する。CHF3/O2プラズマ等のドライエッチングにより電子線レジストのネガ像をドライエッチングのエッチングマスクに用いてSiO2をエッチングする。その後、剥離液に浸漬して電子線レジストのネガ像を除き、洗浄することにより、平板の表面に凹部を作製できる。熱可塑性高分子の離型を促進するために、フルオロカーボン含有シランカップリング剤等の離型剤による処理をしても良い。
このようにして製造されたモールドは、そのままモールドとして用いることができるが、モールドの表面にニッケル等の金属膜を成膜した後、電鋳プロセス技術を用いてニッケル層をさらに厚く被覆し剥離したモールドとすることもできる。また、上記材質の平板やポリイミド、ポリエステルの高分子樹脂の平板の表面に、スパッタリング法でニッケル等の金属膜を製膜した後、フォトレジストや電子線レジストを用いて有機画像形成を行い、電鋳プロセス技術によりニッケル層をさらに厚くして、表面研磨、レジスト除去により、より安価なニッケル製のモールドとして用いることもできる。
【0031】
<熱ナノインプリント装置の構成>
熱ナノインプリント装置は、加熱冷却部、加圧部、および減圧部を備える。加熱冷却部はヒーターと水冷構造を内蔵するステージからなり、基板(a1)又は基板(a2)のような熱可塑性高分子を製膜した基板を設置し加熱により、熱可塑性高分子膜を軟化および冷却する部分である。
加圧部は熱可塑性高分子を製膜した基板に凹凸形状のモールドを押し付けるプレスからなり、熱可塑性高分子膜が軟化した基板にモールドの微細凹凸構造を加圧により転写する部分である。減圧部は基板に対してモールドが加圧状態にある時に基板およびモールドを減圧状態に保ち効率よく凹凸部に熱可塑性高分子を効率よく充填させる部分である。
【0032】
<基板(b)の製造>
基板(b)の製造は、例えば、以下の方法により得ることができる。
まず、上記基板(a1)又は基板(a2)を、熱ナノインプリント装置の加熱冷却ステージに設置する。次に、基板(a1)又は基板(a2)を熱可塑性高分子のガラス転移温度よりも10〜50℃高い温度で加熱する。10℃より低いと熱可塑性高分子がゴム状態にならず、そのため十分に軟化せず転写されたパターンのエッジ部分が丸くなる恐れがある。50℃より高いとパターン転写後の冷却時の収縮が大きく一部のパターンの線幅が痩せる問題がある。
次いで、微細凹凸パターンを有する上述のモールドを押し付け、モールドの凹凸を基板の熱可塑性高分子薄膜に転写する。モールドの凹凸パターンの形状に依存するが、基板(a1)又は基板(a2)における熱可塑性高分子膜の膜厚は一般に10nm〜10μm、好ましくは50nm〜500nmである。熱ナノインプリントによる熱可塑性高分子の成型体のアスペクト比が大きいと、エッチング時にエッチング溶液が凹凸成型部の間に入りにくくなり、反応前のエッチング液と反応後のエッチング液の交換が困難となって、エッチングに時間がかかることがある。
押し付け圧力は一般に10〜1,000bar(1〜100MPa)、好ましくは50〜200bar(5〜20MPa)であり、押し付け時間は一般に0.1〜10分間、好ましくは15〜120秒間である。押し付けの際にモールドと基板(a1)又は基板(a2)の間を減圧状態に保つことによって、モールドの微細な凹凸に熱可塑性高分子を効率良く進入させることができる。
その後、熱可塑性高分子のガラス転移温度以下に基板の温度を下げ、基板からモールドを離型させる。モールドの凹凸パターンを転写した後、基板からモールドを剥離して樹脂パターンを得ることにより基板(b)を得ることができる。
【0033】
<基板(c)の製造>
本発明の基板(c)の製造方法は、上記基板(b)において、凹部分における熱可塑性高分子の残膜をドライエッチングにより除去する工程、凹部分における金属薄膜をウェットエッチングにより除去する工程、及び凸部分における熱可塑性高分子を剥離する工程を含み、基板(b)に0.01〜10μmの線幅の金属薄膜パターンを形成することを特徴とする。
上記基板(b)の製造において、最終に基板からモールドを剥離して樹脂パターンを得た際、モールドの凸部に相当する部分、すなわち樹脂パターンの凹部に相当する部分に熱可塑性高分子が残膜として残る。その場合、UV/オゾンによるエッチングや酸素リアクティブエッチングなどでその部分の残膜を除去する。上記微細パターン化された熱可塑性高分子が形成された基板をエッチング処理することによって金属薄膜部分を除く。この時熱可塑性高分子はエッチングレジストとして機能する。
【0034】
エッチング方法としては、従来のサブトラクティブ法で使用されるエッチング液を用いることができる。エッチング液の種類としては、金属の種類に応じて用いられる。金属が金の場合、濃硝酸と濃塩酸の混酸の王水系とヨウ素系があり、微細加工にはヨウ素系が好ましく用いられる。具体的には、室温下、ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素を溶解させたヨウ素系エッチング液に、熱ナノインプリントとドライエッチングを施した金薄膜を有する基板を浸漬して、基板上の熱可塑性高分子の凹部の金をエッチングする。その際有機溶媒を混合して用いてもよい。金属が銅の場合、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第二銅(CuCl2)、Cu(NH3)4Cl2を含む水溶液がエッチング液として好ましく用いられる。
最後に、金属薄膜パターンの上部に形成された熱可塑性高分子を溶媒で洗浄剥離除去することによって金属薄膜パターンが形成された基板(c)を得ることができる。
その際、使用できる溶媒としては上記の熱可塑性高分子を溶解させるときに用いた溶媒を使用することが好ましい。また効率的に剥離させるために超音波洗浄機中で実施することができる。更に溶媒による剥離以外にUV/オゾンによるエッチングや酸素リアクティブエッチングなどでその部分を除去することもできる。
本発明の基板(c)における金属薄膜パターンの線幅は0.01〜10μm以下である。また、金属薄膜パターンの断面形状は、モールドのパターン形状に応じて矩形だけでなく半円等のパターニングが可能である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。
実施例1−1
3−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンの合成
(エーテル化反応)
冷却管を装着したナス型フラスコに3−ヒドロキシベンゾフェノン5.9g、水酸化カリウム1.68g、テトラヒドロフラン150mL、水20mLを加え、アルゴン雰囲気下で1時間磁気撹拌した。1時間後、1,8−ジブロモオクタン24.4gを加え、24時間還流した。24時間後、反応混合液を室温まで冷却し、減圧濃縮によりテトラヒドロフランを除去した。残渣にクロロホルムを加え抽出・洗浄を行った。有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、収量6.1g、収率52%で3−(8−ブロモオクチルオキシ)ベンゾフェノンを得た。
(チオール化反応)
冷却管を装着したナス型フラスコに3−(8−ブロモオクチルオキシ)ベンゾフェノン1.0gにチオ尿素0.18g、エタノール20mLを加え、3時間加熱還流した。3時間後、原料の消失を確認し、水酸化ナトリウム0.14gを水20mLに溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を加え、3時間加熱還流した。3時間後、反応混合液に希硫酸を加えて酸性にした。反応混合液にクロロホルムを加えて、抽出した。抽出した有機層に水を加えて洗浄し、洗浄後有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥・ろ過し、ろ液を減圧濃縮して収量0.70g、収率80%で3−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は42%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(12H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 7.0ppm,d,Ar(1H) 7.2−7.7ppm,m,Ar(8H)
【0036】
実施例1−2
3−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンの合成
1,8−ジブロモオクタンの代わりに1,10−ジブロモデカンを用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、3−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は40%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 7.0ppm,d,Ar(1H) 7.3−7.7ppm,m,Ar(8H)
【0037】
実施例1−3
4−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンの合成
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−ヒドロキシベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は44%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(12H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.3−7.7ppm,m,Ar(7H)
【0038】
実施例1−4
4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンの合成
1,8−ジブロモオクタンの代わりに1,10−ジブロモデカンを用い、3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−ヒドロキシベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は38%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.3−7.7ppm,m,Ar(7H)
【0039】
実施例1−5
4−(6−メルカプトペンチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンの合成
(エステル化反応)
塩化カルシウム管と滴下漏斗を装着した二口ナス型フラスコに、6−ブロモヘキサノイルクロライド2.1g、トリエチルアミン1.2g、ジクロロメタン50mLを加え、0℃に冷却した。4−ヒドロキシベンゾフェノン1.9gをジクロロメタン20mLに溶解し、滴下漏斗で15分間かけて滴下した。滴下終了後、室温にて1時間撹拌した。反応終了後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で抽出・洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収量3.2g、収率89%で4−(6−ブロモペンチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンを得た。
(チオール化反応)
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−(6−ブロモペンチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1の(チオール化反応)と同様の操作を行い、、4−(6−メルカプトペンチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は71%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.6ppm,m,CH2(6H) 2.2ppm,t,CO−CH2(2H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 7.2−7.7ppm,m,Ar(9H)
【0040】
実施例1−6
4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの合成
(酸クロライド化反応)
塩化カルシウム管を装着したナス型フラスコに4−ベンゾイル安息香酸2.3g、オキサリルクロライド1.5g、クロロホルム50mL、極少量のN,N−ジメチルホルムアミドを加え、1時間撹拌した。反応混合液を減圧濃縮し、収量2.4g、収率98%で4−ベンゾイル安息香酸クロライドを得た。
(エステル化反応)
塩化カルシウム管と滴下漏斗を装着したナス型フラスコに4−ベンゾイル安息香酸クロライド1.2g、トリエチルアミン0.76g、ジクロロメタン50mLを加え、0℃に冷却した。8−ブロモ−1−オクタノール1.1gをジクロロメタン10mLに溶解し、滴下漏斗を用いて15分かけて滴下した。滴下終了後、室温にして1時間撹拌した。反応終了後、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、水で抽出・洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収量1.8g、収率90%で4−(8−ブロモオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを得た。
(チオール化反応)
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−(8−ブロモオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1の(チオール化反応)と同様の操作を行い、4−(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを得た。3段階の収率は71%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.8ppm,m,CH2(12H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.3ppm,t,O−CH2(2H) 7.3−7.5ppm,m,Ar(3H) 7.7ppm,d,Ar(2H) 7.8ppm,d,Ar(2H) 8.1ppm,d,Ar(2H)
【0041】
実施例1−7
4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの合成
8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに10−ブロモ−1−デカノールを用いた以外は実施例1−6と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを得た。3段階の収率は68%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.8ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.3ppm,t,O−CH2(2H) 7.3−7.5ppm,m,Ar(3H) 7.7ppm,d,Ar(2H) 7.8ppm,d,Ar(2H) 8.1ppm,d,Ar(2H)
【0042】
実施例1−8
4−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノンの合成
(アミノ化反応)
冷却管を装着したナス型フラスコに、4−アミノベンゾフェノン2.0gと1mLの水に溶解させた炭酸水素ナトリウム0.84gを加え、80℃で加熱攪拌した。反応混合液に1,8−ジブロモオクタン8.1gを30分間かけて徐々に加え、4時間撹拌した。反応混合液を室温へと冷却し、クロロホルムと水を加え洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、収量1.3g、収量34%で4−(8−ブロモオクチルアミノ)ベンゾフェノンを得た。
(チオール化反応)
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−(8−ブロモオクチルアミノ)ベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1の(チオール化反応)と同様の操作を行い、4−(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は28%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(12H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.0ppm,t,NH−CH2(2H) 6.5ppm,d,Ar(2H) 7.3−7.7ppm,m,Ar(7H)
【0043】
実施例1−9
4−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノンの合成
8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに10−ブロモ−1−デカノールを用いた以外は実施例1−8と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は29%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.0ppm,t,NH−CH2(2H) 6.5ppm,d,Ar(2H) 7.3−7.7ppm,m,Ar(7H)
【0044】
実施例1−10
4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンの合成
4−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−アミノベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−5と同様の操作を行い、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は75%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(6H) 2.2ppm,t,CO−CH2(2H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 7.3−7.8ppm,m,Ar(9H)
【0045】
実施例1−11
4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの合成
4−ベンゾイル安息香酸の代わりにベンゾフェノン−4,4'−ジカルボン酸を用い、またオキサリルクロライド、8−ブロモ−1−オクタノール、トリエチルアミン、チオ尿素、水酸化ナトリウム水溶液を2倍量用いた以外は実施例1−6と同様の操作を行い、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを得た。3段階の収率は70%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.8ppm,m,CH2(24H) 2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 4.3ppm,t,O−CH2(4H) 7.8ppm,d,Ar(4H) 8.1ppm,d,Ar(4H)
【0046】
実施例1−12
4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノンの合成
8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに10−ブロモ−1−デカノールを用いた以外は実施例1−11と同様の操作を行い、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシカルボニル)ベンゾフェノンを得た。3段階の収率は69%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.8ppm,m,CH2(32H) 2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 4.3ppm,t,O−CH2(4H) 7.8ppm,d,Ar(4H) 8.1ppm,d,Ar(4H)
【0047】
実施例1−13
3−メチル−4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンの合成
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに3−メチル−4−ヒドロキシベンゾフェノンを用い、1,8−ジブロモオクタンの代わりに1,10−ジブロモデカンを用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、3−メチル−4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は35%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.4ppm,s,CH3(3H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.8ppm,d,Ar(1H) 7.4−7.7ppm,m,Ar(7H)
【0048】
実施例1−14
4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノンの合成
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−ヒドロキシ−4'−メトキシベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、4−(8−メルカプトオクチルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノンを得た。2段階の収率は40%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(12H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.7ppm,s,O CH3(3H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.9ppm,m,Ar(4H) 7.7ppm,m,Ar(4H)
【0049】
実施例1−15
4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノンの合成
(エーテル化反応)
冷却管を装着したナス型フラスコにフェノール2.8g、水酸化カリウム1.68g、テトラヒドロフラン80mL、水10mLを加え、アルゴン雰囲気下で1時間磁気撹拌した。1時間後、1,10−ジブロモデカン24.4gを加え、24時間還流した。24時間後、反応混合液を室温まで冷却し、減圧濃縮によりテトラヒドロフランを除去した。残渣にクロロホルムを加え抽出・洗浄を行った。有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、収量4.6g、収率49%で10−ブロモデカンフェニルエーテルを得た。
(Friedel−Crafts反応)
塩化カルシウム管を装着したナス型フラスコに塩化アルミニウムの無水粉末を四塩化炭素に懸濁し、0℃に冷却した。これに3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロライドを撹拌しながら少量ずつ加えた。反応混合液に10−ブロモデカンフェニルエーテルを1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間撹拌した。反応混合液に氷を加え反応を終了し、石油エーテルを加え、希塩酸、炭酸ナトリウム水溶液、水で有機層を抽出・洗浄した。有機層に硫酸マグネシウムを加え、乾燥・ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、4−(ブロモデシルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノンを得た。
(チオール化)
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−(ブロモデシルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−1の(チオール化反応)と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−3',4',5'−トリメトキシベンゾフェノンを得た。3段階の収率は15%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.7ppm,s×3,O CH3(9H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.7ppm,s×2,Ar(2H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.5ppm,d,Ar(2H)
【0050】
実施例1−16
4−(10−メルカプトデシルオキシ)−4'−フェニルベンゾフェノンの合成
3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロライドの代わりに4−フェニルベンゾイルクロライドを用いた以外は実施例1−15と同様の操作を行い、3−メチル−4−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを得た。3段階の収率は18%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.2−7.8ppm,m,Ar(11H)
【0051】
実施例1−17
4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンの合成
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンを用い、また1,8−ジブロモオクタン、水酸化カリウム、チオ尿素、水酸化ナトリウムを2倍量用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は39%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(24H) 2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 4.0ppm,t,O−CH2(4H) 6.9ppm,d,Ar(4H) 7.7ppm,d,Ar(4H)
【0052】
実施例1−18
4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンの合成
1,8−ジブロモオクタンの代わりに1,10−ジブロモデカンを用いた以外は実施例1−17と同様の操作を行い、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は35%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(32H) 2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 4.0ppm,t,O−CH2(4H) 6.9ppm,d,Ar(4H) 7.7ppm,d,Ar(4H)
【0053】
実施例1−19
4−(6−メルカプトペンチルカルボニルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノンの合成
4−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−ヒドロキシ−4'−メトキシベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−5と同様の操作を行い、4−(6−メルカプトペンチルカルボニルオキシ)−4'−メトキシベンゾフェノンを得た。2段階の収率は75%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(6H) 2.2ppm,t,CO−CH2(2H) 2.5ppm,m, CH2−SH(2H) 3.7ppm,s,O CH3(3H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.2ppm,d,Ar(2H) 7.5−7.7ppm,m,Ar(4H)
【0054】
実施例1−20
4,4'−ビス(6−メルカプトペンチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンの合成
4−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンを用い、また6−ブロモヘキサノイルクロライド、トリエチルアミン、チオ尿素、水酸化ナトリウム水溶液を2倍量用いた以外は実施例1−5と同様の操作を行い、4,4'−ビス(6−メルカプトペンチルカルボニルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は71%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(12H) 2.2ppm,t,CO−CH2(4H)2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 7.2ppm,d,Ar(4H) 7.7ppm,d,Ar(4H)
【0055】
実施例1−21
4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノンの合成
4−アミノベンゾフェノンの代わりに4−アミノ−4'−メトキシベンゾフェノンを、8−ブロモ−1−オクタノールの代わりに10−ブロモ−1−デカノールを用いた以外は実施例1−8と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノンを得た。2段階の収率は26%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.0ppm,t,NH−CH2(2H) 3.7ppm,s,OCH3(3H) 6.5ppm,d,Ar(2H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.5−7.6ppm,m,Ar(4H)
【0056】
実施例1−22
4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノンの合成
4−アミノベンゾフェノンの代わりに4,4'−ジアミノベンゾフェノンを用い、また、1,8−ジブロモオクタン、炭酸水素ナトリウム、チオ尿素、水酸化ナトリウムを2倍量用いた以外は実施例1−8と同様の操作を行い、4,4'−ビス(8−メルカプトオクチルアミノ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は24%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(24H) 2.6ppm,t,CH2−SH(4H) 3.0ppm,t,NH−CH2(4H) 6.5ppm,d,Ar(4H) 7.5ppm,d,Ar(4H)
【0057】
実施例1−23
4,4'−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノンの合成
1,8−ジブロモオクタンの代わりに1,10−ジブロモデカンを用いた以外は実施例1−22と同様の操作を行い、4,4'−ビス(10−メルカプトデシルアミノ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は25%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(32H) 2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 3.0ppm,t,NH−CH2(4H) 6.5ppm,d,Ar(4H) 7.5ppm,d,Ar(4H)
【0058】
実施例1−24
4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノンの合成
4−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4−アミノ−4'−メトキシベンゾフェノンを用いた以外は実施例5と同様の操作を行い、4−(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)−4'−メトキシベンゾフェノンを得た。2段階の収率は70%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(6H) 2.2ppm,t,CO−CH2(2H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.7ppm,s,OCH3(3H) 6.9ppm,d,Ar(2H)7.4−7.8ppm,m,Ar(6H)
【0059】
実施例1−25
4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンの合成
4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンの代わりに4,4'−ジアミノベンゾフェノンを用いた以外は実施例1−20と同様の操作を行い、4,4'−ビス(6−メルカプトヘキサノイルアミノ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は69%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(12H) 2.2ppm,t,CO−CH2(4H) 2.5ppm,m,CH2−SH(4H) 7.7ppm,d,Ar(4H)7.4ppm,d,Ar(4H)
【0060】
実施例1−1〜1−25で調製した化合物を表1に示す。表1中のR1〜R6は式(I)中のR1〜R6を示し、X及びmは、式(I)中の−X−(CH2)m−SHのX及びmを示す。
【0061】
【表1】

【0062】
合成例1
2−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンの合成
3−ヒドロキシベンゾフェノンの代わりに2−ヒドロキシベンゾフェノンを用い、1,8−ジブロモオクタンの代わりに1,10−ジブロモデカンを用いた以外は実施例1−1と同様の操作を行い、2−(10−メルカプトデシルオキシ)ベンゾフェノンを得た。2段階の収率は39%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.9ppm,m,Ar(2H) 7.3−7.7ppm,m,Ar(7H)
【0063】
合成例2
4−(10−メルカプトデシルオキシ)−2'−メチルベンゾフェノンの合成
3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロライドの代わりにo−トルイル酸クロライドを用いた以外は実施例1−15と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−2'−メチルベンゾフェノンを得た。3段階の収率は14%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.4ppm,s,CH3(3H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.9ppm,d,Ar(2H) 7.1−7.6ppm,m,Ar(6H)
【0064】
合成例3
4−(10−メルカプトデシルオキシ)−2'−メトキシベンゾフェノンの合成
3,4,5−トリメトキシベンゾイルクロライドの代わりに2−メトキシベンゾイルクロライドを用いた以外は実施例1−15と同様の操作を行い、4−(10−メルカプトデシルオキシ)−2'−メトキシベンゾフェノンを得た。3段階の収率は16%であった。1H NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3):1.2−1.7ppm,m,CH2(16H) 2.5ppm,m,CH2−SH(2H) 3.7ppm,s,O CH3(3H) 4.0ppm,t,O−CH2(2H) 6.8−7.0ppm,m,Ar(4H) 7.3−7.6ppm,m,Ar(4H)
【0065】
<エッチングレジストのパターン形成例>
実施例2−1
PStのエッチングレジストのパターン形成
3.7mgの実施例1−4の化合物を100mLのエタノールに溶解させて、ナノインプリント用接着剤を調製した。厚さ1mmの溶融シリカ基板に、膜厚0.5nmのクロム、膜厚100nmの金の順でのDC(直流)スパッタ成膜を行った。その後、ダイシングを行い、縦15mm、横15mm、厚さ1mmの金基板6枚を得た。UV/オゾン処理により洗浄した6枚の金基板(水に対する接触角<5°)を該ナノインプリント用接着剤に24時間浸漬した。次いで、清浄なエタノールで洗浄し、実施例1−4の化合物からなる吸着膜を金基板に形成させた。水に対する接触角75±2°を示す実施例1−4の化合物の吸着膜を有する金基板に、2質量%のPSt(Aldrich社製、Mw=45000、Tg=93℃)を含有するトルエン溶液を、500rpm、3秒間、2000rpm、30秒間の条件でスピンコートし、膜厚約60nmのPStの膜を形成させた。次に、200WのHg-Xeランプ(Sun-ei, Supercure 202S)を用いて、365nmでの紫外線の露光量がそれぞれ30J/cm2、60J/cm2、120J/cm2、180J/cm2、240J/cm2、300J/cm2となるように各金基板に照射した。紫外線を照射したPSt層/実施例1−4の化合物の吸着膜/金基板を熱ナノインプリント装置(NM-0400、明昌機工製)のステージに設置し、100nmのライン&スペース(以下、L&Sと略)、200nmのL&S、500nmのL&S、1000nmのL&Sを有する凸凹部の高さ差200nmの表面酸化シリコン製モールドを用いて、表2の5段階からなる条件で熱ナノインプリントを施した。
【0066】
【表2】

【0067】
熱ナノインプリントにより得られた6枚のPStの成型体と使用後モールドを、光学顕微鏡(OM)と走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行い、形状を評価した。表3に、崩壊や構造欠陥が認められなかったPStパターンを成型する際に要した照射エネルギーを示す。また、図1に240J/cm2の照射エネルギーの紫外線を照射した金基板上の、L&Sが100nmのPSt成型体のSEM写真像の写しを示す。100nmのL&SでPSt薄膜が凹凸に成型されていることがわかる。またOM像より、モールドにPStが付着していないことが確認された。
【0068】
実施例2−2
PStのエッチングレジストのパターン形成
実施例1−5の化合物を用いた他は実施例2−1と同様の処理を行い、形状を評価した。結果を表3に示す。SEM写真像より、100nmのL&SでPSt薄膜が凹凸に成型されていることがわかった。またOM像より、モールドにPStが付着していないことが確認された。
【0069】
実施例2−3〜2−14
PStのエッチングレジストのパターン形成
実施例1−6、1−9、1−12、1−13、1−15、1−18、1−19、1−20、1−21、1−23、1−24又は1−25の化合物を用いた他は実施例2−1と同様の処理を行い、形状を評価した。結果を表3に示す。SEM写真像より、100nmのL&SでPSt薄膜が凹凸に成型されていることがわかった。またOM像より、モールドにPStが付着していないことが確認された。
【0070】
【表3】

【0071】
比較例1
PStのエッチングレジストのパターン形成(実施例1−4の化合物吸着膜なし)
実施例1−4の化合物を含むナノインプリント用接着剤を使用しない以外、実施例2−1と同様に処理を行い、形状を評価した。結果を表4に示す。300J/cm2の紫外線を照射したが、図2に示す100nmのL&SのPSt成型体のSEM写真像の写しより、PStの成型体の一部が崩壊していることがわかった。また、OM像より、モールドにPStが付着していることが確認された。
【0072】
比較例2
PStのエッチングレジストのパターン形成(紫外線照射なし)
365nmでの240J/cm2の紫外線照射を行わないこと以外、実施例2−1と同様に、実施例1−4の化合物吸着膜を形成させた金基板にPStのスピン塗布と熱ナノインプリントを施して、評価した。結果を表4に示す。SEM像より、100nmのL&SのPStの成型体の一部に構造欠陥があることがわかった。また、OM像からモールドにPStが付着していることが確認された。
【0073】
比較例3
PStのエッチングレジストのパターン形成(合成例1の化合物の吸着膜あり)
実施例1−4の化合物の代わりに、合成例1の化合物を用いたこと以外、実施例2−1と同様に処理を行った。結果を表4に示す。SEM像より、100nmのL&SのPStの成型体の一部に構造欠陥があることがわかった。また、OM像からモールドにPStが付着していることが確認された。
【0074】
比較例4
PStのエッチングレジストのパターン形成(合成例2の化合物の吸着膜あり)
実施例1−4の化合物の代わりに、合成例2の化合物を用いたこと以外、実施例2−1と同様に処理を行った。結果を表4に示す。SEM像より、100nmのL&SのPStの成型体の一部に構造欠陥があることがわかった。また、OM像からモールドにPStが付着していることが確認された。
【0075】
比較例5
PStのエッチングレジストのパターン形成(合成例3の化合物の吸着膜あり)
実施例1−4の化合物の代わりに、合成例3の化合物を用いたこと以外、実施例2−1と同様に処理を行った。結果を表4に示す。SEM像より、100nmのL&SのPStの成型体の一部に構造欠陥があることがわかった。また、OM像からモールドにPStが付着していることが確認された。
【0076】
比較例6
PStのエッチングレジストのパターン形成(1−デカンチオールの吸着膜有)
実施例1−4の化合物の代わりに、1−デカンチオール(Aldrich社製)を用いたこと以外、実施例2−1と同様に処理を行った。結果を表4に示す。SEM像より、100nmのL&SのPStの成型体の一部に構造欠陥があることがわかった。また、OM像からモールドにPStが付着していることが確認された。
【0077】
【表4】

【0078】
表3の結果から、本発明のチオール基含有感紫外線化合物を含む接着剤の効果によって、240J/cm2以下の照射量で欠陥の無いPStパターンが得られることがわかった。一方、表4の結果から300J/cm2以上の照射量であっても、崩壊或いは構造欠陥のあるPStパターンしか得られなかった。
【0079】
<金薄膜のパターン形成例>
実施例3−1
金薄膜のパターン形成(合成例4の化合物の吸着膜あり、紫外線照射あり)
172nmエキシマ光照射装置(ウシオ電機社製、P0032)のステンレスチャンバー内で、実施例2−1で作製したPSt成型体に、1000Paの減圧下、172nmの真空紫外線照射を60秒間行い、UV/オゾン処理を施し、PSt成型体の凹部に残る樹脂膜を除去した。1.33gのヨウ化カリウムを500mLの脱イオン水に溶解させた後、0.33gのヨウ素を溶解させて、ヨウ素系エッチング液を調製した。該エッチング液に室温で30秒間浸漬した後、脱イオン水で洗浄し、さらに、アセトンで洗浄してエッチングレジストのPStを除去した。次いで、UV/オゾン処理装置(日本レーザー電子社製、NL-UV42S)に入れ、3分間UV/オゾン処理を施し、光架橋したPStと実施例1−4の化合物吸着膜を除去した。基板上に形成された金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。図3に、ウェットエッチング後に得られた100nmのL&SのSEM写真像の写しを示す。この写しの白色部が金であり、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていることがわかる。
【0080】
比較例7
金薄膜のパターン形成
比較例1で作製したPSt成型体を用いた以外は、実施例3−1と同様に金薄膜のパターン形成を行った。図4に示すウェットエッチング後に得られた100nmのL&SのSEM写真像の写しを示す。この写しから、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていることがわかる。
【0081】
比較例8
金薄膜のパターン形成
比較例2で作製したPSt成型体を用いた以外は、実施例3−1と同様に金薄膜のパターン形成を行った。図5に示すウェットエッチング後に得られた100nmのL&SのSEM写真像の写しを示す。この写しから、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていることがわかる。
【0082】
実施例4−1
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=4000、紫外線照射 有、保持時間60s)
エッチングレジストパターンの形成の実施例2−1におけるMw=45000のPStの代わりにMw=4000のPSt(Aldrich社製)を用い、紫外線の露光量を240J/cm2とした以外は実施例2−1と同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が8nmであることがわかった。
【0083】
実施例4−2
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=4000、紫外線照射 有、保持時間40s)
実施例4−1における熱ナノインプリント条件を、表5に示す条件に変更した以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が8nmであることがわかった。
【0084】
【表5】

【0085】
実施例4−3
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=4000、紫外線照射 有、保持時間20s)
実施例4−1における熱ナノインプリント条件を、表6に示す条件に変更した以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が9nmであることがわかった。
【0086】
【表6】

【0087】
実施例4−4
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=35000、紫外線照射 有、保持時間60s)
実施例4−1におけるMw=4000のPStの代わりにMw=35000のPSt(Aldrich社製)を用いた以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が8nmであることがわかった。
【0088】
実施例4−5
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=35000、紫外線照射 有、保持時間40s)
実施例4−2におけるMw=4000のPStの代わりにMw=35000のPSt(Aldrich社製)を用いた以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が11nmであることがわかった。
【0089】
実施例4−6
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=35000、紫外線照射 有、保持時間20s)
実施例4−3におけるMw=4000のPStの代わりにMw=35000のPSt(Aldrich社製)を用いた以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が23nmであることがわかった。
【0090】
実施例4−7
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=90000、紫外線照射 有、保持時間60s)
実施例4−1におけるMw=4000のPStの代わりにMw=90000のPSt(Aldrich社製)を用いた以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が10nmであることがわかった。
【0091】
実施例4−8
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=90000、紫外線照射 有、保持時間40s)
実施例4−2におけるMw=4000のPStの代わりにMw=90000のPSt(Aldrich社製)を用いた以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が20nmであることがわかった。
【0092】
実施例4−9
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=90000、紫外線照射 有、保持時間20s)
実施例4−3におけるMw=4000のPStの代わりにMw=90000のPSt(Aldrich社製)を用いた以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が42nmであることがわかった。
【0093】
比較例9−1
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=4000、紫外線照射 無、保持時間60s)
実施例4−1において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図2に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥が認められた。
【0094】
比較例9−2
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=4000、紫外線照射 無、保持時間40s)
実施例4−2において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図2に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥が認められた。
【0095】
比較例9−3
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=4000、紫外線照射 無、保持時間20s)
実施例4−3において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図2に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥が認められた。
【0096】
比較例9−4
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=35000、紫外線照射 無、保持時間60s)
実施例4−4において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が9nmであることがわかった。
【0097】
比較例9−5
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=35000、紫外線照射 無、保持時間40s)
実施例4−5において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が10nmであることがわかった。
【0098】
比較例9−6
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=35000、紫外線照射 無、保持時間20s)
実施例4−6において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が22nmであることがわかった。
【0099】
比較例9−7
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=90000、紫外線照射 無、保持時間60s)
実施例4−7における紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が10nmであることがわかった。
【0100】
比較例9−8
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=90000、紫外線照射 無、保持時間40s)
実施例4−8において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が22nmであることがわかった。
【0101】
比較例9−9
(エッチングレジストパターンの形成:Mw=90000、紫外線照射 無、保持時間20s)
実施例4−9において紫外線照射を行わなかった以外は同様の操作を行った。熱ナノインプリントにより得られたPStの成型体と使用後モールドについて、OMとSEMによる観察を行い、形状を評価した。その結果、図1に示すパターンと同様に、崩壊や構造欠陥は認められなかった。AFM測定により100nmのL&Sの凹部の残膜が40nmであることがわかった。
【0102】
実施例5−1
(金薄膜のパターン形成:Mw=4000、紫外線照射 有、保持時間60s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに、実施例4−1で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図3に示す金薄膜のパターンと同様に、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていた。
【0103】
実施例5−2
(金薄膜のパターン形成:Mw=4000、紫外線照射 有、保持時間40s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに実施例4−2で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図3に示す金薄膜のパターンと同様に、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていた。
【0104】
実施例5−3
(金薄膜のパターン形成:Mw=4000、紫外線照射 有、保持時間20s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに実施例4−3で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図3に示す金薄膜のパターンと同様に、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていた。
【0105】
実施例5−4
(金薄膜のパターン形成:Mw=35000、紫外線照射 有、保持時間60s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに実施例4−4で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図3に示す金薄膜のパターンと同様に、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていた。
【0106】
実施例5−5
(金薄膜のパターン形成:Mw=35000、紫外線照射 有、保持時間40s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに実施例4−5で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図3に示す金薄膜のパターンと同様に、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていた。
【0107】
実施例5−6
(金薄膜のパターン形成:Mw=90000、紫外線照射 有、保持時間60s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに実施例4−7で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図3に示す金薄膜のパターンと同様に、100nmのL&Sの金薄膜のパターンが形成されていた。
【0108】
比較例10−1
(金薄膜のパターン形成:Mw=4000、紫外線照射 無、保持時間60s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−1で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0109】
比較例10−2
(金薄膜のパターン形成:Mw=4000、紫外線照射 無、保持時間40s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−2で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0110】
比較例10−3
(金薄膜のパターン形成:Mw=4000、紫外線照射 無、保持時間20s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−3で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0111】
比較例10−4
(金薄膜のパターン形成:Mw=35000、紫外線照射 無、保持時間60s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−4で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0112】
比較例10−5
(金薄膜のパターン形成:Mw=35000、紫外線照射 無、保持時間40s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−5で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0113】
比較例10−6
(金薄膜のパターン形成:Mw=35000、紫外線照射 無、保持時間20s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−6で作製したPSt成形体を用いて同様に真空紫外線照射によるPSt成型体の凹部の残膜除去を行った。しかし、紫外線照射前の凹部の残膜が厚いため、60秒間では除去しきれなかった。残膜が消失するまで真空紫外線照射を行い、続いてエッチング、UV/オゾン処理を行い、金薄膜パターンを形成した。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0114】
比較例10−7
(金薄膜のパターン形成:Mw=90000、紫外線照射 無、保持時間60s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−7で作製したPSt成形体を用いた以外は同様の操作を行い、金薄膜のパターン形成を行った。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0115】
比較例10−8
(金薄膜のパターン形成:Mw=90000、紫外線照射 無、保持時間40s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−8で作製したPSt成形体を用いて同様に真空紫外線照射によるPSt成型体の凹部の残膜除去を行った。しかし、紫外線照射前の凹部の残膜が厚いため、60秒間では除去しきれなかった。残膜が消失するまで真空紫外線照射を行い、続いてエッチング、UV/オゾン処理を行い、金薄膜パターンを形成した。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【0116】
比較例10−9
(金薄膜のパターン形成:Mw=90000、紫外線照射 無、保持時間20s)
金薄膜のパターン形成の実施例3−1における、実施例2−1で作製したPSt成形体の代わりに比較例9−9で作製したPSt成形体を用いて同様に真空紫外線照射によるPSt成型体の凹部の残膜除去を行った。しかし、紫外線照射前の凹部の残膜が厚いため、60秒間では除去しきれなかった。残膜が消失するまで真空紫外線照射を行い、続いてエッチング、UV/オゾン処理を行い、金薄膜パターンを形成した。基板上に形成された100nmのL&Sの金薄膜のパターンをSEMで観察して、パターン形状を評価した。その結果、図5に示す金薄膜のパターンと同様に、PStのエッチングレジストの形状とは異なる金薄膜のパターンが形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施例2−1における、240J/cm2の照射エネルギーの紫外線を照射した金基板上の、L&Sが100nmのPSt成型体のSEM写真像の写しである。
【図2】比較例1における、300J/cm2の照射エネルギーの紫外線を照射した金基板上の、L&Sが100nmのPSt成型体のSEM写真像の写しである。
【図3】実施例3−1における、ウェットエッチング後に得られた100nmのL&SのSEM写真像の写しである。
【図4】比較例7における、ウェットエッチング後に得られた100nmのL&SのSEM写真像の写しである。
【図5】比較例8における、ウェットエッチング後に得られた100nmのL&SのSEM写真像の写しである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される感紫外線化合物。
【化1】

(式中、R1〜R3から選択される1つの基が、若しくはR1〜R3から選択される1つの基とR4〜R6から選択される1つの基との2つの基が−X−(CH2)m−SH(ここで、XはO、OCO、COO、NH又はNHCOを示し、mは1〜20の整数を示す)であり、残りの基が、それぞれ単独に水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基、又は酸素原子あるいは窒素原子で連結された炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
式(I)中、R2単独が、若しくはR2及びR5の2つの基が−X−(CH2)m−SHである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
−X−(CH2)m−SHのXが、O、OCO、NH又はNHCOである請求項2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を含むナノインプリント用接着剤。
【請求項5】
熱可塑性高分子を更に含む請求項4記載の接着剤
【請求項6】
金属薄膜層と、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の硬化膜層と、熱可塑性高分子の膜層とをこの順で備えた基板。
【請求項7】
金属薄膜層と、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の硬化物及び熱可塑性高分子を含む膜層とを備えた基板。
【請求項8】
金属薄膜層の金属が、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Ti又はFeからなる群より選択される請求項6又は7記載の基板。
【請求項9】
熱可塑性高分子が、炭化水素基を有する熱可塑性高分子である請求項6〜8のいずれかに記載の基板。
【請求項10】
熱可塑性高分子の重量平均分子量が、1000〜50000である請求項6〜9のいずれかに記載の基板。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の基板の膜層に、熱ナノインプリント法により凹凸を形成した基板。
【請求項12】
請求項11に記載の基板において、凹部分における熱可塑性高分子の残膜をドライエッチングにより除去する工程、凹部分における金属薄膜をウェットエッチングにより除去する工程、及び凸部分における熱可塑性高分子を剥離する工程を含み、請求項11に記載の基板に0.01μm〜10μmの線幅の金属薄膜パターンを形成することを特徴とする金属薄膜パターンを有する基板の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法により製造した、0.01μm〜10μmの線幅の金属薄膜パターンを有する基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−73809(P2009−73809A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118081(P2008−118081)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】