説明

チャック及びロボットハンド

【課題】比較的簡素で、且つ軽量な構造で多様なワークの保持等に対応できるロボットハンド及びチャックの提供すること。
【解決手段】チャックホルダ1、操作ロッド2、及びチャック爪3からなり、チャックホルダ1は、ワークの保持開放機能を満足すべくチャック爪3が揺動自在に収まる切り込み7と、チャック爪3の基部3b背面を支持する揺動支点を備え、操作ロッド2は、その先端部に側方へ突出した加圧部8を備え、チャックホルダ1の中空部に、操作ロッド2を進退可能に挿通し、操作ロッドの加圧部8とチャックホルダ1の揺動支点で、複数のチャック爪3の基部3bを挟持し、各チャック爪3の基部3bの内面に、操作ロッド2の進退に伴う加圧部8の進退量を、各チャック爪3の遠心及び向心方向への揺動量に変換するカム部9を備えるチャック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動機による組立作業、加工作業、又は搬送作業に用いるチャック及びロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットハンドは、安定してワークを保持するために、様々なアクチュエータや機構部品を複数組み合わせた複雑な構造を有している。そのため、ロボットハンドのサイズを小型化するにも限度があり、微細なワークを保持することは困難だった。
従来、エアバルーンチャックと言う手法も存在するが、チャッキングするワークのサイズや形状に大きな制限がある。
【0003】
また、工程が変わるごとに、必要数のロボットを配置し、或いは工程の目的に応じてチャックを取り替える必要があった。
そして、それを解決する為に、複数個のロボットハンドと機構部品を持たせた物や、ATC機構を持たせてその都度チャック部分を交換する方法がとられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−066733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロボットアーム関連機構が複雑になるほど制御機構が複雑となり(例えば、下記特許文献1参照。)、ハンド以外の部分にそれらを制御するコントローラ等をおかなければならなくなる。その結果、筐体部分が大きくなるのみに留まらず、配線や配管が増加し、更に、ロボットハンドとロボットアームを連結する継ぎ手部分の構造も複雑となるので、必然的に装置全体が大きくなる。
加えて、ロボットアームの重量が増えると、それに見合うバランスをとる事が要求され、その結果相対的にロボットアームの運動スピードが遅くなるという問題も生じた。
【0006】
また、チャックの保持力制御を行う場合は、圧力センサ等をロボットハンドの先端に取り付けなくてはならず、小型軽量で安価なロボットハンドの実現が困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、比較的簡素で、且つ軽量な構造で多様なワークの保持等に対応できるロボットハンド及びチャックの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為になされた本発明によるチャックは、チャックホルダ、操作ロッド、及びチャック爪からなり、チャックホルダは、ワークの保持開放機能を満足すべくチャック爪が揺動自在に収まる切り込みと、チャック爪の基部背面を支持する揺動支点を備え、操作ロッドは、その先端部に側方へ突出した加圧部又はマグネットコアを備え、チャックホルダの中空部に、操作ロッドを進退可能に挿通し、操作ロッドの加圧部又はマグネットコアとチャックホルダの揺動支点で、複数のチャック爪の基部を挟持し、各チャック爪の基部の内面に、操作ロッドの進退に伴う加圧部又はマグネットコアの進退量を、各チャック爪の遠心方向及び向心方向への揺動量に変換するカム部を備えることを特徴とする。
【0009】
チャックホルダに、チャック爪の基部が揺動自在に収まる切り込みを、当該チャックリングの長手方向に沿って単数又は複数所望角度間隔(ワークの大きさ及び形状に適した間隔。例えば、複数略等角度間隔等。)で備え、当該チャックホルダの外面に、前記切り込みを横切りチャックホルダを一周する支え溝を備え、当該支え溝に、チャック爪の揺動支点となる支点リングを装填した構造としてもよい。
【0010】
チャックホルダの下部に、チャックホルダの切り込みに収まるチャック爪の基部、及びチャックホルダの支え溝に装填した支点リングを覆うチャックリングを装着してもよい。
【0011】
また、チャックホルダの側方を覆うチャックリングを備えた構造の一つとして、前記チャック爪が、基部の背面に各々揺動支点に嵌まる突起を備え、前記チャックリングは、上下一対のリングからなり、上のチャックリングの下端及び下のチャックリングの上端の内側を大きく面取りして、各々に内向きの傾斜面を設け、上下チャックリングが密着し両傾斜面が連続することにより、チャック爪の突起が収まる揺動支点を形成し、上下リングが相互に密着してチャックホルダに固定され、チャックホルダの切り込みに収まるチャック爪の基部を外側から支える構造としても良い。
【0012】
チャック爪の基部に収容孔を備え、収容孔に、チャックホルダの切り込みの幅以上の厚みを有する弾性を持ったガタツキ止めを装填した構造を採ることもできる。
【0013】
尚、保持すべき物を吸引力によって保持し、又は保持力を補強すべく、操作ロッドを中空部材とし、その先端部に当該中空部に繋がる吸着ノズルを備える構造としてもよい。また、チャックに物体や光や圧力等の存否や量を検出する機能を付与すべく操作ロッドの先端部にその中空部を通してセンサのヘッドを固定してもよい。
【0014】
チャックの回転に対しても同様に操作ロッドを稼動させるべく、チャックホルダに対して操作ロッドを回転自在に支持した構成としてもよい。
【0015】
上記課題を解決する為になされた本発明によるロボットアームは、アーム筐体に、前記操作ロッドを回転自在に支持したチャックホルダを回転自在に支持し、当該アーム筐体に、操作ロッドを進退させる昇降手段と、前記チャックホルダを回す回転伝達手段を備えるチャックを具備することを特徴とする。
【0016】
先端部に当該中空部に繋がる吸着ノズルを備える構造を持ったチャックを回転自在に支持するロボットアームにあっては、チャックホルダを支持する軸受部に、チャックホルダと軸受部間の外空隙の気密を確保する手段を備え、チャックホルダに、操作ロッドとチャックホルダ間の内空隙の気密を確保する手段を備え、操作ロッドは、中空部材であり、且つその中空部と内空隙を連通させる透孔を備え、チャックホルダは、その内空隙と外空隙を連通させる透孔を備え、アーム筐体に、外空隙とアーム筐体の引出口を連通させるエア経路を備える構造を採っても良い。
【0017】
チャックの保持力を調整できるように、前記昇降手段は、略平行に進退するシリンダ機構のピストンロッドとチャックの操作ロッドを伝動腕で連結したものであってもよい。
【0018】
前記昇降手段として、各々のピストンロッドが平行に進退し、且つ各々のピストンロッドを連結した二又は三のシリンダ機構を備えてもよい。その際、全てのシリンダ機構と操作ロッドが略直線的な横並びに配置され、且つ当該操作ロッドがそれらの端に配置されていることとする。前記シリンダ機構は、アーム筐体自体をシリンダ機構の一部材とする形態で、当該アーム筐体に内装してもよい。
【0019】
チャックの保持力に弾性的な幅を持たせるべく、前記伝動腕を、操作ロッドの進退方向に間隔を隔てて重ねた複数枚の板バネで構成してもよい。更に、チャックの保持力を調整すべく、前記複数枚の板バネを長手方向の一部で位置調整可能に連結支持する荷重調整部材を備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるロボットハンドは、ロボットアーム筐体に複数のシリンダを設け、そのシリンダに伝動腕と支点を設け、各シリンダにエアを供給する組み合わせを替える事により、チャック先端の開閉寸法を制御し、保持力の調整を行なうものである。
この様な構成から、ロボットアームの筐体の中に設けられた複数のシリンダの制御だけでチャックの保持寸法と保持力をコントロールできるので、従来のロボットハンドに比べて小型且つ軽量で安価な構成とすることができる。また、使用部品点数を少なくできるので保守や調整が容易となる利点もある。
上記の如く、複数のシリンダとチャックとを直列に並べる構成から回転型のロボットアームに対して特に有効である。
【0021】
伝動腕の形状を二枚の板バネを設け、スライドできる荷重調整部材を付設した構成により、板バネからなる伝動腕を介して保持力をコントロールできるので、微妙な圧力調整が出来、例えば、エアシリンダの場合、高価な電空レギュレータ等を使用する等して空気圧をコントロールしなくとも、板バネに装着した荷重調整部材の位置調整を行なう事により、比較的容易に保持力をコントロールすることができる利点がある。
【0022】
チャックの先端部に、開放状態で露出する吸着ノズルを備えることによって、真空吸着を併用した保持が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるチャックの一例を示す断面図である。
【図2】本発明によるチャックの一例を示す断面図である。
【図3】本発明によるロボットアームの一例を示す断面図であり、保持寸法の制御の状態を示す説明図である。
【図4】本発明によるロボットアームの一例を示す断面図であり、保持力の制御の状態を示す説明図である。
【図5】本発明によるロボットアームの一例を示す断面図であり、吸着手段の稼動状態を示す説明図である。
【図6】本発明によるロボットアームの一例を示す断面図であり、回転伝達手段の稼動状態を示す説明図である。
【図7】本発明によるチャックの例を示す正面図である。
【図8】本発明によるチャックの保持態様の一例を示す、(A)は斜視図、(B)及び(C)は、断面図である。
【図9】本発明によるチャックの保持態様の一例を示す、(A)は斜視図、(B)は保持すべきワークの平面図、(C)は、(A)の縦断面図である。
【図10】本発明によるロボットアームの一例を示す分解図である。
【図11】本発明によるロボットアームの一例を示す断面図である。
【図12】図11に示すロボットアームの保持寸法及び保持力の制御形態の一例を示す表である。
【図13】本発明によるロボットアームの一例を示す斜視図であり、チャックでワークを保持することで生じた荷重を検出する構造の一例を示す斜視図である。
【図14】本発明によるロボットアームの一例を示す側面図であり、チャックでワークを保持することで生じた荷重を検出する構造の一例を示す説明図である。
【図15】チャックでワークを保持することで生じた荷重を検出する手段の一例を示す分解図である。
【図16】本発明によるチャックの一例を示す断面図である。
【図17】本発明によるロボットアームの一例を示す、(A)は側面図、(B)はその要部断面図である。
【図18】本発明によるチャックの一例を示す、(A)は側面図、(B)は(A)を90度回転させた状態の縦断面図である。
【図19】本発明によるチャックの一例を示す、(A)は斜め下方から見た斜視図、(B)は(A)のチャックリングを半分取り外した状態を示す斜視図である。
【図20】本発明によるロボットアームの先部の一例を示す裏面図である。
【図21】本発明によるロボットアームのエア経路の配設例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明によるチャック及びそれを利用したロボットハンドの実施の形態を図面に基づき説明する。
【0025】
〔チャックについて〕
図1、図2、及び図7に示すチャック4は、チャック爪3、チャックホルダ1、及び操作ロッド2からなる。
【0026】
チャック爪3は、作業部3aと基部3bを一体成形し、各チャック爪3の基部3bの内面に、操作ロッド2の進退に伴う加圧部8の進退量を、各チャック爪3の遠心方向及び向心方向への揺動量に変換するカム部9を備える。当該例では、先細りで内面が平坦な作業部3aと、湾曲して凹んだカム部9を備え、当該凹みの中央部の表側(背部中央)に、チャック爪3の縦方向へのズレを防止し、チャック爪3の揺動支点たる支点リング11を収めるための支え溝10を全幅に亘って設ける。
【0027】
チャックホルダ1は、円形断面の中空部が連通し共通の中心軸を持つ円筒状のパイプ部1aと、当該パイプ部1aと比較して口径が広い円筒状であって、且つその最下端に外側に拡幅した鍔部1cを持つホルダ部1bを一体的に連結したものである。
【0028】
チャックホルダ1のホルダ部1bは、チャック爪3の基部(特にその背部)3bが揺動自在に収まる様に、当該チャックホルダ1の長手方向に沿った切り込み(又は溝)7を、ホルダ部1bの全周に亘って複数(チャック爪3と同数)略等角度間隔で穿設すると共に、当該ホルダ部1bの外面(当該例では、鍔部1cの上部外縁に沿って)に、前記切り込み7を横切る支え溝10を全周に亘って穿設し、当該支え溝10に、チャック爪3の揺動支点となる支点リング11を装填した構成である(図2及び図7参照)。
【0029】
当該構成を以って、チャック爪3がワーク6の保持及び開放機能を満足し、且つ当該支点リング11に支持されたチャック爪3が支点リング11に沿って横ズレを生じない様にできる。
【0030】
更に、支点リング11の安定や、ホルダ部1bからの離脱防止を目的としてチャックリング5を装着することができる。
チャックリング5は、チャックホルダ1のパイプ部1aが挿通し、且つホルダ部1bの周囲に留まる径の円筒状を呈し、ホルダ部1bの周囲で進退する内径を備える。チャックホルダ1の鍔部1cの形状に応じて、鍔部1cが嵌まる切欠部を、チャックリング5の下部内周縁に備えてもよい。
当該チャックリング5は、ホルダ部1bの周囲に留まる際に、当該ホルダ部1bの切り込み7に収まるチャック爪3の基部3b、及びチャックホルダ1の支え溝10に装填した支点リング11を覆い、当該支点リング11を外側から支える。
【0031】
当該構成を採用し、有端の支点リング11として、無端リングの一箇所を切断若しくは切欠されたもの、又は無端リングを半分に切断したものを用いれば、その弾性を利用して、チャック4で保持する物のサイズに一定の余裕を持たせることができ、しかも、その取り外しが容易となり、当該支点リング11を外す事によって、容易にチャック爪3を取り外し交換することができる。
【0032】
また、当該構成は、各チャック爪3は、切り込み7の内側で側面を支持されつつ揺動することから、左右のブレが生じない。また、チャック爪3の剛性を、切り込みを挟むホルダ部1bで補完できる。以上の構造から、チャック爪3の幅を、その素材に応じて、例えば、約0.1mm程度にまで薄くしても、保持すべき物に対して正確に力を加えることができ、極めて微細なワーク6の保持に用いることもできる。
【0033】
操作ロッド2は、前記チャックホルダ1の中空部を進退する太さの円筒状のパイプである。
当該操作ロッド2は、その先端部に前記チャック爪3のカム部9を押圧する加圧部8を備える。当該例の加圧部8は、側方へ突出する加圧リング8aとして回転軸受けを鍔状に固定し、先端に、加圧リング8aを離脱不能に支持し、且つその表面と合わさってカム部9の表面形状に沿う先窄まりのキャップ8bを装着したものである。当該構成を以って、加圧部8の表面がカム部9の表面の曲面に倣い、チャック爪3に対してガタツキの無い安定した開き量を、操作ロッド2の回転に対応しつつ与えることとなる。
【0034】
前記操作ロッド2は、チャックホルダ1の中空部に、進退可能に、且つ回転自在に挿通し、チャックホルダ1のチャックリング5又は支点リング11と操作ロッド2の加圧部8で、揺動支点に係る複数のチャック爪3の基部3bを挟持する。この様な構成によって、チャックリング5の内部に所定数のチャック爪3をそれぞれ同じ条件で保持する。
この様に保持されたチャック爪3は、前記操作ロッド2の進退に伴う当該チャック爪3の基部3bに対する加圧・挟持領域のシフトによって、チャックリング5に保持された各チャック爪3の先端部(作業部3a)の開きを調整する。
【0035】
図16に示す実施の形態は、図1及び図2に示す実施の形態とは逆の作用を生ぜしめるものである。即ち、当該実施の形態の操作ロッド2は、その先端部に、前記加圧部8に替えて、磁性体からなるチャック爪3のカム部9を引き寄せるマグネットコア22を備える。
【0036】
チャックホルダ1の中空部に、操作ロッド2を進退可能に、且つ回転自在に挿通し、チャックホルダ1のチャックリング5又は支点リング11と操作ロッド2のマグネットコア22で、揺動支点に係る複数のチャック爪3の基部3bを挟持することによって、チャックリング5の内部に所定数のチャック爪3をそれぞれ同じ条件で保持する。
【0037】
この様に保持されたチャック爪3は、前記操作ロッド2の進退に伴い、そのカム部9で前記マグネットコア22の磁力を受ける。即ち、当該チャック爪3のカム部9における引き寄せ領域のシフトによって、チャックリング5に保持された各チャック爪3の作業部3aの開閉を調整する。
その結果、作業部3aにマグネットコア22が近づく事によってチャック爪3の作業部3aが閉じ、基部3bにマグネットコア22が近づく事によってチャック爪3の作業部3aが開く。
【0038】
〔ロボットアームについて〕
図3乃至図6に示すロボットアームは、アーム筐体13の軸受部(図10参照)17に、前記チャック4のチャックホルダ1を回転自在に支持する。
【0039】
軸受部17は、チャックホルダ1の外面に接する回転軸受け17aを備え、当該軸受部17に支持されるチャックホルダ1は、その上部に回転力の伝達を受けるためのプーリ18を回転伝達手段の一部として一体的に備える。
尚、回転伝達手段とは、チャックの回転に用いる力を、チャックに対して伝達する部材又は部材の組み合わせを言う。
【0040】
アーム筐体13の軸受部17は、上下に貫通する軸孔の内壁中間部に内径を狭くしたリング状の迫出し部23を備える。当該軸孔における迫出し部23を挟む上下に回転軸受け17aを装着し、上の回転軸受け17a上には、プーリ18と、それらの離脱を防ぐロックリング18aを装着する(図10参照)。
【0041】
更に、操作ロッド2をその上から挿入し、前記迫出し部23の下の回転軸受け17aに続いて一つ以上のブッシュ24、及びチャックリング5を装着し、チャックホルダ1に挿入する。
当該操作ロッド2の先端部に前記の如く加圧リング8aとして回転軸受け8aを装着するが、図10に示す様に、操作ロッド2の先端部に螺合し、回転軸受け8aを下支えするナット25で固定してもよい。
【0042】
前記チャックには、保持その他の目的を達成すべく、種々の部材を付設することができる。
例えば、図1乃至図7に示す操作ロッド2は、その先端部に当該中空部に繋がる吸着ノズル12を備え、当該中空部を十分な負圧とすることにより、当該チャックに保持すべき物を吸着して保持し、又は保持力を補足する吸着手段として用いることができる。
例えば、図10に示すように操作ロッド2の中空部に、特定の物体を検出するファイバセンサ26を挿通し、当該操作ロッド2の先端部に投射した光及び受光する光を通過するレンズ26aを装着してもよい(図17参照)。
【0043】
前記ロボットアームは、アーム筐体13に、操作ロッド2を進退させる昇降手段を備える。昇降手段は、互いに平行に進退するシリンダ機構14のピストンロッド14aと、チャック4の操作ロッド2を伝動腕15で連結したものである。当該例における昇降手段は、アーム筐体13に略直線的な横並びで配置された二つのシリンダ機構14である。二つのシリンダ機構14のピストンロッド14aは、その露出部をシリンダリンク19で縦揺動自在に連結し、当該シリンダリンク19に伝動腕15の一端を固定する。伝動腕15の他端は、操作ロッド2の露出部に縦揺動自在に連結する。
【0044】
当該例におけるシリンダリンク19の両端部は各々二股に分かれており、二股に分かれた各腕には、連結ピンを挿通する孔を有する。シリンダリンク19の股の間隙にピストンロッド14aの露出部を挟み、当該ピストンロッド14aの露出部に設けられた孔とシリンダリンク19の両端に設けられた孔に操作棒27を通すことによって、両ピストンロッド14aの露出部は相互に連結される。
【0045】
前記伝動腕15は、略操作ロッド2の進退方向に間隔を隔てて平行に重ねた二枚の板バネ15aである。各板バネ15aの間には複数のスペーサ20を介在し、第一のスペーサ20は、二枚の板バネ15aの一端部と共にシリンダリンク19に固定する。第二のスペーサ20は、二枚の板バネ15aの他端部に固定し、当該板バネ15aの他端部における第二のスペーサ20の先側を操作ロッド2と揺動可能に連結する。
【0046】
当該例における各板バネ15aの先端部は各々二股に分かれており、それらの股の間隙に操作ロッド2の露出部を挟む。操作ロッド2の露出部には、操作棒27を水平に固定し、上下両板バネ15aの先端部で当該操作棒27を挟む。
【0047】
更に、第一のスペーサ20と第二のスペーサ20に挟まれた領域において位置調整可能に荷重調整部材16を固定し、二枚の板バネ15aを、前記第一のスペーサ及び第二のスペーサで挟まれた長手方向の一部で適宜連結し支持する。
【0048】
図3、図5、及び図6の様に、荷重調整部材16を操作ロッド2に近付ければ、二枚の板バネ15aの作用点での一体性が高まり、二枚の板バネ15a集合体としての硬直性が高まることによって、操作ロッド2へシリンダ機構14の動きが硬直的に伝達される。一方、荷重調整部材16を操作ロッド2から遠ざければ(図4参照)、二枚の板バネ15aの独立性が高まり、二枚の板バネ15a集合体としての弾性が高まることによって、操作ロッド2へシリンダ機構14の動きが弾性的に伝達される。この様な荷重調整部材16の位置調整を以って、チャック4の耐荷重を調整することができる。
【0049】
各シリンダ機構14は、アーム筐体13に内装されている。即ち、当該例のアーム筐体13は、合成樹脂やアルミ合金等を角棒状に成形したものであり、その長手方向に沿って、シリンダを内蔵するための縦穴(シリンダ室14b)を二つ備え、更に、両シリンダ室14b,14bを結ぶ延長線上の先端側に軸受部17を備える(図3乃至図6、及び図10参照)。
【0050】
アーム筐体13には、チャックのチャックホルダ1を回す回転伝達手段としてタイミングベルト21が渡し掛けられている。タイミングベルト21は、チャックホルダ1のプーリ18と、回転駆動手段たるモータ、又は他に設置された回転駆動手段が発生した回転力を介する中継プーリに掛けられる(図示省略)。
【0051】
以下、上記ロボットアームの基本的な制御形態を説明する。
図3(A)は、各チャック爪3の先端の間隔(以下、保持寸法と記す。)をもっとも狭くする昇降手段の状態を示したものである。この場合、二つのシリンダ機構14のうち、チャック4から遠い方のシリンダ機構(以下、第一シリンダと記す。)14のピストンロッド14aの突出量を最小とし、チャック4に近い方のシリンダ機構(以下、第二シリンダと記す。)14のピストンロッド14aの突出量を最大とする。即ち、アーム筐体13と伝動腕15とでなす角を最大とする。そうすることにより、操作ロッド2のチャック4からの突出量は最大となり、その加圧部はチャック爪3のカム部9における最も末端部を加圧する。尚、最小保持寸法は、形態の異なるチャック爪3を種々準備すること等によって調整することができる。
【0052】
図3(B)は、保持寸法を最小保持寸法から一段広くした昇降手段の状態を示したものである。この場合、アーム筐体13と伝動腕15を平行にしたまま、第一シリンダ及び第二シリンダの双方の突出量を最大とする。
【0053】
図3(C)は、保持寸法を更に一段広くした昇降手段の状態を示したものである。この場合、アーム筐体13と伝動腕15を平行にしたまま、第一シリンダ及び第二シリンダの双方の突出量を最小とする。
【0054】
図3(D)は、保持寸法をもっとも広くする昇降手段の状態を示したものである。この場合、第一シリンダのピストンロッド14aの突出量を最大とし、第二シリンダのピストンロッド14aの突出量を最小とする。即ち、アーム筐体13と伝動腕15とでなす角を、前記最小保持寸法となる場合とは逆の傾斜で最大とする。そうすることにより、操作ロッド2のチャック4からの突出量は最小となり、その加圧部8はチャック爪3のカム部9における最も先端側の部分を加圧する。
【0055】
シリンダ機構14を三連立てで構成しても良く(図11参照)、チャック4に遠い方から、シリンダa、シリンダb、シリンダcとして、三つのシリンダ機構の個別制御の組み合わせにより図12に示すバリエーションの保持寸法(開閉量)及び保持力(開閉力)の制御を行う。尚、表中矢印は、ピストンロッド14aの位置を示し、矢印が上向きの場合は上位、下向きの場合は下位、矢印が二つ記されている場合は中間位置とする。空欄は、ピストンロッド14aがフリーな状態を示す。
【0056】
また、上記保持寸法の制御と同時に、操作ロッド2の進退に伴って、その先端に設けられた吸着ノズル12又はレンズ26aが進退する様に構成することができる。当該例では、チャック爪3の保持寸法が最大となった時に、吸着ノズル12又はレンズ26aが最も前進し、各チャック爪3の間から露出する(図3(D)、図5、及び図6、並びに図10及び図17参照)。
【0057】
更に、上記のごとく、略操作ロッド2の進退方向に間隔を隔てて平行に重ねた二枚の板バネ15aと、二枚の板バネ15aの間に介在するスペーサ20で伝動腕15を構成することで、チャックでワークを保持することで生じた荷重を検出する構造(以下、保持荷重検出構造と記す。)を得ることができる。
【0058】
二枚の板バネ15aの基端部をスペーサ20と共にシリンダリンク19に固定する。伝動腕15の先端部は、操作ロッド2の露出部に縦揺動自在に連結する。
当該例における各板バネ15aの先端部は各々二股に分かれており、それらの股の間隙に操作ロッド2の露出部を挟む。操作ロッド2の露出部には、操作棒27を水平に固定し、上下両板バネ15aの先端部で当該操作棒27を挟む。
【0059】
上下何れかの板バネ(図15に示す例では下の板バネ)15aには、ホール素子28を実装し、出力を取り出す為のケーブル31を備えた回路基板29を搭載し、他方の板バネ(図15に示す例では上の板バネ)15aのホール素子28に対向する位置には支持穴15bを穿設し、マグネット粒28aを据え付け押え板30で押える(図13乃至図15参照)。
【0060】
以上の如く構成された保持荷重検出構造によれば、下の板バネ15aがワーク6を保持することによる荷重で撓れば、ホール素子28とマグネット粒28aとの距離が離れるなど、荷重の変化によりホール素子28から取り出される電気信号が変化する。この変化に応じてシリンダ機構14の動作を調整し、ロボットアームが所望の位置において所望の保持力等に設定された動作を行なうようにすることができる。
【0061】
以下、本発明によるチャック及びそれを利用したロボットハンドのその他の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0062】
〔チャックについて〕
図18乃至図21に示すチャックは、チャック爪3、チャックホルダ1、及び操作ロッド2からなる。
【0063】
チャック爪3は、先の実施例と同様に、作業部3aと基部3bを一体成形し、各チャック爪3の基部3bの内面に、操作ロッド2の進退に伴う加圧部8の進退量を、各チャック爪3の遠心方向及び向心方向への揺動量に変換するカム部9を備える。当該例では、先細りで内面が平坦な作業部3aと、湾曲して凹んだカム部9を備える。
【0064】
本実施の形態のチャック爪3は、当該凹みの中央部の表側(背部中央)に、チャック爪3の縦方向へのズレを防止しチャック爪3の揺動支点に収まる突起3cを全幅に亘って備え、基部3bの端面にガタツキ止め32を装着する為の収容孔(一部切欠していても良い)33を表裏貫通する態様で備える。尚、この例では、ガタツキ止め32として、チャックホルダ1の切り込み7の幅と等しいか、若しくは切り込み7の幅よりも僅かに厚い(チャック爪3の制御に支障が出ない程度の厚さ)ゴムやフッ素樹脂等からなるチューブ状又は球状のものを用いる。
【0065】
本実施の形態のチャックホルダ1は、円筒状のパイプ部1aと、当該パイプ部1aと比較して口径が広い円筒状であって、且つその最上端に外側に拡幅した鍔部1cを持つホルダ部1bを、各々の円形断面の中空部が連通し、且つ共通の中心軸を持つ態様で一体的に連結したものである。
【0066】
チャックホルダ1のパイプ部は、回転軸受け17aを装着し得る径であって、その中間部に中空部に繋がる透孔1fを備え、チャックホルダ1のホルダ部1bは、チャック爪3の基部(特にその背部)3bがホルダ部の半径に沿って揺動自在に収まる様に、当該チャックホルダ1の長手方向に沿った切り込み(又は溝)7を、ホルダ部1bの全周に亘って複数(チャック爪3と同数)略等角度間隔、又は所望の間隔で備え、切り込み7で隔された一又は複数のブロック1dの端面に定着孔1eを備える(図19参照)。
【0067】
本実施の形態は、チャック爪3の突起3cの保持や、チャック爪3のホルダ部1bからの離脱防止を目的として、更に、チャックリング5を装着する。
【0068】
チャックリング5は、上下一対のリング5a,5bからなり、チャックホルダ1のホルダ部1bの周囲に摺動可能に装着できる比較的浅い円筒状を呈する。上のチャックリング5aは、チャックホルダ1の鍔部1cに当接し、下のチャックリング5bは、上のチャックリング5aに当接し、上下チャックリング5a,5bが相互に密着した状態でチャックホルダ1に固定する。
チャックホルダ1へのチャックリング5の固定は、定着孔1eへ螺合する取付ネジ34で行なう。
【0069】
上のチャックリング5aの下端及び下のチャックリング5bの上端は、各々同じ深さで面取りを施してなる傾斜面を備え、両チャックリング5a,5bが上下に密着することにより、チャック爪3の突起3cの全部又は一部が収まる支持溝5cを形成する。
当該チャックリング5は、ホルダ部1bの周囲に留まる際に、当該ホルダ部1bの切り込み7に収まるチャック爪3の基部3bを覆いつつ外側から支える。
【0070】
当該構成を以って、チャック爪3がワーク6の保持及び開放機能を奏する。
この様に、支点リング11を用いない構成を採用することにより、上記他の実施の形態による効果に加え、比較的困難であった支点リング11の装着作業が回避される他、支点リングの精度と反り曲がりや、取り付け位置のばらつきで生じる位置ズレ量が少なくなり、チャック爪3のガタツキを少なくすることができる。
【0071】
更に、収容孔33にガタツキ止め32を装着することによって、ワークを保持していない時にチャック爪3のカム部9と加圧リング8aのガタツキによって生じるチャック爪3の開閉量の変化を、ガタツキ止め32が有する弾性と摩擦によって防止することができる。
その結果、微細なチャック爪3が正確に動作できる様になる。
【0072】
本実施の形態の操作ロッド2は、前記チャックホルダ1の中空部を進退する太さの円筒状のパイプであって、その中間部に中空部に繋がる透孔2aを備えたものである。
当該操作ロッド2は、上下両端部に無給油ブッシュ43を各々装着することで、チャックホルダ1の中空部における中心に進退可能に、且つ回転自在に支持される。
操作ロッド2は、その先端部に前記チャック爪3のカム部9を押圧する加圧部8を備える。当該例の加圧部8は、加圧リング8aを回転自在に、且つ離脱不能に支持したものである。
【0073】
これらの構成を以って、チャックホルダ1のチャックリング5と操作ロッド2の加圧部8で、揺動支点たる支持溝5cに係る複数のチャック爪3の基部3bが挟持され、チャックリング5の内部に所定数のチャック爪3がそれぞれ同じ条件で保持されることとなる。
この様に保持されたチャック爪3は、前記操作ロッド2の進退に伴う当該チャック爪3の基部3bに対する加圧・挟持領域のシフトによって、チャックリング5に保持された各チャック爪3の先端部(作業部3a)の開きが変化する。
また、操作ロッド2の加圧部8の表面が、カム部9の表面の曲面に倣って移動することによって、チャック爪3に対してガタツキの無い安定した開き量を、操作ロッド2の回転に対応しつつ与えることができる。
【0074】
本実施の形態は、図16に示す実施の形態と同様に、図18乃至図20に示す実施の形態とは逆の作用を生ぜしめるものとして構成することも可能である。即ち、当該実施の形態の操作ロッド2は、その先端部に、前記加圧部8に替えて、磁性体からなるチャック爪3のカム部9を引き寄せるマグネットコアを備える構成でも良い(図示省略)。
【0075】
〔ロボットアームについて〕
本実施の形態によるロボットアームは、図21に示すアーム筐体13の軸受部17に、前記チャックのチャックホルダ1を回転自在に支持する。
【0076】
軸受部17は、チャックホルダ1の外面に接する回転軸受け17aを備え、当該軸受部17に支持されるチャックホルダ1は、その上部に回転力の伝達を受けるためのプーリ40を回転伝達手段の一部として一体的に備える。
尚、回転伝達手段とは、チャックの回転に用いる力を、チャックに対して伝達する部材又は部材の組み合わせを言う。
【0077】
アーム筐体13の軸受部17は、上下に貫通する軸孔の内壁中間部に内径を狭くしたリング状の迫出し部23を備えると共に、内壁両端部に内径を広くしたリング状の収納部35を各々備え、迫出し部23の一部に切欠部36を設け、エア経路37に続く開口部とする。
【0078】
当該軸孔における迫出し部23を挟む上下に回転軸受け17aを装着し、各々の周囲の収納部35に弾性・気密性を備えたOリング38を装着する。続いて、アーム筐体13の下から軸受部17へ上記チャックを装填し、迫出し部23の上に装着した回転軸受け17a及びOリング38の上に、それらを覆うワッシャ39を装着し、プーリ40を、ワッシャ39の上面に密着させつつチャックホルダ1のパイプ部1aに対して回転及びズレが生じない様に固定する。以上を以って、軸受部17にチャックが回転自在に支持される(図18(B)、図19(A)、及び図20参照)。
【0079】
前記ロボットアームは、アーム筐体13に、操作ロッド2を進退させる昇降手段を備える。昇降手段は、先に説明した実施の形態と同様に、互いに平行に進退するシリンダ機構14のピストンロッド14aと、チャックの操作ロッド2を伝動腕15で連結したものである。電動腕15の構成にあっても、先に説明した実施の形態と同様の電動腕15を採用することができる。
【0080】
アーム筐体13には、先の実施の形態と同様に、チャックのチャックホルダ1を回す回転伝達手段としてタイミングベルト21が渡し掛けられている他、軸受部17の切欠部36に続くエア経路37を備える。
【0081】
エア経路37は、軸受部17の切欠部36を始端とし、アーム筐体13の側面にその長手方向に沿って設けた通気溝44と、その通気溝44の内部と切欠部36をつなぐ引出孔45とからなる。
通気溝44は、シールテープ44aでその側方を封じることでエア経路37の一部を形成する。通気溝44の終端から、アーム筐体13の上面において開口する引出口47に通じる引込孔46を備え、引出口47をエア経路37の終端としてエアチューブの接続部を付設する(図示省略)。
【0082】
本実施の形態のロボットアームは、以上の如く構成されることにより、先の実施の形態と同様に、操作ロッド2の先端部に当該中空部に繋がる吸着ノズル(例えば図5又は図11参照)12を装着し、当該中空部を十分な負圧とすることにより、当該チャックに保持すべき物を吸着して保持し、又は保持力を補足する吸着手段として用いることができる。
【0083】
本実施例における中空部を負圧とする手法は、先の実施の形態の様に、操作ロッド2の上端からエアチューブ等を経て吸気する手法とは異なり、操作ロッド2の側面とチャックホルダ1の内面に挟まれた空隙41、及びチャックホルダ1の外面と軸受部17の内面に挟まれた空隙42に対して、それぞれ、上下無給油ブッシュ43,43、及び上下Oリング38,38を装着し、両空隙41,42の気密を確保する。
【0084】
この構成による吸気の経路は、操作ロッド2の中空部と両空隙41,42を透孔2a,1fを介して連通し、軸受部17の切欠部36を介してエア経路37に連通し、アーム筐体13に付設した接続部にエアチューブ等を接続するものである。
【0085】
以上の構成によって、操作ロッド2の中空部をチャックにエアチューブを繋ぐことなく、十分な負圧とすることができる。これにより、当該チャックに保持すべき物を吸着して保持し、又は保持力を補足する吸着手段として用いることができる。
【0086】
加えて、操作ロッド2へのエアチューブの配管が不要となる結果、操作ロッド2とチャック爪3を同じ方向へ回転させることとなり、操作ロッド2と加圧リングの間で、回転方向の摩擦力を排することが可能となる。その結果、加圧リング8aにベアリングを必ずしも使用しなくても良くなり、加圧リング8aも、チャック爪3のカム部9に適した形状のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 チャックホルダ,
1a パイプ部,1b ホルダ部,1c 鍔部,
1d ブロック,1e 定着孔,1f 透孔,
2 操作ロッド,2a 透孔,
3 チャック爪,3a 作業部,3b 基部,3c 突起,
4 チャック,
5 チャックリング,
5a 上のチャックリング,5b 下のチャックリング,5c 支持溝,
6 ワーク,7 切り込み,
8 加圧部,8a 加圧リング,8b キャップ,
9 カム部,10 支え溝,11 支点リング,12 吸着ノズル,
13 アーム筐体,
14 シリンダ機構,14a ピストンロッド,14b シリンダ室,
15 伝動腕,15a 板バネ,15b 支持穴,16 荷重調整部材,
17 軸受部,17a 回転軸受け,
18 プーリ,18a ロックリング,19 シリンダリンク,
20 スペーサ,
21 タイミングベルト,
22 マグネットコア,23 迫出し部,24 ブッシュ,25 ナット,
26 ファイバセンサ,26a レンズ,27 操作棒,
28 ホール素子,28a マグネット粒,29 回路基板,30 押え板,
31 ケーブル,32 ガタツキ止め,33 収容孔,34 取付ネジ,
35 収納部,36 切欠部,37 エア経路,
38 Oリング,39 ワッシャ,40 プーリ,
41 空隙(操作ロッド側方),42 空隙(チャックホルダ側方),
43 ブッシュ,
44 通気溝,44a シールテープ,
45 引出孔,46 引込孔,47 引出口,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックホルダ(1)、操作ロッド(2)、及びチャック爪(3)からなり、
チャックホルダ(1)は、ワーク(6)の保持開放機能を満足すべくチャック爪(3)が揺動自在に収まる切り込み(7)と、チャック爪(3)の基部(3b)背面を支持する揺動支点を備え、
操作ロッド(2)は、その先端部に側方へ突出した加圧部(8)又はマグネットコア(22)を備え、
チャックホルダ(1)の中空部に、操作ロッド(2)を進退可能に挿通し、
操作ロッドの加圧部(8)又はマグネットコア(22)とチャックホルダ(1)の揺動支点で、複数のチャック爪(3)の基部(3b)を挟持し、
各チャック爪(3)の基部(3b)の内面に、操作ロッド(2)の進退に伴う加圧部(8)又はマグネットコア(22)の進退量を、各チャック爪(3)の遠心及び向心方向への揺動量に変換するカム部(9)を備えるチャック。
【請求項2】
チャックホルダ(1)に、チャック爪(3)の基部(3b)が揺動自在に収まる切り込み(7)を、当該チャックホルダ(1)の長手方向に沿って単数又は複数所望角度間隔で備え、
当該チャックホルダ(1)の外面に、前記切り込み(7)を横切りチャックホルダ(1)を一周する支え溝(10)を備え、当該支え溝(10)に、チャック爪(3)の揺動支点となる支点リング(11)を装填した前記請求項1に記載のチャック。
【請求項3】
チャックホルダ(1)の下部に、チャックホルダ(1)の切り込み(7)に収まるチャック爪(3)の基部(3b)、及びチャックホルダ(1)の支え溝(10)に装填した支点リング(11)を覆うチャックリング(5)を装着した前記請求項2に記載のチャック。
【請求項4】
チャックホルダ(1)の側方を覆うチャックリング(5)を備え、
前記チャック爪(3)は、基部(3b)の背面に各々揺動支点に嵌まる突起(3c)を備え、
前記チャックリング(5)は、上下一対のリング(5a,5b)からなり、上のチャックリング(5a)の下端及び下のチャックリング(5b)の上端に、各々同じ深さで面取りを施してなる傾斜面を備え、両チャックリング(5a,5b)が上下に密着することにより、チャック爪(3)の突起(3c)が収まる揺動支点を形成し、上下リング(5a,5b)が相互に密着してチャックホルダ(1)に固定され、チャックホルダ(1)の切り込み(7)に収まるチャック爪(3)の基部(3b)を外側から支えることを特徴とする前記請求項1に記載のチャック。
【請求項5】
チャック爪(3)の基部(3b)に収容孔(33)を備え、収容孔(33)に、チャックホルダ(1)の切り込み(7)の幅以上の厚みを有する弾性を持ったガタツキ止め(32)を装填したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のチャック。
【請求項6】
操作ロッド(2)は中空部材であり、その先端部に当該中空部に繋がる吸着ノズル(12)を備える前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のチャック。
【請求項7】
操作ロッド(2)は中空部材であり、その先端部に当該中空部を通してセンサ(26)のヘッドを固定した前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のチャック。
【請求項8】
チャックホルダ(1)に対して操作ロッド(2)を回転自在に支持した前記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のチャック。
【請求項9】
アーム筐体(13)に前記請求項8に記載のチャックのチャックホルダ(1)を回転自在に支持し、当該アーム筐体(13)に、操作ロッド(2)を進退させる昇降手段と、前記チャックホルダ(1)を回す回転伝達手段を備えるロボットアーム。
【請求項10】
アーム筐体(13)に前記請求項6に記載のチャックのチャックホルダ(1)を回転自在に支持し、
チャックホルダ(1)を支持する軸受部(17)に、チャックホルダ(1)と軸受部(17)間の外空隙(42)の気密を確保する手段を備え、チャックホルダ(1)に、操作ロッド(2)とチャックホルダ(1)間の内空隙(41)の気密を確保する手段を備え、
操作ロッド(2)は、中空部材であり、且つその中空部と内空隙(41)を連通させる透孔(2a)を備え、チャックホルダ(1)は、その内空隙(41)と外空隙(42)を連通させる透孔(1f)を備え、アーム筐体(13)に、外空隙(42)とアーム筐体(13)の引出口(47)を連通させるエア経路(37)と、操作ロッド(2)を進退させる昇降手段と、前記チャックホルダ(1)を回す回転伝達手段を備えるロボットアーム。
【請求項11】
前記昇降手段は、略平行に進退するシリンダ機構(14)のピストンロッド(14a)とチャックの操作ロッド(2)を伝動腕(15)で連結したものである前記請求項9又は請求項10のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項12】
前記昇降手段は、各々のピストンロッド(14a)が平行に進退し、且つ各々のピストンロッド(14a)を連結した二又は三のシリンダ機構(14)を備え、全てのシリンダ機構(14)と操作ロッド(2)が略直線的な横並びに配置され、且つ当該操作ロッド(2)がそれらの端に配置された前記請求項11に記載のロボットアーム。
【請求項13】
前記シリンダ機構(14)をアーム筐体(13)に内装した前記請求項11又は請求項12のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項14】
前記伝動腕(15)は、操作ロッド(2)の進退方向に間隔を隔てて重ねた複数枚の板バネ(15a)である前記請求項11乃至請求項13のいずれかに記載のロボットアーム。
【請求項15】
前記複数枚の板バネ(15a)を長手方向の一部で位置調整可能に連結支持する荷重調整部材(16)を備える前記請求項14に記載のロボットアーム。




【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−73135(P2011−73135A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115719(P2010−115719)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(592152266)株式会社KEC (9)
【Fターム(参考)】