説明

テストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及びアンドロゲン受容体結合阻害剤及びリパーゼ阻害剤、それを配合した頭髪用剤及び皮膚外用剤。

【課題】 脱毛防止、育毛・養毛効果およびフケ、ニキビ、皮膚炎といった肌の改善を目的とした頭髪用剤、皮膚外用剤を見出すこと。
【解決手段】 ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とし、優れたテストステロン5αーレダクターゼ阻害作用、アンドロゲン結合阻害作用、リパーゼ阻害作用を有し、これらを配合した頭髪用剤、皮膚外用剤を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の新規なテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及びアンドロゲン受容体結合阻害剤及びリパーゼ阻害剤とその応用法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
男性ホルモンの1種であるテストステロンは、還元酵素であるテストステロン5α−レダクターゼにより還元され、作用の強いジヒドロテストステロン(DHT)となる。この生成されたDHTは毛乳頭において受容体と結合して複合体を形成し、特定のDNAに作用することによりある種の蛋白質が合成され、これが毛包上皮系細胞に働いて、毛成長や毛周期(ヘアサイクル)に異常を引き起こし、毛包を萎縮させ、脱毛を誘発する原因となることが知られている。これらのことよりテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用は育毛や脱毛の抑制に有効である。
【0003】
また、DHTの生成が高まると、皮脂分泌能が亢進し、脂漏性脱毛およびニキビ(尋常性ざ瘡)が発症することも知られている。従って、5α−レダクターゼの阻害およびDHTが受容体と結合することを阻害することができれば、脱毛防止、育毛・養毛効果、ニキビ防止ができると考えられる。
【0004】
テストステロン5α−レダクターゼ阻害剤としては、プロゲステロン,デオキシコルチコステロン等のステロイド物質、アヤメ科植物ヒオウギの抽出物(特開平7−138181)、ガラナ種子の抽出物(特開平7−33673)、ピパーメチシクムの抽出物(特開平11−189540)などの多種の植物抽出物が報告されている。またDHTが受容体との結合を阻害する作用であるアンドロゲン受容体結合阻害作用としては、オキセンドロン、酢酸シプロテロン、五斂子の葉部からの抽出物(特開2002−241296)マジト、カチュアの抽出物(特開2002−241297)などが報告されている。
【0005】
しかしながら、これら上記の阻害剤は、効果の強さや副作用等から、いまだ満足する効果を発揮するものは得られていない。
【0006】
ヒトの皮膚に常在する微生物(Propionibacterium acnes、Pityrosporum ovale、Micrococcus sp.、Pseudomonas speciesなど)が産生するリパーゼが皮脂中に含まれるトリグリセライドを分解し遊離脂肪酸を産生する。この遊離脂肪酸は、皮膚に対して刺激性の炎症反応を起こし、ニキビ、フケ、皮膚炎などの要因として考えられている。従って、リパーゼを阻害することにより、上記症状を予防することができる。現在までコケモモの抽出液(特開2002−97147)、バラ科ボケ属カリン及び/又はシソ科タツナミソウ属コガネバナの抽出物(特開2000−226309)などが報告されているが、効果の強さ等からいまだ満足する効果は得られていない。
【0007】
従来の外用剤として使用されている植物抽出物は、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用、アンドロゲン受容体結合阻害作用、リパーゼ阻害作用のいずれかの効果又は2つの効果しか得られず、特にニキビの予防及び解消に関しては、複数を配合する必要があった。配合する外用剤においては、沈殿、変色等を起こし、安定性に問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記背景技術の問題点を克服するために、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及びアンドロゲン受容体結合阻害作用及びリパーゼ阻害作用に優れ、安全性の高い新規物質を植物由来から検索した結果、ある特定の植物より抽出された抽出物に3種の作用を見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤は、ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arborem)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)の溶媒抽出物を含有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るアンドロゲン受容体結合阻害剤は、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)、ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)の溶媒抽出物を含有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るリパーゼ阻害剤は、ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L.)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)の溶媒抽出物を含有することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の頭髪用剤は、上記のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及びアンドロゲン受容体結合阻害剤及びリパーゼ阻害剤を含有することを特徴としている。
【0013】
本発明の皮膚外用剤は、上記のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及びアンドロゲン受容体結合阻害剤及びリパーゼ阻害剤を含有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及びアンドロゲン受容体結合阻害剤及びリパーゼ阻害剤及びこれらを配合した頭髪用剤、皮膚外用剤は、脱毛防止、育毛・発毛効果、またニキビ、フケ、皮膚炎などを防止し、健康な頭髪や肌の状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る頭髪用剤、皮膚外用剤について詳述する。本発明に係る頭髪用剤、皮膚外用剤は、ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arborem)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)、を含有することを特徴とする。本発明での植物を下記に示す。
(1)ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)とは、ヤマモモ科ヤマモモ属の植物で、ヒマラヤ低地域から中国南部に分布する。民間薬として消炎、収斂、下痢止め、止血、鎮痛などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、樹皮である。
(2)ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)とは、ツツジ科ツツジ属の植物であり、セイロン、ヒマラヤから中国南部に分布する。インドや中国では、葉や花に解毒、解熱、止血、月経不順に用いられている。本発明での使用部位は、花である。
(3)ムユウジュ(学名:Saraca asoca De Wilde,Saraca indica)は、マメ科ムユウジュ属の植物で、インド、スリランカに野生する。アショーカノキの別名があり、ヒンドゥー教の聖木とされる。民間療法では、消化不良、血液の病気、胆汁異常、潰瘍などに用いられてきた。本発明において使用する部位は、樹皮である。
(4)ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)は、マメ科ハカマカズラ属の植物であり、ブラジルに分布する。ウーニャ・デ・ヴァーカ(Unha−de−vaca)、Pata de vaca等の呼び名がある。民間療法として、葉は糖尿病に煎剤として用いられ、根は駆虫に用い、樹皮は気管支炎、咳止めに、花は下剤に用いられてきた。また全体は肥満を防ぐ効果があるという。本発明における使用部位は、葉である。
(5)フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)は、フトモモ科フトモモ属の植物であり、熱帯各地に広く栽培されている。果実は食用とされ、葉は解熱剤として用いられてきた。本発明において使用する部位は、枝葉である。
本発明では、上記植物を単独で或いは二種以上を混合して使用することもできる。
【0016】
本発明で用いられる抽出物の調製方法は特に限定されないが、例えば種々の溶媒を用い、低温から加温下において抽出する方法があげられる。
【0017】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の液状多価アルコール、酢酸エチル等の低級アルキルエステル、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、アセトニトリル等のエーテル類が例示され、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0018】
本発明で使用する抽出物は、そのまま用いてもよいが、必要に応じてろ過、濃縮してもよい。また、抽出物をカラムクロマト法、向流分配法等により、分画、精製して用いることもできる。
【0019】
更に、上記のものを減圧乾燥又は凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製し、適宜製剤化して用いることもできる。
【0020】
(植物抽出物の製造例1)
上記植物の使用部位100gに50vol%エタノール溶液3kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過し、抽出物A約2800gを得る。
【0021】
(植物抽出物の製造例2)
上記植物の使用部位200gに精製水3kgを加え、80℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、抽出物B約2600gを得る。更に、ろ過残渣に50vol%エタノール3kgを加え、60℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、抽出物C約2800gを得る。更にろ過残渣に95vol%エタノール3kgを加え、50℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、抽出物D約2800gを得る。
【0022】
(植物抽出物の製造例3)
上記抽出物Bを減圧下約200gまで濃縮した後、合成吸着体ダイヤイオンHP−20を充填したカラムにて処理し、水洗浄後の10vol%エタノール溶液溶出液、15vol%エタノール溶液溶出液及び20vol%エタノール溶液溶出液を得る。各々の溶出液をそれぞれ50gまで減圧濃縮し、エタノール50gを加え抽出物E,F,Gとする。
【0023】
(植物抽出物の製造例4)
上記植物の使用部位200gに30vol%エタノール4kgを加え、60℃にて5時間攪拌抽出する。冷後、ろ過し、得られたろ液を200gまで減圧濃縮する。濃縮液をカラムクロマト用オクタデジシルシリカ化シリカゲルを充填したカラムにて処理し、10〜20vol%エタノールにて溶出した画分を併せ、減圧濃縮後、減圧乾燥し粉末とした抽出物H約15gを得る。
【0024】
本発明の抽出物は、そのまま利用できるほか、頭髪用剤、皮膚外用剤にも配合できるが、その配合量は特に規定するものではない。配合する製品の種類、性状、品質、期待する効果の程度により異なるが、乾燥固形物に換算して好ましくは、0.00001〜2.5重量%(以下、単に「%」で示す)、特に0.001〜1.0%がより好ましい。抽出液を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度等は何ら限定されるものではない。
【0025】
本発明の植物抽出物を頭髪用剤、皮膚外用剤に用いる場合、上記成分に加えて、さらに必要により、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品、医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば界面活性剤、油分、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防御剤、アルコール類、粉末成分、色剤、香料、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0026】
さらに、金属イオン封鎖剤、防腐抗菌剤、細胞賦活剤、皮脂分泌調整剤、消炎剤、収斂剤、美白剤、活性酸素抑制剤、抗アレルギー剤、老化防止剤等、さらに生理活性作用を有する植物抽出物、微生物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物等も適宜配合することができる。
【0027】
本発明のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤、アンドロゲン受容体結合阻害剤、リパーゼ阻害剤及びこれを配合してなる頭髪用剤、皮膚外用剤は、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬品、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。本発明の頭髪用剤、皮膚外用剤の剤型は、可溶化系、乳化系、粉末分散系、粉末系等何れでもよく、用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ヘアローション、ポマード、育毛剤、シャンプー、リンス等の頭髪化粧料、石けん、ボディーシャンプーなどのトイレタリー製品、浴用剤等を問わない。
【0028】
次に実施例をあげて説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
(試験例1)テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用の測定
試料として、製造例1各植物のA抽出物を用いて、測定をおこなった。
テストステロン(東京化成社製)4.2mgをプロピレングリコール1mLに溶解し、その20μLに1mg/mLのNADPH(ナカライテスク製)含有5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.2)825μLを加えて混合した。さらに各濃度に希釈した試料80μL及びS−9(ラット肝ホモジネート;オリエンタル酵母社製)75μLを混合し、37℃で35分間インキュベートした。その後、塩化メチレン1mLを加えて反応を停止させ、塩化メチレン層を分取して、テストステロンの残存量をHPLCにより定量した。別に対照として、上記の試料の代わりにその溶媒だけを同量添加した場合について同様に処理し分析した。また、内部標準物質として、p−Hydroxybenzoic acid n−Butyl ester(Sigma社製)を用いた。陽性試料として、テストステロン5α−レダクターゼに対する阻害活性を持つ事が知られているエチニルエストランジオールを試験に用いた。
阻害率は、下記の式に従い酵素活性を50%阻害する試料濃度IC50を求めた。
その結果を表1に示した。
【0030】
【式1】
阻害率(%)=100×{(A−B)/A}
A:対照のテストステロン変換%
B:サンプルのテストステロン変換%
【0031】
【表1】

【0032】
(試験結果)
表1のごとく、本発明の植物抽出物は、高いテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用があることが確認された。
【0033】
(試験例2)アンドロゲン受容体結合阻害作用の測定
試料として、製造例1各植物のA抽出物を用いて、測定をおこなった。
アンドロゲンに増殖反応を示す細胞株LNCaP細胞(TKG0603)を、2%FBS含有RPMI−1640培地を用いて1.0×10cells/wellの細胞密度にて96穴マイクロプレートに播種、37℃、5%CO下で培養した。24時間後、試料および10−8モル濃度のDHTを添加した0.5%FBS含有RPMI−1640培地に培地を交換して48時間培養した。その後、MTT還元法にて測定した。
【0034】
上記と同様に、試料単独でのLNCap細胞に及ぼす影響をみるため、0.5%FBS含有RPMI−1640培地にDTHを添加せず試料のみを添加して、同様の培養と測定を行った。さらに、コントロールとして、試料およびDTHを添加しない0.5%FBS含有RPMI−1640培地で培養した場合、および試料を添加せずDTHのみを添加した0.5%FBS含有RPMI−1640培地で培養した場合についても同様の測定を行った。測定結果より、抗アンドロゲン作用を示す結合阻害率を次式により算出した。
【0035】
結合阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
A:DHT添加、サンプル無添加
B:DHT、サンプル無添加
C:DHT、サンプル添加
D:DHT無添加、サンプル添加
【0036】
次に、試料溶液の濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、各濃度におけるアンドロゲンの結合阻害率(%)を求めた。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
(試験結果)
表2のごとく、本発明の植物抽出物は、高いアンドロゲン受容体結合阻害作用があることが確認された。
【0039】
(試験例3)リパーゼ阻害作用の測定
試料として、製造例1各植物のA抽出物を用いて、測定をおこなった。
2μM 4−メチルウンベリフェリルオレート(Sigma社製)溶液100μlに各濃度に溶解したサンプル10μlと0.1M Mullvaine Buffer40μl、0.05μg/mlリパーゼ(ヒト皮膚常在菌Pseudomonas species由来(Sigma社製))50μlを混和させ、37℃、20分間反応させた。その後、0.1N HCl 1mLで反応を停止し、さらに、0.2Mクエン酸ナトリウム溶液2mLを加えて、生成した4−メチルウンベリフェロンの蛍光を励起波長320nm、蛍光波長450nmで定量した。阻害率は、下記の式に従い酵素活性を50%阻害する試料濃度IC50を求めた。
【0040】
阻害率(%)=〔(対照の蛍光強度−サンプルの蛍光強度)/対照の蛍光強度〕×100
【0041】
【表3】

【0042】
(試験結果)
表3のごとく、本発明の植物抽出物は、高いリパーゼ阻害作用があることが確認された。
【0043】
以下にさらに、本発明の処方例を示す。
【0044】
(実施例1)クリーム
下記成分(1)〜(10)、別に下記成分(11)〜(15)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(16)を加え、クリームを調製した。
(成分) (重量%)
(1)ホホバ油 3.0%
(2)スクワラン 2.0%
(3)メチルポリシロキサン 0.5%
(4)ステアリルアルコール 0.5%
(5)セチルアルコール 0.5%
(6)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル12.5%
(7)モノステアリン酸グリセリル 5.0%
(8)モノステアリン酸ジグリセリル 1.5%
(9)モノステアリン酸デカグリセリル 3.0%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)キサンタンガム 0.1%
(12)フトモモ抽出物 2.5%
(13)1,3−ブチレングリコール 2.5%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.2%
(15)精製水 66.0%
(16)香料 0.1%
【0045】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、化粧水を調整した。
(成分) (重量%)
(1)クエン酸 0.1%
(2)クエン酸ナトリウム 0.1%
(3)セリン 0.1%
(4)PEG−60水添ヒマシ油 0.3%
(5)香料 0.02%
(6)1,3−ブチレングリコール 3.0%
(7)メチルパラベン 0.15%
(8)グリセリン 4.0%
(9)ミリカ・ナギ抽出物 3.0%
(10)精製水 89.23%
【0046】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、別に(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
(成分) (重量%)
(1)ホホバ油 1.0%
(2)スクワラン 2.0%
(3)ベヘニルアルコール 1.0%
(4)トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル 2.0%
(5)テトラグリセリン縮合シリノレイン酸 0.1%
(6)モノオレイン酸プロピレングリコール 0.5%
(7)モノステアリン酸グリセリン 1.0%
(8)モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 1.0%
(9)モノミリスチン酸デカグリセリル 0.5%
(10)パラオキシ安息香酸プロピル 0.1%
(11)クインスシードエキス 5.0%
(12)ミリカ・ナギ抽出物 3.0%
(13)1,3−ブチレングリコール 3.0%
(14)パラオキシ安息香酸メチル 0.1%
(15)香料 0.1%
(16)精製水 79.6%
【0047】
(実施例4)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、別に(4)〜(6)及び(8)を70℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら、50℃まで冷却し、成分(7)を加え、クレンジングジェルを調製した。
(成分) (重量%)
(1)モノミリスチン酸ヘキサグリセリル 20.0%
(2)流動パラフィン 59.7%
(3)パラオキシ安息香酸エステル 0.3%
(4)ロードデンドロン・アルボレーム抽出物 5.0%
(5)濃グリセリン 5.0%
(6)ソルビトール 5.0%
(7)香料 0.1%
(8)精製水 4.9%
【0048】
(実施例5)パック剤
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、次いでC相を加えて均一に溶解し、製する。
(成分) (重量%)
(A相)ジプロピレングリコール 5.0%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 5.0%
(B相)オリーブ油 5.0%
酢酸トコフェノール 0.2%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(C相)亜硫酸水素ナトリウム 0.03%
ポリビニルアルコール 13.0%
ムユウジュ抽出物 1.0%
エタノール 7.0%
精製水 63.77%
【0049】
(実施例6)乳化型ファンデーション
下記成分(1)〜(6)を充分に混合粉砕した粉末部をAとし、(7)(8)をB液、(9)〜(12)及び(14)をC液とする。C液を加熱攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに過熱混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら50℃まで冷却し、(13)を加え、さらに室温まで冷却して製する。
(成分) (重量%)
(1)二酸化チタン 10.3%
(2)セリサイト 5.4%
(3)カオリン 3.0%
(4)黄色酸化鉄 0.7%
(5)ベンガラ 0.4%
(6)黒色酸化鉄 0.2%
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5%
(8)流動パラフィン 8.5%
(9)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0%
(10)ウシノツメ抽出物 1.5%
(11)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(12)パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(13)香料 0.2%
(14)精製水 50.1%
【0050】
(実施例7)固形ファンデーション
下記成分(1)〜(7)をブレンダーで均一に混合し、これに(8)〜(14)を加え、よく混練して製する。
(成分) (重量%)
(1)タルク 41.9%
(2)カオリン 15.5%
(3)セリサイト 10.0%
(4)亜鉛華 7.0%
(5)二酸化チタン 3.8%
(6)黄色酸化鉄 2.9%
(7)ベンガラ 0.5%
(8)黒色酸化鉄 0.2%
(9)スクワラン 8.0%
(10)イソステアリン酸 4.0%
(11)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 3.0%
(12)オクタン酸イソセチル 2.0%
(13)フトモモ抽出物 1.0%
(14)パラオキシ安息香酸エステル 0.1%
(15)香料 0.1%
【0051】
(実施例8)ヘアートニック
下記成分(5)に(1)〜(4)及び(7)を加え、攪拌溶解した後、(6)及び(8)を加えてさらに攪拌して製する。
(成分) (重量%)
(1)グリセリン 3.0%
(2)L−メントール 0.1%
(3)センブリエキス 2.0%
(4)ロードデンドロン・アルボレーム抽出物 5.0%
(5)エタノール 53.0%
(6)香料 0.2%
(8)精製水 36.7%
【0052】
(実施例9)シャンプー
下記成分を加温均一に混合し製する。
(成分) (重量%)
(1)N−ヤシ油脂肪酸グルタミン酸トリエタノール 25.0%
アミン
(2)ラウリン酸ジエタノールアミド 5.0%
(3)ミリスチン酸カリウム 5.0%
(4)ジステアリン酸エチレングリコール 2.0%
(5)ポリエチレングリコール400 15.0%
(6)ホホバ油 1.0%
(7)ミリカ・ナギ抽出物 3.0%
(8)クロルキシレノール 0.1%
(9)ビタミンE 0.1%
(10)パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
(11)香料 0.3%
(12)精製水 43.3%
【0053】
(実施例10)浴用剤
(成分) (重量%)
(1)乾燥硫酸ナトリウム 40.0%
(2)炭酸水素ナトリウム 57.5%
(3)オリーブ油 0.2%
(4)ウシノツメ抽出物 0.1%
(5)軽質無水ケイ酸 0.3%
(6)香料 1.7%
(7)黄色202号の(1) 0.2%
【0054】
(実施例11)育毛剤
(成分) (重量%)
(1)エタノール 60.0%
(2)メントール 0.05%
(3)パンテノール 0.1%
(4)香料 0.2%
(5)ムユウジュ抽出物 2.0%
(6)クエン酸 0.02%
(7)クエン酸ナトリウム 0.4%
(8)精製水 37.23%
【0055】
(試験例4)使用効果試験
本発明の皮膚外用剤を使用した場合の効果試験を行った。使用テストは、ニキビ、肌のキメのあらさで悩む男性30名(18〜35歳)をパネラーとして、毎日朝夕の2回、洗顔後に15名には実施例2の化粧水適量を3ヶ月間塗布した。また対照として15名には、ミリカ・ナギ抽出物を精製水に置き換えたものを使用した。評価方法は、下記の基準で行い、結果を表4に記載した。使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0056】
「ニキビ・肌のキメの細かさ」
有効 :ニキビが減少した
やや有効 :ニキビがやや減少した
無効または不明 :使用前と変化なし、またはわからない
【0057】
【表4】


【0058】
表4に示したように、ニキビが減少し、キメの細かい肌の状態にすることができる。
【0059】
(試験例5)使用効果試験
本発明の皮膚外用剤を使用した場合の効果試験を行った。使用テストは、肌のキメのあらさ、毛穴の大きさで悩む女性30名(20〜38歳)をパネラーとして、毎日朝夕の2回、洗顔後15名には実施例2の化粧水適量を3ケ月間塗布した。また対照として15名には、ミリカ・ナギ抽出物を精製水に置き換えたものを使用した。評価方法は、下記の基準で行い、結果を表4に記載した。使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0060】
「肌のキメの細かさ」
有効 :肌のキメが細かく整った(毛穴が細かくなった)
やや有効 :肌のキメがやや細かく整った(毛穴がやや細かくなった)
無効または不明 :使用前と変化なし、またはわからない
【0061】
【表5】

【0062】
表5に示したように、キメが整い、毛穴が細かくなった肌の状態にすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とするテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤。
【請求項2】
ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とするアンドロゲン受容体結合阻害剤。
【請求項3】
ミリカ・ナギ(学名:Myrica nagi Hook.f.non Thunb.)、ロードデンドロン・アルボレーム(学名:Rhododendron arboreum)、ムユウジュ(学名:Saraca indica)、ウシノツメ(学名:Bauhinia forficate L)、フトモモ(学名:Syzygium jambos(L.)Alston.)よりなる群の1種又は2種以上の溶媒抽出物を有効成分とするリパーゼ阻害剤。
【請求項4】
請求項1記載のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及び請求項2記載のアンドロゲン受容体結合阻害剤及び請求項3記載のリパーゼ阻害剤を含有することを特徴とする頭髪用剤。
【請求項5】
請求項1記載のテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤及び請求項2記載のアンドロゲン受容体結合阻害剤及び請求項3記載のリパーゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−257057(P2006−257057A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113840(P2005−113840)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(599000212)香栄興業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】