テロメラーゼ活性化化合物及びその使用方法
本発明は、テロメラーゼの活性化のため、並びにそれに関連する疾患、障害及び/又は状態を処置するための、一連の化合物及び前記化合物を含む組成物の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、テロメラーゼの発現増強及び/又は活性化のため、並びにそれに関連する疾患、障害及び/又は状態を処置するための、一連の化合物及び前記化合物を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テロメラーゼは、テロメア末端のテロメア反復の付加を触媒するリボ核タンパク質である。テロメアは、染色体の末端をキャップする反復配列が伸長した部分である。ヒトにおいてテロメアは、典型的に7〜10kbの長さであり、多重反復を含む。テロメラーゼは、たいていの成熟細胞中では発現しておらず、テロメア長は、複製するたびに減少する。
【0003】
テロメラーゼは、テロメア伸長において逆転写酵素として作用し、これは、末端複製の問題に起因するテロメア損失を防ぐ。テロメラーゼ無しでは、テロメアは各細胞分裂のたびに短縮化し、このことは、染色体不安定によって引き起こされる老化、アポトーシス、及び細胞死につながる。テロメラーゼは、体細胞では不活性であるが、癌細胞の90%では活性であり、そこではテロメラーゼは再活性化される。テロメラーゼの活性化は、癌発生プロセスを模倣することもあり得るので、危険であり得るが、テロメラーゼ増強剤は、アンチエイジング剤として理論的に適用でき、或る医学的状態で臨床的に有用であり得る。対照的に、テロメラーゼ阻害剤は、癌と戦うために有用であり得る。癌及び加齢は密接に相関する。癌を防ぐ治療は早期老化につながることがあり、一方で細胞の不死化は、悪性癌細胞の形成に必要である。発癌活性化の理論的リスクにもかかわらず、テロメラーゼの活性化は加齢速度の減少につながり得る。
【0004】
テロメア長の評価は、テロメアの生物学的及び臨床的有意性を理解する上で重要である。テロメア長は、細胞の染色体安定、テロメラーゼ活性及び/又は発現、増殖能並びに加齢プロセスの研究において、有用な指標として機能する。テロメアの臨床的価値は、癌、早期老化症候群(premature aging syndrome)又は体節性早老症(segmental progeria);遺伝子異常、染色体不安定から生ずる疾患、例えばブルーム症候群(患者の染色体中での高頻度の破壊及び再配列によって特徴付けられる稀な遺伝性疾患)、及び加齢性疾患、例えばワーナー症候群(Warner's Syndrome)(若い人で急速な加齢を顕在化させる稀な病気)におけるその重要性で説明することができる。テロメア長の動態は、特定の疾患進行において明確な発現パターンを持つ。そのためそれは、疾患予後において大いに価値がある。
【0005】
テロメア長は、サザンブロット、ハイブリダイゼーション・プロテクション・アッセイ(hybridization protection assay)、蛍光in situハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、プライムドin situ、定量ポリメラーゼ連鎖反応及び単一テロメア長解析によって測定することができる。
【0006】
テロメラーゼ活性及び/又は発現の欠乏並びに短いテロメアは、先天性角化異常症;再生不良性貧血;循環器疾患、卒中若しくは感染による死亡増加;高血圧;又は慢性ストレスを引き起こし得る。
【0007】
テロメラーゼ・ノックアウトマウス中へのテロメラーゼ導入は肝臓障害を防止することが示された。
【0008】
テロメア長の維持におけるテロメラーゼの役割に加えて、蓄積するデータは、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)タンパク質が、追加の生理学的機能、即ち、テロメア伸長に関係しない機構(いまのところ不明確)で、様々な障害から細胞及びマウスを守る機能を持つことを示唆する。
【0009】
そのためテロメラーゼを活性化する化合物は、多数の臨床的に関連するシナリオに応用されるであろう。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
一つの実施形態において本発明は、細胞又は組織中のテロメラーゼの活性及び/又は発現を刺激又は増加させる方法であって、前記細胞又は組織と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品(pharmaceutical product)、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン(phosphor)、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0013】
一つの実施形態において本発明は、対象中のテロメラーゼの活性化及び/又は発現によって影響を受け得る状態を処置する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含み、
それによって前記化合物がテロメラーゼの活性及び/又は発現を刺激又は増強する方法を提供する。
【0014】
【化2】
【0015】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0016】
他の実施形態で前記状態はHIV感染又は変性疾患である。他の実施形態で前記変性疾患は、神経変性疾患、骨若しくは関節の変性疾患、黄斑変性、粥状動脈硬化、又は貧血である。一つの実施形態で前記状態は炎症疾患である。他の実施形態で前記状態は先天性角化異常症である。他の実施形態で前記状態は再生不良性貧血である。他の実施形態で前記状態は癌である。
【0017】
一つの実施形態において本発明は、皮膚の急性又は慢性状態を処置する方法であって、皮膚と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法を提供する。
【0018】
【化3】
【0019】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0020】
他の実施形態で前記急性又は慢性状態は、創傷、熱傷、擦過傷、切り込み、移植部位、血管病変、感染性病原体によって引き起こされる病変、慢性の静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍、褥瘡、粘膜のただれ若しくは潰瘍、及びケロイド形成である。
【0021】
一つの実施形態で本発明は、対象中の細胞老化を阻害、抑制又は遅延させる方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含む方法を提供する。
【0022】
【化4】
【0023】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0024】
他の実施形態で前記対象中の細胞老化を阻害、抑制又は遅延させる方法は、前記対象の寿命を延ばす。
【0025】
一つの実施形態において本発明は、対象中の加齢による影響を減少又は抑制する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含む方法を提供する。
【0026】
【化5】
【0027】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0028】
他の実施形態で前記加齢による影響は、対象の皮膚、眼、筋系、又は骨への影響を含む。
【0029】
他の実施形態で式Iの構造は、式IVの構造によって表される。
【0030】
【化6】
【0031】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【0032】
他の実施形態で式Iの構造は、式VIの構造によって表される。
【0033】
【化7】
【0034】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【0035】
他の実施形態で式Iの構造は、式VIIの構造によって表される。
【0036】
【化8】
【0037】
他の実施形態で式Iの構造は、式VIIIの構造によって表される。
【0038】
【化9】
【0039】
他の実施形態で式Iの構造は、式IXの構造によって表される。
【0040】
【化10】
【0041】
他の実施形態で式Iの構造は、式Xの構造によって表される。
【0042】
【化11】
【0043】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIの構造によって表される。
【0044】
【化12】
【0045】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIIの構造によって表される。
【0046】
【化13】
【0047】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIIIの構造によって表される。
【0048】
【化14】
【0049】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIVの構造によって表される。
【0050】
【化15】
【0051】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVの構造によって表される。
【0052】
【化16】
【0053】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVIの構造によって表される。
【0054】
【化17】
【0055】
他の実施形態で本発明は、本明細書で記載するあらゆる方法のために、本明細書で記載する化合物を含む医薬組成物を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図面の簡単な説明
本発明とみなされる主題は、本明細書の結びの部分で特に示され、且つ明確に権利請求されている。しかし本発明の目的、特徴及び利点と共に、構成及び操作法の両方について、添付図面と共に理解する際、以下の詳細な説明を参照することによって、本発明は最適に理解されるであろう。
【0057】
【図1】図1:本発明の化合物を用いたU−251細胞の処置、及びTRAPアッセイによるテロメラーゼ活性の測定。A.化合物68で処置した細胞中のテロメラーゼ活性。B.結果及びテロメラーゼ活性化%の定量化。
【図2】図2:本発明の化合物によるテロメラーゼタンパク質レベルの時間依存的増加。A.抗ヒトテロメラーゼ抗体でのウエスタンブロット解析。B.テロメラーゼタンパク質レベルの定量化。
【図3】図3:化合物68はテロメラーゼRNAの発現を増加させる。A.hTERT特異的cDNAプローブを使用するノーザンブロット解析。ADはアクチノマイシンDである。B.RNAレベルの定量化。
【図4】図4:hMSCの生存及び増殖に対する本発明の化合物を用いた処置の効果。
【図5】図5:本発明の化合物によるhMSC中のテロメラーゼ発現の活性化。A.hMSCは、250nMの化合物79、77及び68で6時間処置した。免疫蛍光法を抗hTERT抗体(赤)で行い、核をDAPI(青)で染色した。B.化合物79で6及び24時間処置したhMSC。テロメラーゼ活性を、定量テロメラーゼ検出キット(Allied Biotech Inc., USA)を使用するリアルタイムPCRによって測定した。
【図6】図6:インビトロでの老化したヒトケラチノサイトに対する本発明の化合物の効果。
【図7A】図7:A.酸化ストレス下でのヒト網膜色素上皮細胞(human retinal pigmented epithelial cells)に対する本発明の化合物の効果。B.RPE細胞中のテロメラーゼ活性に対する化合物の効果(定量テロメラーゼ検出キット−リアルタイムPCRによる測定)。
【図7B】図7:A.酸化ストレス下でのヒト網膜色素上皮細胞(human retinal pigmented epithelial cells)に対する本発明の化合物の効果。B.RPE細胞中のテロメラーゼ活性に対する化合物の効果(定量テロメラーゼ検出キット−リアルタイムPCRによる測定)。
【図8】図8:テロメラーゼ活性化化合物68及び77によるエレガンス線虫(C. elegans)の寿命延長。
【図9】図9:ラット子宮内膜細胞中の本発明の化合物によるテロメラーゼ発現の活性化。A,B.組織学的解析。C〜F.特異的抗hTERT抗体での免疫組織学的解析。G.本発明の化合物を注射したラットの子宮内膜に由来する核抽出物中のテロメラーゼ活性。G(B)定量テロメラーゼ検出キット(Allied Biotech Inc., USA)を使用するリアルタイムPCRによって測定した、本発明の化合物を注射したラットの子宮内膜に由来する核抽出物中のテロメラーゼ活性。
【図10】図10:本発明の化合物によるラット大脳皮質細胞のテロメラーゼ活性化。
【図11】図11:本発明の化合物によるマウスCNSのテロメラーゼ活性化。
【図12】図12:テロメラーゼタンパク質が、本発明の化合物で処置したラット中で増加する。
【図13】図13:化合物79によるマウス小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスの防止。
【図14】図14:テロメラーゼ発現が、化合物79によってマウス心臓中で活性化される。
【図15】図15:化合物68は、ラット中の胚発育に対する有害薬の作用を防止する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の詳細な説明
以下の詳細な説明で本発明の充分な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細が示されている。しかしこれらの具体的な詳細無しでも本発明が実施できることは、当業者に理解されるであろう。他の例では、本発明を曖昧にしないようにするため、周知の方法、手順、及び成分は詳細に記載されていない。
【0059】
本発明は、いくつかの実施形態において、とりわけ、高められたテロメラーゼ発現及び/又はテロメラーゼ活性化によって影響を受け得る疾患又は状態を処置するための、新規トリフェニル化合物類、及び前記化合物を含む組成物の使用に関する。
【0060】
本発明は、テロメラーゼ活性が減少、欠損、変質しているか、又は正常である対象の細胞及び組織中で、テロメラーゼ発現及び/又は活性を刺激及び/又は増加させるそのような化合物を使用する。そのような障害は、とりわけ、以下のものを含む:a)アルツハイマー病;b)パーキンソン病;c)ハンチントン病;d)神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害(cerebral vascular incidents);e)卒中;f)加齢に関連する疾患又は状態、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわのような皮膚の加齢、皮脂腺の過形成若しくは形成不全、老人性黒子、色素沈着異常、白髪化及び脱毛若しくは髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍;g)変性関節疾患;h)骨粗鬆症、変形性関節症、及び骨格系の他の変性状態;i)筋肉減少症、及び筋系の他の変性状態;j)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患;k)加齢性黄斑変性;l)AIDS;m)自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及びストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態;n)創傷、熱傷、擦過傷、又は表皮の他の急性若しくは慢性状態の治癒;o)先天性角化異常症;p)黄体期欠損;q)早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症);及び/又はr)メモリーT細胞中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、それによる免疫記憶応答及びワクチンに対する応答の強化;s)健常組織中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、そうして対象を良好な健康状態に維持しながら行う対象寿命の延長。
【0061】
本発明の化合物
一つの実施形態で本発明の方法は、式Iの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0062】
【化18】
【0063】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0064】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0065】
【化19】
【0066】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1、R3、R4、R6、R7及びR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0067】
一つの実施形態でZは炭素である。他の実施形態でR10はメチル基である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ヘテロシクロアルキル基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−アミノアルキル基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ジアルキルアミノ基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−N(CH3)2基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−N(Et)2基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−アリール基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ヘテロアリール基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ハロアルキル基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−アルコキシ基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−エトキシ基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−シクロアルキル基であり、式中のnは1〜6である。
【0068】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0069】
【化20】
【0070】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R’、R”及びR'”は、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、アルカニロイル、アセチル又はベンゾイルを含む同じ又は異なるものであり;
R1、R3、R4、R6、R7及びR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0071】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IVの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0072】
【化21】
【0073】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は、上記のとおりである。
【0074】
一つの実施形態で本発明の方法は、式Vの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0075】
【化22】
【0076】
式中、
R’、R”及びR'”は、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、フェニル、ベンジル、アルカニロイル、アセチル又はベンゾイルを含む同じ又は異なるものであり;
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノ基を含む同じ又は異なるものであり;及びR7は上記のとおりである。
【0077】
一つの実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はジアルキルアミノ基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はジメチルアミノ基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はジエチルアミノ基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピペリジン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピロリジン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピペラジン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピペラジン−4−メチル基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−モルホリン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はエトキシ基である。
【0078】
一つの実施形態で本発明の方法は、式VIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0079】
【化23】
【0080】
式中、R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノ基を含む同じ又は異なるものであり;及びR10は上記のとおりである。
【0081】
一つの実施形態で本発明の方法は、式VIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0082】
【化24】
【0083】
一つの実施形態で本発明の方法は、式VIIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0084】
【化25】
【0085】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IXの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0086】
【化26】
【0087】
一つの実施形態で本発明の方法は、式Xの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0088】
【化27】
【0089】
一つの実施形態で本発明の方法は、式XIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0090】
【化28】
【0091】
一つの実施形態で本発明の方法は、式XIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0092】
【化29】
【0093】
一つの実施形態で本発明の方法は、式XIIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0094】
【化30】
【0095】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIVの構造によって表される:
【0096】
【化31】
【0097】
又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物。
【0098】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVの構造によって表される:
【0099】
【化32】
【0100】
又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物。
【0101】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVIの構造によって表される:
【0102】
【化33】
【0103】
又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物。
【0104】
用語「アルキル」とは、一つの実施形態において、直鎖、分枝鎖及び環状のアルキル基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。一つの実施形態でアルキル基は1〜12個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は2〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は2〜8個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は3〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は3〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜4個の炭素を有する。他の実施形態で分枝アルキルは、炭素が1〜5個であるアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。他の実施形態で分枝アルキルは、炭素が1〜5個であるハロアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。アルキル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0105】
「アルケニル」基は、一つの実施形態において、一つ又はそれ以上の二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び環状の基を含む不飽和炭化水素を指す。アルケニル基は、一つの二重結合、二つの二重結合、三つの二重結合などを有していてもよい。他の実施形態でアルケニル基は2〜12個の炭素を有する。他の実施形態でアルケニル基は2〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルケニル基は2〜4個の炭素を有する。他の実施形態でアルケニル基はエテニル(−CH=CH2)である。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルなどである。アルケニル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0106】
「アルキニル」基は、一つの実施形態において、一つ又はそれ以上の三重結合を有する直鎖、分枝鎖及び環状の基を含む不飽和炭化水素を指す。アルキニル基は、一つの三重結合、二つの三重結合、三つの二重結合などを有していてもよい。他の実施形態でアルキニル基は2〜12個の炭素を有する。他の実施形態でアルキニル基は2〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキニル基は2〜4個の炭素を有する。他の実施形態でアルキニル基はエチニル(−CH≡CH2)である。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、シクロヘキシニルなどである。アルキニル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0107】
「アルコキシ」基は、他の実施形態において、上で定義したとおりのアルキル基であって、酸素に結合しているものを指す。アルコキシ基の例は、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどである。
【0108】
「ハロアルキル」基は、一つの実施形態において、上で定義したとおりのアルキル基であって、一つ又はそれ以上のハロゲン原子、例えばF、Cl、Br又はIによって置換されているものを指す。
【0109】
「アリール」基は、他の実施形態において、少なくとも一つの炭素環式芳香族基又は複素環式芳香族基を有する芳香族基を指し、これは、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、チオ又はチオアルキルから選ばれる一つ又はそれ以上の基によって置換されていてもよい。他の実施形態でアリール基は4〜12員環である。他の実施形態でアリール基は6〜18員環である。他の実施形態でアリール基は4〜8員環である。他の実施形態でアリール基は6員環である。他の実施形態でアリール基は、2〜3個の環を含む縮合環系である。アリール環の非限定例は、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリルなどである。
【0110】
「ヘテロアリール」基は、他の実施形態において、少なくとも一つの複素環式芳香族基を有する芳香族基を指し、これは、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、チオ又はチオアルキルから選ばれる一つ又はそれ以上の基によって置換されていてもよい。他の実施形態でヘテロアリール基は4〜12員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は6〜18員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は4〜8員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は6員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は、2〜3個の環を含む縮合環系である。ヘテロアリール環の非限定例は、ピロリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾチエニル、ナフトチエニル、プリニル、イソチアゾリル、フリル、フラザニル、イソベンゾフラニル(isobenznzofuranyl)、ピラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチイニル(phenoxyxanthiinyl)、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、イソインドリジニル、ベンゾチエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどである。
【0111】
「ヒドロキシル」基は、一つの実施形態において、OH基を指す。いくつかの実施形態で本発明の化合物のR1、R2又はR3がORであるときは、RはOHではない。
【0112】
一つの実施形態で用語「ハロ」とは、ハロゲン、例えばF、Cl、Br又はIを指す。
【0113】
他の実施形態において「フェノール」の言葉は、ベンゼンのアルコール(OH)誘導体を指す。
【0114】
「アミノ」基は、一つの実施形態において、水素原子、上記のようなアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基、又はこれらの組合せが単結合によって結合した窒素原子を指す。アミノ基の非限定例は、NH2、N(Me)2、N(Et)2、N(Ph)2などである。
【0115】
「シクロアルキル」基は、一つの実施形態において、炭素及び水素原子を含む非芳香族の単環又は多環を指す。炭素−炭素二重結合が存在することによって環が芳香族にならない限り、シクロアルキル基は、一つ又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を環中に持つことができる。シクロアルキル基の例は、(C3−C7)シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル及びシクロヘプチル、並びに飽和環式及び二環式テルペン並びに(C3−C7)シクロアルケニル基、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロへキセニル及びシクロヘプテニル、並びに飽和環式及び二環式テルペンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、シクロアルキル基は、単環、或いは炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素又はこれらの任意の組合せを環の一部として含む環構造との二環性である。他の実施形態でシクロアルキルは3〜12員環である。他の実施形態でシクロアルキルは6員環である。他の実施形態でシクロアルキルは5〜7員環である。他の実施形態でシクロアルキルは4〜8員環である。他の実施形態でシクロアルキル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0116】
「ヘテロシクロアルキル」基は、一つの実施形態において、炭素、及びこれに加えて硫黄、リン、酸素又は窒素を環の一部として含む非芳香族の単環又は多環を指す。二重結合が存在することによって環が芳香族にならない限り、ヘテロシクロアルキル基は、一つ又はそれ以上の二重結合を環中に持つことができる。ヘテロシクロアルキル基の例は、ピペリジン、ピペラジン、ピラン、モルホリンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、ヘテロシクロアルキル基は、単環、或いは炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素又はこれらの任意の組合せを環の一部として含む環構造との二環性である。他の実施形態でヘテロシクロアルキルは3〜12員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は6員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は5〜7員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は4〜8員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。他の実施形態でへテロシクロアルキルは、環状尿素、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリドニル、イソオキサゾリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジン、モルホリニルである。
【0117】
用語「アルキルアルコキシ」、「アルキルハロアルキル」、「アルキルアリール」、「アルキルシクロアルキル」、「アルキルへテロシクロアルキル」、「アルキルヘテロアリール」及び「アルキルアミノ」とは、一つの実施形態において、上で定義したとおりのアルキル基であって、それぞれアルコキシ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアミノ基に結合しているものを指す。アルコキシ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアミノ基は、上で定義したとおりである。これらの例は、CH2−OEt、CH2−N−ピペリジン、CH2−N−ピペラジン、CH2−N(Me)2などを含むが、これらに限定されない。
【0118】
他の実施形態において、式I〜IVの主の芳香環との縮合へテロシクロアルキルは、フェニルピロリドン基を形成する。他の実施形態において、式I〜IVの主の芳香環との縮合アリールは、ナフタレン基を形成する。他の実施形態において、式I〜IVの主の芳香環との縮合へテロアリールは、キノリン又はイソキノリン基を形成する。
【0119】
一つの実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、プロドラッグ、多形体、不純物、若しくは結晶、又はこれらの任意の組合せの使用を規定する。
【0120】
一つの実施形態で用語「異性体」は、光学異性体及び類似体、構造異性体及び類似体、配座異性体及び類似体などを含むが、これらに限定されない。
【0121】
一つの実施形態で用語「異性体」は、トリフェニル化合物の光学異性体を包含することを意図する。本発明は、本明細書で記載するテロメラーゼ発現及び/又は活性状態の処置で有用な特性を持つあらゆるラセミ体、光学活性体、多形体若しくは立体異性体、又はこれらの混合物を包含すると理解されるべきである。一つの実施形態でトリフェニル化合物は純粋な(R)−異性体である。他の実施形態でトリフェニル化合物は純粋な(S)−異性体である。他の実施形態でトリフェニル化合物は、(R)及び(S)異性体の混合物である。他の実施形態でトリフェニル化合物は、等量の(R)及び(S)異性体を含むラセミ混合物である。該分野で光学活性体の作り方は良く知られている(例えば再結晶技術によるラセミ体の分割によるもの、光学活性の出発材料からの合成によるもの、キラル合成によるもの、又はキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離によるもの)。
【0122】
本発明は、本発明の化合物の「薬学的に許容し得る塩」を含み、これは、一つの実施形態では、製造されてアルカリ金属塩を形成することができ、及び遊離酸又は遊離塩基の付加塩を形成することができる。本発明の化合物の適切な薬学的に許容し得る酸付加塩は、無機酸から、又は有機酸から製造することができる。一つの実施形態で無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。一つの実施形態で有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式のカルボン酸及びスルホン酸の有機酸類から選択することができ、これらの例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン(glucoronic)酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン(p-toluenesulphonic)酸、メシル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、シクロへキシルアミノスルホン酸、アルギン(algenic)酸、ガラクツロン酸である。一つの実施形態において、本発明の化合物の適切な薬学的に許容し得る塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から製造される金属塩、又はN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、コリン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから製造される有機塩を含む。全てのこれらの塩は、通常の手段によって、対応する化合物から製造することができる。
【0123】
薬学的に許容し得る塩は、別の実施形態において、無機塩基、例えば水酸化ナトリウムでの処置によってフェノール化合物から製造することができる。他の実施形態において、脂肪族及び芳香族カルボン酸を用いて、フェノール化合物のエステル、例えば酢酸及び安息香酸エステルを製造することができる。
【0124】
本発明は、本明細書で記載する化合物のアミノ置換体のN−オキシドの使用も含む。
【0125】
本発明は、本明細書で記載する化合物の誘導体の使用を規定する。一つの実施形態で「誘導体」は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミド誘導体、エステル誘導体などを含むが、これらに限定されない。他の実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物の水和物の使用をさらに含む。一つの実施形態で「水和物」は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含むが、これらに限定されない。
【0126】
本発明は、別の実施形態で、本明細書で記載する化合物の代謝産物の使用を提供する。一つの実施形態で「代謝産物」とは、他の物質から代謝又は代謝プロセスによって製造されるあらゆる物質を意味する。
【0127】
本発明は、別の実施形態で、本明細書で記載する化合物の医薬品の使用を提供する。用語「医薬品」とは、別の実施形態で、例えば本明細書で記載しているような医薬用途に適している組成物(医薬組成物)を指す。
【0128】
いくつかの実施形態で本発明は、細胞又は組織中のテロメラーゼ活性及び/又は発現を増加させるため;及び/又は対象の細胞又は組織中でテロメラーゼ活性及び/又は発現を増加させることによって状態を処置するため;及び/又は表皮の急性又は慢性状態を処置するため;及び/又は寿命延長のため;及び/又は粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧又は動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患を処置するため;及び/又は加齢性黄斑変性及び/又は皮膚の加齢性疾患を処置するため;及び/又は加齢性及びストレス関連性の免疫系障害を処置するため;及び/又は感染−耐性菌(infection-resistant organisms)に対する免疫応答を強化するための、本発明の化合物を含む組成物又は本発明の化合物の使用を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態で本発明は、黄体期欠損又は早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)を含む女性不妊症に関連する状態を処置するため;及び/又は減少した顆粒膜細胞テロメラーゼ活性のため;及び/又は精子形成障害(impaired sperm production)又は精子送達障害(impaired sperm delivery)を含む男性不妊症に関連する状態を処置するため;及び/又は体外受精(IVF)技術の補助剤として;及び/又は精子の質及び/又は卵子の質を高めるために、本発明の化合物を含む組成物を提供する。例えば、及びいくつかの実施形態で、本発明の組成物は、エクスビボ培養物における胚盤胞生存度を伸ばし、次に着床効率を高める。本明細書で記載する化合物での個体群の処置は、いくつかの実施形態でそれらを他のIVF療法に対してより受容的にするか、又はいくつかの実施形態で組み合せられた療法又は新規化合物の評価を可能にする。
【0130】
一つの実施形態で本発明は、本発明の化合物、又は本明細書で記載する前記化合物を含む組成物を使用する処置方法を提供する。いくつかの実施形態で本発明は、表示した疾患、障害又は状態を処置するための本発明の化合物の使用方法を提供し、及び前記化合物を含む組成物の使用を含む。
【0131】
一つの実施形態で本発明は、本明細書で記載するあらゆる化合物、及び任意に他の治療薬、又は前記の物を含む組成物の投与を介して、とりわけ、(a)アルツハイマー病;(b)パーキンソン病;(c)ハンチントン病;(d)卒中;(e)神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害;(f)皮膚の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成若しくは形成不全、老人性黒子、色素沈着異常、白髪化及び脱毛若しくは髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍;(g)変性関節疾患;(h)骨粗鬆症、変形性関節症、及び骨格系の他の変性状態;(i)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患;(j)加齢性黄斑変性;(k)AIDS;(l)自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及びストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態;(m)創傷、熱傷、擦過傷、又は表皮の他の急性若しくは慢性状態の治癒;(n)先天性角化異常症(dyskeratosis congenital);o)黄体期欠損;p)早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症);q)精子形成障害又は精子送達障害;r)感染−耐性菌による感染の、重症度を処置、抑制、阻害、減少させる方法、発生率を減少させる方法、病変形成を減少させる方法、又は発症を遅延させる方法を提供する。
【0132】
一つの実施形態で用語「処置する(treating)」又は「処置(treatment)」は、予防措置、及び障害の軽減(remittive)措置を含む。用語「減少させる(reducing)」、「抑制する」及び「阻害する」は、疾患、障害又は状態の発生率、重症度又は病変形成を、他の実施形態では和らげる若しくは低減する(decreasing)という通常理解される意味、又は他の実施形態では遅延させるという意味、又は他の実施形態では減少させる(reducing)という意味を有する。実施形態で処置という用語は、疾患、障害又は状態に関連する症状の進行遅延、緩解持続、発生率減少、又は改善を指す。一つの実施形態で用語「処置する」、「減少させる」、「抑制する」及び「阻害する」とは、表示した疾患、障害又は状態に関連する罹患率、死亡率又はこれらの組合せの減少を指す。一つの実施形態で用語「進行」とは、範囲若しくは重症度の増加、進展、増殖、悪化を指す。用語「再発(recurrence)」とは、他の実施形態で、緩解後の疾患の再発(return)を意味する。本発明の処置方法は、一つの処置方法で疾患の重症度、若しくは他の実施形態で疾患に関連する症状を減少させるか、又は他の実施形態で疾患中に表れるバイオマーカー数を減少させる。
【0133】
用語「処置する」及びそれに含まれる側面は、一つの実施形態で、表示した疾患、障害若しくは状態を持つ対象、又はいくつかの実施形態で、表示した疾患、障害若しくは状態に罹患しやすい対象への投与を指す。用語「罹患しやすい」とは、とりわけ、表示した疾患の発生率、重症度などの傾向又は統計的増加に関連する遺伝的プロファイル又は家族関係を指すと考慮されるべきである。いくつかの実施形態で用語「罹患しやすい」とは、とりわけ、表示した疾患のリスク増加に関連するライフスタイルを指すと考慮されるべきである。いくつかの実施形態で用語「罹患しやすい」とは、とりわけ、表示した疾患に関連する、例えば癌のバイオマーカーの存在を指すと考慮されるべきであり、癌に「罹患しやすい」という用語は、表示した癌に対する前癌前駆体の存在を含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態で用語「病変形成を減少させる」とは、特定の疾患、障害又は状態に関連する組織障害又は臓器障害を減少させることを包含すると理解されるべきである。他の実施形態で用語「病変形成を減少させる」とは、問題となることと共に、関連疾患、障害又は状態の発生率又は重症度を減少させることを包含すると理解されるべきである。他の実施形態で用語「病変形成を減少させる」とは、表示した又はそれと関連する症状を持つ関連疾患、障害又は状態の数を減少させることを包含すると理解されるべきである。
【0135】
用語「投与する」とは、他の実施形態で、対象に本発明の化合物を接触させることを指す。投与は、インビトロで、即ち試験管内で、又はインビボで、即ち生物(例えばヒト)の細胞若しくは組織内で成し遂げることができる。一つの実施形態で本発明は、本発明の化合物を対象に投与することを包含する。
【0136】
一つの実施形態で本発明の方法は、テロメラーゼ活性及び/又は発現を増加させ、それによって記載する効果を仲介するために有効な量で、テロメラーゼ酵素と接触する又は結合する本発明の記載の化合物を使用する。いくつかの実施形態で本発明の方法は、テロメラーゼ活性及び/又は発現の増加が望まれる細胞又は組織を同定する予備的ステップを含んでいてもよい。細胞は、培養物中、即ちインビトロ若しくはエクスビボでもよく、又は対象若しくは患者内のインビボでもよい。一つの実施形態で細胞又は組織中のテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加は、例えば接触した細胞の複製能力及び/又は寿命の増強を含む。
【0137】
医薬組成物
いくつかの実施形態で本発明は、記載する化合物を含む組成物の投与を含む使用方法を提供する。ここで使用する「医薬組成物」とは、薬学的に許容し得るキャリア又は希釈剤と共にある「治療に有効な量」の活性成分、即ち本発明の化合物を意味する。ここで使用する「治療に有効な量」とは、所定の状態及び投与療法に対して治療効果をもたらすその量を指す。
【0138】
いくつかの実施形態において本発明は、本明細書で記載する任意の形式又は実施形態で少なくとも一つの本発明の化合物を含み得る組成物を提供する。いくつかの実施形態において用語「a」は、表示した材料の一つ又は複数を包含すると理解されるべきである。いくつかの実施形態において用語「a」又は「an」は、少なくとも一つを指す。
【0139】
いくつかの実施形態において、あらゆる本発明の組成物は、本明細書で記載する任意の形式又は実施形態で、本発明の化合物からなることがある。いくつかの実施形態において本発明の組成物は、本質的に、本明細書で記載する任意の形式又は実施形態で、本発明の化合物からなることがある。
【0140】
いくつかの実施形態で用語「含む」とは、本発明の化合物のような表示した活性薬の含有、並びに医薬産業で知られているような他の活性薬、及び薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤、緩和剤、安定剤などの含有を指す。いくつかの実施形態で本発明のあらゆる組成物は、本明細書で記載するような任意の形式又は実施形態で、式I〜XVIの化合物を含むことがある。いくつかの実施形態で本発明のあらゆる組成物は、本明細書で記載するような任意の形式又は実施形態で、式I〜XVIの化合物からなることがある。いくつかの実施形態で本発明の組成物は、本明細書で記載するような任意の形式又は実施形態で、本質的に本発明の化合物からなることがある。いくつかの実施形態で用語「含む」とは、本発明の化合物のような表示した活性薬の含有、並びに医薬産業で知られているような他の活性薬及び薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤、緩和剤、安定剤などの含有を指す。いくつかの実施形態で用語「本質的にからなる」とは、唯一の活性成分が表示した活性成分である組成物を指す;但し製剤の安定化、保存などに供するが、表示した活性成分の治療効果に直接関係しない別の化合物は含まれていてもよい。いくつかの実施形態で用語「本質的にからなる」とは、同等の活性機序又は同等の分子標的を有する唯一の活性成分が、表示した活性成分である組成物を指す;但し別の活性成分を組み込んでもよく、そのような二次的な活性成分は、異なる標的に対して又は一時的な緩和能で作用する。いくつかの実施形態で用語「本質的にからなる」とは、活性成分の放出を促進する成分を指すことがある。いくつかの実施形態で用語「からなる」とは、唯一の活性成分としての本明細書で記載する化合物、及び薬学的に許容し得るキャリア又は賦形剤を含有する組成物を指す。
【0141】
他の実施形態で本発明は、本明細書で記載する本発明の化合物、又はそのプロドラッグ、類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、多形体、結晶、不純物、N−オキシド、エステル、水和物、又はこれらの任意の組合せ、及び適したキャリア又は希釈剤を含む組成物を提供する。
【0142】
活性成分は、中和された薬学的に許容し得る塩の形態で、組成物に配合することができる。薬学的に許容し得る塩は、無機酸、例えば塩酸若しくはリン酸、又は有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などと形成される酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基から形成される塩は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄、及び有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導させることもできる。
【0143】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、当業者に知られているあらゆる方法によって、例えば経口的に、非経口的に、血管内に、癌近傍に(paracancerally)、経粘膜的に(transmucosally)、経皮的に、筋肉内に、鼻腔内に、静脈内に、皮内に、皮下に、舌下に、腹腔内に、脳室内に、頭蓋内に、腟内に、吸入によって、直腸に、腫瘍内に、又は組換えウィルス/組成物を組織に送達することができるあらゆる手段(例えば針又はカテーテル)によって、対象に投与することができる。代わりに局所投与が、粘膜細胞への適用のため、皮膚又は眼の適用のために望ましいことがある。他の投与方法は、吸引又はエアロゾル製剤を介する。
【0144】
本発明の組成物は、一つの実施形態では経口デリバリー用に配合され、その中で活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれていてもよく、摂取できる錠剤(ingestible tablets)、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハなどの形態で使用してもよい。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどは、以下のものを含有することもできる:結合剤、例えばガムトラガント、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチン;賦形剤、例えばリン酸水素カルシウム(dicalcium phosphate);崩壊剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;及び甘味剤、例えばスクロース、ラクトース又はサッカリン、又は香味料、例えばペパーミント、ウインターグリーン油、又はチェリー香味料。投与単位の形態がカプセルである場合、それは、上記種類の材料に加えて液体キャリアを含有していてもよい。様々な他の材料が、コーティングとして、又は投与単位の物理的形態を他の状態に修正するために、存在していてもよい。例えば、錠剤、丸剤又はカプセルは、セラック、糖又はその両方でコートすることができる。エリキシル剤のシロップは、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存料としてのメチル及びプロピルパラベン、染料、及びチェリー又はオレンジフレーバーのような香味料を含有していてもよい。さらに活性化合物は、徐放性、パルス放出性(pulsed release)、放出制御性、又は延長放出性(postponed release)薬剤及び製剤に組み込むことができる。
【0145】
他の実施形態で本発明の組成物は、一つ又はそれ以上の薬学的に許容し得るキャリア材料を含む。
【0146】
一つの実施形態において該組成物中で使用されるキャリアは、生体適合性であり、他の実施形態では生分解性である。別の実施形態で製剤は、一つの活性成分の放出を比較的一定のレベルにすることができる。しかし別の実施形態では、投与直後でより急速な放出が望まれることがある。別の実施形態で活性化合物の放出は、イベント駆動(event-triggered)でもよい。活性化合物の放出を駆動するイベントは、一つの実施形態では同じでもよく、又は他の実施形態では異なっていてもよい。活性成分の放出を駆動するイベントは、一つの実施形態では水分暴露、他の実施形態では低pH、又は他の実施形態では温度閾値であり得る。該組成物の処方は、公知の技術を使用する該分野の通常の技術レベル内で充分である。これに関して有用な例証となるキャリアは、ラクチド−グリコリド共重合体、ポリアクリレート、ラテックス、スターチ、セルロース、デキストランなどの微粒子を含む。別の例証となる延長放出性キャリアは、超分子バイオベクターを含み、これは非液状の親水性コア(例えば架橋した多糖類又はオリゴ糖類)と、任意に両親媒性化合物、例えばリン脂質を含む外層とを含む。一つの実施形態おいて徐放性製剤中の活性化合物の含有量は、投与部位、放出の速度及び期待される持続時間、並びに処置、抑制、又は阻害される状態の性質に依存する。
【0147】
一つの実施形態において、本明細書に開示する組成物は、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、又はさらに腹腔内に送達されることが望ましい場合がある。そのようなアプローチは、当業者に良く知られており、それらのいくつかは、例えば米国特許第5,543,158号、米国特許第5,641,515号及び米国特許第5,399,363号にさらに記載されている。これらの全ては言及することによって、本明細書に完全に組み込まれる。或る実施形態において、遊離塩基又は薬学的に許容し得る塩としての活性化合物の溶液を、界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースと適切に混合された水中で製造することができる。分散物も、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中、並びに油中で製造することができる。それは、製造及び保存条件下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌類及び真菌類の汚染作用に対して保護されなければならない。
【0148】
他の実施形態において、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいことがある。別の実施形態において、注射可能な組成物の持続的吸収が望ましいことがある。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばアルミニウムモノステアレート及びゼラチンを組成物中で使用することによって達成することができる。
【0149】
非経口ビヒクルは、或る実施形態において、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液及び不揮発油を含む。静脈内ビヒクルは、リンゲルデキストロースをベースとするもののような液体及び栄養補充液(nutrient replenishers)、電解質補充液などを含む。保存料及び他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、照合剤(collating agents)、不活性ガスなども存在していてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態において本発明の化合物は、対象、一つの実施形態では患者に様々な投与量で投与することができる。一つの実施形態で本発明の化合物は、1日あたり0.1〜200mgの投与量で投与される。本発明の化合物は、一つの実施形態で0.1〜10mg、又は他の実施形態で0.1〜25mg、又は他の実施形態で0.1〜50mg、又は他の実施形態で0.3〜15mg、又は他の実施形態で0.3〜30mg、又は他の実施形態で0.5〜25mg、又は他の実施形態で0.5〜50mg、又は他の実施形態で0.75〜15mg、又は他の実施形態で0.75〜60mg、又は他の実施形態で1〜5mg、又は他の実施形態で1〜20mg、又は他の実施形態で3〜15mg、又は他の実施形態で1〜30mg、又は他の実施形態で30〜50mg、又は他の実施形態で30〜75mg、又は他の実施形態で100〜2000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態で本発明の化合物は、当業者が認識するように、時間、又は疾患/症状/状態の重症度、又は年齢、又は他の因子に応じて異なる投与量で投与してもよい。
【0151】
本発明の化合物は、様々な投与量で投与することができる。一つの実施形態で本発明の化合物は1mgの投与量で投与される。本発明の化合物は、他の実施形態で5mg、又は他の実施形態で3mg、又は他の実施形態で10mg、又は他の実施形態で15mg、又は他の実施形態で20mg、又は他の実施形態で25mg、又は他の実施形態で30mg、又は他の実施形態で35mg、又は他の実施形態で40mg、又は他の実施形態で45mg、又は他の実施形態で50mg、又は他の実施形態で55mg、又は他の実施形態で60mg、又は他の実施形態で65mg、又は他の実施形態で70mg、又は他の実施形態で75mg、又は他の実施形態で80mg、又は他の実施形態で85mg、又は他の実施形態で90mg、又は他の実施形態で95mg、又は他の実施形態で100mgの投与量で投与される。
【0152】
本発明の化合物を、唯一の活性医薬品として投与することができ、一方、それらを、当業者が理解しているような、一つ又はそれ以上の別の化合物と組み合わせて、及び/又は疾患、障害及び/又は状態の処置及び/又は予防で使用される別の薬と組み合わせて使用することもできる。他の実施形態で本発明の化合物を、一つ又はそれ以上のそのような薬と順次投与して、持続性の治療及び予防効果を与えることができる。他の実施形態で化合物を、異なる経路、異なる時間、又はこれらの組合せで投与することができる。
【0153】
さらに本発明の化合物を、単独で、又は状態、疾患若しくは障害を予防若しくは処置するための別の様式と組み合わせてのいずれかで、使用することができる。いくつかの実施形態でそのような別の処置様式は、処置される状態に対して適切である手術、照射、ホルモン補給、食事制限、創面切除などを限定無しで含み得る。これらは、順次(例えば手術又は照射の後に本発明の化合物を用いた処置)、又は組合せ(例えば食事療法に加えて)で行うことができる。
【0154】
付加的な活性薬を、一般に、PHYSICIANS' DESK REFERENCE (PDR) 53rd Edition (1999) に示されているような治療量で、又は当業者に知られているような治療に有用な量で用いることができる。本発明の化合物及び治療に活性のある別の薬を、推奨される最大の臨床的投与量、又はより少ない用量で投与することができる。本発明の組成物中の活性化合物の投与量レベルは、投与経路、疾患の重症度、及び患者の応答性に応じて望ましい治療応答を得るために変えることができる。併用薬を、別々の組成物として、又は両方の薬を含有する単一投与形態として投与することができる。併用薬として投与するとき、治療薬を、同じ時間又は異なる時間で与えられる別々の組成物として処方することができ、又は治療薬を単一の組成物として与えることもできる。
【0155】
医薬組成物は、本発明の化合物だけを含むことができ、又はさらに薬学的に許容し得るキャリアを含むことができ、そしてそれは、固体又は液状剤形、例えば錠剤、粉剤、カプセル、ペレット、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エマルション、ゲル、クリーム、又は直腸及び尿道坐剤を含む坐剤であり得る。薬学的に許容し得るキャリアは、ガム、スターチ、糖、セルロース系材料、及びこれらの混合物を含む。本発明の化合物を含有する薬剤は、例えばペレットの皮下埋め込みによって対象に投与することができ;さらなる実施形態でペレットは、ある期間にわたって本発明の化合物を制御放出する。液体薬剤の静脈内、動脈内、若しくは筋肉内注射、液体若しくは固体薬剤の経口投与、又は局所適用によって、薬剤を投与することもできる。投与は、直腸坐剤又は尿道坐剤を使用することによっても達成することができる。医薬組成物は、非経口製剤であってもよく;一つの実施形態で製剤は、本発明の化合物の複合体を含むリポソームを含む。
【0156】
本発明の医薬組成物を、公知の溶解、混合、顆粒化、又は錠剤形成法によって製造することができる。経口投与用に、本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N−オキシドなどは、この目的のために通常の添加剤、例えばビヒクル、安定剤又は不活性希釈剤と混合され、通常の方法によって投与に適切な形態、例えば錠剤、コーティングされた錠剤、ハード又はソフトのゼラチンカプセル、水溶性、アルコール性又は油性溶液に変えられる。適切な不活性ビヒクルの例は、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンのような結合剤と、又はコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤と、又はステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤と組み合わせたラクトース、スクロース又はコーンスターチのような通常の錠剤基剤である。適切な油性ビヒクル又は溶剤の例は、植物又は動物油、例えばヒマワリ油又は魚肝油である。薬剤を、乾燥及び湿潤顆粒の両方として生じさせることができる。非経口投与(皮下、静脈内、動脈内、又は筋肉内注射)のために、本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N−オキシドなどは、必要に応じて、この目的のために通常且つ適切である物質、例えば可溶化剤又は別の助剤を用いて、溶液、懸濁液又はエマルションに変えられる。その例は、界面活性剤が添加されている又は添加されていない水及び油のような滅菌液、並びに別の薬学的に許容し得るアジュバントである。例証となる油は、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば落花生油、大豆油又は鉱油である。一般に、水、食塩水、ブドウ糖水及び関連する糖溶液、並びにグリコール、例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコールが、特に注射可能な溶液のための好ましい液状キャリアである。
【0157】
活性成分を含有する医薬組成物の調製は、該分野でよく理解されている。典型的にそのような組成物は、鼻咽腔に送達されるポリペプチドのエアロゾルとして、又は注射可能な溶液若しくは懸濁液のいずれかとして調製されるが、しかし注射前に液中の溶液又は懸濁液のために適した固体剤形も調製することができる。調製は乳化してもよい。活性治療成分は、薬学的に許容でき、且つ活性成分と適合する賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤は、例えば水、食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、及びこれらの組合せである。さらに所望により、組成物は、活性成分の有効性を高める少量の補助物質、例えば湿潤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有することができる。
【0158】
例えばクリーム、ゲル、点滴剤などを使用して体表面に局所投与するために、本発明の化合物又はそれらの生物学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N−オキシドなどは、医薬キャリアと共に又はこれ無しで、生物学的に許容し得る希釈剤中の溶液、懸濁液又はエマルションとして調製及び適用される。
【0159】
他の実施形態で活性化合物を、小胞、特にリポソームに送達することができる(参照 Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Treat et al., Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書, pp. 317-327; 一般に同書参照)。
【0160】
一つの実施形態で本発明は、併用薬剤を提供する。特に、一つの実施形態で用語「併用薬剤」とは、上で定義したような組合せ相手を、独立に服用できるか、又は顕著な量の組合せ相手を含む異なる一定の組合せを使用することによって、即ち同時に、同時発生的に、別々に又は順次的に、服用できるという意味で「パーツキット(kit of parts)」を意味する。いくつかの実施形態でパーツキットのパーツを、例えば同時に、又は経時的にずらして、即ちパーツキットの任意のパーツについて異なる時点及び等しい又は異なる時間間隔で投与することができる。併用薬剤中の組合せ相手の総量の比率は、いくつかの実施形態で管理され得る。一つの実施形態で併用薬剤は、例えば処置される患者の分集団の要求、又は一人の患者の要求に対処するために変わり得る。これらの異なる要求は、当業者によって容易に理解され得る特定の疾患、疾患の重症度、年齢、性別又は体重によるものであり得る。
【0161】
本発明は、当業者に認識されるように必要に応じて、あらゆる疾患、障害又は状態に対する本明細書で記載するような組成物及び組み合わせた治療に関することは理解されるべきである。そのような組成物及び組み合わせた治療の或る適用は、特定の疾患、障害及び状態に対して上で記載され、これは本発明の実施形態を描写する。そしてそのような対象の疾患、障害及び状態を、本明細書で記載する化合物を単独で若しくは組み合わせた治療の一部として投与することによって、又は本発明の組成物を使用することによって、処置する方法は、本発明の追加の実施形態を描写する。
【0162】
テロメラーゼ活性化及び/又は発現によって影響を受け得る状態又は疾患の処置
いくつかの実施形態で本発明は、高められたテロメラーゼ発現及び/又は活性によって影響を受け得る状態及び/又は疾患を処置するための、化合物、及び前記化合物を含む医薬組成物を提供する。これらの化合物は、テロメラーゼ酵素と相互作用し、対象の組織及び細胞中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性を刺激及び/又は増加させる。いくつかの実施形態では、そのような活性は減少しているか、又は欠けており、その結果、対象の疾患、障害又は状態と関連する増大した病変形成又は症状が発生する。そのような疾患、障害又は状態は、とりわけ、以下のものを含み得る:a)アルツハイマー病;b)パーキンソン病;c)ハンチントン病;d)卒中;e)神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害;f)皮膚の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成若しくは形成不全、老人性黒子、色素沈着異常、白髪化及び脱毛若しくは髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍;g)変性関節疾患;h)骨粗鬆症、変形性関節症、及び骨格系の他の変性状態;i)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患;j)加齢性黄斑変性;k)AIDS;l)自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及びストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態;m)創傷、熱傷、擦過傷、又は表皮の他の急性若しくは慢性状態の治癒;n)先天性角化異常症;o)筋肉減少症及び/又は他の筋疾患若しくは状態;p)黄体期欠損;q)早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症);r)精子形成障害;s)精子送達障害;及び/又はt)メモリーT細胞中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、それによる免疫記憶応答及びワクチンに対する応答の強化;及び/又はu)健常組織中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、そうして前記対象を良好な健康状態に維持しながら行う対象寿命の延長、及び/又は別の臨床的な治療及び/又は診断領域の拡大。これらは、本明細書で記載する用語「処置」に包含されるもののあらゆる実施形態を含む。
【0163】
いくつかの実施形態で本発明は、細胞又は組織と本発明の化合物を含む組成物とを接触させることによって、細胞又は組織中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させる方法を提供する。一つの実施形態で該方法は、テロメラーゼ発現及び/又は活性の増加が望まれる細胞又は組織を同定するステップを含んでもよい。
【0164】
テロメラーゼは、正常な体細胞中では典型的に低レベルで検出される。皮膚、リンパ球組織、子宮内膜組織、毛包及び腸陰窩、活性有糸分裂細胞、並びに幹細胞中で、テロメラーゼ発現及び/又は活性は、低レベルで発現する。テロメラーゼ発現及び/又は活性は、転写、mRNAスプライシングを含む異なる分子レベルで、並びにテロメア逆転写酵素(TERT)及びテロメアRNA成分(TERC)の成熟及び修飾を介して制御される。
【0165】
一つの実施形態で本発明の化合物及び組成物はテロメラーゼを活性化させ、そのため本明細書で記載する方法は有用である。
【0166】
細胞中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させる化合物の能力は、TRAP(テロメア反復増幅プロトコル)アッセイを使用して検出することができ、これは、該分野で知られている(例えばKim ら、米国特許第5,629,154号;Harley ら、米国特許第5,891,639号)。その活性は、典型的に、そのような細胞の対照アッセイ中で同様に測定される活性と比較される(例えば、溶媒対照で観察されるよりも50%大きいテロメラーゼ活性)。そのアッセイに使用するために適した細胞株は、正常ヒト線維芽細胞(Now)又は正常ヒトケラチノサイト(NHK)を含み得る。
【0167】
いくつかの実施形態でテロメア長は、テロメラーゼ発現及び/又は活性に対して有用な指標として機能し得る。一つの実施形態でテロメラーゼ発現及び/又は活性化は、癌、早期老化症候群又は体節性早老症、遺伝子異常、及び加齢性疾患の処置に重要である。テロメア長は、特定の疾患進行で明確な発現パターンを持ち、その活性化の関数であり、そのためその長さを処置の関数として測定することは、いくつかの実施形態で、異なる疾患の予後に関して価値がある。
【0168】
一つの実施形態でテロメア長は、サザンブロット、ハイブリダイゼーション・プロテクション・アッセイ、蛍光in situハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、プライムドin situ、定量ポリメラーゼ連鎖反応及び単一テロメア長解析によって測定することができ、これらは全て該分野で知られている技術である(Kah-Wai Lin and Ju Yan, J. Cell. MoI. Med., 2005, VoI 9, No .4, 977-989)。
【0169】
いくつかの実施形態で本発明は、対象中のテロメラーゼ発現及び/又は活性化によって影響を受け得る状態を処置する方法を提供し、該方法は、対象に有効量の本発明の化合物を投与することを含み、その中で該化合物は、対象の細胞又は組織中でテロメラーゼ発現及び/又は活性を刺激又は増強する。
【0170】
一つの実施形態でそのような状態では、例えばテロメラーゼの不存在下で、細胞老化に又は細胞増殖の増加した速度に関連する状態が含まれ得、これは、加速度的なテロメア反復損失を導く。用語「増殖の増加した速度」とは、その細胞型の正常細胞に比べて、又はその細胞型の別の個体内の正常細胞と比べて、細胞分割の速度がより高いことを指す。異常に早い年齢でのそれら細胞群の老化は、最終的に疾患につながり得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、テロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって処置され得る状態は、以下でさらに記載するように、適正な関連細胞型を用いるエクスビボ細胞治療において、本明細書で記載する化合物を使用することを含み得る。一つの実施形態で状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、卒中、神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、又は脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害であり、これらに適用し得る細胞は、ニューロン及び/又はグリア細胞を含む中枢神経系の細胞、例えば星状細胞、内皮細胞及び/又は線維芽細胞である。他の実施形態で状態は、小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスである。
【0172】
他の実施形態で状態は、皮膚の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成又は形成不全、老人性黒子及び/又は色素沈着異常、白髪化及び脱毛又は髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍であり、これらに適用し得る細胞は、線維芽細胞、皮脂腺細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、微小血管内皮細胞、及び/又は毛包細胞である。
【0173】
他の実施形態で状態は、変性関節疾患であり、これに用いることができる細胞は、関節軟骨の細胞、例えば軟骨細胞、並びに小窩(lacunal)及び/又は滑膜の線維芽細胞である。
【0174】
他の実施形態で状態は、骨粗鬆症、変形性関節症、及び/又は骨格系の他の変性状態であり、これらに適用し得る細胞は、骨格系の細胞、例えば骨芽細胞、骨髄間質若しくは間葉系細胞、及び/又は骨前駆細胞である。
【0175】
他の実施形態で状態は、筋肉減少症及び/又は筋系の他の変性状態であり、これらに適用し得る細胞は、筋細胞若しくはその前駆細胞、又は間葉系細胞である。
【0176】
他の実施形態で状態は、粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧又は動脈瘤を含む脈管系の加齢性及び/又はストレス関連性の疾患であり、これらに適用し得る細胞は、内皮細胞、平滑筋細胞、及び/又は外膜線維芽細胞を含む心臓及び脈管系の細胞である。
【0177】
他の実施形態で状態は、加齢性黄斑変性であり、これに用いることができる細胞は、眼の細胞、例えば色素上皮及び/又は血管内皮細胞である。
【0178】
他の実施形態で状態は、後天性免疫不全又はAIDSであり、これらに適用し得る細胞は、Tリンパ球、例えばCD4+又はCD8+T細胞である。他の実施形態で状態は、先天性免疫不全である。
【0179】
他の実施形態で状態は、移植片対宿主病(GVHD)である。他の実施形態で状態は、移植片対白血病(graft-versus leukemia disease)(GVL)である。
【0180】
他の実施形態で状態は、自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及び/又はストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態であり、これらに適用し得る細胞は、リンパ、骨髄及び赤血球系統中の細胞、例えばB及びTリンパ球、単球、循環及び特殊組織マクロファージ(circulating and specialized tissue macrophages)、好中球、好酸球、好塩基球、NK細胞、並びにそれらの前駆体を含む免疫系の他の細胞である。
【0181】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び/又は組成物は、疾患又は健康状態での免疫機能の改善に応用される。いくつかの実施形態で本発明の方法及び/又は組成物は、T細胞の活性、例えば細胞傷害性Tリンパ球の活性若しくは応答性、又はアネルギーからの救助を高めることに応用され、例えば感染又は腫瘍症における多発性疾患の処置に応用され得る。いくつかの実施形態でそのような方法及び/又は組成物は、通常の療法に対して高耐性である病原体、特に毒性菌、又は別の療法が利用できない菌、例えば多剤耐性菌を処置することにおいて特に有用である。
【0182】
他の実施形態で状態は、黄体期欠損を含む女性の妊孕性に関連するものであり、これには、正常な女性の月経周期の混乱が存在し、そして体が充分なプロゲステロンを産出せず、その結果、子宮の内層(子宮内膜)の発育遅延、又は早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)が生じ、これには、40歳よりも若い女性における卵巣の正常機能化の損失が存在する。
【0183】
他の実施形態で状態は、精子形成障害又は精子送達障害を含む男性の妊孕性に関連するものである。
【0184】
他の実施形態で、テロメラーゼ発現及び/又は活性の増加が治療的に有益であり得る細胞型は、肝臓の細胞、内分泌及び外分泌腺、平滑筋系、又は骨格筋系を含むが、これらに限定されない。
【0185】
一つの実施形態でAIDS疾患は、CD8+細胞の早期老化によって引き起こされると信じられている。そのような細胞の加齢は、単に細胞倍化(cell doubling)ごとの異常量のテロメア配列損失に起因するだけではなく、加えて、細胞の増加した複製速度に起因し、そうしてテロメア短縮は、その細胞群の正常のものより顕著である。従って本発明は、HIVに感染した対象を処置する方法、そのうえ特に、HIVに感染した対象中のHIV制限CD8+細胞の早期老化を減少させる方法を提供し、これらは、前記対象に本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0186】
一つの実施形態でテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加は、例えばストレスによる細胞死に対する感受性の増加と関連する状態、例えば心不全又は卒中における虚血において、非分裂細胞にも、増殖細胞にも有益であり得る(Schneider, J. MoI. Cell. Cardiol 34(7):717-24; Mattson, Exp Gerontol. 35(4):489-502)。本発明は、対象の細胞中でテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって、対象中のストレス又はDNA損傷誘発性の細胞死、例えば心不全又は卒中によって組織中で対象が経験する虚血性状態(subject experiencing ischemic conditions)を減少させる方法を提供し、これは、前記対象に本発明の化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0187】
一つの実施形態で本発明は、対象の寿命を延ばす方法を提供し、複製を続けるため、又はストレス誘発性の細胞死に抵抗するためのそれらの細胞の能力を伸ばすことによって、その対象の命を伸ばすことができる。そのような細胞群の一例は、ダウン症患者中に存在するリンパ球である。従って本発明は、ダウン症患者中に存在するリンパ球の複製能力及び/又は寿命を、患者の前記細胞中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって高める方法を提供し、これは、前記対象に本発明の化合物を含む組成物を投与することを含む。該組成物は、正常の加齢の間に生ずるストレス誘発性の細胞死に対する抵抗性を改善させるために使用することもできる。
【0188】
本発明は、一つの実施形態でテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させ、それによって創傷、熱傷、擦過傷、又は皮膚の他の急性又は慢性状態の治癒を促進する方法、いくつかの実施形態では特に表皮中での方法を提供する。従って本発明は、前記対象に本明細書で記載する化合物及び/又は前記化合物を含む組成物を投与することによって、皮膚の急性又は慢性状態を処置する方法を提供する。一つの実施形態で該組成物は、患部に局所投与される。
【0189】
他の実施形態で本発明の方法を介して処置される急性又は慢性の皮膚状態は、外傷、熱傷、擦過傷、外科的切開、ドナー移植部位で受ける病変、及び/又は感染性病原体によって引き起こされる病変を含み得る。
【0190】
他の実施形態で皮膚の急性又は慢性状態は、慢性の静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍、褥瘡、及び粘膜表面の潰瘍又はただれを含み得る。
【0191】
他の実施形態で皮膚の急性又は慢性状態は、持続性炎症状態若しくは感染によって、又は遺伝的欠陥(例えばハロゲン化物形成(Haloid formation)及び凝固異常)によって引き起こされる表面の病変を含み得る。
【0192】
一つの実施形態で、創傷、熱傷、擦過傷又は皮膚の他の急性若しくは慢性状態を治癒する方法は、本明細書で記載する化合物を含む組成物を投与して、処置部位での細胞増殖又は移動、適用療法の結果としてその部位での上皮細胞の密度増加、及びそれによって存在する場合には創傷の閉鎖、又は正常な生理機能の回復を刺激若しくは増強することを含む。
【0193】
一つの実施形態で本発明は、他の目的、例えば美容向上のための、皮膚の処置及び皮膚表面のあらゆる欠陥の修復を意図する。
【0194】
他の実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、UV照射から皮膚を保護するため、又はそれによる損傷の緩和処置のために用いることができる。
【0195】
他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、髪の状態の処置、髪の色、髪の輝き又は質の保持に使用することができる。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、脱毛処置に、又は植毛及び脱毛処置プロトコル(hair loss treatment protocols)を用いる補助的療法として、使用することができる。
【0196】
他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、農業用途に使用することができる。一つの実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、植物の収穫量を増加させるために使用することができ、これにおける一つの実施形態では果物の収穫が増加し、他の実施形態では果物の大きさが増大する。他の実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、乳牛のミルク生産を増加させるために使用することができ、一方、他の実施形態では卵の大きさを増大させることができる。他の実施形態で、ニワトリ、ウシ及びブタを含む肉用として飼育される家畜における肉の生産を増加させることができる。さらに他の実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、競馬産業で、雄馬及び雌馬の両方の繁殖能力を増加させるため、並びにより速い競走速度のための筋力及びスタミナを増加させるために使用することができる。
【0197】
一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、培養物中において、例えばエクスビボ細胞療法又はモノクローナル抗体産生で、細胞中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって、細胞の複製能力を高めるため、及び/又は寿命を延ばすために使用することができる。テロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることは、細胞増殖の間において、テロメア反復損失を遅らせること、及び/又はストレス誘発性の細胞死の抵抗性を改善することによって、そのような細胞の複製能力を増加させる。
【0198】
一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、同種異系細胞療法で有用であり得、この療法は、一つの実施形態で幹細胞移植、ドナー細胞移植又は癌免疫療法を含み得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、幹細胞の活性化及び/又は可動化に有用であり得る。例えば、及びいくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、エクスビボ培養物中における幹細胞生存の増強に有用であり得る。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、培養時間を延ばして、それによって細胞集団の増殖をサポートすることができ、次にこれは移植効率を高め、一方で別の実施形態で本発明の方法及び組成物は、細胞分化前の幹細胞期において、細胞生存率を増加させることができ、及び/又は細胞寿命を増加させることができる。いくつかの実施形態において本明細書で記載する化合物での集団の処置は、それらを、他の幹細胞操作、例えば形質転換又は形質導入に対してより受容的にする。
【0199】
一つの実施形態で幹細胞は胚幹細胞であってもよく、一方、他の実施形態で幹細胞は成体幹細胞であってもよい。一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、幹細胞をインビトロで培養するために有用であり得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、非幹細胞をインビトロで培養するために有用であり得る。一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、とりわけ膵ベータ細胞をインビトロで培養するために有用であり得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、再生医療のために有用であり得る。他の実施形態で幹細胞は、癌幹細胞であり得る。一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、再生不良性貧血の処置に有用であり得る。
【0200】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、外科、照射、化学療法、及び免疫療法の方法/化合物と組み合わせた癌の処置における、並びに別の癌療法に対する応答性の増強における補助的療法として有用である。いくつかの実施形態で本発明の化合物は、癌潜伏を抑制し、即ち活性状態の新生細胞を維持し、これによって癌細胞に対して毒性のある追加化合物がより有効になる。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、癌に対する補助的療法を含むときに、癌を持つ対象の生存見込みを増大させる。一つの実施形態で抗癌薬物処置であり得る薬物処置によって引き起こされる発達中の胚に対する障害を、いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は防ぐことができる。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、癌診断の開発に有用である。例えば、及びいくつかの実施形態で本発明の化合物は、検出し難い癌細胞集団を拡大させ、それらの検出を助け、それによって癌診断の手段/方法となる。いくつかの実施形態で、癌の病期は、本明細書で記載する化合物に対する応答性に反映し得る。
【0201】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、新規処置計画の開発に有用である。例えば、及びいくつかの実施形態で本発明の化合物は、検出し難い又は処置し難い癌細胞集団を拡大させ、次にこれは、特定の癌性細胞集団の処置に対してより適切な抗癌性化合物の設計を可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書で記載する化合物での集団の処置は、それらを別の抗癌療法に対してより感受的にするか、又はいくつかの実施形態において、組合せの療法又は新規化合物の評価を可能にする。
【0202】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、癌幹細胞増殖に有用であり、次にこれは、そのような細胞を含む癌の療法及び処置の開発に有用である。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物は、癌幹細胞増殖、疾患の病期(disease staging)及び癌の診断に有用である。
【0203】
一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、細胞の分化転換の促進に有用であり得、一方、他の実施形態でそれらは、細胞クローニング及び/又は形質導入若しくは形質転換に有用であり得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、細胞中でプラスミド又はネイキッドDNA取込み、リポソーム取込みなどの増強に有用であり得、その結果、いくつかの実施形態において、高められた核酸転換効率が得られる。
【0204】
一つの実施形態で本発明は、エクスビボ適用によって細胞の複製能力及び/又は寿命を増加させる方法を提供し、その中では本発明の化合物は、対象から得られた移植片細胞(explant cell)に添加され、それによって細胞の複製能力及び/又は寿命を増加させる。
【0205】
移植片細胞は、例えば幹細胞、例えば骨髄幹細胞(米国特許第6,007,989号)、骨髄間質細胞(Simonsen et al., Nat Biotechnol 20(6):592-6, 2002)、又は副腎皮質細胞(Thomas et al., Nat Biotechnol 18(l):39-42, 2000))を含み得る。本発明の疾患状態は、エクスビボ細胞療法(cell-based therapy)の対象でもあり得る。その例は、筋ジストロフィーを処置するための筋衛星細胞、骨粗鬆症を処置するための骨芽細胞、加齢性黄斑変性のための網膜色素上皮細胞、変形性関節症のための軟骨細胞などの使用を含む。
【0206】
一つの実施形態で本発明は、化合物、本発明の化合物を含む組成物を投与することを含む、先天性角化異常症を処置する方法を提供する。
【0207】
ジンサー−エングマン−コール(Zinsser-Engman-Cole)症候群としても知られている先天性角化異常症(DKC)は、網状皮膚色素過剰、爪ジストロフィー、及び口腔白板症の三組によって特徴付けられる稀な進行性骨髄機能不全症候群である。X連鎖DKC(DKC1)中で変異した遺伝子は、ジスケリン(dyskerin)と呼ばれる高度に保存された核小体タンパク質(a highly conserved nucleolar protein)をコードする。この障害におけるテロメラーゼ機能不全、リボソーム欠乏、及びタンパク質合成機能不全についての証拠が存在する。早死には、しばしば、骨髄機能不全、感染、致命的な肺合併症、又は悪性腫瘍が関連する。
【0208】
DKCを持つ患者は、正常な対照と比べて、減少したテロメラーゼ発現及び/又は活性化、並びにテロメアDNAの異常に短い束を有する。染色体安定性を維持するためのテロメア機能のために、テロメラーゼは、細胞老化及び癌進行の防止に重大な役割をはたす。DKC及び再生不良性貧血のサブセットの両方は、テロメラーゼ欠損によるものである。
【0209】
一つの実施形態で本発明は、幹細胞の増殖方法を提供し、この中で幹細胞集団は、本発明の化合物で処置され、それによって細胞集団の複製能力及び/又は寿命が高められる。
【0210】
いくつかの実施形態で本発明は、細胞老化(細胞老化に関連する状態を含むが、これに限定されない)を未然に防ぎ、且つ逆戻りさせるための治療薬として、本明細書で記載する化合物及び/又は組成物を使用することを規定する。いくつかの実施形態において本明細書で記載する化合物及び/又は組成物は、とりわけ診断、分析又はワクチン生産のために初代細胞培養を拡大させるため、或いは移植前(虚血時間の間、血液供給の断絶及び再開の間の時間)に器官/細胞の生存率を維持するために、細胞又は器官培地中で使用することができる。いくつかの実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物及び/又は組成物の使用を規定し、これは、移植用の細胞又は組織の生存延長に有用であり、及び/又はいくつかの実施形態でこれは、そのような移植片の取込みを大いに促進する。いくつかの実施形態でそのような性質は、特に、島若しくは骨髄細胞移植、幹細胞移植、又は再生医療のような用途で有用性を見出す。
【0211】
いくつかの実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物及び/又は組成物を、以下の細胞の刺激薬として使用することを規定する:(a)アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病及び卒中のような加齢性疾患に、又は神経障害、運動ニューロン疾患、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害(CVI)、例えば卒中の修復に、又は多発性硬化症(MS)のような疾患に関与する星状細胞、内皮細胞、および線維芽細胞を含む、中枢神経系中の複製能力を持つ細胞;(b)外皮の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成、老人性黒子、白髪化及び脱毛(禿頭症、禿髪症)、慢性皮膚潰瘍、角化症、及び創傷治癒の加齢性障害に関与し得る線維芽細胞、皮脂腺細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、及び毛包細胞を含む、外皮中の限られた複製能力を持つ細胞;(c)変性関節疾患に関与する軟骨細胞、並びに小窩及び/又は滑膜の線維芽細胞のような、関節軟骨中の限られた複製能力を持つ細胞;(d)骨粗鬆症に関与する骨芽細胞及び骨前駆細胞のような、骨中の限られた複製能力を持つ細胞;(e)加齢性免疫系障害に関与し得るB及びTリンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球、NK細胞、並びにそれらの前駆体のような、免疫系中の限られた複製能力を持つ細胞;(f)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性疾患に関与し得る内皮細胞、平滑筋細胞、及び外膜線維芽細胞を含む、脈管系中の限られた複製能力を持つ細胞;(g)肝疾患(硬変)、肺疾患、又は糖尿病に関与し得る肝臓、肺、膵臓(島細胞)を含むが、これらに限定されない、体器官中の限られた複製能力を持つ細胞;(h)卵胞細胞及び黄体細胞を含む、生殖器系中の限られた複製能力を持つ細胞;(i)コルチ器官の内側及び外側線毛聴覚細胞を含む、耳中の限られた複製能力を持つ細胞;並びに(j)加齢性黄斑変性に関与し得る色素上皮細胞及び血管内皮細胞のような、眼中の限られた複製能力を持つ細胞。
【0212】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより充分に説明するために示される。しかしそれらは、本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0213】
実施例
実施例1
化合物77の合成
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(4g、13mM)、ホルムアルデヒド(3.6g、120mM)及び40%のジメチルアミン水溶液(15mL)を、50mLの水及び60mLのEtOHの溶液に添加した。溶液を2.5時間還流した。溶媒の部分蒸発で白色固体を沈殿させ、これをろ過し、水で洗浄し、乾燥して、化合物77の白色固体7.85gを得た(収率93%、mp.=169°)。
【0214】
NMR CDCl3 δ 6.64(6H,s,ArH),3.40(12H,s,CH2),2.22(36H,s,N−CH3),2.06(3H,s,C−CH3).
【0215】
実施例2
化合物84の合成
化合物84を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。
【0216】
NMR CDCl3 δ 6.71(6H,s,ArH),3.58(12H,s,CH2),2.54(24H,q,J=7.0Hz),1.04(24H,t,J=7.0Hz).
【0217】
実施例3
化合物78の合成
20mLの水及び25mLのEtOH中の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(1.53g、5mM)、ホルムアルデヒド(1.35g、45mM)及び1−メチルピペラジン(2.5mL、50mM)を3時間還流した。蒸発で固体を得た。この固体は、TLC及びNMRによれば二つの生成物を含有し、これは出発物質ではなかった。ホルムアルデヒド(0.75g、25mM)及び1−メチルピペラジン(1.5mL、30mM)を、5mLの水及び10mLのEtOHに添加し、反応を4時間還流した。蒸発及び後処理(workup)で、3.3gの淡黄色乃至白色の固体を得た(収率67%、mp.63°)。エタノールに可溶、及び水への溶解度は非常に良好。
【0218】
NMR CDCl3 δ 6.67(6H,s,ArH),3.53(12H,s,CH2),2.44(48H,br.m,ピペラジン環),2.26(18H,s,N−CH3),2.00(3H,s,C−CH3).
【0219】
実施例4
化合物83の合成
化合物83を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。白色固体が得られた。mp.=178°。
【0220】
NMR CDCl3 δ 6.68(6H,s,ArH),3.55(12H,s,CH2),2.51(24H,br.t,N−CH2環),2.03(3H,s,C−CH3),1.55(24H,br.t,N−CH2環),1.42(12H,br.s).
【0221】
実施例5
化合物81の合成
化合物81を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。白色固体が得られた。mp.=135°。
【0222】
NMR CDCl3 δ 6.68(6H,s,ArH),3.61(12H,s,CH2),2.51(24H,br.t,N−CH2環),2.03(3H,s,C−CH3),1.76(24H,br.t,N−CH2環).
【0223】
実施例6
化合物82の合成
化合物82を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。白色固体が得られた。mp.=212°。
【0224】
NMR CDCl3 δ 6.68(6H,s,ArH),3.69(24H,t,J=4.5Hz,N−CH2環),3.52(12H,s,CH2),2.45(24H,br.t,O−CH2環),2.03(3H,s,C−CH3).
【0225】
実施例7
化合物79の合成
工程1:実施例1に記載の方法と類似する方法によって製造した化合物77(2.98g、4.6mM)を20mLの無水酢酸に添加し、100°に4時間加熱した。混合物を冷却し、水を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでCH2Cl2で抽出した。溶媒を蒸発させて、黄色油としてノナ−アセテート誘導体を得て、これをさらにクロマトグラフィー(シリカゲル;1%MeOH/CH2Cl2)で精製して、3.2gの粘性黄色油を得た(収率80%)。
【0226】
工程2:KOH(4g)水溶液を、20mLのEtOH中の工程1のノナ−アセテート(2.5g)の溶液に添加した。混合物を室温で20時間撹拌した。混合物をHClで酸性化し、CH2Cl2で抽出した。溶媒を蒸発させて2.2gの黄色油を得て、これをさらにカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;2%MeOH/CH2Cl2)で精製し、トルエン−ヘキサンから再結晶して、1gの化合物79を得た(収率53%、白色固体、mp 78°)。5%MeOH/CH2Cl2中のTLC−Rf=0.55。
【0227】
NMR CDCl3 δ 7.93(3H,s,OH),6.79(6H,s,Ar−H),4.54(12H,s,Ar−CH2),3.55(12H,q,J=7.0Hz,CH2),2.05(3H,s,C−CH3),1.22(18H,t,J=7.0Hz,CH3).
【0228】
実施例8
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ−フェニル)−エタン(化合物68)の合成
工程1:水10mL中のNaOH(1g、25mM)、及び硫酸ジメチル(5.1g、40mM)(モル比1:8)の溶液を、1時間かけて同時に少量ずつ、エタノール20mL及び水10mL中の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン(1.53g、5mM)の溶液に添加した。次いで溶液を1時間還流し、室温で70時間撹拌した。白色沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥して、1.74gの1,1,1−トリス(4−メトキシフェニル)−エタンを得た。50mLのエタノールからの2回の再結晶で、1.15gの白色結晶を得た(収率66%、mp.160°)。CH2Cl2中のTLC Rf=0.85。
【0229】
NMR CDCl3 δ 6.99,6.79(12H,ABq,JAB=8.8Hz),3.78(9H,S,OCH3),2.11(3H,S,CH3).
【0230】
工程2:22mLの1,2−ジクロロエタン中の工程1からの1,1,1−トリス(4−メトキシフェニル)−エタン(0.49g、1.4mM)の溶液に、5mLの1,2−ジクロロエタン中の臭素(1.65g、10.2)(比7.3:1)の溶液を少量ずつ添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、70°に3時間加熱し、後処理して(チオ硫酸ナトリウム)、1.0gの粗生成物を得た。TLCは出発物質を示さなかったが、NMRは混合物を示し、臭素化が不完全であることを示した(6.90ppmでm、及び4メトキシ)。固体を再び1gの臭素で臭素化し、18時間還流した。混合物を上記のように後処理し、熱エタノールで粉砕して、0.27gの白色固体を得た(収率23%、mp=160°)。CH2Cl2中のTLC Rf=0.95。
【0231】
NMR CDCl3 δ 7.16(6H,s,ArH),3.92,3.91(比6:4)(9H,2s,OCH3),2.04,2.03(比4:6)(3H,s,CH3).
【0232】
実施例9
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨード−フェニル)−エタンの合成
エタノール40mL及び水40mL中の氷冷した1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン(1.53g、5mM)に、KOH(2.2g、39.2mM)、これに続けてKI(5.8g、34.8mM)及びヨウ素(8.8g、34.7mM)を添加した。色が紫色から茶色に変化する。反応を室温で3時間撹拌した。混合物を砕いた氷に添加した。酸性pHにするために濃HClを添加し、チオスルフェート溶液で処理し、後処理した。蒸発で5.1gの淡褐色固体であるヘキサヨード生成物を得て、これに続けてエタノール中での粉砕によって3gの白色固体を得た(収率61%、mp=230°)。RF=0.8(5%MeOH−CH2Cl2中)。
【0233】
NMR CDCl3 δ 7.3(6H,s),5.77(br.s,OH),1.97(3H,s,CH3).
【0234】
実施例10
テロメラーゼを使用するDNA二本鎖断片の修復
テロメラーゼ活性化及び/又は発現を評価するために、DNA修復アッセイを行った。DNA断片はイオン照射によって発生させた。全ての化合物が修復を増加させた。これらの結果は、テロメラーゼ活性及び/又は発現が、ストレス状態に安定性をもたらしたことを示す。
【0235】
実施例11
線虫を用いた寿命延長に対するトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物の効果
線虫(エレガンス線虫(C. elegans))に、以下の表に提示するトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物を投与し、テロメラーゼ活性及び/又は発現を、線虫の寿命延長に関して測定した。線虫は、50ミクロモル濃度で活性化剤を用いて生育させ、二つの代表的分子である化合物68及び化合物77の平均値、最大値及び半減期(half-life)を、対照の値に対して測定した(図8)。値は平均寿命を表す。
【0236】
【化34】
【0237】
【表1−1】
【0238】
【表1−2】
【0239】
【化35】
【0240】
【表1−3】
【0241】
【化36】
【0242】
【表1−4】
【0243】
【表1−5】
【0244】
実施例12
ヒト神経膠芽腫細胞に対するトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物の効果
化合物1、62、68、77及び79(上記表を参照)を、神経膠芽腫細胞中のテロメラーゼ活性化及び/又は発現について調べた。化合物79及び68は、上記のようにして合成した。化合物1及び62は市販されている。1μMの核タンパク質(テロメラーゼ源として)を、テロメラーゼの特異的な反応混合物に添加し、テロメラーゼ反復増幅(TRAP)アッセイを、テロメラーゼ活性化剤(化合物79、68、1及び62)の不存在下及び存在下で行った。反応生成物を、PAGEで、次いでオートラジオグラフィーによって解析した。テロメラーゼ活性/発現%を計算した。
【0245】
U−251神経膠芽腫細胞を、異なる濃度の本発明の化合物で1又は3時間処置した。培地を除去し、細胞をPBSで数回洗浄した。Chaps核抽出を標準的な方法論によって行い、テロメラーゼ活性を、放射性ヌクレオチドを使用するTRAPによって検出した。TRAPアッセイによって観察したテロメラーゼ活性の結果を示すいくつかの実験の代表的な写真を、図1Aに示す。細胞は、1μM(レーン2及び4)、又は0.25μM(レーン3及び5)の化合物68で、1時間(レーン2−3)又は3時間(レーン4−5)、それぞれ処置した。レーン1は、ビヒクル処置のみを示す。複数の実験からのテロメラーゼ活性の定量化は、β−シンチレーションカウンターを使用して、テロメラーゼ生成物の全放射性標識を測定することによって行い、各サンプルのテロメラーゼ活性を、内部標準に対して計算した。(ビヒクルのみで処置した対照細胞からの)テロメラーゼ活性化割合を、本発明の化合物について検出した(図1B)。本発明の化合物は、処置細胞中でテロメラーゼ活性を有意に増加させ、その活性化レベルは、化合物の性質、濃度、本発明の化合物に対する細胞の暴露時間に依存した。
【0246】
テロメラーゼタンパク質レベルに対する本発明の化合物の効果、及びテロメラーゼに対する化合物68の単一用量の長期処置の効果は、細胞を様々な間隔(3〜24時間)で1μMの化合物に暴露させ、抗テロメラーゼ抗体を用いるウエスタンブロット解析によってテロメラーゼタンパク質レベルを検出することで試験した。化合物68は、処置細胞中のテロメラーゼタンパク質レベルを増加させる(図2A)。テロメラーゼの時間依存的増加が、処置1〜3時間での活性化ピークを伴って観察され、次いで徐々に減少した。テロメラーゼ活性レベルは、24時間後では、ビヒクル処置細胞で見出されるレベルに比べて、わずかに高いだけであった(図2B)。β−アクチンタンパク質レベル(下のパネル)又は他の核の酵素、例えばトポイソメラーゼIの変化は観察されず、これは、単一用量が、速くて特異的なテロメラーゼ活性化を引き起こしたことを示唆するが、この活性化は一過性であり、処置の24時間後にテロメラーゼレベルはその基礎値に戻り、これはテロメラーゼ活性化を制御する本発明の化合物の能力を示す。
【0247】
実験を、(完全及びスプライスバリアントのテロm−RNAを含む)テロメラーゼmRNAレベルに対する本発明の化合物の効果を検出するためにも行った。細胞を、1mMの化合物68の単一用量で様々な間隔(1〜24時間)で処置した。全RNA抽出物を調製し、等しいRNA濃度を、特異hTERTプローブを用いるノーザンブロット法によって解析した。図3Aは、対照の未処置細胞中のテロメラーゼ完全長及びスプライスバリアントのmRNAを示す(レーン1、2)。完全長mRNAレベルも、スプライスバリアントのRNAレベルも、本発明の化合物で処置した細胞中で、経時的に有意に増加した(対照の4.5倍まで)(図3B、レーン3〜7)。GAPDH mRNAに対する効果が観察されなかったので(下のパネル)、増加したテロメラーゼ発現は特異的であった。本発明の化合物での処置(3時間)中におけるアクチノマイシンD(RNA転写阻害剤)の添加は、テロメラーゼ発現の活性化を無効にし(図3A及びB、レーン8と4とを比較)、これは、本発明の化合物がテロメラーゼ遺伝子の発現を活性化することを示唆する。
【0248】
実施例13
ヒト間葉系幹細胞に対する本発明の化合物の効果
ヒト間葉系幹細胞を、腸骨稜の吸引によって単離し、細胞増殖の有意な減少が観察される前の6月間(19継代)、細胞培養液中で増殖させた。本発明の化合物を、3日間の毎日、培地に直接添加した。hMSCの有意な生存及び増殖が、本発明の様々な化合物での処置に対して観察された(図4)。
【0249】
本発明の化合物がTERTの活性化によってhMSC生存及び増殖を高めるという可能性を、組織培養チャンバースライド中17×103細胞/ウェルで60時間、hMSC(p3)を培養することによって調べた。本発明の化合物が、新鮮な培地で6時間添加された。抗hTERT抗体(第1抗体)及びcy3蛍光第2抗体での免疫蛍光法を行った。核をDAPIで染色した。本発明の化合物は、hMSC中でテロメラーゼ発現を活性化した(図5)。テロメラーゼタンパク質の発現が、細胞質及び核の両方で見られた。テロメラーゼ発現の活性化度は、化合物68>79>77であった。hMSC中のテロメラーゼ活性の定量化を、リアルタイムPCR(定量テロメラーゼ検出キット)によって、化合物79(250nM)で6又は24時間処置したhMSCに由来する核抽出物中で行った。化合物79は、時間依存的に、hMSC中のテロメラーゼ活性を12又は6倍高めた(図5B)。
【0250】
実施例14
ヒトケラチノサイトに対する本発明の化合物の効果
増殖能を失ったヒトケラチノサイト(それらの第5継代)を、ローカルスキンバンク(a local skin bank)から得て、化合物68で24時間処置した。細胞生存率、細胞数及び形態を調べた。本発明の化合物で処置した細胞は、有意な(2〜4倍)細胞増殖を示し、生存細胞が観察された(図6)。化合物79は、化合物68よりも良好な細胞生存効果を示した。これらの結果は、皮膚移植、創傷治癒、慢性皮膚潰瘍、及び他の皮膚の状態における本発明の化合物の役割を支持する。
【0251】
実施例15
ヒト網膜色素上皮細胞に対する本発明の化合物の効果
ヒト網膜色素上皮(RPE)細胞の酸化ストレスに対する慢性被爆は、それらに、加齢性黄斑変性(AMD)発生の傾向を与える。ヒトRPE細胞を、H2O2(1mM)で24時間、及びH2O2(0.5mM)でさらに24時間処置することによって、酸化ストレスに暴露した。次いで細胞を、2日間の毎日、H2O2の不存在下において、表示した化合物で処置した。該化合物の処置の結果として、細胞増殖の亢進が観察された(図7A)。テロメラーゼ活性は、化合物68及び79で処置したRPE細胞中で、それぞれ30及び50倍高められた(図7B)。これらの結果は、黄斑変性及び他の網膜疾患の処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0252】
実施例16
エレガンス線虫(C. elegans)の生存延長
通常12〜14日間生存する線虫であるエレガンス線虫(C. elegans)の生存は、寿命延長の研究のために許容し得るモデルを代表する。線虫にトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物を投与し、線虫の寿命延長に対するそれらの効果を検出した。線虫は、50マイクロモル濃度の活性化剤で生育させ、平均値、最大値及び半減期を、未処置の対照と比べて測定した。寿命は13〜43%増加し(表2)、寿命の中央値は、約2倍増加した(図8に示すように、12日から22日)。
【0253】
【表2】
【0254】
実施例17
ラット子宮内膜細胞中の本発明の化合物によるテロメラーゼ発現の活性化
発情間期(ラット子宮内膜中の上皮層が分解を起こしている時期)の雌ラットに、6mg/kgの化合物68又はビヒクルを皮下注射した。ラットを24時間後に屠殺し、子宮内膜切片を、処置及び未処置ラットの子宮角から調製し、組織学的手順によって、及び免疫組織学的染色によって解析した。子宮内膜切片をヘマトキシリン−エオシンによって染色した。本発明の化合物での処置は、子宮内膜上皮層の分解を防止した。さらに形態学的に、子宮内膜組織は、増殖期(発情前期及び発情期)の構造に似ていた(図9A、B)。処置ラットの子宮内膜細胞中でのテロメラーゼ発現活性化を、抗テロメラーゼ抗体での免疫組織化学によって調べた(図9C〜F)。本発明の化合物を注射したラットの子宮内膜組織中、特に子宮内膜ルーメンの上皮層及び分泌腺の上皮層中でテロメラーゼ染色の有意な増加があった(図9C及びD、E及びFを比較)。さらにテロメラーゼ活性を、様々な処置群の子宮内膜に由来する核抽出物中で測定した。テロメラーゼ活性の有意な4〜8倍の増加が、本発明の化合物を注射したラット中で観察され(図9G)、これは、首に皮下注射した本発明の化合物が、子宮内膜組織に到達し、テロメラーゼを活性化させ、組織増殖を引き起こしたことを示す。これらのデータは、動物中でテロメラーゼを活性化し、及びインビボで組織増殖に影響する本発明の化合物の役割を支持する。本発明のいくつかの実施形態で、データは、本発明の化合物での子宮内膜症の処置における役割を支持する。
【0255】
実施例18
本発明の化合物によるラット大脳皮質細胞のテロメラーゼ活性化
雌ラット及び成体雄性マウスに皮下注射した本発明の化合物の、脳の様々な領域中のテロメラーゼ発現に対する効果を調べた。テロメラーゼ及びDAPI(DAPI又は4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)の共局在、DNA結合蛍光染色は、処置の結果としてこれら細胞中の活性化及び/又は発現を示した。テロメラーゼの非常に低い発現が、CNSの様々な領域中の特異細胞で観察された(図10及び11)。ラットへの化合物79及び77の注射は、大脳皮質中でのテロメラーゼ発現を有意に活性化したが、化合物68は活性化せず、これは、化合物68ではなく、化合物79及び77が、血液脳関門(BBB)を通過し得ることを示す(図10)。
【0256】
化合物79を、3月齢の雄性マウスに皮下注射した。マウスを24時間後に屠殺し、皮質、小脳、海馬、視床下部、脳幹、及び嗅球を単離し、免疫蛍光法に供した。小脳中のプルキンエ細胞を除いて、調べた脳領域のほとんとで、テロメラーゼの低い発現が観察された(図11)。本発明の化合物の注射は、有意及び劇的に、様々な脳領域中のテロメラーゼ発現を増加させた。この活性化は、或る神経細胞に特異的であるように見える。例えば化合物79は、脳幹中に存在する運動神経細胞中でテロメラーゼ発現を増加させた。
【0257】
免疫蛍光法の結果確認を、本発明の化合物で処置した又は未処置のラットから取り出した脳に由来する核タンパク質抽出物中におけるTERTタンパク質酵素レベルを調べることによって行った。特異的な抗hTERT抗体を使用するウエスタンブロット解析を行い、テロメラーゼ活性化(%)を、ビヒクルで得られた結果に対して検出及び計算した。テロメラーゼタンパク質の有意な増加(9〜13倍)が、本発明の化合物で処置したラット大脳皮質細胞中で観察され(図12)、これは、脳関連疾患の処置において本発明の化合物を使用することの役割を支持する。
【0258】
実施例19
マウス小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスの防止
マウス小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスを防止する本発明の化合物の能力を調べた。マウスに、6mg/kgの化合物79又はビヒクルのみを注射した。マウスを、処置の24時間後に屠殺し、それらの脳を取り出した。小脳切片を調製し、様々な濃度で30分間のグルタメート処置に供した。切片をヨウ化プロピジウムで染色し、アポトーシス細胞の数を、特定のソフトウェア(Jimage)を使用して計測及び計算した。本発明の化合物で処置したマウス中におけるアポトーシスの防止を、対照マウスに対する割合として計算した(図13)。これは、発作、卒中、アルツハイマー病、てんかん、統合失調症、並びにアルコール及びアヘン中毒(addition)の処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0259】
実施例20
本発明の化合物によるマウス心臓細胞のテロメラーゼ活性化
一つのマウスに由来する心臓タンパク質抽出物中での本発明の化合物によるテロメラーゼ活性化を測定した(図14)。化合物79の注射後に、心臓のテロメラーゼ発現の有意な増加があった。これは、梗塞、虚血、心筋炎などの処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0260】
実施例21
本発明の化合物による胚への薬害の防止
胚発育に対する薬の有害作用を防止する本発明の化合物の能力を、ラットで調べた。雌ラットを、抗癌剤であるカンプトテシン(CPT)(5mg/kg)で処置し、次いで化合物68(mg/kg)又はビヒクル(0.1%)を注射した。胚を妊娠14〜15日で取り出し、障害を調べた。CPT及び化合物68の両方で処置した胚は正常に発育したが、一方、CPTのみで処置した胚は、異常発育の形跡を示した(図15)。
【0261】
実施例22
BLC1腫瘍形成能に対する本発明の化合物の効果
(BALB/c x C57BL/6)F1マウスに、105個のマウスB細胞白血病リンパ腫(BLC1)細胞を接種した。脾腫及びリンパ球増加(白血病)が、全ての対照中、及びテロメラーゼ活性化化合物(40又は80mg/kg)で処置したマウス中で生じた。
【0262】
【表3】
【0263】
テロメラーゼ活性化化合物は、白血病の発達を高めず、白血病で接種されたマウスの生存を短縮しなかった。本発明のテロメラーゼ活性化化合物は、現存する癌の進行を促進せず、該化合物の長期投与は癌発達を生じさせない。
【0264】
実施例23
代表的なT細胞機能としての移植片対宿主病(GVHD)に対する本発明の化合物の効果
(BALB/c x C57BL/6)F1マウスに、GVHDを誘発させるため、30×106個のC57BL/6脾臓細胞を接種した。化合物77で処置したマウスは、未処置対照に比べて体重減少で表されるような、急性GVHDのより重篤な徴候を示した。これらの結果は、本発明の化合物が強力な免疫賦活剤として使用し得ることを示唆する。
【0265】
実施例24
T細胞による免疫療法の代表例としての移植片対白血病(GVL)に対する本発明の化合物の効果
(BALB/c x C57BL/6)F1マウスに、30×106個のC57BL/6脾臓細胞によって媒介される移植片対白血病(GVL)作用を誘発させるために同種異系リンパ球の移植を可能にするため、400cGyの全身照射後に105個のBCL1を接種した。未処置対照の生存は21〜35日の範囲であった(中央値29日)。同種異系幹細胞で処置したマウスの生存は、白血病が重篤なGVHDを活性化したため、13〜22日の範囲であった。対照的に、同種異系幹細胞及び本発明の化合物で処置したマウスの生存は、37〜74日の範囲であり、一匹のマウスは125日生存した。これは、白血病の処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0266】
本発明の或る特徴を本明細書中で説明及び記載したが、多くの修正、置換、変更及び均等物は、当業者であれば直ぐに思い付くであろう。それゆえ添付する特許請求の範囲は本発明の真の精神の範囲内にあるような全ての修正及び変更を包含することを意図していることは理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、テロメラーゼの発現増強及び/又は活性化のため、並びにそれに関連する疾患、障害及び/又は状態を処置するための、一連の化合物及び前記化合物を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テロメラーゼは、テロメア末端のテロメア反復の付加を触媒するリボ核タンパク質である。テロメアは、染色体の末端をキャップする反復配列が伸長した部分である。ヒトにおいてテロメアは、典型的に7〜10kbの長さであり、多重反復を含む。テロメラーゼは、たいていの成熟細胞中では発現しておらず、テロメア長は、複製するたびに減少する。
【0003】
テロメラーゼは、テロメア伸長において逆転写酵素として作用し、これは、末端複製の問題に起因するテロメア損失を防ぐ。テロメラーゼ無しでは、テロメアは各細胞分裂のたびに短縮化し、このことは、染色体不安定によって引き起こされる老化、アポトーシス、及び細胞死につながる。テロメラーゼは、体細胞では不活性であるが、癌細胞の90%では活性であり、そこではテロメラーゼは再活性化される。テロメラーゼの活性化は、癌発生プロセスを模倣することもあり得るので、危険であり得るが、テロメラーゼ増強剤は、アンチエイジング剤として理論的に適用でき、或る医学的状態で臨床的に有用であり得る。対照的に、テロメラーゼ阻害剤は、癌と戦うために有用であり得る。癌及び加齢は密接に相関する。癌を防ぐ治療は早期老化につながることがあり、一方で細胞の不死化は、悪性癌細胞の形成に必要である。発癌活性化の理論的リスクにもかかわらず、テロメラーゼの活性化は加齢速度の減少につながり得る。
【0004】
テロメア長の評価は、テロメアの生物学的及び臨床的有意性を理解する上で重要である。テロメア長は、細胞の染色体安定、テロメラーゼ活性及び/又は発現、増殖能並びに加齢プロセスの研究において、有用な指標として機能する。テロメアの臨床的価値は、癌、早期老化症候群(premature aging syndrome)又は体節性早老症(segmental progeria);遺伝子異常、染色体不安定から生ずる疾患、例えばブルーム症候群(患者の染色体中での高頻度の破壊及び再配列によって特徴付けられる稀な遺伝性疾患)、及び加齢性疾患、例えばワーナー症候群(Warner's Syndrome)(若い人で急速な加齢を顕在化させる稀な病気)におけるその重要性で説明することができる。テロメア長の動態は、特定の疾患進行において明確な発現パターンを持つ。そのためそれは、疾患予後において大いに価値がある。
【0005】
テロメア長は、サザンブロット、ハイブリダイゼーション・プロテクション・アッセイ(hybridization protection assay)、蛍光in situハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、プライムドin situ、定量ポリメラーゼ連鎖反応及び単一テロメア長解析によって測定することができる。
【0006】
テロメラーゼ活性及び/又は発現の欠乏並びに短いテロメアは、先天性角化異常症;再生不良性貧血;循環器疾患、卒中若しくは感染による死亡増加;高血圧;又は慢性ストレスを引き起こし得る。
【0007】
テロメラーゼ・ノックアウトマウス中へのテロメラーゼ導入は肝臓障害を防止することが示された。
【0008】
テロメア長の維持におけるテロメラーゼの役割に加えて、蓄積するデータは、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)タンパク質が、追加の生理学的機能、即ち、テロメア伸長に関係しない機構(いまのところ不明確)で、様々な障害から細胞及びマウスを守る機能を持つことを示唆する。
【0009】
そのためテロメラーゼを活性化する化合物は、多数の臨床的に関連するシナリオに応用されるであろう。
【発明の概要】
【0010】
発明の概要
一つの実施形態において本発明は、細胞又は組織中のテロメラーゼの活性及び/又は発現を刺激又は増加させる方法であって、前記細胞又は組織と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品(pharmaceutical product)、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン(phosphor)、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0013】
一つの実施形態において本発明は、対象中のテロメラーゼの活性化及び/又は発現によって影響を受け得る状態を処置する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含み、
それによって前記化合物がテロメラーゼの活性及び/又は発現を刺激又は増強する方法を提供する。
【0014】
【化2】
【0015】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0016】
他の実施形態で前記状態はHIV感染又は変性疾患である。他の実施形態で前記変性疾患は、神経変性疾患、骨若しくは関節の変性疾患、黄斑変性、粥状動脈硬化、又は貧血である。一つの実施形態で前記状態は炎症疾患である。他の実施形態で前記状態は先天性角化異常症である。他の実施形態で前記状態は再生不良性貧血である。他の実施形態で前記状態は癌である。
【0017】
一つの実施形態において本発明は、皮膚の急性又は慢性状態を処置する方法であって、皮膚と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法を提供する。
【0018】
【化3】
【0019】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0020】
他の実施形態で前記急性又は慢性状態は、創傷、熱傷、擦過傷、切り込み、移植部位、血管病変、感染性病原体によって引き起こされる病変、慢性の静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍、褥瘡、粘膜のただれ若しくは潰瘍、及びケロイド形成である。
【0021】
一つの実施形態で本発明は、対象中の細胞老化を阻害、抑制又は遅延させる方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含む方法を提供する。
【0022】
【化4】
【0023】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0024】
他の実施形態で前記対象中の細胞老化を阻害、抑制又は遅延させる方法は、前記対象の寿命を延ばす。
【0025】
一つの実施形態において本発明は、対象中の加齢による影響を減少又は抑制する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含む方法を提供する。
【0026】
【化5】
【0027】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0028】
他の実施形態で前記加齢による影響は、対象の皮膚、眼、筋系、又は骨への影響を含む。
【0029】
他の実施形態で式Iの構造は、式IVの構造によって表される。
【0030】
【化6】
【0031】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【0032】
他の実施形態で式Iの構造は、式VIの構造によって表される。
【0033】
【化7】
【0034】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【0035】
他の実施形態で式Iの構造は、式VIIの構造によって表される。
【0036】
【化8】
【0037】
他の実施形態で式Iの構造は、式VIIIの構造によって表される。
【0038】
【化9】
【0039】
他の実施形態で式Iの構造は、式IXの構造によって表される。
【0040】
【化10】
【0041】
他の実施形態で式Iの構造は、式Xの構造によって表される。
【0042】
【化11】
【0043】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIの構造によって表される。
【0044】
【化12】
【0045】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIIの構造によって表される。
【0046】
【化13】
【0047】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIIIの構造によって表される。
【0048】
【化14】
【0049】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIVの構造によって表される。
【0050】
【化15】
【0051】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVの構造によって表される。
【0052】
【化16】
【0053】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVIの構造によって表される。
【0054】
【化17】
【0055】
他の実施形態で本発明は、本明細書で記載するあらゆる方法のために、本明細書で記載する化合物を含む医薬組成物を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図面の簡単な説明
本発明とみなされる主題は、本明細書の結びの部分で特に示され、且つ明確に権利請求されている。しかし本発明の目的、特徴及び利点と共に、構成及び操作法の両方について、添付図面と共に理解する際、以下の詳細な説明を参照することによって、本発明は最適に理解されるであろう。
【0057】
【図1】図1:本発明の化合物を用いたU−251細胞の処置、及びTRAPアッセイによるテロメラーゼ活性の測定。A.化合物68で処置した細胞中のテロメラーゼ活性。B.結果及びテロメラーゼ活性化%の定量化。
【図2】図2:本発明の化合物によるテロメラーゼタンパク質レベルの時間依存的増加。A.抗ヒトテロメラーゼ抗体でのウエスタンブロット解析。B.テロメラーゼタンパク質レベルの定量化。
【図3】図3:化合物68はテロメラーゼRNAの発現を増加させる。A.hTERT特異的cDNAプローブを使用するノーザンブロット解析。ADはアクチノマイシンDである。B.RNAレベルの定量化。
【図4】図4:hMSCの生存及び増殖に対する本発明の化合物を用いた処置の効果。
【図5】図5:本発明の化合物によるhMSC中のテロメラーゼ発現の活性化。A.hMSCは、250nMの化合物79、77及び68で6時間処置した。免疫蛍光法を抗hTERT抗体(赤)で行い、核をDAPI(青)で染色した。B.化合物79で6及び24時間処置したhMSC。テロメラーゼ活性を、定量テロメラーゼ検出キット(Allied Biotech Inc., USA)を使用するリアルタイムPCRによって測定した。
【図6】図6:インビトロでの老化したヒトケラチノサイトに対する本発明の化合物の効果。
【図7A】図7:A.酸化ストレス下でのヒト網膜色素上皮細胞(human retinal pigmented epithelial cells)に対する本発明の化合物の効果。B.RPE細胞中のテロメラーゼ活性に対する化合物の効果(定量テロメラーゼ検出キット−リアルタイムPCRによる測定)。
【図7B】図7:A.酸化ストレス下でのヒト網膜色素上皮細胞(human retinal pigmented epithelial cells)に対する本発明の化合物の効果。B.RPE細胞中のテロメラーゼ活性に対する化合物の効果(定量テロメラーゼ検出キット−リアルタイムPCRによる測定)。
【図8】図8:テロメラーゼ活性化化合物68及び77によるエレガンス線虫(C. elegans)の寿命延長。
【図9】図9:ラット子宮内膜細胞中の本発明の化合物によるテロメラーゼ発現の活性化。A,B.組織学的解析。C〜F.特異的抗hTERT抗体での免疫組織学的解析。G.本発明の化合物を注射したラットの子宮内膜に由来する核抽出物中のテロメラーゼ活性。G(B)定量テロメラーゼ検出キット(Allied Biotech Inc., USA)を使用するリアルタイムPCRによって測定した、本発明の化合物を注射したラットの子宮内膜に由来する核抽出物中のテロメラーゼ活性。
【図10】図10:本発明の化合物によるラット大脳皮質細胞のテロメラーゼ活性化。
【図11】図11:本発明の化合物によるマウスCNSのテロメラーゼ活性化。
【図12】図12:テロメラーゼタンパク質が、本発明の化合物で処置したラット中で増加する。
【図13】図13:化合物79によるマウス小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスの防止。
【図14】図14:テロメラーゼ発現が、化合物79によってマウス心臓中で活性化される。
【図15】図15:化合物68は、ラット中の胚発育に対する有害薬の作用を防止する。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の詳細な説明
以下の詳細な説明で本発明の充分な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細が示されている。しかしこれらの具体的な詳細無しでも本発明が実施できることは、当業者に理解されるであろう。他の例では、本発明を曖昧にしないようにするため、周知の方法、手順、及び成分は詳細に記載されていない。
【0059】
本発明は、いくつかの実施形態において、とりわけ、高められたテロメラーゼ発現及び/又はテロメラーゼ活性化によって影響を受け得る疾患又は状態を処置するための、新規トリフェニル化合物類、及び前記化合物を含む組成物の使用に関する。
【0060】
本発明は、テロメラーゼ活性が減少、欠損、変質しているか、又は正常である対象の細胞及び組織中で、テロメラーゼ発現及び/又は活性を刺激及び/又は増加させるそのような化合物を使用する。そのような障害は、とりわけ、以下のものを含む:a)アルツハイマー病;b)パーキンソン病;c)ハンチントン病;d)神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害(cerebral vascular incidents);e)卒中;f)加齢に関連する疾患又は状態、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわのような皮膚の加齢、皮脂腺の過形成若しくは形成不全、老人性黒子、色素沈着異常、白髪化及び脱毛若しくは髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍;g)変性関節疾患;h)骨粗鬆症、変形性関節症、及び骨格系の他の変性状態;i)筋肉減少症、及び筋系の他の変性状態;j)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患;k)加齢性黄斑変性;l)AIDS;m)自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及びストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態;n)創傷、熱傷、擦過傷、又は表皮の他の急性若しくは慢性状態の治癒;o)先天性角化異常症;p)黄体期欠損;q)早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症);及び/又はr)メモリーT細胞中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、それによる免疫記憶応答及びワクチンに対する応答の強化;s)健常組織中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、そうして対象を良好な健康状態に維持しながら行う対象寿命の延長。
【0061】
本発明の化合物
一つの実施形態で本発明の方法は、式Iの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0062】
【化18】
【0063】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0064】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0065】
【化19】
【0066】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1、R3、R4、R6、R7及びR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0067】
一つの実施形態でZは炭素である。他の実施形態でR10はメチル基である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ヘテロシクロアルキル基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−アミノアルキル基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ジアルキルアミノ基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−N(CH3)2基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−N(Et)2基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−アリール基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ヘテロアリール基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−ハロアルキル基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−アルコキシ基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−エトキシ基であり、式中のnは1〜6である。他の実施形態でR1、R3、R4、R6、R7及びR9は−(CH2)n−シクロアルキル基であり、式中のnは1〜6である。
【0068】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0069】
【化20】
【0070】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R’、R”及びR'”は、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、アルカニロイル、アセチル又はベンゾイルを含む同じ又は異なるものであり;
R1、R3、R4、R6、R7及びR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【0071】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IVの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0072】
【化21】
【0073】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は、上記のとおりである。
【0074】
一つの実施形態で本発明の方法は、式Vの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0075】
【化22】
【0076】
式中、
R’、R”及びR'”は、独立に、水素、アルキル、ハロアルキル、フェニル、ベンジル、アルカニロイル、アセチル又はベンゾイルを含む同じ又は異なるものであり;
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノ基を含む同じ又は異なるものであり;及びR7は上記のとおりである。
【0077】
一つの実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はジアルキルアミノ基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はジメチルアミノ基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はジエチルアミノ基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピペリジン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピロリジン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピペラジン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−ピペラジン−4−メチル基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はN−モルホリン基である。他の実施形態でR1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’はエトキシ基である。
【0078】
一つの実施形態で本発明の方法は、式VIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0079】
【化23】
【0080】
式中、R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノ基を含む同じ又は異なるものであり;及びR10は上記のとおりである。
【0081】
一つの実施形態で本発明の方法は、式VIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0082】
【化24】
【0083】
一つの実施形態で本発明の方法は、式VIIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0084】
【化25】
【0085】
一つの実施形態で本発明の方法は、式IXの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0086】
【化26】
【0087】
一つの実施形態で本発明の方法は、式Xの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0088】
【化27】
【0089】
一つの実施形態で本発明の方法は、式XIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0090】
【化28】
【0091】
一つの実施形態で本発明の方法は、式XIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0092】
【化29】
【0093】
一つの実施形態で本発明の方法は、式XIIIの構造によって表されるトリフェニル化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物の使用を含む。
【0094】
【化30】
【0095】
他の実施形態で式Iの構造は、式XIVの構造によって表される:
【0096】
【化31】
【0097】
又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物。
【0098】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVの構造によって表される:
【0099】
【化32】
【0100】
又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物。
【0101】
他の実施形態で式Iの構造は、式XVIの構造によって表される:
【0102】
【化33】
【0103】
又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、結晶又はこれらの任意の組合せ、及び前記の物を含む組成物。
【0104】
用語「アルキル」とは、一つの実施形態において、直鎖、分枝鎖及び環状のアルキル基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。一つの実施形態でアルキル基は1〜12個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は2〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は2〜8個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は3〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は3〜7個の炭素を有する。他の実施形態でアルキル基は1〜4個の炭素を有する。他の実施形態で分枝アルキルは、炭素が1〜5個であるアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。他の実施形態で分枝アルキルは、炭素が1〜5個であるハロアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。アルキル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0105】
「アルケニル」基は、一つの実施形態において、一つ又はそれ以上の二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び環状の基を含む不飽和炭化水素を指す。アルケニル基は、一つの二重結合、二つの二重結合、三つの二重結合などを有していてもよい。他の実施形態でアルケニル基は2〜12個の炭素を有する。他の実施形態でアルケニル基は2〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルケニル基は2〜4個の炭素を有する。他の実施形態でアルケニル基はエテニル(−CH=CH2)である。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルなどである。アルケニル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0106】
「アルキニル」基は、一つの実施形態において、一つ又はそれ以上の三重結合を有する直鎖、分枝鎖及び環状の基を含む不飽和炭化水素を指す。アルキニル基は、一つの三重結合、二つの三重結合、三つの二重結合などを有していてもよい。他の実施形態でアルキニル基は2〜12個の炭素を有する。他の実施形態でアルキニル基は2〜6個の炭素を有する。他の実施形態でアルキニル基は2〜4個の炭素を有する。他の実施形態でアルキニル基はエチニル(−CH≡CH2)である。アルキニル基の例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、シクロヘキシニルなどである。アルキニル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0107】
「アルコキシ」基は、他の実施形態において、上で定義したとおりのアルキル基であって、酸素に結合しているものを指す。アルコキシ基の例は、エトキシ、プロポキシ、tert−ブトキシなどである。
【0108】
「ハロアルキル」基は、一つの実施形態において、上で定義したとおりのアルキル基であって、一つ又はそれ以上のハロゲン原子、例えばF、Cl、Br又はIによって置換されているものを指す。
【0109】
「アリール」基は、他の実施形態において、少なくとも一つの炭素環式芳香族基又は複素環式芳香族基を有する芳香族基を指し、これは、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、チオ又はチオアルキルから選ばれる一つ又はそれ以上の基によって置換されていてもよい。他の実施形態でアリール基は4〜12員環である。他の実施形態でアリール基は6〜18員環である。他の実施形態でアリール基は4〜8員環である。他の実施形態でアリール基は6員環である。他の実施形態でアリール基は、2〜3個の環を含む縮合環系である。アリール環の非限定例は、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリルなどである。
【0110】
「ヘテロアリール」基は、他の実施形態において、少なくとも一つの複素環式芳香族基を有する芳香族基を指し、これは、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、シアノ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、チオ又はチオアルキルから選ばれる一つ又はそれ以上の基によって置換されていてもよい。他の実施形態でヘテロアリール基は4〜12員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は6〜18員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は4〜8員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は6員環である。他の実施形態でヘテロアリール基は、2〜3個の環を含む縮合環系である。ヘテロアリール環の非限定例は、ピロリル、チエニル、チアゾリル、ベンゾチエニル、ナフトチエニル、プリニル、イソチアゾリル、フリル、フラザニル、イソベンゾフラニル(isobenznzofuranyl)、ピラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチイニル(phenoxyxanthiinyl)、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、イソインドリジニル、ベンゾチエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどである。
【0111】
「ヒドロキシル」基は、一つの実施形態において、OH基を指す。いくつかの実施形態で本発明の化合物のR1、R2又はR3がORであるときは、RはOHではない。
【0112】
一つの実施形態で用語「ハロ」とは、ハロゲン、例えばF、Cl、Br又はIを指す。
【0113】
他の実施形態において「フェノール」の言葉は、ベンゼンのアルコール(OH)誘導体を指す。
【0114】
「アミノ」基は、一つの実施形態において、水素原子、上記のようなアルキル基、アルケニル基若しくはアリール基、又はこれらの組合せが単結合によって結合した窒素原子を指す。アミノ基の非限定例は、NH2、N(Me)2、N(Et)2、N(Ph)2などである。
【0115】
「シクロアルキル」基は、一つの実施形態において、炭素及び水素原子を含む非芳香族の単環又は多環を指す。炭素−炭素二重結合が存在することによって環が芳香族にならない限り、シクロアルキル基は、一つ又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を環中に持つことができる。シクロアルキル基の例は、(C3−C7)シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル及びシクロヘプチル、並びに飽和環式及び二環式テルペン並びに(C3−C7)シクロアルケニル基、例えばシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロへキセニル及びシクロヘプテニル、並びに飽和環式及び二環式テルペンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、シクロアルキル基は、単環、或いは炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素又はこれらの任意の組合せを環の一部として含む環構造との二環性である。他の実施形態でシクロアルキルは3〜12員環である。他の実施形態でシクロアルキルは6員環である。他の実施形態でシクロアルキルは5〜7員環である。他の実施形態でシクロアルキルは4〜8員環である。他の実施形態でシクロアルキル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。
【0116】
「ヘテロシクロアルキル」基は、一つの実施形態において、炭素、及びこれに加えて硫黄、リン、酸素又は窒素を環の一部として含む非芳香族の単環又は多環を指す。二重結合が存在することによって環が芳香族にならない限り、ヘテロシクロアルキル基は、一つ又はそれ以上の二重結合を環中に持つことができる。ヘテロシクロアルキル基の例は、ピペリジン、ピペラジン、ピラン、モルホリンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、ヘテロシクロアルキル基は、単環、或いは炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素又はこれらの任意の組合せを環の一部として含む環構造との二環性である。他の実施形態でヘテロシクロアルキルは3〜12員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は6員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は5〜7員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は4〜8員環である。他の実施形態でヘテロシクロアルキル基は、未置換でもよく、又はハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO2H、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ及び/又はチオアルキルで置換されていてもよい。他の実施形態でへテロシクロアルキルは、環状尿素、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリドニル、イソオキサゾリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジン、モルホリニルである。
【0117】
用語「アルキルアルコキシ」、「アルキルハロアルキル」、「アルキルアリール」、「アルキルシクロアルキル」、「アルキルへテロシクロアルキル」、「アルキルヘテロアリール」及び「アルキルアミノ」とは、一つの実施形態において、上で定義したとおりのアルキル基であって、それぞれアルコキシ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアミノ基に結合しているものを指す。アルコキシ、ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール又はアミノ基は、上で定義したとおりである。これらの例は、CH2−OEt、CH2−N−ピペリジン、CH2−N−ピペラジン、CH2−N(Me)2などを含むが、これらに限定されない。
【0118】
他の実施形態において、式I〜IVの主の芳香環との縮合へテロシクロアルキルは、フェニルピロリドン基を形成する。他の実施形態において、式I〜IVの主の芳香環との縮合アリールは、ナフタレン基を形成する。他の実施形態において、式I〜IVの主の芳香環との縮合へテロアリールは、キノリン又はイソキノリン基を形成する。
【0119】
一つの実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、プロドラッグ、多形体、不純物、若しくは結晶、又はこれらの任意の組合せの使用を規定する。
【0120】
一つの実施形態で用語「異性体」は、光学異性体及び類似体、構造異性体及び類似体、配座異性体及び類似体などを含むが、これらに限定されない。
【0121】
一つの実施形態で用語「異性体」は、トリフェニル化合物の光学異性体を包含することを意図する。本発明は、本明細書で記載するテロメラーゼ発現及び/又は活性状態の処置で有用な特性を持つあらゆるラセミ体、光学活性体、多形体若しくは立体異性体、又はこれらの混合物を包含すると理解されるべきである。一つの実施形態でトリフェニル化合物は純粋な(R)−異性体である。他の実施形態でトリフェニル化合物は純粋な(S)−異性体である。他の実施形態でトリフェニル化合物は、(R)及び(S)異性体の混合物である。他の実施形態でトリフェニル化合物は、等量の(R)及び(S)異性体を含むラセミ混合物である。該分野で光学活性体の作り方は良く知られている(例えば再結晶技術によるラセミ体の分割によるもの、光学活性の出発材料からの合成によるもの、キラル合成によるもの、又はキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離によるもの)。
【0122】
本発明は、本発明の化合物の「薬学的に許容し得る塩」を含み、これは、一つの実施形態では、製造されてアルカリ金属塩を形成することができ、及び遊離酸又は遊離塩基の付加塩を形成することができる。本発明の化合物の適切な薬学的に許容し得る酸付加塩は、無機酸から、又は有機酸から製造することができる。一つの実施形態で無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。一つの実施形態で有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)、複素環式のカルボン酸及びスルホン酸の有機酸類から選択することができ、これらの例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン(glucoronic)酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン(p-toluenesulphonic)酸、メシル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、シクロへキシルアミノスルホン酸、アルギン(algenic)酸、ガラクツロン酸である。一つの実施形態において、本発明の化合物の適切な薬学的に許容し得る塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から製造される金属塩、又はN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、コリン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)及びプロカインから製造される有機塩を含む。全てのこれらの塩は、通常の手段によって、対応する化合物から製造することができる。
【0123】
薬学的に許容し得る塩は、別の実施形態において、無機塩基、例えば水酸化ナトリウムでの処置によってフェノール化合物から製造することができる。他の実施形態において、脂肪族及び芳香族カルボン酸を用いて、フェノール化合物のエステル、例えば酢酸及び安息香酸エステルを製造することができる。
【0124】
本発明は、本明細書で記載する化合物のアミノ置換体のN−オキシドの使用も含む。
【0125】
本発明は、本明細書で記載する化合物の誘導体の使用を規定する。一つの実施形態で「誘導体」は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミド誘導体、エステル誘導体などを含むが、これらに限定されない。他の実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物の水和物の使用をさらに含む。一つの実施形態で「水和物」は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含むが、これらに限定されない。
【0126】
本発明は、別の実施形態で、本明細書で記載する化合物の代謝産物の使用を提供する。一つの実施形態で「代謝産物」とは、他の物質から代謝又は代謝プロセスによって製造されるあらゆる物質を意味する。
【0127】
本発明は、別の実施形態で、本明細書で記載する化合物の医薬品の使用を提供する。用語「医薬品」とは、別の実施形態で、例えば本明細書で記載しているような医薬用途に適している組成物(医薬組成物)を指す。
【0128】
いくつかの実施形態で本発明は、細胞又は組織中のテロメラーゼ活性及び/又は発現を増加させるため;及び/又は対象の細胞又は組織中でテロメラーゼ活性及び/又は発現を増加させることによって状態を処置するため;及び/又は表皮の急性又は慢性状態を処置するため;及び/又は寿命延長のため;及び/又は粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧又は動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患を処置するため;及び/又は加齢性黄斑変性及び/又は皮膚の加齢性疾患を処置するため;及び/又は加齢性及びストレス関連性の免疫系障害を処置するため;及び/又は感染−耐性菌(infection-resistant organisms)に対する免疫応答を強化するための、本発明の化合物を含む組成物又は本発明の化合物の使用を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態で本発明は、黄体期欠損又は早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)を含む女性不妊症に関連する状態を処置するため;及び/又は減少した顆粒膜細胞テロメラーゼ活性のため;及び/又は精子形成障害(impaired sperm production)又は精子送達障害(impaired sperm delivery)を含む男性不妊症に関連する状態を処置するため;及び/又は体外受精(IVF)技術の補助剤として;及び/又は精子の質及び/又は卵子の質を高めるために、本発明の化合物を含む組成物を提供する。例えば、及びいくつかの実施形態で、本発明の組成物は、エクスビボ培養物における胚盤胞生存度を伸ばし、次に着床効率を高める。本明細書で記載する化合物での個体群の処置は、いくつかの実施形態でそれらを他のIVF療法に対してより受容的にするか、又はいくつかの実施形態で組み合せられた療法又は新規化合物の評価を可能にする。
【0130】
一つの実施形態で本発明は、本発明の化合物、又は本明細書で記載する前記化合物を含む組成物を使用する処置方法を提供する。いくつかの実施形態で本発明は、表示した疾患、障害又は状態を処置するための本発明の化合物の使用方法を提供し、及び前記化合物を含む組成物の使用を含む。
【0131】
一つの実施形態で本発明は、本明細書で記載するあらゆる化合物、及び任意に他の治療薬、又は前記の物を含む組成物の投与を介して、とりわけ、(a)アルツハイマー病;(b)パーキンソン病;(c)ハンチントン病;(d)卒中;(e)神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害;(f)皮膚の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成若しくは形成不全、老人性黒子、色素沈着異常、白髪化及び脱毛若しくは髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍;(g)変性関節疾患;(h)骨粗鬆症、変形性関節症、及び骨格系の他の変性状態;(i)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患;(j)加齢性黄斑変性;(k)AIDS;(l)自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及びストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態;(m)創傷、熱傷、擦過傷、又は表皮の他の急性若しくは慢性状態の治癒;(n)先天性角化異常症(dyskeratosis congenital);o)黄体期欠損;p)早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症);q)精子形成障害又は精子送達障害;r)感染−耐性菌による感染の、重症度を処置、抑制、阻害、減少させる方法、発生率を減少させる方法、病変形成を減少させる方法、又は発症を遅延させる方法を提供する。
【0132】
一つの実施形態で用語「処置する(treating)」又は「処置(treatment)」は、予防措置、及び障害の軽減(remittive)措置を含む。用語「減少させる(reducing)」、「抑制する」及び「阻害する」は、疾患、障害又は状態の発生率、重症度又は病変形成を、他の実施形態では和らげる若しくは低減する(decreasing)という通常理解される意味、又は他の実施形態では遅延させるという意味、又は他の実施形態では減少させる(reducing)という意味を有する。実施形態で処置という用語は、疾患、障害又は状態に関連する症状の進行遅延、緩解持続、発生率減少、又は改善を指す。一つの実施形態で用語「処置する」、「減少させる」、「抑制する」及び「阻害する」とは、表示した疾患、障害又は状態に関連する罹患率、死亡率又はこれらの組合せの減少を指す。一つの実施形態で用語「進行」とは、範囲若しくは重症度の増加、進展、増殖、悪化を指す。用語「再発(recurrence)」とは、他の実施形態で、緩解後の疾患の再発(return)を意味する。本発明の処置方法は、一つの処置方法で疾患の重症度、若しくは他の実施形態で疾患に関連する症状を減少させるか、又は他の実施形態で疾患中に表れるバイオマーカー数を減少させる。
【0133】
用語「処置する」及びそれに含まれる側面は、一つの実施形態で、表示した疾患、障害若しくは状態を持つ対象、又はいくつかの実施形態で、表示した疾患、障害若しくは状態に罹患しやすい対象への投与を指す。用語「罹患しやすい」とは、とりわけ、表示した疾患の発生率、重症度などの傾向又は統計的増加に関連する遺伝的プロファイル又は家族関係を指すと考慮されるべきである。いくつかの実施形態で用語「罹患しやすい」とは、とりわけ、表示した疾患のリスク増加に関連するライフスタイルを指すと考慮されるべきである。いくつかの実施形態で用語「罹患しやすい」とは、とりわけ、表示した疾患に関連する、例えば癌のバイオマーカーの存在を指すと考慮されるべきであり、癌に「罹患しやすい」という用語は、表示した癌に対する前癌前駆体の存在を含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態で用語「病変形成を減少させる」とは、特定の疾患、障害又は状態に関連する組織障害又は臓器障害を減少させることを包含すると理解されるべきである。他の実施形態で用語「病変形成を減少させる」とは、問題となることと共に、関連疾患、障害又は状態の発生率又は重症度を減少させることを包含すると理解されるべきである。他の実施形態で用語「病変形成を減少させる」とは、表示した又はそれと関連する症状を持つ関連疾患、障害又は状態の数を減少させることを包含すると理解されるべきである。
【0135】
用語「投与する」とは、他の実施形態で、対象に本発明の化合物を接触させることを指す。投与は、インビトロで、即ち試験管内で、又はインビボで、即ち生物(例えばヒト)の細胞若しくは組織内で成し遂げることができる。一つの実施形態で本発明は、本発明の化合物を対象に投与することを包含する。
【0136】
一つの実施形態で本発明の方法は、テロメラーゼ活性及び/又は発現を増加させ、それによって記載する効果を仲介するために有効な量で、テロメラーゼ酵素と接触する又は結合する本発明の記載の化合物を使用する。いくつかの実施形態で本発明の方法は、テロメラーゼ活性及び/又は発現の増加が望まれる細胞又は組織を同定する予備的ステップを含んでいてもよい。細胞は、培養物中、即ちインビトロ若しくはエクスビボでもよく、又は対象若しくは患者内のインビボでもよい。一つの実施形態で細胞又は組織中のテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加は、例えば接触した細胞の複製能力及び/又は寿命の増強を含む。
【0137】
医薬組成物
いくつかの実施形態で本発明は、記載する化合物を含む組成物の投与を含む使用方法を提供する。ここで使用する「医薬組成物」とは、薬学的に許容し得るキャリア又は希釈剤と共にある「治療に有効な量」の活性成分、即ち本発明の化合物を意味する。ここで使用する「治療に有効な量」とは、所定の状態及び投与療法に対して治療効果をもたらすその量を指す。
【0138】
いくつかの実施形態において本発明は、本明細書で記載する任意の形式又は実施形態で少なくとも一つの本発明の化合物を含み得る組成物を提供する。いくつかの実施形態において用語「a」は、表示した材料の一つ又は複数を包含すると理解されるべきである。いくつかの実施形態において用語「a」又は「an」は、少なくとも一つを指す。
【0139】
いくつかの実施形態において、あらゆる本発明の組成物は、本明細書で記載する任意の形式又は実施形態で、本発明の化合物からなることがある。いくつかの実施形態において本発明の組成物は、本質的に、本明細書で記載する任意の形式又は実施形態で、本発明の化合物からなることがある。
【0140】
いくつかの実施形態で用語「含む」とは、本発明の化合物のような表示した活性薬の含有、並びに医薬産業で知られているような他の活性薬、及び薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤、緩和剤、安定剤などの含有を指す。いくつかの実施形態で本発明のあらゆる組成物は、本明細書で記載するような任意の形式又は実施形態で、式I〜XVIの化合物を含むことがある。いくつかの実施形態で本発明のあらゆる組成物は、本明細書で記載するような任意の形式又は実施形態で、式I〜XVIの化合物からなることがある。いくつかの実施形態で本発明の組成物は、本明細書で記載するような任意の形式又は実施形態で、本質的に本発明の化合物からなることがある。いくつかの実施形態で用語「含む」とは、本発明の化合物のような表示した活性薬の含有、並びに医薬産業で知られているような他の活性薬及び薬学的に許容し得るキャリア、賦形剤、緩和剤、安定剤などの含有を指す。いくつかの実施形態で用語「本質的にからなる」とは、唯一の活性成分が表示した活性成分である組成物を指す;但し製剤の安定化、保存などに供するが、表示した活性成分の治療効果に直接関係しない別の化合物は含まれていてもよい。いくつかの実施形態で用語「本質的にからなる」とは、同等の活性機序又は同等の分子標的を有する唯一の活性成分が、表示した活性成分である組成物を指す;但し別の活性成分を組み込んでもよく、そのような二次的な活性成分は、異なる標的に対して又は一時的な緩和能で作用する。いくつかの実施形態で用語「本質的にからなる」とは、活性成分の放出を促進する成分を指すことがある。いくつかの実施形態で用語「からなる」とは、唯一の活性成分としての本明細書で記載する化合物、及び薬学的に許容し得るキャリア又は賦形剤を含有する組成物を指す。
【0141】
他の実施形態で本発明は、本明細書で記載する本発明の化合物、又はそのプロドラッグ、類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、多形体、結晶、不純物、N−オキシド、エステル、水和物、又はこれらの任意の組合せ、及び適したキャリア又は希釈剤を含む組成物を提供する。
【0142】
活性成分は、中和された薬学的に許容し得る塩の形態で、組成物に配合することができる。薬学的に許容し得る塩は、無機酸、例えば塩酸若しくはリン酸、又は有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などと形成される酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基から形成される塩は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、又は水酸化第二鉄、及び有機塩基、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導させることもできる。
【0143】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、当業者に知られているあらゆる方法によって、例えば経口的に、非経口的に、血管内に、癌近傍に(paracancerally)、経粘膜的に(transmucosally)、経皮的に、筋肉内に、鼻腔内に、静脈内に、皮内に、皮下に、舌下に、腹腔内に、脳室内に、頭蓋内に、腟内に、吸入によって、直腸に、腫瘍内に、又は組換えウィルス/組成物を組織に送達することができるあらゆる手段(例えば針又はカテーテル)によって、対象に投与することができる。代わりに局所投与が、粘膜細胞への適用のため、皮膚又は眼の適用のために望ましいことがある。他の投与方法は、吸引又はエアロゾル製剤を介する。
【0144】
本発明の組成物は、一つの実施形態では経口デリバリー用に配合され、その中で活性化合物は、賦形剤と共に組み込まれていてもよく、摂取できる錠剤(ingestible tablets)、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハなどの形態で使用してもよい。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどは、以下のものを含有することもできる:結合剤、例えばガムトラガント、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチン;賦形剤、例えばリン酸水素カルシウム(dicalcium phosphate);崩壊剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;及び甘味剤、例えばスクロース、ラクトース又はサッカリン、又は香味料、例えばペパーミント、ウインターグリーン油、又はチェリー香味料。投与単位の形態がカプセルである場合、それは、上記種類の材料に加えて液体キャリアを含有していてもよい。様々な他の材料が、コーティングとして、又は投与単位の物理的形態を他の状態に修正するために、存在していてもよい。例えば、錠剤、丸剤又はカプセルは、セラック、糖又はその両方でコートすることができる。エリキシル剤のシロップは、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存料としてのメチル及びプロピルパラベン、染料、及びチェリー又はオレンジフレーバーのような香味料を含有していてもよい。さらに活性化合物は、徐放性、パルス放出性(pulsed release)、放出制御性、又は延長放出性(postponed release)薬剤及び製剤に組み込むことができる。
【0145】
他の実施形態で本発明の組成物は、一つ又はそれ以上の薬学的に許容し得るキャリア材料を含む。
【0146】
一つの実施形態において該組成物中で使用されるキャリアは、生体適合性であり、他の実施形態では生分解性である。別の実施形態で製剤は、一つの活性成分の放出を比較的一定のレベルにすることができる。しかし別の実施形態では、投与直後でより急速な放出が望まれることがある。別の実施形態で活性化合物の放出は、イベント駆動(event-triggered)でもよい。活性化合物の放出を駆動するイベントは、一つの実施形態では同じでもよく、又は他の実施形態では異なっていてもよい。活性成分の放出を駆動するイベントは、一つの実施形態では水分暴露、他の実施形態では低pH、又は他の実施形態では温度閾値であり得る。該組成物の処方は、公知の技術を使用する該分野の通常の技術レベル内で充分である。これに関して有用な例証となるキャリアは、ラクチド−グリコリド共重合体、ポリアクリレート、ラテックス、スターチ、セルロース、デキストランなどの微粒子を含む。別の例証となる延長放出性キャリアは、超分子バイオベクターを含み、これは非液状の親水性コア(例えば架橋した多糖類又はオリゴ糖類)と、任意に両親媒性化合物、例えばリン脂質を含む外層とを含む。一つの実施形態おいて徐放性製剤中の活性化合物の含有量は、投与部位、放出の速度及び期待される持続時間、並びに処置、抑制、又は阻害される状態の性質に依存する。
【0147】
一つの実施形態において、本明細書に開示する組成物は、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、又はさらに腹腔内に送達されることが望ましい場合がある。そのようなアプローチは、当業者に良く知られており、それらのいくつかは、例えば米国特許第5,543,158号、米国特許第5,641,515号及び米国特許第5,399,363号にさらに記載されている。これらの全ては言及することによって、本明細書に完全に組み込まれる。或る実施形態において、遊離塩基又は薬学的に許容し得る塩としての活性化合物の溶液を、界面活性剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースと適切に混合された水中で製造することができる。分散物も、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中、並びに油中で製造することができる。それは、製造及び保存条件下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌類及び真菌類の汚染作用に対して保護されなければならない。
【0148】
他の実施形態において、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいことがある。別の実施形態において、注射可能な組成物の持続的吸収が望ましいことがある。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えばアルミニウムモノステアレート及びゼラチンを組成物中で使用することによって達成することができる。
【0149】
非経口ビヒクルは、或る実施形態において、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液及び不揮発油を含む。静脈内ビヒクルは、リンゲルデキストロースをベースとするもののような液体及び栄養補充液(nutrient replenishers)、電解質補充液などを含む。保存料及び他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、照合剤(collating agents)、不活性ガスなども存在していてもよい。
【0150】
いくつかの実施形態において本発明の化合物は、対象、一つの実施形態では患者に様々な投与量で投与することができる。一つの実施形態で本発明の化合物は、1日あたり0.1〜200mgの投与量で投与される。本発明の化合物は、一つの実施形態で0.1〜10mg、又は他の実施形態で0.1〜25mg、又は他の実施形態で0.1〜50mg、又は他の実施形態で0.3〜15mg、又は他の実施形態で0.3〜30mg、又は他の実施形態で0.5〜25mg、又は他の実施形態で0.5〜50mg、又は他の実施形態で0.75〜15mg、又は他の実施形態で0.75〜60mg、又は他の実施形態で1〜5mg、又は他の実施形態で1〜20mg、又は他の実施形態で3〜15mg、又は他の実施形態で1〜30mg、又は他の実施形態で30〜50mg、又は他の実施形態で30〜75mg、又は他の実施形態で100〜2000mgの用量で投与される。いくつかの実施形態で本発明の化合物は、当業者が認識するように、時間、又は疾患/症状/状態の重症度、又は年齢、又は他の因子に応じて異なる投与量で投与してもよい。
【0151】
本発明の化合物は、様々な投与量で投与することができる。一つの実施形態で本発明の化合物は1mgの投与量で投与される。本発明の化合物は、他の実施形態で5mg、又は他の実施形態で3mg、又は他の実施形態で10mg、又は他の実施形態で15mg、又は他の実施形態で20mg、又は他の実施形態で25mg、又は他の実施形態で30mg、又は他の実施形態で35mg、又は他の実施形態で40mg、又は他の実施形態で45mg、又は他の実施形態で50mg、又は他の実施形態で55mg、又は他の実施形態で60mg、又は他の実施形態で65mg、又は他の実施形態で70mg、又は他の実施形態で75mg、又は他の実施形態で80mg、又は他の実施形態で85mg、又は他の実施形態で90mg、又は他の実施形態で95mg、又は他の実施形態で100mgの投与量で投与される。
【0152】
本発明の化合物を、唯一の活性医薬品として投与することができ、一方、それらを、当業者が理解しているような、一つ又はそれ以上の別の化合物と組み合わせて、及び/又は疾患、障害及び/又は状態の処置及び/又は予防で使用される別の薬と組み合わせて使用することもできる。他の実施形態で本発明の化合物を、一つ又はそれ以上のそのような薬と順次投与して、持続性の治療及び予防効果を与えることができる。他の実施形態で化合物を、異なる経路、異なる時間、又はこれらの組合せで投与することができる。
【0153】
さらに本発明の化合物を、単独で、又は状態、疾患若しくは障害を予防若しくは処置するための別の様式と組み合わせてのいずれかで、使用することができる。いくつかの実施形態でそのような別の処置様式は、処置される状態に対して適切である手術、照射、ホルモン補給、食事制限、創面切除などを限定無しで含み得る。これらは、順次(例えば手術又は照射の後に本発明の化合物を用いた処置)、又は組合せ(例えば食事療法に加えて)で行うことができる。
【0154】
付加的な活性薬を、一般に、PHYSICIANS' DESK REFERENCE (PDR) 53rd Edition (1999) に示されているような治療量で、又は当業者に知られているような治療に有用な量で用いることができる。本発明の化合物及び治療に活性のある別の薬を、推奨される最大の臨床的投与量、又はより少ない用量で投与することができる。本発明の組成物中の活性化合物の投与量レベルは、投与経路、疾患の重症度、及び患者の応答性に応じて望ましい治療応答を得るために変えることができる。併用薬を、別々の組成物として、又は両方の薬を含有する単一投与形態として投与することができる。併用薬として投与するとき、治療薬を、同じ時間又は異なる時間で与えられる別々の組成物として処方することができ、又は治療薬を単一の組成物として与えることもできる。
【0155】
医薬組成物は、本発明の化合物だけを含むことができ、又はさらに薬学的に許容し得るキャリアを含むことができ、そしてそれは、固体又は液状剤形、例えば錠剤、粉剤、カプセル、ペレット、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エマルション、ゲル、クリーム、又は直腸及び尿道坐剤を含む坐剤であり得る。薬学的に許容し得るキャリアは、ガム、スターチ、糖、セルロース系材料、及びこれらの混合物を含む。本発明の化合物を含有する薬剤は、例えばペレットの皮下埋め込みによって対象に投与することができ;さらなる実施形態でペレットは、ある期間にわたって本発明の化合物を制御放出する。液体薬剤の静脈内、動脈内、若しくは筋肉内注射、液体若しくは固体薬剤の経口投与、又は局所適用によって、薬剤を投与することもできる。投与は、直腸坐剤又は尿道坐剤を使用することによっても達成することができる。医薬組成物は、非経口製剤であってもよく;一つの実施形態で製剤は、本発明の化合物の複合体を含むリポソームを含む。
【0156】
本発明の医薬組成物を、公知の溶解、混合、顆粒化、又は錠剤形成法によって製造することができる。経口投与用に、本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N−オキシドなどは、この目的のために通常の添加剤、例えばビヒクル、安定剤又は不活性希釈剤と混合され、通常の方法によって投与に適切な形態、例えば錠剤、コーティングされた錠剤、ハード又はソフトのゼラチンカプセル、水溶性、アルコール性又は油性溶液に変えられる。適切な不活性ビヒクルの例は、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンのような結合剤と、又はコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤と、又はステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤と組み合わせたラクトース、スクロース又はコーンスターチのような通常の錠剤基剤である。適切な油性ビヒクル又は溶剤の例は、植物又は動物油、例えばヒマワリ油又は魚肝油である。薬剤を、乾燥及び湿潤顆粒の両方として生じさせることができる。非経口投与(皮下、静脈内、動脈内、又は筋肉内注射)のために、本発明の化合物又はそれらの生理学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N−オキシドなどは、必要に応じて、この目的のために通常且つ適切である物質、例えば可溶化剤又は別の助剤を用いて、溶液、懸濁液又はエマルションに変えられる。その例は、界面活性剤が添加されている又は添加されていない水及び油のような滅菌液、並びに別の薬学的に許容し得るアジュバントである。例証となる油は、石油、動物、植物又は合成由来のもの、例えば落花生油、大豆油又は鉱油である。一般に、水、食塩水、ブドウ糖水及び関連する糖溶液、並びにグリコール、例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコールが、特に注射可能な溶液のための好ましい液状キャリアである。
【0157】
活性成分を含有する医薬組成物の調製は、該分野でよく理解されている。典型的にそのような組成物は、鼻咽腔に送達されるポリペプチドのエアロゾルとして、又は注射可能な溶液若しくは懸濁液のいずれかとして調製されるが、しかし注射前に液中の溶液又は懸濁液のために適した固体剤形も調製することができる。調製は乳化してもよい。活性治療成分は、薬学的に許容でき、且つ活性成分と適合する賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤は、例えば水、食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、及びこれらの組合せである。さらに所望により、組成物は、活性成分の有効性を高める少量の補助物質、例えば湿潤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有することができる。
【0158】
例えばクリーム、ゲル、点滴剤などを使用して体表面に局所投与するために、本発明の化合物又はそれらの生物学的に許容される誘導体、例えば塩、エステル、N−オキシドなどは、医薬キャリアと共に又はこれ無しで、生物学的に許容し得る希釈剤中の溶液、懸濁液又はエマルションとして調製及び適用される。
【0159】
他の実施形態で活性化合物を、小胞、特にリポソームに送達することができる(参照 Langer, Science 249:1527-1533 (1990); Treat et al., Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書, pp. 317-327; 一般に同書参照)。
【0160】
一つの実施形態で本発明は、併用薬剤を提供する。特に、一つの実施形態で用語「併用薬剤」とは、上で定義したような組合せ相手を、独立に服用できるか、又は顕著な量の組合せ相手を含む異なる一定の組合せを使用することによって、即ち同時に、同時発生的に、別々に又は順次的に、服用できるという意味で「パーツキット(kit of parts)」を意味する。いくつかの実施形態でパーツキットのパーツを、例えば同時に、又は経時的にずらして、即ちパーツキットの任意のパーツについて異なる時点及び等しい又は異なる時間間隔で投与することができる。併用薬剤中の組合せ相手の総量の比率は、いくつかの実施形態で管理され得る。一つの実施形態で併用薬剤は、例えば処置される患者の分集団の要求、又は一人の患者の要求に対処するために変わり得る。これらの異なる要求は、当業者によって容易に理解され得る特定の疾患、疾患の重症度、年齢、性別又は体重によるものであり得る。
【0161】
本発明は、当業者に認識されるように必要に応じて、あらゆる疾患、障害又は状態に対する本明細書で記載するような組成物及び組み合わせた治療に関することは理解されるべきである。そのような組成物及び組み合わせた治療の或る適用は、特定の疾患、障害及び状態に対して上で記載され、これは本発明の実施形態を描写する。そしてそのような対象の疾患、障害及び状態を、本明細書で記載する化合物を単独で若しくは組み合わせた治療の一部として投与することによって、又は本発明の組成物を使用することによって、処置する方法は、本発明の追加の実施形態を描写する。
【0162】
テロメラーゼ活性化及び/又は発現によって影響を受け得る状態又は疾患の処置
いくつかの実施形態で本発明は、高められたテロメラーゼ発現及び/又は活性によって影響を受け得る状態及び/又は疾患を処置するための、化合物、及び前記化合物を含む医薬組成物を提供する。これらの化合物は、テロメラーゼ酵素と相互作用し、対象の組織及び細胞中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性を刺激及び/又は増加させる。いくつかの実施形態では、そのような活性は減少しているか、又は欠けており、その結果、対象の疾患、障害又は状態と関連する増大した病変形成又は症状が発生する。そのような疾患、障害又は状態は、とりわけ、以下のものを含み得る:a)アルツハイマー病;b)パーキンソン病;c)ハンチントン病;d)卒中;e)神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害;f)皮膚の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成若しくは形成不全、老人性黒子、色素沈着異常、白髪化及び脱毛若しくは髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍;g)変性関節疾患;h)骨粗鬆症、変形性関節症、及び骨格系の他の変性状態;i)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性及びストレス関連性の疾患;j)加齢性黄斑変性;k)AIDS;l)自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及びストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態;m)創傷、熱傷、擦過傷、又は表皮の他の急性若しくは慢性状態の治癒;n)先天性角化異常症;o)筋肉減少症及び/又は他の筋疾患若しくは状態;p)黄体期欠損;q)早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症);r)精子形成障害;s)精子送達障害;及び/又はt)メモリーT細胞中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、それによる免疫記憶応答及びワクチンに対する応答の強化;及び/又はu)健常組織中でのテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加、そうして前記対象を良好な健康状態に維持しながら行う対象寿命の延長、及び/又は別の臨床的な治療及び/又は診断領域の拡大。これらは、本明細書で記載する用語「処置」に包含されるもののあらゆる実施形態を含む。
【0163】
いくつかの実施形態で本発明は、細胞又は組織と本発明の化合物を含む組成物とを接触させることによって、細胞又は組織中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させる方法を提供する。一つの実施形態で該方法は、テロメラーゼ発現及び/又は活性の増加が望まれる細胞又は組織を同定するステップを含んでもよい。
【0164】
テロメラーゼは、正常な体細胞中では典型的に低レベルで検出される。皮膚、リンパ球組織、子宮内膜組織、毛包及び腸陰窩、活性有糸分裂細胞、並びに幹細胞中で、テロメラーゼ発現及び/又は活性は、低レベルで発現する。テロメラーゼ発現及び/又は活性は、転写、mRNAスプライシングを含む異なる分子レベルで、並びにテロメア逆転写酵素(TERT)及びテロメアRNA成分(TERC)の成熟及び修飾を介して制御される。
【0165】
一つの実施形態で本発明の化合物及び組成物はテロメラーゼを活性化させ、そのため本明細書で記載する方法は有用である。
【0166】
細胞中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させる化合物の能力は、TRAP(テロメア反復増幅プロトコル)アッセイを使用して検出することができ、これは、該分野で知られている(例えばKim ら、米国特許第5,629,154号;Harley ら、米国特許第5,891,639号)。その活性は、典型的に、そのような細胞の対照アッセイ中で同様に測定される活性と比較される(例えば、溶媒対照で観察されるよりも50%大きいテロメラーゼ活性)。そのアッセイに使用するために適した細胞株は、正常ヒト線維芽細胞(Now)又は正常ヒトケラチノサイト(NHK)を含み得る。
【0167】
いくつかの実施形態でテロメア長は、テロメラーゼ発現及び/又は活性に対して有用な指標として機能し得る。一つの実施形態でテロメラーゼ発現及び/又は活性化は、癌、早期老化症候群又は体節性早老症、遺伝子異常、及び加齢性疾患の処置に重要である。テロメア長は、特定の疾患進行で明確な発現パターンを持ち、その活性化の関数であり、そのためその長さを処置の関数として測定することは、いくつかの実施形態で、異なる疾患の予後に関して価値がある。
【0168】
一つの実施形態でテロメア長は、サザンブロット、ハイブリダイゼーション・プロテクション・アッセイ、蛍光in situハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、プライムドin situ、定量ポリメラーゼ連鎖反応及び単一テロメア長解析によって測定することができ、これらは全て該分野で知られている技術である(Kah-Wai Lin and Ju Yan, J. Cell. MoI. Med., 2005, VoI 9, No .4, 977-989)。
【0169】
いくつかの実施形態で本発明は、対象中のテロメラーゼ発現及び/又は活性化によって影響を受け得る状態を処置する方法を提供し、該方法は、対象に有効量の本発明の化合物を投与することを含み、その中で該化合物は、対象の細胞又は組織中でテロメラーゼ発現及び/又は活性を刺激又は増強する。
【0170】
一つの実施形態でそのような状態では、例えばテロメラーゼの不存在下で、細胞老化に又は細胞増殖の増加した速度に関連する状態が含まれ得、これは、加速度的なテロメア反復損失を導く。用語「増殖の増加した速度」とは、その細胞型の正常細胞に比べて、又はその細胞型の別の個体内の正常細胞と比べて、細胞分割の速度がより高いことを指す。異常に早い年齢でのそれら細胞群の老化は、最終的に疾患につながり得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、テロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって処置され得る状態は、以下でさらに記載するように、適正な関連細胞型を用いるエクスビボ細胞治療において、本明細書で記載する化合物を使用することを含み得る。一つの実施形態で状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、卒中、神経障害、運動ニューロン疾患、多発性硬化症(MS)、又は脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害であり、これらに適用し得る細胞は、ニューロン及び/又はグリア細胞を含む中枢神経系の細胞、例えば星状細胞、内皮細胞及び/又は線維芽細胞である。他の実施形態で状態は、小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスである。
【0172】
他の実施形態で状態は、皮膚の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮及び菲薄化、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成又は形成不全、老人性黒子及び/又は色素沈着異常、白髪化及び脱毛又は髪の菲薄化(禿頭症、禿髪症)、又は慢性皮膚潰瘍であり、これらに適用し得る細胞は、線維芽細胞、皮脂腺細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、微小血管内皮細胞、及び/又は毛包細胞である。
【0173】
他の実施形態で状態は、変性関節疾患であり、これに用いることができる細胞は、関節軟骨の細胞、例えば軟骨細胞、並びに小窩(lacunal)及び/又は滑膜の線維芽細胞である。
【0174】
他の実施形態で状態は、骨粗鬆症、変形性関節症、及び/又は骨格系の他の変性状態であり、これらに適用し得る細胞は、骨格系の細胞、例えば骨芽細胞、骨髄間質若しくは間葉系細胞、及び/又は骨前駆細胞である。
【0175】
他の実施形態で状態は、筋肉減少症及び/又は筋系の他の変性状態であり、これらに適用し得る細胞は、筋細胞若しくはその前駆細胞、又は間葉系細胞である。
【0176】
他の実施形態で状態は、粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧又は動脈瘤を含む脈管系の加齢性及び/又はストレス関連性の疾患であり、これらに適用し得る細胞は、内皮細胞、平滑筋細胞、及び/又は外膜線維芽細胞を含む心臓及び脈管系の細胞である。
【0177】
他の実施形態で状態は、加齢性黄斑変性であり、これに用いることができる細胞は、眼の細胞、例えば色素上皮及び/又は血管内皮細胞である。
【0178】
他の実施形態で状態は、後天性免疫不全又はAIDSであり、これらに適用し得る細胞は、Tリンパ球、例えばCD4+又はCD8+T細胞である。他の実施形態で状態は、先天性免疫不全である。
【0179】
他の実施形態で状態は、移植片対宿主病(GVHD)である。他の実施形態で状態は、移植片対白血病(graft-versus leukemia disease)(GVL)である。
【0180】
他の実施形態で状態は、自然の加齢、癌、癌治療、急性若しくは慢性感染、変性炎症性疾患と共に生ずるか、あるいは加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害と共に生ずる組織のターンオーバーの障害を含む加齢性及び/又はストレス関連性の免疫系障害、並びに関連する貧血、並びに他の変性状態であり、これらに適用し得る細胞は、リンパ、骨髄及び赤血球系統中の細胞、例えばB及びTリンパ球、単球、循環及び特殊組織マクロファージ(circulating and specialized tissue macrophages)、好中球、好酸球、好塩基球、NK細胞、並びにそれらの前駆体を含む免疫系の他の細胞である。
【0181】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び/又は組成物は、疾患又は健康状態での免疫機能の改善に応用される。いくつかの実施形態で本発明の方法及び/又は組成物は、T細胞の活性、例えば細胞傷害性Tリンパ球の活性若しくは応答性、又はアネルギーからの救助を高めることに応用され、例えば感染又は腫瘍症における多発性疾患の処置に応用され得る。いくつかの実施形態でそのような方法及び/又は組成物は、通常の療法に対して高耐性である病原体、特に毒性菌、又は別の療法が利用できない菌、例えば多剤耐性菌を処置することにおいて特に有用である。
【0182】
他の実施形態で状態は、黄体期欠損を含む女性の妊孕性に関連するものであり、これには、正常な女性の月経周期の混乱が存在し、そして体が充分なプロゲステロンを産出せず、その結果、子宮の内層(子宮内膜)の発育遅延、又は早発卵巣不全(原発性卵巣機能不全症又は高ゴナドトロピン性性腺機能低下症)が生じ、これには、40歳よりも若い女性における卵巣の正常機能化の損失が存在する。
【0183】
他の実施形態で状態は、精子形成障害又は精子送達障害を含む男性の妊孕性に関連するものである。
【0184】
他の実施形態で、テロメラーゼ発現及び/又は活性の増加が治療的に有益であり得る細胞型は、肝臓の細胞、内分泌及び外分泌腺、平滑筋系、又は骨格筋系を含むが、これらに限定されない。
【0185】
一つの実施形態でAIDS疾患は、CD8+細胞の早期老化によって引き起こされると信じられている。そのような細胞の加齢は、単に細胞倍化(cell doubling)ごとの異常量のテロメア配列損失に起因するだけではなく、加えて、細胞の増加した複製速度に起因し、そうしてテロメア短縮は、その細胞群の正常のものより顕著である。従って本発明は、HIVに感染した対象を処置する方法、そのうえ特に、HIVに感染した対象中のHIV制限CD8+細胞の早期老化を減少させる方法を提供し、これらは、前記対象に本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0186】
一つの実施形態でテロメラーゼ発現及び/又は活性の増加は、例えばストレスによる細胞死に対する感受性の増加と関連する状態、例えば心不全又は卒中における虚血において、非分裂細胞にも、増殖細胞にも有益であり得る(Schneider, J. MoI. Cell. Cardiol 34(7):717-24; Mattson, Exp Gerontol. 35(4):489-502)。本発明は、対象の細胞中でテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって、対象中のストレス又はDNA損傷誘発性の細胞死、例えば心不全又は卒中によって組織中で対象が経験する虚血性状態(subject experiencing ischemic conditions)を減少させる方法を提供し、これは、前記対象に本発明の化合物を含む組成物を投与することを含む。
【0187】
一つの実施形態で本発明は、対象の寿命を延ばす方法を提供し、複製を続けるため、又はストレス誘発性の細胞死に抵抗するためのそれらの細胞の能力を伸ばすことによって、その対象の命を伸ばすことができる。そのような細胞群の一例は、ダウン症患者中に存在するリンパ球である。従って本発明は、ダウン症患者中に存在するリンパ球の複製能力及び/又は寿命を、患者の前記細胞中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって高める方法を提供し、これは、前記対象に本発明の化合物を含む組成物を投与することを含む。該組成物は、正常の加齢の間に生ずるストレス誘発性の細胞死に対する抵抗性を改善させるために使用することもできる。
【0188】
本発明は、一つの実施形態でテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させ、それによって創傷、熱傷、擦過傷、又は皮膚の他の急性又は慢性状態の治癒を促進する方法、いくつかの実施形態では特に表皮中での方法を提供する。従って本発明は、前記対象に本明細書で記載する化合物及び/又は前記化合物を含む組成物を投与することによって、皮膚の急性又は慢性状態を処置する方法を提供する。一つの実施形態で該組成物は、患部に局所投与される。
【0189】
他の実施形態で本発明の方法を介して処置される急性又は慢性の皮膚状態は、外傷、熱傷、擦過傷、外科的切開、ドナー移植部位で受ける病変、及び/又は感染性病原体によって引き起こされる病変を含み得る。
【0190】
他の実施形態で皮膚の急性又は慢性状態は、慢性の静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍、褥瘡、及び粘膜表面の潰瘍又はただれを含み得る。
【0191】
他の実施形態で皮膚の急性又は慢性状態は、持続性炎症状態若しくは感染によって、又は遺伝的欠陥(例えばハロゲン化物形成(Haloid formation)及び凝固異常)によって引き起こされる表面の病変を含み得る。
【0192】
一つの実施形態で、創傷、熱傷、擦過傷又は皮膚の他の急性若しくは慢性状態を治癒する方法は、本明細書で記載する化合物を含む組成物を投与して、処置部位での細胞増殖又は移動、適用療法の結果としてその部位での上皮細胞の密度増加、及びそれによって存在する場合には創傷の閉鎖、又は正常な生理機能の回復を刺激若しくは増強することを含む。
【0193】
一つの実施形態で本発明は、他の目的、例えば美容向上のための、皮膚の処置及び皮膚表面のあらゆる欠陥の修復を意図する。
【0194】
他の実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、UV照射から皮膚を保護するため、又はそれによる損傷の緩和処置のために用いることができる。
【0195】
他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、髪の状態の処置、髪の色、髪の輝き又は質の保持に使用することができる。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、脱毛処置に、又は植毛及び脱毛処置プロトコル(hair loss treatment protocols)を用いる補助的療法として、使用することができる。
【0196】
他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、農業用途に使用することができる。一つの実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、植物の収穫量を増加させるために使用することができ、これにおける一つの実施形態では果物の収穫が増加し、他の実施形態では果物の大きさが増大する。他の実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、乳牛のミルク生産を増加させるために使用することができ、一方、他の実施形態では卵の大きさを増大させることができる。他の実施形態で、ニワトリ、ウシ及びブタを含む肉用として飼育される家畜における肉の生産を増加させることができる。さらに他の実施形態において本明細書で記載する化合物及び組成物は、競馬産業で、雄馬及び雌馬の両方の繁殖能力を増加させるため、並びにより速い競走速度のための筋力及びスタミナを増加させるために使用することができる。
【0197】
一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、培養物中において、例えばエクスビボ細胞療法又はモノクローナル抗体産生で、細胞中のテロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることによって、細胞の複製能力を高めるため、及び/又は寿命を延ばすために使用することができる。テロメラーゼ発現及び/又は活性を増加させることは、細胞増殖の間において、テロメア反復損失を遅らせること、及び/又はストレス誘発性の細胞死の抵抗性を改善することによって、そのような細胞の複製能力を増加させる。
【0198】
一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、同種異系細胞療法で有用であり得、この療法は、一つの実施形態で幹細胞移植、ドナー細胞移植又は癌免疫療法を含み得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、幹細胞の活性化及び/又は可動化に有用であり得る。例えば、及びいくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、エクスビボ培養物中における幹細胞生存の増強に有用であり得る。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、培養時間を延ばして、それによって細胞集団の増殖をサポートすることができ、次にこれは移植効率を高め、一方で別の実施形態で本発明の方法及び組成物は、細胞分化前の幹細胞期において、細胞生存率を増加させることができ、及び/又は細胞寿命を増加させることができる。いくつかの実施形態において本明細書で記載する化合物での集団の処置は、それらを、他の幹細胞操作、例えば形質転換又は形質導入に対してより受容的にする。
【0199】
一つの実施形態で幹細胞は胚幹細胞であってもよく、一方、他の実施形態で幹細胞は成体幹細胞であってもよい。一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、幹細胞をインビトロで培養するために有用であり得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、非幹細胞をインビトロで培養するために有用であり得る。一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、とりわけ膵ベータ細胞をインビトロで培養するために有用であり得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、再生医療のために有用であり得る。他の実施形態で幹細胞は、癌幹細胞であり得る。一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、再生不良性貧血の処置に有用であり得る。
【0200】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、外科、照射、化学療法、及び免疫療法の方法/化合物と組み合わせた癌の処置における、並びに別の癌療法に対する応答性の増強における補助的療法として有用である。いくつかの実施形態で本発明の化合物は、癌潜伏を抑制し、即ち活性状態の新生細胞を維持し、これによって癌細胞に対して毒性のある追加化合物がより有効になる。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、癌に対する補助的療法を含むときに、癌を持つ対象の生存見込みを増大させる。一つの実施形態で抗癌薬物処置であり得る薬物処置によって引き起こされる発達中の胚に対する障害を、いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は防ぐことができる。いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、癌診断の開発に有用である。例えば、及びいくつかの実施形態で本発明の化合物は、検出し難い癌細胞集団を拡大させ、それらの検出を助け、それによって癌診断の手段/方法となる。いくつかの実施形態で、癌の病期は、本明細書で記載する化合物に対する応答性に反映し得る。
【0201】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、新規処置計画の開発に有用である。例えば、及びいくつかの実施形態で本発明の化合物は、検出し難い又は処置し難い癌細胞集団を拡大させ、次にこれは、特定の癌性細胞集団の処置に対してより適切な抗癌性化合物の設計を可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書で記載する化合物での集団の処置は、それらを別の抗癌療法に対してより感受的にするか、又はいくつかの実施形態において、組合せの療法又は新規化合物の評価を可能にする。
【0202】
いくつかの実施形態で本発明の方法及び組成物は、癌幹細胞増殖に有用であり、次にこれは、そのような細胞を含む癌の療法及び処置の開発に有用である。いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物は、癌幹細胞増殖、疾患の病期(disease staging)及び癌の診断に有用である。
【0203】
一つの実施形態で本発明の方法及び組成物は、細胞の分化転換の促進に有用であり得、一方、他の実施形態でそれらは、細胞クローニング及び/又は形質導入若しくは形質転換に有用であり得る。他の実施形態で本発明の方法及び組成物は、細胞中でプラスミド又はネイキッドDNA取込み、リポソーム取込みなどの増強に有用であり得、その結果、いくつかの実施形態において、高められた核酸転換効率が得られる。
【0204】
一つの実施形態で本発明は、エクスビボ適用によって細胞の複製能力及び/又は寿命を増加させる方法を提供し、その中では本発明の化合物は、対象から得られた移植片細胞(explant cell)に添加され、それによって細胞の複製能力及び/又は寿命を増加させる。
【0205】
移植片細胞は、例えば幹細胞、例えば骨髄幹細胞(米国特許第6,007,989号)、骨髄間質細胞(Simonsen et al., Nat Biotechnol 20(6):592-6, 2002)、又は副腎皮質細胞(Thomas et al., Nat Biotechnol 18(l):39-42, 2000))を含み得る。本発明の疾患状態は、エクスビボ細胞療法(cell-based therapy)の対象でもあり得る。その例は、筋ジストロフィーを処置するための筋衛星細胞、骨粗鬆症を処置するための骨芽細胞、加齢性黄斑変性のための網膜色素上皮細胞、変形性関節症のための軟骨細胞などの使用を含む。
【0206】
一つの実施形態で本発明は、化合物、本発明の化合物を含む組成物を投与することを含む、先天性角化異常症を処置する方法を提供する。
【0207】
ジンサー−エングマン−コール(Zinsser-Engman-Cole)症候群としても知られている先天性角化異常症(DKC)は、網状皮膚色素過剰、爪ジストロフィー、及び口腔白板症の三組によって特徴付けられる稀な進行性骨髄機能不全症候群である。X連鎖DKC(DKC1)中で変異した遺伝子は、ジスケリン(dyskerin)と呼ばれる高度に保存された核小体タンパク質(a highly conserved nucleolar protein)をコードする。この障害におけるテロメラーゼ機能不全、リボソーム欠乏、及びタンパク質合成機能不全についての証拠が存在する。早死には、しばしば、骨髄機能不全、感染、致命的な肺合併症、又は悪性腫瘍が関連する。
【0208】
DKCを持つ患者は、正常な対照と比べて、減少したテロメラーゼ発現及び/又は活性化、並びにテロメアDNAの異常に短い束を有する。染色体安定性を維持するためのテロメア機能のために、テロメラーゼは、細胞老化及び癌進行の防止に重大な役割をはたす。DKC及び再生不良性貧血のサブセットの両方は、テロメラーゼ欠損によるものである。
【0209】
一つの実施形態で本発明は、幹細胞の増殖方法を提供し、この中で幹細胞集団は、本発明の化合物で処置され、それによって細胞集団の複製能力及び/又は寿命が高められる。
【0210】
いくつかの実施形態で本発明は、細胞老化(細胞老化に関連する状態を含むが、これに限定されない)を未然に防ぎ、且つ逆戻りさせるための治療薬として、本明細書で記載する化合物及び/又は組成物を使用することを規定する。いくつかの実施形態において本明細書で記載する化合物及び/又は組成物は、とりわけ診断、分析又はワクチン生産のために初代細胞培養を拡大させるため、或いは移植前(虚血時間の間、血液供給の断絶及び再開の間の時間)に器官/細胞の生存率を維持するために、細胞又は器官培地中で使用することができる。いくつかの実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物及び/又は組成物の使用を規定し、これは、移植用の細胞又は組織の生存延長に有用であり、及び/又はいくつかの実施形態でこれは、そのような移植片の取込みを大いに促進する。いくつかの実施形態でそのような性質は、特に、島若しくは骨髄細胞移植、幹細胞移植、又は再生医療のような用途で有用性を見出す。
【0211】
いくつかの実施形態で本発明は、本明細書で記載する化合物及び/又は組成物を、以下の細胞の刺激薬として使用することを規定する:(a)アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病及び卒中のような加齢性疾患に、又は神経障害、運動ニューロン疾患、脊髄損傷を含む末梢及び中枢神経系損傷、並びに脳血管障害(CVI)、例えば卒中の修復に、又は多発性硬化症(MS)のような疾患に関与する星状細胞、内皮細胞、および線維芽細胞を含む、中枢神経系中の複製能力を持つ細胞;(b)外皮の加齢性疾患、例えば皮膚の萎縮、弾力線維分解及び皮膚しわ、皮脂腺の過形成、老人性黒子、白髪化及び脱毛(禿頭症、禿髪症)、慢性皮膚潰瘍、角化症、及び創傷治癒の加齢性障害に関与し得る線維芽細胞、皮脂腺細胞、メラノサイト、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、及び毛包細胞を含む、外皮中の限られた複製能力を持つ細胞;(c)変性関節疾患に関与する軟骨細胞、並びに小窩及び/又は滑膜の線維芽細胞のような、関節軟骨中の限られた複製能力を持つ細胞;(d)骨粗鬆症に関与する骨芽細胞及び骨前駆細胞のような、骨中の限られた複製能力を持つ細胞;(e)加齢性免疫系障害に関与し得るB及びTリンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球、NK細胞、並びにそれらの前駆体のような、免疫系中の限られた複製能力を持つ細胞;(f)粥状動脈硬化、石灰化、血栓症、高血圧、及び動脈瘤を含む脈管系の加齢性疾患に関与し得る内皮細胞、平滑筋細胞、及び外膜線維芽細胞を含む、脈管系中の限られた複製能力を持つ細胞;(g)肝疾患(硬変)、肺疾患、又は糖尿病に関与し得る肝臓、肺、膵臓(島細胞)を含むが、これらに限定されない、体器官中の限られた複製能力を持つ細胞;(h)卵胞細胞及び黄体細胞を含む、生殖器系中の限られた複製能力を持つ細胞;(i)コルチ器官の内側及び外側線毛聴覚細胞を含む、耳中の限られた複製能力を持つ細胞;並びに(j)加齢性黄斑変性に関与し得る色素上皮細胞及び血管内皮細胞のような、眼中の限られた複製能力を持つ細胞。
【0212】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより充分に説明するために示される。しかしそれらは、本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0213】
実施例
実施例1
化合物77の合成
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(4g、13mM)、ホルムアルデヒド(3.6g、120mM)及び40%のジメチルアミン水溶液(15mL)を、50mLの水及び60mLのEtOHの溶液に添加した。溶液を2.5時間還流した。溶媒の部分蒸発で白色固体を沈殿させ、これをろ過し、水で洗浄し、乾燥して、化合物77の白色固体7.85gを得た(収率93%、mp.=169°)。
【0214】
NMR CDCl3 δ 6.64(6H,s,ArH),3.40(12H,s,CH2),2.22(36H,s,N−CH3),2.06(3H,s,C−CH3).
【0215】
実施例2
化合物84の合成
化合物84を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。
【0216】
NMR CDCl3 δ 6.71(6H,s,ArH),3.58(12H,s,CH2),2.54(24H,q,J=7.0Hz),1.04(24H,t,J=7.0Hz).
【0217】
実施例3
化合物78の合成
20mLの水及び25mLのEtOH中の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(1.53g、5mM)、ホルムアルデヒド(1.35g、45mM)及び1−メチルピペラジン(2.5mL、50mM)を3時間還流した。蒸発で固体を得た。この固体は、TLC及びNMRによれば二つの生成物を含有し、これは出発物質ではなかった。ホルムアルデヒド(0.75g、25mM)及び1−メチルピペラジン(1.5mL、30mM)を、5mLの水及び10mLのEtOHに添加し、反応を4時間還流した。蒸発及び後処理(workup)で、3.3gの淡黄色乃至白色の固体を得た(収率67%、mp.63°)。エタノールに可溶、及び水への溶解度は非常に良好。
【0218】
NMR CDCl3 δ 6.67(6H,s,ArH),3.53(12H,s,CH2),2.44(48H,br.m,ピペラジン環),2.26(18H,s,N−CH3),2.00(3H,s,C−CH3).
【0219】
実施例4
化合物83の合成
化合物83を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。白色固体が得られた。mp.=178°。
【0220】
NMR CDCl3 δ 6.68(6H,s,ArH),3.55(12H,s,CH2),2.51(24H,br.t,N−CH2環),2.03(3H,s,C−CH3),1.55(24H,br.t,N−CH2環),1.42(12H,br.s).
【0221】
実施例5
化合物81の合成
化合物81を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。白色固体が得られた。mp.=135°。
【0222】
NMR CDCl3 δ 6.68(6H,s,ArH),3.61(12H,s,CH2),2.51(24H,br.t,N−CH2環),2.03(3H,s,C−CH3),1.76(24H,br.t,N−CH2環).
【0223】
実施例6
化合物82の合成
化合物82を、実施例1に記載の方法と類似する方法によって合成した。白色固体が得られた。mp.=212°。
【0224】
NMR CDCl3 δ 6.68(6H,s,ArH),3.69(24H,t,J=4.5Hz,N−CH2環),3.52(12H,s,CH2),2.45(24H,br.t,O−CH2環),2.03(3H,s,C−CH3).
【0225】
実施例7
化合物79の合成
工程1:実施例1に記載の方法と類似する方法によって製造した化合物77(2.98g、4.6mM)を20mLの無水酢酸に添加し、100°に4時間加熱した。混合物を冷却し、水を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでCH2Cl2で抽出した。溶媒を蒸発させて、黄色油としてノナ−アセテート誘導体を得て、これをさらにクロマトグラフィー(シリカゲル;1%MeOH/CH2Cl2)で精製して、3.2gの粘性黄色油を得た(収率80%)。
【0226】
工程2:KOH(4g)水溶液を、20mLのEtOH中の工程1のノナ−アセテート(2.5g)の溶液に添加した。混合物を室温で20時間撹拌した。混合物をHClで酸性化し、CH2Cl2で抽出した。溶媒を蒸発させて2.2gの黄色油を得て、これをさらにカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;2%MeOH/CH2Cl2)で精製し、トルエン−ヘキサンから再結晶して、1gの化合物79を得た(収率53%、白色固体、mp 78°)。5%MeOH/CH2Cl2中のTLC−Rf=0.55。
【0227】
NMR CDCl3 δ 7.93(3H,s,OH),6.79(6H,s,Ar−H),4.54(12H,s,Ar−CH2),3.55(12H,q,J=7.0Hz,CH2),2.05(3H,s,C−CH3),1.22(18H,t,J=7.0Hz,CH3).
【0228】
実施例8
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ−フェニル)−エタン(化合物68)の合成
工程1:水10mL中のNaOH(1g、25mM)、及び硫酸ジメチル(5.1g、40mM)(モル比1:8)の溶液を、1時間かけて同時に少量ずつ、エタノール20mL及び水10mL中の1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン(1.53g、5mM)の溶液に添加した。次いで溶液を1時間還流し、室温で70時間撹拌した。白色沈殿物をろ過し、水で洗浄し、乾燥して、1.74gの1,1,1−トリス(4−メトキシフェニル)−エタンを得た。50mLのエタノールからの2回の再結晶で、1.15gの白色結晶を得た(収率66%、mp.160°)。CH2Cl2中のTLC Rf=0.85。
【0229】
NMR CDCl3 δ 6.99,6.79(12H,ABq,JAB=8.8Hz),3.78(9H,S,OCH3),2.11(3H,S,CH3).
【0230】
工程2:22mLの1,2−ジクロロエタン中の工程1からの1,1,1−トリス(4−メトキシフェニル)−エタン(0.49g、1.4mM)の溶液に、5mLの1,2−ジクロロエタン中の臭素(1.65g、10.2)(比7.3:1)の溶液を少量ずつ添加した。溶液を室温で一晩撹拌し、70°に3時間加熱し、後処理して(チオ硫酸ナトリウム)、1.0gの粗生成物を得た。TLCは出発物質を示さなかったが、NMRは混合物を示し、臭素化が不完全であることを示した(6.90ppmでm、及び4メトキシ)。固体を再び1gの臭素で臭素化し、18時間還流した。混合物を上記のように後処理し、熱エタノールで粉砕して、0.27gの白色固体を得た(収率23%、mp=160°)。CH2Cl2中のTLC Rf=0.95。
【0231】
NMR CDCl3 δ 7.16(6H,s,ArH),3.92,3.91(比6:4)(9H,2s,OCH3),2.04,2.03(比4:6)(3H,s,CH3).
【0232】
実施例9
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジヨード−フェニル)−エタンの合成
エタノール40mL及び水40mL中の氷冷した1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン(1.53g、5mM)に、KOH(2.2g、39.2mM)、これに続けてKI(5.8g、34.8mM)及びヨウ素(8.8g、34.7mM)を添加した。色が紫色から茶色に変化する。反応を室温で3時間撹拌した。混合物を砕いた氷に添加した。酸性pHにするために濃HClを添加し、チオスルフェート溶液で処理し、後処理した。蒸発で5.1gの淡褐色固体であるヘキサヨード生成物を得て、これに続けてエタノール中での粉砕によって3gの白色固体を得た(収率61%、mp=230°)。RF=0.8(5%MeOH−CH2Cl2中)。
【0233】
NMR CDCl3 δ 7.3(6H,s),5.77(br.s,OH),1.97(3H,s,CH3).
【0234】
実施例10
テロメラーゼを使用するDNA二本鎖断片の修復
テロメラーゼ活性化及び/又は発現を評価するために、DNA修復アッセイを行った。DNA断片はイオン照射によって発生させた。全ての化合物が修復を増加させた。これらの結果は、テロメラーゼ活性及び/又は発現が、ストレス状態に安定性をもたらしたことを示す。
【0235】
実施例11
線虫を用いた寿命延長に対するトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物の効果
線虫(エレガンス線虫(C. elegans))に、以下の表に提示するトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物を投与し、テロメラーゼ活性及び/又は発現を、線虫の寿命延長に関して測定した。線虫は、50ミクロモル濃度で活性化剤を用いて生育させ、二つの代表的分子である化合物68及び化合物77の平均値、最大値及び半減期(half-life)を、対照の値に対して測定した(図8)。値は平均寿命を表す。
【0236】
【化34】
【0237】
【表1−1】
【0238】
【表1−2】
【0239】
【化35】
【0240】
【表1−3】
【0241】
【化36】
【0242】
【表1−4】
【0243】
【表1−5】
【0244】
実施例12
ヒト神経膠芽腫細胞に対するトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物の効果
化合物1、62、68、77及び79(上記表を参照)を、神経膠芽腫細胞中のテロメラーゼ活性化及び/又は発現について調べた。化合物79及び68は、上記のようにして合成した。化合物1及び62は市販されている。1μMの核タンパク質(テロメラーゼ源として)を、テロメラーゼの特異的な反応混合物に添加し、テロメラーゼ反復増幅(TRAP)アッセイを、テロメラーゼ活性化剤(化合物79、68、1及び62)の不存在下及び存在下で行った。反応生成物を、PAGEで、次いでオートラジオグラフィーによって解析した。テロメラーゼ活性/発現%を計算した。
【0245】
U−251神経膠芽腫細胞を、異なる濃度の本発明の化合物で1又は3時間処置した。培地を除去し、細胞をPBSで数回洗浄した。Chaps核抽出を標準的な方法論によって行い、テロメラーゼ活性を、放射性ヌクレオチドを使用するTRAPによって検出した。TRAPアッセイによって観察したテロメラーゼ活性の結果を示すいくつかの実験の代表的な写真を、図1Aに示す。細胞は、1μM(レーン2及び4)、又は0.25μM(レーン3及び5)の化合物68で、1時間(レーン2−3)又は3時間(レーン4−5)、それぞれ処置した。レーン1は、ビヒクル処置のみを示す。複数の実験からのテロメラーゼ活性の定量化は、β−シンチレーションカウンターを使用して、テロメラーゼ生成物の全放射性標識を測定することによって行い、各サンプルのテロメラーゼ活性を、内部標準に対して計算した。(ビヒクルのみで処置した対照細胞からの)テロメラーゼ活性化割合を、本発明の化合物について検出した(図1B)。本発明の化合物は、処置細胞中でテロメラーゼ活性を有意に増加させ、その活性化レベルは、化合物の性質、濃度、本発明の化合物に対する細胞の暴露時間に依存した。
【0246】
テロメラーゼタンパク質レベルに対する本発明の化合物の効果、及びテロメラーゼに対する化合物68の単一用量の長期処置の効果は、細胞を様々な間隔(3〜24時間)で1μMの化合物に暴露させ、抗テロメラーゼ抗体を用いるウエスタンブロット解析によってテロメラーゼタンパク質レベルを検出することで試験した。化合物68は、処置細胞中のテロメラーゼタンパク質レベルを増加させる(図2A)。テロメラーゼの時間依存的増加が、処置1〜3時間での活性化ピークを伴って観察され、次いで徐々に減少した。テロメラーゼ活性レベルは、24時間後では、ビヒクル処置細胞で見出されるレベルに比べて、わずかに高いだけであった(図2B)。β−アクチンタンパク質レベル(下のパネル)又は他の核の酵素、例えばトポイソメラーゼIの変化は観察されず、これは、単一用量が、速くて特異的なテロメラーゼ活性化を引き起こしたことを示唆するが、この活性化は一過性であり、処置の24時間後にテロメラーゼレベルはその基礎値に戻り、これはテロメラーゼ活性化を制御する本発明の化合物の能力を示す。
【0247】
実験を、(完全及びスプライスバリアントのテロm−RNAを含む)テロメラーゼmRNAレベルに対する本発明の化合物の効果を検出するためにも行った。細胞を、1mMの化合物68の単一用量で様々な間隔(1〜24時間)で処置した。全RNA抽出物を調製し、等しいRNA濃度を、特異hTERTプローブを用いるノーザンブロット法によって解析した。図3Aは、対照の未処置細胞中のテロメラーゼ完全長及びスプライスバリアントのmRNAを示す(レーン1、2)。完全長mRNAレベルも、スプライスバリアントのRNAレベルも、本発明の化合物で処置した細胞中で、経時的に有意に増加した(対照の4.5倍まで)(図3B、レーン3〜7)。GAPDH mRNAに対する効果が観察されなかったので(下のパネル)、増加したテロメラーゼ発現は特異的であった。本発明の化合物での処置(3時間)中におけるアクチノマイシンD(RNA転写阻害剤)の添加は、テロメラーゼ発現の活性化を無効にし(図3A及びB、レーン8と4とを比較)、これは、本発明の化合物がテロメラーゼ遺伝子の発現を活性化することを示唆する。
【0248】
実施例13
ヒト間葉系幹細胞に対する本発明の化合物の効果
ヒト間葉系幹細胞を、腸骨稜の吸引によって単離し、細胞増殖の有意な減少が観察される前の6月間(19継代)、細胞培養液中で増殖させた。本発明の化合物を、3日間の毎日、培地に直接添加した。hMSCの有意な生存及び増殖が、本発明の様々な化合物での処置に対して観察された(図4)。
【0249】
本発明の化合物がTERTの活性化によってhMSC生存及び増殖を高めるという可能性を、組織培養チャンバースライド中17×103細胞/ウェルで60時間、hMSC(p3)を培養することによって調べた。本発明の化合物が、新鮮な培地で6時間添加された。抗hTERT抗体(第1抗体)及びcy3蛍光第2抗体での免疫蛍光法を行った。核をDAPIで染色した。本発明の化合物は、hMSC中でテロメラーゼ発現を活性化した(図5)。テロメラーゼタンパク質の発現が、細胞質及び核の両方で見られた。テロメラーゼ発現の活性化度は、化合物68>79>77であった。hMSC中のテロメラーゼ活性の定量化を、リアルタイムPCR(定量テロメラーゼ検出キット)によって、化合物79(250nM)で6又は24時間処置したhMSCに由来する核抽出物中で行った。化合物79は、時間依存的に、hMSC中のテロメラーゼ活性を12又は6倍高めた(図5B)。
【0250】
実施例14
ヒトケラチノサイトに対する本発明の化合物の効果
増殖能を失ったヒトケラチノサイト(それらの第5継代)を、ローカルスキンバンク(a local skin bank)から得て、化合物68で24時間処置した。細胞生存率、細胞数及び形態を調べた。本発明の化合物で処置した細胞は、有意な(2〜4倍)細胞増殖を示し、生存細胞が観察された(図6)。化合物79は、化合物68よりも良好な細胞生存効果を示した。これらの結果は、皮膚移植、創傷治癒、慢性皮膚潰瘍、及び他の皮膚の状態における本発明の化合物の役割を支持する。
【0251】
実施例15
ヒト網膜色素上皮細胞に対する本発明の化合物の効果
ヒト網膜色素上皮(RPE)細胞の酸化ストレスに対する慢性被爆は、それらに、加齢性黄斑変性(AMD)発生の傾向を与える。ヒトRPE細胞を、H2O2(1mM)で24時間、及びH2O2(0.5mM)でさらに24時間処置することによって、酸化ストレスに暴露した。次いで細胞を、2日間の毎日、H2O2の不存在下において、表示した化合物で処置した。該化合物の処置の結果として、細胞増殖の亢進が観察された(図7A)。テロメラーゼ活性は、化合物68及び79で処置したRPE細胞中で、それぞれ30及び50倍高められた(図7B)。これらの結果は、黄斑変性及び他の網膜疾患の処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0252】
実施例16
エレガンス線虫(C. elegans)の生存延長
通常12〜14日間生存する線虫であるエレガンス線虫(C. elegans)の生存は、寿命延長の研究のために許容し得るモデルを代表する。線虫にトリフェニルテロメラーゼ活性化化合物を投与し、線虫の寿命延長に対するそれらの効果を検出した。線虫は、50マイクロモル濃度の活性化剤で生育させ、平均値、最大値及び半減期を、未処置の対照と比べて測定した。寿命は13〜43%増加し(表2)、寿命の中央値は、約2倍増加した(図8に示すように、12日から22日)。
【0253】
【表2】
【0254】
実施例17
ラット子宮内膜細胞中の本発明の化合物によるテロメラーゼ発現の活性化
発情間期(ラット子宮内膜中の上皮層が分解を起こしている時期)の雌ラットに、6mg/kgの化合物68又はビヒクルを皮下注射した。ラットを24時間後に屠殺し、子宮内膜切片を、処置及び未処置ラットの子宮角から調製し、組織学的手順によって、及び免疫組織学的染色によって解析した。子宮内膜切片をヘマトキシリン−エオシンによって染色した。本発明の化合物での処置は、子宮内膜上皮層の分解を防止した。さらに形態学的に、子宮内膜組織は、増殖期(発情前期及び発情期)の構造に似ていた(図9A、B)。処置ラットの子宮内膜細胞中でのテロメラーゼ発現活性化を、抗テロメラーゼ抗体での免疫組織化学によって調べた(図9C〜F)。本発明の化合物を注射したラットの子宮内膜組織中、特に子宮内膜ルーメンの上皮層及び分泌腺の上皮層中でテロメラーゼ染色の有意な増加があった(図9C及びD、E及びFを比較)。さらにテロメラーゼ活性を、様々な処置群の子宮内膜に由来する核抽出物中で測定した。テロメラーゼ活性の有意な4〜8倍の増加が、本発明の化合物を注射したラット中で観察され(図9G)、これは、首に皮下注射した本発明の化合物が、子宮内膜組織に到達し、テロメラーゼを活性化させ、組織増殖を引き起こしたことを示す。これらのデータは、動物中でテロメラーゼを活性化し、及びインビボで組織増殖に影響する本発明の化合物の役割を支持する。本発明のいくつかの実施形態で、データは、本発明の化合物での子宮内膜症の処置における役割を支持する。
【0255】
実施例18
本発明の化合物によるラット大脳皮質細胞のテロメラーゼ活性化
雌ラット及び成体雄性マウスに皮下注射した本発明の化合物の、脳の様々な領域中のテロメラーゼ発現に対する効果を調べた。テロメラーゼ及びDAPI(DAPI又は4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)の共局在、DNA結合蛍光染色は、処置の結果としてこれら細胞中の活性化及び/又は発現を示した。テロメラーゼの非常に低い発現が、CNSの様々な領域中の特異細胞で観察された(図10及び11)。ラットへの化合物79及び77の注射は、大脳皮質中でのテロメラーゼ発現を有意に活性化したが、化合物68は活性化せず、これは、化合物68ではなく、化合物79及び77が、血液脳関門(BBB)を通過し得ることを示す(図10)。
【0256】
化合物79を、3月齢の雄性マウスに皮下注射した。マウスを24時間後に屠殺し、皮質、小脳、海馬、視床下部、脳幹、及び嗅球を単離し、免疫蛍光法に供した。小脳中のプルキンエ細胞を除いて、調べた脳領域のほとんとで、テロメラーゼの低い発現が観察された(図11)。本発明の化合物の注射は、有意及び劇的に、様々な脳領域中のテロメラーゼ発現を増加させた。この活性化は、或る神経細胞に特異的であるように見える。例えば化合物79は、脳幹中に存在する運動神経細胞中でテロメラーゼ発現を増加させた。
【0257】
免疫蛍光法の結果確認を、本発明の化合物で処置した又は未処置のラットから取り出した脳に由来する核タンパク質抽出物中におけるTERTタンパク質酵素レベルを調べることによって行った。特異的な抗hTERT抗体を使用するウエスタンブロット解析を行い、テロメラーゼ活性化(%)を、ビヒクルで得られた結果に対して検出及び計算した。テロメラーゼタンパク質の有意な増加(9〜13倍)が、本発明の化合物で処置したラット大脳皮質細胞中で観察され(図12)、これは、脳関連疾患の処置において本発明の化合物を使用することの役割を支持する。
【0258】
実施例19
マウス小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスの防止
マウス小脳中のグルタメート誘発性アポトーシスを防止する本発明の化合物の能力を調べた。マウスに、6mg/kgの化合物79又はビヒクルのみを注射した。マウスを、処置の24時間後に屠殺し、それらの脳を取り出した。小脳切片を調製し、様々な濃度で30分間のグルタメート処置に供した。切片をヨウ化プロピジウムで染色し、アポトーシス細胞の数を、特定のソフトウェア(Jimage)を使用して計測及び計算した。本発明の化合物で処置したマウス中におけるアポトーシスの防止を、対照マウスに対する割合として計算した(図13)。これは、発作、卒中、アルツハイマー病、てんかん、統合失調症、並びにアルコール及びアヘン中毒(addition)の処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0259】
実施例20
本発明の化合物によるマウス心臓細胞のテロメラーゼ活性化
一つのマウスに由来する心臓タンパク質抽出物中での本発明の化合物によるテロメラーゼ活性化を測定した(図14)。化合物79の注射後に、心臓のテロメラーゼ発現の有意な増加があった。これは、梗塞、虚血、心筋炎などの処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0260】
実施例21
本発明の化合物による胚への薬害の防止
胚発育に対する薬の有害作用を防止する本発明の化合物の能力を、ラットで調べた。雌ラットを、抗癌剤であるカンプトテシン(CPT)(5mg/kg)で処置し、次いで化合物68(mg/kg)又はビヒクル(0.1%)を注射した。胚を妊娠14〜15日で取り出し、障害を調べた。CPT及び化合物68の両方で処置した胚は正常に発育したが、一方、CPTのみで処置した胚は、異常発育の形跡を示した(図15)。
【0261】
実施例22
BLC1腫瘍形成能に対する本発明の化合物の効果
(BALB/c x C57BL/6)F1マウスに、105個のマウスB細胞白血病リンパ腫(BLC1)細胞を接種した。脾腫及びリンパ球増加(白血病)が、全ての対照中、及びテロメラーゼ活性化化合物(40又は80mg/kg)で処置したマウス中で生じた。
【0262】
【表3】
【0263】
テロメラーゼ活性化化合物は、白血病の発達を高めず、白血病で接種されたマウスの生存を短縮しなかった。本発明のテロメラーゼ活性化化合物は、現存する癌の進行を促進せず、該化合物の長期投与は癌発達を生じさせない。
【0264】
実施例23
代表的なT細胞機能としての移植片対宿主病(GVHD)に対する本発明の化合物の効果
(BALB/c x C57BL/6)F1マウスに、GVHDを誘発させるため、30×106個のC57BL/6脾臓細胞を接種した。化合物77で処置したマウスは、未処置対照に比べて体重減少で表されるような、急性GVHDのより重篤な徴候を示した。これらの結果は、本発明の化合物が強力な免疫賦活剤として使用し得ることを示唆する。
【0265】
実施例24
T細胞による免疫療法の代表例としての移植片対白血病(GVL)に対する本発明の化合物の効果
(BALB/c x C57BL/6)F1マウスに、30×106個のC57BL/6脾臓細胞によって媒介される移植片対白血病(GVL)作用を誘発させるために同種異系リンパ球の移植を可能にするため、400cGyの全身照射後に105個のBCL1を接種した。未処置対照の生存は21〜35日の範囲であった(中央値29日)。同種異系幹細胞で処置したマウスの生存は、白血病が重篤なGVHDを活性化したため、13〜22日の範囲であった。対照的に、同種異系幹細胞及び本発明の化合物で処置したマウスの生存は、37〜74日の範囲であり、一匹のマウスは125日生存した。これは、白血病の処置における本発明の化合物の役割を支持する。
【0266】
本発明の或る特徴を本明細書中で説明及び記載したが、多くの修正、置換、変更及び均等物は、当業者であれば直ぐに思い付くであろう。それゆえ添付する特許請求の範囲は本発明の真の精神の範囲内にあるような全ての修正及び変更を包含することを意図していることは理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞又は組織中のテロメラーゼの発現、活性又はこれらの組合せを刺激又は増加させる方法であって、前記細胞又は組織と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法:
【化1】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項2】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項1に記載の方法:
【化2】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項3】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項2に記載の方法:
【化3】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項4】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化4】
【請求項5】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化5】
【請求項6】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化6】
【請求項7】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化7】
【請求項8】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化8】
【請求項9】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化9】
【請求項10】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化10】
【請求項11】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項1に記載の方法。
【化11】
【請求項12】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項1に記載の方法。
【化12】
【請求項13】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項1に記載の方法。
【化13】
【請求項14】
前記細胞又は組織を、前記化合物を含む医薬組成物と接触させる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞又は組織が、神経変性疾患、神経系損傷、血管性疾患、加齢に関連する疾患若しくは状態、白髪化若しくは脱毛、変性関節疾患、骨格系の変性疾患、筋系の変性疾患、黄斑変性、感染、免疫系障害、癌、変性炎症性疾患、加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害、貧血、又は男性若しくは女性不妊症を持つ対象から単離されるか、又はその対象中にある請求項1に記載の方法。
【請求項16】
対象中のテロメラーゼの発現、活性又はこれらの組合せによって影響を受け得る状態を処置する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含み、
それによって前記化合物がテロメラーゼの発現、活性又はこれらの組合せを刺激又は増強する方法:
【化14】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項17】
前記状態が、神経変性疾患、神経系損傷、血管性疾患、加齢に関連する疾患若しくは状態、白髪化若しくは脱毛、変性関節疾患、骨格系の変性疾患、筋系の変性疾患、黄斑変性、感染、免疫系障害、癌、変性炎症性疾患、加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害、貧血、又は男性若しくは女性不妊症である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が、白血病である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項16に記載の方法:
【化15】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項20】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項19に記載の方法:
【化16】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項21】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化17】
【請求項22】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化18】
【請求項23】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化19】
【請求項24】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化20】
【請求項25】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化21】
【請求項26】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化22】
【請求項27】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化23】
【請求項28】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項16に記載の方法。
【化24】
【請求項29】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項16に記載の方法。
【化25】
【請求項30】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項16に記載の方法。
【化26】
【請求項31】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項16に記載の方法。
【請求項32】
皮膚の急性又は慢性状態を処置する方法であって、対象中の冒された皮膚と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法:
【化27】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項33】
前記急性又は慢性状態が、創傷、熱傷、擦過傷、切り込み、移植部位、感染性病原体によって引き起こされた病変、慢性の静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍、褥瘡、粘膜のただれ若しくは潰瘍、メラノーマ、又はケロイド形成である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項32に記載の方法:
【化28】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項35】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項34に記載の方法:
【化29】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項36】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化30】
【請求項37】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化31】
【請求項38】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化32】
【請求項39】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化33】
【請求項40】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化34】
【請求項41】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化35】
【請求項42】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化36】
【請求項43】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項32に記載の方法。
【化37】
【請求項44】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項32に記載の方法。
【化38】
【請求項45】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項32に記載の方法。
【化39】
【請求項46】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項32に記載の方法。
【請求項47】
対象の細胞又は組織中における細胞老化を阻害、抑制又は遅延させる方法であって、前記対象中の細胞又は組織と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法:
【化40】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項48】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項47に記載の方法:
【化41】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項49】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項48に記載の方法:
【化42】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項50】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化43】
【請求項51】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化44】
【請求項52】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化45】
【請求項53】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化46】
【請求項54】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化47】
【請求項55】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化48】
【請求項56】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化49】
【請求項57】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項47に記載の方法。
【化50】
【請求項58】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項47に記載の方法。
【化51】
【請求項59】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項47に記載の方法。
【化52】
【請求項60】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記対象の細胞又は組織中における細胞老化の阻害、抑制又は遅延が、前記対象の寿命を延ばす請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞又は組織が、対象中への移植片のための細胞又は組織を含む請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞又は組織が、神経変性疾患、加齢に関連する疾患若しくは状態、白髪化若しくは脱毛、変性関節疾患、骨格系の変性疾患、筋系の変性疾患、黄斑変性、変性炎症性疾患、又は加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害を持つ対象から単離されるか、又はその対象中にある請求項47に記載の方法。
【請求項64】
対象中の加齢による影響を減少又は抑制する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含む方法:
【化53】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項65】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項64に記載の方法:
【化54】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項66】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項65に記載の方法:
【化55】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項67】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化56】
【請求項68】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化57】
【請求項69】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化58】
【請求項70】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化59】
【請求項71】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化60】
【請求項72】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化61】
【請求項73】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化62】
【請求項74】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項64に記載の方法。
【化63】
【請求項75】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項64に記載の方法。
【化64】
【請求項76】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項64に記載の方法。
【化65】
【請求項77】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項64に記載の方法。
【請求項78】
前記加齢による影響が、対象の皮膚、髪、眼、筋系、又は骨への影響を含む請求項64に記載の方法。
【請求項1】
細胞又は組織中のテロメラーゼの発現、活性又はこれらの組合せを刺激又は増加させる方法であって、前記細胞又は組織と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法:
【化1】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項2】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項1に記載の方法:
【化2】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項3】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項2に記載の方法:
【化3】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項4】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化4】
【請求項5】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化5】
【請求項6】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化6】
【請求項7】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化7】
【請求項8】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化8】
【請求項9】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化9】
【請求項10】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項3に記載の方法。
【化10】
【請求項11】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項1に記載の方法。
【化11】
【請求項12】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項1に記載の方法。
【化12】
【請求項13】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項1に記載の方法。
【化13】
【請求項14】
前記細胞又は組織を、前記化合物を含む医薬組成物と接触させる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記細胞又は組織が、神経変性疾患、神経系損傷、血管性疾患、加齢に関連する疾患若しくは状態、白髪化若しくは脱毛、変性関節疾患、骨格系の変性疾患、筋系の変性疾患、黄斑変性、感染、免疫系障害、癌、変性炎症性疾患、加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害、貧血、又は男性若しくは女性不妊症を持つ対象から単離されるか、又はその対象中にある請求項1に記載の方法。
【請求項16】
対象中のテロメラーゼの発現、活性又はこれらの組合せによって影響を受け得る状態を処置する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含み、
それによって前記化合物がテロメラーゼの発現、活性又はこれらの組合せを刺激又は増強する方法:
【化14】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項17】
前記状態が、神経変性疾患、神経系損傷、血管性疾患、加齢に関連する疾患若しくは状態、白髪化若しくは脱毛、変性関節疾患、骨格系の変性疾患、筋系の変性疾患、黄斑変性、感染、免疫系障害、癌、変性炎症性疾患、加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害、貧血、又は男性若しくは女性不妊症である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が、白血病である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項16に記載の方法:
【化15】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項20】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項19に記載の方法:
【化16】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項21】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化17】
【請求項22】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化18】
【請求項23】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化19】
【請求項24】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化20】
【請求項25】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化21】
【請求項26】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化22】
【請求項27】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項20に記載の方法。
【化23】
【請求項28】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項16に記載の方法。
【化24】
【請求項29】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項16に記載の方法。
【化25】
【請求項30】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項16に記載の方法。
【化26】
【請求項31】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項16に記載の方法。
【請求項32】
皮膚の急性又は慢性状態を処置する方法であって、対象中の冒された皮膚と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法:
【化27】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項33】
前記急性又は慢性状態が、創傷、熱傷、擦過傷、切り込み、移植部位、感染性病原体によって引き起こされた病変、慢性の静脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫性潰瘍、褥瘡、粘膜のただれ若しくは潰瘍、メラノーマ、又はケロイド形成である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項32に記載の方法:
【化28】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項35】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項34に記載の方法:
【化29】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項36】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化30】
【請求項37】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化31】
【請求項38】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化32】
【請求項39】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化33】
【請求項40】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化34】
【請求項41】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化35】
【請求項42】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項35に記載の方法。
【化36】
【請求項43】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項32に記載の方法。
【化37】
【請求項44】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項32に記載の方法。
【化38】
【請求項45】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項32に記載の方法。
【化39】
【請求項46】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項32に記載の方法。
【請求項47】
対象の細胞又は組織中における細胞老化を阻害、抑制又は遅延させる方法であって、前記対象中の細胞又は組織と、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せとを接触させることを含む方法:
【化40】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項48】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項47に記載の方法:
【化41】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項49】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項48に記載の方法:
【化42】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項50】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化43】
【請求項51】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化44】
【請求項52】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化45】
【請求項53】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化46】
【請求項54】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化47】
【請求項55】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化48】
【請求項56】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項49に記載の方法。
【化49】
【請求項57】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項47に記載の方法。
【化50】
【請求項58】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項47に記載の方法。
【化51】
【請求項59】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項47に記載の方法。
【化52】
【請求項60】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記対象の細胞又は組織中における細胞老化の阻害、抑制又は遅延が、前記対象の寿命を延ばす請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞又は組織が、対象中への移植片のための細胞又は組織を含む請求項47に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞又は組織が、神経変性疾患、加齢に関連する疾患若しくは状態、白髪化若しくは脱毛、変性関節疾患、骨格系の変性疾患、筋系の変性疾患、黄斑変性、変性炎症性疾患、又は加速度的な細胞のターンオーバーを引き起こす遺伝的障害を持つ対象から単離されるか、又はその対象中にある請求項47に記載の方法。
【請求項64】
対象中の加齢による影響を減少又は抑制する方法であって、前記対象に、式Iの構造によって表される化合物、又はその異性体、薬学的に許容し得る塩、医薬品、水和物、N−オキシド、多形体、結晶又はこれらの任意の組合せを投与することを含む方法:
【化53】
式中、
Zは、炭素、窒素、リン、ヒ素、ケイ素又はゲルマニウムであり;
R1からR9は、同じ又は異なる、H、D、OH、ハロゲン、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、アルキルアルコキシ、ハロアルキル、アルキルハロアルキル、ハロアリール、アリールオキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールであるか、又はR3、R4若しくはR7は、主の芳香環と共に、縮合シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香環若しくは芳香族複素環を形成し;及び
R10は、非存在、H、D、OH、ハロゲン、オキソ、ニトロ、CN、ニトリルアミド、アミドスルフィド、アミノ、アルデヒド、置換ケトン、−COOH、エステル、トリフルオロメチル、アミド、置換又は未置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、アリールスルホニル、アリールアルキレンスルホニル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリールオキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アリールアミノ、アリールアミド、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールである。
【請求項65】
前記化合物が、式IVの構造によって表される請求項64に記載の方法:
【化54】
式中、R1、R3、R4、R6、R7、R9及びR10は上記のとおりである。
【請求項66】
前記化合物が、式VIの構造によって表される請求項65に記載の方法:
【化55】
式中、
R1’、R3’、R4’、R6’、R7’及びR9’は、ハロゲン、アリール、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はアリールアミノを含む同じ又は異なるものであり;及び
R10は上記のとおりである。
【請求項67】
前記化合物が、式VIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化56】
【請求項68】
前記化合物が、式VIIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化57】
【請求項69】
前記化合物が、式IXの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化58】
【請求項70】
前記化合物が、式Xの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化59】
【請求項71】
前記化合物が、式XIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化60】
【請求項72】
前記化合物が、式XIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化61】
【請求項73】
前記化合物が、式XIIIの構造によって表される請求項66に記載の方法。
【化62】
【請求項74】
前記化合物が、式XIVの構造によって表される請求項64に記載の方法。
【化63】
【請求項75】
前記化合物が、式XVの構造によって表される請求項64に記載の方法。
【化64】
【請求項76】
前記化合物が、式XVIの構造によって表される請求項64に記載の方法。
【化65】
【請求項77】
前記化合物が、医薬組成物の一部として投与される請求項64に記載の方法。
【請求項78】
前記加齢による影響が、対象の皮膚、髪、眼、筋系、又は骨への影響を含む請求項64に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−529107(P2010−529107A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510957(P2010−510957)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000756
【国際公開番号】WO2008/149353
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(506332487)ベン グリオン ユニバーシティ オブ ザ ネガフ リサーチ アンド ディベロップメント オーソリティ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000756
【国際公開番号】WO2008/149353
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(506332487)ベン グリオン ユニバーシティ オブ ザ ネガフ リサーチ アンド ディベロップメント オーソリティ (3)
【Fターム(参考)】
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