テンプレート処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒、テンプレート処理装置及びインプリントシステム
【課題】テンプレートの表面に離型剤を適切に成膜しつつ、テンプレート処理のスループットを向上させる。
【解決手段】テンプレートの表面に離型剤を成膜するテンプレート処理では、先ず、洗浄ユニットにおいて、テンプレートの表面を洗浄する(工程A2)。その後、塗布ユニットにおいて、テンプレートの表面に離型剤を塗布する(工程A3)。その後、光照射ユニットにおいて、テンプレート上の離型剤に350nm〜2500nmの波長の光を照射して、テンプレートの表面に離型剤を密着させる(工程A4)。その後、リンスユニットにおいて、離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去する(工程A5)。こうしてテンプレートの表面に離型剤が所定の膜厚で成膜される。
【解決手段】テンプレートの表面に離型剤を成膜するテンプレート処理では、先ず、洗浄ユニットにおいて、テンプレートの表面を洗浄する(工程A2)。その後、塗布ユニットにおいて、テンプレートの表面に離型剤を塗布する(工程A3)。その後、光照射ユニットにおいて、テンプレート上の離型剤に350nm〜2500nmの波長の光を照射して、テンプレートの表面に離型剤を密着させる(工程A4)。その後、リンスユニットにおいて、離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去する(工程A5)。こうしてテンプレートの表面に離型剤が所定の膜厚で成膜される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、テンプレート処理装置及びインプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインプリント方法で用いられるテンプレートの表面には、テンプレートをレジストから剥離し易くするため、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されている。
【0007】
テンプレートの表面に離型剤を成膜する際には、先ず、テンプレートの表面を洗浄した後、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する。次に、成膜される離型剤が所定の接触角を有してレジストに対する撥液性機能を発揮できるようにするため、離型剤をテンプレートの表面に密着させる。具体的には、離型剤とテンプレートの表面を化学反応させて、離型剤中に含まれる成分のうち、レジストに対して撥液性を有する成分、例えばフッ化物成分をテンプレートの表面に吸着させる。その後、離型剤の未反応部を除去して、テンプレートの表面に所定の膜厚の離型剤が成膜される。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0008】
しかしながら、上述のように離型剤を成膜する場合、テンプレート上の離型剤をテンプレートの表面に密着させるのに時間がかかる。例えば常温雰囲気下でテンプレートを放置した場合、離型剤をテンプレートに密着させるのに約24時間かかってしまう。
【0009】
そこで、発明者らは、離型剤とテンプレートの表面との化学反応を促進させるため、テンプレート上の離型剤を加熱して焼成することを試みた。この場合、離型剤をテンプレートに密着させる時間を短縮することができた。例えば離型剤を60℃に加熱した場合、離型剤をテンプレートに密着させるのに必要な時間は約1時間であり、また離型剤を200℃に加熱した場合、離型剤をテンプレートに密着させるのに必要な時間は約3分であった。
【0010】
しかしながら、この場合、一旦加熱したテンプレートを冷却するのに時間がかかる。したがって、テンプレート処理のスループットを向上させるには至らなかった。また、離型剤を加熱すると当該離型剤は熱膨張するため、テンプレートの表面に離型剤を所定の膜厚で成膜することができない。そして、このように離型剤が成膜されたテンプレートを用いてインプリント処理を行った場合、ウェハ上に数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成することは困難であった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、テンプレートの表面に離型剤を適切に成膜しつつ、テンプレート処理のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法であって、前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布工程と、その後、前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射工程と、その後、前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンス工程と、を有することを特徴としている。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0013】
発明者らが調べたところ、テンプレート上の離型剤に光を照射すると、テンプレートの表面と離型剤との化学反応が促進され、当該テンプレートの表面と離型剤との密着性が向上することが分かった。すなわち、離型剤に光を照射すると、テンプレートの表面に離型剤を短時間で密着させることができ、テンプレート上に成膜される離型剤の接触角を所定の角度にして、当該離型剤の離型機能を発揮させることができる。このように短時間で離型剤をテンプレートの表面に密着させることができるので、テンプレート処理全体のスループットを向上させることができる。しかも、この場合、従来のように離型剤を加熱する必要がないため、離型剤が熱膨張することもない。したがって、テンプレートの表面に離型剤を所定の膜厚で適切に成膜することができる。
【0014】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであるのが好ましい。
【0015】
前記光照射工程は、不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
【0016】
前記テンプレート処理方法は、前記塗布工程の前に、前記テンプレートの表面を洗浄する洗浄工程をさらに有していてもよい。
【0017】
別な観点による本発明によれば、前記テンプレート処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0018】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0019】
また別な観点による本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置であって、前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射ユニットと、前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットと、を有することを特徴としている。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0020】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであるのが好ましい。
【0021】
前記光照射ユニットは、前記光を離型剤に照射する光照射部と、前記波長を有する光のみを透過させる光フィルタと、を有していてもよい。
【0022】
また、前記光照射ユニットは、前記テンプレートを収容する処理容器と、前記処理容器内に不活性ガスを供給するガス供給部と、をさらに有していてもよい。
【0023】
前記テンプレート処理装置は、前記塗布ユニットで前記離型剤が塗布される前のテンプレートの表面を洗浄する洗浄ユニットをさらに有していてもよい。
【0024】
さらに別な観点による本発明は、前記テンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、前記テンプレート処理装置で表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、テンプレートの表面に離型剤を適切に成膜しつつ、テンプレート処理のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの斜視図である。
【図5】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図7】塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図8】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図11】光照射ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】テンプレート処理の各工程を示したフローチャートである。
【図13】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に離型剤が塗布された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤に光が照射された様子を示し、(d)はテンプレート上に離型剤が成膜された様子を示す。
【図14】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図15】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図17】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図18】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させた様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0028】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面T1といい、当該表面T1と反対側の面を裏面T2という。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
【0029】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCTに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0030】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCTをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0031】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCTと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0032】
処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。
【0033】
搬送ユニット20は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット20は、処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。
【0034】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTに液体状の離型剤を塗布する塗布ユニット30、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、塗布ユニット32、リンスユニット33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0035】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型剤が成膜される前の表面T1を洗浄する洗浄ユニット40、テンプレートT上の離型剤に光を照射する光照射ユニット41、42が下から順に3段に重ねられている。
【0036】
第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックG3と同様に、洗浄ユニット50、光照射ユニット51、52が下から順に3段に重ねられている。
【0037】
次に、上述した塗布ユニット30、32の構成について説明する。塗布ユニット30は、図5に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器110を有している。
【0038】
処理容器110内の中央部には、テンプレートTを保持して回転させる保持部材111が設けられている。保持部材111の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部112が形成されている。収容部112の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部112aが形成されている。したがって、収容部112内では、溝部112aによってテンプレートTの下面内周部は保持部材111と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材111に支持されている。収容部112は、図6に示すようにテンプレートTの外形に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部112には、側面から内側に突出した突出部113が複数形成され、この突出部113により、収容部112に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送ユニット20の搬送アームから収容部112にテンプレートTを受け渡す際に、当該搬送アームが収容部112と干渉するのを避けるため、収容部112の外周には、切欠き部114が4箇所に形成されている。
【0039】
保持部材111は、図5に示すようにカバー体115に取り付けられ、保持部材111の下方には、シャフト116を介して回転駆動部117が設けられている。この回転駆動部117により、保持部材111は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0040】
保持部材111の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する離型剤を受け止め、回収するカップ120が設けられている。カップ120の下面には、回収した離型剤を排出する排出管121と、カップ120内の雰囲気を排気する排気管122が接続されている。
【0041】
図7に示すようにカップ120のX方向負方向(図7の下方向)側には、Y方向(図7の左右方向)に沿って延伸するレール130が形成されている。レール130は、例えばカップ120のY方向負方向(図7の左方向)側の外方からY方向正方向(図7の右方向)側の外方まで形成されている。レール130には、アーム131が取り付けられている。
【0042】
アーム131には、テンプレートT上に離型剤を供給する離型剤ノズル132が支持されている。アーム131は、ノズル駆動部133により、レール130上を移動自在である。これにより、離型剤ノズル132は、カップ120のY方向正方向側の外方に設置された待機部134からカップ120内のテンプレートTの中心部上方まで移動できる。また、アーム131は、ノズル駆動部133によって昇降自在であり、離型剤ノズル132の高さを調整できる。なお、離型剤の材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。また、離型剤は、活性基として例えばシランカップリング剤を有している。
【0043】
なお、例えば保持部材111の溝部112a内に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからテンプレートTの裏面T2に洗浄液を噴射することによって、当該裏面T2を洗浄することができる。
【0044】
なお、塗布ユニット32の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0045】
次に、上述したリンスユニット31、33の構成について説明する。リンスユニット31は、図8に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器140を有している。
【0046】
処理容器140内の底面には、テンプレートTを浸漬させる浸漬槽141が設けられている。浸漬槽141内には、テンプレートT上の離型剤をリンスするための有機溶剤が貯留されている。
【0047】
処理容器140内の天井面であって、浸漬槽141の上方には、テンプレートTを保持する保持部142が設けられている。保持部142は、テンプレートTの裏面T2の外周部を吸着保持するチャック143を有している。テンプレートTは、その表面T1が上方を向くようにチャック143に保持される。チャック143は、昇降機構144により昇降できる。そして、テンプレートTは、保持部142に保持された状態で浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該テンプレートT上の離型剤がリンスされる。
【0048】
保持部142は、チャック143に保持されたテンプレートTの上方に設けられた気体供給部145を有している。気体供給部145は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック143に保持されたテンプレートTの表面T1に吹き付けることができる。これにより、浸漬層141でリンスされたテンプレートTの表面T1を乾燥させることができる。なお、リンスユニット31には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0049】
なお、リンスユニット33の構成は、上述したリンスユニット31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0050】
次に、上述した洗浄ユニット40、50の構成について説明する。洗浄ユニット40は、図9に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器150を有している。
【0051】
処理容器150内には、テンプレートTを吸着保持するチャック151が設けられている。チャック151は、テンプレートTの表面T1が上方を向くように、その裏面T2を吸着保持する。チャック151の下方には、チャック駆動部152が設けられている。このチャック駆動部152は、処理容器150内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール153上に取付けられている。このチャック駆動部152により、チャック151はレール153に沿って移動できる。
【0052】
処理容器150内の天井面であって、レール153の上方には、チャック151に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部154が設けられている。紫外線照射部154は、図10に示すようにX方向に延伸している。そして、テンプレートTがレール153に沿って移動中に、紫外線照射部154から当該テンプレートTの表面T1に紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T1全面に紫外線が照射される。
【0053】
なお、洗浄ユニット50の構成は、上述した洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0054】
次に、上述した光照射ユニット41、42、51、52の構成について説明する。光照射ユニット41は、図11に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器160を有している。
【0055】
処理容器160の天井面には、処理容器160の内部に向けて不活性ガス、例えば窒素ガスを供給するためのガス供給口161が形成されている。ガス供給口161には、ガス供給管162を介して窒素ガスを供給するガス供給源163が接続されている。なお、処理容器160の内部は、窒素ガスと水蒸気の混合ガスを供給してもよい。また、本実施の形態では、これらガス供給口161、ガス供給管162、ガス供給源163でガス供給部を構成している。
【0056】
処理容器160の底面には、処理容器160の内部の雰囲気を排気するための排気口164が形成されている。排気口164には、排気管165を介して処理容器160の内部の雰囲気を真空引きする排気ポンプ166が接続されている。
【0057】
処理容器160内の底面には、テンプレートTが載置される載置台170が設けられている。テンプレートTは、その表面T1が上方を向くように載置台170の上面に載置される。載置台170内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン171が設けられている。昇降ピン171は、昇降駆動部172により上下動できる。載置台170の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔173が形成されおり、昇降ピン171は、貫通孔173を挿通するようになっている。
【0058】
処理容器160内の天井面であって、載置台170の上方には、テンプレートTに光を照射する光照射部180が設けられている。光照射部180は、載置台170に載置されたテンプレートTの表面T1に対向し、当該表面T1全面を覆うように配置されている。なお、光照射部180には、例えばメタルハイドランプが用いられる。
【0059】
載置台170と光照射部180との間には、所定の波長の光のみを透過させる光フィルタ181が配置されている。光フィルタ181は、載置台170に載置されたテンプレートTの表面T1に対向し、当該表面T1全面を覆うように配置されている。なお、光フィルタ181は、光照射部180における光の照射面に配置してもよい。
【0060】
上述した光フィルタ181が透過させる光の所定の波長は、例えば350nm〜2500nmである。発明者らが調べたところ、かかる波長の光をテンプレートT上の離型剤に所定の時間、例えば1分間照射すると、テンプレートTの表面T1と離型剤の活性基を強固且つ密に化学結合させることができ、テンプレートTの表面T1と離型剤との密着性が向上することが分かった。すなわち、テンプレートTの表面T1に離型剤を短時間で密着させることができることが分かった。また、350nmより短い波長の光を離型剤に照射すると、離型剤が破壊されてその離型機能が損なわれる場合があることが分かった。さらに、2500nmより長い波長の光を離型剤に照射すると、離型剤が加熱され熱膨張する場合があることが分かった。そこで、光の所定の波長を上述のように350nm〜2500nmとした。なお、光フィルタ181は、350nmより短い波長の光を遮断するフィルタと、2500nmより長い波長の光を遮断するフィルタを重ね合わせて形成してもよい。
【0061】
なお、光照射ユニット42、51、52の構成は、上述した光照射ユニット41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0062】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述するテンプレート処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0063】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われるテンプレート処理について説明する。図12は、このテンプレート処理の主な処理フローを示し、図13は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0064】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCTからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図12の工程A1)。このとき、テンプレートカセットCT内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面T1が上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0065】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、洗浄ユニット40に搬送され、チャック151に吸着保持される。続いて、チャック駆動部152によってテンプレートTをレール153に沿って移動させながら、紫外線照射部154から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T1全面に紫外線が照射され、図13(a)に示すようにテンプレートTの表面T1が洗浄される(図12の工程A2)。
【0066】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは塗布ユニット30に搬送され、保持部材111に受け渡される。続いて、離型剤ノズル132をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給し、遠心力により離型剤SをテンプレートT上で拡散させて、図13(b)に示すようにテンプレートTの表面T1全面に離型剤Sを塗布する(図12の工程A3)。
【0067】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは光照射ユニット41に搬送される。光照射ユニット43に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン171に受け渡され、載置台170に載置される。続いて、ガス供給口161から窒素ガスが処理容器160内に供給される。このとき、排気口164から処理容器160の内部の雰囲気が排気されて、処理容器160の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。その後、光照射部180から下方に光が照射される。照射された光のうち、350nmより短い波長の光と2500nmより長い波長の光は、光フィルタ181によってその進行を遮断される。そして、350nm〜2500nmの波長の光のみが光フィルタ181を透過し、テンプレートT上の離型剤Sに照射される。そして所定時間、例えば1分間離型剤Sに光を照射すると、図13(c)に示すように離型剤SがテンプレートTの表面T1と化学反応し、当該テンプレートTの表面T1に離型剤Sが密着する(図12の工程A4)。
【0068】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット31に搬送され、保持部142に保持される。続いて、保持部142を下降させ、テンプレートTを浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみ、すなわち離型剤SがテンプレートTの表面T1と化学反応して当該表面T1と密着する部分以外のみが剥離する。このとき、上述の工程A4においてテンプレートTの表面T1に離型剤Sが密着しているので、テンプレートTの表面T1から所定の距離の離型剤Sが剥離することはない。また、テンプレートT上の離型剤Sの接触角は所定の角度、例えば110度になっており、離型剤Sは後述するレジスト膜に対して十分な撥液性を有し、その離型機能を発揮することができる。こうして、図13(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される(図12の工程A5)。その後、保持部142を上昇させ、気体供給部145から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面T1を乾燥させる。
【0069】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCTに戻される(図12の工程A6)。こうしてテンプレート処理装置1における一連のテンプレート処理が終了し、テンプレートTの表面T1に、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0070】
以上の実施の形態によれば、工程A4においてテンプレートT上の離型剤Sに光を照射しているので、テンプレートTの表面T1と離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面T1と離型剤Sの密着性が向上する。すなわち、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを短時間で密着させることができる。これによって、工程A1〜工程A5のテンプレート処理のスループットを向上させることができる。
【0071】
また、工程A4においてテンプレートTの表面T1に離型剤Sが密着するので、当該テンプレートT上の離型剤Sの所定の接触角にすることができる。これによって、離型剤Sはレジスト膜に対して十分な撥液性を有し、その離型機能を発揮することができる。
【0072】
さらに、工程A4において離型剤Sに照射する光の波長は2500nm以下であるため、従来のように離型剤Sが熱膨張することがない。また、この光の波長は350nm以上であるため、離型剤Sが破壊されることもない。したがって、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを所定の膜厚で適切に成膜することができる。
【0073】
また、工程A4において350nmより短い波長の光が光フィルタ181に吸収されるので、光照射ユニット43の処理容器160内にオゾンが発生することを防止することができる。しかも、この離型剤Sへの光の照射は窒素ガス雰囲気下で行われるため、オゾンの発生をより確実に防止することができる。
【0074】
また、工程A4において光照射部180は一度の照射でテンプレートTの表面T1全面の離型剤Sに光を照射することができるので、テンプレートTの表面T1と離型剤Sとの密着を迅速に行うことができる。
【0075】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30、32において、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを塗布していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された離型剤ノズルを用いてテンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。かかる場合、離型剤ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から離型剤Sを供給し、テンプレートTの表面T1全面に離型剤Sが塗布される。なお、この場合、離型剤ノズルを固定して、テンプレートTを移動させてもよい。さらに、例えば離型剤Sが貯留された浸漬槽にテンプレートTを浸漬させて、テンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。
【0076】
以上の実施の形態のリンスユニット31、33では、浸漬層141に貯留された有機溶剤にテンプレートTを浸漬することで離型剤Sをリンスしていたが、図5及び図7に示した塗布ユニット30と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、塗布ユニット30の離型剤ノズル132に代えて、テンプレートT上に離型剤Sのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0077】
そして、このリンスユニットでは、回転中のテンプレートT上に有機溶剤を供給し、テンプレートTの表面T1全面をリンスする。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにテンプレートTを回転させ続け、その表面T1を振り切り乾燥させる。このようにして、テンプレートT上の離型剤Sがリンスされる。
【0078】
以上の実施の形態では、洗浄ユニット40、50において、テンプレートTを移動させながら、当該移動中のテンプレートTに紫外線を照射していたが、例えば図11に示した光照射ユニット41と同様に、テンプレートTの表面T1全面を覆う紫外線照射部を用いて、テンプレートTに紫外線を照射してもよい。かかる場合、一度の照射でテンプレートTの表面T1全面に紫外線を照射することができるので、テンプレートTの表面T1の洗浄を迅速に行うことができる。また、この場合、図5及び図7に示した塗布ユニット30と同様に、テンプレートTを回転させ、当該回転中のテンプレートTの表面T1全面に紫外線を照射してもよい。
【0079】
また、以上の実施の形態では、光照射ユニット41、42、51、52において、テンプレートTを載置台170に載置して当該テンプレートT上の離型剤Sに光を照射していたが、図5及び図7に示した塗布ユニット30と同様に、テンプレートTを回転させ、当該回転中のテンプレートT上の離型剤Sに光を照射してもよい。さらに、光照射ユニット41、42、51、52では、テンプレートTの表面T1全面の離型剤Sに光を照射していたが、図9及び図10に示した洗浄ユニット40と同様に、テンプレートTを移動させながら、当該移動中のテンプレートT上の離型剤Sに光を照射してもよい。
【0080】
以上の実施の形態では、処理ステーション3において、搬送ユニット20によってテンプレートTを搬送していたが、いわゆる平流し形式を用いてテンプレートTをコロ搬送してもよい。かかる場合、処理ステーション3には、洗浄ユニット、塗布ユニット、光照射ユニット、リンスユニットがこの順で配置される。そして、テンプレート搬入出ステーション2から搬出されたテンプレートTは、コロ搬送によってこれら処理ユニットに順次搬送される。各処理ユニットでは、搬送中のテンプレートTに所定の処理が行われる。こうしてテンプレートT上に離型剤Sが成膜されると、テンプレートTがテンプレート搬入出ステーション2に戻され、一連のテンプレート処理が終了する。この場合、各処理ユニットにおいてテンプレートTの搬送中に所定の処理が行われるので、テンプレート処理のスループットをより向上させることができる。
【0081】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1は、図14に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。インプリントシステム300は、テンプレートTを用いて基板としてのウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット310と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCWに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション311とを有している。また、テンプレート処理装置1とインプリントユニット310との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション312が配置されている。インプリントシステム300は、これらテンプレート処理装置1、インターフェイスステーション312、インプリントユニット310、ウェハ搬入出ステーション311を一体に接続した構成を有している。
【0082】
ウェハ搬入出ステーション311には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320は、複数のウェハカセットCWをX方向(図14中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション311は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0083】
ウェハ搬入出ステーション311には、X方向に延伸する搬送路321上を移動可能なウェハ搬送体322が設けられている。ウェハ搬送体322は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCWとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0084】
ウェハ搬入出ステーション311には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット323がさらに設けられている。アライメントユニット323では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
【0085】
インターフェイスステーション312には、X方向に延伸する搬送路330上を移動するテンプレート搬送体331が設けられている。また、搬送路330のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット332が配置され、搬送路330のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット333が配置されている。テンプレート搬送体331は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、反転ユニット332、バッファカセット333、インプリントユニット310との間でテンプレートTを搬送できる。
【0086】
テンプレート処理装置1の処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション312側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット334が配置されている。
【0087】
次に、上述したインプリントユニット310の構成について説明する。インプリントユニット310は、図15に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器340を有している。
【0088】
処理容器340内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部341が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部341の上面に載置される。ウェハ保持部341内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン342が設けられている。昇降ピン342は、昇降駆動部343により上下動できる。ウェハ保持部341の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔344が形成されおり、昇降ピン342は、貫通孔344を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部341は、当該ウェハ保持部341の下方に設けられた移動機構345により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0089】
図16に示すようにウェハ保持部341のX方向負方向(図16の下方向)側には、Y方向(図16の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられている。レール350は、例えばウェハ保持部341のY方向負方向(図16の左方向)側の外方からY方向正方向(図16の右方向)側の外方まで形成されている。レール350には、アーム351が取り付けられている。
【0090】
アーム351には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル352が支持されている。レジスト液ノズル352は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル352には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル352の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル352は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0091】
アーム351は、ノズル駆動部353により、レール350上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル352は、ウェハ保持部341のY方向正方向側の外方に設置された待機部354からウェハ保持部341上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム351は、ノズル駆動部353によって昇降自在であり、レジスト液ノズル352の高さを調整できる。
【0092】
処理容器340内の天井面であって、ウェハ保持部341の上方には、図15に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部360が設けられている。すなわち、ウェハ保持部341とテンプレート保持部360は、ウェハ保持部341に載置されたウェハWと、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部360は、テンプレートTの裏面T2の外周部を吸着保持するチャック361を有している。チャック361は、当該チャック361の上方に設けられた移動機構362により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部341上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0093】
テンプレート保持部360は、チャック361に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源363を有している。光源363からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源363からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0094】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図17は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図18は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0095】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図17の工程B1)。処理ステーション3では、テンプレートTの表面T1の洗浄(図17の工程B2)、表面T1への離型剤Sの塗布(図17の工程B3)、離型剤Sへの光の照射(図17の工程B4)、離型剤Sのリンス(図17の工程B5)が順次行われ、テンプレートTの表面T1に離型剤Sが成膜される。なお、これら工程B2〜B5は、前記実施の形態における工程A2〜A5と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0096】
離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット334に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション312のテンプレート搬送体331によって、反転ユニット332に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面T2が上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体331によってインプリントユニット310に搬送され、テンプレート保持部360のチャック361に吸着保持される。
【0097】
このように処理ステーション3においてテンプレートTに離型剤処理を行い、インプリントユニット310へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション311では、ウェハ搬送体322により、カセット載置台320上のウェハカセットCWからウェハWが取り出され、アライメントユニット323に搬送される。そして、アライメントユニット323において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体322によってインプリントユニット310に搬送される(図17の工程B6)。なお、ウェハ搬入出ステーション311において、ウェハカセットCW内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット310に搬送される。
【0098】
インプリントユニット310に搬入されたウェハWは、昇降ピン342に受け渡され、ウェハ保持部341上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル352をウェハWの径方向に移動させ、図18(a)に示すようにウェハW上にレジスト液が塗布され、塗布膜としてのレジスト膜Rが形成される(図17の工程B7)。このとき、制御部200により、レジスト液ノズル352から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
【0099】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図18(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面T1がウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源363から光が照射される。光源363からの光は、図18(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図17の工程B8)。
【0100】
その後、図18(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面T1には離型剤Sが塗布されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面T1に付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン342によりウェハ搬送体322に受け渡され、インプリントユニット310からウェハ搬入出ステーション311に搬送され、ウェハカセットCWに戻される(図17の工程B9)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図18(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0101】
以上の工程B6〜B9(図17中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B5を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T1上に離型剤Sを成膜する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション312のバッファカセット333に保管される。
【0102】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B6〜B9が行われると、ウェハ搬送体331によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット310から搬出され、反転ユニット332に搬送される(図17の工程B10)。続いて、ウェハ搬送体331によって、バッファカセット333内のテンプレートTがインプリントユニット310に搬送される。こうして、インプリントユニット310内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0103】
反転ユニット332に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、ウェハ搬送体331、搬送ユニット20、ウェハ搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCTに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0104】
以上の実施の形態のインプリントシステム300はテンプレート処理装置1を有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型剤Sを成膜しつつ、当該テンプレートTをインプリントユニット310に連続的に供給できる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット310内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜する際に有用であり、また当該テンプレートを用いて基板上に所定のパターンを形成する際に有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 テンプレート処理装置
30、32 塗布ユニット
31、33 リンスユニット
40、50 洗浄ユニット
41、42、51、52 光照射ユニット
160 処理容器
161 ガス供給口
162 ガス供給管
163 ガス供給源
180 光照射部
181 光フィルタ
200 制御部
300 インプリントシステム
310 インプリントユニット
C 転写パターン
P レジストパターン
R レジスト膜
S 離型剤
T テンプレート
W ウェハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、テンプレート処理装置及びインプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインプリント方法で用いられるテンプレートの表面には、テンプレートをレジストから剥離し易くするため、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されている。
【0007】
テンプレートの表面に離型剤を成膜する際には、先ず、テンプレートの表面を洗浄した後、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する。次に、成膜される離型剤が所定の接触角を有してレジストに対する撥液性機能を発揮できるようにするため、離型剤をテンプレートの表面に密着させる。具体的には、離型剤とテンプレートの表面を化学反応させて、離型剤中に含まれる成分のうち、レジストに対して撥液性を有する成分、例えばフッ化物成分をテンプレートの表面に吸着させる。その後、離型剤の未反応部を除去して、テンプレートの表面に所定の膜厚の離型剤が成膜される。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0008】
しかしながら、上述のように離型剤を成膜する場合、テンプレート上の離型剤をテンプレートの表面に密着させるのに時間がかかる。例えば常温雰囲気下でテンプレートを放置した場合、離型剤をテンプレートに密着させるのに約24時間かかってしまう。
【0009】
そこで、発明者らは、離型剤とテンプレートの表面との化学反応を促進させるため、テンプレート上の離型剤を加熱して焼成することを試みた。この場合、離型剤をテンプレートに密着させる時間を短縮することができた。例えば離型剤を60℃に加熱した場合、離型剤をテンプレートに密着させるのに必要な時間は約1時間であり、また離型剤を200℃に加熱した場合、離型剤をテンプレートに密着させるのに必要な時間は約3分であった。
【0010】
しかしながら、この場合、一旦加熱したテンプレートを冷却するのに時間がかかる。したがって、テンプレート処理のスループットを向上させるには至らなかった。また、離型剤を加熱すると当該離型剤は熱膨張するため、テンプレートの表面に離型剤を所定の膜厚で成膜することができない。そして、このように離型剤が成膜されたテンプレートを用いてインプリント処理を行った場合、ウェハ上に数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成することは困難であった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、テンプレートの表面に離型剤を適切に成膜しつつ、テンプレート処理のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法であって、前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布工程と、その後、前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射工程と、その後、前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンス工程と、を有することを特徴としている。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0013】
発明者らが調べたところ、テンプレート上の離型剤に光を照射すると、テンプレートの表面と離型剤との化学反応が促進され、当該テンプレートの表面と離型剤との密着性が向上することが分かった。すなわち、離型剤に光を照射すると、テンプレートの表面に離型剤を短時間で密着させることができ、テンプレート上に成膜される離型剤の接触角を所定の角度にして、当該離型剤の離型機能を発揮させることができる。このように短時間で離型剤をテンプレートの表面に密着させることができるので、テンプレート処理全体のスループットを向上させることができる。しかも、この場合、従来のように離型剤を加熱する必要がないため、離型剤が熱膨張することもない。したがって、テンプレートの表面に離型剤を所定の膜厚で適切に成膜することができる。
【0014】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであるのが好ましい。
【0015】
前記光照射工程は、不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
【0016】
前記テンプレート処理方法は、前記塗布工程の前に、前記テンプレートの表面を洗浄する洗浄工程をさらに有していてもよい。
【0017】
別な観点による本発明によれば、前記テンプレート処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0018】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0019】
また別な観点による本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置であって、前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射ユニットと、前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットと、を有することを特徴としている。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0020】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであるのが好ましい。
【0021】
前記光照射ユニットは、前記光を離型剤に照射する光照射部と、前記波長を有する光のみを透過させる光フィルタと、を有していてもよい。
【0022】
また、前記光照射ユニットは、前記テンプレートを収容する処理容器と、前記処理容器内に不活性ガスを供給するガス供給部と、をさらに有していてもよい。
【0023】
前記テンプレート処理装置は、前記塗布ユニットで前記離型剤が塗布される前のテンプレートの表面を洗浄する洗浄ユニットをさらに有していてもよい。
【0024】
さらに別な観点による本発明は、前記テンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、前記テンプレート処理装置で表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、テンプレートの表面に離型剤を適切に成膜しつつ、テンプレート処理のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの斜視図である。
【図5】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図7】塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図8】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図11】光照射ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】テンプレート処理の各工程を示したフローチャートである。
【図13】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に離型剤が塗布された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤に光が照射された様子を示し、(d)はテンプレート上に離型剤が成膜された様子を示す。
【図14】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図15】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図17】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図18】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させた様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0028】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面T1といい、当該表面T1と反対側の面を裏面T2という。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
【0029】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCTに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0030】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCTをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0031】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCTと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0032】
処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。
【0033】
搬送ユニット20は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット20は、処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。
【0034】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTに液体状の離型剤を塗布する塗布ユニット30、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、塗布ユニット32、リンスユニット33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0035】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型剤が成膜される前の表面T1を洗浄する洗浄ユニット40、テンプレートT上の離型剤に光を照射する光照射ユニット41、42が下から順に3段に重ねられている。
【0036】
第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックG3と同様に、洗浄ユニット50、光照射ユニット51、52が下から順に3段に重ねられている。
【0037】
次に、上述した塗布ユニット30、32の構成について説明する。塗布ユニット30は、図5に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器110を有している。
【0038】
処理容器110内の中央部には、テンプレートTを保持して回転させる保持部材111が設けられている。保持部材111の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部112が形成されている。収容部112の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部112aが形成されている。したがって、収容部112内では、溝部112aによってテンプレートTの下面内周部は保持部材111と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材111に支持されている。収容部112は、図6に示すようにテンプレートTの外形に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部112には、側面から内側に突出した突出部113が複数形成され、この突出部113により、収容部112に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送ユニット20の搬送アームから収容部112にテンプレートTを受け渡す際に、当該搬送アームが収容部112と干渉するのを避けるため、収容部112の外周には、切欠き部114が4箇所に形成されている。
【0039】
保持部材111は、図5に示すようにカバー体115に取り付けられ、保持部材111の下方には、シャフト116を介して回転駆動部117が設けられている。この回転駆動部117により、保持部材111は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0040】
保持部材111の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する離型剤を受け止め、回収するカップ120が設けられている。カップ120の下面には、回収した離型剤を排出する排出管121と、カップ120内の雰囲気を排気する排気管122が接続されている。
【0041】
図7に示すようにカップ120のX方向負方向(図7の下方向)側には、Y方向(図7の左右方向)に沿って延伸するレール130が形成されている。レール130は、例えばカップ120のY方向負方向(図7の左方向)側の外方からY方向正方向(図7の右方向)側の外方まで形成されている。レール130には、アーム131が取り付けられている。
【0042】
アーム131には、テンプレートT上に離型剤を供給する離型剤ノズル132が支持されている。アーム131は、ノズル駆動部133により、レール130上を移動自在である。これにより、離型剤ノズル132は、カップ120のY方向正方向側の外方に設置された待機部134からカップ120内のテンプレートTの中心部上方まで移動できる。また、アーム131は、ノズル駆動部133によって昇降自在であり、離型剤ノズル132の高さを調整できる。なお、離型剤の材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。また、離型剤は、活性基として例えばシランカップリング剤を有している。
【0043】
なお、例えば保持部材111の溝部112a内に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからテンプレートTの裏面T2に洗浄液を噴射することによって、当該裏面T2を洗浄することができる。
【0044】
なお、塗布ユニット32の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0045】
次に、上述したリンスユニット31、33の構成について説明する。リンスユニット31は、図8に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器140を有している。
【0046】
処理容器140内の底面には、テンプレートTを浸漬させる浸漬槽141が設けられている。浸漬槽141内には、テンプレートT上の離型剤をリンスするための有機溶剤が貯留されている。
【0047】
処理容器140内の天井面であって、浸漬槽141の上方には、テンプレートTを保持する保持部142が設けられている。保持部142は、テンプレートTの裏面T2の外周部を吸着保持するチャック143を有している。テンプレートTは、その表面T1が上方を向くようにチャック143に保持される。チャック143は、昇降機構144により昇降できる。そして、テンプレートTは、保持部142に保持された状態で浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該テンプレートT上の離型剤がリンスされる。
【0048】
保持部142は、チャック143に保持されたテンプレートTの上方に設けられた気体供給部145を有している。気体供給部145は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック143に保持されたテンプレートTの表面T1に吹き付けることができる。これにより、浸漬層141でリンスされたテンプレートTの表面T1を乾燥させることができる。なお、リンスユニット31には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0049】
なお、リンスユニット33の構成は、上述したリンスユニット31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0050】
次に、上述した洗浄ユニット40、50の構成について説明する。洗浄ユニット40は、図9に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器150を有している。
【0051】
処理容器150内には、テンプレートTを吸着保持するチャック151が設けられている。チャック151は、テンプレートTの表面T1が上方を向くように、その裏面T2を吸着保持する。チャック151の下方には、チャック駆動部152が設けられている。このチャック駆動部152は、処理容器150内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール153上に取付けられている。このチャック駆動部152により、チャック151はレール153に沿って移動できる。
【0052】
処理容器150内の天井面であって、レール153の上方には、チャック151に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部154が設けられている。紫外線照射部154は、図10に示すようにX方向に延伸している。そして、テンプレートTがレール153に沿って移動中に、紫外線照射部154から当該テンプレートTの表面T1に紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T1全面に紫外線が照射される。
【0053】
なお、洗浄ユニット50の構成は、上述した洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0054】
次に、上述した光照射ユニット41、42、51、52の構成について説明する。光照射ユニット41は、図11に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器160を有している。
【0055】
処理容器160の天井面には、処理容器160の内部に向けて不活性ガス、例えば窒素ガスを供給するためのガス供給口161が形成されている。ガス供給口161には、ガス供給管162を介して窒素ガスを供給するガス供給源163が接続されている。なお、処理容器160の内部は、窒素ガスと水蒸気の混合ガスを供給してもよい。また、本実施の形態では、これらガス供給口161、ガス供給管162、ガス供給源163でガス供給部を構成している。
【0056】
処理容器160の底面には、処理容器160の内部の雰囲気を排気するための排気口164が形成されている。排気口164には、排気管165を介して処理容器160の内部の雰囲気を真空引きする排気ポンプ166が接続されている。
【0057】
処理容器160内の底面には、テンプレートTが載置される載置台170が設けられている。テンプレートTは、その表面T1が上方を向くように載置台170の上面に載置される。載置台170内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン171が設けられている。昇降ピン171は、昇降駆動部172により上下動できる。載置台170の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔173が形成されおり、昇降ピン171は、貫通孔173を挿通するようになっている。
【0058】
処理容器160内の天井面であって、載置台170の上方には、テンプレートTに光を照射する光照射部180が設けられている。光照射部180は、載置台170に載置されたテンプレートTの表面T1に対向し、当該表面T1全面を覆うように配置されている。なお、光照射部180には、例えばメタルハイドランプが用いられる。
【0059】
載置台170と光照射部180との間には、所定の波長の光のみを透過させる光フィルタ181が配置されている。光フィルタ181は、載置台170に載置されたテンプレートTの表面T1に対向し、当該表面T1全面を覆うように配置されている。なお、光フィルタ181は、光照射部180における光の照射面に配置してもよい。
【0060】
上述した光フィルタ181が透過させる光の所定の波長は、例えば350nm〜2500nmである。発明者らが調べたところ、かかる波長の光をテンプレートT上の離型剤に所定の時間、例えば1分間照射すると、テンプレートTの表面T1と離型剤の活性基を強固且つ密に化学結合させることができ、テンプレートTの表面T1と離型剤との密着性が向上することが分かった。すなわち、テンプレートTの表面T1に離型剤を短時間で密着させることができることが分かった。また、350nmより短い波長の光を離型剤に照射すると、離型剤が破壊されてその離型機能が損なわれる場合があることが分かった。さらに、2500nmより長い波長の光を離型剤に照射すると、離型剤が加熱され熱膨張する場合があることが分かった。そこで、光の所定の波長を上述のように350nm〜2500nmとした。なお、光フィルタ181は、350nmより短い波長の光を遮断するフィルタと、2500nmより長い波長の光を遮断するフィルタを重ね合わせて形成してもよい。
【0061】
なお、光照射ユニット42、51、52の構成は、上述した光照射ユニット41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0062】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述するテンプレート処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0063】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われるテンプレート処理について説明する。図12は、このテンプレート処理の主な処理フローを示し、図13は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0064】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCTからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図12の工程A1)。このとき、テンプレートカセットCT内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面T1が上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0065】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、洗浄ユニット40に搬送され、チャック151に吸着保持される。続いて、チャック駆動部152によってテンプレートTをレール153に沿って移動させながら、紫外線照射部154から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T1全面に紫外線が照射され、図13(a)に示すようにテンプレートTの表面T1が洗浄される(図12の工程A2)。
【0066】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは塗布ユニット30に搬送され、保持部材111に受け渡される。続いて、離型剤ノズル132をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給し、遠心力により離型剤SをテンプレートT上で拡散させて、図13(b)に示すようにテンプレートTの表面T1全面に離型剤Sを塗布する(図12の工程A3)。
【0067】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは光照射ユニット41に搬送される。光照射ユニット43に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン171に受け渡され、載置台170に載置される。続いて、ガス供給口161から窒素ガスが処理容器160内に供給される。このとき、排気口164から処理容器160の内部の雰囲気が排気されて、処理容器160の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。その後、光照射部180から下方に光が照射される。照射された光のうち、350nmより短い波長の光と2500nmより長い波長の光は、光フィルタ181によってその進行を遮断される。そして、350nm〜2500nmの波長の光のみが光フィルタ181を透過し、テンプレートT上の離型剤Sに照射される。そして所定時間、例えば1分間離型剤Sに光を照射すると、図13(c)に示すように離型剤SがテンプレートTの表面T1と化学反応し、当該テンプレートTの表面T1に離型剤Sが密着する(図12の工程A4)。
【0068】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット31に搬送され、保持部142に保持される。続いて、保持部142を下降させ、テンプレートTを浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみ、すなわち離型剤SがテンプレートTの表面T1と化学反応して当該表面T1と密着する部分以外のみが剥離する。このとき、上述の工程A4においてテンプレートTの表面T1に離型剤Sが密着しているので、テンプレートTの表面T1から所定の距離の離型剤Sが剥離することはない。また、テンプレートT上の離型剤Sの接触角は所定の角度、例えば110度になっており、離型剤Sは後述するレジスト膜に対して十分な撥液性を有し、その離型機能を発揮することができる。こうして、図13(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される(図12の工程A5)。その後、保持部142を上昇させ、気体供給部145から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面T1を乾燥させる。
【0069】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCTに戻される(図12の工程A6)。こうしてテンプレート処理装置1における一連のテンプレート処理が終了し、テンプレートTの表面T1に、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0070】
以上の実施の形態によれば、工程A4においてテンプレートT上の離型剤Sに光を照射しているので、テンプレートTの表面T1と離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面T1と離型剤Sの密着性が向上する。すなわち、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを短時間で密着させることができる。これによって、工程A1〜工程A5のテンプレート処理のスループットを向上させることができる。
【0071】
また、工程A4においてテンプレートTの表面T1に離型剤Sが密着するので、当該テンプレートT上の離型剤Sの所定の接触角にすることができる。これによって、離型剤Sはレジスト膜に対して十分な撥液性を有し、その離型機能を発揮することができる。
【0072】
さらに、工程A4において離型剤Sに照射する光の波長は2500nm以下であるため、従来のように離型剤Sが熱膨張することがない。また、この光の波長は350nm以上であるため、離型剤Sが破壊されることもない。したがって、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを所定の膜厚で適切に成膜することができる。
【0073】
また、工程A4において350nmより短い波長の光が光フィルタ181に吸収されるので、光照射ユニット43の処理容器160内にオゾンが発生することを防止することができる。しかも、この離型剤Sへの光の照射は窒素ガス雰囲気下で行われるため、オゾンの発生をより確実に防止することができる。
【0074】
また、工程A4において光照射部180は一度の照射でテンプレートTの表面T1全面の離型剤Sに光を照射することができるので、テンプレートTの表面T1と離型剤Sとの密着を迅速に行うことができる。
【0075】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30、32において、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを塗布していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された離型剤ノズルを用いてテンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。かかる場合、離型剤ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から離型剤Sを供給し、テンプレートTの表面T1全面に離型剤Sが塗布される。なお、この場合、離型剤ノズルを固定して、テンプレートTを移動させてもよい。さらに、例えば離型剤Sが貯留された浸漬槽にテンプレートTを浸漬させて、テンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。
【0076】
以上の実施の形態のリンスユニット31、33では、浸漬層141に貯留された有機溶剤にテンプレートTを浸漬することで離型剤Sをリンスしていたが、図5及び図7に示した塗布ユニット30と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、塗布ユニット30の離型剤ノズル132に代えて、テンプレートT上に離型剤Sのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0077】
そして、このリンスユニットでは、回転中のテンプレートT上に有機溶剤を供給し、テンプレートTの表面T1全面をリンスする。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにテンプレートTを回転させ続け、その表面T1を振り切り乾燥させる。このようにして、テンプレートT上の離型剤Sがリンスされる。
【0078】
以上の実施の形態では、洗浄ユニット40、50において、テンプレートTを移動させながら、当該移動中のテンプレートTに紫外線を照射していたが、例えば図11に示した光照射ユニット41と同様に、テンプレートTの表面T1全面を覆う紫外線照射部を用いて、テンプレートTに紫外線を照射してもよい。かかる場合、一度の照射でテンプレートTの表面T1全面に紫外線を照射することができるので、テンプレートTの表面T1の洗浄を迅速に行うことができる。また、この場合、図5及び図7に示した塗布ユニット30と同様に、テンプレートTを回転させ、当該回転中のテンプレートTの表面T1全面に紫外線を照射してもよい。
【0079】
また、以上の実施の形態では、光照射ユニット41、42、51、52において、テンプレートTを載置台170に載置して当該テンプレートT上の離型剤Sに光を照射していたが、図5及び図7に示した塗布ユニット30と同様に、テンプレートTを回転させ、当該回転中のテンプレートT上の離型剤Sに光を照射してもよい。さらに、光照射ユニット41、42、51、52では、テンプレートTの表面T1全面の離型剤Sに光を照射していたが、図9及び図10に示した洗浄ユニット40と同様に、テンプレートTを移動させながら、当該移動中のテンプレートT上の離型剤Sに光を照射してもよい。
【0080】
以上の実施の形態では、処理ステーション3において、搬送ユニット20によってテンプレートTを搬送していたが、いわゆる平流し形式を用いてテンプレートTをコロ搬送してもよい。かかる場合、処理ステーション3には、洗浄ユニット、塗布ユニット、光照射ユニット、リンスユニットがこの順で配置される。そして、テンプレート搬入出ステーション2から搬出されたテンプレートTは、コロ搬送によってこれら処理ユニットに順次搬送される。各処理ユニットでは、搬送中のテンプレートTに所定の処理が行われる。こうしてテンプレートT上に離型剤Sが成膜されると、テンプレートTがテンプレート搬入出ステーション2に戻され、一連のテンプレート処理が終了する。この場合、各処理ユニットにおいてテンプレートTの搬送中に所定の処理が行われるので、テンプレート処理のスループットをより向上させることができる。
【0081】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1は、図14に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。インプリントシステム300は、テンプレートTを用いて基板としてのウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット310と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCWに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション311とを有している。また、テンプレート処理装置1とインプリントユニット310との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション312が配置されている。インプリントシステム300は、これらテンプレート処理装置1、インターフェイスステーション312、インプリントユニット310、ウェハ搬入出ステーション311を一体に接続した構成を有している。
【0082】
ウェハ搬入出ステーション311には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320は、複数のウェハカセットCWをX方向(図14中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション311は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0083】
ウェハ搬入出ステーション311には、X方向に延伸する搬送路321上を移動可能なウェハ搬送体322が設けられている。ウェハ搬送体322は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCWとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0084】
ウェハ搬入出ステーション311には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット323がさらに設けられている。アライメントユニット323では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
【0085】
インターフェイスステーション312には、X方向に延伸する搬送路330上を移動するテンプレート搬送体331が設けられている。また、搬送路330のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット332が配置され、搬送路330のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット333が配置されている。テンプレート搬送体331は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、反転ユニット332、バッファカセット333、インプリントユニット310との間でテンプレートTを搬送できる。
【0086】
テンプレート処理装置1の処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション312側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット334が配置されている。
【0087】
次に、上述したインプリントユニット310の構成について説明する。インプリントユニット310は、図15に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器340を有している。
【0088】
処理容器340内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部341が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部341の上面に載置される。ウェハ保持部341内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン342が設けられている。昇降ピン342は、昇降駆動部343により上下動できる。ウェハ保持部341の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔344が形成されおり、昇降ピン342は、貫通孔344を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部341は、当該ウェハ保持部341の下方に設けられた移動機構345により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0089】
図16に示すようにウェハ保持部341のX方向負方向(図16の下方向)側には、Y方向(図16の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられている。レール350は、例えばウェハ保持部341のY方向負方向(図16の左方向)側の外方からY方向正方向(図16の右方向)側の外方まで形成されている。レール350には、アーム351が取り付けられている。
【0090】
アーム351には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル352が支持されている。レジスト液ノズル352は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル352には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル352の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル352は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0091】
アーム351は、ノズル駆動部353により、レール350上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル352は、ウェハ保持部341のY方向正方向側の外方に設置された待機部354からウェハ保持部341上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム351は、ノズル駆動部353によって昇降自在であり、レジスト液ノズル352の高さを調整できる。
【0092】
処理容器340内の天井面であって、ウェハ保持部341の上方には、図15に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部360が設けられている。すなわち、ウェハ保持部341とテンプレート保持部360は、ウェハ保持部341に載置されたウェハWと、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部360は、テンプレートTの裏面T2の外周部を吸着保持するチャック361を有している。チャック361は、当該チャック361の上方に設けられた移動機構362により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部341上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0093】
テンプレート保持部360は、チャック361に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源363を有している。光源363からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源363からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0094】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図17は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図18は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0095】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図17の工程B1)。処理ステーション3では、テンプレートTの表面T1の洗浄(図17の工程B2)、表面T1への離型剤Sの塗布(図17の工程B3)、離型剤Sへの光の照射(図17の工程B4)、離型剤Sのリンス(図17の工程B5)が順次行われ、テンプレートTの表面T1に離型剤Sが成膜される。なお、これら工程B2〜B5は、前記実施の形態における工程A2〜A5と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0096】
離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット334に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション312のテンプレート搬送体331によって、反転ユニット332に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面T2が上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体331によってインプリントユニット310に搬送され、テンプレート保持部360のチャック361に吸着保持される。
【0097】
このように処理ステーション3においてテンプレートTに離型剤処理を行い、インプリントユニット310へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション311では、ウェハ搬送体322により、カセット載置台320上のウェハカセットCWからウェハWが取り出され、アライメントユニット323に搬送される。そして、アライメントユニット323において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体322によってインプリントユニット310に搬送される(図17の工程B6)。なお、ウェハ搬入出ステーション311において、ウェハカセットCW内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット310に搬送される。
【0098】
インプリントユニット310に搬入されたウェハWは、昇降ピン342に受け渡され、ウェハ保持部341上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル352をウェハWの径方向に移動させ、図18(a)に示すようにウェハW上にレジスト液が塗布され、塗布膜としてのレジスト膜Rが形成される(図17の工程B7)。このとき、制御部200により、レジスト液ノズル352から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
【0099】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図18(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面T1がウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源363から光が照射される。光源363からの光は、図18(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図17の工程B8)。
【0100】
その後、図18(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面T1には離型剤Sが塗布されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面T1に付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン342によりウェハ搬送体322に受け渡され、インプリントユニット310からウェハ搬入出ステーション311に搬送され、ウェハカセットCWに戻される(図17の工程B9)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図18(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0101】
以上の工程B6〜B9(図17中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B5を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T1上に離型剤Sを成膜する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション312のバッファカセット333に保管される。
【0102】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B6〜B9が行われると、ウェハ搬送体331によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット310から搬出され、反転ユニット332に搬送される(図17の工程B10)。続いて、ウェハ搬送体331によって、バッファカセット333内のテンプレートTがインプリントユニット310に搬送される。こうして、インプリントユニット310内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0103】
反転ユニット332に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、ウェハ搬送体331、搬送ユニット20、ウェハ搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCTに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0104】
以上の実施の形態のインプリントシステム300はテンプレート処理装置1を有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型剤Sを成膜しつつ、当該テンプレートTをインプリントユニット310に連続的に供給できる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット310内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜する際に有用であり、また当該テンプレートを用いて基板上に所定のパターンを形成する際に有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 テンプレート処理装置
30、32 塗布ユニット
31、33 リンスユニット
40、50 洗浄ユニット
41、42、51、52 光照射ユニット
160 処理容器
161 ガス供給口
162 ガス供給管
163 ガス供給源
180 光照射部
181 光フィルタ
200 制御部
300 インプリントシステム
310 インプリントユニット
C 転写パターン
P レジストパターン
R レジスト膜
S 離型剤
T テンプレート
W ウェハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法であって、
前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布工程と、
その後、前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射工程と、
その後、前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンス工程と、を有することを特徴とする、テンプレート処理方法。
【請求項2】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであることを特徴とする、請求項1に記載のテンプレート処理方法。
【請求項3】
前記光照射工程は、不活性ガスの雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のテンプレート処理方法。
【請求項4】
前記塗布工程の前に、前記テンプレートの表面を洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のテンプレート処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のテンプレート処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項7】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置であって、
前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、
前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射ユニットと、
前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットと、を有することを特徴とする、テンプレート処理装置。
【請求項8】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであることを特徴とする、請求項7に記載のテンプレート処理装置。
【請求項9】
前記光照射ユニットは、前記光を離型剤に照射する光照射部と、前記波長を有する光のみを透過させる光フィルタと、を有することを特徴とする、請求項8に記載のテンプレート処理装置。
【請求項10】
前記光照射ユニットは、前記テンプレートを収容する処理容器と、前記処理容器内に不活性ガスを供給するガス供給部と、をさらに有することを特徴とする、請求項9に記載のテンプレート処理装置。
【請求項11】
前記塗布ユニットで前記離型剤が塗布される前のテンプレートの表面を洗浄する洗浄ユニットをさらに有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載のテンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、
前記テンプレート処理装置で表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴とする、インプリントシステム。
【請求項1】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理方法であって、
前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布工程と、
その後、前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射工程と、
その後、前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンス工程と、を有することを特徴とする、テンプレート処理方法。
【請求項2】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであることを特徴とする、請求項1に記載のテンプレート処理方法。
【請求項3】
前記光照射工程は、不活性ガスの雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のテンプレート処理方法。
【請求項4】
前記塗布工程の前に、前記テンプレートの表面を洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のテンプレート処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のテンプレート処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項7】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置であって、
前記テンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、
前記塗布された離型剤に光を照射して、前記テンプレートの表面と前記離型剤との密着性を向上させる光照射ユニットと、
前記光を照射された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットと、を有することを特徴とする、テンプレート処理装置。
【請求項8】
前記光の波長は、350nm〜2500nmであることを特徴とする、請求項7に記載のテンプレート処理装置。
【請求項9】
前記光照射ユニットは、前記光を離型剤に照射する光照射部と、前記波長を有する光のみを透過させる光フィルタと、を有することを特徴とする、請求項8に記載のテンプレート処理装置。
【請求項10】
前記光照射ユニットは、前記テンプレートを収容する処理容器と、前記処理容器内に不活性ガスを供給するガス供給部と、をさらに有することを特徴とする、請求項9に記載のテンプレート処理装置。
【請求項11】
前記塗布ユニットで前記離型剤が塗布される前のテンプレートの表面を洗浄する洗浄ユニットをさらに有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載のテンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、
前記テンプレート処理装置で表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴とする、インプリントシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−56747(P2011−56747A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208148(P2009−208148)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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