説明

テープ貼付け装置およびテープ貼付け方法

【課題】導電テープの無駄を排除しつつテープ剥離動作を効率良く行って、生産性を向上させることができるテープ貼付け装置およびテープ貼付け方法を提供することを目的とする。
【解決手段】テープ部材4を個片導電テープ4b*に切断して複数の貼付け部位に貼付けるテープ貼付方法において、第1の押圧位置P1に個片導電テープ4b*を貼付ける貼付け工程と、圧着ヘッド15と剥離部17とを一体的に基板20に対して相対移動させながらテープ部材4を送って圧着ヘッド15を第2の圧着位置P2に位置合わせするとともに、この相対移動過程において剥離部17によって貼付けられたテープ部材4からセパレータ4aを剥離する移動工程とを反復して実行する。貼付長さがテープ送り量よりも短く導電テープ4bに切れ目を入れるべきカット位置がカット部を通過してしまう場合には、テープ部材4を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルなどの基板に部品を実装するためのテープを貼付けるテープ貼付け装置およびテープ貼付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示パネル(以下、基板と称す)の側縁部に、IC、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)等の部品を実装する部品実装においては、部品の搭載動作に先立って導電粒子を含んだ接着剤としての異方性導電テープ(Anisotropic Conductive Film:ACF)(以下、導電テープと称す)を基板の側縁部に設けられた電極部に貼付けるテープ貼付け作業が実行される。
【0003】
このテープ貼付け作業は、導電テープをセパレータと呼ばれる保護テープに積層したテープ部材を、貼付けユニットの圧着ヘッドにより基板の側縁部に押圧することにより行われ、これにより電極部に対して導電テープが貼付けられる。そして貼付け後には、導電テープからセパレータを剥離する剥離工程が実行される(例えば特許文献1参照)。この特許文献に示す先行技術においては、貼付けられた導電テープとセパレータとの間に介在する剥離部材を水平方向に移動させることにより、セパレータのみを剥離するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−294361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年テレビの大画面化に伴い、この用途に使用される表示パネルのサイズは縦横とも大型化する傾向にある。このため、このような大型の表示パネルの組立て作業において上述の導電テープが貼付けられる範囲も増大する。ところが表示パネルにおいては、部品を接続する電極部は必ずしも表示パネルの側縁部の全範囲には形成されず、所定長さの電極部が間隔を置いて飛び飛びで形成される場合が多い。このような表示パネルを導電テープの貼付け対象とする場合には、側縁部の全範囲に一繋ぎの導電テープを貼付けると、本来不必要な範囲にまで導電テープを貼付けることとなり、資材の無駄を生じる。
【0006】
このような無駄を排除するためには、表示パネルの側縁部において電極部が形成された部品接続範囲のみを導電テープの貼付け対象とすればよい。しかしながら、このようなテープ貼付け形態を採用する場合には、テープ貼付け動作とテープ剥離動作とを複数回反復する必要があることから、全体の作業タクトタイムが遅延することが避けがたく、生産性が低下するという課題がある。このため、導電テープの無駄を排除しつつテープ剥離動作の作業効率を改善することが望まれていた。
【0007】
そこで本発明は、導電テープの無駄を排除しつつテープ剥離動作を効率良く行って、生産性を向上させることができるテープ貼付け装置およびテープ貼付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のテープ貼付け装置は、異方性導電テープを所定の貼付長さの個片導電テープに切断して基板の側縁部に形成された複数の貼付け部位に貼付けるテープ貼付装置であって、前記基板を保持する基板保持テーブルと、セパレータに異方性導電テープが積層されて成るテープ部材をテープ供給部から基板の側縁部にその長手方向に沿って設けられた貼付け部位に案内するとともに、前記異方性導電テープが前記貼付け部位に貼付けられてセパレータ単体となったテープ部材をテープ回収部側に送り、さらにこのテープ部材を送り方向と反対側に戻す巻き戻し動作が可能なテープ案内手段と、前記基板保持テーブルに保持され前記側縁部を下受部によって下受けされた前記基板に、圧着ヘッドによって前記テープ部材を押圧して異方性導電テープを前記貼付け部位に貼付ける貼付け手段と、前記貼付け手段の上流側に配設され前記異方性導電テープに対して前記貼付け部位における貼付長さに対応した間隔で切れ目を入れて前記個片導電テープを形成するカット部と、前記貼付け手段により貼付けられた前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離部と、前記貼付け手段と前記剥離部とを相互の相対位置を保持した状態で前記基板保持テーブルに対して水平方向に相対移動させる相対移動手段と、前記相対移動手段、テープ案内手段、カット部、貼付け手段および剥離部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記相対移動手段による前記相対移動と同期させて前記テープ案内手段によるテープ部材の送り動作を行わせ、前記貼付長さが前記送り動作におけるテープ送り量よりも短い場合には、前記異方性導電テープにおいて切れ目を入れるべきカット位置が前記送り動作によって前記カット部を一旦通過した後に、前記カット位置を前記カット部に位置合わせするために前記テープ部材を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせる。
【0009】
本発明のテープ貼付け方法は、基板を保持する基板保持テーブルと、セパレータに異方性導電テープが積層されて成るテープ部材をテープ供給部から基板の側縁部にその長手方向に沿って設けられた貼付け部位に案内するとともに、前記異方性導電テープが前記貼付け部位に貼付けられてセパレータ単体となったテープ部材をテープ回収部側に送り、さらにテープ部材を送り方向と反対側に戻す巻き戻し動作が可能なテープ案内手段と、前記基板保持テーブルに保持され前記側縁部を下受部によって下受けされた前記基板に、圧着ヘッドによって前記テープ部材を押圧して異方性導電テープを前記貼付け部位に貼付ける貼付け手段と、前記貼付け手段の上流側に配設され前記異方性導電テープに対して前記貼付け部位における貼付長さに対応した間隔で切れ目を入れて前記個片導電テープを形成するカット部と、前記貼付け手段により貼付けられた前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離部と、前記貼付け手段と前記剥離部とを相互の相対位置を保持した状態で前記基板保持テーブルに対して水平方向に相対移動させる相対移動手段と、前記相対移動手段、テープ案内手段、カット部、貼付け手段および剥離部を制御する制御部とを備えたテープ貼付け装置によって、異方性導電テープを所定の貼付長さの個片導電テープに切断して基板の側縁部に形成された複数の貼付け部位に貼付けるテープ貼付方法であって、一の前記貼付け部位に前記個片導電テープを貼付ける貼付け工程と、前記圧着ヘッドを上昇させた後に、前記相対移動手段を駆動して前記貼付け手段と剥離部とを一体的に前記基板保持テーブルに対して相対移動させながら前記テープ案内手段を駆動してテープ部材の送り動作を行うことにより、圧着ヘッドを次の貼付け部位に位置合わせするとともに、この相対移動過程において前記剥離部によって前記一の貼付け部位に貼付けられた前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する移動工程とを含み、前記相対移動手段による前記相対移動と同期させて前記テープ案内手段によるテープ部材の送り動作を行わせ、前記貼付長さが前記送り動作におけるテープ送り量よりも短い場合には、前記異方性導電テープにおいて切れ目を入れるべきカット位置が前記送り動作によって前記カット部を一旦通過した後に、前記カット位置を前記カット部に位置合わせするために前記テープ部材を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、相対移動手段による貼付け手段と剥離部との相対移動と同期させてテープ案内手段によるテープ部材の送り動作を行わせ、貼付長さが送り動作におけるテープ送り量よりも短い場合には、異方性導電テープにおいて切れ目を入れるべきカット位置が送り動作によってカット部を一旦通過した後に、カット位置をカット部に位置合わせするためにテープ部材を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせることにより、貼付け長さが短い基板を作業対象とする場合にあっても、導電テープの無駄を排除しつつテープ剥離動作を効率良く行って、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態のテープ貼付け装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のテープ貼付け装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のテープ貼付け装置におけるカット部の構成および機能説明図
【図4】本発明の一実施の形態のテープ貼付け装置の対象となる基板における異方性導電テープの貼付け長さの説明図
【図5】本発明の一実施の形態のテープ貼付け方法の工程説明図
【図6】本発明の一実施の形態のテープ貼付け方法の工程説明図
【図7】本発明の一実施の形態のテープ貼付け方法の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1,図2を参照してテープ貼付け装置1の構成を説明する。テープ貼付け装置1は、表示パネルなどの基板の側縁部にドライバ用等の部品を実装する部品実装装置において、側縁部に部品を接合するとともに部品を電極部に導通させるための異方性導電テープ(以下、単に「導電テープ」と略称。)を、部品の搭載動作に先立って所定の貼付長さの個片導電テープに切断して、基板の側縁部に形成された複数の貼付け部位に貼付ける機能を有するものである。
【0013】
図1,図2において、テープ貼付け装置1は、導電テープを供給して貼付ける機能を有する貼付け機構2の下方に、貼付け対象の基板を位置決めする基板位置決め部3を配設した構成となっている。貼付け機構2は、貼付け部移動機構2bによってX方向に移動自在な垂直平板状のベースプレート2aを主体としており、ベースプレート2aの上部には、テープ供給リール5が配設されている。テープ供給リール5は、セパレータ4aに導電テープ4bを積層した構成のテープ部材4を卷回収納しており、ベースプレート2aの裏面に配設されたリール駆動機構5a(図2参照)によって回転駆動される。
【0014】
リール駆動機構5aを駆動することによりテープ供給リール5は正逆方向(矢印a)に回転し、卷回収納されたテープ部材4の繰り出しおよび巻き戻しが行われ、繰り出されたテープ部材4は張力付与機構6のテンションローラ6aを周回して下方に導かれる(矢印b)。張力付与機構6は繰り出されたテープ部材4が弛みを生じないように、テープ部材4に対して所定の張力を付与する機能を有している。テープ供給リール5およびリール駆動機構5aは、テープ部材4を供給するテープ供給部を構成する。
【0015】
ベースプレート2aの下端部の両側には、第1ガイドローラ8および第2ガイドローラ9が水平位置に配設されており、さらに第2ガイドローラ9の上方にはテープ送り機構10およびテープ回収部13が配設されている。第1ガイドローラ8および第2ガイドローラ9の間の水平部分は、後述する貼付け手段によって導電テープ4bを基板20の貼付け部位23(図4参照)に貼付ける貼付け作業位置となっており、テープ供給リール5から繰り出されて張力付与機構6を経由したテープ部材4は、第1ガイドローラ8を周回して導電テープ4bを下向きにした姿勢で水平方向に導かれ、貼付け作業位置においてテープ部材4のうち下面側の導電テープ4bのみが基板20の貼付け部位23に貼付けられる。
【0016】
そして導電テープ4bが基板20の貼付け部位23に貼付けられてセパレータ4aのみとなったテープ部材4は、第2ガイドローラ9を周回してテープ送り機構10によって上方に導かれ、テープ回収部13によって回収される。テープ送り機構10は、セパレータ4aを挟み込んで正逆両方向(矢印c)に送る駆動ローラ11およびアイドルローラ12を備えており、駆動ローラ11はベースプレート2aの背面側に配設されたローラ駆動機構11a(図2参照)によって回転駆動される。すなわちテープ供給リール5の回転方向とテープ送り機構10のテープ送り方法を切り換えることにより、テープ部材4をテープ供給リール5からテープ回収部13へ送るテープ送りと、テープ回収部13側からテープ供給リール5へテープ部材4を戻す巻き戻し動作が可能となっている。
【0017】
テープ供給リール5、テープ送り機構10、第1ガイドローラ8および第2ガイドローラ9は、セパレータ4aに導電テープ4bが積層されて成るテープ部材4を、テープ供給部から基板20の側縁部20aにその長手方向に沿って設けられた貼付け部位23に案内するとともに、導電テープ4bが基板20の貼付け部位23に貼付けられてセパレータ4aの単体となったテープ部材4をテープ回収部13側に送り、さらにテープ部材4を送り方向と反対側に戻す巻き戻し動作が可能なテープ案内手段となっている。
【0018】
第1ガイドローラ8の下流側には、カット部7が配設されている。カット部7は、上面側のセパレータ4aに当接する受け部材7cとブレードホルダ7aに装着されたカッタブレード7bとによってテープ部材4を挟み込むことにより、テープ部材4において導電テープ4bのみをカットする機能を有している。これにより、1回のテープ貼付け動作において貼付けられる導電テープ4bの範囲、すなわち貼付け長さを区分する切れ目4cが形成される。ここで図3を参照して、カット部7の構成および機能を説明する。
【0019】
図3(a)に示すように、カット部7はベース部30にエアシリンダ31によって駆動される移動開閉刃機構33を配設した構成となっている。エアシリンダ31のロッド31aには結合ブロック32が結合されており、さらに結合ブロック32には、屈曲形状のリンク部材37を介して移動開閉刃機構33がリンク結合されている。移動開閉刃機構33は、ベース部30に水平方向に配設されたガイドレール35にガイドされてY方向に往復動する移動ブロック34の上部および下部に、それぞれ受け部材7cおよびブレードホルダ7aを結合した構成となっている。
【0020】
移動ブロック34には、リンク部材37の中心部がピン37bを介して回動自在に支持されており、リンク部材37一端部はピン37aを介して結合ブロック32に、他端部はピン37cを介して受け部材7cにそれぞれ軸支されている。さらにリンク部材37は、引張りバネ36によって時計回り方向に付勢されている。またベース部30の左端部には、移動ブロック34のY方向の進出位置を規制するストッパ38が設けられている。カット部7が貼付け機構2に配設された状態では、切断対象のテープ部材4は移動開閉刃機構33からはずれた外側に位置し、受け部材7cとカッタブレード7bの中間の高さにある。
【0021】
この状態でエアシリンダ31を駆動してロッド31aを突出させる(矢印f)ことにより、まず図3(b)に示すように、結合ブロック32、リンク部材37を介して移動開閉刃機構33がY方向に進出する(矢印g)。そしてロッド31aが所定長さだけ突出した時点で移動ブロック34の先端部がストッパ38に当接し、これにより移動開閉刃機構33のY方向への進出が停止する。この状態では、切断対象のテープ部材4はブレードホルダ7aに装着されたカッタブレード7bと受け部材7cとの間に位置する。
【0022】
この後、図3(c)に示すように、ロッド31aがさらに突出する(矢印h)ことにより、結合ブロック32に結合されたリンク部材37は、引張りバネ36の付勢力に抗してピン37aを軸として反時計方向に回動し、受け部材7cはピン37cを介して下方に押し下げられる(矢印i)。これにより、テープ部材4は受け部材7cによって上方から押し下げられ、カッタブレード7bとの間に挟み込まれて、導電テープ4bのみがカッタブレード7bによってカットされ、切れ目4cが形成される。
【0023】
すなわちカット部7は、導電テープ4bに基板20の貼付け部位23における貼付長さL(図4(b)参照)に対応した間隔で切れ目4cを入れて個片導電テープ4b*を形成する。切れ目4cは、個別に貼り付けられる個片導電テープ4b*(図5,図6参照)の貼付け開始位置Sに対応しており、テープ貼付け作業においては、貼付け開始位置Sを貼付け部位23の貼付け開始端部23aに位置合わせする(図5参照)。
【0024】
第1ガイドローラ8、第2ガイドローラ9の中間の、テープ部材4の水平方向(X方向)の送給経路の上方には、昇降機構14によって昇降する圧着ヘッド15が配設されている。上述のカット部7は、切れ目4cの形成位置が圧着ヘッド15の上流側の側端部15aと一致するよう配置されている。圧着ヘッド15の下方には、圧着ヘッド15と対向して下受部22が配置されており、さらに下受部22のY方向の背面側には、基板移動機構18によって基板保持テーブル19を移動させる構成の基板位置決め部3が配設されている。基板保持テーブル19は、貼付け対象の基板20を保持する。図2に示すように、基板20は2枚のガラス基板を貼り合わせた構成となっており、下面側のガラス基板が部分的に露呈した側縁部20aには、A−A矢視に示すように、部品接続用の複数の端子21aより成る複数(本実施の形態においては3つ)の電極部21が、側縁部20aの長手方向に沿って所定間隔で形成されている。
【0025】
基板移動機構18は、下からX軸テーブル18X、Y軸テーブル18Y、Zθ軸テーブル18Zθを積層して構成されており、Zθ軸テーブル18Zθの上面には基板保持テーブル19が結合されている。基板移動機構18を駆動することにより、基板20を保持した基板保持テーブル19はX方向、Y方向、Z方向およびθ方向に移動する。これにより、基板20の側縁部20aの貼付け部位23を圧着ヘッド15による貼付け作業位置に位置決めすることができる。
【0026】
すなわちY軸テーブル18Yにより基板20の側縁部20aはY方向に移動して(矢印d)圧着ヘッド15の下方に位置し、さらにZθ軸テーブル18Zθにより側縁部20aは下降し(矢印e)、これにより側縁部20aの裏面は下受部22の上端面の下受け面によって下受けされる。そして、側縁部20aの裏面を下受部22の上端面の下受け面から離間させた状態で、X軸テーブル18Xを駆動することにより、基板20の側縁部20aはX方向に移動し、側縁部20aに沿って設定された貼付け部位23を圧着ヘッド15に対向させることができる。すなわち基板移動機構18は、基板保持テーブル19を少なくとも基板20の側縁部20aに沿うX方向へ移動させる。なお、基板20の側縁部20aの裏面と下受部22の上端面の下受け面との接触による下受け動作、側縁部20aの裏面と下受部22の上端面の下受け面の離間動作は、下受部22を上下方向可動式として下受部22を上下方向に移動させて行ってもよい。
【0027】
圧着ヘッド15によるテープ貼付け動作においては、側縁部20aの上方に貼付け対象の導電テープ4bを下面側にしたテープ部材4を位置させた状態で、圧着ヘッド15を昇降機構14により下降させてテープ部材4を側縁部20aの貼付け部位に所定荷重で押圧するとともに、圧着ヘッド15に設けられたヒータ16によってテープ部材4を加熱する。これにより、個片導電テープ4b*が電極部21を覆って貼付けられる。ベースプレート2aの側端部には、カメラ25が撮像方向を下向きにして装着されており、カメラ25は電極部21に貼り付けられた後の個片導電テープ4b*を上方から撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、個片導電テープ4b*の貼り付け結果の良否が検査される。
【0028】
ここで図4を参照して、圧着ヘッド15の押圧長さと基板20の貼付け部位の貼付け長さとの関係について説明する。図4(a)に示すように、本実施の形態に示す昇降機構14には、テープ部材4を押し付ける押圧長さBの圧着ヘッド15が取り付けられている。そして図4(b)に示すように、貼付け対象となる基板20の側縁部20aにおける電極部21の配列長さ、すなわち基板20における導電テープ4bの貼付け部位23の貼付け長さLは、圧着ヘッド15の押圧長さBよりも短く、貼付け動作においては圧着ヘッド15の押圧面の一部分のみがテープ部材4に当接して押圧するようになっている。
【0029】
そして、本実施の形態においては、3つの電極部21のそれぞれに対応した第1の押圧位置P1、第2の押圧位置P2、第3の押圧位置P3に対して圧着ヘッド15を押圧することにより、各貼付け部位23に個片導電テープ4b*を順次貼り付ける。昇降機構14、圧着ヘッド15は、基板保持テーブル19に保持され側縁部20aを下受部22によって下受けされた基板20に対して、セパレータ4aに導電テープ4bが積層されたテープ部材4を圧着ヘッド15によって押圧して、個片導電テープ4b*を基板20の貼付け部位23に貼付ける貼付け手段を構成する。
【0030】
図1において、第2ガイドローラ9の中央側の側方には、剥離部17が貼付け機構2の固定位置に配設されており、剥離部17と上述の貼り付け手段との相対位置は常に同一に保持されている。剥離部17は、水平方向に送給されるセパレータ4aの下面側に位置する第1剥離ローラ17a、およびセパレータ4aの上面側に位置する第2剥離ローラ17bの2つの剥離ローラを備えおり、貼付け手段により貼付けられた個片導電テープ4b*からセパレータ4aを剥離する機能を有している。
【0031】
すなわち、図6に示すように、基板20の側縁部20aに貼付けられた個片導電テープ4b*とセパレータ4aとの間に第1剥離ローラ17aが位置する状態で、貼付け部移動機構2bを駆動して剥離部17をベースプレート2aとともに基板20に対して相対的にX方向に水平移動させることにより、テープ部材4の導電テープ4bとセパレータ4aとの界面に第1剥離ローラ17aが進入し、セパレータ4aは基板20の側縁部20aに貼付けられた個片導電テープ4b*から剥離される。第2剥離ローラ17bは剥離部17において昇降自在となっており、圧着ヘッド15によるテープ貼付け動作時には、基板20の側縁部20aに押圧される導電テープ4bが積層されたテープ部材4に対して第2剥離ローラ17bを圧着ヘッド15とともに昇降させることができる。
【0032】
このとき、テープ送り機構10によってテープ部材4を剥離部17の水平移動と同期して送ることにより、剥離されたセパレータ4aに弛みを生じることなく、剥離後のセパレータ4aを回収することができる。このセパレータ4aの送り動作において、本実施の形態に示す基板20では、圧着ヘッド15の押圧長さBに応じて必要とされるテープ送り量が、図4に示す貼付長さLよりも長くなり、結果として導電テープ4bが次の押圧位置よりも下流側まで送られてしまう。このため、本実施の形態においては、後述するように、圧着ヘッド15を次の押圧位置に移動させた後、再度テープ部材4の位置合わせをテープ巻き戻し機能を用いて行うようにしている。
【0033】
したがって、貼付け部移動機構2bは、前述の貼付け手段と剥離部17とを相互の相対位置を保持した状態で基板保持テーブル19に対して水平方向に相対移動させる相対移動手段となっている。なお、貼付け機構2において、貼付け部移動機構2bによってベースプレート2aを水平移動させる替わりに、基板移動機構18によって基板保持テーブル19をX方向に水平移動させることにより、前述の貼付け手段と剥離部17とを相互の相対位置を保持した状態で、基板保持テーブル19に対して水平方向に相対移動させるようにしてもよい。この場合には、基板移動機構18が前述の相対移動手段を構成する。
【0034】
貼付け部移動機構2b、カット部7、テープ送り機構10、昇降機構14、圧着ヘッド15、剥離部17、基板移動機構18の動作は、制御部24によって制御される。このとき、制御部24が、貼付け部移動機構2bによる基板保持テーブル19と剥離部17との相対移動と同期させてテープ送り機構10によるテープ部材の送り動作を行わせることにより前述のテープ剥離が行われ、これにより、以下に説明するテープ貼付け作業が実行される。以下、テープ貼付け装置1によって導電テープ4bを所定の貼付け長さの個片導電テープ4b*に切断して基板20の側縁部20aに形成された複数の貼付け部位23に貼付けるテープ貼付け方法について、図5〜図7を参照して説明する。
【0035】
まず図5(a)に示すように、基板保持テーブル19に保持された基板20の側縁部20aを下受部22によって下受けした状態で、貼付け機構2を移動させて圧着ヘッド15を第1の押圧位置P1に対して位置合わせするとともに、導電テープ4bの貼付け開始位置Sを第1の押圧位置P1に対応する貼付け開始端部23aに位置合わせする。次いで、図5(b)に示すように、圧着ヘッド15の側端部15aに位置するカット部7を作動させて導電テープ4bをカットして、図5(c)に示すように、切れ目4cを入れる。これにより、第1の押圧位置P1の直上には、圧着ヘッド15の上流側の側端部15aに位置合わせされた個片導電テープ4b*が形成される。次いで、図6(a)に示すように、圧着ヘッド15を下降させることにより(矢印k)、個片導電テープ4b*を第1の押圧位置P1に対して押圧し、対応する貼付け部位23(一の貼付け部位)に貼り付ける(貼付け工程)。このとき、剥離部17の第2剥離ローラ17bを圧着ヘッド15とともに下降させる。ただし、この第2剥離ローラ17bの下降動作は必須要件ではなく、省略が可能である。
【0036】
この後、第1の押圧位置P1を対象とする押圧が終了したならば、図6(b)に示すように、圧着ヘッド15を上昇させる(矢印l)。次いで第2の押圧位置P2を対象とした位置合わせが行われる。すなわち貼付け部移動機構2bを駆動することにより、図6(c)に示すように、圧着ヘッド15を含む貼付け手段と剥離部17とを一体的に基板保持テーブル19に保持された基板20に対して水平方向に相対移動させながら(矢印m)、前述のテープ案内手段を駆動してテープ部材4の送り動作を行う(矢印n)。
【0037】
そして基板保持テーブル19と剥離部17とのX方向への相対移動において、剥離部17の第1剥離ローラ17aと基板20とが相対移動することにより、基板20の側縁部20aの貼付け部位23に貼付けられた個片導電テープ4b*からのセパレータ4aの剥離が行われる。この位置合わせにより、圧着ヘッド15の側端部15aが第2の押圧位置P2の上流側の端部の直上に位置する。そしてこの状態では、次に貼付けられるべき個片導電テープ4b*の貼付け開始位置Sおよび新たに切れ目4cが形成されるべきカット位置は、本来押圧対象となる第2の押圧位置P2から下流側(図において右側)へ行きすぎた状態にあるため、このままでは導電テープ4bを正しく第2の押圧位置P2に貼り付けることができない。
【0038】
このため、導電テープ4bの貼付け開始位置Sを第2の押圧位置P2に合わせる頭出し動作が行われる。すなわち図7に示すように、テープ部材4を巻き戻すことにより(矢印o)、貼付け開始位置Sを、対応する貼付け開始端部23aに位置合わせする。これにより、導電テープ4bにおいて切れ目4cが形成されるべきカット位置は、圧着ヘッド15の側端部15aの直下に位置し、カット部7による切れ目4cの形成位置にある。そしてこの後、図5以降の各作業動作が同様に実行され、第2の押圧位置P2に対応する貼付け部位23に個片導電テープ4b*が貼り付けられる。これ以降、同様の作業動作が第3の押圧位置P3を対象として実行され、基板20を対象としてテープ貼り付け作業が終了する。
【0039】
すなわち上述のテープ貼付け方法は、一の貼付け部位23に個片導電テープ4b*を貼付ける貼付け工程と、相対移動手段である貼付け部移動機構2bを駆動して貼付け手段と剥離部17とを一体的に基板保持テーブル19に対して相対移動させながら、テープ案内手段を駆動してテープ部材4の送り動作を行うことにより、圧着ヘッド15を次の貼付け部位23に位置合わせするとともに、この相対移動過程において剥離部17によって一の貼付け部位23に貼付けられた個片導電テープ4b*からセパレータ4aを剥離する移動工程とを反復して実行する形態となっている。この移動工程においては、貼付け部移動機構2bよる上述の相対移動と同期させてテープ送り機構10によるテープ部材4の送り動作を行わせることにより、セパレータ4aの剥離と次の貼付け部位23への圧着ヘッド15の位置合わせとを同時並行的に行うことができる。したがって、テープ貼付け作業において剥離動作に要する時間を短縮することが可能となっている。
【0040】
そして図4に示す基板20のように、貼付長さLが図6(c)に示す送り動作におけるテープ送り量よりも短い場合には、テープ部材4において切れ目4cを入れるべきカット位置が、送り動作によってカット部7を一旦通過した後に、カット位置をカット部7に位置合わせするためにテープ部材4を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせるようにしている。これにより、表示パネルを作業対象とする場合において、対象となる貼付け部位23の貼付け長さLが使用される圧着ヘッド15の押圧長さBを比較して短い場合にあっても、基板20の側縁部20aにおいて電極部21が形成された部品接続範囲のみを導電テープ4bの貼付け対象として、導電テープ4bの無駄を排除しつつテープ剥離動作を効率よく行って、生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のテープの貼付け装置およびテープの貼付け方法は、貼付け長さが短い基板を作業対象とする場合にあっても、導電テープの無駄を排除しつつテープ剥離動作を効率良く行って、生産性を向上させることができるという効果を有し、表示パネルなどの基板に部品を実装するためのテープを貼付ける用途に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 テープ貼付け装置
2 貼付け機構
2b 貼付け部移動機構
3 基板位置決め部
4 テープ部材
4a セパレータ
4b 導電テープ
5 テープ供給リール
7 カット部
8 第1ガイドローラ
9 第2ガイドローラ
10 テープ送り機構
13 テープ回収部
14 昇降機構
15 圧着ヘッド
17 剥離部
18 基板移動機構
19 基板保持テーブル
20 基板
20a 側縁部
21 電極部
22 下受部
23 貼付け部位
23a 貼付け開始端部
B 押圧長さ
P1 第1の押圧位置
P2 第2の押圧位置
S 貼付け開始位置
L 貼付け長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方性導電テープを所定の貼付長さの個片導電テープに切断して基板の側縁部に形成された複数の貼付け部位に貼付けるテープ貼付装置であって、
前記基板を保持する基板保持テーブルと、セパレータに異方性導電テープが積層されて成るテープ部材をテープ供給部から基板の側縁部にその長手方向に沿って設けられた貼付け部位に案内するとともに、前記異方性導電テープが前記貼付け部位に貼付けられてセパレータ単体となったテープ部材をテープ回収部側に送り、さらにこのテープ部材を送り方向と反対側に戻す巻き戻し動作が可能なテープ案内手段と、
前記基板保持テーブルに保持され前記側縁部を下受部によって下受けされた前記基板に、圧着ヘッドによって前記テープ部材を押圧して異方性導電テープを前記貼付け部位に貼付ける貼付け手段と、
前記貼付け手段の上流側に配設され前記異方性導電テープに対して前記貼付け部位における貼付長さに対応した間隔で切れ目を入れて前記個片導電テープを形成するカット部と、前記貼付け手段により貼付けられた前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離部と、
前記貼付け手段と前記剥離部とを相互の相対位置を保持した状態で前記基板保持テーブルに対して水平方向に相対移動させる相対移動手段と、
前記相対移動手段、テープ案内手段、カット部、貼付け手段および剥離部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記相対移動手段による前記相対移動と同期させて前記テープ案内手段によるテープ部材の送り動作を行わせ、
前記貼付長さが前記送り動作におけるテープ送り量よりも短い場合には、前記異方性導電テープにおいて切れ目を入れるべきカット位置が前記送り動作によって前記カット部を一旦通過した後に、前記カット位置を前記カット部に位置合わせするために前記テープ部材を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせることを特徴とするテープ貼付け装置。
【請求項2】
基板を保持する基板保持テーブルと、セパレータに異方性導電テープが積層されて成るテープ部材をテープ供給部から基板の側縁部にその長手方向に沿って設けられた貼付け部位に案内するとともに、前記異方性導電テープが前記貼付け部位に貼付けられてセパレータ単体となったテープ部材をテープ回収部側に送り、さらにテープ部材を送り方向と反対側に戻す巻き戻し動作が可能なテープ案内手段と、前記基板保持テーブルに保持され前記側縁部を下受部によって下受けされた前記基板に、圧着ヘッドによって前記テープ部材を押圧して異方性導電テープを前記貼付け部位に貼付ける貼付け手段と、前記貼付け手段の上流側に配設され前記異方性導電テープに対して前記貼付け部位における貼付長さに対応した間隔で切れ目を入れて前記個片導電テープを形成するカット部と、前記貼付け手段により貼付けられた前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する剥離部と、前記貼付け手段と前記剥離部とを相互の相対位置を保持した状態で前記基板保持テーブルに対して水平方向に相対移動させる相対移動手段と、前記相対移動手段、テープ案内手段、カット部、貼付け手段および剥離部を制御する制御部とを備えたテープ貼付け装置によって、異方性導電テープを所定の貼付長さの個片導電テープに切断して基板の側縁部に形成された複数の貼付け部位に貼付けるテープ貼付方法であって、
一の前記貼付け部位に前記個片導電テープを貼付ける貼付け工程と、前記圧着ヘッドを上昇させた後に、前記相対移動手段を駆動して前記貼付け手段と剥離部とを一体的に前記基板保持テーブルに対して相対移動させながら前記テープ案内手段を駆動してテープ部材の送り動作を行うことにより、圧着ヘッドを次の貼付け部位に位置合わせするとともに、この相対移動過程において前記剥離部によって前記一の貼付け部位に貼付けられた前記異方性導電テープから前記セパレータを剥離する移動工程とを含み、
前記相対移動手段による前記相対移動と同期させて前記テープ案内手段によるテープ部材の送り動作を行わせ、
前記貼付長さが前記送り動作におけるテープ送り量よりも短い場合には、前記異方性導電テープにおいて切れ目を入れるべきカット位置が前記送り動作によって前記カット部を一旦通過した後に、前記カット位置を前記カット部に位置合わせするために前記テープ部材を反対側に戻す巻き戻し動作を行わせることを特徴とするテープ貼付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−256007(P2011−256007A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131694(P2010−131694)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】