説明

ディスク装置

【課題】 筐体の内部から搬出したディスクを再搬入する際に、異物と判断されることなく筐体内に確実に再搬入させることができる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 筐体の挿入口23と、ディスクDを装填する支持体21との間に検知部が設けられ、移送ユニット17で支持体21に向けて搬入されるディスクDの形状や大きさが判定される。筐体2の内部から搬出されたディスクDは、その一部が挿入口23から突出した搬出完了位置で停止する。このディスクDが引き抜かれたと検知されることなく再度搬入されるときは、検知部による形状や大きさの判定を行わない。その結果、正常なディスクが異物と判定されて搬出されることを避けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクが挿入口から挿入されて排出されるディスク装置に係り、特に、筐体内部から搬出完了位置に搬出されたディスクを筐体内部に再度搬入できるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1および特許文献2には、筐体に設けられた挿入口から挿入されたディスクが筐体の内部の所定位置に搬入されるいわゆるスロットイン方式のディスク装置が開示されている。
【0003】
これらのディスク装置では、挿入口の内側に、複数のスイッチを有する検知部が設けられており、この検知部により、挿入口からディスクが挿入されたか否かが検知される。また、挿入口から挿入されたディスクが筐体の内部に搬入すべき正規の形状および大きさのディスクであるか否かが検知され、さらには、筐体の内部から挿入口へディスクが搬出されたか否かなどが検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−176069号公報
【特許文献2】特開2002−279716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記スロットイン方式のディスク装置において、筐体の内部に収納されたディスクを挿入口に向けて搬出する動作では、搬出中のディスクが搬出完了位置に至ったと前記検知部によって判断されたときに、ディスクの搬出動作が停止する。このとき、ディスクはその一部が挿入口から突出した位置で停止し、ディスクが手で外部へ取り出されるのを待機する。搬出完了位置に停止しているディスクが所定の時間内に取り出されないと、または搬出完了位置に停止しているディスクが手で押し込まれると、ディスクが筐体内に向けて再度搬入される。
【0006】
そして再度の搬入動作においても、前記検知部によって正規の形状と大きさのディスクであるか否かの検知動作が行われる。
【0007】
しかし、搬送完了位置で停止しているディスクは、その一部が挿入口から外部に突出する不安定な支持状態であるため、この支持状態から再度ディスクが搬入されるときにディスクが上下に振れるなどして、筐体内への搬入に時間がかかることがある。このような場合に、本来は受け入れるべき正常なディスクであるにもかかわらず、異物と判断されて筐体内に搬入されない問題が生じる。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、一度筐体の内部に搬入されたディスクが搬出完了位置から再度搬入されるときに、誤って異物と判断されることなく確実に搬入される制御を行うディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、筐体に設けられた挿入口と、ディスクを前記挿入口と筐体の内部との間で移送する移送機構とを有するディスク装置において、
前記移送機構によって筐体の内部に向けて搬入されたものが規定のディスク以外の異物であるか否かを識別する識別検知部と、前記移送機構によって筐体の内部から前記挿入口に向けて搬出されるディスクが搬出完了位置に至ったか否かを検知する搬出完了検知部と、前記搬出完了位置からディスクが外部に取り出されたか否かを検知する排出検知部と、前記識別検知部と前記搬出完了検知部および前記排出検知部の検知出力を監視するとともに前記移送機構を制御する制御部とが設けられており、
前記制御部は、前記識別検知部で異物と判断されることなく筐体の内部に搬入されたディスクを再搬入可能なディスクであると判定し、再搬入が可能なディスクが搬出されて前記搬出完了位置で停止した後に、前記排出検知部によって前記搬出完了位置にあるディスクが取り出されたと判断されることなく、再度そのディスクが筐体の内部に搬入されるときに、前記識別検知部による識別動作を行なわないことを特徴とするものである。
【0010】
または、本発明は、前記識別検知部は、ディスクの搬入を開始してから所定時間以内に検知部材が動作したか否かで異物であるか否かを判断するものであり、再搬入可能なディスクが前記搬出完了位置から再度搬入されるときの前記所定時間が、新たに挿入口にディスクが挿入されたときに計測される前記所定時間よりも長く設定されるものである。
【0011】
本発明は、一度識別検知部を通過して再搬入可能なディスクと判断されたら、排出検知部において、そのディスクが取り出されたとされない限り、再搬入動作の際に、誤って異物であると判断されることがなく、確実に搬入されるようになる。
【0012】
本発明は、筐体の内部に、ディスクを装填して回転駆動する回転駆動部と、回転中のディスクに記録された情報を読み取るヘッドとが設けられており、前記識別検知部で異物と判断されることなく筐体の内部に搬入されて、さらに前記ヘッドで情報を読み取ることができたディスクが再搬入可能なディスクであると判定されることが好ましい。
【0013】
上記のように、情報の読み取りが可能なディスクを再搬入可能なディスクと判断することで、再搬入されたディスクの情報を確実に読み取れるようになる。
【0014】
本発明は、筐体の内部でディスクが所定の装填位置に至ったことを検知する装填検知部が設けられており、前記搬出完了位置で停止していた再搬入可能なディスクが筐体の内部に向けて搬入されるときに、搬入動作を開始した後の所定の監視時間以内に前記装填検知部がそのディスクを検知したら前記移送機構による搬入動作を停止する。
【0015】
本発明は、前記監視時間は、挿入口から新たなディスクが挿入されて搬入が開始されてから前記装填検知部がディスクを検知するまでの監視時間よりも長く設定されることが好ましい。
【0016】
上記の制御を行うことで、再搬入可能なディスクが搬出完了位置から再搬入されるときに、確実に所定の位置まで装填できるようになる。
【0017】
本発明は、筐体の内部に複数のディスクを収納するディスク収納領域が設けられており、前記ディスク収納領域に収納されている個々のディスクについて、再搬入が可能なディスクであるか否かの情報がメモリに保持されていることが好ましい。
【0018】
上記のように、ディスク収納領域に収納されている全てのディスクに関して再搬入可能なディスクかどうかの情報を保持しておくことで、一度搬出完了位置へ移動させたディスクをすみやかに再搬入できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のディスク装置は、一度識別検知部を通過したディスクに関して、同じ識別検知が重複して行われることがないため、一度正規なディスクと判断されたものがその後に誤って異物と判断されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す分解斜視図、
【図2】ディスク装置の平面図、
【図3】それぞれの検知部を、ディスク装置の底部側から見た部分底面図、
【図4】それぞれの検知部を備えたディスク装置を上側から見るとともに回路構成を示すブロック図、
【図5】ディスクの移送に伴うそれぞれの検知部の動作を示す部分底面図、
【図6】ディスクの移送に伴うそれぞれの検知部の動作を示す部分底面図、
【図7】ディスクが支持体に保持される位置まで装填された状態を示す平面図、
【図8】ディスクの移送動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ディスク装置1は箱型の筐体2を有している。図1において、筐体2の基準方向は、図示Z1側が下側、Z2側が上側、X1側が左側、X2側が右側、Y1側が手前側、Y2側が奥側である。また、図示X1−X2方向が横方向、Y1−Y2方向が奥行き方向である。
【0022】
筐体2は、下側から上側に向けて、下部筐体3、中間筐体4および上部筐体5が順に重ねられて組み立てられている。下部筐体3は筐体2の底面6を有し、中間筐体4は、筐体2の前面7と右側面8を有しており、前面7にディスクDが挿入され排出される挿入口23が開口している。上部筐体5は、筐体2の左側面9と後面10および天井面11を有している。
【0023】
図1に示すように、下部筐体3の底面6の上面には第1の切換え機構12が設けられている。第1の切換え機構12には、図示しない切換えモータの動力によって図示Y1−Y2方向へ駆動されるラック部材30が設けられている。
【0024】
下部筐体3では、第1の切換え機構12の上にユニット支持ベース13が設けられ、ユニット支持ベース13は、下部筐体3の底面6に設けられた複数のダンパー18によって弾性支持されている。ユニット支持ベース13には図示Y2方向へ突出する規制軸13aと図示Y1方向へ突出する規制軸13b,13bが設けられている。
【0025】
下部筐体3では、Y2側の側板の内側にロック部材54が設けられ、このロック部材54に制御穴56が形成されている。ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13aは制御穴56内に挿入されている。下部筐体3のY1側の側板の内側にもロック部材(図示せず)が設けられ、このロック部材に2つの制御穴が形成されて、ユニット支持ベース13に設けられた規制軸13b,13bが前記2つの制御穴のそれぞれに挿入されている。
【0026】
第1の切換え機構12では、ラック部材30の移動力が回動アーム35を介してロック切換えスライダ36に与えられる。このロック切換えスライダ36によって、ロック部材54および、Y1側の側板の内側に設けられた他のロック部材がX1方向またはX2方向へ移動させられる。
【0027】
ユニット支持ベース13上には、駆動ユニット14が設置されている。駆動ユニット14には、回転駆動部であるターンテーブル82とターンテーブル82を駆動するスピンドルモータが設けられている。また、駆動ユニット14は光ヘッド83を有しており、光ヘッド83は、駆動ユニット14に搭載されたスレッド機構によって、ターンテーブル82に接近する方向、及びターンテーブル82から離れる方向へ向けて移動する。このとき、光ヘッド83に設けられた対物レンズ83aが、ターンテーブル82にクランプされたディスクDの記録面に沿って移動する。
【0028】
ユニット支持ベース13には、図示Y2側の端部に垂直に立ち上がる支持軸80が設けられ、駆動ユニット14は、支持軸80を中心として水平方向へ回動できるように支持されている。図1では、駆動ユニット14が退避位置にあるが、この退避位置から矢印(a)方向へ回動すると、図2と図4および図7に示すように、ターンテーブル82が下部筐体3のほぼ中心部へ移動して、駆動ユニット14は、選択されたディスクDを回転駆動可能な駆動位置に設定される。
【0029】
駆動ユニット14は、第1の切換え機構12によって、前記退避位置から前記駆動位置へ向けて回動させられる。図1に示すように、第1の切換え機構12には、ラック部材30と共に図示Y1−Y2方向へ移動する切換えスライダ34が設けられ、この切換えスライダ34に駆動ピン33が固定されている。ラック部材30が図示Y2方向へ移動していると、切換えスライダ34が図示Y2方向へ移動し、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が、図1に示す退避位置へ回動させられて保持される。ラック部材30が図示Y1方向へ移動し、これと共に切換えスライダ34が図示Y1方向へ移動すると、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が矢印(a)方向へ回動させられて駆動位置へ移動する。
【0030】
ターンテーブル82には、ディスクDの中心穴D1をクランプするクランプ機構(クランプ手段)が搭載されている。このクランプ機構は、いわゆるセルフクランプ機構である。ターンテーブル82の中心部にはZ2方向へ突出する凸部82aが設けられており、ディスクDの中心穴D1は、この凸部82aに嵌合する。凸部82a内には3つのクランプ爪が設けられており、このクランプ爪が凸部82aの外周から半径方向へ突出し、また凸部82aに後退する。このクランプ爪は、ターンテーブル82の回転中心に対して120度の角度配置で設けられている。
【0031】
駆動ユニット14内には、クランプ動力を伝達する伝達機構が設けられ、支持軸80には前記伝達機構に連結された伝達リンクが回動自在に支持されている。前述のように、駆動ユニット14が図1に示す退避位置にある状態から、切換えスライダ34がY1方向へ移動すると、駆動ピン33によって、駆動ユニット14が(a)方向へ回動させられて、図2、図4または図7に示す駆動位置へ回動する。その後さらに、ラック部材30の駆動力で切換えスライダ34がY1方向へ移動すると、駆動ユニット14が前記駆動位置に停止した状態で、駆動ピン33により前記伝達リンクが回動させられる。この伝達リンクの回動力が前記伝達機構によりターンテーブル82の内部に伝達され、前記クランプ爪が凸部82aの外周から突出してクランプ動作完了状態となる。
【0032】
ディスクDの中心穴D1が凸部82aに嵌合している状態で、前記クランプ爪がクランプ動作完了状態になると、ディスクDの中心穴D1にクランプ爪が圧接し、ディスクDがターンテーブル82に一緒に回転できる状態にクランプされる。
【0033】
下部筐体3内には、ラック部材30のY1方向への移動位置を検知する複数の検知スイッチが設けられている。いずれかの検知スイッチにより、ラック部材30が図1に示す位置へ移動して、駆動ユニット14が退避位置にあることを検知でき、他の検知スイッチにより、ラック部材30がY1方向の所定位置へ移動し、駆動ユニット14の駆動位置への回動が完了したことを検知できる。さらに他の検知スイッチにより、ラック部材30がY1方向へ移動し、前記クランプ手段によるクランプ動作が完了したことを検知できる。
【0034】
図1に示すように、中間筐体4の上部には、底面6と平行な機構ベース15が設けられ、機構ベース15の上に第2の切換え機構16が設けられている。中間筐体4では、機構ベース15の下側で且つ前面7の内側に移送ユニット17が設けられている。
【0035】
図2、図4および図7に示すように、移送ユニット17には、移送ローラ112,113が設けられている。移送ローラ112,113は単一のローラ軸114の外周に設けられている。移送ユニット17には、移送ローラ112,113と対向する合成樹脂製の挟持部材が固定されており、移送ローラ112,113は、ばねの力で前記挟持部材に圧接されている。挿入口23から挿入されたディスクDは移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持される。
【0036】
図1に示すように、下部筐体3の底面には支持軸17aが垂直に固定されており、移送ユニット17のX1側の端部は、支持軸17aに回動自在に支持されている。図1と図2では、移送ユニット17が前面7の内側に沿う待機位置にある。待機位置にある移送ユニット17は、図2に示すように、筐体2内に収納されているディスクDの外周縁の外側に位置している。
【0037】
図1に示すように、第2の切換え機構16には、円弧状の駆動部材37が設けられ、機構ベース15上に設けられた第2の移送モータM2の動力で、駆動部材37がその長手方向に向けて円弧軌跡で移動する。機構ベース15上には回動リンク38が回動自在に支持されている。駆動部材37がY2方向へ向けて移動すると、この駆動部材37の移動力によって、回動リンク38が反時計方向へ回動させられる。このときの回動リンク38の回動力によって、移送ユニット17が、支持軸17aを支点として(b)方向へ回動させられる。移送ユニット17は図4に示す移送動作位置まで回動する。
【0038】
図1に示す下部筐体3内には、第1の移送モータM1が設けられている。支持軸17aには伝達歯車17bが回転自在に支持されており、第1の移送モータM1により伝達歯車17bが回転させられる。この伝達歯車17bの回転力は、移送ユニット17内のローラ軸114に伝達されて、移送ローラ112,113が回転駆動される。第1の移送モータM1とローラ軸114と移送ローラ112,113ならびに挟持部材で移送機構が構成されている。
【0039】
なお、第1の移送モータM1と第2の移送モータM2は、図4において、簡易的にブロック図で記載している。
【0040】
図1に示すように、上部筐体5の、左側面9と後面10および天井面11で囲まれた領域がディスク収納領域20となっており、ディスク収納領域20には、複数の支持体21が、その厚み方向であるZ1−Z2方向に並べられて設けられている。この実施の形態では、支持体21が6枚設けられている。
【0041】
上部筐体5には支持体選択手段22が設けられている。支持体選択手段22は3箇所に設けられたスクリュー軸であり、それぞれが天井面11に回動自在に支持されている。そして、複数の支持体21のそれぞれは、支持体選択手段22のスクリュー溝に摺動自在に嵌合している。図示しない選択モータによって各支持体選択手段22が同期して回転駆動されると、前記スクリュー溝によって、それぞれの支持体21が図示Z1−Z2方向へ移動して支持体21の選択動作が行われる。選択された支持体21は、挿入口23とほぼ同じ高さの選択位置に設定され、選択位置にある支持体21とその下に位置する支持体21との間に大きな隙間が形成される。
【0042】
挿入口23から挿入されて筐体2内に搬入されたディスクDは、選択位置にある支持体21の下面に設置される。図2と図4に示すように、それぞれの支持体21の下面には保持爪41,42,43が設けられている。保持爪41,42,43は、支持体21に回動自在に支持されており、その回転中心は、それぞれの支持体選択手段22の回転中心に一致している。それぞれの保持爪41,42,43はばねにより支持体21の中心部に向かって突出するように付勢されており、ディスクDは、支持体21の下面と保持爪41,42,43とで保持される。筐体2内には、図示しない保持解除機構が設けられており、選択位置に移動した支持体21の保持爪41,42,43が保持解除機構に対向する。選択位置に移動した支持体21の下面のディスクDがターンテーブル82にクランプされると、前記保持解除機構により保持爪41,42,43が回動させられ、保持爪41,42,43がディスクDと重ならない位置に退避し、ディスクDと支持体21とが分離される。
【0043】
ディスク装置1は、直径が12cmであって欠損部などが存在していない正常なディスクDのみを筐体2の内部に受け入れる。また、それ以外の径の小さいディスクや周囲に凹凸のあるディスク、あるいはカードなどは異物として挿入口23から排出される。正常な形状で正常な大きさのディスクとして搬入できるのは、CD(コンパクト・ディスク)、CD−ROM、DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などである。
【0044】
図7に示すように、選択位置にある支持体21の奥側で且つ図示X1側には、装填検知部であるフォトセンサ(フォトカプラ)401が設けられている。図7に示すように、下部筐体3の底面6に垂直に固定された軸402aに装填検知部材402が回動自在に支持されている。装填検知部材402は、図示しない復帰ばねにより常に時計方向に付勢されている。支持体21内にディスクDが装填されていない状態では、装填検知部材402の腕部402Aの遮光突出部402A1が、フォトセンサ401の検知部401a内に位置している。よって、フォトセンサ401の光が遮られて受光部で検知されず、図4に示す制御部302は、フォトセンサ401がディスクDを検知していない状態であると認識する。直径が12cmの正常なディスクDが、選択位置にある支持体21に装填されると、そのディスクDによって腕部402Bが押されて、装填検知部材402が反時計方向へ回動させられ、遮光突出部402A1が検知部401a内から抜け出て、フォトセンサ401の受光部が光を検知できるようになる。このとき、制御部302は、選択位置にある支持体21に正常なディスクDが装填されたと判断する。
【0045】
なお、図2と図4に示されているように、それぞれの支持体21に回動自在に支持されている保持爪41が装填検知部材402の代わりとして使用され、支持体21が選択位置へ移動して停止すると、保持爪41に設けられた遮光突出部402A1が、フォトセンサ401の検知部401a内に対向する構造であってもよい。
【0046】
平面図である図2および図4と部分底面図である図3に示すように、移送ユニット17には、挿入検知部および排出検知部として機能する右側光学検知器F1と左側光学検知器F2とが設けられている。図2、図3および図4には、挿入口23の幅寸法を二分して前後方向(Y1−Y2方向)に延びる中心線Oaが示されている。右側光学検知器F1と左側光学検知器F2は、中心線Oaから左右に同じ距離を開けて配置されている。それぞれの光学検知器F1,F2は、第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113との間に位置している。光学検知器F1,F2は、移送ユニット17のユニット枠に支持されており、移送ローラ112,113で搬送されるディスクDを挟んで一方の側に位置する発光素子と、他方の側に位置する受光素子とを有している。
【0047】
図2に示すように、移送ユニット17が待機位置にあるとき、光学検知器F1,F2は、ローラ軸114と挿入口23との間に位置する。挿入口23からディスクDが挿入される前の待機状態では、光学検知器F1,F2の発光素子から発せられる検知光が受光素子で受光されている。挿入口23からディスクDが挿入されると、その挿入方向に向く前縁部が第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113に当たる前に、このディスクDによって光学検知器F1,F2の検知光が遮られ、受光素子が光を受光しなくなる。
【0048】
待機状態から光学検知器F1と光学検知器F2の少なくとも一方において光が遮られると、図4に示す制御部302において、挿入口23からディスクDが挿入されたと判断され、図4に示す第1の移送モータM1が始動し、ローラ軸114がディスクを搬入できる方向へ回転させられる。ディスクDが第1の移送ローラ112と第2の移送ローラ113と当たる位置まで挿入されると、ディスクDの挿入側の先端部が、両移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持され、ローラ軸114の回転力によって、ディスクDが筐体2の内部に搬入される。
【0049】
図3に示すように、筐体2の前面7の内側には、機構式の移送検知機構200が設けられている。
【0050】
移送検知機構200は、筐体2の前面7の内側に固定された移送検知基板201と、ディスクDの筐体2内での位置に対応して、中心線Oaと直交する方向へ移動する移動検知手段202とを有している。
【0051】
移送検知基板201は、表面にフレキシブルプリント基板が取り付けられた金属板である。移送検知基板201のX2側の端部に設けられた固定部201Aは直角に折り曲げられ、筐体2の前面7の内面にねじで固定されている。移送検知基板201には、中心線Oa上に位置する固定部201Bが直角に折り曲げられており、この固定部201Bも、筐体2の前面7の内面にねじで固定されている。
【0052】
図3と図4に示すように、移送検知基板201には、機構式の検知スイッチL1,R1,R2,R3が固定されている。検知スイッチL1,R1,R2,R3は、それぞれ接触動作部L11,R11,R21,R31を有している。それぞれの検知スイッチの端子は、移送検知基板201の表面に固定されたフレキシブルプリント基板の配線パターンに接続されており、それぞれの検知スイッチの検知出力は、前記配線パターンを介して図4に示すCPUなどで構成された制御部302に与えられている。
【0053】
同様に、挿入検知部と排出検知部として機能する光学検知器F1,F2で検知された検知出力と、図7に示す装填検知部として機能するフォトセンサ401の検知出力も制御部302に与えられる。
【0054】
移送検知機構200を構成する検知スイッチのうちの、検知スイッチL1とR1および検知スイッチR3が、正常な形状で正常な大きさのディスクであるか異物であるかを検知する識別検知部として機能する。また、検知スイッチR2は、搬出されるディスクが搬出完了位置に至ったか否かを検知する搬出完了検知部として機能する。
【0055】
図3と図4に示すように、移動検知手段202は、中心線OaよりもX2側に位置する右側移動部材202Aと、中心線OaよりもX1側に位置する左側移動部材202Bを有している。
【0056】
右側移動部材202Aは金属板で形成されており、筐体2の前面7の内側において、中心線Oaと直交する向きであるX1−X2方向へ摺動自在に支持されている。左側移動部材202Bも、筐体2の前面7の内側において、X1−X2方向へ摺動自在に支持されている。
【0057】
右側移動部材202Aには切換え部材204Aが固定されている。切換え部材204Aは金属板で形成されており、この切換え部材204Aが、中心線OaよりもX2側に位置している検知スイッチR1,R2,R3の接触動作部R11,R21,R31を押圧することで、検知スイッチR1,R2,R3が順に切換えられる。左側移動部材202Bにも、金属板で形成された切換え部材204Bが固定されている。中心線OaよりもX1側に位置している検知スイッチL1の接触動作部L11が切換え部材204Bで押されることで、検知スイッチL1が切換えられる。
【0058】
右側移動部材202Aには、検知部材である検知ピン203Aが固定されており、左側移動部材202Bには、検知部材である検知ピン203Bが固定されている。検知ピン203Aと検知ピン203Bは、挿入口23の内側で、挿入口23を上下方向(Z1−Z2方向)に横断するように配置されている。右側移動部材202Aと左側移動部材202Bは、いずれも中心線Oaに向かう方向へばねで付勢されており、検知ピン203Aと検知ピン203Bに外力が作用していないとき、検知ピン203Aと検知ピン203Bの距離が最短になる。このとき、検知ピン203Aと中心線Oaとの距離と、検知ピン203Bと中心線Oaとの距離が等しい。このときの、検知ピン203Aと検知ピン203Bとの距離は、ディスクDの直径である12cmよりも十分に短い。
【0059】
次に、このディスク装置1の動作を説明する。
図8に示すフローチャートでは、ディスク装置1が動作しているときの制御部302による制御ステップがS1,S2,・・・で示されている。
【0060】
ディスク装置1へのディスクDの挿入を待機する待機モードでは、駆動ユニット14が図2において破線で示すように退避位置であり、移送ユニット17は図2において実線で示すように待機位置にある。外部からの操作でディスクDを装填しようとする支持体21の番号を指定すると、スクリュー軸である支持体選択手段22が動作して、支持体21がZ1−Z2方向へ移動させられて、番号で指定された空の支持体21が挿入口23と同じ高さの選択位置に移動して停止する。
【0061】
その後、図1に示す第1の切換え機構12が動作し、駆動ユニット14が時計方向へ回動して、駆動ユニット14は図2において実線で示す駆動位置に至る。
【0062】
待機モードでは、図3に示すように、右側移動部材202Aと左側移動部材202Bが、共に中心線Oaに接近しており、検知スイッチL1,R1,R2,R3の動作状態は(ON,ON,OFF,OFF)となっている。
【0063】
(ディスク搬入動作)
図2に示す待機モードにおいて、挿入口23からディスクDなどが挿入されて(図8のS1)、挿入検知部および排出検知部として機能する光学検知器F1とF2の少なくとも一方が検知状態になると(S2)、S3において、制御部302からの指令で第1の移送モータM1が始動し、ローラ軸114がディスクDを搬入するディスク搬入方向へ回転し始める。ディスクDなどは、回転する移送ローラ112,113と挟持部材とで挟持されて筐体2の内部に向けて搬入され始める。
【0064】
図5に示すように、直径が12cmの正規のディスクDが筐体2内に搬入されると、ディスクDの外周縁が検知ピン203Aと検知ピン203Bの双方に当たる。ディスクDによって切換え部材204AがX2方向へ移動させられて、切換え部材204Aが検知スイッチR1の接触動作部R11から離れ、検知スイッチR1がONからOFFに切換わる。また、ディスクDによって切換え部材204BがX1方向へ移動させられ、切換え部材204Bが、検知スイッチL1の接触動作部L11から離れて、検知スイッチL1がONからOFFに切換わる。
【0065】
ただし、挿入口23から挿入されたのが、直径が8cmの小径ディスク、または直径が8cmよりもさらに小さいディスク、あるいはX1−X2方向の幅寸法が8cm以下であるカードなどの異物であると、検知ピン203Aと検知ピン203Bが一緒に大きく動かされることがなく、検知スイッチR1と検知スイッチL1が一緒にOFFに切換わることはない。
【0066】
図4に示す制御部302では、S2において、光学検知器F1とF2の少なくとも一方が検知状態となって移送ユニット17による搬送が開始されたら時間の計測を開始し、S4において、予め決められた第1の規定時間以内に検知スイッチR1と検知スイッチL1が共にOFFとなったら、搬入動作を継続する。一方、第1の規定時間以内に検知スイッチR1と検知スイッチL1が共にOFFにならなかったら、挿入されたのが異物であると判断し、S5に移行して、第1の移送モータM1を逆転させて、排出動作を行う。
【0067】
S4の後に搬入動作が継続し、正規のディスクDが筐体2内に送り込まれると、切換え部材204Aと切換え部材204Bが互いに離れる方向へ移動し、切換え部材204Aによって、検知スイッチR2がONに切換えられ、さらに、図6に示すように、検知スイッチR3がOFFからONに切換えられる。
【0068】
検知スイッチR3は、検知ピン203Aと検知ピン203BのX1−X2方向の間隔が12cmまで広がると、切換え部材204AでONに切換えられるが、間隔が12cm未満のときはONに切換えられない位置に設定されている。よって、搬入されているのが直径が12cmの正規のディスクのときは、検知スイッチR3がONに切換えられるが、直径が12cmに満たないディスクなどが搬入されているときは検知スイッチR3がONに切換えられない。
【0069】
図8に示すS6では、S2においてディスクなどの挿入が検知されてから時間を計測し、予め決められた第2の規定時間が経過する前に、検知スイッチR3がONに切換わったら、制御部302は正規のディスクDが搬入されていると判断する。一方、S6において第2の規定時間を経過しても検知スイッチR3がONに切換わらないときは、異物を搬入していると判断し、S5に移行して、第1の移送モータM1を逆転させ、移送ローラ112,113をディスク搬出方向へ回転させて排出動作に移行する。
【0070】
識別検知部である検知スイッチR1,L1および検知スイッチR3を使用した検知動作では、図8のS4において、直径が8cmまたはそれ以下のディスクなどが異物として判断されて排出され、S6において直径が12cmに満たないディスクなどが異物と判断されて排出される。よって、制御部302では、S4を通過しさらにS6を通過したときに、搬入中のものが直径が12cmの正規のディスクであり再搬入可能なディスクであると判断し、制御部302内のメモリにその履歴を記録する。
【0071】
S6において、搬入されているのが正規のディスクDであると判断されると、S7に移行する。S7では、制御部302の動作指令によって、第2の移送モータM2が駆動されて、図1に示す第2の切換え機構16の駆動部材37がY2方向へ向けて移動させられ、この駆動部材37の移動力によって、回動リンク38が反時計方向へ回動させられて、移送ユニット17が(b)方向へ回動して図4に示す移送動作位置に至る。
【0072】
移送ユニット17が図4に示す移送動作位置に至って停止した後も、第1の移送モータM1が動作し続け、ローラ軸114のディスク搬入方向への回転動作を継続する。ディスクDが、選択位置に停止している支持体21の下面に沿って供給され、図2において(i)で示す装填完了位置に至る。装填完了位置(i)に至ったディスクDは、選択位置の支持体21の下面と3個の保持爪41,42,43との間で保持される。
【0073】
ディスクが装填完了位置(i)まで搬入されると、ディスクDの外周縁によって、図7に示すディスク装填検知部材402が反時計方向へ回動させられ、遮光突出部402A1が、装填検知部であるフォトセンサ401の検知部401a内から抜け出てディスクDを検知した状態となる。
【0074】
図8に示すS8では、S2においてディスクなどの挿入が検知されたときを起点として時間の計測を開始し、所定の監視時間以内にフォトセンサ401がディスクDを検知したら、正規のディスクDの装填が完了したと判断する。また、S8において監視時間以内にフォトセンサ401がディスクDを検知できないときは、ディスクの搬送異常であると判断し、S5に移行してディスクの排出を行う。
【0075】
図2と図4および図7に示すように、選択位置にある支持体21の下面にディスクDが正常に装填されると、ディスクDの中心穴D1がその下に位置するターンテーブル82の真上に位置する。
【0076】
(ディスククランプ動作及びディスク駆動動作)
直径が12cmの正規のディスクの装填が完了すると、図8のS9において、移送ローラ112,113と挟持部材とでディスクDが挟持された状態で、駆動ユニット14が上昇させられて、ターンテーブル82が、選択位置の支持体21の下面に支持されているディスクDの中心穴D1内に下から入り込む。そして、前記クランプ機構が動作し、クランプ爪によってディスクDの中心穴D1がターンテーブル82にクランプされる。
【0077】
ディスクDがターンテーブル82にクランプされると、移送ローラ112,113がディスク搬入方向に回転しながら、移送ユニット17が図4に示す位置から時計方向へ回動して図2に示す待機位置に移動し、移送ローラ112,113がディスクDから外れる。また、図示しない保持解除機構によって3個の保持爪41,42,43が回動させられて、保持爪41,42,43がディスクDの下面から外れる。
【0078】
そして、駆動ユニット14が下降し、ユニット支持ベース13がダンパー18で弾性支持されている状態で、ターンテーブル82が回転してディスクDが回転駆動され、光ヘッド83によって記録情報の再生動作または記録動作が行われる。
【0079】
選択位置の支持体21の下にディスクDが装填された後に、このディスクDを、図1に示すディスク収納領域20に収納することができる。または、再生動作や記録動作が完了したディスクをディスク収納領域20に収納することも可能である。ディスクDをディスク収納領域20に収納するときは、駆動ユニット14が上昇し、ターンテーブル82によって、選択位置にある支持体21の下面にディスクDが押し付けられる。そして、保持爪41,42,43が回動させられて、支持体21の下面と保持爪41,42,43との間にディスクDが保持される。
【0080】
そして、駆動ユニット14が図2において破線で示す退避位置へ移動させられ、その後に、支持体選択手段22が動作して、ディスクDがディスク収納領域20に収納される。
【0081】
制御部302では、ディスク収納領域20内のどの支持体21にディスクDが保持されているかがメモリに記憶される。ディスク収納領域20に収納されているディスクDは、図8に示すS4とS6において正規のディスクであると判定されたものであるため、メモリに記憶されているディスクDは、全て正規のディスクであり再搬入可能なディスクである。
【0082】
(ディスク排出動作)
S10において、再生動作や記録動作を完了したディスクDを挿入口23に搬出するとき、ターンテーブル82でディスクDがクランプされた状態で、ローラ軸114をディスクの搬出方向へ回転させながら、移送ユニット17を図4に示す移送動作位置まで回動させる。これにより、移送ローラ112,113と挟持部材とでディスクDが挟持される。その後に、ターンテーブル82によるディスクDのクランプが解除され、駆動ユニット14が下降させられて、ターンテーブル82がディスクDの中心穴D1から離れる。その後、移送ローラ112,113がディスク搬出方向へ自転しながら、移送ユニット17が図2に示す待機位置へ向けて回動する。ディスクDは、移送ローラ112,113の回転力と移送ユニット17の回動力との双方の力によって挿入口23から排出される。
【0083】
ディスク収納領域20内のいずれかのディスクを排出するときは、支持体選択手段22のスクリュー軸を回転させて、排出しようとするディスクDを保持した支持体21を選択位置に移動させる。次に、駆動ユニット14を図4に示す駆動位置に回動させるとともに上昇させ、ターンテーブル82でディスクDを支持体21の下面に押し付ける。そして、移送ユニット17を図4に示す移送動作位置まで回動させ、移送ローラ112,113と挟持部材とでディスクDを挟持し、ディスクDを挿入口23に向けて搬出する。
【0084】
移送ユニット17によってディスクDが筐体2の内部から挿入口23へ向けて排出されると、移送検知機構200では、ディスクDの外周縁によって検知ピン203A,203Bが押し開かれて、まず検知スイッチR1,L1がONからOFFに切換えられる。その後に、検知スイッチR2とR3が、順にONに切換えられる。さらに、ディスクDの中心が移送検知機構200の上を通過した後に、検知スイッチR3が先にOFFになり、さらに搬出完了検知部である検知スイッチR2がOFFに切換わる。
【0085】
図8に示すS11では、搬出動作を開始した後に、検知スイッチR2が一度ONになりその後OFFになったと判断したら、搬出されているディスクDが搬出完了位置に至ったと判断し、第1の移送モータM1を停止して、ディスクの搬出動作を停止する。
【0086】
図2の(ii)は搬出完了位置に停止したディスクDを示している。搬出完了位置(ii)に停止しているディスクDは、Y2側の先部が、移送ローラ112,113と挟持部材とで保持されており、他の部分は、挿入口23から外部に突出している。搬出完了位置(ii)のディスクDは、回転が停止した移送ローラ112,113と挟持部材とで保持されているため、筐体2の外部に容易には落下しない。また、搬出完了位置(ii)で停止しているディスクDは、搬出検知部である光学検知部F1とF2を遮っており、光学検知器F1,F2の受光部は光を検知しない状態である。
【0087】
図8のS12では、ディスクDが搬出完了位置に至ったと判断されて、S11においてローラ軸114の搬出動作が停止したときを起点として時間を計測し、その後に第3の規定時間が経過する前に、排出検知部である光学検知器F1,F2が共にディスクを検知しない状態に切換わったか否かを監視する。第3の規定時間が経過する前に、光学検知器F1,F2が共にディスクを検知しない状態に切換わったら、ディスクDが手で取り出されたと判断し、S1に戻り、次のディスクの挿入を待機する。
【0088】
(再搬入動作)
S12において、第3の規定時間を経過しても、光学検知器F1,F2がディスクDを検知し続けていたら、ディスクDが取り出されていないと判断し、S13に移行して再搬入動作に移行する。再搬入動作では、S3に戻って、第1の移送モータM1を始動してディスクの搬入を開始する。また、S12において、第3の規定時間を経過するまでの間に、ディスクDが筐体2の内部に向けて押されるなどして、切換え部材204AがX2方向へ移動し、検知スイッチR2が再度ONになったときも、S13に移行して、ディスクの再搬入動作を行う。
【0089】
ディスクDの再搬入動作では、ディスクDが選択位置にある支持体21の下面まで搬入される。この場合に、S8においてディスクが装填されたと判断された時点で全ての動作を停止させる。あるいはS9に移行してディスクDの再生動作を再開してもよい。
【0090】
S13の再搬入動作では、搬出完了位置(ii)に停止しているディスクが、メモリにおいて再搬入可能な正規のディスクであると記憶されているか否かを判定する。再搬入可能なディスクであると記憶されている場合は、その再搬入動作において、制御部203で、図8に示すS4とS6による異物判定を行わない。すなわち、S4において、第1の規定時間以内に検知スイッチL1,R1がともにOFFにならなくても搬入動作を継続し、S6において、第2の規定時間以内に検知スイッチR3がOFFにならなくても、搬入動作を継続する。
【0091】
そして、その後のいずれかの時刻で検知スイッチR3がONになった時点で、第2の移送モータM2を始動して、移送ユニット17を図4に示すように(b)方向へ回動させて、搬入動作を継続する。
【0092】
または、再搬入可能であると判定されたディスクDを再搬入するときに、S4において監視する第1の規定時間を、新たなディスクの搬入動作のときの第1の規定時間よりも長く設定し、S6における第2の規定時間を、新たなディスクの搬入動作のときの第1の規定時間よりも長く設定してもよい。
【0093】
S13における再搬入動作は、図2において(ii)で示されるように、ディスクDのY2側の先部が移送ローラ112,113で挟持された片持ち状態の不安定な姿勢から開始される。そのため、手で保持された新たなディスクが挿入されたときと異なって、ディスクDの姿勢が安定せず、ディスクDが上下に揺れながら送り込まれていくことがある。そのために、S4において、検知スイッチL1,R2がともにOFFになるまでの時間が長くかかったり、S6において、検知スイッチR3がONに切換わるまでの時間が長くかかることがある。このような場合であっても、既に正規のディスクであると判断されていれば、S4やS6において第1の規定時間や第2の規定時間を無視し、または第1の規定時間と第2の規定時間を長く設定することで、正規のディスクが異物と判断されることなく搬入されるようになる。
【0094】
また、S13のディスクの再搬入動作に移行したときは、S8において、S2から、フォトセンサ401がディスクを検知するまでを監視する監視時間を、新たなディスクを搬入するときよりも長く設定しておく。これにより、再搬入のディスクDが選択位置の支持体21の下に再装填されるまでの時間が長くなっても、誤って異物として搬出されることを防止できる。
【0095】
なお、ディスク収納領域20に収納されていたことがメモリに記憶されていたディスクDを選択して搬出するときも、搬出完了位置(ii)で停止したディスクが、引き抜かれることなく、再搬入動作に移行するときは、同じように、第1の規定時間と第2の規定時間を無視し、またはこれらの時間を長く設定する。
【0096】
また、搬入動作の際にS4とS6のステップで異物ではないと判断されたディスクであっても、S9におけるディスクの再生動作や記録動作において、正常な再生や記録が行われなかったディスクは、再搬入可能なディスクであると判定しないように構成することも可能である。この場合に、再生や記録が正常に行えなかったディスクは、S13の再搬入のときに、S4とS6のステップにおいて新たなディスクと同様にして第1の規定時間と第2の規定時間を判定する。
【0097】
搬入動作時に、S4とS6で正規の形状のディスクと判断され、S9において正常な記録や再生が行われたディスクは、再搬入可能なディスクと判定される。この場合の、S13の再搬入動作では、第1の規定時間と第2の規定時間が無視され、または長く設定される。
【0098】
なお、本発明は、ディスク収納領域20を有するディスク選択式ディスク装置に限られず、1枚のディスクのみが装填されるディスク装置においても同様にして実施できる。
【符号の説明】
【0099】
1 ディスク装置
2 筐体
14 駆動ユニット
17 移送ユニット
21 支持体
23 挿入口
82 ターンテーブル
112,113 移送ローラ
114 ローラ軸
302 制御部
401 フォトセンサ(装填検知部)
F1,F2 光学検知器(排出検知部)
L1,R1,R3 検知スイッチ(識別検知部)
R2 検知スイッチ(搬出完了検知部)
Oa 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設けられた挿入口と、ディスクを前記挿入口と筐体の内部との間で移送する移送機構とを有するディスク装置において、
前記移送機構によって筐体の内部に向けて搬入されたものが規定のディスク以外の異物であるか否かを識別する識別検知部と、前記移送機構によって筐体の内部から前記挿入口に向けて搬出されるディスクが搬出完了位置に至ったか否かを検知する搬出完了検知部と、前記搬出完了位置からディスクが外部に取り出されたか否かを検知する排出検知部と、前記識別検知部と前記搬出完了検知部および前記排出検知部の検知出力を監視するとともに前記移送機構を制御する制御部とが設けられており、
前記制御部は、前記識別検知部で異物と判断されることなく筐体の内部に搬入されたディスクを再搬入可能なディスクであると判定し、再搬入が可能なディスクが搬出されて前記搬出完了位置で停止した後に、前記排出検知部によって前記搬出完了位置にあるディスクが取り出されたと判断されることなく、再度そのディスクが筐体の内部に搬入されるときに、前記識別検知部による識別動作を行なわないことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記識別検知部は、ディスクの搬入を開始してから所定時間以内に検知部材が動作したか否かで異物であるか否かを判断するものであり、
再搬入可能なディスクが前記搬出完了位置から再度搬入されるときの前記所定時間が、新たに挿入口にディスクが挿入されたときに計測される前記所定時間よりも長く設定される請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
筐体の内部に、ディスクを装填して回転駆動する回転駆動部と、回転中のディスクに記録された情報を読み取るヘッドとが設けられており、
前記識別検知部で異物と判断されることなく筐体の内部に搬入されて、さらに前記ヘッドで情報を読み取ることができたディスクが再搬入可能なディスクであると判定される請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
筐体の内部でディスクが所定の装填位置に至ったことを検知する装填検知部が設けられており、
前記搬出完了位置で停止していた再搬入可能なディスクが筐体の内部に向けて搬入されるときに、搬入動作を開始した後の所定の監視時間以内に前記装填検知部がそのディスクを検知したら前記移送機構による搬入動作を停止する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記監視時間は、挿入口から新たなディスクが挿入されて搬入が開始されてから前記装填検知部がディスクを検知するまでの監視時間よりも長く設定される請求項4記載のディスク装置。
【請求項6】
筐体の内部に複数のディスクを収納するディスク収納領域が設けられており、前記ディスク収納領域に収納されている個々のディスクについて、再搬入が可能なディスクであるか否かの情報がメモリに保持されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−262699(P2010−262699A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112623(P2009−112623)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】