説明

デジタル内空変位計

【課題】従来測定が困難であった場所でも比較的容易に測定可能なデジタル内空変位計を提供する。
【解決手段】坑道等の内部空間の長さ測定を行うデジタル内空変位計であって、比較的小形の本体部2と、本体部に接続された更に小形のセンサユニット4と、センサユニットからの測定データを表示するデジタル表示器6とを備え、本体部内部に比較的大きな径部17wと比較的小さな径部17nをもつ回転軸17と、複数個の一定の引っ張り張力を発生する複数個の張力発生器19−1〜19−4とを有し、回転軸大径部にはN極及びS極が所定の周期で交互に着磁された磁気テープ8が巻かれており、回転軸小径部には各々の張力発生器からの帯状スプリングが巻かれており、長さ測定時には複数個の張力発生器からの一定の引っ張りトルクが前記回転軸の比較的小さな径部に加わって磁気テープは一定の張力で引っ張られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル内空変位計に関する。更に具体的には、予め坑道等の壁面に打ち込まれたピンとピンの間の長さを測定して、経時的な長さの変化を求めるデジタル内空変位計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、トンネルの坑道等の高さ、幅等の長さ(寸法)を測定する場合、予め坑道等に打ち込まれたピン−ピン間をバーニア(副尺)付きの巻き尺を使用して寸法測定していた。バーニアは、例えば、ノギス等に具備されている本尺、主尺(メインスケール)の目盛端数を正確に知るための補助尺である。多くの場合、主尺の9/10或いは19/20の間隔で目盛が振られており、測定点にバーニアのゼロ点を合せて主尺の目盛とバーニアの目盛が一致した場所を読取ることによって、1/10或いは1/20の単位を測定するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トンネルの坑道の高さ、幅等の長さを測定する場合、坑道の測定場所によっては腰を屈めたり、横になったりして、窮屈な姿勢で測定しなければならない場合がある。バーニア付きの巻き尺で測定値を読み取る場合、巻き尺の測定値表示箇所に対して正面から向き合って読み取る必要があるが、測定場所によっては測定値表示部に対して正面から向き合う姿勢をとることが出来ない場合がある。また、坑道等の内部は暗く、計測作業時にはランプを使用している。ランプの光線が金属製のバーニア付きの巻き尺で反射して、測定値を読み取ることが非常に難しい。
【0004】
また、経験的に言えば、同じ箇所をバーニア(副尺)付きの巻き尺を使用して測定した場合、計測員によって0.3mm程度のバラツキが生じている。
【0005】
これらの事情により、坑道等の長さを正確に測定するには、熟練した計測員が必要であり、また非常に長い時間を要しているのが実情である。
【0006】
従って、坑道等の計測員からは、計測経験が浅くても正確な計測が可能であり、測定値の読み取りが容易であり、坑道等に立てたピンがどんな場所でもピン−ピン間の正確な測定が可能であり、測定装置自体がコンパクトで携帯容易であり、出来れば片手で操作可能であり、測定時にはメジャーが一定の張力で張られて常に正確な寸法測定が可能であり、測定精度の校正が容易であり、メジャー自体を装置本体に素早く収納することが出来るような巻き尺の実現が望まれていた。
【0007】
なお、本発明に係るデジタル内空変位計は、基本的機能は、測定値をデジタルデータとして処理する巻き尺に相当する。しかし、トンネルの坑道等の保守、修理、保安等のため、予め坑道等の内壁にピンを打ち込み、ピン−ピン間の長さ(内部空間)を所定の期間毎に測定し、その長さの変化から各ピンの位置の変位求めることが行われている。従って、このような業務に使用される計測器を「内空変位計」と称し、測定値をデジタルデータで処理する場合を「デジタル内空変位計」と称する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、従来測定が困難であった場所でも比較的容易に測定可能なデジタル内空変位計を提供することを目的とする。
【0009】
更に、本発明は、測定者によって比較的バラツキが少ないデジタル内空変位計を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的に鑑みて、本発明に係るデジタル内空変位計は、坑道等の内部空間の長さ測定を行うデジタル内空変位計であって、比較的小形の本体部と、前記本体部に接続された、更に小形のセンサユニットと、前記センサユニットからの測定データを表示するデジタル表示器とを備え、前記本体部は、内部に、比較的大きな径部と比較的小さな径部をもつ回転軸と、複数個の一定の引っ張り張力を発生する複数個の張力発生器とを有し、前記回転軸の比較的大きな径部には、N極及びS極が所定の周期で交互に着磁された磁気テープが巻かれており、該磁気テープは前記本体部から引き出される際に前記センサユニットの近傍を通過し、該センサユニットは該磁気テープの相対的移動量を計測処理し、前記回転軸の比較的小さな径部には、各々の前記張力発生器からの帯状スプリングが巻き付いており、長さ測定時に、前記複数個の張力発生器からの一定の引っ張りトルクが前記回転軸の比較的小さな径部に加わって、前記磁気テープは一定の張力で引っ張られ、測定終了後は、前記張力発生器から前記回転軸に加わる回転により、前記磁気テープが前記回転軸の比較的大きな径部に素早く自動的に巻き取られて前記本体部に収納される。
【0011】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記本体部は、手提げグリップ部を有し、携帯可能であってよい。
【0012】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記磁気テープの先端部には第1のピン係合部が設けられ、前記本体部から延在するシャフトの先端部には第1のピン係合部が設けられ、予め、坑道等の内壁に打ち込まれた一方ピンに対して第1のピン係合部を係合し、他方のピンに対して第1のピン係合部を係合して、ピン−ピン間の長さを測定してもよい。
【0013】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記本体部の前記回転軸の比較的小さな径部の周囲に、4個の前記張力発生器が配置されていてもよい。
【0014】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記デジタル内空変位計は、絶対値計測及び増分値計測のいずれも可能であってよい。
【0015】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記センサユニットは、磁気抵抗素子のブリッジ回路をもつセンサヘッドを有し、該センサヘッドは近傍を相対的に移動する前記磁気テープの着磁状態を感知して移動量を計測してもよい。
【0016】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記センサユニットは、記憶装置を有する制御部を有し、前記第1及び第2のピン係合部間の正確な長さを初期値として該記憶装置に記録でき、絶対値計測が出来るようにしてもよい。
【0017】
更に、上記デジタル内空変位計では、前記回転軸は、前記磁気テープを手動で巻き取る巻き戻しハンドルを有していてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来測定が困難であった場所でも比較的容易に測定可能なデジタル内空変位計を提供することが出来る。
【0019】
更に、本発明によれば、測定者によって比較的バラツキが少ないデジタル内空変位計を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本実施形態に係るデジタル内空変位計の外形形状を示す図である。
【図2】図2は、図1のデジタル内空変位計を使用して測定する状況を説明する図である。
【図3】図3は、図1のデジタル内空変位計の内部構造を示す図である。
【図4】図4は、図1のデジタル内空変位計のブロック図を示す図である。
【図5】図5は、デジタル表示器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るデジタル内空変位計の実施例に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0022】
[デジタル内空変位計の外観]
図1は、本実施形態に係るデジタル内空変位計の外形形状を示す図である。デジタル内空変位計1は、装置本体部2と、表示器6が一体に形成されたセンサユニット4と、本体部2から出てセンサユニット4の下側を通過して延在する磁気テープ8と、磁気テープ8の先端に接続された第1のピン係合部12と、本体部2から反対側に延在するシャフト部10と、シャフト部10の先端に接続された第2のピン係合部14とを備える。本体部2とセンサユニット4とは一体に接続され固定されている。
【0023】
磁気テープ8は、従来の巻き尺のメモリ表示されたメジャー部分に相当する。
【0024】
本体部2の上面には手提げグリップ部18があり、携帯するのに便利になっている。
【0025】
本体部2の側面には巻き戻しハンドル16がある。磁気テープ8は、後述するように、張力発生器19によって、常時本体部2に自動的に巻き取られるようになっているが、何等かの原因で巻き戻らない場合には、この巻き戻しハンドル16を使って手動でも巻き戻しが出来る。
【0026】
手提げグリップ部18及び巻き戻しハンドル16は、本体部2に対して着脱自在にしてもよい。
【0027】
本体部ケース2cのサイズは、170mm幅(手提げグリップ部を除く。)×170mm高さ×厚さ42mm(巻取りハンドルを除く。)であり、センサユニット4のサイズは、130mm幅×68mm高さ×厚さ80mmである。従って、装置自体がコンパクトであり、手提げグリップ部18を使うことにより携帯容易であり、必要に応じて片手で操作が可能である。
【0028】
表示器6は、測定値がデジタル表示されるので、どの方向からも正確な測定値の読み取りが出来る。
【0029】
[デジタル内空変位計を使用方法]
図2は、図1のデジタル内空変位計1を使用して測定する状況を説明する図である。この測定例は、坑道等の一方の内壁23と、これに対面する他方の内壁24との間の内部空間を測定する場合である。
【0030】
一方の内壁23に対し、予め、ピンアンカ20を使ってピン22を打ち込み固定してある。同様に、他方の内壁27に対しも、予め、ピンアンカ24を使ってピン26を打ち込み固定してある。
【0031】
ピン22に対して、デジタル内空変位計1の第1のピン係合部12を取り付ける。その後、ピン26に近付きながら、磁気テープ8を本体部2から順次引き出す。ピン26に対して、デジタル内空変位計1の第2のピン係合部14を取り付ける。磁気テープ8には、本体部内蔵の張力発生器19による張力(テンション)が加わっているので、手提げグリップ部18を使って、磁気テープ8とシャフト部10が一直線になるように、本体部2を位置決めする。この状態で、表示器6にデジタル表示された測定値を読み取る。
【0032】
測定後は、ピン26から第2のピン係合部14を取り外し、ピン22の方向に近づくと、張力発生器19の作用により、磁気テープ8は自動的に本体部2へ巻き戻される。最後に、ピン22から第1のピン係合部12を取り外す。
【0033】
このように、ピンの位置に拘わらず測定が容易になり、従来の巻き尺によるメモリ読み取りがデジタル表示の読み取りに代わったため、熟練の計測員を必要としなくなった。
【0034】
[デジタル内空変位計の内部構造]
図3は、図1のデジタル内空変位計1の内部構造を示す図である。図面上半分は、デジタル内空変位計1を上方から見た平面図であり、図面下半分は横方向から見た側面図である。図面では、分かり易くするため、磁気テープ8は右上から左下への斜線によるハッチングで表し、回転軸17の比較的大きな径部17w及び比較的小さな径部17nは左上から右下への斜線によるハッチングで表している。
【0035】
側面図に示すように、センサユニット4は、センサヘッド28と、制御部35と、バッテリ49とを有する。センサヘッド28の下側を磁気テープ8が摺動する。バッテリ49は、単二乾電池が使用される。
【0036】
平面図に示すように、回転軸17は、比較的大きな径部17wと、比較的小さな径部17nを有している。側面図に示すように、引き出された磁気テープ8は、比較的大きな径部17wに巻き取られる。張力発生器19の作用により、磁気テープ8を比較的大きな径部17wに自動的に巻き取ることで、常に磁気テープ8を装置本体部2に素早く自動的に収納することが出来る。更に、回転部17には巻き戻しハンドル16が接続されているので、何等かの原因で巻取りが出来ない場合でも、手動によって巻取ることが出来る。
【0037】
平面図に示すように、回転軸17の比較的小さな径部17nの周辺には、複数個の張力発生器19が配置されている。側面図で示すように、本実施例では、4個の張力発生器19-1〜19-4が用いられている。各張力発生器19から延びるテープ状スプリング19-1s〜19-4sは、いずれも回転軸17の比較的小さな径部17nに巻き付いている。
【0038】
この張力発生器19は、定荷重バネであり、常時一定の引っ張り張力(トルク)を回転軸17に与える。1個の張力発生器19が発生する張力は0.5kgであり、4個備えることにより2.0kgの張力が得られる。
【0039】
このような定荷重バネは、例えば、神奈川県横浜市所在のサンコースプリング株式会社から、商品名「コンストン」として商業的に入手できる。
【0040】
張力発生器19を用いることで、測定時には磁気テープ8が一定の張力で張られ、常に正確な寸法測定が出来る。更に、回転軸17の比較的小さな径部17nを設けることで、コンパクトな本体ケース29内に、必要個数の張力発生器19-1〜19-4を収納することができる。
【0041】
なお、図に示す、第1のピン係合部12と第2のピン係合部14間の長さAは、このデジタル内空変位計1の初期値であり、予め正確に測定して、後で説明するように、初期値Aとしてセンサユニット4に設定する。その後は、増分(インクリメンタル値)を測定して、その測定値に初期値Aを加算することで絶対値(アブソルート値)を得ることができる。
【0042】
このデジタル内空変位計1の特徴の1つは、コンパクトな本体部2の内部に、複数のサイズの径部を有し且つ巻き戻しハンドル16に連結した回転軸17を設け、可能な限り大きな径部17wに対して磁気テープ8を巻き付けて素早く巻き戻しが出来るようにし、比較的小さな径部17nを形成することにより周辺に必要個数の張力発生器19-1〜19-nを配置可能としたことにある。
【0043】
なお、今回試作したデジタル内空変位計1の長さの測定可能範囲は、510〜5000mmであった。
【0044】
[デジタル内空変位計のブロック図]
図4は、図1のデジタル内空変位計1のブロック図を示す図である。
【0045】
磁気テープ8は、図に示してないが、センサヘッド28に面する方から順に第1の層、第2の層及び第3の層から成る。第1の層は、第2の層の保護用の非金属テープ層である。第2の層は、着磁される磁気テープ層である。第3の層は、外部磁気の遮蔽、第2の層の保護、磁気回路形成等のための磁性体金属層である。
【0046】
第2の層は、横方向にN極、S極、N極、S極、…と交互に着磁されている。この着磁の周期をλとする。センサユニット4は、センサヘッド28と、制御部35とを有する。制御部35からのデジタル測定値は、表示器6に送られ、デジタル表示される。バッテリ49が、センサヘッド28、制御部35及び表示器6へ給電を行っている。
【0047】
センサヘッド28は、例えば、磁気抵抗素子のブリッジ回路30と、その出力を補間処理する補間回路32及び出力インターフェース回路34を有する。磁気抵抗素子のブリッジ回路30は、4個の磁気抵抗素子(図示せず。)を利用してブリッジを形成し、磁気テープ8の着磁周期λの着磁を感知して、所望に間隔及び位相差の出力信号を生じるように配置されている。この磁気抵抗素子のブリッジ回路30からの出力を補間回路32で補間し、出力インターフェース回路34で処理して制御部35へ送る。
【0048】
制御部35は、CPU36と、作業領域のRAM38と、この測定プログラムが予め記録されたROM40と、測定結果を記録する記憶装置42とを有する。制御部35には、Fスイッチ44、Setスイッチ46及びin/abスイッチ48からの信号が入力される。
【0049】
これらスイッチからの入力信号に従って、測定データは処理され、記憶装置42へ記録されると共に、表示器6に表示される。
【0050】
このようなセンサユニット4及び磁気テープ8は、例えば、神奈川県横浜市所在のエルゴジャパン株式会社から磁気スケールとして商業的に入手できる。
【0051】
[デジタル表示器]
図5は、デジタル表示器6を示す図である。3個のスイッチが設けられ、Fスイッチ44は、パラメータ設定を可能にするスイッチであり、Setスイッチ46は、表示された数字の変更したい桁数を選択するスイッチであり、in/abスイッチ48は測定結果を増分値表示又は絶対値表示に切り換えるスイッチである。これらのスイッチを操作することにより、入力信号に応じて、制御部35で測定データが処理される。
【0052】
図3に関連して説明した第1のピン係合部12と第2のピン係合部14間の長さA(デジタル内空変位計1の初期値)は、Setスイッチ46等を利用して記憶装置42に記録される。これにより、増分値表示だけでなく、絶対値表示もすることが出来る。更に、初期値設定及び修正が容易に出来ることより、定期的に初期値を実測して更新することにより、測定精度を常に高く維持することが出来る。
【0053】
表示窓6aには、極性付き7桁の測定デジタルデータが液晶表示される。更に、左上には、バッテリ49の消耗状況が表示6cされる。
【0054】
その他、現在の状態が、アブソルート/インクリメンタルのいずれかの表示52、mm/inchのいずれかの表示54等が設けられている。
【0055】
[実施形態の利点・効果]
本実施形態に係るデジタル内空変位計1によれば、次のような利点、効果が得られる。
(1)経験の浅い計測員でも同じ計測結果が得られ、熟練した計測員を必要としない。
(2)坑道等に立てたピンがどんな場所でもピン−ピン間の正確な測定が可能である。
(3)測定装置自体がコンパクトで携帯容易である。
(4)必要な時には、片手で測定操作が可能である。
(5)測定時には磁気テープが一定の張力で張られて常に正確な寸法測定が可能である。
(6)測定精度の校正が容易である。
(7)磁気テープ自体を装置本体部に素早く収納することが出来る。
(8)デジタル表示になったため、測定値の読み取りが容易になった。暗い坑道等の内部で、ランプの光線が金属製の巻き尺で反射して、測定値を読み取ることが非常に難しいといった問題も解決できた。
【0056】
[変更例等]
以上、本発明に係るデジタル内空変位計1の実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、本発明はこれに限定されない。本実施形態に関して、当業者が容易になしえる追加・削除・変更は、本発明の範囲内である。
【0057】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0058】
1:デジタル内空変位計、 2:装置本体部,本体部、 4:センサユニット、 6:表示器、 6a:表示窓、 6b:測定値表示、 6c:バッテリの消耗状況表示、 8:磁気テープ、 10:シャフト、 12:第1のピン係合部、 14:第2のピン係合部、 16:巻き戻しハンドル、 17:回転軸、 17n:回転軸の比較的小さな径部、 17w:回転軸の比較的大きな径部、 18:手提げグリップ部、 19,19-1〜19-4:張力発生器、20:ピンアンカ、 22:ピン、 23:坑道等の一方の内壁、 24:ピンアンカ、 26:ピン、 27:坑道等の他方の内壁、 28:センサユニット、 29本体部のケース、 30:磁気抵抗素子のブリッジ回路、 32:補間回路、 34:出力インターフェース回路、 35:制御部、 36:CPU、 38:RAM、 40:ROM、 42:記憶装置、 49:バッテリ、 52:アブソルート/インクリメンタルの表示、 54:mm/inchの表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑道等の内部空間の長さ測定を行うデジタル内空変位計であって、
比較的小形の本体部と、
前記本体部に接続された、更に小形のセンサユニットと、
前記センサユニットからの測定データを表示するデジタル表示器とを備え、
前記本体部は、内部に、比較的大きな径部と比較的小さな径部をもつ回転軸と、複数個の一定の引っ張り張力を発生する複数個の張力発生器とを有し、
前記回転軸の比較的大きな径部には、N極及びS極が所定の周期で交互に着磁された磁気テープが巻かれており、該磁気テープは前記本体部から引き出される際に前記センサユニットの近傍を通過し、該センサユニットは該磁気テープの相対的移動量を計測処理し、
前記回転軸の比較的小さな径部には、各々の前記張力発生器からの帯状スプリングが巻き付いており、
長さ測定時に、前記複数個の張力発生器からの一定の引っ張りトルクが前記回転軸の比較的小さな径部に加わって、前記磁気テープは一定の張力で引っ張られ、
測定終了後は、前記張力発生器から前記回転軸に加わる回転により、前記磁気テープが前記回転軸の比較的大きな径部に素早く自動的に巻き取られて前記本体部に収納される、デジタル内空変位計。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル内空変位計において、
前記本体部は、手提げグリップ部を有し、携帯可能である、デジタル内空変位計。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタル内空変位計において、
前記磁気テープの先端部には第1のピン係合部が設けられ、
前記本体部から延在するシャフトの先端部には第1のピン係合部が設けられ、
予め、坑道等の内壁に打ち込まれた一方ピンに対して第1のピン係合部を係合し、他方のピンに対して第1のピン係合部を係合して、ピン−ピン間の長さを測定する、デジタル内空変位計。
【請求項4】
請求項1に記載のデジタル内空変位計において、
前記本体部の前記回転軸の比較的小さな径部の周囲に、4個の前記張力発生器が配置されている、デジタル内空変位計。
【請求項5】
請求項1に記載のデジタル内空変位計において、
前記デジタル内空変位計は、絶対値計測及び増分値計測のいずれも可能である、デジタル内空変位計。
【請求項6】
請求項1に記載のデジタル内空変位計において、
前記センサユニットは、磁気抵抗素子のブリッジ回路をもつセンサヘッドを有し、該センサヘッドは近傍を相対的に移動する前記磁気テープの着磁状態を感知して移動量を計測する、デジタル内空変位計。
【請求項7】
請求項3に記載のデジタル内空変位計において、
前記センサユニットは、記憶装置を有する制御部を有し、前記第1及び第2のピン係合部間の正確な長さを初期値として該記憶装置に記録でき、絶対値計測が出来る、デジタル内空変位計。
【請求項8】
請求項1に記載のデジタル内空変位計において、
前記回転軸は、前記磁気テープを手動で巻き取る巻き戻しハンドルを有している、デジタル内空変位計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−13137(P2011−13137A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158553(P2009−158553)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000230973)日本工営株式会社 (39)
【Fターム(参考)】