説明

デジタル照明安定器発振器

電力コンバータ用の発振器(10)は、可変電流源(18)に接続されたコンデンサ(20)の充電時間に基づいてパルストレインを出力する。DAC(デジタルアナログコンバータ)は、スイッチ(14)とともに可変電流源(18)を制御して、コンデンサ(20)の充電時間を決定する。デジタルDAC入力を変化させることによって、コンデンサ(2)の充電時間を改変し、それによってパルストレインの周波数を改変する。コンパレータ(22)は、コンデンサの電圧と、コンデンサが充電中であるか、あるいは放電中であるかに応じて切り替えられる閾値とを比較する。このコンパレータ出力により、電力コンバータ用のハーフブリッジスイッチング構成で使用することができるパルストレインが供給される。この構成は、ランプ用の電子安定器(35)としても機能することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光ランプ用の電子安定器に関し、より詳細には、調整可能な発振器を備える電子安定器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2003年3月3日出願の「デジタル照明安定器発振器(Digital Lighting Ballast Oscillator)」という名称の米国仮特許出願第60/451977号を基礎とするものである。
【0003】
蛍光照明適用例のための電子安定器、特にスイッチングハーフブリッジとともに動作する電子安定器は、広く入手可能であり、よく知られている。このような電子安定器は、インターナショナル レクティファイアー(International Rectifier)社の米国特許第6008593号に記載されている。電子安定器制御装置は、力率補正ならびに故障検出、および応答回路を含む広範な機能性および特徴を備えるものに発展してきた。
【0004】
スイッチングハーフブリッジを含む一般的な電子安定器は、蛍光ランプへの所望の電力フローを確立するために特定の時刻に、様々な構成要素に電流を適切に導くためのハーフブリッジ用のスイッチング信号を導出するために使用される発振器の基礎となっている。
【0005】
この発振器を使用する電子安定器の実施態様の1つのタイプは、電子安定器にVCO(電圧制御発振器)を接続し、適切な信号でVCOを駆動して、所望のとおりに、スイッチング周波数を変更するものである。例えば、蛍光ランプ減光適用例の場合、特定の減光設定を得るために、電子安定器のスイッチング周波数を調整することができる。
【0006】
電子安定器におけるVCOの使用には、所望の発振周波数を得るために、入力をVCOに適切に与えることを含むいくつかの課題がある。また、電子安定器の適切な制御を、VCOによって維持することができるように、電子安定器の出力段からのフィードバックが、一般に望まれている。
【0007】
電子安定器の統合制御解決策において、VCOを供給する場合、VCOは、統合解決策における他の構成要素に対して、大量の場所を取ることがある。
【0008】
電子安定器において、ハーフブリッジを切り替えるための発振器機能を与えるために、容易に制御し、簡易に実装することができる簡単な発振器が望まれている。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/451977号
【特許文献2】米国特許第6008593号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、電子安定器内のスイッチングハーフブリッジ回路を駆動する発振器機能を与える簡単プログラム可能な発振器が提供される。この発振器は、設定周波数を得るために、デジタル的にプログラム可能であり、最小周波数などの他のパラメータは、使用者が選択可能である。この周波数は、DAC(D/Aコンバータ)を使用することによって、動作範囲全体にわたって、増分単位で選択可能である。
【0010】
本発明により得られる利点には、温度およびプロセスに対する周波数変動が、設定周波数の±5%以内の最小限に抑えられることが含まれる。本発明の構成の別の利点は、統合安定器制御装置の外部にある単一の抵抗器によって、最小周波数を設定することができることである。DACと、外部抵抗器の値を介して得られる最小設定周波数とを併用して、このDACの分解能の限度まで、調整可能な周波数変動範囲が得られる。
【0011】
本発明の別の利点によれば、電子安定器制御装置は、制御装置におけるプロセス、および温度の変動を最小限に抑えるための動作基準を与える内部電圧基準を含んでいる。この電圧基準により、発振周波数などのパラメータを、精確な範囲内に補正することができる。
【0012】
本発明の発振器は、コンパレータを用いてコンデンサを充電することにより動作する。このコンパレータの閾値を改変して、充電または放電のサイクルが得られる。このコンデンサが充放電するときに、このコンパレータの入力に異なる電圧基準を印加して、コンデンサが充電される速度によって決まる周波数のパルス出力が得られる。
【0013】
コンデンサの充電速度は、DACによって設定され、最小周波数は、外部抵抗器によって設定される。すなわち、DACが、その各入力に対して、ゼロまたはローの状態のとき、最小周波数は、外部抵抗器の値に応じて設定される周波数になる。
【0014】
DACの設定値、およびプログラムされた最小周波数に基づいて、広範囲の周波数が利用可能である。発振器のパルス出力を用いて、ハーフブリッジスイッチング回路を切り替えるためのゲート信号が得られ、それによって、電子安定器が適切に制御される。
【0015】
この電子安定器は、いくつかの別個の周波数で動作可能であり、それによって、減光応用例に有利な精確な電力制御が行われる。本発明の発振器は、電子安定器制御に限定されず、簡単精確に制御される発振器が望まれるいくつかの他の例でも、有用であることは明らかである。
【0016】
本発明によれば、この発振器回路は、障害検出回路に応答して、発振器をオフにするか、あるいは初期設定状態に周波数を設定するようにすることができる。以下、添付の図面を参照して、本発明の他の特徴および利点を、より詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明による回路10の好ましい実施形態を示す。図1に示すように、本発明の好ましい実施形態による回路10は、デジタルアナログコンバータ12を含んでいる。本発明の好ましい実施形態におけるデジタルアナログコンバータ12は、8ビットコンバータである。ただし、後で説明するように、本発明から逸脱することなく、12ビットコンバータなど、他のD/Aコンバータを使用することもできる。
【0018】
デジタルアナログコンバータ12の出力は、MOSFET14のゲート電極に接続される。そのため、MOSFET14の動作は、デジタルアナログコンバータ12によって制御される。MOSFET14のソース電極は、抵抗器16に直列に接続され、抵抗器16は、その他方のノードのところで、アースに電気的に接続される。MOSFET14のドレイン電極は、電流ミラー回路18に接続され、電流ミラー回路18は、入力電圧に接続される。
【0019】
デジタルアナログコンバータ12が、MOSFET14をオンにすると、電流が抵抗器16を流れる。同時に、同じ電流が、電流ミラー回路18と接地の間に接続されたコンデンサ20を流れる。そのため、電流ミラー回路18からの電流により、コンデンサ20が充電される。
【0020】
コンデンサ20を充電するのに必要な時間は、抵抗器16の値を設定することにより、コンデンサ20が受け取る電流の量によって決まるので、抵抗器16の抵抗値を適切に選択することにより、コンデンサ20が受け取る電流の最小量を設定することができる。このように抵抗器16を選択することにより、(最小周波数を設定するのに用いることができる)コンデンサ20の最短充電時間を設定することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、抵抗器16は、使用者が選択することができる外部抵抗器である。具体的には、本発明の好ましい実施形態によれば、回路10は、抵抗器16を除いて、単一の半導体チップの形で形成され、抵抗器16は、使用者によって選択され、それによって回路10が形成される。
【0022】
コンデンサ20の電荷が適切なレベルに到達すると、すなわち、コンデンサ20が所望の最大電圧に充電されると、コンデンサ20は、それが別の適切な電荷レベル、すなわち最小電圧値に達するまで放電する。その結果、振動波形が生成され、次いで、この波形が適切に出力される。
【0023】
具体的には、回路10は、コンデンサ20の両端間の電圧と、第1基準電圧源24とを比較する単一のコンパレータ22を含んでいる。コンデンサ20の両端間の電圧が、第1基準電圧源24によって与えられる基準電圧よりも小さいままである限り、図2に示すように、出力信号はローになる。
【0024】
コンデンサ20の両端間の電圧が、第1基準電圧源24によって与えられる電圧よりも大きい値に達すると、出力信号により、MOSFET26がオンになる。その結果、コンデンサ20は、MOSFET26を介して接地に放電する。放電される電流は、電流ミラー回路18から受け取った電流(ICT)およびコンデンサ20内の電荷(IDT)を含んでいる。
【0025】
このように、コンデンサ20は、(抵抗器16によって設定される)ICTによって充電され、IDTによって放電する。このような構成は、この回路のスピードに寄与する。IDTは、出力信号のパルス幅に対応することに留意されたい。
【0026】
コンデンサ20の両端間の電圧が、第1基準電圧源24によって設定される電圧よりも大きい値に達したと判定されると、出力信号は、デジタルのローからデジタルのハイに移る。その結果、送信ゲート28は、インバータ30が存在するので信号を受け取らず、それによって、コンデンサ22から第1基準電圧源が切り離される。
【0027】
同時に、送信ゲート32がオンになり、それによって、第2基準電圧源34がコンパレータ22に接続される。この時点で、コンパレータ22は、コンデンサ20の両端間の電圧と、第2基準電圧源32によって与えられる電圧とを比較する。
【0028】
コンデンサ20の両端間の電圧が、第2基準電圧源34によって与えられる電圧に達すると、ロー信号が出力されて、送信ゲート32がオフになり、それによって、第2基準電圧源34が切り離され、(インバータ30の存在により)送信ゲート28がオンになり、それによって、第1基準電圧源24がコンパレータ22に接続される。さらに、MOSFET26がオフになり、それによって、コンデンサ20が再度充電される。その結果、コンデンサ20が充放電することによって、図2に示す出力パターンが生成される。
【0029】
したがって、先に述べたように、抵抗器16に適切な抵抗値を選択することによって、最小周波数を設定することができる。
【0030】
回路10の出力を利用して、ハーフブリッジ構成における2つのMOSFETを駆動することができる。例えば、この出力は、ハーフブリッジ構成における2つのMOSFET間で、切り替えることができる。
【0031】
図3は、回路35として、ハーフブリッジ構成におけるMOSFETを駆動する既知の駆動部を示す従来構成を示す。この場合、回路10は、ハーフブリッジ構成における2つのMOSFETを駆動するのに使用することができる制御IC36に組み込むことができる。当業者なら、本発明の原理から逸脱することなく、他の応用例に本発明を適合させることもできるはずである。
【0032】
電子安定器における場合などのある種の応用例では、周波数をゆっくり変化させることが望ましい。回路10で実施する本発明の方法を用いて、外部抵抗器によって最小周波数を設定し、デジタル的に変化させることができる。
【0033】
例えば、D/Aコンバータ12へのすべてのデジタル入力がローのとき、最小周波数は、抵抗器16の値によって決まる。次いで、プログラムすることによって、この周波数を変化させることができる。
【0034】
例えば、D/Aコンバータ12にデジタル入力を与えて、この周波数をある範囲にわたって直線的に変化させることができる。このとき、分解能、すなわち周波数変化の量は、増分変化によって決まることになる(増分が小さいほど、分解能が高い)。そのため、8ビットのD/Aコンバータの代わりに、12ビットのD/Aコンバータを使用する場合、増分をより小さくすることができるという点で、分解能を向上させることができる。
【0035】
図3には、回路35をもって、スイッチングハーフブリッジを駆動する制御ICを備える一般的な電子安定器回路が示されている。ハーフブリッジスイッチM1およびハーフブリッジスイッチM2用のゲート制御は、制御IC36によって、それぞれ出力HOおよび出力LO上で与えられる。出力HOおよび出力LO上のゲート制御信号は、本発明に従って、図1の回路10に示す発振器出力から得ることができる。
【0036】
次に図4を参照すると、線図40により、制御IC36の機能のブロック図が示されている。この先行技術の構成では、発振のタイミングは、図3に示す抵抗器RT、およびコンデンサCTを含む外部的に設定される構成要素のパラメータによって、コンパレータCOMP1の動作を介して実現される。線図40のコンパレータCOMP1の出力を用いて、ハイサイドの駆動HOとローサイドの駆動LOについて回路を、それぞれ交互に切り替える。
【0037】
この構成によれば、ハーフブリッジスイッチM1およびハーフブリッジスイッチM2は、同じ周波数で補完的に切り替わる。COMP1その他のいくつかの構成要素の代わりに、本発明による発振器を、この回路に組み込むことができる。
【0038】
図5には、線図50により、制御IC36の動作の状態図が示されている。線図50によれば、電子安定器に対して、電力をオンにした後で、制御IC36は、状態52で、UVLO(不足電圧ロックアウト)モードに入る。
【0039】
この状態では、ハーフブリッジは切り替わらない。すなわち、ハーフブリッジはオフになり、回路の動作が極めて低いレベルで行われ得るように、約120μAの静止電流が供給され、予熱コンデンサ電圧はゼロになり、コンデンサCTの電圧がゼロになる。これは、発振器がオフであることを示している。
【0040】
本発明による発振器では、例えば、発振器が単に使用不可になる。状態52の間、通常の動作では、電子安定器内の構成要素にエネルギーが供給され、それによって、電子安定器が駆動され、初期スタートアップ状態になる。したがって、VCCが、不足電圧のハイサイドの閾値UVLO+である11.5Vよりも大きくなり、ピンSDの電圧が5.1Vよりも大きくなると、これは、シャットダウンが不要な通常の動作を示しており、制御IC36は状態54に遷移して、予熱モードが開始される。
【0041】
状態54の予熱モードでは、スイッチングハーフブリッジが、予熱周波数fPHの発振モードで開始される。予熱モード中、抵抗器RPHは、抵抗器RTと並列に配置され、それによって、電子安定器内でランプのフィラメントを加熱する予熱周波数が設定される。
【0042】
本発明による発振器では、予熱周波数fPHを設定するために、デジタルアナログコンバータ12への入力にデジタル値が加えられる。また、状態54の予熱モードでは、予熱コンデンサCPHは約5μAの電流により充電され、それによって、この回路についての予熱モード適用時間が設定される。予熱モード中、予熱コンデンサCPHの電圧が7.5Vよりも大きくなると、電流感知が利用可能になる。予熱モード中に生じ得る潜在的な過電流状態に反応しないように、この時点まで電流感知が利用可能になるのが遅らされる。
【0043】
また、状態54の予熱モード中、予熱コンデンサCPHの電圧が約7.5Vに達すると、内部抵抗器RVDCから、接地すなわちCOMへの抵抗経路が、約12.6kΩに設定される。
【0044】
制御IC36は、通常の動作では、予熱コンデンサCPH、したがってピンCPHの電圧が10Vよりも大きくなったときに、状態54の予熱モードから抜ける。あるいは、制御IC36は、VCCが9.5V未満になる入力電力障害、または、ピンSDが5.1Vよりも大きくなるランプ障害を含めて障害が検出されると、状態54から状態52に遷移する。
【0045】
通常の動作では、予熱モードの終了時に、制御IC36は、状態54から、ランプを点灯する状態56に遷移する。点灯モード中、抵抗器RPHは、ハーフブリッジを切り替える周波数設定値を変更するために、抵抗器RTから切り離される。したがって、この周波数は、抵抗器RPHが抵抗器RTからゆっくりと切り離されるときに、予熱周波数fPHから設定周波数fRUNに変化する。
【0046】
本発明による発振器により、デジタルアナログコンバータ12へのデジタル入力を変化させることによって、スイッチング周波数を徐々に変化させることができる。点灯モード中、予熱コンデンサCPHは、継続して充電され、予熱コンデンサCPHの電圧が13Vよりも大きくなると、ランプが点灯すると予想される。この場合、制御IC36は、状態56から、通常の運転モードの状態58に遷移する。
【0047】
あるいは、状態56でランプが点灯しそこなった場合、電流感知ピンCSには、1.3Vよりも大きい電圧が現れる。これは障害を示しており、そのため、制御IC36の動作は、状態56の点灯モードから状態59の障害モードに遷移する。
【0048】
状態58の運転モードにおける通常の運転状態の間、このハーフブリッジは、設定周波数fRUNで発振し、抵抗器RPHは、抵抗器RTから完全に切り離される。この周波数は、本発明に従って、デジタルアナログコンバータ12に所望のデジタル値を供給することによって設定される。
【0049】
通常の運転モード中、ランプは、電力が中断されるか、あるいはランプが故障するまで継続して動作する。電力が中断される場合、VCCが9.5V未満に下がると、制御IC36は、状態58から状態52に遷移して、電子安定器をUVLOモードに戻す。これに加えて、ランプが故障するか、あるいは、ランプが電子安定器から取り外される場合、ピンSDの電圧は5.1Vよりも大きくなり、制御IC36は、再度、状態58から状態52に遷移し、UVLOモードになる。
【0050】
ランプに過電流障害が生じた場合、電流感知ピンCSの電圧は、運転モード状態58で1.3Vよりも大きくなり、それによって、制御IC36が障害モードに入る状態59に遷移する。障害モードでは、障害ラッチがセットされ、ハーフブリッジはオフになり、制御IC36を活動状態に維持するために、約180μAの静止電流が供給される。予熱コンデンサCPHおよびCTの電圧は、ゼロボルトに設定され、それによって、発振器はオフになる。
【0051】
本発明の発振器によれば、例えば障害スイッチによって、この発振器は使用不可となる。制御IC36は、ランプの障害または電力の中断により、制御ICがUVLOモードの状態52に戻るまで、状態59のままである。
【0052】
図6には、回路60として、UVLOモードに関係する機能の線図が示されている。制御IC36は、VCCの電圧が、制御IC36のターンオン閾値未満になったときに、UVLOモードに入る。UVLOモードは、約200μA未満の低静止供給電流が維持され、それによって、ハイサイドおよびローサイドの出力駆動部の発振が開始されるまで、制御IC36が完全に機能し続けるように設計される。
【0053】
回路60に、スイッチングハーフブリッジにおいて発振が開始される前に適切な動作状態が得られるように、電子安定器内の構成要素を充電するスタートアップ構成を示す。スタートアップコンデンサCVCCは、供給抵抗器RSUPPLYを流れる電流から、制御IC36によって引き出されるスタートアップ電流を引いたものによって充電される。
【0054】
供給抵抗器RSUPPLYの値は、例えば、低入力電圧状態が存在するときでも、スタートアップ状態が得られるように、最大スタートアップ電流の2倍が与えられるように選択される。スタートアップコンデンサCVCCの電圧がスタートアップ閾値に達し、ピンSDが4.5V未満になると、制御IC36はオンになり、ゲート出力HOおよび出力LOによって、スイッチングハーフブリッジの発振が開始される。
【0055】
スイッチングハーフブリッジが発振を開始すると、スタートアップコンデンサCVCCは放電を開始し、スイッチングハーフブリッジによって余分な電流が引き出される。
【0056】
図7には、全体的に70をもって、スタートアップコンデンサCVCCのスタートアップ電圧を示すグラフが示されている。スタートアップコンデンサCVCCの電圧は、スタートアップ中に、グラフ70でVULVO+で示す制御IC36のターンオン閾値に達するまで充電される。この時点で、スイッチングハーフブリッジは活動状態になり、スタートアップコンデンサCVCCは放電を開始する。同時に、線図のチャージポンプ回路60は、放電サイクルの特定の時点で、スタートアップコンデンサCVCCを充電する整流電流を与える。
【0057】
スタートアップコンデンサCVCCが、ある種のレベルに充電されると、内部電圧調節ならびにチャージポンプ回路により、スタートアップコンデンサCVCCの電圧が制御される。ブートストラップダイオードDBOOTおよび供給コンデンサCBOOTにより、ハイサイド駆動回路用の供給電圧が与えられる。このハイサイドへの供給は、ピンHOによって供給される第1パルスの前に充電され、そのため、制御IC36により、第1ゲート信号がピンLOに供給され、それによって、ハイサイドへの供給が充電される余分な時間が得られる。
【0058】
UVLOモード中、例えば、ハイサイドおよびローサイドの駆動出力HOおよび出力LOは、ローの値に設定されてスイッチングハーフブリッジが使用不可になり、コンデンサCTは、共通電圧基準に内部的に接続されて、発振器が使用不可になる。
【0059】
本発明から逸脱することなく、使用不可にするための他の技術も、容易に利用可能である。さらに、ピンCPHは、共通電圧レベルに内部的に接続され、それによって、予熱時間がリセットされる。
【0060】
次に図8を参照すると、予熱モードに関わる回路80を示す線図が示されている。予熱モード中、ランプのフィラメントは、点灯および動作に適した温度に加熱される。この手順は、点灯電圧要件を軽減しながら、ランプの寿命を長くする助けとなる。予熱モードに入るのは、供給電圧がVUVLO+の適切な閾値に達し、UVLOモードから抜けた後である。この予熱モード中、ゲート信号出力HOおよび出力LOは、予熱周波数で発振を開始する。この予熱周波数のデューティサイクルは50%であり、デッドタイムは、デッドタイム内部抵抗器RDTによって設定される。
【0061】
本発明によれば、予熱周波数は、デジタルアナログコンバータ12に印加される予熱デジタル値によって設定される。最初は、ピンCPHは、接地COMから切り離されており、4μAの内部電流源が、予熱タイミングコンデンサCCPHを直線的に充電する。またこの段階で、過電流保護が使用不可になる。
【0062】
先行技術の構成では、予熱モード用のスイッチング周波数は、抵抗器RTと抵抗器RPHの並列組合せ、ならびにタイミングコンデンサCTの充電によって決まる。コンデンサCTは、電圧VCCに内部的に接続された抵抗器RTと抵抗器RPHの並列組合せを介して、指数関数的な軌跡でVCCの1/3から3/5の間で充放電する。VCCの1/3から3/5までのコンデンサCTの充電時間により、それぞれの出力ゲート駆動HOまたは駆動LOがオンになる時間が決まる。
【0063】
コンデンサCTの電圧が、電圧VCCの3/5よりも大きいとき、抵抗器RTおよび抵抗器RPHはVCCから切り離される。コンデンサCTは、デッドタイム内部抵抗器RDTを介して、電圧VCCの3/5から1/3まで指数関数的に放電し、それによって、ゲート駆動出力HOおよび出力LO用のデッドタイムが得られる。
【0064】
構成要素であるコンデンサCTおよびデッドタイム内部抵抗器RDTの値を選択することにより、所望のデッドタイムが決められる。所望のデッドタイムとコンデンサCTの値の関係は、式1で与えられる。
DT=Ct×1475(秒) (1)
コンデンサCTの電圧が電圧VCCの1/3未満になるまで放電すると、デッドタイム内部抵抗器RDTは接地COMから切り離され、抵抗器RTと抵抗器RPHは、再度、充電時間を開始するための電圧VCCおよびコンデンサCTに接続される。
【0065】
上記の構成により、コンデンサCTの充放電を行う予熱モードの設定周波数が得られる。この機能は、本発明に従って、選択可能な予熱周波数が得られるように、デジタルアナログコンバータ12をプログラムすることと、図1に示すように、コンパレータ22に交互に印加される上下限閾値とによって実現される。したがって、スイッチS4、抵抗器RT、抵抗器RPH、および外部コンデンサCTの動作をなくすことができる。
【0066】
予熱モードの残りの部分の間、ピンCPHの電圧が13Vよりも大きくなるまで、出力HOおよび出力LOに対して、予熱周波数で発振ゲート信号が供給され、この時点で、制御IC36が点灯モードに入る。
【0067】
状態図のところで説明したように、予熱モードでは、ピンCPHの電圧が7.5Vよりも大きくなるまで、過電流保護および電圧不足リセット保護は使用不可になる。この予防措置により、そうしないと発振器をオフにすることがある予熱モード中の偽の障害検出がなくなる。
【0068】
次に図9には、点灯機能を示す制御IC36用の回路90が示されている。点灯モード中、ランプを点灯させるために、ランプの両端に高電圧が加えられる。
【0069】
従来の回路では、ピンCPHにおいて、予熱コンデンサCPHが13Vよりも高く充電されると、PチャネルMOSFETであるスイッチS4はゆっくりとオフになり始め、それによって、抵抗器RPHが抵抗器RTから滑らかに切り離される。スイッチS4がゆっくりと切り替わることにより、抵抗器RTならびに電子安定器内の他の構成要素の値によって決まる運転周波数に滑らかに遷移する。
【0070】
このスイッチング構成により、電子安定器の動作周波数が、予熱周波数から点灯周波数を経由して、通常モードでの最終的な運転周波数に滑らかに変化する。この機能は、単に本発明に従って、デジタルアナログコンバータ12に可変デジタル値を印加して、予熱周波数から運転周波数に滑らかに変化させることによって実現される。したがって、この安定器制御は、上記で説明したように、構成要素の数を減らすことによって簡略化される。
【0071】
ランプが点灯しない場合、外部電流感知抵抗器RCSを介して、ハーフブリッジの下側のMOSFETを流れる電流によって決まる電圧として、電流感知ピンCS上で障害状態が検出される。障害が判別され、制御IC36がそれに従って反応する前に、外部電流感知抵抗器RCSに設定された値により、許容可能なピーク点灯電流が決まる。
【0072】
好ましくは、外部電流感知抵抗器RCSは、ピーク点灯電流が、出力段MOSFETの電流定格よりも大きくならないように選択される。電流感知ピンCS上で障害が検出された場合、制御IC36は障害モードに入り、ゲート駆動出力HOおよび出力LOを使用不可にする。
【0073】
ランプがうまく点灯すると、制御IC36は、通常の運転モードに入り、所望の周波数で電子安定器を動作させる。この時点で、ランプのアークが確立され、このランプは、デジタルアナログコンバータ12によって設定された周波数によって決まる指定された電力レベルになるように駆動される。
【0074】
運転モード中、例えばフィラメントが切れるか、あるいはランプが取り外されたために、ハーフブリッジにおいてハードウエアによるスイッチングが行われた場合、外部電流感知抵抗器RCS両端間の電圧によって障害状態が検出される。電流感知ピンCSに供給されるこの電圧は、障害状態では1.3Vの内部閾値よりも大きくなり、そのため、制御IC36の状態が障害モードに変わる。この時点で、ゲート駆動出力HOおよび出力LOがラッチされてロー状態になる。
【0075】
制御IC36によって検出される別の障害状態は、電子安定器の共振出力段が、共振周波数付近またはそれ未満で動作することがある低電圧バス状態である。このタイプの動作により、ハーフブリッジにおいて、ハードウエアによるスイッチングが生じることがあり、それによって、ハーフブリッジスイッチが損傷する恐れがある。
【0076】
制御IC36により、バス電圧が下がったときに、ピンCPHをプルダウンすることによって低DCバス電圧保護が実現される。ピンCPHをプルダウンすることによって、図9に示すスイッチS4は閉じ、それによって、動作周波数が、共振周波数よりも高い安全な動作点である、より高い値にシフトする。
【0077】
本発明の発振器によれば、バス電圧が下がると、デジタルアナログコンバータ12により大きなデジタル値が印加され、それによって、動作周波数が共振点よりも大きくなるようにシフトする。図3に示す外部抵抗器RBUSおよび内部抵抗器RVDCにより、周波数シフトが生じるDCバスレベルが決まる。
【0078】
バス電圧レベルが低いことが検出されると、点灯の変化もリセットされる。この予防措置は、DCバス電圧レベルが低いことにより、ランプが消灯する場合に取られるものである。そのため、DCバス電圧が正常なレベルに戻ると、ランプは自動的に点灯する。内部抵抗器RVDCは、予熱モード中、ピンCPHの電圧が7.5Vよりも大きくなると、ピンVDCと接地COMの間で使用される。
【0079】
制御IC36の電流感知ピンCSは、スイッチングハーフブリッジを介して供給される電流に関係する電圧を感知する。予熱モードにおいて、電流感知機能が使用可能になった後、電流感知ピンCSに印加される電圧が1.3Vよりも大きくなると、制御IC36は、障害モードに遷移し、ゲート駆動出力をラッチしてロー状態にする。
【0080】
さらに、予熱コンデンサCPHが接地COMまで放電し、それによって予熱時間がリセットされ、障害モードにおいて発振器が使用不可になる。制御IC36は、電圧VCCが、負に向かうUVLOターンオフ閾値であるUVLO−未満で再循環するまで、あるいは、シャットダウンピンSDが5.1Vよりも大きくプルされるまで、この障害モードを維持する。
【0081】
これらの状態のいずれかが生じると、制御IC36はUVLOモードに遷移し、そこで、電子安定器を初期化し直すことができる。UVLOモードでは、適切な動作パラメータにより、制御IC36は、電圧VCCがターンオン閾値UVLO+よりも大きくなり、ピンSDの電圧が4.5V未満になった後で、通常の動作モードを再開しようと試みる。
【0082】
以上、本発明の特定の実施形態をあげて本発明を説明してきたが、当業者には、他の多くの変形形態および改変形態ならびに他の利用法が明らかであると思う。したがって、本発明は、本明細書の特定の開示によってではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明による回路の回路図である。
【図2】出力信号の周波数を制御する本発明による回路におけるコンデンサの充電/放電サイクルを示す図である。
【図3】本発明とともに使用可能な制御ICを備えた電子安定器の回路図である。
【図4】従来の電子安定器制御装置の概略ブロック図である。
【図5】図4の電子安定器制御装置の動作状態図である。
【図6】電子安定器制御装置のスタートアップ機能を示す回路図である。
【図7】電子安定器制御装置のスタートアップ供給電圧を示すグラフである。
【図8】電子安定器制御装置の予熱機能を示すブロック図である。
【図9】電子安定器制御装置の点灯機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
10 回路
12 デジタルアナログコンバータ
14 MOSFET
16 抵抗器
18 電流ミラー回路
20 コンデンサ
22 コンパレータ
24 第1基準電圧源
26 MOSFET
28 送信ゲート
30 インバータ
32 送信ゲート
34 第2基準電圧源
35 回路
36 制御IC
40 線図
50 線図
60 回路
70 グラフ
80 回路
90 回路
CBOOT 供給コンデンサ
CCPH 予熱タイミングコンデンサ
COM 接地
COMP1 コンパレータ
CPH 予熱コンデンサ、ピン
CS 電流感知ピン
CT コンデンサ
CVCC スタートアップコンデンサ
DBOOT ブートストラップダイオード
fPH 予熱周波数
fRUN 設定周波数
HO 出力、ハイサイド駆動部、ピン
LO 出力、ローサイド駆動部、ピン
M1 ハーフブリッジスイッチ
M2 ハーフブリッジスイッチ
RBUS 外部抵抗器
RCS 外部電流感知抵抗器
RDT デッドタイム内部抵抗器
RPH 抵抗器
RSUPPLY 供給抵抗器
RT 抵抗器
RVDC 内部抵抗器
SD ピン
S4 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整可能な速度で充電または放電することができるタイミングコンデンサと、
前記コンデンサに結合され、このコンデンサを、前記調整可能な速度で充電または放電させるための調整可能な電流源と、
前記コンデンサの電荷値に基づいて、このコンデンサの充電または放電の状態を変化させるための閾値回路と、
充電または放電の状態の前記変化を決定するための、前記コンデンサの電荷値との比較のための、前記閾値回路内の閾値とを備える、調整可能な発振器回路。
【請求項2】
前記コンデンサに供給される電流を変化させるように動作しうる、前記調整可能な電流源内のスイッチをさらに備える、請求項1に記載の発振器回路。
【請求項3】
前記スイッチに結合され、前記コンデンサに供給される電流を変化させることに寄与するデジタルアナログコンバータをさらに備える、請求項2に記載の発振器回路。
【請求項4】
前記スイッチに結合され、電流源から供給される電流の最小量を設定するための受動構成要素をさらに備える、請求項2に記載の発振器回路。
【請求項5】
前記閾値を前記コンデンサ電荷値と比較するための、前記閾値回路内のコンパレータをさらに備える、請求項1に記載の発振器回路。
【請求項6】
前記コンパレータに結合された出力、および前記閾値に結合された入力を有し、前記閾値を前記コンパレータに選択的に印加することを可能にする閾値スイッチをさらに備える、請求項5に記載の発振器回路。
【請求項7】
前記閾値は、第1および第2の閾値を有し、前記第1閾値は、充電および放電の一方との間の遷移点を決定し、前記第2閾値が充電および放電の他方との間の遷移点を決定するようになっている、請求項1に記載の発振器回路。
【請求項8】
前記コンデンサに結合された入力と、前記第1および第2の閾値の少なくとも一方に選択的に結合された別の入力とを有する、前記閾値回路内のコンパレータをさらに備える、請求項7に記載の発振器回路。
【請求項9】
前記コンパレータに結合された出力と、前記第1および第2の閾値の少なくとも一方に結合された入力とを有するスイッチをさらに備え、それによって、前記第1および第2の閾値が前記コンパレータの前記入力に選択的に印加されるようになっている、請求項8に記載の発振器回路。
【請求項10】
請求項7に記載の発振器回路を備える電子安定器制御装置。
【請求項11】
可変コンデンサ電荷値を得るためにコンデンサを、選択された速度で充電または放電させること、
前記コンデンサ電荷値がいつ所定の値に達するかを決定すること、
前記コンデンサの前記充電または放電の状態を変化させること、および
前記選択された速度をデジタル値で制御することを含む、可変周波数信号を与える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−520129(P2006−520129A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501214(P2006−501214)
【出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/006426
【国際公開番号】WO2004/079471
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(504392083)インターナショナル レクティファイアー コーポレイション (107)
【Fターム(参考)】