説明

デュアルインターフェースカードの製造方法

【課題】デュアルインターフェースモジュールのRF端子とアンテナ内蔵カードのアンテナ端子との電気的接続が限られたサイズの接続端子領域でも接合信頼性が得られるデュアルインターフェースカードの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にプレハンダ81を形成し、アンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にクリームハンダ層85を形成し、アンテナ内蔵カード50bのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し、プレスヘッド91にて熱プレスしてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード100を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種証明証や電子決済システム、ドアの開閉システム等に使用される接触式と非接触式の通信手段を有するデュアルインターフェースカードの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードは、接続端子を介してデータの通信を行う接触型ICカードと、コイルを通じて電磁誘導により通信を行う非接触型ICカードに分類され、主に、接触型ICカードは、決済用途、非接触型ICカードは、交通システム等のゲートアクセス管理に用いられている。
【0003】
近年、接触型ICカードの機能と非接触型ICカードの機能とを1つのICチップで併せ持つICモジュール(以下、デュアルインターフェースモジュールと称す)を用いた接触型非接触型共用ICカード(以下、デュアルインターフェースカードと称す)が開発されている。
このようなデュアルインターフェースカードの一例として、ICモジュールのアンテナ接続端子と、カード基体に形成されたアンテナ接続端子とを電気的に接続してなるデュアルインターフェースカードにおいて、カード基体に形成されたアンテナコイル接続端子と、ICモジュールのアンテナコイル接続端子との接合を導電性接着材料のみ、または導電性接着材料と絶縁性材料とを用いて行っているデュアルインターフェースカードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これは、図6(a)及び(b)に示すように、コアシート121とオーバーシート123、124とで構成されたカード基体120の所定位置にモジュール装着するための凹部18が形成され、アンテナコイル接続端子44が露出し、アンテナコイル接続端子44上に導電性接着剤19が形成されている。
一方、外部接装置続端子112の下面にIC側アンテナコイル接続端子114が形成されたICモジュールを、カード基体120の凹部18に装着し、加熱プレスすることにより、導電性接着剤19を介して基体側アンテナコイル接続端子44と接続してデュアルインターフェースカードを作製する。
【0005】
上記デュアルインターフェースカードのICモジュールのIC側アンテナ接続端子114とカード基体120に形成されたアンテナ接続端子44との接合は、導電性接着材料、または導電性接着材料と絶縁性材料とを用いて行っているので、接続端子の接着強度と導電性は確保できるが、アンテナ接続端子の面積が大きくなることから高密度実装タイプのデュアルインターフェースモジュールを用いてデュアルインターフェースカードを作製する場合接続端子の設計上の問題が発生する。
【特許文献1】特開2000−182017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、RF端子が形成されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、デュアルインターフェースモジュールのRF端子とアンテナ内蔵カードのアンテナ端子との電気的接続が限られたサイズの接続端子領域でも接合信頼性が得られるデュアルインターフェース
カードの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に於いて上記問題を解決するために、まず請求項1においては、絶縁基板の一方の面に外部接続端子が、他方の面にRF(Radio Frequency)端子が形成され、ICチップが実装されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、
少なくとも以下の工程を具備することを特徴とするデュアルインターフェースカードの製造方法としたものである。
(a)オーバーレイ11の一方の面にデザイン絵柄31を、他方の面に接着樹脂層21を形成した加工シート10を作製する工程
(b)耐熱性シート12の所定位置にアンテナコイル42と、アンテナ端子41とを形成したアンテナシート20を作製する工程。
(c)アンテナシート20の両面に加工シート10を積層し、熱プレス加工してアンテナ内蔵ブロックシート30を作製する工程。
(d)アンテナ内蔵ブロックシート30をカード形状に加工してアンテナ内蔵カード40を作製する工程。
(e)アンテナ内蔵カード40の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー55を形成し、アンテナ端子41を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50を作製する工程。
(f)絶縁基材13の一方の面に外部接続端子71が、他方の面にRF端子61が形成され、ICチップ51が実装されたデュアルインターフェースモジュール60を作製する工程。
(g)デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にプレハンダ81を形成し、RF端子61上にプレハンダ81が形成されたデュアルインターフェースモジュール60aを作製する工程。
(h)キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にクリームハンダ層85を形成し、アンテナ端子41上にクリームハンダ層85が形成されたアンテナ内蔵カード50bを作製する工程。
(i)アンテナ内蔵カード50bのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し、プレスヘッド91にて熱プレスしてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード100を作製する工程。
【0008】
また、請求項2においては、絶縁基板の一方の面に外部接続端子が、他方の面にRF(Radio Frequency)端子が形成され、ICチップが実装されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、
少なくとも以下の工程を具備することを特徴とするデュアルインターフェースカードの製造方法としたものである。
(a)オーバーレイ11の一方の面にデザイン絵柄31を、他方の面に接着樹脂層21を形成した加工シート10を作製する工程
(b)耐熱性シート12の所定位置にアンテナコイル42と、アンテナ端子41とを形成したアンテナシート20を作製する工程。
(c)アンテナシート20の両面に加工シート10を積層し、熱プレス加工してアンテナ内蔵ブロックシート30を作製する工程。
(d)アンテナ内蔵ブロックシート30をカード形状に加工してアンテナ内蔵カード40を作製する工程。
(e)アンテナ内蔵カード40の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアル
インターフェースモジュールを装着するためのキャビティー55を形成し、アンテナ端子41を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50を作製する工程。
(f)絶縁基材13の一方の面に外部接続端子71が、他方の面にRF端子61が形成され、ICチップ51が実装されたデュアルインターフェースモジュール60を作製する工程。
(g)デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にクリームハンダ層86を形成し、RF端子61上にクリームハンダ層86が形成されたデュアルインターフェースモジュール60bを作製する工程。
(h)キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にプレハンダ82を形成し、アンテナ端子41上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aを作製する工程。
(i)アンテナ端子41上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60bを位置合わせして装着し、プレスヘッド91にて熱プレスしてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード200を作製する工程。
【0009】
また、請求項3においては、絶縁基板の一方の面に外部接続端子が、他方の面にRF(Radio Frequency)端子が形成され、ICチップが実装されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、
少なくとも以下の工程を具備することを特徴とするデュアルインターフェースカードの製造方法としたものである。
(a)オーバーレイ11の一方の面にデザイン絵柄31を、他方の面に接着樹脂層21を形成した加工シート10を作製する工程
(b)耐熱性シート12の所定位置にアンテナコイル42と、アンテナ端子41とを形成したアンテナシート20を作製する工程。
(c)アンテナシート20の両面に加工シート10を積層し、熱プレス加工してアンテナ内蔵ブロックシート30を作製する工程。
(d)アンテナ内蔵ブロックシート30をカード形状に加工してアンテナ内蔵カード40を作製する工程。
(e)アンテナ内蔵カード40の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー55を形成し、アンテナ端子41を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50を作製する工程。
(f)絶縁基材13の一方の面に外部接続端子71が、他方の面にRF端子61が形成され、ICチップ51が実装されたデュアルインターフェースモジュール60を作製する工程。
(g)デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にプレハンダ81を形成し、RF端子61上にプレハンダ82が形成されたデュアルインターフェースモジュール60aを作製する工程。
(h)キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にプレハンダ82を形成し、RF端子61上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aを作製する工程。
(i)プレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し、プレスヘッド91にて熱プレスしてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード300を作製する工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明のデュアルインターフェースカードの製造方法では、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上、もしくはアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にプレハンダを形成し、クリームハンダ層を介してデュアルインターフェースモジュール60のRF端子61とアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41とをハンダ接合するため、限られた面積の接続端子領域上でも接合信頼性に優れたデュアルインターフェースカードを得ることができ、高密度デュアルインターフェースモジュールを用いたデュアルインターフェースカードの場合でも端子設計の裕度を持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
本発明のデュアルインターフェースカードの製造方法について説明する。
図1(a)〜(d)、図2(e)〜(h)及び図3(i)〜(j)は、本発明の請求項1に係るデュアルインターフェースカードの製造方法の一例を工程順に示す説明図である。まず、PET−G基材もしくは塩化ビニールシート等からなるオーバーレイ11の一方の面にオフセット印刷、スクリーン印刷等にてパターン、絵柄を印刷して、デザイン絵柄31を形成する。さらに、熱可塑性樹脂溶液をグラビア印刷等にて塗工して塗膜を形成し、乾燥して接着樹脂層21を形成した加工シート10を作製する(図1(a)参照)。
ここで、接着樹脂層21としては、エチレンビニルアルコール(EVA)、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系の単体若しくは混合によるホットメルト型シート形態の接着剤、2液反応型エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、UV及びカチオン重合、嫌気、湿気等の併用硬化により完全硬化する樹脂の単独、或いは混合物を用いることが出来る。
【0012】
PET−Gシート等からなるコアシート12の所定位置にアンテナコイル42及びアンテナ接続端子41を形成したアンテナシート20を作製する(図1(b)及び(c)参照)。
ここで、図1(b)は、アンテナシート20の模式平面図、図1(c)は、図1(b)をA−A’線で切断したアンテナシート20の模式構成断面図を示す。
アンテナコイル42及びアンテナ接続端子41は、コアシート12に銅箔が積層された銅箔付きコアシートの銅箔をフォトエッチングプロセスでパターニング処理して形成するか、コアシート12上に導電ペーストをスクリーン印刷等でパターン印刷して、乾燥硬化して形成する等の方法で形成する。
さらに、アンテナ接続端子41上には、スズめっきあるいはハンダめっきを施す。
【0013】
次に、アンテナシート20の両面に、オーバーレイ11の一方の面にデザイン絵柄31が、他方の面に接着樹脂層21が形成された加工シート10を積層し(図1(d)参照)、所定の温度、圧力で熱プレス加工することにより、アンテナコイル42及びアンテナ接続端子41が多面付けされたアンテナ内蔵ブロックシート30を作製する(図2(e)参照)。
【0014】
次に、上記アンテナ内蔵ブロックシート30を所定のカード寸法にパンチャーで打ち抜き加工し、アンテナ内蔵カード40を作製する(図2(f)参照)。
【0015】
次に、アンテナ内蔵カード40の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー55を形成し、アンテナ端子41を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50を作製する(図2(g)参照)。
【0016】
次に、ガラスエポキシ、ポリイミド等の絶縁基材13の両面に銅箔が積層された両面銅貼り積層板をフォトエッチングプロセス等でパターニング処理、ビア加工処理して、絶縁基材13の一方の面に外部接続端子71が、他方の面にRF端子61を形成し、外部接続
端子71にはニッケル、金メッキを、RF端子61には、スズめっきあるいはハンダめっきを施す。
さらに、ICチップ51をフェースダウンボンディング等で実装して、ICチップ51が実装されたデュアルインターフェースモジュール60を作製する(図2(h)参照)。
ここで、外部接続端子71とRF端子61とはフィルドビア及び配線層(特に、図示せず)にてICチップ51の電極とそれぞれ電気的に接続されている。
さらに、必要に応じてICチップ51周辺部をエポキシ系樹脂を用いて封止する。
【0017】
次に、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にプレハンダ81を形成し、RF端子61上にプレハンダ81が形成されたデュアルインターフェースモジュール60aを作製する(図3(i)参照)。
【0018】
次に、キャビティー55が形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にクリームハンダを塗布してクリームハンダ層85を形成し、アンテナ端子41上にクリームハンダ層85が形成されたアンテナ内蔵カード50bを作製する(図3(i)参照)。
【0019】
次に、アンテナ内蔵カード50bのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し(図5(i)参照)、180〜220℃に加熱されたプレスヘッド91にて1秒間ほど熱プレスして、RF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、ホットメルトシートにてデュアルインターフェースモジュール60aをキャビティーに埋設固定し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード100を作製する(図3(j)参照)。
【0020】
図1(a)〜(d)、図2(e)〜(h)及び図4(i)〜(j)は、本発明の請求項2に係るデュアルインターフェースカードの製造方法の一例を工程順に示す説明図である。
まず、上記と同じ製造工程にて、加工シート10(図1(a)参照)、アンテナシート20(図1(b)及び(c)参照)、アンテナ内蔵ブロックシート30(図2(e)参照)、アンテナ内蔵カード40(図2(f)参照)、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50(図2(g)参照)、デュアルインターフェースモジュール60(図2(h)参照)をそれぞれ作製する。
【0021】
次に、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にクリームハンダを塗布してクリームハンダ層86を形成し、RF端子61上にクリームハンダ層86が形成されたデュアルインターフェースモジュール60bを作製する(図4(i)参照)。
【0022】
次に、キャビティー55が形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にプレハンダ82を形成し、アンテナ端子41上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aを作製する(図4(i)参照)。
【0023】
次に、180〜220℃に加熱されたホットプレスでデュアルインターフェースモジュール60bをプレヒートして、アンテナ内蔵カード50bのキャビティー55に位置合わせして装着し(図4(i)参照)、プレハンダ上部でプレスヘッド91を1秒ほど停止させてプレハンダに熱を伝え、熱プレスしてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、ホットメルトシートにてデュアルインターフェースモジュール60bをキャビティーに埋設固定し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード200を作製する(図4(j)参照)。
【0024】
図1(a)〜(d)、図2(e)〜(h)及び図5(i)〜(j)は、本発明の請求項3に係るデュアルインターフェースカードの製造方法の一例を工程順に示す説明図である

まず、上記と同じ製造工程にて、加工シート10(図1(a)参照)、アンテナシート20(図1(b)及び(c)参照)、アンテナ内蔵ブロックシート30(図2(e)参照)、アンテナ内蔵カード40(図2(f)参照)、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50(図2(g)参照)、デュアルインターフェースモジュール60(図2(h)参照)をそれぞれ作製する。
【0025】
次に、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にプレハンダ81を形成し、RF端子61上にプレハンダ81が形成されたデュアルインターフェースモジュール60aを作製する(図5(i)参照)。
【0026】
次に、キャビティー55が形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にプレハンダ82を形成し、アンテナ端子41上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aを作製する(図5(i)参照)。
【0027】
次に、アンテナ内蔵カード50aのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し(図5(i)参照)、180〜220℃に加熱されたプレスヘッド91にて1秒ほど熱プレスして、RF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、ホットメルトシートにてデュアルインターフェースモジュール60aをキャビティーに埋設固定し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード300を作製する(図5(j)参照)。
【0028】
本発明の製造方法にて作製されたデュアルインターフェースカードは、プレハンダとクリームハンダ層にてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合するため、限られた面積の接続端子領域上でも接合信頼性に優れたデュアルインターフェースカードを得ることができ、高密度デュアルインターフェースモジュールを用いた場合でも端子設計の裕度を持たせることができる。
【実施例1】
【0029】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
まず、0.3mm厚のPET−G基材からなるオーバーレイ11の一方の面にオフセット印刷、スクリーン印刷等にてパターン、絵柄を印刷して、デザイン絵柄31を形成した。さらに、オーバーレイ11の他方の面にポリエステル樹脂溶液をグラビアコーターにて塗工して塗膜を形成し、乾燥して2〜3μm厚の接着樹脂層21を形成した加工シート10を作製した(図1(a)参照)。
【0030】
次に、0.2mm厚のPET−G基材からなるコアシート12の両面に銅箔が積層された両面銅張り積層板の銅箔をフォトエッチングプロセスにてパターニング処理し、コアシート12の所定位置にアンテナコイル42及びアンテナ接続端子41を形成し、アンテナ接続端子41上にハンダめっき層(特に、図示せず)を形成したアンテナシート20を作製した(図1(b)及び(c)参照)
次に、アンテナシート20の両面に、オーバーレイ11の一方の面にデザイン絵柄31が、他方の面に接着樹脂層21が形成された加工シート10を積層し(図1(d)参照)、温度120℃、圧力15kg/cm2で20分間熱プレス加工することにより、アンテナコイル42及びアンテナ接続端子41が多面付けされたアンテナ内蔵ブロックシート30を作製した(図2(e)参照)。
【0031】
次に、上記アンテナ内蔵ブロックシート30を所定のカード寸法にパンチャーで打ち抜き加工し、アンテナ内蔵カード40を作製した(図2(f)参照)。
【0032】
次に、アンテナ内蔵カード40の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー55を形成し、アンテナ端子41を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50を作製した(図2(g)参照)。
【0033】
次に、ガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基材13の両面に銅箔を積層した両面銅貼り積層板をフォトエッチングプロセス等でパターニング処理、ビア加工処理して、外部接続端子71、RF端子61、配線層及びフィルドビアを形成し、外部接続端子71上に2μm厚のニッケル層及び0.3μm厚の金層(特に、図示せず)を、RF端子61上に10μm厚のハンダめっき層(特に、図示せず)を形成した。
さらに、ICチップ51をフェースダウンボンディングで実装して、絶縁基材13の一方の面に外部接続端子71が、他方の面にRF端子61が形成され、ICチップ51が実装されたデュアルインターフェースモジュール60を作製した(図2(h)参照)。
【0034】
次に、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にディスペンサーにてプレハンダ81を形成し、RF端子61上にプレハンダ81が形成されたデュアルインターフェースモジュール60aを作製した(図3(i)参照)。
【0035】
次に、キャビティー55が形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にクリームハンダを塗布してクリームハンダ層85を形成し、アンテナ端子41上にクリームハンダ層85が形成されたアンテナ内蔵カード50bを作製した(図3(i)参照)。
【0036】
次に、アンテナ内蔵カード50bのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し(図5(i)参照)、200℃に加熱されたプレスヘッド91にて1秒間熱プレスして、RF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、ホットメルトシートにてデュアルインターフェースモジュール60aをキャビティーに埋設固定し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード100を作製した(図3(j)参照)。
【実施例2】
【0037】
まず、実施例1と同様な工程で、加工シート10(図1(a)参照)、アンテナシート20(図1(b)及び(c)参照)、アンテナ内蔵ブロックシート30(図2(e)参照)、アンテナ内蔵カード40(図2(f)参照)、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50(図2(g)参照)、デュアルインターフェースモジュール60(図2(h)参照)をそれぞれ作製した。
【0038】
次に、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にクリームハンダを塗布してクリームハンダ層86を形成し、RF端子61上にクリームハンダ層86が形成されたデュアルインターフェースモジュール60bを作製した(図4(i)参照)。
【0039】
次に、キャビティー55が形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にディスペンサーにてプレハンダ82を形成し、アンテナ端子41上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aを作製した(図4(i)参照)。
【0040】
次に、200℃に加熱されたホットプレスを用いてデュアルインターフェースモジュール60bをプレヒートして、アンテナ内蔵カード50bのキャビティー55に位置合わせして装着し(図4(i)参照)、プレハンダ上部でプレスヘッド91を1秒程停止させてプレハンダに熱を伝え、熱プレスしてRF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、ホットメルトシートにてデュアルインターフェースモジュール60bをキャビティーに埋設固定し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデ
ュアルインターフェースカード200を作製した(図4(j)参照)。
【実施例3】
【0041】
まず、実施例1と同様な工程で、加工シート10(図1(a)参照)、アンテナシート20(図1(b)及び(c)参照)、アンテナ内蔵ブロックシート30(図2(e)参照)、アンテナ内蔵カード40(図2(f)参照)、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード50(図2(g)参照)、デュアルインターフェースモジュール60(図2(h)参照)をそれぞれ作製した。
【0042】
次に、デュアルインターフェースモジュール60のRF端子61上にディスペンサーにてプレハンダ81を形成し、RF端子61上にプレハンダ81が形成されたデュアルインターフェースモジュール60aを作製した(図5(i)参照)。
【0043】
次に、キャビティー55が形成されたアンテナ内蔵カード50のアンテナ端子41上にディスペンサーにてプレハンダ82を形成し、アンテナ端子41上にプレハンダ82が形成されたアンテナ内蔵カード50aを作製した(図5(i)参照)。
【0044】
次に、アンテナ内蔵カード50aのキャビティー55にデュアルインターフェースモジュール60aを位置合わせして装着し(図5(i)参照)、200℃に加熱されたプレスヘッド91にて1秒間熱プレスして、RF端子61とアンテナ端子41とをハンダ接合し、ホットメルトシートにてデュアルインターフェースモジュール60aをキャビティーに埋設固定し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード300を作製した(図5(j)参照)。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a)〜(d)は、本発明のデュアルインターフェースカードの製造方法の製造工程の一部を示す説明図である。
【図2】(e)〜(h)は、本発明のデュアルインターフェースカードの製造方法の製造工程の一部を示す説明図である。
【図3】(i)〜(j)は、本発明のデュアルインターフェースカードの請求項1に係わる製造方法の製造工程の一部を示す説明図である。
【図4】(i)〜(j)は、本発明のデュアルインターフェースカードの請求項2に係わる製造方法の製造工程の一部を示す説明図である。
【図5】(i)〜(j)は、本発明のデュアルインターフェースカードの請求項3に係わる製造方法の製造工程の一部を示す説明図である。
【図6】(a)〜(b)は、デュアルインターフェースカードの構成の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10……加工シート
11……オーバーレイ
12……コアシート
13……絶縁基材
18……凹部
19……導電性接着剤
20……アンテナシート
21……接着樹脂層
33……アンテナ内蔵ブロックシート
31……デザイン絵柄
40……アンテナ内蔵カード
41……アンテナ接続端子
42、43……アンテナコイル
44……アンテナコイル接続端子
50……キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード
50a……アンテナ端子上にプレハンダが形成されたアンテナ内蔵カード
50b……アンテナ端子上にクリームハンダ層が形成されたアンテナ内蔵カード
51……ICチップ
55……キャビティー
60……デュアルインターフェースモジュール
60a……RF端子上にプレハンダが形成されたデュアルインターフェースモジュール
60b……RF端子上にクリームハンダ層が形成されたデュアルインターフェースモジュール
61……RF端子
71……外部接続端子
81、82……プレハンダ
85、86……クリームハンダ層
91……プレスヘッド
112……外部装置接続端子
114……IC側アンテナコイル端子
115……モールド樹脂
120……カード基体
121……コアシート
123、124……オーバーシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板の一方の面に外部接続端子が、他方の面にRF(Radio Frequency)端子が形成され、ICチップが実装されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、
少なくとも以下の工程を具備することを特徴とするデュアルインターフェースカードの製造方法。
(a)オーバーレイ(11)の一方の面にデザイン絵柄(31)を、他方の面に接着樹脂層(21)を形成した加工シート(10)を作製する工程
(b)耐熱性シート(12)の所定位置にアンテナコイル(42)と、アンテナ端子(41)とを形成したアンテナシート(20)を作製する工程。
(c)アンテナシート(20)の両面に加工シート(10)を積層し、熱プレス加工してアンテナ内蔵ブロックシート(30)を作製する工程。
(d)アンテナ内蔵ブロックシート(30)をカード形状に加工してアンテナ内蔵カード(40)を作製する工程。
(e)アンテナ内蔵カード(40)の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー(55)を形成し、アンテナ端子(41)を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード(50)を作製する工程。
(f)絶縁基材(13)の一方の面に外部接続端子(71)が、他方の面にRF端子(61)が形成され、ICチップ(51)が実装されたデュアルインターフェースモジュール(60)を作製する工程。
(g)デュアルインターフェースモジュール(60)のRF端子(61)上にプレハンダ(81)を形成し、RF端子(61)上にプレハンダ(81)が形成されたデュアルインターフェースモジュール(60a)を作製する工程。
(h)キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード(50)のアンテナ端子(41)上にクリームハンダ層(85)を形成し、アンテナ端子(41)上にクリームハンダ層(85)が形成されたアンテナ内蔵カード(50b)を作製する工程。
(i)アンテナ内蔵カード(50b)のキャビティー(55)にデュアルインターフェースモジュール(60a)を位置合わせして装着し、プレスヘッド(91)にて熱プレスしてRF端子(61)とアンテナ端子(41)とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード(100)を作製する工程。
【請求項2】
絶縁基板の一方の面に外部接続端子が、他方の面にRF(Radio Frequency)端子が形成され、ICチップが実装されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、
少なくとも以下の工程を具備することを特徴とするデュアルインターフェースカードの製造方法。
(a)オーバーレイ(11)の一方の面にデザイン絵柄(31)を、他方の面に接着樹脂層(21)を形成した加工シート(10)を作製する工程
(b)耐熱性シート(12)の所定位置にアンテナコイル(42)と、アンテナ端子(41)とを形成したアンテナシート(20)を作製する工程。
(c)アンテナシート(20)の両面に加工シート(10)を積層し、熱プレス加工してアンテナ内蔵ブロックシート(30)を作製する工程。
(d)アンテナ内蔵ブロックシート(30)をカード形状に加工してアンテナ内蔵カード(40)を作製する工程。
(e)アンテナ内蔵カード(40)の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュ
アルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー(55)を形成し、アンテナ端子(41)を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード(50)を作製する工程。
(f)絶縁基材(13)の一方の面に外部接続端子(71)が、他方の面にRF端子(61)が形成され、ICチップ(51)が実装されたデュアルインターフェースモジュール(60)を作製する工程。
(g)デュアルインターフェースモジュール(60)のRF端子(61)上にクリームハンダ層(86)を形成し、RF端子(61)上にクリームハンダ層(86)が形成されたデュアルインターフェースモジュール(60b)を作製する工程。
(h)キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード(50)のアンテナ端子(41)上にプレハンダ(82)を形成し、アンテナ端子(41)上にプレハンダ(82)が形成されたアンテナ内蔵カード(50a)を作製する工程。
(i)アンテナ端子(41)上にプレハンダ(82)が形成されたアンテナ内蔵カード(50a)のキャビティー(55)にデュアルインターフェースモジュール(60b)を位置合わせして装着し、プレスヘッド(91)にて熱プレスしてRF端子(61)とアンテナ端子(41)とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード(200)を作製する工程。
【請求項3】
絶縁基板の一方の面に外部接続端子が、他方の面にRF(Radio Frequency)端子が形成され、ICチップが実装されたデュアルインターフェースモジュールとアンテナコイルとアンテナ端子が内蔵されたアンテナ内蔵カードとを用いて作製されるデュアルインターフェースカードの製造方法において、
少なくとも以下の工程を具備することを特徴とするデュアルインターフェースカードの製造方法。
(a)オーバーレイ(11)の一方の面にデザイン絵柄(31)を、他方の面に接着樹脂層(21)を形成した加工シート(10)を作製する工程
(b)耐熱性シート(12)の所定位置にアンテナコイル(42)と、アンテナ端子(41)とを形成したアンテナシート(20)を作製する工程。
(c)アンテナシート(20)の両側に加工シート(30)を積層し、熱プレス加工してアンテナ内蔵ブロックシート(30)を作製する工程。
(d)アンテナ内蔵ブロックシート(30)をカード形状に加工してアンテナ内蔵カード(40)を作製する工程。
(e)アンテナ内蔵カード(40)の所定位置をザグリ加工(ミーリング加工)してデュアルインターフェースモジュールを装着するためのキャビティー(55)を形成し、アンテナ端子(41)を露出して、キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード(50)を作製する工程。
(f)絶縁基材(13)の一方の面に外部接続端子(71)が、他方の面にRF端子(61)が形成され、ICチップ(51)が実装されたデュアルインターフェースモジュール(60)を作製する工程。
(g)デュアルインターフェースモジュール(60)のRF端子(61)上にプレハンダ(81)を形成し、RF端子(61)上にプレハンダ(82)が形成されたデュアルインターフェースモジュール(60a)を作製する工程。
(h)キャビティーが形成されたアンテナ内蔵カード(50)のアンテナ端子(41)上にプレハンダ(82)を形成し、RF端子(61)上にプレハンダ(82)が形成されたアンテナ内蔵カード(50a)を作製する工程。
(i)プレハンダ(82)が形成されたアンテナ内蔵カード(50a)のキャビティー(55)にデュアルインターフェースモジュール(60a)を位置合わせして装着し、プレスヘッド(91)にて熱プレスしてRF端子(61)とアンテナ端子(41)とをハンダ接合し、デュアルインターフェースモジュールとアンテナとが電気的に接続されたデュアルインターフェースカード(300)を作製する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−97081(P2008−97081A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274797(P2006−274797)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】