説明

データ・ネットワークを使用した気象/災害警報システム

警報受信機(26)は符号化された信号をネットワークから受信する判別器を具える。この符号化信号は、ネットワークに結合された情報源から出来事を報告し、判別器(32)は符号化信号(これには地理的位置を表すコードを含む)を特定地域に関連するコードと比較して、ユーザに警報すべきかどうか判断する。警報装置(30)は、符号化信号と特定地域関連のコードとを比較した結果に反応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報装置、特にデータ・ネットワークを介して警報を受信する警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予測できない出来事(嵐、地震、テロリストの攻撃など)は人々の安全と幸福に被害を及ぼす危険な状況である。このような出来事の間、警報が被災者に適時に伝えられるなら負傷および財産の損害の程度は最少限度に抑えられるであろう。
【0003】
大多数の配信放送ネットワーク(ケーブル・ネットワーク、衛星ネットワーク、エアウエーブ放送ネットワークなど)のコンテンツは、ローカル支局のような地方の放送システムを使用して放送される。このようなローカル・ネットワークは、非常事態が発生すると警報メッセージを放送することができる。このような警報システムは制限を受ける。というのも、そのような放送局からのメッセージを受信する装置が作動していないか、またはそのようなメッセージを送信している放送局に同調していなければ、非常用の情報は視聴されないからである。更に、メディアの整理統合および独立したローカル支局の廃止と共に、地方の放送局に代る全国的ベースによる放送ネットワークによって製作され管理される放送番組が増加している。従って、ローカル・ソース(地方のニュース支局)からよりもむしろ、地方関連の番組に代る全国的番組を配信するEchoStar(登録商標)やDirecTV(登録商標)のようなナショナル・ソースからのメディア番組の受信者が増加しているので、このような全国的放送局は全国的放送を中断せずに非常用メッセージを配信する手段を欠くこともある。
【0004】
また、全国的放送局は非常用メッセージを配信するのに困難を有する。このようなメッセージは、地方の支局に送信される前に、全国的放送局の中心地で受信されなければならない。対照的に、地方の支局は大方、全国的放送局よりも距離的に地方の視聴者に近いので、より素早く応答して緊急事態に関するメッセージを配信するであろう。
【0005】
従って、非常用の情報がエンドユーザ(end user:最終使用者)または潜在的被害者に効果的に到達できるようにするシステムと方法が必要である。更に、メディア・チャンネル/ステーション(局)を視聴していない個人にも警報するシステムおよび方法が必要である。
【発明の開示】
【0006】
(発明の概要)
本発明は判別器を含む警報受信機を具え、符号化(された)信号をデータ・ネットワークから受信する。この符号化信号は、ネットワークに結合された情報源から出来事(事件、イベント)を報告する。ネットワークでは、判別器が符号化信号(これには地理的位置を表すコードを含む)と特定地域に関連するコード(code:符号)とを比較し、ユーザに警報すべきかどうか判断する。警報装置は、符号化信号と特定地域関連のコードとを比較した結果に応答する。
【0007】
警報システムはユーザの場所(居所)に配置される受信機を含んでいる。ユーザの場所はそれに関連するコード名を有する。受信機はネットワークに結合され、ネットワークから、複数の符号化されたレポート(報告)が受信機に供給される。判別器はこの符号化レポートを復号化して、ユーザの場所に関連するコード名に対応するレポートであることを確かめる。警報装置はユーザの場所に配置され、ユーザの場所に関連するコード名に対応するレポートをユーザに通知する。
【0008】
ユーザの場所はそれに関連するコード名を有する。受信機はテレビジョン信号を搬送するネットワークに結合され、そのテレビジョン信号を受信する。また、受信機は、符号化されたレポートを受信して、音声および視覚テータから分離するように構成される。受信機は判別器を具え、判別器はこの符号化レポートを解読し、ユーザの場所に関連するコード名に対応するレポートを確かめる。警報装置はユーザの場所に配置され、ユーザの場所に関連するコード名に対応するレポートをユーザに通知する。
【0009】
本発明は願書に添付した4枚の図面に関連して説明されるが、本発明の原理は衛星ネットワーク、ケーブル・ネットワーク、テレコミュニケーション(遠距離通信)に基づくネットワーク、およびその他のタイプの通信ネットワークに応用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施例はNWS(National Weather Service:米国気象課)で開発したSAMEコードで動作するが、他の地理的コード/気象関連コードも使用できる。SAMEメッセージはASCII形式のメッセージであることが好ましく、これは約50バイトの長さである。
【0011】
SAMEメッセージ用のデータ構造を表1に例示する。
【表1】

【0012】
例えば、AB、ZCZC、WXR、NNNNは、SAMEメッセージの設定に使用されるデータ・コードを表す。これらのコードは受信機をデータ・ストリームにトリガ(同期)させるために使用される。識別子「WXR」は、そのメッセージがNWS(米国気象課)からの音声メッセージであることを示す。しかしながら、複数のソースを使用することもでき、この識別子によって、他のソースもメッセージを(他の手段を介して)オリジネート(創作)でき、本システムにも適合できる。本発明は、データ・ネットワーク(衛星ネットワーク、セルラ・ネットワーク、テレビジョン放送ネットワーク、ケーブル、モデム、ディジタル加入者線など)により、イベント情報を放送する方法とシステムを提供する。イベント情報は、特定のローカル・エリアに配送するように指定できる。これらのエリアは情報源および/または中間位置(例えば、ケーブル・システムの場合、ヘッドエンド・ネットワーク)において、あるいは目的地(個人の家庭)において、決定される。最も影響を受けると思われるローカル・エリア(地域)が決定されると、本発明のシステムは、ローカル・エリア内の個人の場所における受信装置に信号を送信する。信号は可聴/視覚警報(アラーム)を発し、出来事に関するメッセージ/データが中継されていることをユーザに知らせることができ、データ/情報は本発明によりネットワークを介して伝えられる。警報信号は、設定された期間中、継続され、または出来事の期間中、継続する。
【0013】
本発明は、例示的ケーブル・ネットワーク・システムに関して説明される。しかしながら、本発明はもっと広範囲におよび、あらゆるネットワークを含み、イベント・メッセージをネットワーク全体に送信できるシステムを具える。例えば、本発明は、いかなるタイプのデータ・ネットワークにも使用できる。図面に示す要素は種々の形態のハードウェア、ソフトウェア、あるいはその組合せとして実施できることも理解されるべきである。これらの要素は、1つまたはそれ以上の適正にプログラムされた汎用装置(プロセッサ、メモリおよび入力/出力インタフェースを含む)でハードウェアとソフトウェアを組み合わせて実施されるのが好ましい。
【0014】
図面に関して詳細に述べるが、幾つかの図面を介して、同様な参照番号は同様なまたは同一の要素を表す。最初に図1に関し、本発明による通信ネットワーク・システム10を示す。通信ネットワーク・システム(データ・ネットワークとも称される)には1つまたはそれ以上の情報源12が含まれ、情報源12として、衛星、放送局、気象局、セルラサイトその他の送信源が含まれる。本実施例で、情報源12はデータ/情報を番組配信者(program distributor)18に提供する。好ましい実施例では、衛星ネットワークは情報源12として番組14を番組配信者18に提供する。番組配信者18は複数のソースから情報を受信できる。例えば、ケーブル・ネットワーク番組配信者18はローカル放送局16(地元のラジオ局のような)から、衛星12から、あるいは補助ソース22(電話またはケーブル/無線ネットワーク)から、情報を受信できる。
【0015】
気象警報やテロリストの攻撃のような警報を要する状況の間、米国ホームランド保安局および米国気象課のような政府機関は警報により出来事を知らせる。SAME時刻気象警報システムまたはEMWIN(Emergency Managers Weather Information Network:緊急管理者気象情報ネットワーク)のような別の異なるシステムが、当技術分野において知られており、NOAA(National Oceanic Atomospheric Administration:米国海洋気象局))で使用されている。これらの警報は典型的に、ローカル局(地元の放送局)16によってユーザの家庭の所在地に放送されることを要求される。
【0016】
本発明では、ローカル局16を使用する代りに、警報は情報源12に送信される。警報は情報源12で使用される信号の一部として符号化され、典型的な番組情報を伝達する。例えば、情報源12は衛星あるいはケーブルの情報源であって、本発明の実施例の場合、MPEG‐2と互換性のあるデータ・ストリームの形式で番組/情報を送信するが、他のフォーマット(形式)のデータ・ストリームも使用できる。警報は、MPEG‐2データ・ストリームを形成するパケットのヘッダまたは補助的データ・フィールドの中にフォーマットされるが、パケットの他のセクションも使用できる。本実施例では、ニューヨーク・エリアの音声警報は、対応するSAME地理コード034025と共に、NOAAより発生され、これは情報源12に直接送信される。注目すべきことに、SAME情報をベースとする警報は、典型的にテキストから成るが、情報のタイプ(ビデオ、オーディオ、テキスト、グラフィック気象マップなど)はオプションとしてSAME警報に付属する。
【0017】
警報が情報源12で受信されると、音声警報はフォーマットの中にサンプリングされ、警報はMPEG‐2データ・ストリーム内に埋め込まれる。サンプリングは当技術分野で知られているように行われる。また、データは、データ・ストリームに追加され、ディジタル化された警報がSAME地理コード034025に対応することを示す。典型的に、地理コードはユーザの場所(所在地)に対応する。他の警報(ビデオまたはオーディオ情報)も同様に処理されるが、テキストをベースとする警報は、このようなディジタル化のステップを必要としないであろう。
【0018】
番組をユーザに配信するケーブル・ネットワークのヘッド・エンドまたは他のソースのような、番組配信者18としてのマルチプル・システム・オペレータ(Multiple System Operator:MSO)に、データ・ストリームが情報源12から送信される。番組配信者18の箇所で、判別器が配置され、受信したデータ・ストリーム内に挿入された警報メッセージを、テレビのショーまたは音楽のような番組提供用のデータからフィルタリングできる。この場合、番組配信者18はニューヨークの地理的エリアに対応する聴衆に番組を配信する。
【0019】
情報源12からMPEG‐2データ・ストリームを受信すると、番組配信者18は、データ・ストリーム内に在るユーザ・データ・フィールドから、埋め込まれた警報メッセージをパース(parse:解析)する。パースの間、番組配信者18は、埋め込まれた警報メッセージに対応するSAME地理コードを、その指定された加入者基地に(ニューヨーク・エリアであるとして)マッチさせる。
【0020】
このマッチ(一致)で、番組配信者18は、埋め込まれた警報メッセージを音声警報に再構成する。音声警報はケーブル・ネットワーク20を介して家庭24に送信される。この音声警報は、ケーブル・ネットワーク20で放送されている他の音声放送に取って代るのが好ましい。あるいは、番組配信者18より送信される警報メッセージは、家庭24の箇所において、音声とビデオの組合せとして提供される。
【0021】
警報メッセージを送信する際、番組配信者18は、レポート源からの関連情報を、ケーブル・ネットワーク20内に広めるために挿入する。関連情報(出来事のニュースや他の情報)は幾つかの方法で送ることができる。信号はアナログをベースとするチャンネルで、例えば、クローズド・キャプション情報として送られる。情報はセキュリティを使用するネットワーク内のフォワード・データ・チャンネル内で送られ、あるいはディジタル・チャンネルの帯域幅の一部を使用して送られる。ケーブル番組配信者18からケーブル・ネットワーク20で送られるデータ/情報は、ユーザの家庭24に送られる。ユーザはケーブルまたは他のタイプの受信機26を有し、受信機26はケーブル・ネットワークから信号を受信し、その信号を処理し、出来事をユーザに通知/警報する。番組配信者18から受信された信号は、ローカル情報で符号化されるのが好ましい。これには、出来事によって影響を受けるローカル・エリアに関する情報が含まれる。
【0022】
警報情報をレポート源からケーブル・ネットワーク20に伝達する際、番組配信者18は、警報情報の中継者としてあるいは警報のオーサ(起案者)として機能する。特に、警報の中継者となる場合、番組配信者18は原則的に、レポート源からの警報情報を、その内容をほとんど変えずに繰り返す。例えば、レポート源(情報源12)は、ニューヨーク首都圏(エリア)に差し迫っている雷雨に関するメッセージをSAME形式で番組配信者18に伝達する。このメッセージは、番組配信者18よってケーブル・ネットワーク20を介してMPEG‐2データ・トランスポート・ストリームで家庭24に送信できるフォーマット(形式)に変換される。ニューヨーク・エリアの雷雨警報に関するメッセージの内容はこの変換プロセスにおいて変化していない。
【0023】
上述したように、SAMEベースのメッセージを受信すると、番組配信者18は付加的情報をメッセージに追加して、警報のオーサとなる。追加される情報のタイプは警報メッセージを補足する音声、映像、またはテキスト情報である。例えば、SAMEベースのメッセージを受信すると、番組配信者18は、ケーブル・ネットワーク20に接続されたディスプレイ27に表示する気象マップを提供するグラフィック情報、あるいはオーディオ装置27に出力する気象メッセージの内容を話すコンピュータによるシンセサイズ(合成)音声を提供するオーディオ情報を追加し、他の形態の補足的情報が番組配信者18の好みに基づいて選択される。有利なことに、警報のオーサとなる番組配信者18は差し迫った警報状況に関し警報装置なしにユーザに通報できる。番組配信者18からの警報メッセージに追加された補足的情報が音声/視覚装置27上で提供されると、警報装置を有するユーザもその補足情報から利益を得られる。
【0024】
本発明の別の実施例で、ローカル放送信号16から、警報メッセージがケーブル・システムで得られ挿入される。番組配信者18は最初1つ以上の警報メッセージを受信する。これらのメッセージは幾つかの情報源から得られ、この情報源には、米国気象課放送をモニタしたり、可能であればインターネットその他を介してEMWINネットワークへ接続することも含まれている。次に番組配信者18は、キー・メッセージ(例えば、SAME情報)を他の情報から分離する。
【0025】
次にこのSAMEメッセージは、適切な信号フォーマット・ルール(形式規則)に従ってPID(Program Identifier:番組識別子)を付加しディジタル伝送の中に挿入することにより、付加的データとしてチャンネルのデータ・ストリームの中に挿入される。番組識別子は、番組ガイド機能を介して、あるいは他の技術によって、予め定められた固定された番号として設定される。
【0026】
この番組識別子は受信機26において、受信した情報の種類を決定するために使用される。この場合、番組識別子はその情報を、映像/音声信号ではなく、警報メッセージとして識別し、この情報を受信機26内に存在する警報メッセージ識別器および判別器32(図2)に送信し処理する。警報メッセージのサイズが小さいので、すべての番組チャンネルの中に同時に挿入するのが容易となる。更に、これらの信号はディジタル・ネットワークで送信できる。VBI(Vertical Blanking Interval:垂直帰線消去期間)挿入でアナログ信号と共に使用する他の実施例も同様に考えられる。
【0027】
受信機26には、セットトップ・ボックス、テレビジョン受像機、コンピュータ、ラジオ、ケーブル/電話モデム、その他利用者への警報中継用に装備される装置が含まれる。各家庭24はそれぞれ異なる受信装置または異なるセットアップを具えるので、ケーブル・システムの場合、すべての家庭がその情報を確実に受信できるようにデータを幾つかの方法で幾つかのチャンネルを介して送信する必要がある。
【0028】
ケーブル・ネットワーク20は通常、地域的に運営されるので番組配信者18はサービス・エリアに提供される警報メッセージを選択しなければならない。これは、番組配信者18において情報を受信する方法により異なるが、手動によりまたは自動的に行われる。例えば、ヘッドエンド・ネットワークで受信されるメッセージは、出来事によって影響を受けると思われるエリアに関して符号化される。または、受信された情報は、出来事について警報を受ける地域に基づいて、番組配信者18において符号化される。送られるデータの総量は、警報メッセージにしては極めて小さい。従って、チャンネル帯域幅が著しく失われることは予期されない。
【0029】
図3はアナログ形式を使用するケーブル・ネットワークに信号を転送するためのVBI挿入の一例を示す。VBIデータは信号源において入力されるのが好ましい。本発明により警報データを転送するために、例えば、クローズドキャプション・システムを使用してメッセージを送るために信号300は21番ラインのセットアップを示す。これはVBI(垂直帰線消去期間)として知られる。垂直帰線消去期間には、典型的に40の水平ラインがある(これらのラインは映像スクリーンの縁より上または下にあり、ビデオ情報を含まない)。21番ラインは、クローズド・キャプション情報の挿入箇所として指定されている。他の挿入モード(テレテキスト、XDSなど)もあり、そのすべてはこれらのライン(典型的に5〜25ライン)を使用し、従って、「ライン21」と称される。
【0030】
SAMEメッセージは一度に2つのキャラクタ(キャラクタ1とキャラクタ2:図3)で垂直帰線消去期間の中に挿入することができる。メッセージ全体を送るのに25〜30キャラクタを要し、これはリアルタイムで1秒以内である(垂直帰線消去期間は1秒間に60回発生する)。このメッセージは数回挿入でき、従来のクローズド・キャプションの動作に影響しない。
【0031】
垂直帰線消去期間における動作を管理できるEIA(Electronics Industry Alliance:エレクトロニクス産業連盟)の仕様書が幾つかあり、当技術分野で知られているように、例えば、EIA608「ライン21データ・サービス」(クローズド・キャプションの源仕様書)、あるいはEIA746「テキスト‐2(T‐2)サービスを使用するインターネットURL情報のトランスポート」(インタラクティブ性能の強化)がある。VBI挿入性能(直接的なクローズド・キャプションのための、またはクローズド・キャプションを強化するための)を可能とする製品(ハードウェアとソフトウェア)が入手できる。入手できる装置を使用して、警告データをケーブル・ボックスまたは他の装置に転送するために垂直帰線消去期間が使用される。検索されたデータは復号化され、情報が現在の地理的場所に該当しているかどうか確かめる。情報が問題の場所に該当していればその情報は表示用に提供され、そして警戒警報が起動される。
【0032】
ディジタル・フォーマット(形式)においては、機会(opportunities)は、アナログ・フォーマットにおけるほど制約的でない。1つの方法は、VBI挿入のためのディジタル・フォーマットのバージョンを含んでいる(例えば、EIA746を参照)。
【0033】
データをそれ自体の番組識別子と共に補助データとして入力することもできる。その利点として、この番組識別子をプロバイダが別個に管理でき、他のフォーマッティング・システムとの潜在的な問題が避けられ、データを各トランスポンダにつき一度だけ送ればよい。1つの方法は、シリアル・ビット・ストリーム・ビデオに関するSMPTE(Society of Motion Picture Television Engineers:映画テレビジョン技術者協会)標準を使用することである、SMPTE292「高精細度テレビジョン・システム用のテレビジョン‐ビット‐シリアル・ディジタル・インタフェース」はトップ‐レベルの仕様書である。SMPTE291「テレビジョン‐補助データ・パケットおよびスペース・フォーマッティング」は補助的データをデータ・ストリームの中に挿入するためのフォーマットおよび方法を指定する。このデータ・パケットはディジタル・ケーブル/ディジタル衛星ネットワークに送信するために、有効なMPEGトランスポート・パケット内に収めることができる。
【0034】
図4はディジタル・フォーマットを使用するケーブル・ネットワークに信号を転送する一例を示す。データ・フォーマット400は、タイプ1またはタイプ2パケットを使用するSMPTEフォーマットを示す。ADH(Ancillary Data Header:補助データ・ヘッダ)は、データを適正な目的地にルートするように機能する。DID(Data ID)はディスプレイ用の警報データを示すためにSMPTEを介して予め定義される、SMPTEはDIDの登録を保存している。このようにして、オーディオまたはビデオ・ストリーム内で送られたパケットは、判別器32で識別され除去され処理されて、警戒警報およびメッセージを供給する。複数のパケットをストリング(整列)するために、DBN(Data Block Number:データ・ブロック番号)が使用される。これはこのデータ・ストリングには必要とされないので、“0”値が使用される。DC(Data Count:データ・カウント)はバイト数を示す(本件では約50)。次にデータはUDW(User Data Word:ユーザ・データ・ワード)スロット内に挿入される。CS(Check Sum、チェック和)はパケットの誤り検出のために計算される。有利なことに、メッセージ全体は1つのパケット内で送ることができる。このデータをディジタル・ストリームを介して送る他の方法も複数ある。追加的情報を伝達し、あるいはメッセージを受信機26内の異なる装置(例えば、警報装置/アラーム)に向けるために、タイプ1パケットと共に、SDID(Secondary Data ID:2次データID)を含むタイプ2パケットも使用される。
【0035】
図1に戻り、受信機26は番組配信者18から受信した情報を、ユーザのオーディオ/ビデオ装置27に提供する。装置27には警報装置30が含まれる。警報装置30は受信機26の一部として含まれ、あるいは外部から受信機26に接続される。受信機26は、番組配信者18から受信した符号化された情報を、判別しあるいは復号化し、その情報から利益を得ると思われる地域に提供する。
【0036】
受信機26がその本来の目的とされる動作モードのために(例えば、テレビジョン受像機として)使用されるとき、受信機26の1つの有用な動作が起こる。この場合、受信機26は、テレビジョン受像機に表示するための信号を受信する。この信号は、ローカル放送の再放送ではない。大抵の放送局は、通常の番組に加えあるいは通常番組に優先して、各地の気象情報および公安警報情報を提供する。しかしながら、全国的に創設された局、あるいはケーブル・ネットワーク(例えば、映画チャンネル)によって設立された局は、一般にこのような情報を含まない。
【0037】
警報情報が番組配信者18に持ち込まれケーブル・システム20に送り込まれると受信機26はこの情報を判別しその警報情報を優先して自動的にテレビジョン受像機のディスプレイに挿入する。すなわち、判別されたコードにしたがい特定地域でテレビジョン番組は警報に取って代わられる。これには、例えば、テレビジョン画面の一部でのクローズド・キャプションまたはデータ・ストリームも含まれる。更に、警報/警告伝達のために、PIP(ピクチャ・イン・ピクチャ)も開始される。このようにして、ケーブル・システムは、潜在的にすべての局にまで放送の特徴を拡張する。
【0038】
図2は、ユーザに出来事を警報する受信機26を例示する。受信機26には、セットトップ・ボックス、または他の装置(ラジオ、電話、テレビジョン、ケーブル/電話モデム)、あるいはユーザに警報する音声/視覚表示可能な他の装置も含まれる。受信機26は情報判別器32を具える。受信機26は、例えば、「気象警報」を動作可能とするセットアップ・スクリーンまたはディスプレイ28を具える。このスクリーン28内で、通報すべき警報のタイプおよび通報を受ける地域をユーザに質問する。更に、ユーザは好ましい警報源を(例えば、全国的放送局を介するローカル番組の配信者から)を指定する。この情報は、情報源または番組配信者18からも提供される。受信機26は警報装置30を含み、警報装置30は更に、1つ以上のディスプレイ28、視覚警報装置31(例えば、フラッシュ・ライト/音声警報装置34(例えば、スピーカ)を具えるのが好ましい。
【0039】
本発明の1つの実施例により、受信機26は、SAME(Specific Area Message Encoding:特定地域メッセージ符号化)システムを利用している現行のNWS・VHF・FMラジオ放送ネットワークによるシステムを使用する。SAMEシステムにより、特定のメッセージが視聴区域の選ばれたエリアに送られる。受信するメッセージを指定するためにシステムの送信端と受信端でオプションが存在する。例えば、番組配信者18(図1)は、ディスプレイ上で読み出される区域を判別し、あるいは特定区域からの警報信号に応答する。受信機26は、それが一定のメッセージを受信する位置に在る(受信機26が指定された場所に位置している)かどうか判別できる。
【0040】
NWSのSAMEシステムでは、FIPS(Federal InformationProcessing System:連邦情報処理システム)コードと呼ばれるものを使用する。FIPSコードは、長さ6バイトの符号化ワードを含んでいる。これらのワードは、合衆国を地域、州、郡に区分する。他の実施例では、限定する符号化、例えば、ジップコード(郵便番号)あるいはユーザ個人の所番地、も使用される。ユーザは、通知されることを希望するFIPS区域を識別することにより、表示されるメッセージを選択できる。ユーザ・インタフェース38(ユーザ入力44で制御される)は、番組/受信機26の適正な選択に使用される。ケーブル・システムの地域的運営を前提として、より簡素なまたはより複雑なシステムも使用される。ケーブル受信機26は番組配信者18から入来するメッセージをモニタして、ユーザの好み、地域コード,日付、時刻、あるいはシステムの中にプログラムできる他の規準に基づいて表示すべきメッセージを決定する。所定の規準(例えば、FIPSコード)は受信機の中にプログラムされ、符号化された信号と比較され、受信した情報を表示すべきかアラーム/警報装置を起動すべきか,を決定する。
【0041】
1つの実施例では、ユーザは、受信機のメモリ40を1つまたはそれ以上のコードでプログラムすることができ、それによって、番組配信者18から情報を受信する。例えば、ユーザは、自身の事務所、家庭、現在位置、および友達や親戚の位置についてローカル・コードをプログラムする。本発明のオプションの実施例において、株式/公社債または市況指数も受信機26の中に入力され、金融状態についてユーザに警告する。個人情報その他も受信機26の中にプログラムされ、出来事が発生すると、あるいは或る条件が満たされる(例えば、遠隔地の気温が或る値に達する)と、ユーザにそれを思い起こさせる警告または表示を与えることができる。
【0042】
ディスプレイ28にメッセージまたは情報を表示するために幾つかのオプションが存在する。「警戒」状態を引き起こした出来事に関する警報または情報を知らせるために、受信機で発生される、例えば、クローズド・キャプションのメッセージに類似するバナー(banner)を挿入することもできる。更に、受信機は、上述したように、受信機自体で警笛(ブザー音)または他の報知を発することもできる。有利なことに、「警戒」状態はユーザが或る特定のチャンネル/特定の局を見ている/聴いているかいないかにかかわらずいつでも提供される。受信機26は常にオン状態にあり且つ本発明によりいつでも警報を提供できる準備が整っていることが好ましい。システム10は容易に実施され、他の方法によるローカル警報で直ちに呼びかけられない人々のために、警報の通信手段を提供するために容易に使用できる。
【0043】
1つに実施例では、警報装置30は、異なるレポートに対し異なる応答を具える。例えば音声警報装置34には、予め録音された複数のメッセージ、あるいはトーンまたは音声を含み、これはレポートの重要性または緊急性のレベルを示す。視覚的警報装置31には、複数の表示器(光のような)を具え、異なる強度と異なる色で、レポートの重要性または緊急性のレベルを表す。他の実施例において、警報または出来事に関連する情報を提供するローカルのオフ・エア(off‐air)放送のために予め選ばれた別のチャンネル/局に装置を再同調させるために警報装置30は、ソフトウェア、ハードウェア、またはその組合せを具える。警報装置30は、受信機26内に具えられ、または配線または無線接続により外部から受信機26に接続される。
【0044】
ケーブル・ネットワークを使用する、気象/災害警報システムの好ましい実施例について説明したが、これらは例示を意図するものであって、限定を意図するものではない。上述した教示に鑑みて、変更および変形が当業者によってなされ,本発明の精神と範囲の内にある開示された本発明の実施例に変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の1つの実施例により出来事を個人に警報するシステムの概略図。
【図2】本発明により出来事を個人に警報する受信機のブロック図。
【図3】本発明の1つの実施例により出来事をユーザに警報することに関連するアナログ・データを挿入する垂直帰線消去期間を示す図表。
【図4】本発明により出来事をユーザに警報することに関連するディジタル・データを送信するデータ・パケット・フォーマットのブロック図。 図面は本発明のコンセプトを例示する目的のものであって、必ずしも、本発明の唯一の可能な構成ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに結合された情報源からのイベントを報告するために、符号化された信号をネットワークから受信する判別器であって、前記符号化された信号(これには地理的位置を表すコードを含む)と特定地域に関連するコードとを比較してユーザに警報すべきかどうか判定する、前記判別器と、
前記符号化信号と前記特定地域に関連するコードとを比較した結果に応答する警報装置と、から成る、警報受信機。
【請求項2】
前記警報装置が可聴アラームを具える、請求項1記載の警報受信機。
【請求項3】
前記警報装置が視覚アラームを具える、請求項1記載の警報受信機。
【請求項4】
前記特定地域に関連するコードが、ユーザの地理的位置を表すコードを含む、請求項1記載の警報受信機。
【請求項5】
前記地理的位置を表す前記コードが、FIPS(Federal Information Processing System:連邦情報処理システム)コードを含む、請求項4記載の警報受信機。
【請求項6】
前記符号化された信号が、SAME(Specific Area Message Encoding:特定地域メッセージ符号化)を含む、請求項1記載の警報受信機。
【請求項7】
比較規準が満たされたとき、前記符号化された信号からテキスト・メッセージを表示するディスプレイを更に具える、請求項1記載の警報受信機。
【請求項8】
イベントが地理的コードに関連しており、特定地域に関連するコードが前記受信機の特徴を表し、1つ以上のイベント・コードが特定地域に関連する1つ以上のコードと一致するとき警報装置が応答するようにする、請求項1記載の警報受信機。
【請求項9】
受信機の特徴が、該受信機の位置を表すコードを含む、請求項8記載の受信機。
【請求項10】
受信機の特徴が、地理的位置を表す複数のコードを含む、請求項8記載の警報受信機。
【請求項11】
ケーブル・ネットワークを介してヘッド・エンド・ステーションに結合される、請求項1記載の警報受信機。
【請求項12】
符号化された信号に応答するため常にオン状態にある、請求項1記載の警報受信機。
【請求項13】
前記符号化された信号が、受信したテレビジョン信号の垂直帰線消去期間に挿入されるキャラクタを含む、請求項1記載の警報受信機。
【請求項14】
前記符号化された信号が、データ・ストリームに挿入されたデータ・パケット内に含まれ、該データ・パケットが警報メッセージとして識別できる、請求項1記載の警報受信機。
【請求項15】
関連するコード名を有するユーザの場所に配置される受信機と、
複数の符号化レポートを供給するネットワークに結合される前記受信機と、
前記符号化レポートを解読し、ユーザの位置に関連する前記コード名に対応するレポートを決定する判別器と、
ユーザの場所に配置され、ユーザの場所に関連するコード名に対応するレポートをユーザに報知する警報装置と、から成る、警報システム。
【請求項16】
警報装置が可聴アラームと視覚アラームのうち少なくとも1つを具える、請求項15記載の警報システム。
【請求項17】
前記符号化レポートが地理的位置を表すコードを含む請求項15記載の警報システム。
【請求項18】
前記コードがFIPSコードを含む、請求項17記載の警報システム。
【請求項19】
前記符号化レポートがSAME(特定地域メッセージ符号化)を含む、請求項15記載の警報システム。
【請求項20】
関連するコード名を有するユーザの場所に影響を及ぼす非常事態に関する警報メッセージを受信する方法であって、
データ・フォーマットに一致する警報メッセージを受信するステップと、
警報メッセージを、対応するコード名を有するレポートに解読するステップと、
ユーザの場所に関連するコード名とそれに対応するレポートのコード名が一致すると警報を発生するステップと、から成る、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−506849(P2006−506849A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551442(P2004−551442)
【出願日】平成15年8月25日(2003.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/026649
【国際公開番号】WO2004/044858
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【Fターム(参考)】