説明

トナー供給用アクチュエータ及びトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置

【課題】本発明の目的は、各トナーカートリッジからのトナー供給を適切に制御することができるとともに、小型化、軽量化、低コスト化が実現されたトナー供給用アクチュエータとトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置を提供することにある。
【解決手段】 トナー供給用アクチュエータに関する。
トナー供給用アクチュエータは、モータと、トナーカートリッジ自体又はトナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、搬送経路内撹拌部材にモータからの出力を伝達する第2出力軸と、第1出力軸及び第2出力軸の少なくとも一方の駆動及び非駆動を選択的に切り替える少なくとも一のクラッチ機構と、を有して構成されており、
クラッチ機構は、略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、延出部に係合する係止部と、で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー供給用アクチュエータ及びトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置に関し、より詳細には、小型化及び軽量化され、小スペースに配置することが可能なトナー供給用アクチュエータ及びトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、トナーカートリッジに貯留されているトナーを現像部に供給し、この供給されたトナーを用いて画像形成を行っている。
近年、これら画像形成装置では、カラー化が進んでおり、トナーが色毎に複数種類必要となり、このため、トナーを格納するトナーカートリッジもまた複数本必要となっている。
また、高品質画像の追求により、トナーの色は増加する傾向にあり、これに伴い、必要なトナーカートリッジの本数も増加する傾向にある。
このため、複数のトナーカートリッジを備え、これらのトナーカートリッジより必要な色のトナーを供給するためのトナー供給装置が考案されている。
トナー供給方法としては、次のような方法が考えられる。
まず、トナーカートリッジ内に配設されたスクリューを回転させるか、若しくはトナーカートリッジ自体を回転させることにより(このとき、トナーカートリッジの内壁面に螺旋状の突条を形成しておくと、トナーはこの突条に沿って速やかに搬出される)、トナーをトナーカートリッジ搬出口へ搬出する。次いで、この搬出口に滞留したトナーをこの経路に配設されたスクリューで撹拌しながら、必要に応じて現像部に供給する。
【0003】
このように、各色のトナーを貯留した複数のカートリッジを使用し、カラー画像を形成するための技術が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、複数のトナーカートリッジが備えられた画像形成装置が開示されており、トナーは各トナーカートリッジより現像装置へ搬送され、画像形成に供される。
各トナーカートリッジには、トナーカートリッジ内に設けられたスクリューと、搬送手段に設けられた搬送スクリューとが備えられており、これらスクリューを駆動することにより、トナーを効率良く搬送する。
【0004】
しかし、上記特許文献1の技術では、これらスクリューは、現像装置内部に設けたトナーセンサ等のセンサによるトナー有無の検知信号に基づき駆動されるように構成されている。
このように、一つの信号で各トナーカートリッジに備えられた各スクリューを一斉に駆動させるのでは効率が悪くなるとともに、各トナーカートリッジの状況に応じて、きめ細かな制御を行うことができないという問題があった。
つまり、トナーを複数色備えていても、実際には、トナーの色毎に使用頻度は異なるため、この使用頻度に応じた駆動制御を行うことができれば、最小限のエネルギーでスクリューを駆動させることができる。
また、特許文献1に開示されている技術のように、一つのモータを使用して各スクリューを駆動する場合には、モータ出力を各スクリューへ伝達するためのリンク機構等の動力伝達機構を備える必要があり、設置スペースが大きくなるという問題が生じていた。
このような問題を解消するために、各トナーカートリッジ毎にモータを設け、各モータを必要に応じて独立して稼動させることが考えられる。
【0005】
一方、各トナーカートリッジには、トナーカートリッジから現像部へトナーを供給するための搬送通路が備えられている。そして、この搬送通路内には、トナーが効率良く通過することができるように搬送用の撹拌部材が備えられており、この撹拌部材を稼動させるための動力もまた必要である。
このため、トナー供給装置を稼動させるためには、トナーカートリッジごとにモータを設けるとともに、この搬送用の撹拌部材を稼動させるためのモータも又必要となる。
このように、多数のモータを使用すると、モータを設置するためのスペースが必要となりトナー供給装置自体が大型化するという問題がある。
また、撹拌と搬送のための動力が別個必要であるため、消費電力及び制御等が余分にかかるという問題もある。
【0006】
このような問題を解決する方法として、撹拌と搬送のためのスクリューを2軸同期駆動のモータ1個で駆動する方法が考えられる。
このように、2軸同期駆動モータを使用すると、使用するモータの数を半分に減らすことができる。
しかし、このような2軸同期駆動のモータを使用した場合には、モータが回転すると、2軸が同時に駆動する。
つまり、トナーカートリッジからのトナー搬出と搬送経路内でのトナー搬送とでは、トナー供給量により駆動時間とタイミングとが異なることがあるため、トナーカートリッジ内のトナーを撹拌するための撹拌部材と、搬送用の撹拌部材とを別々に駆動することが可能な装置の開発もまた望まれていた。
更に、1個のモータで2軸を駆動する場合、各々の軸の必要出力を2軸のピッチ調整(余分なアイドルギアの設定や、増速・減速ギアの調整)で行う必要があり、要求出力がピンポイントで出せず、実機での調整が困難であったり、必要スペースが増大するという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、本願出願人は、ワンウエイクラッチを使用して1個のモータで2軸を駆動するとともに、2軸を個別に駆動することができる技術を提案している(特許文献2参照)。
特許文献2に記載の技術では、モータの回転方向に応じて選択的に出力方向を切り替えるとともに、伝達部材を介して間接的に第1出力軸及び第2出力軸に連結されたクラッチ機構が、トナー供給用アクチュエータに備えられている。
このクラッチ機構は、モータが一方向へ回転したときに、一の系統に駆動力を伝達して、第1出力軸を駆動し、モータが他方向へ回転したときに、他の系統に駆動力を伝達して、第2出力軸を駆動するよう構成されている。
このため、各トナーカートリッジからのトナー供給を適切に制御することができるとともに、小型化、軽量化、低コスト化が実現されたトナー供給用アクチュエータ及びトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置を提供することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−258981号公報
【特許文献2】特開2007−148339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、複雑なクラッチ機構を設ける必要があるため、部品点数が増加するとともに、製造コストが増加するという問題点があった。
このため、部品点数が少なく、構成がシンプルで製造コストが低減できるとともに、設置スペースを小型化することができる技術が望まれていた。
【0010】
本発明の目的は、上記各問題点を解決することにあり、各トナーカートリッジからのトナー供給を適切に制御することができるとともに、小型化、軽量化、低コスト化が実現されたトナー供給用アクチュエータ及びトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、本発明に係るトナー供給用アクチュエータによれば、内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ自体又は内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ内に配設されたトナー撹拌部材と、前記トナーカートリッジから現像部へトナーを搬送するための通路となる搬送経路内に配設された搬送経路内撹拌部材と、を回転させるためのトナー供給用アクチュエータであって、該トナー供給用アクチュエータは、駆動源である少なくとも一のモータと、該モータの出力軸からの出力が直接若しくは間接的に伝達され、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、前記モータの出力軸からの出力を直接若しくは間接的に伝達され、前記搬送経路内撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第2出力軸と、前記モータの回転方向に応じて、前記第1出力軸及び前記第2出力軸の少なくとも一方の駆動及び非駆動を選択的に切り替える少なくとも一のクラッチ機構と、を有して構成されており、該クラッチ機構は、略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、該巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、前記延出部に係合する係止部と、で構成されており、前記スプリング部材の前記巻回部は、前記出力軸に圧入されるとともに、前記係止部は前記延出部を係合可能な位置に配設され、前記係止部は、前記第1出力軸および前記第2出力軸の少なくとも一方に直接若しくは間接的に連結されており、前記出力軸が一方向に回転して、前記延出部が前記係止部に係止されることにより前記巻回部が収縮すると、前記巻回部が前記出力軸を把持して前記係止部に前記出力軸の動力が伝達されるとともに、前記回転軸が逆方向に回転して前記延出部が前記係止部に係止されることにより、前記巻回部が弛緩すると、前記係止部には前記回転軸の動力が伝達されないことにより解決される。
【0012】
本発明に係るトナー供給用アクチュエータによれば、クラッチ機構を搭載することにより、第1出力軸と第2出力軸の駆動及び非駆動を切り替えることができる。
このため、各トナーカートリッジからのトナー供給を適切に制御することができる。
また、クラッチ機構は、スプリング部材と係止部とを有するのみの簡易な構成である。
つまり、回転軸に取付けられたスプリング部材の延出部が係止部に係止され、この係止力と、回転軸の回転力のため、スプリング部材の巻回部が収縮すれば、この巻回部が回転軸を把持する。このため、回転軸の回転力は係止部へと伝達される。
逆に、回転軸の回転方向を変え、回転軸に取付けられたスプリング部材の延出部が係止部(反対側)に係止されると、この係止力と、回転軸の回転力のためスプリング部材の巻回部が弛緩する。このように、巻回部が弛緩すると、巻回部は回転軸を把持できなくなるため、回転軸の回転力は係止部へと伝達されることはない。
このように、本発明によると、簡易な構成のクラッチ機構により、回転軸の回転方向を切替えるのみで、第1出力軸と第2出力軸の駆動及び非駆動を切り替えることができる。
このため、本クラッチ機構によれば、部品点数が少なくなり、構成がシンプルで製造コストを低減できる。
【0013】
また、上記課題は、本発明に係るトナー供給用アクチュエータによれば、内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ自体又は内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ内に配設されたトナー撹拌部材と、前記トナーカートリッジから現像部へトナーを搬送するための通路となる搬送経路内に配設された搬送経路内撹拌部材と、を回転させるためのトナー供給用アクチュエータであって、該トナー供給用アクチュエータは、駆動源であるモータと、該モータからの出力を、複数の系統に伝達する複数の回転体からなる伝達部材と、前記複数の系統のうち一の系統に連結され、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、前記複数の系統のうち他の系統に連結され、前記搬送経路内撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第2出力軸と、略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、該巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、前記延出部に係合する係止部と、で構成されたクラッチ機構とを有して構成され、前記第1出力軸には、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材を、前記第1出力軸に連結するための第1ジョイント部材が配設されているとともに、前記第2出力軸には、前記搬送経路内撹拌部材を連結するための第2ジョイント部材が配設されており、前記巻回部は、前記第1出力軸及び前記第2出力軸の少なくとも一方に圧入されるとともに、前記係止部は、第1ジョイント部材及び前記第2ジョイント部材の少なくとも一方の内部であって前記延出部と係合可能な位置に切り欠き部として形成され、前記第1出力軸及び前記第2出力軸のうち前記クラッチ機構が配設された軸が一方向に回転して、前記延出部が前記係止部に係止されることにより前記巻回部が収縮すると、前記巻回部が前記軸を把持して前記係止部に前記軸の動力が伝達されるとともに、前記軸が逆方向に回転して、前記延出部が前記係止部に係止されることにより前記巻回部が弛緩すると、前記係止部には前記軸の動力が伝達されないことにより解決される。
【0014】
また、このとき、前記クラッチ機構は、前記第1ジョイント部材及び前記第2ジョイント部材の双方に配設されており、双方の前記巻回部は、逆方向に巻回されていると好適である。
【0015】
このように、クラッチ機構を第1ジョイント部材及び第2ジョイント部材の一方若しくは双方に配設することによって、第1出力軸及び第2出力軸の回転方向を変えるのみで、駆動及び非駆動を容易に切り替えることができるとともに、上記と同様に簡易な構成のクラッチ機構であるため、部品点数が少なく、構成がシンプルで製造コストを低減できる。
【0016】
更に、上記課題は、本発明に係るトナー供給用アクチュエータによれば、内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ自体又は内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ内に配設されたトナー撹拌部材と、前記トナーカートリッジから現像部へトナーを搬送するための通路となる搬送経路内に配設された搬送経路内撹拌部材と、を回転させるためのトナー供給用アクチュエータであって、該トナー供給用アクチュエータは、駆動源であるモータと、該モータからの出力を、複数の系統に伝達する複数の回転体からなる伝達部材と、前記複数の系統のうち一の系統に連結され、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、前記複数の系統のうち他の系統に連結され、前記搬送経路内撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第2出力軸と、略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、該巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、前記延出部に係合する係止部と、で構成されるとともに、前記モータの回転方向に応じて、前記第1出力軸と前記第2出力軸の駆動及び非駆動を選択的に切り替えるクラッチ機構と、を有して構成されており、該クラッチ機構は、前記伝達部材のうち前記複数の系統への分岐点に配設され、一の系統に動力を伝達する第1伝達部材に配設される第1クラッチ機構と、他の系統に動力を伝達する第2伝達部材に配設される第2クラッチ機構と、で構成されており、前記第1クラッチ機構を構成する第1スプリング部材の第1巻回部及び前記第2クラッチ機構を構成する第2スプリング部材の第2巻回部は、ともに前記第1伝達部材及び前記第2伝達部材の中心軸に圧入されており、前記第1クラッチ機構を構成する第1係止部は前記第1伝達部材の内部であって、前記第1スプリング部材の第1延出部を係合可能な位置に切り欠き部として形成されるとともに、前記第2クラッチ機構を構成する第2係止部は前記第2伝達部材の内部であって、前記第2スプリング部材の第2延出部を係合可能な位置に切り欠き部として形成され、前記第1スプリング部材と前記第2スプリング部材の巻回方向は逆方向であり、前記中心軸が一方向に回転して前記第1延出部及び前記第2延出部が前記第1係止部及び前記2係止部に係止されることにより、前記第1巻回部及び前記第2巻回部のうちの一方が収縮するとともに他方が弛緩し、前記第1係止部及び前記第2係止部のうち収縮した側のみに前記中心軸の動力が伝達されることにより解決される。
【0017】
このように、クラッチ機構を、複数の伝達部材のうち、複数の系統への分岐点に配設されている第1伝達部材及び第2伝達部材に取付けることによって、この第1伝達部材及び第2伝達部材の中心軸の回転方向を切り替えるのみで、一の系統と他の系統の駆動及び非駆動を容易に切り替えることができる。
つまり、回転方向を変えることのみで、次段への動力伝達を許可したり不可としたりすることができる。
また、上記と同様に簡易な構成のクラッチ機構であるため、部品点数が少なく、構成がシンプルで製造コストが低減できる。
【0018】
また、請求項2に記載のトナー供給用アクチュエータにおいて、前記係止部の形成位置は、前記第1ジョイント部材及び前記第2ジョイント部材に形成されている切り欠き形成位置と整合しない位置であると、力学上好適である。
【0019】
また、トナー供給装置には、上記トナー供給用アクチュエータが備えられている。
このため、トナー供給装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一のモータで、トナーカートリッジ自体若しくはトナーカートリッジ内に充填されたトナーを撹拌させるためのトナー撹拌部材と、搬送経路内でトナーを移動させるための搬送経路内撹拌部材を駆動することができる。
このため、トナー撹拌部材と搬送経路内撹拌部材とを回転させるために各々別個にモータを設ける必要がなく、モータの個数を少なくすることができる。
よって、トナー供給用アクチュエータを小型化することができる。
【0021】
また、クラッチ機構を設けることにより、トナーカートリッジ自体若しくはトナーカートリッジ内のトナー撹拌部材と、搬送経路内撹拌部材とを独立して駆動させることができるため、きめ細かな制御を行うことができるとともに、省エネルギー化に寄与する。
更に、このクラッチ機構は、シンプルな構成であり、少ない部品点数で構成されているため、製造コストを低減させることができるとともに、装置の更なる小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、各トナーカートリッジからのトナー供給を適切に制御することができるとともに、小型化、軽量化、低コスト化が実現されたトナー供給用アクチュエータ及びトナー供給装置に関するものである。
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至図11は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1はトナー供給装置を示す斜視図、図2は図1をA方向から見た説明図、図3はトナー供給装置を構成するトナーカートリッジ及びその周辺部材の構成を示す説明図、図4はトナーカートリッジ及びその周辺部材の他の構成を示す説明図、図5はトナー供給用アクチュエータを図3のB方向から見た平面図、図6乃至は図9はクラッチ機構の原理を示す説明図、図10はクラッチ機構を備えたトナー供給用アクチュエータの第1実施例を示す説明図、図11は図10の三方図、図12はクラッチ機構を備えたトナー供給用アクチュエータの第2実施例を示す説明図、図13はクラッチ機構を備えたトナー供給用アクチュエータの第3実施例を示す説明図である。
なお、図2では、説明のためトナーカートリッジ支持部1bとカバー3aは破線で記載してある。
また、説明のため、図13においては、各ギアの歯の図示を省略してある。
【0024】
まず、図1及び図2により本実施形態に係るトナー供給装置Sについて説明する。
トナー供給装置Sとは、カラーコピー機やカラープリンタにおいて、トナーを現像部へ供給するための装置である。
このトナー供給装置Sに備えられるトナーカートリッジは、内部に貯留されているトナーが使い切られた後、新たなトナーカートリッジと交換されるものであってもよいし、図示しないトナー補充孔からトナーを補充できるものであってもよい。また、いずれかのトナーカートリッジに充填されたトナーが使い切られたら、トナー供給装置S全体を新たなトナー供給装置Sと取り替えられるタイプのものでもよい。
【0025】
本実施形態に係るトナー供給装置Sは、支持基板1、トナーカートリッジ2、トナー搬送経路3、トナー撹拌部材4、搬送経路内撹拌部材5、トナー供給用アクチュエータ6を主要構成とする。
本実施形態に係る支持基板1は、平板を略L字形状に屈曲して形成されており、支持平板部1aとトナーカートリッジ支持部1bとで構成されている。
支持平板部1aは略長方形の板体であり、供給装置支持台D上に載置された状態で固定される。
【0026】
トナーカートリッジ支持部1bは、支持平板部1aと連続して形成されており、支持平板部1aの長辺の一つから略垂直に起立している。
トナーカートリッジ支持部1bには、トナーカートリッジ固定孔1c,1d,1e,1fが、トナーカートリッジ支持部1bの長辺と略平行な方向に並列して形成されている。
このトナーカートリッジ固定孔1c,1d,1e,1fは、トナーカートリッジ2を貫通させて固定するためのものであり、その内径は、固定するトナーカートリッジ2の外径より僅かに大きく形成されている。
【0027】
本実施形態に係るトナーカートリッジ2は、公知のトナーカートリッジであり、略円筒形状のボトル内部にはトナーが充填されている。
トナーカートリッジ2は、使用するトナーの色の種類の数分備えられる。
本実施形態においては、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナーが使用されているため、トナーカートリッジ2は、4本備えられる。
以下、イエローのトナーが充填されたトナーカートリッジ2を「トナーカートリッジ21」、マゼンダのトナーが充填されたトナーカートリッジ2を「トナーカートリッジ22」、シアンのトナーが充填されたトナーカートリッジ2を「トナーカートリッジ23」、ブラックのトナーが充填されたトナーカートリッジ2を「トナーカートリッジ24」と記し、トナーカートリッジ2とは、これらを総称したものとする。
【0028】
また、本実施形態においては、トナーカートリッジ24の容量は、他のトナーカートリッジ21,22,23に比して大きくなるように構成されている。
これは、通常、ブラックのトナーの消費量が、他色のトナーの消費量に比して多いためである。
ただし、この構成に限定されるものではなく、全てのトナーカートリッジ2を同一の形状・容積としてもよい。
また、一のトナー供給装置Sに備えられるトナーカートリッジ2の本数は、本実施形態に限定されるものではなく、必要な本数が適宜選択される。
更に、トナーカートリッジ2の底面(支持平板部1a上部に配設されていない側の底面)には、略円形状の孔が形成されている。この孔からは、後述する第1出力軸61aが挿入される。以下、トナーカートリッジ21に備えられるこの底面を「底面21a」と記し、トナーカートリッジ22に備えられるこの底面を「底面22a」、トナーカートリッジ23に備えられるこの底面を「底面23a」、トナーカートリッジ24に備えられるこの底面を「底面24a」と記す。
【0029】
また、トナーカートリッジ2には、トナーを排出するためのトナー排出口が側面に備えられており、トナーカートリッジ21に備えられるトナー排出口を「トナー排出口21b」、トナーカートリッジ22に備えられるトナー排出口を「トナー排出口22b」、トナーカートリッジ23に備えられるトナー排出口を「トナー排出口23b」、トナーカートリッジ24に備えられるトナー排出口を「トナー排出口24b」と記す。
【0030】
なお、トナーカートリッジ21はトナーカートリッジ固定孔1cに、トナーカートリッジ22はトナーカートリッジ固定孔1dに、トナーカートリッジ23はトナーカートリッジ固定孔1eに、トナーカートリッジ24はトナーカートリッジ固定孔1fに、それぞれ貫通した状態で固定されている。
【0031】
本実施形態に係るトナー搬送経路3は、トナーを現像部Gへ搬送するための搬送路であり、トナーカートリッジ支持部1bの外側(支持平板部1aが配設されていない側の面)に配設されている。
図1に示すようにトナー搬送経路3は、略角柱形状のカバー3aで被覆されている。
トナー搬送経路3は、トナーカートリッジ2から現像部Gへとトナーを搬送する通路であり、一端側がトナーカートリッジ2に連結されるとともに、他端側が現像部Gに連結されている。また、トナー搬送経路3の側面には、後述する搬送経路内撹拌部材5を挿入するための挿入孔が形成されている。
なお、トナー搬送経路3は、各トナーカートリッジ2に備えられており、以下、トナーカートリッジ21に備えられるトナー搬送経路3を「トナー搬送経路31」、トナーカートリッジ22に備えられるトナー搬送経路3を「トナー搬送経路32」、トナーカートリッジ23に備えられるトナー搬送経路3を「トナー搬送経路33」、トナーカートリッジ24に備えられるトナー搬送経路3を「トナー搬送経路34」と記し、トナー搬送経路3とは、これらを総称したものである。
【0032】
本実施形態に係るトナー撹拌部材4は、トナーカートリッジ2内に充填されたトナーを撹拌するための部材であり、トナーカートリッジ2内に配置されている。
なお、本実施形態においては、トナー撹拌部材4は、螺旋形状のスクリューとして形成されているが、形状はこれに限られるものではなく、トナーカートリッジ2内に充填されたトナーを効率良く撹拌できる形状であればどのような形状であってもよい。
トナー撹拌部材4は、各トナーカートリッジ2内に備えられており、以下、トナーカートリッジ21に備えられるトナー撹拌部材4を「トナー撹拌部材41」、トナーカートリッジ22に備えられるトナー撹拌部材4を「トナー撹拌部材42」、トナーカートリッジ23に備えられるトナー撹拌部材4を「トナー撹拌部材43」、トナーカートリッジ24に備えられるトナー撹拌装置4を「トナー撹拌装置44」と記し、トナー撹拌部材4とは、これらを総称したものである。
【0033】
本実施形態に係る搬送経路内撹拌部材5は、トナー搬送経路3内を通過するトナーを撹拌しながら移動させるための部材であり、トナー搬送経路3内に配設されている。
なお、本実施形態においては、搬送経路内撹拌部材5は、螺旋形状のスクリューとして形成されているが、形状はこれに限られるものではなく、トナー搬送経路3内のトナーを効率良く移動させることができる形状であればどのような形状であってもよい。
搬送経路内撹拌部材5は、各トナー搬送経路3内に備えられており、以下、トナー搬送経路31に備えられる搬送経路内撹拌部材5を「搬送経路内撹拌部材51」、搬送経路32に備えられる搬送経路内撹拌部材5を「搬送経路内撹拌部材52」、搬送経路33に備えられる搬送経路内撹拌部材5を「搬送経路内撹拌部材53」、搬送経路34に備えられる搬送経路内撹拌部材5を「搬送経路内撹拌部材54」と記し、搬送経路内撹拌部材5とは、これらを総称したものである。
【0034】
本実施形態に係るトナー供給用アクチュエータ6は、トナー撹拌部材4及び搬送経路内撹拌部材5を駆動するための駆動手段であり、トナーカートリッジ2の底面(支持平板部1a上部に配設されていない側の底面)と対向する位置に配設される。
トナー供給用アクチュエータ6は、各トナーカートリッジ2及びトナー搬送経路3毎に備えられており、以下、トナーカートリッジ21及びトナー搬送経路31に備えられるトナー供給用アクチュエータ6を「トナー供給用アクチュエータ61」、トナーカートリッジ22及びトナー搬送経路32に備えられるトナー供給用アクチュエータ6を「トナー供給用アクチュエータ62」、トナーカートリッジ23及びトナー搬送経路33に備えられるトナー供給用アクチュエータ6を「トナー供給用アクチュエータ63」、トナーカートリッジ24及びトナー搬送経路34に備えられるトナー供給用アクチュエータ6を「トナー供給用アクチュエータ64」と記し、トナー供給用アクチュエータ6とは、これらを総称したものである。
トナー供給用アクチュエータ6の詳細な構成は後述する。
【0035】
図3により、トナー供給装置Sを構成する各トナーカートリッジ2及びその周辺部材の構成を説明する。
以下、各トナーカートリッジ2及びその周辺部材の構成は同様であるため、トナーカートリッジ21及びその周辺部材を例にとり説明する。
トナーカートリッジ21の底面21aには、孔が穿孔されており、その孔にはベアリング41bが取り付けられている。
トナー供給用アクチュエータ61からは、第1出力軸61a及び第2出力軸61bが、トナーカートリッジ21及びトナー搬送経路31方向へ向けて突出している。
なお、第1出力軸61aは、第2出力軸61bよりも上方から突出している。
【0036】
第1出力軸61aの端部(トナー供給用アクチュエータ61より突出している側の端部)は、ベアリング41bを介してトナーカートリッジ21内に挿入されており、その先端にはトナー撹拌部材41が連結されている。
このように構成されているため、トナー供給用アクチュエータ61の駆動により第1出力軸61aが図3の矢印方向に回転すると、トナー撹拌部材41は、第1出力軸61aとともに同方向に回転する。
このトナー撹拌部材41が回転することにより、トナーカートリッジ21内のトナーが撹拌されて、容易にトナーをトナー搬送経路31へ搬出できるようになる。
【0037】
トナー搬送経路31は、トナー受部31a、搬送経路31bとで構成されている。
本実施形態に係るトナー受部31aは、上部にトナー受口31c、下部にトナー出口31dとを備えた略角柱形状の中空体である。
トナー受口31cは、略円筒状の受口であり、トナーカートリッジ21に形成されたトナー排出口21bの直下に配設されている。
また、トナー出口31dは、略円形状の出口であり、後述する搬送経路31bと連結されている。
【0038】
本実施形態に係る搬送経路31bは、略中央部で鈍角に屈曲した略円筒形状のパイプであり、上端がトナー排出口21bに連結され、下端側は現像部Gの現像部トナー受口G1に連結されている。
なお、現像部トナー受口G1付近には、トナーセンサG2が備えられ、トナーの有無を検知している。
また、搬送経路31bの側面には、搬送経路内撹拌部材挿入孔31eが形成されている。
この搬送経路内撹拌部材挿入孔31eには、搬送経路内撹拌部材51の軸部分が貫通しており、搬送経路内撹拌部材51のスクリューが形成されている部分はトナー搬送経路31内に配設されている。
【0039】
また、搬送経路内撹拌部材51の、スクリューが形成されていない側の端部(トナー搬送経路31の外側に配設される側の端部)には、第2出力軸61bの端部(トナー供給用アクチュエータ61より突出している側の端部)が連結されている。
このように構成されているため、トナー供給用アクチュエータ61の駆動により第2出力軸61bが図3の矢印方向へ回転すると、搬送経路内撹拌部材51もまた同方向へ回転する。
この搬送経路内撹拌部材51を回転させることにより、トナー搬送経路31内のトナーを撹拌し、効率よく現像部Gへ搬送することができる。
【0040】
このように、トナーカートリッジ21内のトナーは、第1出力軸61aを駆動することにより、トナー撹拌部材41で撹拌される。
このように撹拌されたトナーは、トナー搬送経路31へ効率良く搬出される。
トナー搬送経路31側では、受入れたトナーを現像部Gへ搬送する。
このとき、第2出力軸61bを駆動することにより、搬送経路内撹拌部51を回転させ、トナーを現像部Gへ効率良く搬送する。
【0041】
また、後述するが、トナー供給用アクチュエータ61には、駆動源としてモータ61cが備えられており、本実施形態に係るトナー供給装置Sには、このモータ61cを制御するための制御部80が備えられている。
この制御部80には、スイッチ90が接続されており、このスイッチ90がオンとなればモータ61cが駆動する。
本実施形態においては、現像部Gに備えられたトナーセンサG2から出力される供給要求信号を受けて、このスイッチ90がオンとなる。
【0042】
本実施形態では、スイッチ90がオンとなれば、0.2秒〜1秒(この間にトナー撹拌部材41は、1/4〜1回転する)モータ61cを正回転させ、一度停止した後、0.2秒〜1秒(この間に搬送経路内撹拌部材51は、2〜4回転する)モータ61cを逆回転させ、モータ61cを停止させる一連の制御を連続して行う。
しかし、制御はこれに限られるものではなく、正逆回転の回数やタイミング、時間等、適宜変更することができる。
【0043】
次いで、図4により、トナーカートリッジ2の他の構成を説明する。
なお、上記第1の実施形態と同一の部材を使用する場合には、同一符号を付した。
また、本構成では、トナー搬送経路31及び搬送経路内撹拌部材51に関しては上記第1の実施形態と同様であるため、上記第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
本実施形態では、トナーカートリッジ2自体が撹拌手段となり、トナーカートリッジ2自体を回転させることにより、内部に充填されたトナーを撹拌する。
図4に示すように、本実施形態においては、トナーカートリッジの構成が上記第1の実施形態と異なっている。
【0044】
複数備えられるトナーカートリッジの形態は、上記実施形態同様、全て同様の構成であるので、以下、イエローのトナーが充填されているトナーカートリッジ210についてのみ説明する。
なお、上記実施形態と同様に、ブラックのトナーが充填されたトナーカートリッジのみ容量が大きく形成されている。
トナーカートリッジ210は、公知のトナーカートリッジであり、略円筒形状のボトル内部にイエローのトナーが充填されている。
なお、トナーカートリッジ210の底面210a(支持平板部1a上部に配設されていない側の底面)には、略円形状の孔が形成されている。この孔からは、後述するトナー供給用アクチュエータ61から突出する第1出力軸61aが挿入されて固定される。
【0045】
また、トナーカートリッジ210の内側面には、螺旋状に突縁210cが設けられており、側面にはトナー排出孔210bが設けられている。
更に、第1出力軸61aは、固定部材410bを介して底面210aに形成された孔に固定されている。
よって、トナー供給用アクチュエータ61が駆動され、第1出力軸61aが図4の矢印方向へ回転すると、トナーカートリッジ210もまた同方向に回転する。
【0046】
このように、トナーカートリッジ210が回転すると、内部に充填されたトナーは回転運動により撹拌されながら、螺旋状の突縁210cに沿ってトナー排出口210bへ誘導される。
なお、このとき、トナー受部31aに形成されるトナー受口31cは、上部開口面積が広く形成された漏斗状であると好ましい。このように形成されていると、トナーカートリッジ210が回転することにより生じる遠心力によりトナーが飛散した場合であっても、この飛散したトナーを受留めることができる。
【0047】
次いで、図5より、トナー供給用アクチュエータ6の構成の一例について説明する。
トナー供給用アクチュエータ6の構造は全て同様であるため、トナーカートリッジ21内に配設されたトナー撹拌部材41及びトナー搬出経路31内に配設された搬送経路内撹拌部材51を駆動するトナー供給用アクチュエータ61を例にとり説明する。
図5は、トナー供給用アクチュエータ61の内部を示す説明図であり、図3のB方向から見た状態の平面図である。
【0048】
トナー供給用アクチュエータ61は、モータ61c、ウォームギア61d、ウォームホイール61e、スパーギア61f、第2伝達部材としての第1ギア61g、第1伝達部材としての第2ギア61h、第3ギア61i、第4ギア61j、第5ギア61k、第6ギア61l、を有して構成されている。なお、これらの部品は、ケースL内に収納されており、いずれも公知のギア等である。
本実施形態に係るモータ61cは、公知のモータであり、出力軸には、公知のウォームギア61dが取付けられている。
【0049】
ウォームギア61dは、ウォームホイール61eと噛合している。
このウォームホイール61eの同軸には、スパーギア61fが配設されており、このスパーギア61fは、第1ギア61gと噛合している。
第1ギア61gの同軸には、第2ギア61hが配設されている。
この第1ギア61gには、第3ギア61iが噛合しており、この第3ギア61iの出力軸が第2出力軸61bとなり、搬送経路内撹拌部材51に連結されている。
【0050】
また、第2ギア61hには、第4ギア61jが噛合しており、この第4ギア61iの同軸に第5ギア61kが配設されている。
第5ギア61kには、第6ギア61lが噛合しており、この第6ギア61lの出力軸が第1出力軸61aとなり、トナー撹拌部材41に連結されている。
このように、モータ61cの回転駆動力は、減速しながら第1出力軸61a及び第2出力軸61bに伝達される。
ただし、この動力伝達の構成はこれに限られることはなく、モータ61cの動力を第1出力軸61a及び第2出力軸61bに伝達することができれば、どのようなものであってもよい。つまり、各ギアの個数及び組立方法は必要とされる減速率等に応じて適宜変更することができる。
【0051】
次いで、図6及び図7により、クラッチ機構Kの構成と原理について説明する。
まず、図6及び図7により、クラッチ機構Kを1個用いた場合を説明する。
図6は本実施形態に係るクラッチ機構Kに関する説明図であり、図7は本実施形態に係るクラッチ機構Kの要部断面図である。
図6及び図7に示すように、本実施形態に係るクラッチ機構Kは、スプリング部材71と、係止部72とを主要構成としている。
【0052】
本実施形態に係るスプリング部材71は、公知のコイルスプリングであり、挿入される回転軸Oの径と略同一の径を有しており、挿入された状態では回転軸Oに圧接している。
また、スプリング部材71の一端部は、接線方向に延出している(以下、この延出部分を「係止突部71a」と記す)。
この係止突部71aが延出部に相当する。
【0053】
本実施形態に係る係止部72は、略コ字形状の部材であり、スプリング部材71の延出部である係止突部71aを係止するための部材である。
係止部72は、略直方体形状の基端部171と、この基端部171の長手方向両端部から略垂直同方向へ延出した伝達側係止部172及び非伝達側係止部173で構成され、この基端部171、伝達側係止部172、非伝達側係止部173で略コ字形状を形成している。
【0054】
なお、係止部72の形状は、このような形状に限られるものではなく、スプリング部材71の係止突部71aを係止することができる形状であればどのような形状であってもよいし、後述するようにこのような形状を凹部や切り欠き部として既存部品に形成してもよい。
つまり、スプリング部材71の係止突部71aを係止することができる溝が形成されていれば、どのようなものであってもよい。
【0055】
図6及び図7に示すように、スプリング部材71は、回転軸Oに圧入されており、その延出部である係止突部71aが係止可能な位置に、係止部72が配設される。
この係止突部71aは、基端部171、伝達側係止部172、非伝達側係止部173に囲まれた部分に配設される。
この状態で、回転軸OがX方向に回転すると、係止突部71aは、伝達側係止部172に係止される。
また、回転軸Oの回転は継続するため、スプリング部材71は収縮し、回転軸Oを強固に把持する。
このため、係止部72に回転軸Oからの動力が伝達される。
【0056】
逆に、回転軸OがY方向に回転すると、係止突部71aは、非伝達側係止部173に係止される。
また、回転軸Oの回転は継続するため、スプリング部材71は弛緩し、回転軸Oを把持することができなくなる。
このため、回転軸Oは空転することとなり、係止部72に回転軸Oからの動力が伝達されることはない。
図7は、係止部72を、モータヨークを内装するハウジングケースH上に配設した状態の図である。
このように、本実施形態に係るクラッチ機構Kでは、回転軸O(図7の場合は、モータの出力軸M)の回転方向に応じて、出力の有無を切替えることができる。
【0057】
図8及び図9により、このクラッチ機構Kを2個使用した例を説明する。
説明のため、2個のクラッチ機構Kを、第1クラッチ機構K1及び第2クラッチ機構K2とする。
また、第1クラッチ機構K1を構成する部材としては、第1スプリング部材71A(第1係止突部71a)、第1係止部72A(第1基端部171A、第1伝達側係止部172A、第1非伝達側係止部173A)とし、第2クラッチ機構K2を構成する部材としては、第2スプリング部材71B(第2係止突部71b)、第2係止部72B(第2基端部171B、第2伝達側係止部172B、第2非伝達側係止部173B)とする。
【0058】
第1クラッチ機構K1の構成は、上述のクラッチ機構Kの構成と同様である。
第2クラッチ機構K2の構成もまた、上述のクラッチ機構Kの構成とほぼ同様であるが、第2係止部72Bの高さのみが異なっている。
つまり、第2係止部72Bの高さは、第2スプリング部材71Bの配設位置と第1スプリング部材71Aの配設位置との距離の分だけ、第1係止部72Aよりも高くなるように構成されている。
【0059】
第1クラッチ機構K1は上述のクラッチ機構Kと同様に配設されている。
また、第2クラッチ機構K2は、次のように配設される。
第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aよりも高い位置(つまり、回転軸O若しくは出力軸Mの先端側)に配設される。
このとき、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと同様に回転軸O(出力軸M)に圧入されるが、巻回方向が逆向きとなるように回転軸O(出力軸M)に配設される。
また、第2伝達側係止部172Bは第1伝達側係止部172Aとは逆方向に配設される。
【0060】
このように構成されているので、回転軸O(出力軸M)がX方向へ回転すると、上述のとおり、第1スプリング部材71Aが収縮し、第1係止部72Aへ動力が伝達される。
しかし、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと逆方向に巻回されているため、回転軸O(出力軸M)がX方向に回転すれば、弛緩して第2係止部72Bへは動力が伝達されることはない。
【0061】
同様に、回転軸O(出力軸M)がY方向へ回転すると、上述のとおり、第1スプリング部材71Aは弛緩し、第1係止部72Aへ動力が伝達されることはない。
しかし、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと逆方向に巻回されているため、回転軸O(出力軸M)がY方向に回転すれば、収縮して第2係止部72Bへ動力が伝達される。
このように、本実施形態に係るクラッチ機構を2個使用すれば、回転軸O(出力軸M)の回転方向に応じて、動力の伝達経路を変更することができる。
なお、図9は、第1係止部72A及び第2係止部72Bを、モータヨークを内装するハウジングケースH上に配設した状態の図である。
【0062】
次いで、クラッチ機構Kを本実施形態に係るトナー供給用アクチュエータ6に適用した例を示す。
(第1実施例)
図10及び図11によりクラッチ機構K適用の第1実施例を示す。
図10及び図11は、クラッチ機構Kを第1出力軸61aに適用した例を示す。
なお、他の軸に関しても、構成及び原理は同様であるため説明は省略する。
図10(a)はクラッチ機構Kが配設された第1出力軸61aの説明図であり、図10(b)は図10(a)をA方向から見た平面図である。
図11は、各部材の取付け状態を示す三方図である。
【0063】
第1出力軸61aには、出力ジョイントJが取付けられており、この出力ジョイントJを介してトナー撹拌部材41が第1出力軸61aに取付けられる(構造の詳細は図11参照)。
出力ジョイントJは略円筒形状のジョイントである。その軸取付部内孔の内壁には、係止部72が形成されている。
本例では、係止部72は別部材として構成されているのではなく、軸取付部内孔の内壁に形成された凹部として構成されている。
また、第1出力軸61aには、スプリング部材71が圧入されており、係止突部71aは、係止部72の凹部に配設されている。
【0064】
この状態で、第1出力軸61aがX方向に回転すると、上述の通り、係止突部71aが伝達側係止部172に係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、スプリング部材71が収縮して第1出力軸61aを把持するため、係止部72が形成された出力ジョイントJには、第1出力軸61aの回転動力が伝達される。
よって、出力ジョイントJは回転し、この出力ジョイントJに取付けられたトナー撹拌部材41が回転駆動する。
【0065】
また、第1出力軸61aがY方向に回転すると、上述の通り、係止突部71aが非伝達側係止部173に係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、スプリング部材71が弛緩して、第1出力軸61aを把持できなくなる。
よって、出力ジョイントJに第1出力軸61aの回転動力が伝達されることはなく、トナー撹拌部材41も回転することはない。
【0066】
このように、クラッチ機構Kを適用することにより、モータ61cの回転方向を変えるのみで(モータ61cの回転方向を変えれば、第1出力軸61aの回転方向も変わる)、トナー撹拌部材41の駆動及び非駆動を切替えることができる。
よって、クラッチ機構Kを適宜使用することにより、モータ61cの回転方向に応じてトナー撹拌部材41,42,43,44、搬送経路内撹拌部材51,52,53,54の駆動・非駆動を切替えて制御することができる。
なお、本例では、図11に示すように、係止部72の形成位置と、出力ジョイントJの切り欠き位置は、整合しないように構成されている。
【0067】
(第2実施例)
次いで、図12により、クラッチ機構K適用の第2実施例を説明する。
図12(a)はクラッチ機構Kが配設された第1出力軸61aの説明図であり、図12(b)は図12(a)をA方向から見た平面図、図12(c)は図12(a)をB方向から見た平面図である。
図12に示すように、本例では、クラッチ機構Kを2個使用するとともに、出力ジョイントJもまた2個使用する。
本例では、第1クラッチ機構K1を第1出力軸61aの先端側に取付け、第2クラッチ機構K2を基端側に取付ける。
【0068】
第1クラッチ機構K1の第1係止部72Aは、第1出力ジョイントJ1の軸取付部内孔の内壁の凹部として形成されており、第2クラッチ機構K2の第2係止部72Bは第2出力ジョイントJ2の軸取付部内孔の内壁に凹部として形成されている。
また、第1係止突部71aは、第1係止部72A内部に配設されており、第2係止突部71bは、第2係止部72B内部に配設されている。
また、第1スプリング部材71Aと、第2スプリング部材71Bとは、巻回方向が逆向きになるように、第1出力軸61aに圧入されている。
【0069】
このように構成されているので、第1出力軸61aがX方向へ回転すると、第1係止突部71aは第1係止部72Aの第1伝達側係止部172Aへ係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、第1スプリング部材71Aが収縮して、第1出力軸61aを把持するため、第1係止部72Aが形成された第1出力ジョイントJ1には、第1出力軸61aの回転動力が伝達される。
よって、第1出力ジョイントJ1は回転駆動する。
【0070】
しかし、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと逆方向に巻回されているため、第1出力軸61aがX方向へ回転すると、第2係止突部71bは、第2係止部72Bの第2非伝達側係止部173Bへ係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、第2スプリング部材71Bが弛緩し、第1出力軸61aを把持できなくなるため、第2係止部72Bが形成された第2出力ジョイントJ2には、第1出力軸61aの回転動力が伝達されることはない。
【0071】
また、第1出力軸61aがY方向へ回転すると、第1係止突部71aは、第1係止部72Aの第1非伝達側係止部173Aへ係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、第1スプリング部材71Aが弛緩し、第1出力軸61aを把持できなくなるため、第1係止部72Aが形成された第1出力ジョイントJ1には、第1出力軸61aの回転動力が伝達されることはない。
【0072】
しかし、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと逆方向に巻回されているため、第1出力軸61aがY方向へ回転すると、第2係止突部71bは第2係止部72Bの第2伝達側係止部172Bへ係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、第2スプリング部材71Bが収縮して、第1出力軸61aを把持するため、第2係止部72Bが形成された第2出力ジョイントJ2には、第1出力軸61aの回転動力が伝達される。
よって、第2出力ジョイントJ2は回転駆動する。
このように、本例では、モータ61aの回転方向を変えることで、一の出力軸で2の軸の駆動・非駆動を切替えることができる。
【0073】
(第3実施例)
次いで、図13により、クラッチ機構K適用の第3実施例を説明する。
図13はクラッチ機構Kが配設されたギア軸の説明図である。
本例では、第1ギア61g及び第2ギア61hと同軸に、切替用ギア61mを配設する。
つまり、スパーギア61fに切替用ギア61mを噛合させ、この切替用ギア61mと同軸に第1ギア61g及び第2ギア61hを配設する。
以下、第1ギア61g、第2ギア61h、切替用ギア61mの回転軸を、「中心軸O´」と記す。
【0074】
本例には、第1クラッチ機構K1と第2クラッチ機構K2とが配設されている。
第1クラッチ機構K1は、中心軸O´の先端側、つまり、第2ギア61h側に配設され、第2クラッチ機構K2は中心軸O´の基端側、つまり、第1ギア61g側に配設される。
第2ギア61hには、第1係止部72Aが凹部として形成されており、第1ギア61gには、第2係止部72Bが凹部として形成されている。
また、第1スプリング部材71Aは中心軸O´の先端側に圧入されており、第2スプリング部材71Bは中心軸O´の基端部側に圧入されている。
なお、第1スプリング部材71Aと第2スプリング部材71Bの巻回方向は逆方向となっている。
更に、第1係止部72Aには第1係止突部71aが配設されるとともに、第2係止部72Bには、第2係止突部71bが配設されている。
【0075】
この状態でモータ61cを駆動し、切替用ギア61mがX方向に回転すると、中心軸O´もまたX方向へ回転する。
この回転に従って、第1係止突部71aは第1係止部72Aの第1伝達側係止部172Aへ係止される。
更に、第1出力軸61aが回転を継続すると、第1スプリング部材71Aが収縮して中心軸O´を把持するため、第1係止部72Aが形成された第2ギア61hには、中心軸O´の回転駆動力が伝達される。
よって、第2ギア61hは回転し、この回転駆動力が次段ギアである第4ギア61jに伝達される。
次いで、この第4ギア61jに同軸に配設された第5ギア61kが回転し、この第5ギア61kに噛合している第6ギア61lが回転する。
この第6ギア61lが回転すると、この第6ギアの出力軸である第1出力軸61aが回転し、この第1出力軸61aに連結されたトナー撹拌部材41が回転駆動する。
【0076】
しかし、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと逆方向に巻回されているため、中心軸O´がX方向へ回転すると、第2係止突部71bは、第2係止部71Bの第2非伝達側係止部173Bへ係止される。
更に、中心軸O´が回転を継続すると、第2スプリング部材71Bが弛緩し、第1出力軸61aを把持できなくなるため、第2係止部72Bが形成された第1ギア61gには、中心軸O´の回転動力が伝達されることはない。
このため、第1ギア61gの回転は次段である第3ギア61iには伝達されず、このため、第2出力軸61bには回転駆動力が伝達されない。
よって、第2出力軸61bに連結された搬送経路内撹拌部材51は回転駆動しない。
【0077】
また、中心軸O´がY方向へ回転すると、第1係止突部71aは、第1係止部72Aの第1非伝達側係止部173Aへ係止される。
更に、中心軸O´が回転を継続すると、第1スプリング部材71Aが弛緩し、中心軸O´を把持できなくなるため、第1係止部72Aが形成された第2ギア61hには、中心軸O´の回転動力が伝達されることはない。
よって、第2ギア61hは回転することなく、この回転駆動力が次段ギアである第4ギア61jに伝達されることはない。
このため、この第4ギア61jに同軸に配設された第5ギア61k及びこの第5ギアに噛合している第6ギア61lが回転することもない。
よって、この第6ギア61lの出力軸である第1出力軸61aが回転することはなく、この第1出力軸61aに連結されたトナー撹拌部材41は回転駆動しない。
【0078】
しかし、第2スプリング部材71Bは、第1スプリング部材71Aと逆方向に巻回されているため、中心軸O´がY方向へ回転すると、第2係止突部71bは第2係止部72Bの第2伝達側係止部172Bへ係止される。
更に、中心軸O´が回転を継続すると、第2スプリング部材71Bが収縮して、第1出力軸61aを把持するため、第2係止部72Bが形成された第1ギア61gに、中心軸O´の回転動力が伝達されることとなる。
このため、第1ギア61gの回転は次段である第3ギア61iに伝達され、このため、第3ギア61iの出力軸である第2出力軸61bが回転駆動する。
よって、第2出力軸61bに連結された搬送経路内撹拌部材51が回転駆動する。
このように、本例では、モータ61cの回転方向を変えることで、第1出力軸61aと第2出力軸61bの駆動・非駆動を切替えることができる。
【0079】
なお、適用するクラッチ機構Kの個数、配置位置等は、特に限定されることはなく、トナーの撹拌と搬送の特性に応じて適宜変更することができる。
また、スプリング部材71と各種回転軸との連結力を変更することにより、このクラッチ機構Kをトルククラッチとして作動させることが可能となる。
つまり、伝達・解除方向であっても、スプリング部材71と各種回転軸との連結力を限界点とするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態に係るトナー供給装置を示す斜視図である。
【図2】図1をA方向から見た説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るトナー供給装置を構成するトナーカートリッジ及びその周辺部材の構成を示す説明図である。
【図4】改変例に係るトナーカートリッジ及びその周辺部材を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るトナー供給用アクチュエータを図3のB方向から見た平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構の原理を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構の原理を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構の原理を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構の原理を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構を備えたトナー供給用アクチュエータの第1実施例を示す説明図である。
【図11】図10の三方図である。
【図12】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構を備えたトナー供給用アクチュエータの第2実施例を示す説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係るクラッチ機構を備えたトナー供給用アクチュエータの第3実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0081】
1‥支持基板、1a‥支持平板部、1b‥トナーカートリッジ支持部、1c,1d,1e,1f‥トナーカートリッジ固定孔、
2‥トナーカートリッジ、
3‥トナー搬送経路、3a‥カバー、
4‥トナー撹拌部材、
5‥搬送経路内撹拌部材
21,22,23,24,210‥トナーカートリッジ、
21a,22a,23a,24a,210a‥底面、
21b,22b,23b,24b,210b‥トナー排出口、
31,32,33,34‥トナー搬送経路
31a‥トナー受部、31b‥搬送経路、31c‥トナー受口、31d‥トナー出口、
31e‥搬送経路内撹拌部材挿入孔
41,42,43,44‥トナー撹拌部材、
41b‥ベアリング
51,52,53,54‥搬送経路内撹拌部材
6(61,62,63,64)‥トナー供給用アクチュエータ
61a‥第1出力軸、61b‥第2出力軸、61c‥モータ、61d‥ウォームギア、
61e‥ウォームホイール、61f‥スパーギア、61g‥第1ギア、61h‥第2ギア、
61i‥第3ギア、61j‥第4ギア、61k‥第5ギア、61l‥第6ギア、
61m‥切替用ギア、
71‥スプリング部材、71a‥係止突部、第1係止突部、
72‥係止部、171‥基端部、172‥伝達側係止部、173‥非伝達側係止部、
71A‥第1スプリング部材、
72A‥第1係止部、
171A‥第1基端部、172A‥第1伝達側係止部、173A‥第1非伝達側係止部、
71B‥第2スプリング部材、
72B‥第2係止部、71b‥第2係止突部、
80‥制御部、90‥スイッチ、
171B‥第2基端部、172B‥第2伝達側係止部、173B‥第2非伝達側係止部、
210c‥突縁、410b‥固定部材、
D‥供給装置支持台、G‥現像部、G1‥現像部トナー受口、G2‥トナーセンサ、
J‥出力ジョイント、J1‥第1出力ジョイント、J2‥第2出力ジョイント、
K‥クラッチ機構、K1‥第1クラッチ機構、K2‥第2クラッチ機構、
H‥ハウジングケース、L‥ケース、S‥トナー供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ自体又は内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ内に配設されたトナー撹拌部材と、前記トナーカートリッジから現像部へトナーを搬送するための通路となる搬送経路内に配設された搬送経路内撹拌部材と、を回転させるためのトナー供給用アクチュエータであって、
該トナー供給用アクチュエータは、
駆動源である少なくとも一のモータと、
前記モータの出力軸からの出力が直接若しくは間接的に伝達され、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、
該モータの出力軸からの出力を直接若しくは間接的に伝達され、前記搬送経路内撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第2出力軸と、
前記モータの回転方向に応じて、前記第1出力軸及び前記第2出力軸の少なくとも一方の駆動及び非駆動を選択的に切り替える少なくとも一のクラッチ機構と、を有して構成されており、
該クラッチ機構は、略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、該巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、前記延出部に係合する係止部と、で構成されており、
前記スプリング部材の前記巻回部は、前記出力軸に圧入されるとともに、前記係止部は前記延出部を係合可能な位置に配設され、
前記係止部は、前記第1出力軸および前記第2出力軸の少なくとも一方に直接若しくは間接的に連結されており、
前記出力軸が一方向に回転して、前記延出部が前記係止部に係止されることにより前記巻回部が収縮すると、前記巻回部が前記出力軸を把持して前記係止部に前記出力軸の動力が伝達されるとともに、前記回転軸が逆方向に回転して前記延出部が前記係止部に係止されることにより、前記巻回部が弛緩すると、前記係止部には前記回転軸の動力が伝達されないことを特徴とするトナー供給用アクチュエータ。
【請求項2】
内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ自体又は内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ内に配設されたトナー撹拌部材と、前記トナーカートリッジから現像部へトナーを搬送するための通路となる搬送経路内に配設された搬送経路内撹拌部材と、を回転させるためのトナー供給用アクチュエータであって、
該トナー供給用アクチュエータは、
駆動源であるモータと、
該モータからの出力を、複数の系統に伝達する複数の回転体からなる伝達部材と、
前記複数の系統のうち一の系統に連結され、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、
前記複数の系統のうち他の系統に連結され、前記搬送経路内撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第2出力軸と、
略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、該巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、前記延出部に係合する係止部と、で構成されたクラッチ機構とを有して構成され、
前記第1出力軸には、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材を、前記第1出力軸と連結するための第1ジョイント部材が配設されているとともに、前記第2出力軸には、前記搬送経路内撹拌部材を連結するための第2ジョイント部材が配設されており、
前記巻回部は、前記第1出力軸及び前記第2出力軸の少なくとも一方に圧入されるとともに、前記係止部は、第1ジョイント部材及び前記第2ジョイント部材の少なくとも一方の内部であって前記延出部と係合可能な位置に切り欠き部として形成され、
前記第1出力軸及び前記第2出力軸のうち前記クラッチ機構が配設された軸が一方向に回転して、前記延出部が前記係止部に係止されることにより前記巻回部が収縮すると、前記巻回部が前記軸を把持して前記係止部に前記軸の動力が伝達されるとともに、前記軸が逆方向に回転して、前記延出部が前記係止部に係止されることにより前記巻回部が弛緩すると、前記係止部には前記軸の動力が伝達されないことを特徴とするトナー供給用アクチュエータ。
【請求項3】
前記クラッチ機構は、前記第1ジョイント部材及び前記第2ジョイント部材の双方に配設されており、双方の前記巻回部は、逆方向に巻回されていることを特徴とする請求項2に記載のトナー供給用アクチュエータ。
【請求項4】
内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ自体又は内部にトナーが充填されるトナーカートリッジ内に配設されたトナー撹拌部材と、前記トナーカートリッジから現像部へトナーを搬送するための通路となる搬送経路内に配設された搬送経路内撹拌部材と、を回転させるためのトナー供給用アクチュエータであって、
該トナー供給用アクチュエータは、
駆動源であるモータと、
該モータからの出力を、複数の系統に伝達する複数の回転体からなる伝達部材と、
前記複数の系統のうち一の系統に連結され、前記トナーカートリッジ自体又は前記トナー撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第1出力軸と、
前記複数の系統のうち他の系統に連結され、前記搬送経路内撹拌部材に前記モータからの出力を伝達する第2出力軸と、
略円形状若しくは螺旋状の巻回部と、該巻回部から延出した延出部とで構成されたスプリング部材と、前記延出部に係合する係止部と、で構成されるとともに、前記モータの回転方向に応じて、前記第1出力軸と前記第2出力軸の駆動及び非駆動を選択的に切り替えるクラッチ機構と、を有して構成されており、
該クラッチ機構は、
前記伝達部材のうち前記複数の系統への分岐点に配設され、一の系統に動力を伝達する第1伝達部材に配設される第1クラッチ機構と、他の系統に動力を伝達する第2伝達部材に配設される第2クラッチ機構と、で構成されており、
前記第1クラッチ機構を構成する第1スプリング部材の第1巻回部及び前記第2クラッチ機構を構成する第2スプリング部材の第2巻回部は、ともに前記第1伝達部材及び前記第2伝達部材の中心軸に圧入されており、
前記第1クラッチ機構を構成する第1係止部は前記第1伝達部材の内部であって、前記第1スプリング部材の第1延出部を係合可能な位置に切り欠き部として形成されるとともに、前記第2クラッチ機構を構成する第2係止部は前記第2伝達部材の内部であって、前記第2スプリング部材の第2延出部を係合可能な位置に切り欠き部として形成され、
前記第1スプリング部材と前記第2スプリング部材の巻回方向は逆方向であり、
前記中心軸が一方向に回転して前記第1延出部及び前記第2延出部が前記第1係止部及び前記2係止部に係止されることにより、前記第1巻回部及び前記第2巻回部のうちの一方が収縮するとともに他方が弛緩し、前記第1係止部及び前記第2係止部のうち収縮した側のみに前記中心軸の動力が伝達されることを特徴とするトナー供給用アクチュエータ。
【請求項5】
前記係止部の形成位置は、前記第1ジョイント部材及び前記第2ジョイント部材に形成されている切り欠き形成位置と整合しない位置であることを特徴とする請求項2に記載のトナー供給用アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4いずれか一項に記載のトナー供給用アクチュエータを備えたトナー供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−86518(P2009−86518A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258732(P2007−258732)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】