説明

トナー搬送装置及び画像形成装置

【課題】トナー落下搬送管路のトナーによる閉塞を防止すること。
【解決手段】トナー搬送装置100は、水平搬送管路102と、トナー排出開口104と、トナー搬送部材106と、トナー落下搬送管路108とを備えている。トナー搬送部材106は、回転軸110と、螺旋羽根112を備えている。回転軸110の、トナー排出開口104の中心部の上方をクロスして延在するクロス領域には突起部122が形成されている。トナー落下搬送管路108内にはコイルばね124が配置され、コイルばね124は、上端係止部124Aが、突起部122を含む回転軸110の半径方向外方を囲んで相対回転可能に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に備えられるトナー搬送装置及び該トナー搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された画像形成装置は、画像形成装置本体に対し、着脱自在に構成したクリーニング装置を有している。クリーニング装置は、転写工程後に感光体ドラムの表面に残留しているトナーを清掃除去するクリーニングブレードと、クリーニングブレードによって回収したトナーを搬送して装置外に排出するトナー搬送スクリュー部材とを備えている。この画像形成装置は更に、クリーニング装置から排出されたトナーを、トナー回収用容器に向けて落下させるためのトナー落下管(トナー落下搬送管路)を備えている。トナー落下管内には、トナー落下管の内壁面を摺動することで、該内壁面に付着したトナーを除去する伸縮自在のスプリングが設けられている。このスプリングは、クリーニング装置の着脱に連動して伸縮運動させられ、トナー落下管の内壁面を摺動することで、該内壁面に付着したトナーが掻き落される。
【特許文献1】特開平05−165382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記画像形成装置によれば、トナー落下管の内壁面に付着したトナーは、画像形成装置の稼動中に除去されるのではなく、定期若しくは不定期の点検時、或いは、クリーニング装置の交換時などに、除去されるので、画像形成装置稼動中のトナーの飛散を抑えることができる、クリーニング装置の着脱動作に連動して、自動的に、トナー落下管の内壁面に付着したトナーが除去されてしまう、などの効果が得られる、とされている。しかしながら、上記画像形成装置は、次のような問題を有している。
(1)トナー落下管の内壁面に付着したトナーは、定期若しくは不定期の点検時、或いは、クリーニング装置の交換時などに除去されるので、その期間が長い場合には、トナー落下管の内壁面に付着するトナーの量が多くなって、トナー落下管内をトナーで塞ぐおそれがある(トナー落下管がトナーにより詰まるおそれがある)。該期間中、トナー落下管内に存在するスプリングは、伸縮運動しないので、トナーの落下を妨げる部材となり、上記不具合の発生のおそれは更に強くなる。
(2)クリーニング装置を画像形成装置から外すと、トナー落下管内のスプリングが収縮されて、トナー落下管の内壁面に付着したトナーが掻き落されるが、トナー落下管の上端開口が外部に開放されているので、掻き落されたトナーが、該上端開口から外部に飛散するおそれが多分にある。
(3)実施に際しては、スプリングの他に、紐、摺動杆及びばねなどを必要とするので、部品点数及び組み付け工数が多く、組付け時間が長くなると共にコストアップとなる。
【0004】
本発明の目的は、トナー落下搬送管路がトナーにより塞がれる不具合を確実に防止し、トナーの飛散を最小限に抑えると共に、部品点数及び組み付け工数を少なくし、組付け時間を短縮すると共にコストダウンを可能にする、新規なトナー搬送装置及び該トナー搬送装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面によれば、
トナーを水平方向に搬送するための水平搬送管路と、水平搬送管路に下方に開口するよう配設されたトナー排出開口と、水平搬送管路内に配設されかつ、水平搬送管路内のトナーをトナー排出開口に向けて搬送するトナー搬送部材と、トナー排出開口から下方に延在して、トナー排出開口に搬送されたトナーを所定の搬送部に向けて自由落下させるトナー落下搬送管路とを備え、トナー搬送部材は、回転軸と、回転軸に一体に配設された螺旋羽根とを備えているトナー搬送装置において、
トナー搬送部材の回転軸は、トナー排出開口の中心部の上方をクロスして延在するクロス領域を有し、回転軸のクロス領域には、回転軸の外周面における一部領域から半径方向外方に延び出す突起部が形成され、トナー落下搬送管路内には、コイルばねが上下方向に延在するよう配置され、該コイルばねは、該コイルばねに形成された上端係止部が、クロス領域における回転軸に、該突起部を含む半径方向外方を囲んで相対回転可能に係止されて吊下げられかつ、下端がトナー落下搬送管路に対し非係止状態とされる又は該コイルばねに形成された下端係止部がトナー落下搬送管路に係止される、
ことを特徴とするトナー搬送装置、が提供される。
本発明の他の局面によれば、
像担持体、現像器、現像器にトナーを補給するためのトナー補給容器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、少なくとも1個の作像装置と、トナー補給容器に収容されたトナーを所定の搬送部である現像器に搬送するトナー搬送装置とを備えた画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、前記トナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
本発明の更に他の局面によれば、
像担持体、現像器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、少なくとも1個の作像装置と、像担持体クリーニング装置により回収された非転写トナーを所定の搬送部であるトナー回収容器に搬送するトナー回収装置とを備え、トナー回収装置にはトナー搬送装置が備えられている画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、前記トナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
本発明の更に他の局面によれば、
それぞれ、像担持体、現像器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、複数の作像装置と、作像装置の各々における像担持体上に形成された、相互に色の異なるトナー像が順次に重合・転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に残留した非転写トナーを回収する中間転写ベルトクリーニング装置と、像担持体クリーニング装置の各々及び中間転写ベルトクリーニング装置により回収された非転写トナーを所定の搬送部であるトナー回収容器に搬送するトナー回収装置とを備え、トナー回収装置にはトナー搬送装置が備えられている画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、前記トナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
本発明の更に他の局面によれば、
それぞれ、像担持体、現像器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、複数の作像装置と、該トナー像が記録媒体上に順次に重合・転写されるよう該記録媒体を搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルト上に残留した非転写トナーを回収する搬送ベルトクリーニング装置と、像担持体クリーニング装置の各々及び搬送ベルトクリーニング装置により回収された非転写トナーを所定の搬送部であるトナー回収容器に搬送するトナー回収装置とを備え、トナー回収装置にはトナー搬送装置が備えられている画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、前記トナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に従って構成されたトナー搬送装置及び該トナー搬送装置を備えた画像形成装置の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
先ず図6を参照して、本発明に従って構成されたトナー搬送装置を備えた画像形成装置であるタンデム型カラープリンタ2(以下、単に「プリンタ2」と略称する)について説明する。
【0008】
プリンタ2は、ほぼ直方体の画像形成装置本体であるプリンタ本体4を備えている。プリンタ本体4は、ほぼ鉛直に延在する一側面4a、一側面4aに対し水平方向(図6において水平左右方向)に間隔をおいて対向する他の側面4b、図6において紙面の表裏方向に間隔をおいて対向する更に他の一対の側面(不図示)を備えている。プリンタ本体4内には、複数の作像装置(実施形態においては4個の作像装置)である、イエロー用作像装置6、マゼンタ用作像装置8、シアン用作像装置10及びブラック用作像装置12が、図6において左から右に向かってこの順に配列されている。これらの作像装置6、8、10及び12は、それぞれ、像担持体である感光体ドラム14、帯電器16、露光装置18、現像装置20、一次転写ローラ22、クリーニング装置24などの作像エレメントを備えている。一次転写ローラ22を含む図示しない転写装置は、一次転写ローラ22に転写バイアスを印加する転写バイアス電源装置(不図示)を備えている。クリーニング装置24は、感光体ドラム14上に残留した非転写トナーを回収するためのクリーニング装置であり、感光体ドラムクリーニング装置24と称することができる。
【0009】
図6において、感光体ドラム14に対し、一次転写ローラ22は上側に、帯電器16は下側に、現像装置20は左側に、クリーニング装置24は右側にそれぞれ配置され、露光装置18は、帯電器16及び現像装置20よりも下方に配置されている。なお、図6においては、図示の簡略化のため、上記作像エレメントの符号は、イエロー用作像装置6においてのみ付してある。これらの作像装置6、8、10及び12は、水平方向に、実施形態においては図6において左から右に向かって直線状に前記順序で並列されている。
【0010】
作像装置6、8、10及び12の上側には、中間転写ベルト機構26が配設されている。中間転写ベルト機構26は、駆動ローラ28と、従動ローラ30と、これらのローラに巻き掛けられた無端状の中間転写ベルト32と、クリーニング装置33とを備えている。クリーニング装置33は、中間転写ベルト32上に残留した非転写トナーを回収するためのクリーニング装置であり、中間転写ベルトクリーニング装置33と称することができる。なお、中間転写ベルト機構26の上側には、各作像装置6、8、10及び12の現像装置20に、それぞれ、対応する色のトナーを補給するためのトナー補給容器6TC、8TC、10TC及び12TCが配設されている。
【0011】
作像装置6、8、10及び12の各々において、一次転写ローラ22は、感光体ドラム14に対し中間転写ベルト32の下端走行領域(図6において水平左右方向に直線状に延在する)を介して上方から圧接させられている。駆動ローラ28の、図6において右斜め下方には二次転写ローラ34が配置されている。二次転写ローラ34は、駆動ローラ28に対し中間転写ベルト32を介して右斜め下方から図示しない複数のばね部材により圧接させられている。駆動ローラ28は図6において反時計方向に回転駆動させられるので、中間転写ベルト32、従動ローラ30及び一次転写ローラ22も反時計方向に回転させられる。
【0012】
作像装置6、8、10及び12の下方であって、プリンタ本体4の下端部には、給紙カセット36が配設されている。給紙カセット36内には、一端が軸38まわりに回動自在に支持された用紙載置板である底板40、底板40の他端を上方に押し上げる圧縮コイルばね42などが配設されている。底板40上に積層・収容された記録媒体である用紙Pの先端部における上面は、プリンタ本体4内に配設されたピックアップローラ44に圧接される。ピックアップローラ44の下流側には、分離ローラ対46が配設されている。
【0013】
プリンタ本体4の一側面4a寄りの位置(図6において右端部位置)には、用紙Pの片面にトナー像を形成するために用紙Pを搬送する搬送路50と、片面にトナー像が形成された用紙Pを表裏反転させて搬送路50に再給紙して他面にもトナー像を形成するための再給紙搬送路52とが配設されている。搬送路50の一部領域は、プリンタ本体4の一側面4aに沿って上下方向に延在する。また、再給紙搬送路52の一部領域は、プリンタ本体4の一側面4aと搬送路50の該一部領域との間を一側面4aに沿って上下方向に延在するよう配設されている。
【0014】
プリンタ本体4の上面の一部領域には排紙トレイ54が配設されている。排紙トレイ54は、プリンタ本体4の他の側面4bから一側面4aに向かって中央付近まで水平に延びてから、作像装置12の上方位置あたりまで下方に傾斜して延びている。プリンタ本体4には、更に、排紙トレイ54の傾斜した下端から上面に向かって鉛直上方に延びる段部56が配設されている。段部56の上端部には排出ローラ対58が配設されている。プリンタ本体4の一側面4aの上端領域は、上方に向かって他の側面4b方向にカーブして上面の一部領域に連続している。上面の一部領域は、段部56の上方位置まで水平に延びている。一側面4aの下端領域は、下方に向かって他の側面4b方向に傾斜しており、中間領域は、ほぼ鉛直に延在している。
【0015】
搬送路50は、分離ローラ対46の下流側と、排出ローラ対58の上流側との間を上下方向に延在している。搬送路50の下端領域及び上端領域は、プリンタ本体4の一側面4a方向に膨らむようカーブしており、その中間領域は、ほぼ一側面4aに沿って上下方向に延在する。二次転写ローラ34と駆動ローラ28とのニップ部(中間転写ベルト32を挟んだニップ部)は搬送路50のほぼ中央領域に配置されている。搬送路50の、分離ローラ対46と、二次転写ローラ34と駆動ローラ28とのニップ部との間には、搬送ローラ対60及びレジストローラ対62が、上流から下流に向かって配設されている。また、搬送路50の、二次転写ローラ34と駆動ローラ28とのニップ部と、排出ローラ対58との間には、定着ローラ対64及び搬送ローラ対66が、上流から下流に向かってこの順に配設されている。定着ローラ対64は、ハロゲンランプなどの発熱体により加熱される熱ローラ(定着ローラ)11と、熱ローラ11に圧接されている圧ローラ13とを備えている。
【0016】
再給紙搬送路52は、プリンタ本体4の上端部に配設された段部56の、排出ローラ対58の上側から、プリンタ本体4の一側面4aに向かって下方に延びてからカーブして、ほぼ一側面4aに沿って下方に延び、下端部において上方に反転して、搬送路50の、搬送ローラ対60とレジストローラ対62との間に合流している。再給紙搬送路52の、最上流領域である、段部56の近傍位置には、正逆回転可能なスイッチバックローラ対70が配設されている。再給紙搬送路52の、スイッチバックローラ対70と、下端部における反転領域の入口との間には、再給紙搬送ローラ対71、72、73及び74が配設されている。
【0017】
再給紙搬送路52の上端領域は、搬送路50の上端領域の上方に並列されており、スイッチバックローラ対70は、排出ローラ対58の直上流側位置における再給紙搬送路52に配置されている。排出ローラ対58の直上流位置であって、搬送路50と再給紙搬送路52との間の位置には、搬送路切替ガイド部材75が備えられている。搬送路切替ガイド部材75は、図示しないアクチュエータにより、搬送路50の搬送ローラ対66により搬送された用紙Pを、排出ローラ対58に向けて案内する第1の案内位置(図6において実線で示される位置)、又はスイッチバックローラ対70に向けて案内する第2の案内位置(図6において2点鎖線で示される位置)に、選択的に切り替えられる。搬送路切替ガイド部材75が第1の案内位置(図6において実線で示される位置)に切り替えられた状態において、後述するとおりにして用紙Pの後端部をニップした状態でスイッチバックローラ対70が逆転させられると、用紙Pは再給紙搬送路52の再給紙搬送ローラ対71に向けて案内される。
【0018】
上記プリンタ2において、プリント動作そのものは周知のとおりにして行われるので、以下、図6を参照して、簡単に説明する。片面プリントが行われるに際しては、搬送路切替ガイド部材75は、予め、第1の案内位置(図6において実線で示される位置)に切り替えられる。
【0019】
作像手段6、8、10及び12において、それぞれ帯電器16により一様に帯電された感光体ドラム14の表面が、露光装置18(実施形態においてはレーザスキャニングユニット)により露光されることにより静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置20により現像されてトナー像となる。このトナー像は、一次転写ローラ22によって、中間転写ベルト機構26の中間転写ベルト32に、上流側の作像手段6によって形成されたトナー像から順次重ね合わされて転写される。中間転写ベルト32に転写されたカラートナー像は、給紙カセット36から搬送路50を通して送られた用紙Pが、駆動ローラ28と二次転写ローラ34とのニップ部を通過する間に、該用紙Pの片面に転写される。用紙Pの片面に転写されたトナー像は、定着ローラ対64を通過する間に熱定着される。
【0020】
片面にトナー像が定着された用紙Pは、搬送ローラ対66により下流方向に搬送される。搬送ローラ対66により搬送された用紙Pは、搬送路切替ガイド部材75により排出ローラ対50に向けて案内され、排出ローラ対58によって排紙トレイ54に、トナー像が定着された片面を下にした、いわゆるフェイスダウンの状態で排出される。
【0021】
他方、両面プリントが行われるに際しては、搬送路切替ガイド部材75は、予め、第2の案内位置(図6において2点鎖線で示される位置)に切り替えられる。そして、先ず、先に述べたとおりにして、用紙Pの片面にトナー像が定着される。片面にトナー像が定着された用紙Pは、搬送ローラ対66により搬送される。搬送ローラ対66により搬送された用紙Pは、搬送路切替ガイド部材75により再給紙搬送路52に配設されたスイッチバックローラ対70に案内され、スイッチバックローラ対70により、再給紙搬送路52の上端である上流端から排紙トレイ54に向けて搬送される。スイッチバックローラ対70は、用紙Pの後端部(搬送路50における搬送方向後端部)をニップした状態で一時停止させられる。スイッチバックローラ対70が一時停止させられている間に、搬送路切替ガイド部材75が、第2の案内位置(図6において2点鎖線で示される位置)から、再び第1の案内位置(図6において実線で示される位置)に切り替えられる。
【0022】
続いて、スイッチバックローラ対70は、用紙Pの該後端部をニップした状態で逆回転させられる。用紙Pは、スイッチバックローラ対70により、該後端部を含む後端を先頭にして、搬送路切替ガイド部材75に案内されて、再給紙搬送路52の再給紙搬送ローラ対71に向けて搬送路50におけるとは逆方向に搬送される。用紙Pは、再給紙搬送ローラ対71、72及び73により再給紙搬送路52を下方に搬送されてから、再給紙搬送ローラ対74により、反転領域をとおって搬送路50における、レジストローラ対62の上流側に搬送される。レジストローラ対62の上流側に搬送された用紙Pは、レジストローラ対62により所定のタイミングで搬送され、駆動ローラ28と二次転写ローラ34とのニップ部を通過する間に、用紙Pの他面にトナー像が転写される。用紙Pの他面に転写されたトナー像は、定着ローラ対64を通過する間に熱定着される。両面にトナー像が定着された用紙Pは、先に述べたとおりにして排出ローラ対58によって排紙トレイ54に、トナー像が定着された他面を下にした状態で排出される。
【0023】
次に、図1〜図4を参照して、プリンタ2に備えられたトナー搬送装置100について説明する。先ず、作像装置10(図6)におけるトナー補給容器10TCと、現像装置20との間に配設されたトナー搬送装置100は、トナーを水平方向に搬送するための水平搬送管路102と、水平搬送管路102の底部に下方に開口するよう配設されたトナー排出開口104と、水平搬送管路102内に配設されかつ、水平搬送管路102内のトナーをトナー排出開口104に向けて搬送するトナー搬送部材106と、トナー排出開口104から下方に延在して、トナー排出開口104に搬送されたトナーをトナーの所定の搬送部である現像装置20に向けて自由落下させるトナー落下搬送管路108とを備えている。トナー搬送部材106は、回転軸110と、回転軸110に一体に配設された螺旋羽根112、実施形態においては螺旋羽根112A及び112Bとを備えている。回転軸110は、水平搬送管路102に設けられた一対の仕切壁114に図示しない軸受部材を介して回転自在に支持されている。一対の仕切壁114は、水平搬送管路102内において、トナー排出開口104を挟んで水平搬送管路102の長手方向に間隔をおいて該長手方向に直交するよう配設されている。
【0024】
トナー搬送部材106の螺旋羽根112A及び112Bは、水平搬送管路102の、トナー排出開口104を境とする、一対の仕切壁114間の長手方向における両領域において巻き方向が相互に逆方向となるよう形成されている(螺旋羽根112Aは、図1において左側の領域に存在し、螺旋羽根112Bは、図1において右側の領域に存在する)。トナー搬送部材106の回転軸110の端部は、ギヤを含む動力伝達機構を介して電動モータでよい駆動源に連結されている(いずれも図示せず)。トナー搬送部材106の一方向への回転により、水平搬送管路102の該両領域に存在するトナーが、排出開口104に向かって相互に接近する2方向から搬送される。
【0025】
図示の実施形態において、水平搬送管路102の、トナー排出開口104を境とする、図1において左側の領域の上端部には、トナーの受入開口116が上方に開口するよう配設されている。トナー補給容器10TC内には、底壁に沿ってトナー搬送スクリュー部材118がトナー補給容器10TCの長手方向(図1において紙面に垂直な方向)に延在するよう配設されている。そして、トナー補給容器10TCの底壁における該長手方向の一端部(図1において手前側端部)には、トナー排出補給口120が配設されている。トナー補給容器10TCが、作像装置10(図6)の上端に配設されると、トナー排出補給口120を開閉する図示しない蓋部材が開かれ、トナー補給容器10TCのトナー排出補給口120が、水平搬送管路102の受入開口116に上方から接続される。
【0026】
トナー落下搬送管路108の下端は、現像装置20のハウジング20Hにおける長手方向の一端部内(図1において紙面に垂直な方向における手前側一端部)の下端部であって、図1において左端部に開口している。ハウジング20H内の底部には、該長手方向に延在するトナー撹拌搬送部材20Rが回転自在に配設され、トナー落下搬送管路108の下端は、トナー撹拌搬送部材20Rの該長手方向における該一端部の上方に開口するよう配置されている。トナー落下搬送管路108の上端領域は、鉛直に延在し、横断面が円形をなすよう形成されている。
【0027】
トナー搬送部材106の回転軸110は、トナー排出開口104の中心部の上方をクロスして延在するクロス領域を有している。回転軸110のクロス領域には、回転軸110の外周面における一部領域から半径方向外方に延び出す突起部122が形成されている。突起部122は、所定の周方向の厚み及び回転軸110における軸方向の幅をもって、回転軸110の外周面における一部領域から半径方向外方に延び出しており、先端部は、軸方向から見て円弧状または曲面をなすよう形成されている。回転軸110の軸心から突起部122の先端までの半径方向長さは、螺旋羽根112A及び112Bの半径よりも若干小さく設定されている。なお、この突起部122の他の実施形態としては、回転軸110の円形外周面を基礎円とするカム形状を挙げることができる。
【0028】
トナー落下搬送管路108内には、コイルばね124が上下方向に延在するよう配置されている。コイルばね124は、コイルばね124に形成された上端係止部124Aが、上記クロス領域における回転軸110に、突起部122を含む半径方向外方を囲んで相対回転可能に係止されることにより吊下げられ、かつ、下端がトナー落下搬送管路108に対し非係止状態とされる。上端係止部124Aは、回転軸110に吊下げられた状態で回転軸110の軸方向に見て、例えば、いわゆるフック形状、又は円弧形状、あるいはほぼ環状となるよう、それぞれ曲線状に折り曲げ形成されるが、上端係止部124A内で突起部122を含む回転軸110が相対回転できかつ外れないような形状及び大きさであればよい。図2に示す実施形態において、上端係止部124Aは、該軸方向に見て、ほぼ楕円状にかつ、ほぼ環状をなすよう形成されている。コイルばね124は、横断面が円形をなしかつ、鉛直に延在するトナー落下搬送管路108の上端領域内に存在するよう配置され、コイルばね124の外周面は、トナー落下搬送管路108の上端領域における内周壁面に対し、隙間をおいて位置付けられている。
【0029】
トナー補給容器10TCのトナー搬送スクリュー部材118が図示しない駆動源により回転駆動させられると、トナー補給容器10TCのトナーは、トナー排出補給口120及び水平搬送管路102の受入開口116を介して水平搬送管路102内に排出される。水平搬送管路102内に排出されたトナーは、図示しない駆動源により回転駆動されるトナー搬送部材106の螺旋羽根112A及び112Bによりトナー排出開口104に向けて搬送される。トナー排出開口104に向けて搬送されたトナーは、トナー排出開口104から、トナー落下搬送管路108内を落下させられ、現像装置20のハウジング20Hにおける長手方向の一端部におけるトナー撹拌搬送部材20R上に補給される。トナー撹拌搬送部材20R上に補給されたトナーは、ハウジング20H内を所要のとおりに搬送される。
【0030】
水平搬送管路102内に配設されたトナー搬送部材106が図示しない駆動源により回転駆動させられると、回転軸110の突起部122を含むクロス領域に上端係止部124Aを介して係止され、吊下げられたコイルばね124が、回転軸110の外周面と突起部122の先端面との間に形成される最大ストローク間を上下動させられる。コイルばね124は、下端がトナー落下搬送管路108に対し非係止状態とされ、運動自在であるので、トナー落下搬送管路108内を上下方向、半径方向、及びそれらを複合した方向など、多様な方向に、繰り返し伸縮及び振動させられるので、トナー落下搬送管路108内を落下するトナーがほぐされ、円滑に落下させられる。また、トナー落下搬送管路108の内周壁面に付着したトナーも掻き落される。
【0031】
なお、図2において2点鎖線で示すように、コイルばね124に下端係止部124Bを形成し、下端係止部124Bを、トナー落下搬送管路108内に配設された係止部、実施形態においては、トナー落下搬送管路108内を横切るように固定された係止ピン108Pに係止する、他の実施形態もある。下端係止部124Bは、例えば、いわゆるフック形状、又は円弧形状、あるいはほぼ環状となるよう、それぞれ曲線状に折り曲げ形成されるが、係止ピン108Pから外れないような形状及び大きさであればよい(適宜の移動規制手段により、係止ピン108Pの中央に位置付けられることが好ましい)。図2において2点鎖線で示す実施形態において、下端係止部124Bは、ほぼ環状をなすよう形成されている。この実施形態においては、先に述べたように、水平搬送管路102内に配設されたトナー搬送部材106が図示しない駆動源により回転駆動させられると、コイルばね124の上端係止部124Aは回転軸110の外周面と突起部122の先端面との間に形成される最大ストローク間を上下動させられるが、コイルばね124の下端係止部124Bが係止ピン108Pに係止されて運動が実質的に抑制されているので、コイルばね124は、上下動させられる上端係止部124Aと、運動が実質的に抑制された下端係止部124Bとの間で、トナー落下搬送管路108内を上下方向、半径方向、及びそれらを複合した方向など、多様な方向に、繰り返し伸縮及び振動させられる。その結果、トナー落下搬送管路108内を落下するトナーがほぐされ、円滑に落下させられる。また、トナー落下搬送管路108の内周壁面に付着したトナーも掻き落される。
【0032】
上記説明から明らかなように、上記トナー搬送装置100によれば、トナー落下搬送管路108がトナーで塞がれる不具合の発生は確実に防止される。また、プリント動作中、トナー搬送部材106が回転駆動されてコイルばね124が伸縮及び振動させられても、トナー落下搬送管路108内及び水平搬送管路102内に飛散したトナーの外部への漏れは、外気と連通する箇所を適宜にシールすることにより、最小限に抑えることができる。更にはまた、コイルばね124を、水平搬送管路102内に配設されたトナー搬送部材106の回転軸110における、突起部122を含むクロス領域に上端係止部124Aを介して係止し、吊下げるだけで、他の構成部材を必要としない、又は水平搬送管路102内に下端係止部124Bを係止するための係止部(実施形態においては係止ピン108P)を設けるだけでよいので、先に述べた従来装置に比べて、部品点数及び組み付け工数を少なくし、組付け時間を短縮すると共にコストダウンを可能にする。よって、上記トナー搬送装置100を備えたプリンタ2も、実質的に同じ作用効果が得られることはいうまでもない。
【0033】
上記プリンタ2において、作像装置6(図6)におけるトナー補給容器6TCと現像装置20との間、作像装置8におけるトナー補給容器8TCと現像装置20との間、及び作像装置12におけるトナー補給容器12TCと現像装置20との間にも、それぞれ上記トナー搬送装置100と実質的に同じ構成を有するトナー搬送装置100が配設されている(これらのうち、図1においては、作像装置10におけるトナー補給容器10TCと現像装置20との間に配設されたトナー搬送装置100、及び作像装置12におけるトナー補給容器12TCと現像装置20との間に配設されたトナー搬送装置100のみが図示されている)。図1及び図4から明らかなように、水平搬送管路102は、作像装置6、8、10及び12において、水平方向に連続した共通の水平搬送管路102及びトナー搬送部材106により構成され、トナー搬送部材106は、図示しない共通の駆動源により回転駆動される。
【0034】
本発明によるトナー搬送装置100は、トナー回収するためのトナー回収装置にも備えられる。以下、図5及び図6を参照して、プリンタ2に備えられたトナー回収装置200について説明する。トナー回収装置200は、作像装置6、8、10及び12の各々における感光体ドラムクリーニング装置24により回収された非転写トナーが、それぞれ受入開口202、204、206及び208を介して排出される共通搬送路210と、共通搬送路210に排出された非転写トナーを共通搬送路210に形成された1個のトナー排出開口212を介して排出・回収するためのトナー回収容器214とを備えている。図示の実施形態において、トナーを水平方向に搬送するための水平搬送管路である共通搬送路210には、中間転写ベルトクリーニング装置33により回収された非転写トナーを共通搬送路210に排出するための他の受入開口216が配設されている。共通搬送路210内には、排出された非転写トナーをトナー排出開口212に搬送するトナー搬送部材220が回転自在に配設されている。トナー搬送部材220は、回転軸222と、回転軸222に一体に配設された螺旋羽根224A及び224Bとを備えている。回転軸222の図5において右端部には被駆動ギヤ222Gが固着され、図示しない、中間ギヤを含む動力伝達機構を介して図示しない電動モータでよい駆動源に駆動連結されている。
【0035】
更に具体的に説明すると、感光体ドラムクリーニング装置24の各々は、感光体ドラム14の表面に付着した非転写トナー(残留トナー)をハウジング24A内に掻き落すクリーニングブレード(不図示)と、ハウジング24A内に掻き落された非転写トナーをハウジング24Aの長手方向の一端(図6において紙面に垂直な手前方向の一端)に形成されたトナー排出口24B(図5)まで搬送するトナー搬送螺旋羽根部材24Cとを備えている。
【0036】
中間転写ベルトクリーニング装置33は、駆動ローラ30に巻き掛けられた中間転写ベルト32の表面に接触させられて中間転写ベルト32の表面に残留した非転写トナーを回収する第1ローラ33Aと、第1ローラ33Aの表面に接触させられて第1ローラ33Aの表面に付着した非転写トナーを回収する第2ローラ33Bと、第2ローラ33Bの表面に付着した非転写トナーをハウジング33C内に掻き落すクリーニングブレード33Dと、ハウジング33C内に掻き落された非転写トナーをハウジング33Cの長手方向の一端(図6において紙面に垂直な手前方向の一端)に形成されたトナー排出口33F(図5)まで搬送するトナー搬送螺旋羽根部材33Gとを備えている。
【0037】
共通搬送路210は、感光体ドラムクリーニング装置24の各々のハウジング24Aに形成されたトナー排出口24B及び中間転写ベルトクリーニング装置33のハウジング33Cに形成されたトナー排出口33Fの下方を水平にかつ直線状に延在するよう配設されている。上記他の受入開口216は、共通搬送路210の長手方向における一端部(図5において左端部)における上領域において、上方に開口するよう配設されている。また、上記受入開口202、204、206及び208は、共通搬送路210の長手方向における該一端部と他端(図5において右端)との間における上領域において、該一端部から他端に向かって上記順序で、該長手方向に間隔をおいて、それぞれ上方に開口するよう配設されている。
【0038】
上記他の受入開口216、受入開口202、204、206及び208は、共通搬送路210の長手方向に相互にほぼ同じ間隔をおいて配設されている。上記受入開口202、204、206及び208のうち、共通搬送路210の該一端部から他端に向かって数えて1番目の受入開口202は、他の受入開口216に対し最も近い位置に該他端方向(図5において右方)に間隔をおいて配設され、同方向に向かって数えて4番目の受入開口208は、共通搬送路210の長手方向における他端部(図5において右端部)に配設されている。
【0039】
イエロー用作像装置6における感光体ドラムクリーニング装置24のハウジング24Aに形成されたトナー排出口24Bは、鉛直に延在する連結路(連結管路)230を介して受入開口202に接続されている。マゼンタ用作像装置8における感光体ドラムクリーニング装置24のハウジング24Aに形成されたトナー排出口24Bは、鉛直に延在する連結路(連結管路)232を介して受入開口204に接続されている。シアン用作像装置10における感光体ドラムクリーニング装置24のハウジング24Aに形成されたトナー排出口24Bは、鉛直に延在する連結路(連結管路)234を介して受入開口206に接続されている。ブラック用作像装置12における感光体ドラムクリーニング装置24のハウジング24Aに形成されたトナー排出口24Bは、鉛直に延在する連結路(連結管路)236を介して受入開口208に接続されている。中間転写ベルトクリーニング装置33のハウジング33Cに形成されたトナー排出口33Fは、鉛直に延在する連結路(連結管路)238を介して受入開口216に接続されている。
【0040】
上記トナー排出開口212は、共通搬送路210の長手方向における中間領域、実施形態においては長手方向における中央領域の底部に、下方に開口するよう配設されている。図示の実施形態において、トナー排出開口212は、該1番目の受入開口202と該3番目の受入開口206との間の領域内に配設されている、更に具体的には、該1番目の受入開口202と該3番目の受入開口206との間の中央に配設された該2番目の受入開口204の下方位置に配設されている。トナー排出開口212は、トナー回収容器214の上端から上方に延び出すようトナー回収容器214に一体に配設された首部214Aの上端開口に接続されている。鉛直に延在する首部214Aは、円形の横断面を有し、トナー落下搬送管路を構成する。
【0041】
トナー搬送部材220の螺旋羽根224A及び224Bは、トナー排出開口212を境とする共通搬送路210の長手方向における両領域A及びBにおいて巻き方向が相互に逆方向となるよう形成されている。図示の実施形態において、領域Aには他の受入開口216及び受入開口202が配設され、領域Bには受入開口206及び208が配設され、領域A及びBの境界領域に受入開口204が配設されている。トナー搬送部材220の一方向への回転により、共通搬送路210の該両領域A及びBに存在する非転写トナーが、トナー排出開口212に向かって相互に接近する2方向から搬送される。
【0042】
トナー搬送部材220の回転軸222は、トナー排出開口212の中心部の上方をクロスして延在するクロス領域を有している。トナー搬送部材220の螺旋羽根224A及び224Bは、クロス領域において軸方向に間隔をおいて相互に対向するよう位置付けられている。回転軸222のクロス領域には、回転軸222の外周面における一部領域から半径方向外方に延び出す突起部240が形成されている。突起部240は、所定の周方向の厚みをもって回転軸222の外周面における一部領域から半径方向外方に延び出しかつ、相互に対向する螺旋羽根224A及び224B間を軸方向に延在するよう形成されている。突起部240の先端部は、軸方向から見て円弧状または曲面をなすよう形成されている。回転軸222の軸心から突起部240の先端までの半径方向長さは、螺旋羽根224A及び224Bの半径と実質的に同じに設定されている。なお、この突起部240の他の実施形態としては、回転軸222の円形外周面を基礎円とするカム形状を挙げることができる。
【0043】
首部214A内には、コイルばね242が上下方向に延在するよう配置されている。コイルばね242は、コイルばね242に形成された上端係止部が、上記クロス領域における回転軸222に、突起部240を含む半径方向外方を囲んで相対回転可能に係止されることにより吊下げられ、かつ、下端が首部214Aに対し非係止状態とされる。コイルばね242の上端係止部は、先に述べたコイルばね124の上端係止部124Aと同じような形状に形成される。コイルばね242は、横断面が円形をなしかつ、鉛直に延在する首部214A内に存在するよう配置され、コイルばね242の外周面は、首部214Aの内周壁面に対し、隙間をおいて位置付けられている。上記トナー回収装置200において、共通搬送路(水平搬送管路)210、トナー排出開口212、トナー搬送部材220、回転軸222、突起部240、螺旋羽根224A及び224B、首部(トナー落下搬送管路)214A、コイルばね242は、本発明に係るトナー搬送装置100を構成する。
【0044】
先に述べたように、プリンタ2のプリント動作が遂行されると、作像装置6、8、10及び12の感光体ドラムクリーニング装置24におけるトナー搬送螺旋羽根部材24C、中間転写ベルトクリーニング装置33におけるトナー搬送螺旋羽根部材33G及び共通搬送路220におけるトナー搬送部材220が図示しない駆動源により回転駆動される。
【0045】
作像装置6、8、10及び12の感光体ドラム14の表面から感光体ドラムクリーニング装置24の各々のハウジング24A内に回収された非転写トナーは、トナー搬送螺旋羽根部材24Cにより、それぞれ、トナー排出口24Bから、連結路230及び受入開口202、連結路232及び受入開口204、連結路234及び受入開口206、連結路236及び受入開口208、を通って共通搬送路210内へ搬送・排出される。また、中間転写ベルト32の表面から中間転写ベルトクリーニング装置33のハウジング33C内に回収された非転写トナーは、トナー搬送螺旋羽根部材33Gにより、トナー排出口33Fから、連結路238及び他の受入開口216を通って共通搬送路210内へ搬送・排出される。
【0046】
共通搬送路210内に排出された非転写トナーは、トナー搬送部材220の一方向への回転により、共通搬送路210の両領域A及びBに存在する非転写トナーが、トナー排出開口212に向かって相互に接近する2方向から搬送される(領域Aに存在する非転写トナーは、螺旋羽根224Aにより、トナー排出開口212に向かって図5において右方に搬送され、領域Bに存在する非転写トナーは、螺旋羽根224Bにより、トナー排出開口212に向かって図5において左方に搬送される。
【0047】
トナー排出開口212に向けて搬送されたトナーは、トナー排出開口212から、首部214A内を落下させられ、トナー回収容器214内に排出・回収される。共通搬送路210内に配設されたトナー搬送部材220が図示しない駆動源により回転駆動させられると、トナー搬送部材220の、突起部240を含むクロス領域の回転軸222に上端係止部を介して係止され、吊下げられたコイルばね242が、回転軸222の外周面と突起部240の先端面との間で上下動させられる。コイルばね242は、下端が首部214Aに対し非係止状態とされ、運動自在であるので、首部214A内を上下方向、半径方向、及びそれらを複合した方向など、多様な方向に、繰り返し伸縮及び振動させられるので、首部214A内を落下するトナーがほぐされ、円滑に落下させられる。また、首部214Aの内周壁面に付着したトナーも掻き落される。トナー回収装置200に配設されたトナー搬送装置100は、上記したとおりの構成及び作用を有しているので、先に述べたのと実質的に同じ作用効果を得ることができる。本発明によるトナー搬送装置100を含む上記トナー搬送装置200を備えたプリンタ2も、先に述べたのと実質的に同じ作用効果を得ることができる。なお、上記実施形態においても、図2において2点鎖線で示すように、コイルばね242の下端に図示しない下端係止部を形成し、下端係止部を、首部214A内に配設された係止部、例えば首部214A内を横切るように固定された図示しない係止ピンに係止する、他の実施形態もある。また上記実施形態において、トナー落下搬送管路は、トナー回収容器214の首部214Aにより構成されているが、共通搬送路210から垂下するよう一体に形成する、あるいは別体に形成して共通搬送路210に離脱自在に装着することにより構成する、他の実施形態もある。
【0048】
本発明によるトナー搬送装置100及びトナー搬送装置100を備えた上記トナー搬送装置200は、作像装置6、8、10及び12により中間転写ベルト32の表面に相互に色の異なるトナー像を順次重ね合わせて転写する転写形態を有するプリンタ2に適用されるが、複数の作像装置により、搬送ベルトにより搬送される記録媒体である用紙の片面に相互に色の異なるトナー像を順次重ね合わせて転写する転写形態を有する、それ自体は周知の構成を有するプリンタにも適用可能である。以下、図7を参照して、このような転写形態を有するプリンタ300について説明する。
【0049】
プリンタ300は、ほぼ直方体形状のプリンタ本体301を備えている。プリンタ本体301内には、ブラック用作像装置302、シアン用作像装置304、マゼンタ用作像装置306及びイエロー用作像装置308が、図7において左から右に向かってこの順に配列されている。これらの作像装置302、304、306及び308は、それぞれ、感光体ドラム310、帯電器312、露光装置の一部であるLEDヘッド314、現像装置316、転写ローラ318、クリーニング装置320などの作像エレメントを備えている。転写ローラ318を含む図示しない転写装置は、転写ローラ318に転写バイアスを印加する転写バイアス電源装置(不図示)を備えている。クリーニング装置320は、感光体ドラム310上に残留した非転写トナーを回収するためのクリーニング装置であり、感光体ドラムクリーニング装置320と称することができる。なお、図7においては、図示の簡略化のため、上記作像エレメントの符号は、ブラック用作像装置302においてのみ付してある。作像装置302、304、306及び308は、水平方向に、実施形態においては図7において左から右に向かって直線状に前記順序で並列されている。
【0050】
各作像装置302、304、306及び308の現像装置316の上側には、それぞれ、対応する色のトナーを補給するためのトナー補給容器302TC、304TC、306TC及び308TCが装着されている。作像装置302、304、306及び308の下側には、記録媒体である用紙を担持して図7において右から左に搬送する搬送ベルト機構322が配設されている。搬送ベルト機構322は、駆動ローラ324と、従動ローラ326と、これらのローラに巻き掛けられた無端状の搬送ベルト328と、クリーニング装置330とを備えている。クリーニング装置330は、搬送ベルト328上に残留した非転写トナーを回収するためのクリーニング装置であり、搬送ベルトクリーニング装置330と称することができる。
【0051】
作像装置302、304、306及び308の各々において、転写ローラ318は、感光体ドラム310に対し搬送ベルト328の上端走行領域(図7において水平左右方向に直線状に延在する)を介して下方から圧接させられている。駆動ローラ324は図7において反時計方向に回転駆動させられるので、搬送ベルト328及び従動ローラ326も反時計方向に回転させられる。
【0052】
搬送ベルト機構322の用紙搬送方向下流側には、定着装置331、搬送ローラ332及び排出ローラ334などが配設されている。プリンタ本体301の上端であって、排出ローラ334の外側には排紙トレイ336が配設されている。搬送ベルト機構322は、その下方に配置された給紙カセット338から送り出された記録媒体である用紙を、作像装置302、304、306及び308における感光体ドラム310と転写ローラ318との間を通して搬送する。作像装置302、304、306及び308において、それぞれ帯電器312により一様に帯電された感光体ドラム310の表面がLEDヘッド314により露光されることにより静電潜像が形成され、この静電潜像は現像装置316により現像されてトナー像となる。このトナー像は、転写ローラ318によって、搬送ベルト機構322により搬送されてきた用紙に、上流側の作像装置308によって形成されたトナー像から順次重ね合わされて転写される。用紙に転写されたカラートナー画像は定着装置331を通過する間に用紙に定着され、カラートナー画像が定着された用紙は、搬送ローラ332及び排出ローラ334により排紙トレイ336に排出される。
【0053】
次に、感光体ドラムクリーニング装置320の各々及び搬送ベルトクリーニング装置330の構成について説明する。なお、これらの構成は周知であるので、符号無しで説明する。感光体ドラムクリーニング装置320の各々は、感光体ドラム310の表面に付着した非転写トナー(残留トナー)をハウジング内に掻き落すクリーニングブレードと、ハウジング内に掻き落された非転写トナーをハウジングの長手方向の一端(図7において紙面に垂直な手前方向の一端)に形成されたトナー排出口24B(図5)まで搬送するトナー搬送螺旋羽根部材とを備えている。
【0054】
搬送ベルトクリーニング装置330は、駆動ローラ324に巻き掛けられた搬送ベルト328の表面に付着した非転写トナー(残留トナー)をハウジング内に掻き落すクリーニングブレードと、ハウジング内に掻き落された非転写トナーをハウジングの長手方向の一端(図7において紙面に垂直な手前方向の一端)に形成されたトナー排出口33F(図6)まで搬送するトナー搬送螺旋羽根部材とを備えている。
【0055】
以上のように構成されたプリンタ300のプリンタ本体301内には、先に述べたトナー搬送装置100(図1〜図4)、及び/又はトナー搬送装置100を含むトナー回収装置200(図5)が備えられている。これらの作用は、先に述べたのと実質的に同じであるので、更なる説明は省略する。本発明による上記トナー搬送装置100及び/又はトナー搬送装置100を含むトナー回収装置200が備えられた上記プリンタ300においても、先に述べたのと実質的に同じ作用効果が得られることはいうまでもない。
【0056】
本発明による上記トナー搬送装置100を、タンデム型カラープリンタ2及び300に適用された実施形態として説明したが、少なくとも1個の作像装置を備えた画像形成装置であれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に従って構成されたトナー搬送装置の実施形態における構成の一部を示す断面概略図である。
【図2】図1のA−A矢断面図である。
【図3】図1に示すトナー搬送装置の一部を図1において紙面に垂直な方向に切断してより具体的に示す斜視図である。
【図4】図1に示すトナー搬送装置のほぼ全体をより具体的に示す斜視断面図である。
【図5】本発明に従って構成されたトナー搬送装置の他の実施形態における構成を示す断面概略図である。
【図6】図1〜図5に示すトナー搬送装置が備えられているプリンタの実施形態の構成を示す断面概略図である。
【図7】図1〜図5に示すトナー搬送装置が備えられているプリンタの他の実施形態の構成を示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0058】
2、300:プリンタ
4、301:プリンタ本体
6、8、10、12、302、304、306、308:作像装置
14、310:感光体ドラム
24、320:感光体ドラムクリーニング装置
24B:トナー排出口
32:中間転写ベルト
33:中間転写ベルトクリーニング装置
33F:トナー排出口
100:トナー搬送装置
102:水平搬送管路
104:トナー排出開口
106:トナー搬送部材
108:トナー落下搬送管路
108P:係止ピン
110:回転軸
112A、112B:螺旋羽根
124:コイルばね
124A:上端係止部
124B:下端係止部
200:トナー回収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを水平方向に搬送するための水平搬送管路と、水平搬送管路に下方に開口するよう配設されたトナー排出開口と、水平搬送管路内に配設されかつ、水平搬送管路内のトナーをトナー排出開口に向けて搬送するトナー搬送部材と、トナー排出開口から下方に延在して、トナー排出開口に搬送されたトナーを所定の搬送部に向けて自由落下させるトナー落下搬送管路とを備え、トナー搬送部材は、回転軸と、回転軸に一体に配設された螺旋羽根とを備えているトナー搬送装置において、
トナー搬送部材の回転軸は、トナー排出開口の中心部の上方をクロスして延在するクロス領域を有し、回転軸のクロス領域には、回転軸の外周面における一部領域から半径方向外方に延び出す突起部が形成され、トナー落下搬送管路内には、コイルばねが上下方向に延在するよう配置され、該コイルばねは、該コイルばねに形成された上端係止部が、クロス領域における回転軸に、該突起部を含む半径方向外方を囲んで相対回転可能に係止されて吊下げられかつ、下端がトナー落下搬送管路に対し非係止状態とされる又は該コイルばねに形成された下端係止部がトナー落下搬送管路に係止される、
ことを特徴とするトナー搬送装置。
【請求項2】
像担持体、現像器、現像器にトナーを補給するためのトナー補給容器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、少なくとも1個の作像装置と、トナー補給容器に収容されたトナーを所定の搬送部である現像器に搬送するトナー搬送装置とを備えた画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、請求項1に記載されたトナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
像担持体、現像器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、少なくとも1個の作像装置と、像担持体クリーニング装置により回収された非転写トナーを所定の搬送部であるトナー回収容器に搬送するトナー回収装置とを備え、トナー回収装置にはトナー搬送装置が備えられている画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、請求項1に記載されたトナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
それぞれ、像担持体、現像器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、複数の作像装置と、作像装置の各々における像担持体上に形成された、相互に色の異なるトナー像が順次に重合・転写される中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上に残留した非転写トナーを回収する中間転写ベルトクリーニング装置と、像担持体クリーニング装置の各々及び中間転写ベルトクリーニング装置により回収された非転写トナーを所定の搬送部であるトナー回収容器に搬送するトナー回収装置とを備え、トナー回収装置にはトナー搬送装置が備えられている画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、請求項1に記載されたトナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
それぞれ、像担持体、現像器、転写装置及び像担持体上に残留した非転写トナーを回収する像担持体クリーニング装置を含む、複数の作像装置と、該トナー像が記録媒体上に順次に重合・転写されるよう該記録媒体を搬送する搬送ベルトと、該搬送ベルト上に残留した非転写トナーを回収する搬送ベルトクリーニング装置と、像担持体クリーニング装置の各々及び搬送ベルトクリーニング装置により回収された非転写トナーを所定の搬送部であるトナー回収容器に搬送するトナー回収装置とを備え、トナー回収装置にはトナー搬送装置が備えられている画像形成装置において、
該トナー搬送装置は、請求項1に記載されたトナー搬送装置から構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−20267(P2009−20267A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182100(P2007−182100)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】