説明

トラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置

【課題】バックラッシを必要最小限に抑制したトラクションドライブ変速装置を提供すること。
【解決手段】入力軸と出力軸との間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて出力軸から出力するトラクションドライブ変速装置において、転動体Kと、該転動体Kを回動自在に保持するよう保持部本体42に形成された転動体保持部43との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段として、ばね44から付勢を受けるピン45が転動体Kを所定の方向へ押圧する予圧付与手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば車両の操舵系等に適用されるトラクションドライブ変速装置と、このトラクションドライブ変速装置を用いた車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、転がり滑り状態にある転動体の接触部に作用する接線力を利用し、入力軸の回転数と出力軸の回転数との間に変速比をもってトルクの伝達を行うトラクションドライブ変速装置が知られている。この場合の転動体は、内輪軌道面と外輪軌道面との間に、入力軸及び出力軸の軸線に対して等間隔環状に複数配置されている。また、これら複数の転動体は、内輪と外輪との間に配置された円筒状の転動体保持器(保持部材)に対して、たとえば櫛状等に形成された各凹部の転動体保持部に各々が緩く嵌合した状態で回動自在に保持されている。(たとえば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−336706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来のトラクションドライブ変速装置は、各転動体が各々転動体保持部に緩く嵌合した状態で等間隔環状に配置されているため、転動体と転動体保持部との間には回転方向の隙間が存在することとなる。このような隙間の存在は、入出力軸間でトルク伝達を行う際、トルク伝達の開始時にわずかに空転する回転方向の遊び(以下、「バックラッシ」と呼ぶ)を形成する原因となり、隙間が大きい場合ほどバックラッシも大きくなる。
従って、たとえば車両用操舵装置のトルク伝達系に従来のトラクションドライブ変速装置を採用した場合には、バックラッシの存在がダイレクト感の低下などステアリング操作のフィーリングに悪影響を及ぼすことになるため、転動体と転動体保持部との間に存在する隙間を必要最小限に抑えることが望まれる。
【0004】
このような背景から、転動体と転動体保持部との間に形成される隙間を小さくすることにより、バックラッシを抑制したトラクションドライブ変速装置の開発が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バックラッシを必要最小限に抑制したトラクションドライブ変速装置、及びこのトラクションドライブ変速装置を用いた車両用操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るトラクションドライブ変速装置は、入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するトラクションドライブ変速装置において、
前記転動体と、該転動体を回動自在に保持するよう保持部材に形成された転動体保持部との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
このようなトラクションドライブ変速装置によれば、転動体と、この転動体を回動自在に保持するよう保持部材に形成された転動体保持部との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段を設けたので、転動体保持部に対して高精度の加工を施さなくても、バックラッシを確実に低減することができる。
【0007】
上記のトラクションドライブ変速装置において、前記バックラッシ低減手段は、前記転動体を所定の方向へ押圧する予圧付与手段であることが好ましく、これにより、予圧付与手段により転動体が転動体保持部側へ押圧されるため、バックラッシの原因となる隙間を低減することができる。
なお、この場合に好適な予圧付与手段としては、たとえばばね等の弾性体により付勢されたピン等がある。
【0008】
上記のトラクションドライブ変速装置において、前記バックラッシ低減手段は、回転方向に隣接する転動体保持部の間に穿設されたテーパ穴と、該テーパ穴に打ち込まれるテーパピンとにより構成されることが好ましく、これにより、テーパ穴に打ち込むテーパピンの打込量に応じて保持部材側が変形するので、転動体と転動体保持部との間に形成されてバックラッシの原因となる隙間を微調整して低減することができる。
【0009】
上記のトラクションドライブ変速装置において、前記バックラッシ低減手段は、前記転動体の各々を異なる回転方向へ引きつける磁力であることが好ましく、これにより、転動体と転動体保持部との間は、転動体が両回転方向のいずれか一方に引き寄せられて隙間のない状態となる。従って、複数ある転動体が磁力により各々異なる回転方向に引き寄せられるため、いずれの回転方向においても転動体保持部との間に隙間のない転動体が存在してバックラッシを低減する。
【0010】
上記のトラクションドライブ変速装置において、前記バックラッシ低減手段は、前記転動体保持部の少なくとも1つを軸方向にずらした配置が好ましく、これにより、少なくとも1つの転動体が軸方向に移動して転動体保持部に押圧されるので、転動体と転動体保持部との間に形成される隙間を低減することができる。
【0011】
上記のトラクションドライブ変速装置において、前記転動体保持部及び前記転動体は、互いに接触する面の少なくとも一方に摩擦係数低減処理を施されていることが好ましく、これにより、転動体保持部と転動体との間に生じる摩擦力を低減することができる。
【0012】
本発明に係る車両用操舵装置は、運転者のステアリング操作が、請求項1から6のいずれかに記載のトラクションドライブ変速装置を介して車両の操舵輪に伝達されることを特徴とするものである。
【0013】
このような車両用操舵装置によれば、トラクションドライブ変速装置の転動体保持部に高精度の加工を施すことなくバックラッシを確実に低減できるので、ステアリング操作のダイレクト感が損なわれること防止して良好なステアリング操作のフィーリングを得ることができる。また、摩擦係数低減処理を施すことにより、転動体保持部と転動体との間に生じる摩擦力を低減できるので、ステアリング操作時の無負荷損失トルクを低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によれば、転動体と転動体保持部との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段を設けることにより、転動体保持部に対してコスト面で不利になる高精度の加工を施さなくても、バックラッシを確実に低減することができる。このため、トルク伝達を開始する際にも遊びによる伝達遅れが少なくなり、従って、ダイレクト感のあるトルク伝達を可能にしたトラクションドライブ変速装置を提供することができる。
また、本発明のトラクションドライブ変速装置を車両用操舵装置のトルク伝達系に採用すれば、バックラッシの低減によりダイレクト感のあるステアリング操作が可能になり、ステアリング操作の操舵フィーリングが向上するという顕著な効果が得られる。
【0015】
また、本発明のトラクションドライブ変速装置は、転動体保持部及び転動体が互いに接触する面の少なくとも一方に摩擦係数低減処理を施すことにより、転動体保持部と転動体との間に生じる摩擦力を低減することができる。このため、バックラッシの低減に伴って大きくなる無負荷損失トルクの抑制が可能となり、たとえば車両用操舵装置においては、ステアリング操作の操舵フィーリングをより一層向上させることができる。
なお、車両用操舵装置のトルク伝達系において、上述した無負荷損失トルクはタイヤに対する負荷がない状態で生じる抵抗力のことであり、従って、ステアリング操作時には操舵フィーリングに悪影響を及ぼす引っ掛かり感として現れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るトラクションドライブ変速装置及び車両用操舵装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図2は、本発明に係るトラクションドライブ変速装置の第1の実施形態を示す断面図である。このトラクションドライブ変速装置(以下、「変速装置」と呼ぶ)10は、入力軸Siと出力軸Soとの間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸Siの回転数を所望の変速比に変化させて出力軸Soから出力する機能を有している。
【0017】
トラクションは、転がり滑り状態にある回転体として複数配設された転動体Kの接触部に作用する接線力であり、図示の例では、入力軸Siを設けた内輪20と、出力軸Soを設けた外輪30との間に、保持器40に保持された転動体Kを複数介在させてトラクションドライブ機構TRが構成されている。このトラクションドライブ機構TRは、内輪20及び外輪30と転動体Kとの接触面にできる油膜のレオロジー特性によって、内輪20から転動体Kを介して外輪30にトルクを伝達することができる。このトルク伝達時において、転動体Kは自転しながら内輪20の外側を公転する。
【0018】
トラクションドライブ機構TRは、変速装置10のハウジング11内に収納され、同一軸線上に配置された入力軸Si及び出力軸Soがハウジング11の両端部から外部に突出している。
内輪20は二分割構造とされ、同一軸線上を回転するように配置された2部材の対向面間でトルク伝達を行うため、調圧カム50が配設されている。すなわち、内輪20は入力軸部21と内輪部22とに分割され、入力軸部21及び内輪部22の対向面21a,22a間には、円柱形状とした調圧カム50を設置する凹部23が複数組設けられている。この凹部23は、対向面21a,22aの対称位置にそれぞれ設けられた一対の溝部が一組となって形成する空間であり、この空間内に調圧カム50が転がり滑り可能な状態で収納される。このような凹部23は、円周方向に等ピッチとなるよう軸中心から放射状に複数組設けられるが、この数は諸条件に応じて適宜選択すればよい。なお、図示の例では、円周方向に90度ピッチとした4組の凹部23が設けられ、各凹部23は、調圧カム50が互いに干渉しないよう軸中心から適当な距離を設けた位置にある。
【0019】
また、凹部23は、傾斜面または曲面を形成する断面形状とされる。図示の例では、対向面21a,22aに各々断面形状を二等辺三角形とした溝部を設け、対向する一対の溝部を重ね合わせることで矩形断面形状の凹部23が形成されている。なお、凹部23を形成する溝部は、対向面21a,22aの対称位置に配設する必要はなく、対向面間に凹部を形成できればよい。
また、内輪20は、入力軸部21がハウジング11に軸受12を介して回動可能に支持され、ハウジング11の外部に突出する入力軸部21には、図示しないトルク発生源が連結される。なお、図中の符号13はオイルシール、14は入力軸部21を軸方向に押圧する板ばね、24は内輪部22の外周面に固着された内側リング部材である。
【0020】
この結果、凹部23に設置された円柱形状の調圧カム50は、入力軸部21に入力を受けると、くさび効果により内輪部22を軸方向へ押す力、すなわちスラスト荷重を発生させる。このスラスト荷重は、入力軸部21に入力される軸トルクの大きさに応じて変化するものである。従って、同一軸線上を回転するように配置された入力軸部21及び出力軸部22の2部材が対向する面間に複数の凹部23を形成し、各凹部23に調圧カム50を配設してトルク伝達を行う構成により、入力軸部21に入力されるトルク変動に応じて、内輪部22に作用するスラスト荷重が変化するトルク伝達構造となる。このようなトルク伝達構造は、対向面21a,22a間に円柱形状の調圧カム50を介在させるものであるから、軸方向の延長を最小限に抑制できるトルク伝達構造となる。このようなトルク伝達構造は、トラクションドライブ機構TRにおいて、転動体Kに付与する予圧を入力軸Siのトルクに応じて自動的に変化させる予圧調整手段として機能する。
【0021】
保持器40は、略リング状とした本体41の内周に保持部本体42を備えている保持部材であり、本体41が一対の軸受12を介してハウジング11に回動可能に支持されている。保持部本体42は、たとえば図1に示すように、回転方向に複数の開口部が梯子状に設けられた転動体保持部43を備えている。
転動体保持部43の開口部に各々配置される転動体Kは、開口部に挟持されて自転可能な円錐ころであり、その自転軸線は入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないように傾斜している。この転動体Kは、その内周側の面を転動可能に支持する内側リング部材24と、後述する外輪30の外輪部31に固着されて外周側の面を転動可能に支持する外側リング部材32とにより、両リング部材24,32間を転動体Kが自転しながら公転可能な円錐ころ軸受を構成している。この円錐ころ軸受においては、転動体Kと内側リング部材24及び転動体Kと外側リング部材32の接触面に薄い油膜が形成されてトラクションドライブによるトルク伝達が行われる。
なお、転動体Kを保持する転動体保持部43については、上述した梯子に限定されることはない。
【0022】
転動体Kの保持部材となる保持器40には、転動体Kと、この転動体Kを回動自在に保持するように保持部本体42に形成された転動体保持部43との間に形成される隙間Saを狭めるため、バックラッシ低減手段が設けられている。この場合のバックラッシ低減手段は、たとえばばね44等の弾性体により付勢されたピン45のように、転動体Kを所定の方向へ常時押圧する予圧付与手段である。
転動体保持部43は、開口部の形状が円錐ころを用いた転動体Kの断面形状に合わせた台形状とされ、その長辺側となる保持部本体42の底辺(下底)部に一端を埋め込むようにして、ばね44の付勢を受けるピン45が取り付けられている。
【0023】
このピン45は、転動体保持部43に保持された転動体Kに対し、ばね44の付勢により図中に矢印Fで示す方向に押圧する力を付与するので、転動体Kは転動体保持部43の短辺側となる上底へ向けて押し込まれるように移動する。この結果、転動体Kと転動体保持部43との間に形成される隙間は狭まり、隙間Saから隙間Sbに減少(Sa>Sb)する。すなわち、ピン45が円錐ころの転動体Kを転動体保持部43の短辺側へ押し込むことにより、トルク伝達の開始時にわずかに空転する回転方向の遊び(バックラッシ)の原因となる隙間を減少させることができる。
なお、バックラッシ低減手段となる予圧付与手段は、上述したばね44とピン45との組合せに限定されることはなく、転動体Kを所定の方向、すなわち隙間を狭める方向に適切な力で押圧するものであればよい。
【0024】
外輪30は、外輪部31と出力軸部33とが一体の部材であり、出力軸部33がハウジング11に軸受12を介して回動可能に支持されている。なお、ハウジング11の外部に突出する出力軸部33は、たとえば後述する車両用操舵装置のラック&ピニオン装置のように、図示しない被駆動側の装置と連結されている。
また、外輪部33は、一端が開口する略リング状の部分であり、その内周面側には、上述した円錐ころ軸受を構成する外側リング部材32が固着されている。
【0025】
上述した保持器40は、本体41の外周面に形成されたギア部41aを備えており、このギア部41aが変速比可変機構として機能するウォームギア55と噛合して連結されている。このウォームギア55は、図示しない電動機等の駆動源を備えており、所望の回転数に可変制御することができる。すなわち、ウォームギア55の回転数を制御することにより、円錐ころ軸受を構成する転動体Kの公転と一体に回転する保持器40の回転数が変化するので、入力軸Siと出力軸Soとの間の変速比を変化させる差動式の変速比可変機構となる。換言すれば、保持器40はトラクションによってトルク伝達を行うトラクションドライブ機構TRの構成要素であるから、転動体Kがトラクションの影響を受けて動作するトラクション入出力部材である保持器40にウォームギア55を連結して回転数制御を行えば、変速比を可変とした差動式の変速比可変機構となる。
【0026】
このように構成された変速装置10は、入力軸Siにトルクの入力がない場合、軸方向の押圧力としては、板ばね14から受ける付勢のみであり、この付勢により転動体Kに付与される予圧(図中に矢印で示す)が最小値となる。この予圧は、転動体Kの自転軸線が入力軸Si及び出力軸Soの軸線と直交しないように傾斜しているため、軸方向の押圧力を成分として接触面に作用する力である。なお、このような板ばね14の付勢力は、入力軸Si等が軸方向に移動するのを阻止したり、あるいは、調圧カム50を凹部23内に保持しておくために必要となるものである。
【0027】
入力軸Siにトルクを受けると、対向面21a,22a間の調圧カム50が入力トルクに応じて予圧を変化させる予圧調整機能を発揮するので、内輪部22から転動体Kに付与する予圧がトルクに比例して上昇する。この結果、内輪部22に固着された内側リング部材24と転動体Kとの間のトラクションにより、転動体Kは自転しながら保持器40と一体に内輪部22の外側を公転する。さらに、転動体Kと外輪部31に固着された外側リング部材32との間のトラクションにより、外輪部31にトルクが伝達されて出力軸Soが回転する。なお、この場合、出力軸Soの回転方向は入力軸Siと逆方向になる。
また、このような転動体Kを介したトルク伝達は、転動体Kがピン45に押圧されてバックラッシを低減するので、トルク伝達開始時にはほとんど遊びのないダイレクトな、換言すれば、時間的な遅れがほとんどないトルク伝達が可能となる。
【0028】
このとき、ウォームギア55が所望の回転数で回転することにより、噛合する保持器40の回転数、すなわち転動体Kの公転回転数が影響を受けて変化するので、この転動体Kとのトラクションにより回転する出力軸Soの回転数も同様の影響を受けて変化する。
従って、入力軸Siの回転数は、回転数の可変制御が可能なウォームギア55と連結されたトラクションドライブ機構TRを介して出力軸Soから出力する場合、ウォームギア55の回転数に応じて変化する所望の変速比を得ることができる。すなわち、入出力軸間の変速比は線形にならず、所定の範囲内で任意の変速比を選択して設定することが可能になる。
【0029】
また、転動体Kに作用する予圧は、入力軸Siにトルクの入力がない場合、板ばね14の付勢に起因する最小値となるので、転動体Kに対して、トルク伝達時に発生する大きな予圧が常時作用するようなことはなく、従って、転動体Kの寿命を向上させることができる。
また、上述した予圧調整は、入力軸部21と内輪部22との間に円柱形状部材の調圧カム50を配設する構成により達成できるため、変速装置10が軸方向に延びて大型化することのないコンパクトな装置となる。
しかも、上述した構成の変速装置10は、必要となる軸受の数が比較的少なくてすむので、製造時の組立が容易である。また、同一条件で比較した場合、ウォームギア55の回転数が比較的低い領域で運転できるため、運転騒音を低く抑えることができ、さらに、転動体Kの面圧を比較的低く抑えたり、調圧カム50を配設する入力軸Siの伝達トルクも比較的低く設定できるので、寿命や耐久性の面で有利になる。
【0030】
ところで、上述したバックラッシ低減手段により隙間が狭められると、バックラッシの低減と相反する現象として無負荷損失トルクが増大する。この無負荷損失トルクは、無負荷状態におけるトルク伝達時に生じる抵抗力のことである。
そこで、転動体保持部43及び転動体Kが互いに接触する面の少なくとも一方に、摩擦係数を小さくするための摩擦係数低減処理を施すことが好ましい。
【0031】
以下、摩擦係数低減処理の具体例を示して説明する。
第1の具体例は、転動体保持部43が転動体Kと接触する面や転動体Kの表面に対し、銅メッキ処理のような表面処理を施したり、あるいは、ポリ4フッ化エチレンスプレー等の摩擦係数低減スプレーを噴射して、接触面の摩擦係数を低減することである。この場合の摩擦係数低減処理は、転動体保持部43が転動体Kと接触する面のみ、または転動体Kの表面のみのいずれでもよく、あるいは、転動体保持部43が転動体Kと接触する面及び転動体Kの表面の両方でもよい。
【0032】
第2の具体例は、転動体保持部43を形成する保持部本体42の素材として、たとえば銅のように摩擦係数の小さい材料を使用することである。
第3の具体例は、転動体Kと接触する転動体保持部43の面に、たとえばウレタン樹脂のように摩擦係数の小さい材料を嵌め込むことである。
第4の具体例は、転動体保持部43が転動体Kと接触する部分の潤滑において、トラクショングリースに二硫化モリブデンを混合した潤滑油を使用することであり、トラクション力を落とすことなく良好な潤滑性を得ることができる。
第5の具体例は、転動体Kと接触する転動体保持部43の面に、潤滑油を保持する溝を形成することである。この溝は、転動体Kの回転方向と交差するように、転動体保持部43の長辺に沿って形成することが好ましい。
【0033】
上述した摩擦低減処理を施すことにより、転動体Kと転動体保持部43との間に生じる摩擦力が低減されるので、バックラッシの低減を目的として転動体Kと転動体保持部43との間に存在する隙間を狭めても、無負荷損失トルクの増大を最小限に抑制して引っ掛かり感等の違和感を抑えることができる。すなわち、摩擦力の低減により無負荷状態のトルク伝達時に生じる抵抗力が小さくなるので、バックラッシ及び無負荷損失トルクの低減という相反する課題を高い次元でバランスさせることができる。
【0034】
図3は、上述した変速装置10の適用例として、車両用操舵装置STの概要を示す斜視図である。
車両用操舵装置STは、車両の走行方向を操作して曲がるための装置であり、ハンドル60を回転させるステアリング操作により操舵輪61,61の向きを変化させることができる。ハンドル60の操作は、上部操舵軸62の回転トルクとして変速装置10に入力され、この変速装置10で変速された出力のトルクが下部操舵軸63に連結されたラック&ピニオン装置64を動作させる。この結果、ラック&ピニオン装置64に連結された図示省略のリンク機構がラックと連動し、操舵輪61,61の向きを所望の方向へ変化させることができる。
【0035】
このような車両用操舵装置STにおいては、上部操舵軸62が変速装置10の入力軸Siと連結され、下部操舵軸63が変速装置10の出力軸Soに連結されている。
このため、ステアリング操作を行うと、ハンドル60の操作により発生したトルクが上部操舵軸62から入力軸Siに伝達され、変速装置10内で所望の変速比に変換されたトルクが出力軸Soから下部操舵軸63に伝達されてラック&ピニオン装置64を動作させることができる。
【0036】
従って、ハンドル60が操作されていない場合、たとえば停車時や直進走行時等においては、上部操舵軸62及び入力軸Siにはトルクがないので、転動体Kに作用する予圧は最小となる。このため、転動体Kの寿命が向上し、車両用操舵装置STの耐久性や信頼性の向上に有効である。
また、たとえば縦列駐車等のように、低速走行時にハンドル60の操作量が大きくなる場合には、ウォームギア55の回転数を制御して変速比を増すと、少ないハンドル操作量で大きな操舵角を得ることができる。すなわち、入力軸Siの回転数が大きく増速されて出力軸Soから出力されるようにウォームギア55の回転数を調整すれば、小さなハンドル操作量(上部操舵軸62の回転数)が増速されて下部操舵軸63に出力されるので、ラック&ピニオン装置64のラック移動量を増して操舵輪61,61の向きを大きく変化させることができるため、車両用操舵装置STの操作性が向上する。
【0037】
そして、バックラッシ低減手段を設けて変速装置10のバックラッシを低減したことにより、ハンドル60の操作が遊びのない状態でほぼダイレクトに、換言すれば時間的な遅れがほとんどない状態でラック&ピニオン装置64に伝達されるため、良好な操舵フィーリングを得ることができる。
また、摩擦係数低減処理を施して変速装置10の無負荷損失トルクを抑制すれば、引っ掛かり感がなくなるなどステアリング操作時の操舵フィーリングをより一層向上させることができる。
【0038】
<第2の実施形態>
以下に説明する第2の実施形態は、トラクションドライブ変速の入出力を左右対称に二組接続した構成例であり、第1段階の変速を行った後の第2段階では、第1段階と逆の変速を異なる変速比で行うように構成した二段変速とされる。
図4に示すトラクションドライブ変速装置(以下、「変速装置」と呼ぶ)10Aは、入力軸Siと出力軸Soとの間に介在させた転動体Kのトラクションを利用し、入力軸Siの回転数を所望の変速比に変化させて出力軸Soから出力するとともに、入力軸Si及び出力軸Soを連結して2段階変速を行うように構成されている。すなわち、この変速装置10Aは、第1段階変速部TR1及び第2段階変速部TR2のトラクション入出力部材を連結して一体化するとともに、両変速部TR1,TR2の変速比に差を設けた構成とされる。
【0039】
ハウジング11の両側に突出する入力軸Si及び出力軸Soは、軸方向に連結された第1変速部TR1及び第2段階変速部TR2の保持器に設けられた軸部である。
変速装置10Aは、入力軸Siを備えている第1保持器140の保持部本体142に梯子状の転動体保持部143を設け、この転動体保持部143に配設された転動体Kを、連結出力軸126を設けた第1内輪120と外輪連結部材90との間に介在させた第1段階変速部TR1と、出力軸Soを備えている第2保持器240の保持部本体242に梯子状の転動体保持部243を設け、この転動体保持部243に配設された転動体Kを、連結入力軸226を設けた第2内輪220と外輪連結部材90との間に介在させた第2段階変速部TR2とを備えている。そして、連結出力軸126と連結入力軸226との軸連結部に予圧調整手段として機能する調圧カム50を設けるとともに、外輪連結部材90に変速比可変機構として機能する遊星式減速機構80を連結した構成とされる。なお、図中の符号17は、最小の予圧を規定するコイルバネである。
【0040】
すなわち、この実施形態では、トラクション入出力部材となる第1外輪及び第2外輪に相当する部材として、第1段階変速部TR1及び第2段階変速部TR2を外輪連結部材90で連結して一体化し、この外輪連結部材90に変速可変機構の遊星式減速機構80を連結するとともに、両変速部TR1,TR2の内輪軌跡径等が異なるものを組み合わせて変速比に差を設けた構成とされる。なお、この場合、両変速部TR1,TR2の変速比に設ける差は若干でよい。
【0041】
遊星式減速機構80は、入力軸Si及び出力軸Soと同軸に配設された中空モータMを駆動源とし、中空モータ軸81に設けた太陽ローラ82と、複数の遊星ローラ83と、遊星ローラ83の外周側に配設されたリングローラ84とを具備して構成される。
第1保持器140に設けられた入力軸Siは、中空モータ軸81の内部を貫通して配設されている。この中空モータ軸81は、転動体保持部142側の端部外周面にギア部を形成した太陽ローラ82が設けられている。太陽ローラ82の外周には、ギア部と噛合する複数個の遊星ローラ83が周方向へ等ピッチで配設され、さらに、各遊星ローラ83の外周側には、外輪連結部材90とスプライン結合等により連結されたリングローラ84が配設されている。このリングローラ84は、内周面に形成されたギア部が遊星ローラ83と噛合している。
【0042】
このような構成の遊星式減速機構80は、中空モータMを駆動させることにより中空モータ軸81と一体に太陽ローラ82が回転すると、太陽ローラ82に形成したギア部の歯数、遊星ローラ83の歯数及びリングローラ84に形成したギア部の歯数に応じて、太陽ローラ82の回転数が変速(減速)されてリングローラ84に伝達される。リングローラ84の回転は、一体に連結されたトラクション入出力部材の外輪連結部材90を回転させるとともに、両変速部TR1,TR2の変速比には差があるので、差動の回転制御を行って入出力軸の変速比を所望の値に可変とすることができる。
【0043】
すなわち、リングローラ84及び外輪連結部材90に伝達される回転数は、中空モータMの回転数制御により変更可能であるから、差動の回転制御を行って入出力軸の変速比を容易に設定することができる。
また、中空モータMを使用し、中空モータ軸81内を入出力軸が貫通する構成としたので、たとえばウォームギア55のように周方向へ突出する部材をなくすか、あるいは突出量を最小にすることができるので、変速装置10Aの外径寸法を小さくしてコンパクト化することができる。このように外形寸法の小さい変速装置10Aは、たとえば設置スペースの確保が困難な車両用操舵装置STの変速装置として好適である。
なお、上述した構成の変速装置10Aは、外形寸法は大きくなるものの、変速比可変機構としてウォームギア55を使用してもよい。
【0044】
このように構成された変速装置10Aにおいても、たとえば図1に示すように、転動体Kと転動体保持部143,243との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段を設けることにより、トルク伝達開始時にはほとんど遊びのないダイレクトなトルク伝達が可能となる。また、上述した実施形態と同様に摩擦係数低減処理を施すことにより、変速装置10Aの無負荷損失トルクを抑制することができる。
そして、この変速装置10Aを車両用操舵装置STに適用すれば、バックラッシの低減によりハンドル60の操作が遊びのない状態でほぼダイレクトにラック&ピニオン装置64に伝達されて良好な操舵フィーリングを得ることができる。また、摩擦係数低減処理を施した変速装置10Aは、無負荷損失トルクの抑制によりステアリング操作時の引っ掛かり感がなくなるので、操舵フィーリングをより一層向上させることができる。
【0045】
続いて、図1に基づいて説明したバックラッシ低減手段について、その第1変形例を図5に示して説明する。なお、以下では第1の実施形態の変速装置10に適用した例を説明するが、第2の実施形態の変速装置10Aにも同様に適用可能である。
このバックラッシ低減手段は、回転方向に隣接する転動体保持部43の間に穿設されたテーパ穴46と、このテーパ穴46に打ち込まれるテーパピン47とにより構成されている。すなわち、保持部本体42の円周方向へ等ピッチに並べて複数設けられている転動体保持部43の間に設けたテーパ穴46にテーパピン47を打ち込むことにより、保持部本体42が図中に想像線で示すように変形して転動体保持部43の幅を狭めるので、転動体Kと転動体保持部43との間に形成される隙間が減少してバックラッシを低減することができる。
【0046】
また、上述したテーパ穴46及びテーパピン47を組合せたバックラッシ低減手段は、テーパピン47の打ち込み量に応じて保持部本体42の変形量が変化するので、テーパピン47の打ち込み量を微調整することにより、隙間及びバックラッシの大きさが最適値となるように、適宜調整することが可能である。すなわち、転動体保持部43の形成に高精度の機械加工を施す必要がなく、バックラッシの設定をテーパピン47の打ち込み量により調整可能となる。
また、上述したテーパ穴46及びテーパピン47は、転動体保持部43が隣接する全ての間隙部に設ける必要はなく、少なくとも1箇所の転動体保持部43で転動体Kの移動を規制できればよい。
【0047】
続いて、上述したバックラッシ低減手段の第2変形例を図6に示して説明する。なお、以下では第1の実施形態の変速装置10に適用した例を説明するが、第2の実施形態の変速装置10Aにも同様に適用可能である。
このバックラッシ低減手段は、転動体Kの各々を異なる回転方向へ引きつける磁力であり、具体的には、転動体保持部43の回転方向となる保持部本体42の適所に磁石48を埋め込むなどして配設した構成とされる。この磁石は固定されているので、金属製の転動体Kを磁力により引き寄せることができる。
【0048】
図示の例では、回転方向右側に磁石48を配設した転動体保持部43と、回転方向左側に磁石48を配設した転動体保持部43とが1箇所ずつ設けられており、従って、転動体Kと転動体保持部43との間は、磁力を受ける転動体Kが両回転方向のいずれか一方に引き寄せられて隙間のない状態となる。すなわち、複数ある転動体Kは、磁力により各々異なる回転方向に少なくとも1つが引き寄せられることにより、いずれの回転方向においても転動体保持部43との間に隙間のない転動体Kが存在するため、トラクションドライブ機構全体のバックラッシを低減することができる。
【0049】
続いて、上述したバックラッシ低減手段の第3変形例を図7に示して説明する。なお、以下では第1の実施形態の変速装置10に適用した例を説明するが、第2の実施形態の変速装置10Aにも同様に適用可能である。
このバックラッシ低減手段は、転動体保持部43の少なくとも1つを軸方向にずらして配置することである。すなわち、上述した実施形態及び各変形例では、転動体保持部43が保持部本体42の円周方向へ等ピッチに並べて複数設けられ、しかも、各転動体保持部43は軸方向において同一位置とされるのに対し、本変形例の配置では、少なくとも1つの転動体保持部43′が軸方向に長さLだけ底辺(下底)側へずれた位置にある。
【0050】
このような配置にすると、少なくとも1つの転動体Kが軸方向に移動して転動体保持部43に押圧されるので、転動体Kと転動体保持部43との間に形成される隙間を低減することができる。すなわち、位置ずれした転動体保持部43′に保持された転動体Kは、他の転動体保持部43に保持された転動体Kと軸方向において並ぶ方向に移動するため、台形状とした転動体保持部43′の短辺側へ押し込まれて隙間が小さくなってトラクションドラオブ機構のバックラッシは低減される。
なお、位置ずれする転動体保持部43′の数については、伝達トルク等の諸条件を考慮して適宜定めればよい。
【0051】
上述したように、本発明のトラクションドライブ変速装置によれば、転動体Kと転動体保持部43との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段を設けることにより、転動体保持部43に対してコスト面で不利になる高精度の加工を施さなくても、バックラッシを確実に低減することができる。このため、トルク伝達を開始する際の遊びによる伝達遅れが少なくなり、ダイレクト感のあるトルク伝達が可能になる。また、このトラクションドライブ変速装置を車両用操舵装置のトルク伝達系に採用すれば、バックラッシの低減によりダイレクト感のあるステアリング操作が可能になり、ステアリング操作の操舵フィーリングを向上させることができる。
【0052】
また、本発明のトラクションドライブ変速装置は、転動体保持部43及び転動体Kが互いに接触する面の少なくとも一方に摩擦係数低減処理を施すことにより、転動体保持部43と転動体Kとの間に生じる摩擦力を低減し、上述したバックラッシの低減に伴って大きくなる無負荷損失トルクを抑制することができる。従って、このようなトラクションドライブ変速装置を車両用操舵装置に採用すれば、相反する特性のバックラッシ及び無負荷損失トルクの両方が高次元でバランスするので、ステアリング操作の操舵フィーリングをより一層向上させることができる。
【0053】
また、上述した実施形態では、転動体として円錐ころを用いたトラクションドライブ機構を説明したが、本発明のバックラッシ低減手段及び摩擦係数低減処理はこれに限定されることはなく、たとえば転動体を球とした構成にも適用可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえばトラクションドライブ機構において転動体を保持する転動体保持部の構成が限定されないなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るトラクションドライブ変速装置の一実施形態として、バックラッシ低減手段の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るトラクションドライブ変速装置の構成について、第1の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るトラクションドライブ変速装置を組み込んだ車両用操舵装置の概略構成例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るトラクションドライブ変速装置の構成について、第2の実施形態を示す断面図である。
【図5】図1に示したバックラッシ低減手段の第1変形例を示す図で、(a)は構成例を示す図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図6】図1に示したバックラッシ低減手段の第2変形例として構成例を示す図である。
【図7】図1に示したバックラッシ低減手段の第3変形例として構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10,10A トラクションドライブ変速装置
11 ハウジング
20 内輪
30 外輪
40 保持器
41 本体
42 保持部本体
43,43′ 転動体保持部
44 ばね
45 ピン
46 テーパ穴
47 テーパピン
48 磁石
50 調圧カム
60 ハンドル
64 ラック&ピニオン装置
120 第1内輪
140 第1保持器
220 第2内輪
240 第2保持器
Si 入力軸
So 出力軸
K 転動体
TR トラクションドライブ機構
TR1 第1段階変速部
TR2 第2段階変速部
ST 車両用操舵装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と出力軸との間に介在させた転動体のトラクションを利用し、前記入力軸の回転数を所望の変速比に変化させて前記出力軸から出力するトラクションドライブ変速装置において、
前記転動体と、該転動体を回動自在に保持するよう保持部材に形成された転動体保持部との間に形成される隙間を狭めるバックラッシ低減手段を設けたことを特徴とするトラクションドライブ変速装置。
【請求項2】
前記バックラッシ低減手段が、前記転動体を所定の方向へ押圧する予圧付与手段であることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ変速装置。
【請求項3】
前記バックラッシ低減手段が、回転方向に隣接する前記転動体保持部の間に穿設されたテーパ穴と、該テーパ穴に打ち込まれるテーパピンとにより構成されることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ変速装置。
【請求項4】
前記バックラッシ低減手段が、前記転動体の各々を異なる回転方向へ引きつける磁力であることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ変速装置。
【請求項5】
前記バックラッシ低減手段が、前記転動体保持部の少なくとも1つを軸方向にずらした配置であることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ変速装置。
【請求項6】
前記転動体保持部及び前記転動体が互いに接触する面の少なくとも一方に摩擦係数低減処理を施したことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のトラクションドライブ変速装置。
【請求項7】
運転者のステアリング操作が、請求項1から6のいずれかに記載のトラクションドライブ変速装置を介して車両の操舵輪に伝達されることを特徴とする車両用操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−298127(P2007−298127A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127376(P2006−127376)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】