説明

トラックロッド

【課題】トラックロッドや車両のフレームおよび車軸とトラックロッドとの取付箇所が損傷しにくい。
【解決手段】車両のフレームに対して回動可能に取り付けられた第1のエンドピースと、車軸に対して回動可能に取り付けられた第2のエンドピースと、第1および第2のエンドピースの一方に固定され、固定受力部を有する筐体部と、第1および第2のエンドピースの一方と固定受力部との間に固定受力部と並列に配置されて筐体部に収容されている第1のエラストマ部材と、筐体部にスライド可能に収容され、第1のエラストマ部材に対して並列位置に配置されている浮動板部と、を含み、第1および第2のエンドピースの他方に、筐体部に収容可能な部分が含まれており、第1のエンドピースおよび第2のエンドピースの他方と固定受力部との間に第2のエラストマ部材が配置され、各エンドピース、各エラストマ部材、固定受力部、および浮動板部が、締結部材によって一緒に締め付けられることを特徴とするトラックロッドを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にサスペンションに関するものであり、とりわけ、新規の改良されたトラックロッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トルクアームおよびパナールロッドなどとも呼ばれるトラックロッドは、車両のフレームに対して車軸を水平方向に取り付けるために用いられる。一般に、トラックロッドは、その一方の端部が車両のフレームまたはシャーシに回動可能に取り付けられており、当該一方の端部から他方の端部まで所定の長さにわたって側方に延び、当該他方の端部が車軸のハウジングに対して回動可能に取り付けられている。このトラックロッドは、車両の車軸がフレームまたはシャーシに対して側方へ移動するのを抑止する。ストラットバーまたはラジアルアームのような他のサスペンション構成部品は、車軸がフレームに対して縦方向へ移動するのを抑止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鉱山用トラックのような車両が起伏の多い地域で運転される場合、道路によって誘発されるかなりの衝撃が、車軸のハウジングによってトラックロッドに伝達される可能性がある。これらの衝撃は、さらに、車両のフレームに伝達される。従来のトラックロッドの場合、これらの道路によって誘発される衝撃は、最終的には、トラックロッド、あるいは、フレームおよび車軸のハウジングとトラックロッドとの取付部位に故障を生じさせる可能性があることが分かっている。
【0004】
本発明の目的は、鉱山の舗装されていない道路のような凸凹の多い地形を走行する車両において車軸のハウジングに伝えられる衝撃を和らげることが可能な、新規の改良されたトラックロッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両のフレームに対して車軸が横方向となるように位置決めするために、車両のフレームと車軸組立体とを繋ぐトラックロッドであって、車両のフレームに対して回動可能に取り付けられた第1のエンドピースと、車軸に対して回動可能に取り付けられた第2のエンドピースと、前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの少なくとも一方には、固定された受力部材を備えた筐体部が含まれている。筐体部は、固定部材の一方の側に対して力を加える位置に配置された第1のエラストマ部材を収容するようになっている。もう一方のエンドピースには、筐体部によって収容可能な力を加える部分が含まれている。この力を加える部分と固定部材のもう一方の側の間には、第2のエラストマ部材が配置されている。エンドピースが互いに離れると、力の伝達部材が第1のエラストマ部材に力を加えるように構成されている。エンドピースが互いに近づくと、第1のエンドピースの一部が、第2のエラストマ部材に力を加える。
【0006】
より望ましい形態の1つでは、浮動板部が筐体部にスライド可能に収容され、第1のエラストマ部材に対して力を加える位置に配置される。そのさらに望ましい形態では、力伝達部材に、エンドピース部分、第1と第2のエラストマ部材、固定された受力部材、および、浮動板を貫通して延びるボルトとナットの形態をなすのが望ましい締付素子が含まれている。
【0007】
より望ましい形態の1つによれば、トラックロッドには、第1のエンドピースと第2のエンドピースの間における相対運動を許すが、エンドピースが互いに近づくことが可能な範囲を制限する固定ストップを設けたブッシングアセンブリが含まれている。より望ましい形態の1つは、ブッシングアセンブリに一対の嵌合ブッシングが含まれており、その一方は、固定受力部の一方の側に係合可能な端部を備え、そのもう一方は、前記固定受力部のもう一方の側に係合可能な端部を備えている。
【0008】
車両のフレームに対して車軸を取り付けるための開示の方法は、車両と車軸の間における2方向の衝撃荷重を和らげる。衝撃荷重が、フレームから車軸を離す傾向にある力による場合(これによって、トラックロッドに張力がかかる)、衝撃に関連した力は、エラストマ部材の一方によって和らげられる。衝撃荷重が、車軸を車両のフレームに近づける傾向にある力による場合、この力は、もう一方のエラストマ部材によって和らげられる。これは、トラックロッドに張力がかかると、一方のエラストマ部材に圧縮力を加え、トラックロッドが圧縮されると、もう一方のエラストマ部材に圧縮力を加えるように構成された力伝達/結合部材を設けることによって実現される。
【0009】
本発明のトラックロッドによれば、道路の凸凹による衝撃によって圧縮力または張力が加えられると、エラストマ部材によってこれらの衝撃力が吸収および緩和される。したがって、トラックロッドや車両のフレームおよび車軸とトラックロッドとの取付箇所が損傷しにくい。
【0010】
また、本発明のトラックロッドにおいて、エンドピースおよび筐体部の少なくとも一方が溶接物であってもよく、また、これに替えて、鋳造物であってもよい。また、本発明のトラックロッドにおいて、少なくとも第1のエラストマ部材、第2のエラストマ部材、および筐体部は、矩形または正方形であってもよく、また、これに替えて、環状構造としてもよい。
【0011】
本発明の特徴については、以下において添付の図面を参照して説明する本発明の望ましい実施形態において明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るトラックロッドが車軸組立体とフレームとを繋いでいる様子を示す概略図である。
【図2】トラックロッドの斜視図である。
【図3】トラックロッドの分解斜視図である。
【図4】トラックロッドを長手方向に沿って中央部で鉛直に切断して図2に「4」を付した矢印の方向から見た断面図である。
【図5】トラックロッドを長手方向に沿って中央部で鉛直に切断して図2に「5」を付した矢印の方向から見た断面図である。
【図6】トラックロッドに予荷重をかけたときの、トラックロッド構成部品の位置を示す図である。
【図7】トラックロッドに張力がかかっているときの、構成部品の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るトラックロッド12が車軸組立体10とフレーム14とを繋いでいる様子を示す概略図である。トラックロッド12は、車両に用いられる際の用途によってはトルクアームまたはパナールロッドなどとも呼ばれるが、本例では、車両のフレーム14に対する車軸組立体10の側方への移動を抑止している。
【0014】
本実施形態に係るトラックロッド12は、例えば鉱山用トラックのような大型のオフロード車両に搭載される。しかしながら、トラックロッド12の用途はこれに限られず、様々な車両においてトラックロッド、トルクロッド、および、パナールロッドとして用いることができる。
【0015】
図1に示すように、トラックロッド12は、車軸のハウジング10および車両のフレーム14に対して回動可能となるようにピン止めされている。すなわち、トラックロッド12の一方の端部が、車両のフレーム14に設けられた突出部14aに回動可能にピン止めされており、他方の端部が車軸組立体10に設けられた突出部10aに回動可能にピン止めされている。なお、トラックロッド12の各端部と車両のフレーム14および車軸組立体10とは、回動可能に接続されていれば、本例のようにピン止めされていなくてもよい。
【0016】
図2に示すように、トラックロッド12は、一方の端部側に、端部に取付穴22が設けられた2枚の板状部材が平行に配置されたアーム20を有する。アーム20を構成する2枚の板状部材に形成された取付穴22は、例えばこれらの板状部材の間にフレーム14の突出部14aを挟み込んだときに、突出部14aに設けられた取付穴(不図示)とアーム20の各板状部材に設けられた取付穴22とが中心の位置が同じ一つの貫通穴となる。そして、適合するピン部材またはボルトをこの貫通穴に通すことによって、アーム20が突出部14aに固定される。これにより、トラックロッド12の一方の端部が突出部14aに固定される。
【0017】
トラックロッド12は、他方の端部側に、端部に取付穴28が設けられた2枚の板状部材が平行に配置されたアーム26を有する。アーム26を構成する2枚の板状部材に形成された取付穴28は、例えばこれらの板状部材の間に車軸のハウジング10の突出部10aを挟み込んだときに、突出部10aに設けられた取付穴(不図示)とアーム26の各板状部材に設けられた取付穴28とが中心の位置が同じ一つの貫通穴となる。そして、適合するピン部材またはボルトをこの貫通穴に通すことによって、アーム26が突出部10aに固定される。これにより、トラックロッド12の他方の端部が突出部10aに固定される。
【0018】
図3に示すように、第1のエンドピース12aは、上記のアーム20と、アーム20に例えば溶接によって取り付けられた固定板部30と、アーム20と固定板部30との接続部を補強するために固定板部30およびアーム20に溶接された一対のガセット板32とを有する。また、第2のエンドピース12bは、上記のアーム26と、筐体部36とを有する。アーム26は、ガセット板38、39によって強化され、剛性化されている。筐体部36は、アーム26から延びる延長部26aによってその一部が形成されている。また、延長部26aの間には延長部26aの上方と下方とで一対となっているカバープレート40および同じく一対となっているカバープレート42が設けられている。これらカバープレート40、42は、延長部26aに溶接されており、筐体部36の一部を形成している。
【0019】
第2のエンドピース12bには、アーム26の板延長部26aによって部分的に形成された、全体が参照番号36で表示の筐体部が含まれている。ガセット板38、39によってアーム26は強化され、剛性化されている。対をなす上方と下方のカバープレート40、42が間に延びており、アーム延長部26aに溶接されて、やはり部分的に筐体部36を形成している。第1のエンドピース12aと第2のエンドピース12bは、後述のように、車両が凸凹の多い路面を走行しているときに、路面の凸凹によって誘発される衝撃に応じて互いに近づく方向に移動することができる。
【0020】
また、図4に示すように、トラックロッド12は、第1のエラストマ部材50および第2のエラストマ部材52の2つのエラストマ部材を有する。これらのエラストマ部材は、第1のエンドピース12aと第2のエンドピース12bとの制御された相対移動を可能にしている。
【0021】
図4を参照すると、中間板部44が、筐体部36内に堅固に取り付けられている。カバープレート40とガセット38の間のギャップ48によって、筐体部36内部への入口が形成されている。
【0022】
第1のエラストマ部材50が、筐体部36内に収容され、組立て後、中間板部44の左側に(図4で見て)接することになる。第2のエラストマ部材52が、開口48を介して取り付けられ、中間板部44の反対側に接することになる。やはり開口48を介して取り付けられる、浮動板部56が、図4において最もよく分かるように、第2のエラストマ部材52に接することになる。
【0023】
固定板部30、第1のエラストマ部材50、中間板部44、第2のエラストマ部材52、および浮動板部56の各々には、これらの部材がトラックロッド12として組み立てられたときにトラックロッド12の長手方向において重なる位置に、穴50a、52a、30a、56a、44aが形成されている。これらの部材を組み立てると、これらの穴の位置が合うようになっている。図4において明らかなように、第1のブッシング60は、中間板44の穴44aに挿し通されている直径の小さい小径部分60aと、第1のエラストマ部材50に受け容れられている部分とを含む。
【0024】
第2のブッシング62は、その外径が第2のエラストマ部材52の中央部に形成された穴52aと略同じであり、この穴52aに嵌め込まれる。また、この第2のブッシング62には、第1のブッシング60の小径部分60aの直径と略同じ内径の穴62aが形成されており、第1のブッシング60の小径部分60aは第2のブッシング62の穴62aに嵌め込まれている。また、第2のブッシング62には、後述する、ストップの働きをする肩部62bも含まれている。
【0025】
図6において最もよく分かるように、構成部品は、浮動板部56に形成された穴56a、第1のブッシング60に形成された穴、および、固定板部30の穴30aを貫いて延びる通しボルト70によって互いに保持されている。通しボルト70は、第1のエンドピース12aの一部を形成する固定板部30を貫いて延び、ナット70aおよびワッシャ(不図示)のような固定用締結具が取り付けられて、組立てを維持するようになっている。図4から明らかなように、ボルト70が取り付けられると、第1のエンドピース12aと第2のエンドピース12bとが互いに締結される。
【0026】
本例の場合、第1のエラストマ部材50は、中間板部44(筐体部36の第1の部分を形成する)と第1のエンドピース12aの一部を形成する固定板部30の間に締め付けられる。第2のエラストマ部材52は、中間板部44と浮動板部56の間に締め付けられる。望ましい実施形態の1つによれば、エラストマ部材50、52は、組立て中に予荷重をかけられる。これは、第1のブッシング60と第2のブッシング62の構成によって実現される。すなわち、締付ボルト70は、小さいほうのまたは第2のブッシング62の肩部62bが第1のブッシング60の端部に接触するまで締められる。ブッシング60、62が互いに接触すると、固定板部30と中間板部44の間、および、浮動板部56と中間板部44の間において、それ以上の動きは許されない。エラストマ部材50、52は、ブッシング60、62が互いに接触すると、所定量だけ圧縮されたサイズになる。
【0027】
図6には、トラックロッドに予荷重をかけた後の、トラックロッド構成部品の位置が例示されている。上述のように、予荷重をかけると、ブッシング60、62は互いに接触し、互いに近づく軸方向の相対運動は抑止される。すなわち、本例の場合、ブッシング60の小径部分60aの外面に形成された角度つきのまたは面取りした面であるストップ面61と、ブッシング60の小径部分60aをスライド可能に収容するセグメント63を有するブッシング62の肩部62bに形成されたストップ面65とが接触する。
【0028】
筐体部36に固定された中間板部44には、穴44aの両側を座繰り加工することにより形成された円形凹部67a、67bが含まれている。円形凹部67a、67bはブッシング60およびブッシング62の外径に相当する直径を有している。
【0029】
車両の運転中にトラックロッド12に力かかると、円形凹部によってブッシング60、62が固定された中間板部44に対して移動可能になる。
【0030】
上述のように、組立て中、エラストマ部材50、52に予荷重がかけられる。図6から明らかなように、(第1のエンドピース12aの一部を形成する)固定板部30と浮動板部56とを互いに近づけるため、ボルト70と関連ナット70aが締められる。そして、ストップ面61、65が接触して係合すると、固定板部30および浮動板部56間においてそれ以上の相対運動は許されない。エラストマ部材50、52に加えられる予荷重の大きさは、ブッシング60、62のストップ面61、65が互いに接触式に係合したとき、ブッシング60、62によって形成される全軸長によって決まる。
【0031】
車両の運転時に、トラックロッド12は、車両が起伏の多い地域を横断すると、張力および圧縮力を受けることになる。図7には、トラックロッド12に張力がかかっているときの、構成部品の位置が例示されている。トラックロッド12に張力がかかると、エンドピース12a、12bは引き離される。図7において分かるように、トラックロッド12に張力がかかると、第1のエンドピース12aの一部である固定板部30は、固定された中間板部44から離れる方向に移動する。固定板部30は、ボルト70およびブッシング60、62を介して浮動板部56に固定されているので、浮動板部56は、中間板部44に向かって移動することにより第2のエラストマ部材52はさらに圧縮される。この移動によって、第1のエラストマ部材50にかかる(予荷重による)圧縮力は弱まる。このとき、ブッシング62の(図6で見た)左端は、固定された中間板部44に形成された円形凹部67bに入り込む。
【0032】
一方、トラックロッド12に圧縮力がかかると、第1のエンドピース12aが第2のエンドピース12bに向かって移動する。このとき、第1のエンドピース12aの固定板部30は中間板部44に向かって移動するが、浮動板部56は、ブッシング60、62、および、ボルト70を介して固定板部30に固定されているので、中間板部44から離れる。この移動によって、第1のエラストマ部材50はさらに圧縮され、第2のエラストマ部材52への予荷重による圧縮力は弱まることになる。
【0033】
エラストマ部材50、52の周囲には、それぞれフランジ51、53が設けられている。トラックロッド12に張力が加わるか、または、圧縮力が加わると、圧縮されているエラストマ部材のフランジが移動して、カバープレート40、42と接触する。したがって、フランジ51、53は、エラストマ部材50、52において容認される圧縮量の低減に役立つ。また、フランジ51、53は、エラストマ部材50、52の取り付け中および取り付け後において、エラストマ部材50、52の取付位置を維持するのにも役立つ。すなわち、フランジ51、53は、筐体部36内におけるエラストマ部材50、52の回転を抑止するのに役立つ。
【0034】
以上のように、本例のトラックロッド12では、第1のエンドピース12aと第2のエンドピース12bとの間で一定の範囲で相対移動が可能であるので、特に凹凸の多い路面を車両が走行する際に、車両の車軸およびフレームにかかる衝撃荷重を軽減する。
【0035】
本例のトラックロッド12では、路面の凹凸上を車両が走行する際の衝撃によってトラックロッド12に張力がかかった場合でも、エラストマ部材50、52には、トラックロッド12が受ける衝撃によって圧縮力のみがかかる。例えば、上記の衝撃によって、第1のエンドピース12aと第2のエンドピース12bとが互いに近づく方向に移動すると(すなわち、トラックロッド12が両側から圧縮されると)、第1のエラストマ部材50は、上記の衝撃により生じた圧縮力によってさらに圧縮される。これに対し、上記の衝撃によって第1のエンドピース12aと第2のエンドピース12bとが互いに引き離されると(すなわち、トラックロッド12が両側から引っ張られると)、第2のエラストマ部材52は、上記の衝撃により生じた圧縮力によってさらに圧縮される。これにより、上記の衝撃に伴ってフレーム14および車軸のハウジング10にかかる衝撃荷重が低減する。ゆえに、フレーム14に設けられた突出部(マウント)14aまたは車軸のハウジング10に設けられた突出部(マウント)10aおよびこれらと接続するトラックロッド12の損傷が防止される。
【0036】
本発明の特徴の1つによれば、カバープレート40、42(図4において最もよく分かる)は、エラストマ部材50、52を拘束するのに役立ち、従って、エラストマ部材50、52の性能および信頼性を向上させ、それらが過度に変形するのを抑止する。
【0037】
望ましい実施形態によれば、エラストマ部材50、52は、デュロメータ硬さが50〜90の範囲内のゴムまたはウレタンで製造される。云うまでもないが、エラストマ部材50、52には、他のタイプのエラストマ材料を利用することも可能であり、エラストマ材料製でない緩衝部材も適用可能である。例えば、本例のエラストマ部材50、52に替えて、金属バネまたはベルヴィルワッシャーを利用することも可能である。
【0038】
本例のトラックロッド12では、第1のエンドピース12aおよび第2のエンドピース12bの各エンドピースを構成する部材は、互いに溶接によって固定されているが、これらの各エンドピースは、鋳造などの方法によって一体に形成することもできる。また、本例のトラックロッド12では、固定板部30、筐体部36、中間板部44、エラストマ部材50、52、および浮動板部56の各部材は、外形が矩形であるが、これらの各部材の外形を円形としてもよい。
【0039】
以上において、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明してきた。しかしながら、本発明の技術的範囲は上記実施形態によって限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の特徴に対して当業者の技術常識に基づいて変更または改良を加えたものも当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10 車軸組立体
10a 突出部
12 トラックロッド
12a 第1のエンドピース
12b 第2のエンドピース
14 フレーム
14a 突出部
20 アーム
22 取付穴
26 アーム
28 取付穴
30 固定板部
32 ガセット板
36 筐体部
38 ガセット板
39 ガセット板
40 カバープレート
42 カバープレート
44 中間板部(固定受力部)
44a 穴
48 開口
50 第1のエラストマ部材
51 フランジ
52 第2のエラストマ部材
53 フランジ
56 浮動板部
60 第1のブッシング(ブッシングアセンブリ)
60a 小径部分
61 ストップ面
62 第2のブッシング(ブッシングアセンブリ)
62a 穴
62b 肩部
65 ストップ面
67a 円形凹部
67b 円形凹部
70 通しボルト(締結部材)
70a ナット(締結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフレームに対して車軸が横方向となるように位置決めするために、前記フレームと車軸組立体とを繋ぐトラックロッドであって、
a)前記フレームに対して回動可能に取り付けられた第1のエンドピースを含むことと、
b)車軸に対して回動可能に取り付けられた第2のエンドピースを含むことと、
c)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの一方に固定され、固定受力部を有する筐体部を含むことと、
d)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの一方と前記固定受力部との間に前記固定受力部と並列に配置されて前記筐体部に収容されている第1のエラストマ部材を含むことと、
e)前記筐体部にスライド可能に収容され、前記第1のエラストマ部材に対して並列位置に配置されている浮動板部を含むことと、
f)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの他方に、前記筐体部に収容可能な部分が含まれることと、
g)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの他方と前記固定受力部との間に第2のエラストマ部材が配置されていることと、
h)前記第1のエンドピース、前記第2のエンドピース、前記第1のエラストマ部材、前記第2のエラストマ部材、前記固定受力部、および前記浮動板部が、締結部材によって一緒に締め付けられることと、
を特徴とするトラックロッド。
【請求項2】
前記締結部材は、ボルトとナットを含むことを特徴とする請求項1に記載のトラックロッド。
【請求項3】
接触によって互いに係合することにより前記エンドピースと前記浮動板部の間隔を一定に保つ一対のブッシングが含まれることを特徴とする請求項1に記載のトラックロッド。
【請求項4】
前記一対のブッシングは、前記エンドピースと前記浮動板部との間の相対移動を抑止しつつ、衝撃荷重が加わったことに応じて前記浮動板部と前記固定受力部の間の相対移動を許容するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のトラックロッド。
【請求項5】
前記筐体部が溶接物であることを特徴とする請求項1に記載のトラックロッド。
【請求項6】
前記筐体部が鋳造物であることを特徴とする請求項1に記載のトラックロッド。
【請求項7】
前記筐体部、前記第1のエラストマ部材、および前記第2のエラストマ部材は、環状の構造であることを特徴とする請求項1に記載のトラックロッド。
【請求項8】
車両のフレームに対して車軸組立体を横方向に取り付けるためのトラックロッドであって、
a)前記フレームに対して回動可能に取り付けられた第1のエンドピースを含むことと、
b)車軸に対して回動可能に取り付けられた第2のエンドピースを含むことと、
c)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの一方が固定受力部を備える筐体部を含むことと、
d)前記筐体部が、前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの一方と前記固定受力部の一方の側との間における前記固定受力部の一方の側に対して力が加えられる位置に配置された第1のエラストマ部材を収容するようになっていることと、
e)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの他方が、前記筐体部によって収容可能な力伝達部材を含むことと、
f)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの他方と前記固定受力部の他方の側との間に第2のエラストマ部材が配置されていることと、
g)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースが互いに離れるときに、前記力伝達部材が前記第2のエラストマ部材に圧縮力をかけるように構成されていることと、
を特徴とするトラックロッド。
【請求項9】
前記力伝達部材は、前記第1のエンドピース、前記第2のエンドピース、前記第1のエラストマ部材、前記第2のエラストマ部材、および、前記固定受力部を一緒に締め付ける締結部材を含むことを特徴とする請求項8に記載のトラックロッド。
【請求項10】
前記筐体部にスライド可能に収容され、前記第1のエラストマ部材に対して力を加えることが可能な位置に配置された浮動板部をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のトラックロッド。
【請求項11】
前記力伝達部材は、前記第1のエンドピース、前記第2のエンドピース、前記第1のエラストマ部材、前記第2のエラストマ部材、前記固定受力部、および、前記浮動板部を貫いて延び、前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースに圧縮力をかける働きをする締結部材であるナット付きボルトを含むことを特徴とする請求項10に記載のトラックロッド。
【請求項12】
前記第1のエンドピースと前記第2のエンドピースとの間における相対運動を許すが、前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースが互いに接近可能な範囲を制限する固定ストップを設けているブッシングアセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のトラックロッド。
【請求項13】
前記ブッシングアセンブリは、互いに嵌合する一対のブッシングを含み、前記一対のブッシングの一方は、前記固定受力部の前記一方の側に係合可能であり、前記一対のブッシングの他方は、前記固定受力部の前記他方の側に係合可能であることを特徴とする請求項12に記載のトラックロッド。
【請求項14】
車両のフレームに対して車軸を取り付けるための方法であって、
a)前記フレームに対して回動可能に第1のエンドピースを取り付けるステップと、
b)前記車軸に対して回動可能に第2のエンドピースを取り付けるステップと、
c)前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースの一方の一部として、固定受力部を含む筐体部を設けるステップと、
d)前記固定受力部の両側にエラストマ受力部材を設けるステップと、
e)前記エンドピースが互いに離れる動きによって、前記エラストマ部材の一方に圧縮力がかかり、前記エンドピースが互いに離れる動きによって、前記もう一方のエラストマ部材に圧縮力がかかるように、前記エンドプレートを結合するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第1のエンドピースおよび前記第2のエンドピースが互いに近づく動きの範囲を制限するステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−516270(P2012−516270A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548327(P2011−548327)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/022520
【国際公開番号】WO2010/088471
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】