説明

トリアリールアミン含有ポリマー及び電子デバイス

主鎖中に式Iの構造単位を有する共役又は部分的共役ポリマー[式Iにおいて、Arl及びArは、それぞれ独立に、2個以上の一緒に縮合した芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Ar3はC4からC40のアリール若しくはヘテロアリール基又はC4からC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基である]及びかかるポリマーを含有するデバイス。さらに、式Vの組成物[式中Ar及びArは、アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Ar3は、アリール又はヘテロアリール基であり、Xはハロゲン、ボロン酸又はボロン酸エステルなどの脱離基である]。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2004年12月3日に出願された米国仮特許出願第60/663,357号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、トリアリールアミンを含むポリマー組成物及びかかる組成物を含む電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
共役ポリマーは、オプトエレクトロニック特性を有することが知られている。幾つかの報告書が、フルオレンホモポリマーからの青色光の発光を実証している。例えば、A.W.Grice;D.D.C.Bradley、M.T.Bernius;M.Inbasekaran、W.Wu、E.P.Woo;Appl.Prep.Lett.1998、73、Y.Young及びQ.Pei;J.Appl.Prep.81、3294(1997)である。WO01/81294A1は、電荷輸送性三環系アリールアミンでエンドキャップしたフルオレンポリマーを教示している。米国特許第5,874,179号(Kreuder他)は、窒素含有コモノマーを有するポリフェニレンビニレンベースのオプトエレクトロニックポリマーを教示している。さらにKreuderは、フルオレンを、ポリフェニレンビニレンベースのポリマー中の窒素含有縮合環構造の一部とすることができるであろうことを教示している。
【0004】
国際公開第2004/024670号は、有機塩、銅触媒及び塩基の存在下、芳香族ハロゲン化合物を芳香族アミンと反応させることで、高純度のトリアリールアミン及びジアリールアミンを低価格で生成するプロセスを記載している。アリール基は、ナフタレン基とすることができる。日本国特許公開20022175883号は、青紫光を発光するトリアリールアミン化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスについて記載している。トリ−(4−ブロモナフチル)アミンの合成について詳細に記載されており、この化合物が、有機エレクトロルミネッセンスデバイス中で青紫光を発光することが報告されている。Momura他(Macromolecules、37(4)2004 1204〜1210)は、ジ(1−ナフチル)−4−トリルアミンホモポリマーの合成及びこれの有機光発光デバイスにおける正孔輸送層としての応用例について記載している。日本国特許公開1999184109号は、トリアリールアミン誘導体ベースの電荷輸送層を有する電子写真感光体の組成物及びこの感光体を使用する電子写真デバイスについて記載している。電荷輸送層として使用されるトリアリールアミンは、1つの置換アリール基、Ar、及び窒素原子に結合した2つのフルオレニル基を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改良された効率で良好な伝導率を示し、深青色光を高輝度で比較的低い作動電圧において発光するオプトエレクトロニック材料とデバイスの必要性が引き続き残存する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、共役又は部分的共役ポリマーの主鎖に特定の種類のトリアリールアミン部分(moiety)を含めることによって、従来技術と比較して、低電圧における著しく改良された伝導率及びより高いデバイス効率を提供し、深青色光の発光が可能であることを見出した。
【0007】
より具体的には、本発明は、主鎖上に式Iの構造単位を含む共役又は部分的共役ポリマーである。
【化1】


式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、縮合した2個以上の芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arは、CからC40のアリール若しくはヘテロアリール基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基である。
【0008】
別の態様において、本発明は式Iを含むフィルムである。別の態様において、本発明は、少なくとも1つの更なる共役ポリマーを有する式Iを含むポリマーのブレンドである。さらに、別の態様において、本発明は式Iを含むポリマーを含んでいるフィルムを含むエレクトロルミネッセンスデバイスである。別の態様において、本発明は第1電極、式Iを含むポリマーを含むフィルム及び第2電極を含む光電池である。
【0009】
さらに別の態様において、本発明は、(a)電気絶縁体であり、第1側面及び第2側面を有している絶縁体層と、(b)電導体であり、絶縁体層の第1側面に隣接して位置するゲートと、(c)式Iを含むポリマー及び第2電極を含む半導体層と、(d)電導体であり、半導体層の第1端部と電気接触しているソースと、(e)電導体であり、半導体層の第2端部と電気接触しているドレインとを含む電界効果トランジスターである。
【0010】
別の態様において、本発明は式Vの組成物であり、
【化2】


式中、Ar及びArはアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arはアリール又はヘテロアリール基であり、Xはハロゲン、ボロン酸又はボロン酸エステルなどの脱離基である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一実施態様において、本発明は、共役又は部分的共役ポリマーを含むポリマーであり、式Iの構造単位を有する:
【化3】


式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、縮合した2個以上の芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arは、CからC40のアリール若しくはヘテロアリ−ル基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基である。
Ar及びArは、置換又は非置換のナフタレンジイル、アントラセンジイル又はフルオレンジイルであることが好ましい。Ar及びArが、フルオレンジイルを含む場合、かかるフルオレンジイルは、式IIを有することができ、
【化4】


式中、QがR又はArであり、ArはCからC40のアリーレン若しくはヘテロアリ−レン基又はCからC40の置換アリーレン若しくはヘテロアリ−レン基であり;Rは独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、O、P又はSi原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは、独立に、出現するごとに、C〜C40炭化水素、炭素−炭素結合に組み入れられるS、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC〜C40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基であり;nは独立に、出現するごとに、0〜3である。
【0012】
Arは、置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基である。Arは、式IIIを有するアリール又はヘテロアリール基であることが好ましく、
【化5】


式中、RはC1〜40炭化水素、S、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC3〜40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基である。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、共役又は部分的共役ポリマーを含むポリマーであり、式IVの構造単位を有する:
【化6】


式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、縮合した2個以上の芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、;Arは、C4〜40のアリール又はヘテロアリール基、或いはC4〜40の置換アリール又はヘテロアリール基であり;Yは共役ポリマーのモノマーの単位残基であり、このポリマーは非共役ポリマーのモノマーを場合によりさらに含んでもよい。Ar及びArは、置換又は非置換のナフタレンジイル、アントラセンジイル又はフルオレンジイルであることが好ましい。
【0014】
式IVのY部分は、独立に、出現するごとに、以下の式又は式の組合せの共役単位の群から選択されることが好ましい:
【化7−1】


【化7−2】


【化7−3】


【化7−4】


【化7−5】


式中、共役単位は1つ又は複数の置換基を有してもよく、かかる置換基は、独立に、出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルボキシルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルボキシカルボニルオキシ、シアノ、又はフルオロ基であり;
は、O又はSであり;
QはR又はArであり;
は、独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、
nは、独立に、出現するごとに、0〜3であり、
Arは、CからC40のアリール若しくはヘテロアリール基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基;Rは、独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは、独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく、Rは、独立に、出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、又はシアノ若しくはフルオロ基である。
【0015】
非共役ポリマーの任意選択のさらなるモノマーは、ポリカーボネートモノマー、ポリスチレンモノマー、ポリエステルモノマー、ポリアクリレートモノマー又はこれらの混合物を含むことが好ましい。本発明には、溶媒中に溶解又は分散した式Iを含むポリマーが含まれる。本発明には、式Iを含むポリマーのフィルムが含まれる。本発明には、少なくとも1種の更なる共役ポリマーを有する式Iを含むポリマーのブレンドが含まれる。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、式Iを含むポリマーを含む少なくとも1種の有機フィルムを含むエレクトロルミネッセンスデバイスであり、印加された電圧下で、有機フィルムが、デバイスの透明外部を通って透過する青色光を発光するように、陽極材料と陰極材料との間に配置されている。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、(a)電気絶縁体であり、第1側面及び第2側面を有する絶縁体層と、(b)電導体であり、絶縁体層の第1側面に隣接して位置するゲートと、(c)式Iを含むポリマー及び第2電極を含む半導体層と、(d)電導体であり、半導体層の第1端部と電気接触しているソースと、(e)電導体であり、半導体層の第2端部と電気接触しているドレインとを含む電界効果トランジスターである。また本発明には、第1電極、式Iを含むポリマーを含むフィルム及び第2電極を含む光電池が含まれる。
【0018】
本発明は、また式Vの組成物であり、
【化8】


式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、縮合した2個以上の芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arは、CからC40のアリール又はヘテロアリール基或いはCからC40の置換アリール又はヘテロアリール基である。
Ar及びArは、置換又は非置換のナフタレンジイル、アントラセンジイル又はフルオレンジイルであることが好ましい。Ar及びArがフルオレンジイルを含む場合、かかるフルオレンジイルは式IIを有することができ、
【化9】


式中、QがR又はArであり、ArはCからC40のアリール若しくはヘテロアリール基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基であり;Rは独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個又は複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、O、P又はSi原子を含有することもできるC5〜20環構造を形成してもよく;Rは独立に、出現するごとに、C〜C40炭化水素、S、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC〜C40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基であり;nは独立に、出現するごとに、0〜3である。
【0019】
Arは、置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基である。Arは、式IIIを有するアリール又はヘテロアリール基であることが好ましく、
【化10】


式中、Rは、C1〜40炭化水素、1個又は複数のS、N、O、P、又はSiのヘテロ原子を含有するC3〜40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基である。
【0020】
別の実施形態において、その他の共役Y単位は、正孔輸送部分、電子輸送部分、及び/又は発光部分を含む。その他の単位は、電荷注入、電荷輸送、エレクトロルミネッセンスデバイスの効率及び寿命の1つ又は複数を最適化するために用いられる。この実施形態において、共役単位Yは、以下の式又は式の組合せの共役単位の群から選択される:
【化11−1】


【化11−2】


【化11−3】


【化11−4】


【化11−5】


式中、共役単位は、1つ又は複数の置換基を有することもでき、かかる置換基は、独立に、出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルボキシルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルボキシカルボニルオキシ、シアノ、又はフルオロ基であり;
はO又はSであり;
QはR又はArであり;
は独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個又は複数のS、N、O、P又はSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり;
nは独立に、出現するごとに、0〜3であり;
Arは、CからC40のアリール若しくはヘテロアリール基、又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基であり;Rは独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方が、フルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは独立に、出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、シアノ又はフルオロ基である。
【0021】
本発明のポリマーは、約10,000ダルトン以上、20,000ダルトン以上、好ましくは50,000ダルトン以上;1,000,000ダルトン以下、500,000ダルトン以下、好ましくは400,000ダルトン以下の重量の重量平均分子量を有する。分子量は、内部標準としてポリスチレンを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィーで決定される。
【0022】
ポリマーは、10以下、5以下、4以下、好ましくは3以下の多分散度(Mw/Mn)であることを実証している。
【0023】
本発明のポリマーは、芳香族化合物を作成するための任意の知られたカップリング反応のいずれかによって合成することができる。Suzukiカップリング反応を使用することが好ましい。Suzuki反応は、ジボロン化芳香族部分及びジハロゲン化芳香族部分を用いて芳香族化合物をカップリングする。この反応は、長鎖、高分子量のポリマーを生成することを可能にする。さらに、添加のシーケンスを制御することによって、ランダム又はブロックコポリマーのいずれかを生成することもできる。
【0024】
Suzuki反応は、ジボロン化モノマーから開始することが好ましい。Suzukiプロセスは、参照により本明細書に明確に組み込まれている米国特許第5,777,070号において教示されている。
【0025】
本発明のポリマーを調製するSuzuki反応に好ましい溶媒は、トルエン又はキシレンである。水中の炭酸ナトリウムが好ましい塩基であり、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム又はジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)などのパラジウム錯体触媒が好ましい触媒であり、相間移動触媒、好ましくは、第四級アンモニウム塩が、高分子量を短時間で実現するために反応をスピードアップするのに使用される。窒素原子上で非置換のモノアリールアミンは、Aldrich Chemical Companyを含む多くの供給業者から市販されている。トリアリール置換アミンは、N−非置換前駆物質の臭化又は沃化アリール或いは置換アリール化合物との反応により生成される。モノアリールアミンの、ブロモアリール又はヨードアリール又は置換ブロモ若しくはヨードアリールに対する比は、1対2.2〜4である。材料は、触媒の存在下で反応する。触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム及びトリ−t−ブチルホスフィンであることが好ましい。tert−ブトキシドナトリウムを塩基として使用できることが好ましい。材料を加熱し、トルエン中で80〜110℃で約15時間還流する。溶液を冷却する。トリアリールアミンを分離して、当業者に知られている臭化技術でもってさらに臭化する。最も好ましい臭化剤は、DMF又は塩化メチレンなどの溶媒中のN−ブロモスクシンイミドである。
【0026】
本発明の別の態様は、ポリマーブレンドに関する。このブレンドは、式Iの構造単位を含むポリマー又は式Iと少なくとも1種類の他の共役ポリマーとのブレンドのポリマーを含む。本明細書で使用する場合、「共役ポリマー」という用語は、オーバーラップするπ軌道の主鎖を有するポリマーを意味する。ブレンドに使用することができる共役ポリマーには、ポリフルオレン、ポリ(アリーレンビニレン)、ポリフェニレン、ポリインデノフルオレン、ポリチオフェンが含まれ、これら共役ポリマーのホモポリマー、コポリマー又は置換ホモポリマー及び/又はコポリマーが含まれる。
【0027】
ポリマーブレンドは、少なくとも1重量%の式Iの単位を含有するポリマーから構成されることが好ましい。高いフォトルミネッセンス及びエレクトロルミネッセンス効率を有するポリマーブレンドが最も好ましい。粘度調整剤、抗酸化剤、及びコーティング改良剤などの他の添加物は、場合により加えてもよい。さらに、類似の組成を有するが分子量が異なる2種類以上の低多分散度ポリマーのブレンドを配合することができる。
【0028】
本発明の別の態様は、本発明のポリマーから形成されたフィルムである。かかるフィルムは、ポリマー発光ダイオード、光電池及び電界効果トランジスターにおいて使用することができる。かかるフィルムは、発光層又は電荷担体輸送層として使用することが好ましい。フィルムは、電子デバイスの保護コーティングとして及び蛍光コーティングとして使用することもできる。フィルム又はコーティングの厚さは、用途に依存する。
【0029】
一般的に、かかる厚さは、0.005から200ミクロンとすることができる。コーティングが蛍光コーティングとして使用される場合、コーティング又はフィルムの厚さは50から200ミクロンである。コーティングが電子デバイスの保護層(electronic protective layers)として使用される場合、コーティングの厚さは5から20ミクロンとすることができる。コーティングがポリマー発光ダイオードにおいて使用される場合、形成された層の厚さは0.005から0.2ミクロンである。本発明のポリマーは、ピンホールが無く、欠陥の無い良好なフィルムを形成する。
【0030】
フィルムは、ポリマーと少なくとも1種の有機溶媒とを含む本発明の別の実施形態のポリマー組成物をコーティングすることで容易に形成される。好ましい溶媒は、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エーテル及びこれらの混合物である。使用することのできる更なる溶媒には、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メシチレン、クメン、シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン、デカリン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾトリフルオリド、ジメチルホルムアミド、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロ−メチルアニソール、2−メチルアニソール、フェネトール、4−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、3−フルオロベンゾニトリル、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、N,N−ジメチルアニリン、エチルベンゾエート、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、1−メチルナフタレン、N−メチルピロリジノン、3−フルオロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、ジオキサン、トリフルオロメトキシベンゼン、4−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロピリジン、トルエン、2−フルオロトルエン、2−フルオロベンゾトリフルオリド、3−フルオロトルエン、4−イソプロピルビフェニル、フェニルエーテル、ピリジン、4−フルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、2−フルオロピリジン、3−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、1−クロロ−2,5−ジフルオロベンゼン、4−クロロフルオロベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン又はo−、m−、及びp−異性体の混合物が含まれる。かかる溶媒は、比較的低い極性を有していることが好ましい。高沸点物と溶媒の混合物は、インクジェット法にとってより良いが、スピンコーティングにはキシレン及びトルエンが最適である。溶液は、式Iの構造単位を含むポリマーを、約0.1から5%含有していることが好ましい。フィルムは、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、オフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スタンプコーティング又はドクターブレードを含めて、当技術分野においてよく知られている手段によって製造することができる。
【0031】
別の実施形態において、本発明は溶媒中に本発明のポリマー又はポリマーブレンド含む組成物である。使用できる溶媒には、トルエン、キシレン、キシレンのo、m及びp異性体の混合物、メシチレン、ジエチルベンゼン、エチルベンゼン又は高度に置換されたベンゼン誘導体が含まれる。溶液は0.1〜10重量%の組成物を含んでいることが好ましい。薄いコーティングに対しては、組成物が0.5から5.0重量%の組成物を含んでいることが好ましい。組成物を、適当な基材に所望の方法で適用し、溶媒を蒸発させる。残留溶媒は、真空、加熱によって及び/又は窒素などの不活性ガスの掃引によって取り除くことができる。
【0032】
本発明のポリマーは、フォトルミネッセンスに加えて、強力なエレクトロルミネッセンスを示す。したがって、本発明の別の態様は、本発明のポリマーを含むフィルムを有する有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスに関する。本発明のELデバイスは、好ましくは20ボルト以下、10ボルト以下、好ましくは6ボルト以下の印加電圧を適用した場合に発光する。
【0033】
有機ELデバイスは、一般的に陽極と陰極の間に挟まれた有機フィルムより成る。正バイアスをデバイスに印加すると、正孔が陽極から有機フィルムに注入され、電子が陰極から有機フィルムに注入される。正孔と電子を組合せると、光子を遊離することにより基底状態へと発光性崩壊することができる励起子を生じさせることができる。
【0034】
実際には、陽極はその伝導率と透明性のために、通常スズとインジウムの混合酸化物である。混合酸化物(ITO)は、有機フィルムによって発光される光を観察することもできるように、ガラス又はプラスチックなどの透明な基材上に付着させる。有機フィルムは、それぞれが異なる機能のために設計された幾つかの個別の層の複合材料であってもよい。正孔は陽極から注入されるので、陽極の次の層は正孔を輸送する機能を有していなければならない。同様に、陰極の次の層は、電子を輸送する機能を有していなければならない。多くの例において、電子又は正孔輸送層は、発光(emitting)層として作用することができる場合もある。幾つかの例において、単一層が、正孔及び電子の輸送と発光との組み合わさった機能を遂行する場合もある。
【0035】
金属陰極は、熱蒸発又はスパッタリングによって析出させることもできる。陰極の厚さは、1nmから1000nmであってもよい。好ましい金属は、カルシウム、マグネシウム、インジウム、アルミニウム及びバリウムである。例えば、LiF、NaF、CsF又はRbFなどのアルカリ又はアルカリ金属ハライドの薄い層(1〜10nm)を、発光ポリマーと、カルシウム、バリウム、又はマグネシウムの陰極の間のバッファー層として使用することもできる。これらの金属の合金も使用することもできる。1〜5%のリチウムを含有するアルミニウム合金及び少なくとも80%マグネシウムを含むマグネシウム合金が好ましい。
【0036】
別の実施形態において、エレクトロルミネッセンスデバイスは、少なくとも1種の正孔注入ポリマーフィルム(例えば、PEDOTフィルム)と、本発明の組成物から成る発光ポリマーフィルムとを含み、これらは陽極材料と陰極材料の間に配置され、デバイスが順方向バイアスの場合、印加された電圧下で、正孔が、陽極材料から正孔注入ポリマーフィルムを経由して発光ポリマーに注入され、電子が、陰極材料から発光ポリマーへと注入され、その結果として発光層から発光が生じる。別の実施形態において、正孔輸送の複数のポリマー層は、陽極に対して最接近の層が最も低い酸化電位を有し、隣接する層が漸次より高い酸化電位を有するように配置されている。これらの方法によって、単位電圧当たり比較的高い光出力を有しているエレクトロルミネッセンスデバイスを作成することもできる。
【0037】
本発明の別の実施形態は、本発明の1つ又は複数のポリマーを含み、ポリマーが単一層フィルムとして又は多層フィルムとして存在し、これらを組み合わせた厚さが10nm〜1000nmの範囲、25nm〜500nmの範囲、又は好ましくは50nm〜300nmの範囲である光電池に関する。2種以上のポリマーが使用される場合、これらは異なる層に別個に堆積させるか又は所望のポリマーのブレンドを含有する溶液から1つの層として堆積させてもよい。
【0038】
「光電池」は、入射光エネルギーを電気エネルギーに転換できるオプトエレクトロニックデバイスの種類を意味する。光電池の例には、光起電デバイス、太陽電池、光ダイオード、及び光検出器がある。光電池は、一般的に透明な基材上に析出した透明又は半透明の第1電極を含む。次いで、ポリマーフィルムが第1電極上に形成される、このポリマーフィルムはまた第2電極でコーティングされる。基材及び第1電極を通して透過された入射光はポリマーフィルムによって励起子に転換され、これは適当な条件下で電子と正孔に解離して、これにより電流を発生させることができる。
【0039】
本発明の別の実施形態は、半導体ポリマーとして使用される本発明の1つ又は複数のポリマーを含む、金属−絶縁体−半導体電界効果トランジスターに関する。電界効果トランジスターは、5つの要素を含む。第1の要素は絶縁体層である。絶縁体層は、電気絶縁体で、第1側面及び第2側面を有する。第2の要素はゲートである。ゲートは電導体である。ゲートは絶縁体層の第1側面に隣接して位置する。
【0040】
第3の要素は半導体層である。半導体層は、上記式Iの構造単位を含むポリマーを含む。半導体層は、第1側面、第2側面、第1端部及び第2端部を有し、半導体層の第2側面は絶縁体層の第2側面に隣接している。ポリマーが絶縁体に析出し、ここでポリマーは単一層フィルム又は多層フィルムとして存在し、これらを組み合わせた厚さは、10nmから1000nmの範囲、25nmから500nmの範囲、又は好ましくは50nmから300nmの範囲である。
【0041】
電界効果トランジスターの第4の要素はソースである。ソースは電導体である。ソースは、半導体層の第1端部と電気的に接触している。第5の要素はドレインである。ドレインは電導体である。ドレインは半導体層の第2端部と電気接触している。ゲートに負の電圧バイアスが印加されると、ソースをドレインに接続している半導体層中に正孔伝導チャンネルが形成される。ゲートに正のバイアスが印加されると、半導体層中に電子伝導チャンネルが形成される。
【0042】
エレクトロルミネッセンスデバイスと同様に、半導体層を含むポリマーフィルムは、スピンコーティング、ロールコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング及びドクターブレード並びにインクジェット印刷などの、溶媒ベース処理技術によって形成することもできる。2種以上のポリマーを使用する場合、これらは異なる層として別途に析出させてもよく、又は所望のポリマーのブレンドを含有する溶液から単一層として析出させてもよい。
【0043】
2つの電極(ソース及びドレイン)は、半導体ポリマーに取り付けられ、第3の電極(ゲート)は、絶縁体の向かいあった表面上に取り付けられる。半導体ポリマーが正孔輸送性(すなわち、大部分の担体が正孔)の場合、ゲート電極に負のDC電圧を印加すると、ポリマー−絶縁体界面近傍に正孔の蓄積が生じ、それを通してソースとドレインの間に電流が流れることができる導電チャンネルを作り出す。このトランジスターは「作動」状態である。ゲート電圧を逆にすると、蓄積ゾーン中の正孔が減少して、電流が停止する。このトランジスターは「作動停止」の状態である。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、例示的目的で包含されるものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0045】
1,1’−ジナフチル(4−ブチル)フェニルアミン(DNA)モノマー前駆物質の合成:
【化12】


1−ブロモナフタレン:22.78g(110mmol)
4−n−ブチルアニリン:7.46g、50mmo1
Pd(dba):1.007g、1.1mmol
P(t−Bu):0.89g(10%ヘキサン溶液中8.9g)、4.4mmol
tBuONa:14.8g、154mmol
還流冷却器を備えた三つ口フラスコに、1−ブロモナフタレン、4−ブチルアニリン、Pd(dba)、P(t−Bu)、t−BuONa及びトルエン(150m1)を加え、80℃で4−ブチルアニリンが消えたことがHPLC分析によって示されるまで攪拌する。反応完了後、反応混合物を6インチの中性アルミナを充填したカラムに通し、2Lのトルエン溶離液を捕集する。溶媒を、ロータリーエバポレーターで除去する。残留物を250mlのジエチルエーテルで抽出し、有機層を200mlのブラインで3回洗浄する。有機層をMgSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をトルエン/エタノール混合物(容積で1:1)から再結晶する。最終生成物は、HPLCで測定して純度99%のオフホワイトの粉末で、収率は56%である。
【0046】
4−ブロモ−N−(4−ブロモ−1−ナフタレニル)−N−(4−ブチルフェニル)−1−ナフタレンアミンモノマーの合成:
【化13】


40mlの塩化メチレンに溶解した1g(2.49mmol)のDNAに、(洗浄のために5mlプラスした)約15mlのDMF中に溶解した0.89g(5.0mmol)のN−ブロモスクシンイミド(NBS)を、(氷浴中で冷却して)0℃で加える。NBS溶液を加えることで、反応混合物は無色から褐色に変化する。NBSを加えた後、反応混合物をこの温度で2時間攪拌する。反応混合物を500mlの分液漏斗に移し、300mlの蒸留水で3回洗浄する。全ての水層を一緒にして、250mlのCHClで洗浄する。一緒にした有機層をMgSOで乾燥する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、暗褐色のオイルを得る。この粗生成物を200mlのイソプロピルアルコールから再結晶し、1gのオフホワイトの粉末状生成物を得る。収率は71.4%である。純度はHPLCで測定して99.0%である。
【0047】
1,1’−ジナフチル(4−ブトキシ)フェニルアミン(DNOA)モノマー前駆物質の合成:
【化14】


1−ブロモナフタレン:22.78g(110mmol)
4−ブトキシアニリン:8.26g、50mmo1
Pd(dba):1.007g、1.1mmol
P(t−Bu):0.89g(10%ヘキサン溶液中8.9g)、4.4mmol
tBuONa:14.8g、154mmol
還流冷却器を備えた三つ口フラスコに、1−ブロモナフタレン、4−ブトキシアニリン、Pd(dba)、P(t−Bu)、t−BuONa及びトルエン(150m1)を加え、80℃で4−ブトキシアニリンが消えたことがHPLC分析によって示されるまで攪拌する。反応完了後、反応混合物を6インチの中性アルミナを充填したカラムに通し、2Lのトルエン溶離液を捕集する。溶媒を、ロータリーエバポレーターで除去する。残留物を250mlのジエチルエーテルで抽出し、有機層を200mlのブラインで3回洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。粗生成物をイソプロパノールから再結晶する。最終生成物は、HPLCで測定して純度98.5%のオフホワイトの粉末で、収率は54%である。
【0048】
4−ブロモ−N−(4−ブロモ−1−ナフタレニル)−N−(4−ブトキシフェニル)−1−ナフタレンアミンモノマーの合成:
【化15】


100mlの塩化メチレンに溶解した3.6g(8.62mmoI)のDNOAに、(洗浄のために5mlプラスした)約20mlのDMF中に溶解した3.05g(17.15mmol)のN−ブロモスクシンイミド(NBS)を、(氷浴中で冷却して)0℃で加える。NBS溶液を加えることで、反応混合物は無色から褐色に変化する。NBSを加えた後、反応混合物をこの温度で2.5時間攪拌する。反応混合物を500mlの分液漏斗に移し、300mlの蒸留水で3回洗浄する。全ての水層を一緒にして、250mlのCHClで洗浄する。一緒にした有機層をMgSOで乾燥する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、暗褐色のオイルを得る。この粗生成物を200mlのイソプロピルアルコールから再結晶し、2.2gのオフホワイトの粉末状生成物を得る。収率は44%である。純度はHPLCで測定して98.3%である。
【0049】
ポリマー1:
4−ブロモ−N−(4−ブロモ−1−ナフタレニル)−N−(4−ブチルフェニル)−1−ナフタレンアミンの、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン及び2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−エチルオキシエチルオキシフェニル)フルオレンとの共重合
攪拌棒、ガラス栓及び及び還流冷却器を備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチリルフルオレン(2.5024g、4.7088mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−エトキシエトキシフェニル)フルオレン(2.2843g、3.4967mmol)、4,4’−ジブロモ−1,1’−ジナフチル(4−ブチル)フェニルアミン(0.6447g、1.1655mmol)、相間移動剤、Aliquot(アリコット)336(0.69g)、及び35mLのトルエンを加える。固形物を65℃においてトルエン中に溶解させる。次いで10mlの2MのNaCO溶液を反応溶液に加える。反応混合物を窒素下で5分間攪拌し、次いで3.1mgのトランス−ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.2mg、0.0045mmol)を、5mlのトルエンと共に加える。混合物の全容積は50mlである。反応フラスコを、105℃まで加熱する。全システムを、還流冷却器を通して窒素ラインに接続し、反応の間溶液上に動的な窒素ブランケットが維持されるようにする。1.5時間中に、全ての固形物を溶液に戻し、攪拌速度を上げる。3時間中に、ポリマー溶液は非常に粘性となり、90mlのトルエンと一緒に0.5gのフェニルボロン酸及び15m1のTHFでキャップする。反応を、16.5時間継続する。次いで、40mlの水に溶解した5gのDDCを上記反応フラスコに加えて、温度を84℃に低下させる。反応を4時間進行させる。
【0050】
反応混合物を油浴から取り除き、ポリマー溶液を1Lの分液漏斗に移す。水層をポリマー溶液(16mL)から分離する。次いでポリマー溶液を250mLの4%酢酸溶液で、4回洗浄する。ポリマー溶液をさらに100mlの10%酢酸溶液で2回、200mLの水で3回洗浄する。シリカ(3インチ)及びアルミナ(3インチ)のカラムを調製する。ポリマー溶液をカラムに流す前に1Lのトルエンをカラムに通す。1500mlのトルエン溶離液が捕集される。ポリマー溶液をロータリーエバポレーターで約400mlに濃縮し、2.5Lのメタノールへ沈殿させる。次いでポリマー繊維を約350mLのCMOSトルエン中に溶解し、2.5LのCMOSメタノールへ2度目の沈殿をさせる。ポリマー繊維をろ過により捕集し、真空オーブン中、60℃で一夜乾燥させる。2.1gのポリマーが捕集される。GPC分析は、Mpが202,457g/mole、Mnが158,324g/mole、Mw=403,410g/mole、多分散性指標(PDI)が2.55であることを示している。
【0051】
ポリマー2:
重合に使用したモノマー及び試薬は、以下に記載する通りである。2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(2.4866g、4.6870mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−エトキシエトキシフェニル)フルオレン(2.2766g、3.4804mmol)、4−ブロモ−N−(4−ブロモ−1−ナフタレニル)−N−(4−ブトキシフェニル)−1−ナフタレンアミン(0.6736g、1.1601mmol)、相間移動剤、Aliquot(アリコット)336(0.7g)、トランス−ジクロロ−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.3mg、0.0045mmol)、10mlの2MのNaCO溶液及び50mLのトルエン。手順は、ポリマー1に使用したのと同じである。2.5gのポリマー2が得られる。GPC分析結果は、Mp=150,050、Mn=68,894;Mw=584,663,PDI=8.5である。
【0052】
ポリマー3:
重合に使用したモノマー及び試薬は、以下に記載する通りである。2,7−ビス(1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン(2.5003g、4.7072mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(4−エトキシエトキシフェニル)フルオレン(2.2549g、3.4488mmol)、4−ブロモ−N−(4−ブロモ−1−ナフタレニル)−N−(4−ブトキシフェニル)−1−ナフタレンアミン(0.6590g、1.1651mmol)、N,N’−ビス(4−ブチルベンゼン)−N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(0.0323g、0.0466mmol)、相間移動剤、Aliquot(アリコット)336(0.7g)、トランス−ジクロロビス−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(3.2mg、0.0045mmol)、10mlの2MのNaCO溶液及び50mLのトルエン。手順は、ポリマー1に使用したのと同じである。2.0gのポリマー3が得られる。GPC分析結果は、Mp=276,259、Mn=176,537;Mw=379,016,PDI=2.1である。
【0053】
ポリマー1を使用するポリマー発光ダイオード(PLED):
ポリマー1(60mg)を、6mLのキシレン中に溶解する。溶液を70℃に加熱し、最低60分間振動させ、0.22マイクロリットルのシリンジフィルターを通して温ろ過する。清浄化したITO(インジウムスズ酸化物)被覆ガラス基材上に、ポリエチレンジオキシチオペン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)1:16の80nmのフィルムを析出させ、ホットプレート上、空気中で200℃において15分間焼成する。PEDOT:PSSフィルムの上に、F8−TFB(9,9−ジオクチルフルオレン及びN−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミンのコポリマー)中間層溶液を0.5重量/体積%から4500RPMでスピンコーティングし、N下オーブン中で180℃において20分間焼成し、厚さ5〜10nmを得る。F8TFB中間層の上に、ポリマー1の80nmフィルムを1.0重量/体積%キシレン溶液からスピンコーティングし、130℃において窒素下オーブン中で1時間焼成する。次いで、陰極金属(Ba(5nm)/Al(150nm))をポリマーフィルム上に真空で析出させる。デバイスは、dc電圧駆動下、青色光(CIE座標:x=0.16、y=0.22)を発光し、10ボルトで最大輝度4235cd/mであり1000cd/mにおける平均光効率は2.13cd/Aである。
【0054】
ポリマー2を使用するPLED:
デバイスの製作は、ポリマー1を使用してPLEDを作製するそれと同様である。デバイスは、dc電圧駆動下、青色光(CIE座標:x=0.15、y=0.21)を発光し、10ボルトで最大輝度8357cd/mであり、1000cd/mにおける平均光効率は3.52cd/Aである。
【0055】
ポリマー3を使用するPLED:
デバイスの製作は、ポリマー1を使用してPLEDを作製するそれと同様である。デバイスは、dc電圧駆動下、青色光(CIE座標:x=0.16、y=0.27)を発光し、10ボルトで最大輝度15083cd/mであり、1000cd/mにおける平均光効率は6.67cd/Aである。
【0056】
結論
本発明を好ましい態様をもって説明したが、本発明は、本開示の精神及び適用範囲内で更なる変更が可能である。したがって本出願は、本明細書で開示した一般的原則を使用する本発明のいかなる改変、使用、又は改作も包含することを意図している。さらに本出願は、当分野において知られている又は通常の慣行内に入る本開示から逸脱するものを包含するものであり、これは添付の請求の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造単位を有する共役又は部分的共役ポリマーを含む組成物
【化1】


[式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、縮合した2個以上の芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arは、置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基である]。
【請求項2】
Ar及びArが、置換又は非置換のナフタレンジイル、アントラセンジイル又はフルオレンジイルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Ar及びArが、式IIを有するフルオレンを含む、請求項2に記載の組成物
【化2】


[式中、QがR又はArであり、ArはCからC40のアリール若しくはヘテロアリ−ル基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリ−ル基であり;Rは独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは、独立に、出現するごとに、C1〜40の炭化水素、S、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC3〜40のヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基であり;nは独立に、出現するごとに、0〜3である]。
【請求項4】
Arが、置換又は非置換のCからC40のアリール又はヘテロアリール基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Arが、式IIIを有するアリール又はヘテロアリール基である、請求項4に記載の組成物
【化3】


[式中、RはC1〜40炭化水素、S、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC3〜40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基である]。
【請求項6】
式IVの構造単位を有する共役又は部分的共役ポリマーを含む組成物
【化4】


[式中、Ar及びArは、それぞれ独立に、縮合した2個以上の芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、;Arは、CからC40の置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であり;Yは共役ポリマーのモノマーの単位残基であり、このポリマーは非共役ポリマーのモノマーを含んでもよい]。
【請求項7】
Ar及びArが、置換又は非置換のナフタレンジイル、アントラセンジイル又はフルオレンジイルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
式IVのY部分が、独立に、出現するごとに、以下の式又は式の組合せの共役単位の群から選択される、請求項6に記載の組成物
【化5−1】


【化5−2】


【化5−3】


【化5−4】


【化5−5】


[式中、共役単位は1つ又は複数の置換基を有してもよく、かかる置換基は、独立に、出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルボキシルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルボキシカルボニルオキシ、シアノ、又はフルオロ基であり;
は、O又はSであり;
QはR又はArであり;
は、独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル或いは1個又は複数のS、N、O、P、又はSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、
nは、独立に、出現するごとに、0〜3であり、
Arは、CからC40のアリール若しくはヘテロアリール基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基であり;Rは、独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個又は複数のS、N、O、P又はSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは、独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく、Rは、独立に、出現するごとに、C1〜20ヒドロカルビル、C1〜20ヒドロカルビルオキシ、C1〜20チオエーテル、C1〜20ヒドロカルビルオキシカルボニル、C1〜20ヒドロカルビルカルボニルオキシ、シアノ又はフルオロ基である]。
【請求項9】
非共役ポリマーの前記モノマーが、ポリカーボネートモノマー、ポリスチレンモノマー、ポリエステルモノマー、ポリアクリレートモノマー又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
非共役ポリマーの前記モノマーが、ポリカーボネートモノマー、ポリスチレンモノマー、ポリエステルモノマー、ポリアクリレートモノマー又はこれらの混合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
溶媒をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を含むフィルム。
【請求項13】
少なくとも1種の追加の共役ポリマーとブレンドした、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
深青色のスペクトル範囲の光を発光する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
印加された電圧下で、有機フィルムが、デバイスの透明な外部を通って透過する青色光を発光するように、陽極材料と陰極材料との間に配置されている、請求項1に記載の組成物を含む少なくとも1種の有機フィルムを含むエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項16】
(a)電気絶縁体であり、第1側面及び第2側面を有している絶縁体層と、
(b)電導体であり、前記絶縁体層の第1側面に隣接して位置するゲートと、
(c)請求項1に記載の組成物及び第2電極を含む半導体層と、
(d)電導体であり、前記半導体層の第1端部と電気接触しているソースと、
(e)電導体であり、前記半導体層の第2端部と電気接触しているドレインと
を含む電界効果トランジスター。
【請求項17】
第1電極、請求項1に記載のポリマーを含むフィルム及び第2電極を含む光電池。
【請求項18】
式Vの組成物
【化6】


[式中、Ar及びArはアリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Arはアリール又はヘテロアリール基であり、Xは脱離基である]。
【請求項19】
Xが、ハロゲン、ボロン酸又はボロン酸エステルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
Xが臭素である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
Ar及びArが、それぞれ独立に、2個以上の縮合した芳香環を有する置換又は非置換のアリーレン又はヘテロアリーレン基である、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
Ar及びArが、置換又は非置換のナフタレンジイル、アントラセンジイル又はフルオレンジイルである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
Ar及びArが、式IIを有するフルオレンを含む、請求項22に記載の組成物
【化7】


[式中、QがR又はArであり、ArはCからC40のアリール若しくはヘテロアリ−ル基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリ−ル基であり;Rは独立に、出現するごとに、H、C1〜40ヒドロカルビル又は1個若しくは複数のS、N、O、P若しくはSi原子を含有するC3〜40ヒドロカルビルであり、或いはRの両方がフルオレン上の9−炭素と一緒になって1個又は複数のS、N、Si、P又はO原子を含んでもよいC5〜20環構造を形成してもよく;Rは、独立に、出現するごとに、C〜C40炭化水素、S、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC〜C40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基であり;nは独立に、出現するごとに、0〜3である]。
【請求項24】
ArがCからC40のアリール若しくはヘテロアリール基又はCからC40の置換アリール若しくはヘテロアリール基である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
Arが、式IIIを有するアリール又はヘテロアリール基である、請求項24に記載の組成物
【化8】


[式中、RはC1〜40炭化水素、S、N、O、P又はSiの1個又は複数のヘテロ原子を含有するC3〜40ヒドロカルビル、或いは置換又は非置換のアリール基又はヘテロアリール基である]。

【公表番号】特表2008−522010(P2008−522010A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544447(P2007−544447)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043222
【国際公開番号】WO2006/060435
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】