説明

トロンビン受容体アンタゴニストとして有用なトロンビン受容体アンタゴニスト

次式の単環式および二環式ヒンバシン誘導体または上記化合物の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(式中、破線は、任意選択の二重結合を表し、G、J、R、R、R、R10、R11、R32、R33、BおよびHetは、本明細書で定義される)、ならびにそれらを含有する医薬組成物、および上記化合物の投与による、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、および癌に関連する疾患の治療方法が開示される。他の薬剤との併用療法も特許請求されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、ヒンバシン誘導体に関し、このヒンバシン誘導体は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、脳虚血、卒中、神経変性疾患および癌に関連する疾患の治療においてトロンビン受容体アンタゴニストとして有用であり得る。トロンビン受容体アンタゴニストは、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR−1)アンタゴニストとしても知られている。本発明の化合物は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性障害、ならびに可逆性気道閉塞、慢性ぜんそくおよび気管支炎などの気道障害の治療のためのカンナビノイド(CB)受容体阻害剤としても有用であり得る。本発明は、上記化合物を含む医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
トロンビンは、様々な細胞型において多様な作用を有することが知られている。トロンビン受容体は、ヒトの血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞および線維芽細胞などの細胞型に存在することが知られている。したがって、トロンビン受容体アンタゴニストは、血栓性障害、炎症性障害、アテローム性動脈硬化症障害および線維増殖性障害、ならびにトロンビンおよびその受容体が病理学的役割を果たすその他の障害の治療において有用となることが予想される。
【0003】
トロンビン受容体アンタゴニストペプチドは、トロンビン受容体におけるアミノ酸の置換を含む構造−活性研究に基づいて同定されている。非特許文献1において、テトラおよびペンタペプチド、例えば、N−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−NHおよびN−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−Arg−NHは、強力なトロンビン受容体アンタゴニストであるとして開示されている。ペプチドトロンビン受容体アンタゴニストは、1994年2月17日に公開された特許文献1にも開示されている。
【0004】
カンナビノイド受容体は、G−タンパク質共役受容体のスーパーファミリーに属する。それらは、主に神経細胞性のCB受容体および主に末梢神経性のCB受容体に分類される。これらの受容体は、アデニル酸シクラーゼおよびCa+2およびK電流を調節することによってその生物学的作用を発揮する。CB受容体の作用は、主に中枢神経系と関連しているが、CB受容体は、気管支狭窄、免疫調節および炎症に関係する末梢効果を有すると考えられる。そのようなものとして、選択的CB受容体結合因子は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性障害、ならびに可逆性気道閉塞、慢性ぜんそくおよび気管支炎などの気道障害に関連する疾患の制御において治療的有用性を有することが予想される(非特許文献2;非特許文献3)。
【0005】

【0006】
【化9】

のピペリジンアルカロイドであるヒンバシンは、ムスカリン性受容体アンタゴニストとして同定されている。(+)−ヒンバシンの全合成は、非特許文献4に開示されている。
【0007】
置換三環式トロンビン受容体アンタゴニストは、特許文献2、特許文献3および米国特許出願第09/880222号(特許文献4)および10/271715に開示されている。
【特許文献1】国際公開第94/03479号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献3】米国特許第6,326,380号明細書
【特許文献4】国際公開第01/96330号パンフレット
【非特許文献1】Bernatowiczら、J.Med.Chem.、39巻(1996年)、4879〜4887頁
【非特許文献2】R.G.Pertwee、Curr.Med. Chem.6(8)、(1999年)、635頁
【非特許文献3】M.Bensaid、Molecular Pharmacology、63(4)、(2003年)、908頁
【非特許文献4】Chackalamannilら、J.Am.Chem.Soc.、118巻(1996年)、9812〜9813頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、式I:
【0009】
【化10−1】

によって表される化合物、または上記化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルに関し、式中、
【0010】
【化10−2】

は、価数要件により許容される二重結合または単結合を表し;但し、R10が結合している炭素が二重結合の一部である場合にR10は存在せず;
Bは、
【0011】
【化11】

であり、ここで、nは、0〜5であり、nおよびnは、独立に0〜2であり、R12およびR12aは、水素、アルキルおよびハロゲンからなる群から独立に選択され;
GおよびJは、−N(R54)−、−(CR)−、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−および−S(O)−からなる群から独立に選択され;但し、GおよびJの選択は、隣接した酸素または硫黄原子を生じず、少なくとも1個の炭素原子が、上記酸素、窒素または硫黄原子の間に出現し;
各nは、0、1または2であり、但し、変数nの合計は、1、2または3であり;
Hetは、1から13個の炭素原子、ならびにN、OおよびSからなる群から独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含む、5から14個の原子の単環式、二環式または三環式芳香族複素環基であり、但し、芳香族複素環基中に存在する隣接した酸素または硫黄原子はなく、ここで、環窒素は、アルキル基とN酸化物または第四級基を形成することができ、ここで、Hetは、炭素原子環員を介してBに結合しており、ここで、Het基は、1から4部分、Wによって置換されており、ここで、それぞれのWは、水素;アルキル;フルオロアルキル;ジフルオロアルキル;トリフルオロアルキル;シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アルキルまたはアルケニルで置換されたヘテロシクロアルキル;アルケニル;R21−アリールアルキル;R21−アリール−アルケニル;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル;ヘテロアリールアルケニル;ヒドロキシアルキル;ジヒドロキシアルキル;アミノアルキル;アルキルアミノアルキル;ジ−(アルキル)−アミノアルキル;チオアルキル;アルコキシ;アルケニルオキシ;ハロゲン;−NR;−CN;−OH;−C(O)OR17;−COR16;−OS(O)CF;−CHOCHCF;アルキルチオ;−C(O)NR;−OCHR−フェニル;フェノキシアルキル;−NHCOR16;−NHC(O)OR16;−NHSO16;ビフェニル;−OC(RCOOR;−OC(RC(O)NR;アルキル、アミノまたは−NHC(O)OR17で置換されたアルコキシ;R21−アリール;R21−ヘテロアリール;−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)R、−NRS(ONR、−C(O)OR、−CONR、ヘテロアリール、ヒドロキシアルキルまたは−S(O)−アルキルで場合により置換されたアルキル;または−C(O)NRからなる群から独立に選択され;ここで、Het環上の隣接した炭素は、メチレンジオキシ基と環を場合によって形成することができ;
およびRは、水素、アルキル、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アリールおよびチオアルキルからなる群から独立に選択され;あるいは
およびRは、窒素に結合している場合に、一緒になって、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−CO−から選択される1〜3個のヘテロ原子と、4〜10個の原子の単環式または二環式複素環を形成し、但し、SおよびO環原子は、互いに隣接しておらず、ここで、上記複素環は、置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアリールアルコキシから選択される1個または複数の基で置換されており;
は、R、フルオロアルコキシ、ジフルオロアルコキシ、トリフルオロアルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルコキシ、アリールアルコキシ、アリールアルケニルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールアルケニルオキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、アリールオキシまたはチオアルコキシであり;
は、R34−アルキル、R34−アルケニル、R34−アルキニル、R40−ヘテロシクロアルキル、R38−アリール、R38−アラルキル、R42−シクロアルキル、R42−シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)OR44、−NR43C(O)NR4445、−NHS(O)43、−OC(O)NR4344、R37−アルコキシ、R37−アルケニルオキシ、R37−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロ−アルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16または−CH(=NOR17)であり;
またはRおよびRは一緒になって、=NOR17であり;
は、水素、アルキルまたはフェニルであり;
は、水素またはアルキルであり;
それぞれのR13は、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONR、および−(CHn6C(O)NR2829から独立に選択され、ここで、nは、0〜4であり;
それぞれのR14は、水素、アルキル、−OH、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONR、および−(CHn6C(O)NR2829からなる群から独立に選択され、ここで、nは、0〜4であり;ここで、RおよびRは、水素、アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択されるか、RおよびRは一緒になって、それらが結合している窒素と共に環を形成することができ、ここで、RおよびRにより形成された上記環は、=O、OH、ORまたは−C(O)OHで場合によって置換されており;あるいは
13およびR14は一緒になって、3〜6個の環原子のスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し、ここで、上記ヘテロスピロ環は、2から5個の炭素環原子およびO、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ環原子を含有し;
16は、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立に選択され;
16aは、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立に選択され;
16bは、水素、アルコキシ、アルキル、アルコキシアルキル−、R22−O−C(O)−アルキル−、シクロアルキル、R21−アリール、R21−アリールアルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロ置換されたアルケニル、アルキニル、ハロ置換されたアルキニル、R21−ヘテロアリール、(R21−ヘテロアリール)−アルキル−、(R21−ヘテロシクロアルキル)−アルキル−、R2829N−アルキル、R2829N−C(O)−アルキル−、R2829N−C(O)O−アルキル−、R28OC(O)N(R29)−アルキル−、R28S(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−C(O)−N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)N(R29)−アルキル−、R28−C(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)−アルキル−、HOS(O)−アルキル−、(OH)P(O)−アルキル−、R28−S−アルキル−、R28−S(O)−アルキル−またはヒドロキシアルキルであり;
17は、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立に選択され;
18およびR19は、水素、アルキル、アリール、R21−アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、(ヘテロシクリル)アルキルオキシアルキル、アルコキシアルキルオキシアルキル、−S(O)−アルキル−、−C(NH)NR、またはシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択される1または2個の部分で置換されたアルキルであり;あるいは
18およびR19は、それらが結合している窒素と一緒になって、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−C(O)−から選択される1〜3個のヘテロ環原子を有する4から10個の原子の単環式または二環式複素環を形成し、但し、SおよびO原子は、互いに隣接せず、この環は、置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRCOR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OR、−CONR、および−NR、−NRCOR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)ORまたは−CONRで置換されたアルキルから選択される1個または複数の基で置換されており;
21は、1から3個の部分であり、それぞれのR21は、水素、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、アルキル、−OH、アルコキシ、アルキルアミノ−、ジ−(アルキル)アミノ−、−NR2526アルキル−、ヒドロキシアルキル−、−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−C(NH)−NH、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R16、−S(O)16、−SR16;−SONRおよび−CONRからなる群から独立に選択され;または2個の隣接したR21部分は、メチレンジオキシ基を形成することができ;
22は、水素、アルキル、フェニル、ベンジル、−COR16、−CONR1819、−COR23、−S(O)R31、−S(O)31、−S(O)NR2425または−C(O)OR27であり;
23は、
【0012】
【化12】

であり、ここで、R35およびR36は、水素、アルキル、およびR37で置換されたアルキルからなる群から独立に選択され、ここで、R37は、HO−、HS−、CHS−、−NH、フェニル、p−ヒドロキシフェニルおよびインドリルからなる群から選択され;またはR23は、アルキル;ハロアルキル;アルケニル;ハロアルケニル;アルキニル;シクロアルキル;シクロアルキルアルキル;アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から選択される1から3個の置換基で置換されたシクロアルキル;アリール;アラルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)R、−NRS(O)NR、−C(O)OR、−CONRおよび−SOHで置換されたアルキルであり;
24、R25およびR26は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から独立に選択され;
27は、1から3個の部分であり、それぞれのR27は、水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、R27は、−OH、−C(O)OH、ハロゲンおよびアルコキシで場合によって置換されており;
28およびR29は、水素、アルキル、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、およびハロアルキルからなる群から独立に選択され;あるいは
28およびR29は一緒になって、3〜6個の環原子を有するスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し;
32およびR33は、水素、R34−アルキル、R34−アルケニル、R34−アルキニル、R40−ヘテロシクロアルキル、R38−アリール、R38−アラルキル、R42−シクロアルキル、R42−シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)OR44、−NR43C(O)NR4445、−NHS(O)43、−OC(O)NR4344、R37−アルコキシ、R37−アルケニルオキシ、R37−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロ−アルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から独立に選択され;
またはR32およびR33は結合して下記の環構造Qを形成し、
【0013】
【化13】

ここで、
は、水素、OH、アルコキシ、ハロゲンまたはハロアルキルであり;
Qは、O、S、S(O)、S(O)およびNR22から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する、4〜8個の原子の、縮合したRで置換されたアリール、Rで置換されたヘテロアリール、Rで置換された複素環であり、但し、SおよびOは、互いに隣接することはできず、あるいは
Qは
【0014】
【化14】

であり;
10およびR11は、R、フルオロアルコキシ、ジフルオロアルコキシ、トリフルオロアルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アリールアルコキシ、アリールアルケニルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールアルケニルオキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、アリールオキシおよびチオアルコキシからなる群から独立に選択され、但し、環Qが芳香族であり、R10およびR11を有する炭素原子が二重結合で結合されている場合、R10およびR11は存在せず;
Rは、1から5個の部分であり、それぞれのRは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、−COR16、−C(O)OR17、−C(O)NR、−SOR16、−S(O)R16、−NR16COR16a、−NR16C(O)OR16a、−NR16CONR、−NR16S(O)NR、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリールおよびチオアルキルからなる群から独立に選択され;
34は、1から3個の部分であり、それぞれのR34は、水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、R47−アリール、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、ヘテロシクロアルキル、R39−シクロアルキル、R39−シクロアルケニル、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHSO43、−OC(O)NR4344、R39−アルケニルオキシ、R39−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロアルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から独立に選択され;
38は、1から3個の部分であり、それぞれのR38は、水素、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−C(O)OR48、−CN、−C(O)NR4950、−NR51C(O)R52、−OR48、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキルアルキル、ハロアルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、およびR52−ヘテロアリールからなる群から独立に選択され;または隣接した環炭素上の2個のR38基は、縮合メチレンジオキシ基を形成し;
39は、1から3個の部分であり、それぞれのR39は、水素、ハロゲンおよびアルコキシからなる群から独立に選択され;
40は、1から3個の部分であり、それぞれのR40は、水素、R41−アルキル、R41−アルケニルおよびR41−アルキニルからなる群から独立に選択され;
41は、水素、−OHまたはアルコキシであり;
42は、1から3個の部分であり、それぞれのR42は、水素、アルキル、−OH、アルコキシおよびハロゲンからなる群から独立に選択され;
43、R44およびR45は、水素、アルキル、アルコキシアルキル、R38−アリールアルキル、R46−シクロアルキル、R53−シクロアルキルアルキル、R38−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から独立に選択され;
46は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアルコキシであり;
47は、1から3個の部分であり、それぞれのR47は、水素、アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、アルコキシ、トリハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジ(アルキル)アミノ、−OCF、ヒドロキシアルキル、−CHO、−C(O)アルキルアミノ、−C(O)ジ(アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)アルキルおよび−N(アルキル)C(O)アルキルからなる群から独立に選択され;
48は、水素、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリフルオロアルキルであり;
49およびR50は、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択され、あるいはR49およびR50は一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−であり、それらが結合している窒素と共に環を形成し;
51およびR52は、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択され、または基−NR39C(O)R40におけるR51およびR52は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜8個の環員を有する環状ラクタムを形成し;
53は、水素、アルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、アルキル、ハロゲン、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、チオアルキル、アルコキシアルキルまたはアルキルアミノアルキルであり;
54は、水素;アルキル;フルオロアルキル;ジフルオロアルキル;トリフルオロアルキル;シクロアルキル;アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から選択される1から3個の置換基で置換されたシクロアルキル;アルケニル;アルコキシ;アリールアルキル;アリールアルケニル;ヘテロアリールアルキル;ヘテロアリールアルケニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ヒドロキシアルキル;アルコキシアルキル;アミノアルキル;アリール;ヘテロアリール;尿素、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸、カルボン酸エステルおよびスルホニル尿素からなる群から選択される1から3個の置換基で置換されたチオアルキルおよびアルキルからなる群から選択される。
【0015】
少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供される。
【0016】
本発明の化合物は、PAR−1アンタゴニストとしても知られるトロンビン受容体アンタゴニストとして、またはカンナビノイド(CB)受容体アンタゴニストとして有用であり得る。本発明のトロンビン受容体アンタゴニスト化合物は、抗血栓症活性、血小板凝集阻害活性、抗アテローム性動脈硬化活性、抗再狭窄活性、抗凝固活性、および/または抗炎症活性を有し得る。本発明のCB受容体阻害剤化合物は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗しょう症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および胃腸管の炎症性障害、ならびに可逆性気道閉塞、慢性ぜんそくおよび気管支炎などの気道障害の治療用に有用であり得る。
【0017】
本発明の化合物は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生に関係する障害、不整脈、心臓血管または循環器疾患または状態、心不全、急性冠症候群(ACS)、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、脳梗塞、片頭痛、勃起障害、関節リウマチ、リウマチ、アストログリオーシス(astrogliosis)、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管のホメオスタシス、腎虚血、膀胱炎、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、ニューロパシー、悪性腫瘍、神経変性および/もしくは神経毒性疾患、状態もしくは損傷、アルツハイマー病、炎症性疾患もしくは状態、ぜんそく、緑内障、黄斑変性、乾癬、肝臓、腎臓もしくは肺の内皮性機能不全障害、肺および胃腸管の炎症性障害、気道疾患もしくは状態、放射線線維症、内皮性機能不全、歯周疾患もしくは創傷、または脊髄損傷、あるいはそれらの症状または結果、ならびにトロンビンおよびその受容体が病理学的役割を果たすその他の障害の治療用に有用であり得る。
【0018】
特に、本発明の化合物は、急性冠症候群、心筋梗塞または血栓性脳卒中を治療するのに使用される。
【0019】
本発明の化合物は、心肺バイパス手術(CPB)に関連した状態を治療または予防する方法にも使用することができ、この方法は、上記手術の対象に治療有効量の少なくとも1種のトロンビン受容体アンタゴニストを投与することを含む。CPB手術には、冠動脈バイパス手術(CABG)、心臓弁修復および置換手術、心膜および大動脈修復手術が含まれる。特に、本発明は、CABG手術に関連する状態の治療または予防の方法に関し、この方法は、上記手術の対象に治療有効量の少なくとも1種のトロンビン受容体アンタゴニストを投与することを含む。CABGに関連する状態は、出血;血栓症、再狭窄などの血栓性血管事象;静脈移植失敗;動脈移植失敗;アテローム性動脈硬化症、狭心症;心筋虚血;急性冠症候群、心筋梗塞;心不全;不整脈;高血圧;一過性脳虚血発作;大脳機能障害;血栓塞栓発作;脳虚血;脳梗塞;静脈血栓症;深部静脈血栓症;および末梢血管疾患からなる群から選択される。
【0020】
別の実施形態においては、本発明の化合物は、患者の悪性でない組織において放射線および/または薬品により誘発される毒性を治療および/または予防するための方法において有用であり得、この方法は、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む。特に、放射線および/または薬品により誘発される毒性は、1種または複数の腸線維症、肺炎、および粘膜炎である。好ましい一実施形態においては、放射線および/または薬品により誘発される毒性は、腸線維症である。別の好ましい実施形態においては、放射線および/または薬品により誘発される毒性は、口腔粘膜炎である。さらに別の実施形態においては、放射線および/または薬品により誘発される毒性は、腸粘膜炎、腸内線維症、腸の放射線症候群、または腸の放射線照射の病態生理学的兆候である。
【0021】
本発明は、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、放射線および/または薬品毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における構造的な放射線傷害を減少させる方法も提供する。本発明は、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、放射線および/または薬品毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における炎症を軽減させる方法も提供する。本発明は、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、放射線および/または薬品毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における有害な組織再構築の方法も提供する。本発明は、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、放射線および/または薬品毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における線維増殖性組織の効果を軽減させる方法も提供する。
【0022】
本発明は、治療有効量の式Iの化合物を投与することを含む、細胞増殖障害を患う患者における細胞増殖障害の治療に有用な方法をさらに提供する。一実施形態においては、細胞増殖障害は、膵癌、神経膠腫、卵巣癌、結腸直腸および/または結腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、メラノーマ、または胃癌である。一実施形態においては、神経膠腫は、未分化星状細胞腫である。別の実施形態においては、神経膠腫は、多形性膠芽腫である。
【0023】
上記に使用された炎症性疾患もしくは状態という用語には、過敏性腸症候群、クローン病、腎炎、または胃腸管、肺、膀胱、胃腸管またはその他の器官の放射線または化学療法により誘発される増殖性または炎症性障害が含まれる。気道疾患もしくは状態という用語には、可逆性気道閉塞、ぜんそく、慢性ぜんそく、気管支炎または慢性気道疾患が含まれる。「癌」には、腎細胞癌または血管新生に関連する障害が含まれる。「神経変性疾患」には、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病またはウィルソン病が含まれる。
【0024】
本発明の特定の実施形態は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生に関係する障害、不整脈、心臓血管または循環器疾患または状態、心不全、急性冠症候群(ACS)、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、脳梗塞、片頭痛、勃起障害、関節リウマチ、リウマチ、アストログリオーシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管のホメオスタシス、腎虚血、膀胱炎、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、ニューロパシー、悪性腫瘍、神経変性および/もしくは神経毒性疾患、状態もしくは損傷、アルツハイマー病、炎症性疾患もしくは状態、ぜんそく、緑内障、黄斑変性、乾癬、肝臓、腎臓もしくは肺の内皮性機能不全障害、肺および胃腸管の炎症性障害、気道疾患もしくは状態、放射線線維症、内皮性機能不全、歯周疾患もしくは創傷、または脊髄損傷、あるいはそれらの症状または結果の治療用に、1種または複数のさらなる薬剤と組み合わせて、治療有効量の少なくとも1種の式Iの化合物を使用する方法にも関する。本発明の組合せは、複数の列挙された疾患の治療において有用であり得ることは考えられる。
【0025】
悪性ではない組織において放射線および/または薬品により誘発される毒性の治療および/または予防のために、本発明は、このような治療を必要とする患者に、1種または複数の式Iの化合物およびKepivance(商標)(パリフェルミン)、L−グルタミン、テヅグルチド、スクラルファート口内洗浄剤、イセガナン、ラクトフェリン、メスナおよびトレフォイル因子からなる群から選択される1種または複数の放射線反応修飾物質の組合せの有効量を投与することを含む。
【0026】
細胞増殖障害の治療のために、本発明は、このような治療を必要とする患者に、1種または複数の式Iの化合物および別の抗腫瘍剤の組合せの有効量を投与することを含む。一実施形態においては、他の抗腫瘍剤は、テモゾロマイドであり、細胞増殖障害は、神経膠腫である。別の実施形態においては、他の抗腫瘍剤は、インターフェロンであり、細胞増殖障害は、メラノーマである。一実施形態においては、他の抗腫瘍剤は、PEG−イントロン(ペグインターフェロンアルファ−2b)であり、細胞増殖障害は、メラノーマである。
【0027】
薬学的に許容される担体中に、少なくとも1種の式Iの化合物および少なくとも1種のさらなる心血管作動薬の組合せの治療有効量を含む医薬組成物も提供される。
【0028】
薬学的に許容される担体中に、少なくとも1種の式Iの化合物および放射線反応修飾物質の組合せの治療有効量を含む医薬組成物も提供される。
【0029】
薬学的に許容される担体中に、少なくとも1種の式Iの化合物および抗腫瘍剤の組合せの治療有効量を含む医薬組成物も提供される。
【0030】
本発明の組合せは、単一のパッケージ中に、医薬組成物の少なくとも1種の式Iの化合物、および心血管作動薬を含む少なくとも1種の別の医薬組成物を含むキットとして提供し得ることがさらに考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(詳細な説明)
一実施形態においては、本発明は、構造式Iにより表される化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩(ここで、様々な部分は、上記に記載されたとおりである)を提供する。
【0032】
式Iの化合物について、式Iの化合物の好ましい実施形態は、次のとおりである。
【0033】
が、OHまたはヒドロキシアルキルであり、Rが、Hである、式Iの化合物の実施形態、特にRが、OHまたはメトキシである、式Iの化合物の実施形態。別の実施形態においては、RおよびRが一緒になって、=NOHまたは=NO−アルキル、特に=NOHまたは=NO−エチルである。
【0034】
32およびR33が結合して、環構造Qを形成する、式Iの化合物の実施形態。
【0035】
Qが、
【0036】
【化15】

である、式Iの化合物の実施形態。
【0037】
32が、アルキル、好ましくはメチルであり、R33が、アルキル、好ましくはメチルである、式Iの化合物の実施形態。
【0038】
Bが、−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−であり、ここで、nおよびnが0である、式Iの化合物の実施形態。
【0039】
Hetが、Wで置換されたピリジルである、式Iの化合物の実施形態。
【0040】
Wが、アリール、ヘテロアリールまたはハロゲンもしくは−CNで置換されたアリールである、式Iの化合物の実施形態。より好ましくは、Wが、ハロゲンまたはシアノで置換されたフェニルである。
【0041】
が、−(CR)−であり、ここで、Rが、Hであり、Rが、Hまたはアルキルである、式Iの化合物のさらなる実施形態、特にGが、−CH−または−C(CHCH)−である、式Iの化合物のさらなる実施形態。
【0042】
が、−CH−である、式Iの化合物のさらなる実施形態。
【0043】
、R10およびR11が、Hである、式Iの化合物のさらなる実施形態。
【0044】
が、OHまたはヒドロキシアルキルであり、Rが、Hであるか、RおよびRが一緒になって、=NOHまたは=NO−アルキルであり;
Qが、
【0045】
【化16】

であり;
Hetが、Wで置換されたピリジルであり;
Wが、ハロゲンまたはシアノで置換されたフェニルであり;
Bが、−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−(ここで、nおよびnが0である)であり;
が、−CH−であり;
Gが、−CH−であり;
、R10およびR11が、Hである、式Iの化合物のさらなる実施形態。
【0046】
上記、および本開示を通して使用される次の用語は、特に指示がない限り、次の意味を有すると理解されたい。
【0047】
「患者」には、ヒトおよび動物の両方が含まれる。
【0048】
「対象」には、哺乳動物および非哺乳動物の両方が含まれる。
【0049】
「哺乳動物」は、ヒトおよびその他の哺乳動物を意味する。
【0050】
「アルキル」は、鎖中に約1から約20個の炭素原子を含む、直鎖または分枝であり得る脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1から約12個の炭素原子を含有する。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1から約6個の炭素原子を含有する。分枝は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1個または複数の低級アルキル基が、直鎖アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖または分枝であり得る、鎖中に約1から約6個の炭素原子を有する基を意味する。「アルキル」は、置換されていないか、同じであるか異なっていてよい1個または複数の置換基で場合によって置換されていてよく、それぞれの置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群から独立に選択される。適切なアルキル基の限定されない例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、およびシクロプロピルメチルが含まれる。
【0051】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有し、鎖中に約2から約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2から約12個の炭素原子、より好ましくは鎖中に約2から約6個の炭素原子を有する。分枝は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1個または複数の低級アルキル基が、直鎖アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖または分枝であってよい鎖中の約2から約6個の炭素原子を意味する。「アルケニル」は、非置換であるか、同じか異なってよい1個または複数の置換基で場合によって置換されていてよく、それぞれの置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群からそれぞれ独立に選択される。適切なアルケニル基の限定されない例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが含まれる。
【0052】
「アルキレン」は、上記に定義されたアルキル基からの水素原子の除去により得られる二官能性基を意味する。アルキレンの限定されない例には、メチレン、エチレンおよびプロピレンが含まれる。
【0053】
「アルケニレン」は、上記に定義されたアルケニル基からの水素の除去により得られる二官能性基を意味する。アルケニレンの限定されない例には、−CH=CH−、−C(CH)=CH−、および−CH=CHCH−が含まれる。
【0054】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有し、直鎖または分枝であってよく、鎖中に約2から約15個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2から12個の炭素原子、より好ましくは鎖中に約2から約4個の炭素原子を有する。分枝は、メチル、エチルまたはプロピルなどの1個または複数の低級アルキル基が、直鎖アルキニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖または分枝であってよい鎖中の約2から約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の限定されない例には、エチニル、プロピニル、2−ブチニルおよび3−メチルブチニルが含まれる。「アルキニル」は、非置換であるか、同じか異なってよい1個または複数の置換基で場合によって置換されていてよく、それぞれの置換基は、アルキル、アリールおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択される。
【0055】
「アリール」は、約6から約14個の炭素原子、好ましくは約6から約10個の炭素原子を含む芳香族単環式または多環式環系を意味する。アリール基は、同じか異なってよく、本明細書で定義されたとおりである、1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。適切なアリール基の限定されない例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。
【0056】
「ヘテロアリール」は、約5から約14個の環原子、好ましくは約5から約10個の環原子を含み、1個または複数の環原子が、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素または硫黄の単独または組合せである、芳香族単環式または多環式環系を意味する。好ましいヘテロアリールは、約5から約6個の環原子を含有する。「ヘテロアリール」は、同じか異なってよく、本明細書で定義されたとおりである、1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。ヘテロアリール語幹名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、少なくとも1個のそれぞれ窒素、酸素または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−酸化物に場合によって酸化され得る。「ヘテロアリール」は、上記に定義されたアリールに縮合した上記に定義されたヘテロアリールも含み得る。適切なヘテロアリールの限定されない例には、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、ピリドン(N−置換ピリドンを含む)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、オキシインドリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが含まれる。用語「ヘテロアリール」は、例えば、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリルなどの部分飽和ヘテロアリール部分も意味する。
【0057】
用語「Het」は、直前に定義された、単環式、二環式およびベンゼン縮合したヘテロアリール基により例示される。Het基は、炭素環員を介して基Bに結合され、例えば、Hetは、2−ピリジル、3−ピリジルまたは2−キノリルである。Het環は、基Wにより任意の利用可能な環炭素上で置換されてよく、1から4個のW置換基が、Het環上に存在してよい。
【0058】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリール−アルキル−基(ここで、アリールおよびアルキルは、先に記載されたとおりである)を意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の限定されない例には、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが含まれる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0059】
「アルキルアリール」は、アルキル−アリール−基(ここで、アルキルおよびアリールは、先に記載されたとおりである)を意味する。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の限定されない例は、トリルである。親部分への結合は、アリールを介してである。
【0060】
「シクロアルキル」は、約3から約10個の炭素原子、好ましくは約5から約10の炭素原子を含む、非芳香族単環式または多環式環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5から約7個の環原子を含有する。シクロアルキルは、同じか異なってよく、上記に定義されたとおりである、1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。適切な単環式シクロアルキルの限定されない例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが含まれる。適切な多環式シクロアルキルの限定されない例には、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが含まれる。
【0061】
「シクロアルキルアルキル」は、親コア(parent core)に(上記に定義された)アルキル部分を介して連結された上記に定義されたとおりのシクロアルキル部分を意味する。適切なシクロアルキルアルキルの限定されない例には、シクロヘキシルメチル、アダマンチルメチルなどが含まれる。
【0062】
「シクロアルケニル」は、約3から約10個の炭素原子、好ましくは約5から約10個の炭素原子を含み、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する非芳香族単環式または多環式環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環は、約5から約7個の環原子を含有する。シクロアルケニルは、同じまたは異なってよく、上記に定義されたとおりである、1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。適切な単環式シクロアルケニルの限定されない例には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニルなどが含まれる。適切な多環式シクロアルケニルの限定されない例は、ノルボルニレニルである。
【0063】
「シクロアルキレン」は、対応する二価の環を意味し、ここで、他の基への結合の点には、すべての位置異性体が含まれる。
【0064】
「ジヒドロキシアルキル」は、2個の異なる炭素原子上で2個のヒドロキシ基で置換されたアルキル鎖を意味する。
【0065】
「フルオロアルキル」、「ジフルオロアルキル」および「トリフルオロアルキル」は、末端炭素が、1、2または3個のフルオロ原子で置換されているアルキル鎖、それぞれ、例えば、−CF、−CHCF、−CHCHFまたは−CHCHFを意味する。
【0066】
「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカルを意味する。好ましいのは、フルオロ、クロロまたはブロモであり、より好ましいのは、フルオロおよびクロロである。
【0067】
「シクロアルケニルアルキル」は、(上記に定義された)アルキル部分で親コアに連結された上記に定義されたシクロアルケニル部分を意味する。適切なシクロアルケニルアルキルの限定されない例には、シクロペンテニルメチル、シクロヘキセニルメチルなどが含まれる。
【0068】
「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカルを意味する。好ましいのは、フルオロ、クロロまたはブロモであり、より好ましいのは、フルオロおよびクロロである。
【0069】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいのは、フッ素、塩素および臭素である。
【0070】
「環系置換基」は、例えば、環系上の利用可能な水素を置換する、芳香族または非芳香族環系に結合した置換基を意味する。環系置換基は、同じまたは異なってよく、それぞれ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−および−SONY(ここで、YおよびYは、同じまたは異なってよく、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアラルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から独立に選択される。「環系置換基」は、環系上の2個の隣接した炭素原子上の2個の利用可能な水素(各炭素上に1個のH)を同時に置換する単一の部分も意味し得る。このような部分の例は、例えば、
【0071】
【化17】

などの部分を形成する、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−C(CH−などである。
【0072】
用語「Boc」は、N−tert−ブトキシカルボニルを意味する。
【0073】
「ヘテロアリールアルキル」は、(上記に定義された)アルキル部分で親コアに連結された上記に定義されたヘテロアリール部分を意味する。適切なヘテロアリールの限定されない例には、2−ピリジニルメチル、キノリニルメチルなどが含まれる。
【0074】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」は、約3から約10個の環原子、好ましくは約5から約10個の環原子を含み、環系中の1個または複数の原子が、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素または硫黄の単独または組合せである、非芳香族飽和単環式または多環式環系を意味する。環系中に隣接した酸素および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5から約6個の環原子を含有する。ヘテロシクリル語幹名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄原子が、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリル環中の任意の−NHは、例えば、−N(Boc)、−N(CBz)、−N(Tos)基などとして、保護されて存在することができ、このような保護も本発明の部分と考えられる。ヘテロシクリルは、同じか異なってよく、本明細書で定義されたとおりである、1個または複数の「環系置換基」で場合によって置換され得る。ヘテロシクリルの窒素または硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物またはS,S−二酸化物へと場合によって酸化され得る。適切な単環式ヘテロシクリル環の限定されない例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ラクタム、ラクトンなどが含まれる。「ヘテロシクリル」は、環系上の同一の炭素原子上の2個の利用可能な水素を同時に置換する単一の部分(例えば、カルボニル)も意味し得る。このような部分の例は、ピロリドン:
【0075】
【化18】

である。
【0076】
「ヘテロシクリルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、(上記に定義された)アルキル部分で親コアに連結された上記に定義されたヘテロシクリル部分を意味する。適切なヘテロシクリルアルキルの限定されない例には、ピペリジニルメチル、ピペラジニルメチルなどが含まれる。
【0077】
「ヘテロシクレニル」は、約3から約10個の環原子、好ましくは約5から約10個の環原子を含み、環系中の1個または複数の原子が、炭素以外の元素、例えば、窒素、酸素または硫黄原子の単独または組合せであり、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含有する、非芳香族単環式または多環式環系を意味する。環系中に隣接する酸素および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は、約5から約6個の環原子を含有する。ヘテロシクレニル語幹名の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、少なくとも1個の窒素、酸素または硫黄原子が、それぞれ、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルは、1個または複数の環系置換基(ここで、「環系置換基」は、上記に定義されたとおりである)で場合によって置換され得る。ヘテロシクレニルの窒素または硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物またはS,S−二酸化物へと場合によって酸化され得る。適切なヘテロシクレニル基の限定されない例には、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが含まれる。「ヘテロシクレニル」は、環系上の同一の炭素原子上の2個の利用可能な水素を同時に置換する単一の部分(例えば、カルボニル)も意味し得る。このような部分の例は、ピロリジノン:
【0078】
【化19】

である。
【0079】
「ヘテロシクレニルアルキル」は、親コアに(上記に定義された)アルキル部分で連結された上記に定義されたヘテロシクレニル部分を意味する。
【0080】
本発明のヘテロ原子を含有する環系においては、N、OまたはSに隣接した炭素原子上にヒドロキシル基はなく、別のヘテロ原子に隣接した炭素上にNまたはS基もないことを留意されたい。したがって、例えば、環:
【0081】
【化20】

においては、2および5と記された炭素に直接結合している−OHはない。
【0082】
例えば、部分:
【0083】
【化21−1】

などの互変異性形態は、本発明の特定の実施形態において等価であると考えられることも留意されたい。
【0084】
用語「ヘテロスピロ環式」は、3から5個の炭素原子およびN、SおよびOからなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を含有するスピロ環式構造(但し、ヘテロ原子は隣接していない)を意味する。
【0085】
「アルキルアミノ」は、アルキル−アミノ基(ここで、アルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アミノを介してである。
【0086】
「アルキルアミノアルキル」は、アルキル−アミノ−アルキル基(ここで、アルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキルを介してである。
【0087】
「アルキルシクロアルキルアルキル」は、アルキル−シクロアルキル−アルキル基(ここで、アルキルおよびシクロアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキルを介してである。
【0088】
「アルキルヘテロアリール」は、アルキル−ヘテロアリール基(ここで、アルキルおよびヘテロアリール基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、ヘテロアリールを介してである。
【0089】
「アルキルヘテロシクロアルキル」は、アルキル−ヘテロシクロアルキル基(ここで、アルキルおよびヘテロシクロアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、ヘテロシクロアルキル基を介してである。
【0090】
「アルコキシアルキルオキシアルキル」は、アルコキシ−アルキル−O−アルキル基(ここで、アルコキシおよびアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0091】
「アルキニルアルキル」は、アルキニル−アルキル−基(ここで、アルキニルおよびアルキルは、先に記載されたとおりである)を意味する。好ましいアルキニルアルキルは、低級アルキニルおよび低級アルキル基を含有する。親部分との結合は、アルキルを介してである。適切なアルキニルアルキル基の限定されない例には、プロパルギルメチルが含まれる。
【0092】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル基(ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは、先に記載されたとおりである)を意味する。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適切なアラルキル基の限定されない例には、ピリジルメチル、およびキノリン−3−イルメチルが含まれる。親部分との結合は、アルキルを介してである。
【0093】
「ハロアルキル」は、ハロ−アルキル−基(ここで、アルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキルを介してである。適切なハロアルキル基の限定されない例には、フルオロメチルおよびジフルオロメチルが含まれる。
【0094】
「ヘテロアリールアルケニル」は、ヘテロアリール−アルケニル基(ここで、ヘテロアリールおよびアルケニルは、先に記載されたとおりである)を意味する。好ましいヘテロアリールアルケニルは、低級アルケニル基を含有する。親部分との結合は、アルケニル基を介してである。
【0095】
「ヘテロシクロアルキルオキシ」は、ヘテロシクロアルキル−O−基(ここで、ヘテロシクロアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、エーテル原子を介してである。
【0096】
「ヘテロアリールアルコキシアルキル」は、ヘテロアリール−アルコキシアルキル基(ここで、ヘテロアリールおよびアルコキシアルキル基は、上記に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0097】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基(ここで、アルキルは、先に定義されたとおりである)を意味する。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含有する。適切なヒドロキシアルキル基の限定されない例には、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが含まれる。
【0098】
「アシル」は、H−C(O)−、アルキル−C(O)−またはシクロアルキル−C(O)−基(ここで、種々の基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含有する。適切なアシル基の限定されない例には、ホルミル、アセチルおよびプロパノイルが含まれる。
【0099】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基(ここで、アリール基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、カルボニルを介してである。適切な基の限定されない例には、ベンゾイルおよび1−ナフトイルが含まれる。
【0100】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基(ここで、アルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアルコキシ基の限定されない例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびn−ブトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介してである。
【0101】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基(ここで、アリール基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアリールオキシ基の限定されない例には、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介してである。
【0102】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O−基(ここで、アラルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアラルキルオキシ基の限定されない例には、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介してである。
【0103】
「アミノアルキル」は、アミノ−アルキル基(ここで、アルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキルを介してである。
【0104】
「アルケニルオキシ」は、アルケニル−O−基(ここで、アルケニル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、エーテル酸素を介してである。
【0105】
「アルキニルオキシ」は、アルキニル−O−基(ここで、アルケニル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、エーテル酸素を介してである。
【0106】
「アリールオキシアルキル」は、アリール−O−アルキル基(ここで、アリールおよびアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアリールオキシアルキル基の限定されない例には、フェノキシメチルおよびナフトキシメチルが含まれる。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0107】
「アリールアルコキシアルキル」は、アリール−アルコキシアルキル基(ここで、アリールおよびアルコキシアルキルは、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0108】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O−基(ここで、アラルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアラルキルオキシ基の限定されない例には、ベンジルオキシおよび1−または2−ナフタレンメトキシが含まれる。親部分との結合は、エーテル酸素を介してである。
【0109】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の限定されない例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが含まれる。親部分との結合は、カルボニルを介してである。
【0110】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分との結合は、スルホニルを介してである。
【0111】
「シクロアルケニルオキシ」は、シクロアルケニル−O−基(ここで、シクロアルケニル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、エーテル原子を介してである。
【0112】
「アリールチオ」は、アリール−S−基(ここで、アリール基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアリールチオ基の限定されない例には、フェニルチオおよびナフチルチオが含まれる。親部分との結合は、硫黄を介してである。
【0113】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基(ここで、アラルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。適切なアラルキルチオ基の限定されない例は、ベンジルチオである。親部分との結合は、硫黄を介してである。
【0114】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の限定されない例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。親部分との結合は、カルボニルを介してである。
【0115】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の限定されない例には、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが含まれる。親部分との結合は、カルボニルを介してである。
【0116】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の限定されない例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分との結合は、カルボニルを介してである。
【0117】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルであるものである。親部分との結合は、スルホニルを介してである。
【0118】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分との結合は、スルホニルを介してである。
【0119】
「シクロアルキルオキシ」または「シクロアルコキシ」は、シクロアルキル−O−基(ここで、シクロアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、エーテル原子を介してである。
【0120】
「シクロアルキルオキシアルキル」は、シクロアルキル−O−アルキル基(ここで、シクロアルキルおよびアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0121】
「ハロアルコキシアルキル」は、ハロアルコキシアルキル基(ここで、アルコキシアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0122】
「ヘテロシクリルアルコキシアルキル」は、ヘテロシクリル−アルコキシアルキル基(ここで、アルコキシアルキル基は、先に記載されたとおりである)を意味する。親部分との結合は、アルキル基を介してである。
【0123】
【化21−2】

で表される任意選択の二重結合は、少なくとも単結合は存在しなければならないが、二重結合は存在することができ、二重結合が存在する場合に、R10は存在しないことを意味する。
【0124】
およびRが、一緒になって、それらが結合している窒素と環を形成する場合に、形成される環は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニルおよび1−ピペラジニル(ここで、ピペラジニル環は、4位の窒素において基Rで置換されていてもよい)である。
【0125】
例えば、RおよびRが、一群の置換基から独立に選択されると言われる上記の記載は、RおよびRは、同じ窒素に結合している場合に独立に選択されることだけでなく、RまたはRという変数が分子中に2回以上出現する場合、それらの出現は、独立に選択されることを意味する。同様に、R13またはR14のそれぞれの出現は、同じ環Qにおけるその他のいずれのR13またはR14からも独立している。当業者は、置換基のサイズおよび性質は、存在し得る置換基の数に影響するであろうことを理解されよう。
【0126】
用語「置換された」は、示された原子上の1個または複数の水素が、示された群からの選択で置換されており、但し、既存の状況下での示された原子の通常の原子価を超えず、置換が安定な化合物をもたらすことを意味する。置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合のみ、許容される。「安定な化合物」または「安定な構造」は、反応混合物からの有用な程度の純度への単離、および効能のある治療薬への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を意味する。
【0127】
用語「場合によって置換された」は、特定の基、ラジカルまたは部分での任意選択の置換を意味する。
【0128】
化合物に関する用語「精製された」、「精製された形態の」または「単離および精製された形態の」は、合成プロセス(例えば、反応混合物からの)、または天然資源またはそれらの組合せから単離された後の上記化合物の物理的状態を意味する。したがって、化合物に関する用語「精製された」、「精製された形態の」または「単離および精製された形態の」は、本明細書に記載されたまたは当業者に周知の標準的な分析技術により特徴付けられるのに十分な純度で、精製プロセスまたは本明細書に記載されたまたは当業者に周知のプロセス(例えば、クロマトグラフィー、再結晶化など)から得られた後の、上記化合物の物理的状態を意味する。
【0129】
式Iの化合物における構造
【0130】
【化21−3】

は、任意選択の二重結合を表し、破線は、結合であるか、結合ではなく、価数要件により許容される二重結合または単結合をもたらし;但し、Rが結合するであろう炭素が二重結合の一部である場合、Rは存在しない。
【0131】
本明細書の本文、スキーム、実施例および表における、不十分な原子価を有する任意の炭素およびヘテロ原子は、原子価を満足させるのに十分な数の水素原子を有すると考えられることも留意されたい。
【0132】
化合物中の官能基が、「保護された」と呼ばれる場合に、これは、その基が、化合物を反応させるときに、保護された位置での望ましくない副反応を排除するために改変された形態であることを意味する。適切な保護基は、当業者によって、および例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991年)、Wiley、New Yorkなどの標準の教科書を参照して理解されよう。
【0133】
任意の変数(例えば、アリール、複素環、Rなど)が、任意の構成においてまたは式Iにおいて2回以上出現する場合、それぞれの出現におけるその定義は、全ての他の出現におけるその定義から独立している。
【0134】
本明細書で使用される用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組合せに直接的にまたは間接的に由来する任意の生成物を包含することを意図されている。
【0135】
本発明の化合物のプロドラッグ、溶媒和物、および共結晶も本発明で考えられる。プロドラッグの議論は、T.Higuchi and V.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems (1987年) 14 of the A.C.S.Symposium Series、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987年)Edward B. Roche、ed.、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供されている。用語「プロドラッグ」は、生体内で変換されて式(I)の化合物または化合物の薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物を生じる化合物(例えば、薬物前駆体)を意味する。変換は、例えば、血液中の加水分解によるなどの、様々なメカニズム(例えば、代謝または化学プロセスにより)によって起こり得る。プロドラッグの使用の議論は、T.Higuchi and W.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、the A.C.S.Symposium Series 14巻により、およびBioreversible Carriers in Drug Design、ed.Edward B.Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年において提供されている。
【0136】
例えば、式(I)の化合物または化合物の薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物が、カルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、例えば、(C〜C)アルキル、(C〜C12)アルカノイルオキシメチル、4から9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5から10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3から6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、(β−ジメチルアミノエチルなどの)ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C〜C)アルキルなどの基による酸基の水素原子の置換によって形成されるエステルを含み得る。
【0137】
同様に、式(I)の化合物が、アルコール官能基を含有する場合に、プロドラッグは、例えば、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、(C〜C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C〜C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C〜C)アルカノイル、α−アミノ(C〜C)アルカニル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシル−α−アミノアシル(ここで、それぞれのα−アミノアシル基は、天然L−アミノ酸、P(O)(OH)、−P(O)(O(C〜C)アルキル)またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去に由来する基)から独立に選択される)などの基によるアルコール基の水素原子の置換によって形成され得る。
【0138】
式(I)の化合物が、アミン官能基を組み込んでいる場合に、プロドラッグは、例えば、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立に、(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、ベンジルであり、または、R−カルボニルは、天然α−アミノアシルまたは天然α−アミノアシル、−C(OH)C(O)OY(ここで、Yは、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルである)、−C(OY)Y(ここで、Yは、(C〜C)アルキルであり、Yは、(C〜C)アルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキルまたはモノ−N−またはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y)Y(ここで、Yは、Hまたはメチルであり、Yは、モノ−N−またはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノモルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルである)などの基によるアミン基中の水素原子の置換によって形成され得る。
【0139】
本発明の1種または複数の化合物は、非溶媒和形態および水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在することができ、本発明は、溶媒和形態および非溶媒和形態の両方を包含することが意図されている。「溶媒和」は、本発明の化合物の1個または複数の溶媒分子との物理的な会合を意味する。この物理的な会合は、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。特定の場合においては、例えば、1個または複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子中に組み込まれている場合、溶媒和物は単離が可能であろう。「溶媒和物」は、溶液相溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。適切な溶媒和物の限定されない例には、エタノレート、メタノレートなどが含まれる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0140】
本発明の1種または複数の化合物は、場合によって溶媒和物に変換し得る。溶媒和物の調製は、一般的に知られている。したがって、例えば、M.Cairaら、J.Pharmaceutical Sci.、93(3)、601〜611頁(2004年)は、酢酸エチル中および水からの抗真菌剤フルコナゾールの溶媒和物の調製を記載している。溶媒和物、半溶媒和物、水和物などの類似の調製法は、E.C. van Tonderら、AAPS PharmSciTech.、5(1)、article 12 (2004年)、およびA.L.Binghamら、Chem.Common.、603〜604頁(2001年)により記載されている。一般的な、限定されない方法は、周囲温度より高い温度で、所望の量の所望の溶媒(有機または水またはそれらの混合物)中に本発明の化合物を溶解し、結晶を形成するのに十分な速度でこの溶液を冷却し、次いでこの結晶を標準の方法で単離することを含む。例えば、赤外分光法などの分析技術によって、溶媒和物(または水和物)としての結晶中の溶媒(または水)の存在が示される。
【0141】
共結晶は、活性な医薬中間体を、混合した形態に結晶度を生じる不活性な分子と混合することにより形成される結晶性の上部構造である。共結晶は、フマル酸、コハク酸などのジカルボン酸と、本発明の化合物Iによって示されるものなどの塩基性アミンの間で、共結晶の性質に応じた様々な割合でしばしば作製される(Rrnenar,J.F.ら、J Am.Chem.Soc.2003年、125巻、8456頁)。
【0142】
「有効量」または「治療有効量」は、上記の疾患を抑制し、したがって所望の治療的、改善、抑制または予防効果を生じるのに有効な本発明の化合物または組成物の量を表すことを意図されている。
【0143】
式Iの化合物は、塩を生ずることができ、この塩も本発明の範囲内である。本明細書の式Iの化合物への参照は、他に指示がない限り、その塩への言及を含むものと理解される。本明細書で使用される用語「塩」は、無機酸および/または有機酸を用いて形成される酸性塩、ならびに無機塩基および/または有機塩基を用いて形成される塩基性塩を意味する。さらに、式Iの化合物が、それだけには限らないが、ピリジンまたはイミダゾールなどの塩基性部分、およびそれだけには限らないが、カルボン酸などの酸性部分の両方を含有する場合、両性イオン(「内塩」)が形成されることがあり、本明細書で使用される用語「塩」に含まれる。他の塩も有用であるが、薬学的に許容される(すなわち、無毒で、生理学的に許容される)塩は好ましい。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を当量の酸または塩基と塩が沈殿するような媒体中または次いで凍結乾燥を行う水媒体中で反応させることによって形成され得る。
【0144】
例示的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られる)などが含まれる。さらに、塩基性の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適すると一般的に考えられる酸は、例えば、P.Stahlら、Camille G. (eds.)Handbook of Pharmaceutical Salts.Properties,Selection and Use. (2002年) Zurich: Wiley−VCH;S. Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977年)66(1)1〜19頁、P. Gould、International J.of Pharmaceutics (1986年)33巻201〜217頁;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry (1996年)、Academic Press、New York;およびThe Orange Book (Food&Drug Administration、Washington,D.C.、そのウェブサイト上)により議論されている。これらの開示は、それらへの参照により本明細書に組み込まれている。
【0145】
例示的な塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、ならびにアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩などが含まれる。塩基性の窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、およびブチルクロリド、ブロミドおよびヨージド)、ジアルキルサルフェート(例えば、ジメチル、ジエチル、およびジブチルサルフェート)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、およびステアリルクリロド、ブロミドおよびヨージド)、アラルキルハロゲン化物(例えば、ベンジルおよびフェネチルブロミド)などの薬剤で四級化され得る。
【0146】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に許容される塩であることが意図されており、全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的のための対応する化合物の遊離形態と等価であると考えられる。
【0147】
本化合物の薬学的に許容されるエステルには、次の群:(1)ヒドロキシ基のエステル化により得られるカルボン酸エステル(ここで、上記エステル基のカルボン酸部分の非カルボニル部分は、直鎖または分枝鎖アルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチル、またはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシまたはアミノで場合によって置換されたフェニル)から選択される);(2)アルキル−またはアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル(例えば、メタンスルホニル);(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル);(4)リン酸エステルおよび(5)一、二または三リン酸エステルが含まれる。リン酸エステルは、例えば、C1〜20アルコールまたはその反応性誘導体によって、または2,3−ジ(C6〜24)アシルグリセロールによってさらにエステル化され得る。
【0148】
式Iの化合物、およびそれらの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグは、それらの互変異性型(例えば、アミドまたはイミノエーテル)で存在し得る。全てのこのような互変異性型は、本発明の一部として本発明では考えられる。
【0149】
式(I)の化合物は、不斉中心またはキラル中心を含有することができ、したがって、様々な立体異性体で存在することができる。式(I)の化合物の全ての立体異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部を形成することが意図されている。さらに、本発明は、すべての幾何異性体および位置異性体を包含する。例えば、式(I)の化合物が、二重結合または縮合環を組み込んでいる場合、シス−およびトランス−型、および混合物は、本発明の範囲内に包含される。
【0150】
ジアステレオマー混合物は、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によるなどの当業者に周知の方法により、それらの物理化学的差異に基づきそれらの個別のジアステレオマーに分割し得る。鏡像異性体は、鏡像異性体混合物を、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはMosher酸塩化物などのキラル補助基)との反応によってジアステレオマー混合物に変換し、このジアステレオマーを分割し、個別のジアステレオマーを、対応する純粋な鏡像異性体に変換(例えば、加水分解)することによって分割し得る。また、式(I)のある化合物は、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であり得、本発明の一部と考えられる。鏡像異性体は、キラルHPLCカラムの使用によっても分割され得る。
【0151】
式(I)の化合物は、様々な互変異性型で存在することができ、全てのこのような形態は、本発明の範囲内に包含される。また、例えば、本化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミン形態は、本発明に含まれる。
【0152】
種々の置換基上の不斉炭素によって存在し得る立体異性体などの本発明の化合物(本化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグ、ならびにプロドラッグの塩、溶媒和物およびエステルの本化合物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)は、(不斉炭素がなくても存在し得る)鏡像異性体、回転異性体、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態を含めて、(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジルなどの)位置異性体であるとして、本発明の範囲に含まれると考えられる。(例えば、式(I)の化合物が、二重結合または縮合環を組み込んでいる場合、シス−およびトランス−型の両方、および混合物は、本発明の範囲内に包含される。また、例えば、本化合物の全てのケト−エノールおよびイミン−エナミン型は、本発明に含まれる。)。
【0153】
本発明の化合物の個別の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まなくてよく、あるいは、例えば、ラセミ体として、または全ての他の、もしくは他の選択された立体異性体と共に混合され得る。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationによって定義されたSまたはR構成を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「エステル」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ化合物またはプロドラッグの塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグに等しく適用されることを意図されている。
【0154】
本発明は、1個または複数の原子が、自然に通常見出される原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子で置換されているという事実を除いて、本明細書に列挙された化合物と同じである、本発明の同位体標識した化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体が含まれる。
【0155】
式(I)の特定の同位体標識した化合物(例えば、Hおよび14Cで標識したもの)は、化合物および/または基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化(すなわち、H)同位体および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、調製のその容易さおよび検出能のため特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点(例えば、生体内半減期の増加または必要用量の減少)を提供することができ、したがって、状況次第で好ましいことがある。式(I)の同位体標識した化合物は、一般的に、下記のスキームおよび/または実施例で開示された手法と類似した手法に従って、適切な同位体標識した試薬で非同位体標識された試薬を置換することによって調製し得る。
【0156】
式Iの化合物、および式Iの化合物の塩、溶媒和物、エステルおよびプロドラッグの多形相は、本発明に含まれることが意図されている。
【0157】
本発明による化合物は、薬理学的特性を有し、特に、式Iの化合物は、トロンビン受容体アンタゴニストとして有用なノル−セコヒンバシン誘導体であり得る。
【0158】
本発明の化合物は、少なくとも1個の不斉炭素原子を有し、したがって、式(I)の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体およびラセミ化合物(それらが存在する場合)を含む全ての異性体は、本発明の一部であると考えられる。本発明は、両方の純粋な形態およびラセミ混合物を含む混合物のdおよびl異性体を含む。異性体は、光学的に純粋なまたは光学的に濃縮した出発原料を反応させることによって、または式Iの化合物の異性体を分割することによってのいずれかによる、通常の技術を使用して調製し得る。異性体は、例えば、二重結合が存在する場合に、幾何異性体も含み得る。式(I)の化合物の多形相も、結晶または非晶質にかかわらず、本発明の一部であると考えられる。
【0159】
本発明の一般的な好ましい化合物は、次の立体化学:
【0160】
【化22】

を有し、絶対立体化学を有する化合物がより好ましい。
【0161】
当業者は、式Iのある化合物について、1種の異性体が、他の異性体に比べてより大きな薬理学的活性を示すことを理解されよう。
【0162】
本発明の化合物は、当分野で周知の手法によって三環式中間体から調製され、一般的な手法は、下記のスキーム1から3に示されている。中間体は、これらのすべてを参照により本明細書に組み込む米国特許6,063,847号、米国特許6,326,380号、米国特許6,645,987号および米国特許出願第10/271715号のいずれかに開示された方法によって得ることができる。
【0163】
以下は、出発物質および式Iの化合物の調製の実施例である。手順において、次の略語が使用される。
rt 室温
THF テトラヒドロフラン
EtO エチルエーテル
Me メチル
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP ジメチルアミノピリジン
LiHMDSまたはLHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
Ti(OiPr) チタニウムイソプロポキシド
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMSI トリメチルシリルヨージドまたはヨードトリメチルシラン
Qが、シクロアルキル環であり、Rが、酸素を介して結合している式Iの類似体の合成を、次のスキーム1に提供する。カルボン酸1をアルコール2に変換し、酸化してアルデヒド3にする。このアルデヒドをホスホネート4とカップリングしてアルケン5を得る。LHMDSでの処理に次いで酸素への曝露によって、アルコール6が得られ、還元してラクトールを得て、次いでDess−Martinペルヨージナンで酸化してギ酸エステル8を得た。8をメタノールKCOと共に撹拌すると、ケトン9を生じ、これをL−Selectrideで立体特異的に還元し、次いでSuzuki反応させて類似体11を得た。
【0164】
【化23】

実施例中の化合物番号は、スキーム中の化合物番号のことをいう。
【実施例】
【0165】
(実施例1)
【0166】
【化24】

ステップ1:
400mlのDCM中のスキーム1(米国特許6063847を参照されたい)からの1(30g、0.119mol)の溶液に、塩化オキサリル(21ml、0.241mol、2当量)を、次いでDMF(275μl、3.55mmol、5mol%)を添加した。この混合物を2時間撹拌し、濃縮し、トルエンと共に蒸発して酸塩化物を得た。これをTHF(500ml)中に溶解し、0℃に冷却し、リチウムトリ−tert−ブトキシアルミノヒドリド(76g、0.299mol、2.5当量)を添加し、この混合物を2時間撹拌した。この混合物を水で希釈し、HClで酸性化し、EtOAcで抽出して21.6gの2を得た。
【0167】
ステップ2:
0℃の200mlのDCM中の2(12.0g、50.4mmol)の溶液に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ(160mg、1.02mmol、2mol%)および水(10ml)中のKBr(600mg、5.04mmol、0.1当量)の溶液を添加した。この混合物に、固体のNaHCOで飽和したクロロックス(clorox)溶液(92g、約6.15%のNaOCl含有率)を一滴ずつ添加した。添加の完了後、この混合物を20分間撹拌し、有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機層を水性Na、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮して12gの樹脂としての3を得た。
【0168】
ステップ3:
0℃のTHF(200ml)中の4(20g、65mmol)(4の調製に関し米国特許2004/0152736A1を参照されたい)の溶液に、LHMDS(THF中の1M溶液、65ml、65mmol)を添加し、この混合物を0℃で30分間撹拌した。これに、Ti(OiPr)(22.3ml、75.5mmol)を、次いでTHF(50ml)中のアルデヒド3(12g)の溶液を添加した。この混合物を0℃で15分間およびrtで30分間撹拌し、次いで水性NHClでクエンチした。EtOAcで抽出し、次いで0%から15%のEtOAc−ヘキサンを使用するクロマトグラフ精製を行い3.3gの5を得た。
【0169】
ステップ4:
0℃のTHF(50ml)中の5(3.3g、8.46mmol)の溶液に、LHMDS(THF中の1M溶液、12.7ml、12.7mmol、1.5当量)を添加し、この混合物を30分間撹拌した。フラスコを脱気し、酸素を満たし、酸素雰囲気下で、rtで1時間撹拌した。水性NaSOの添加によって、それをクエンチし、30分間撹拌し、EtOAcで抽出し、0%から20%のEtOAc−ヘキサンを使用するクロマトグラフィーで精製して3gの6を得た。MS:406.1(MH)。
【0170】
ステップ5:
−78℃のDCM(75ml)中の6(4.2g、10.3mmol)の溶液に、トルエン(34.2mmol、41.4mmol、4当量)中のDIBALHの20重量%溶液を添加し、この混合物を−78℃で1時間撹拌した。水性酒石酸カリウムナトリウムの添加により、それをクエンチし、DCMで抽出して2.89gの7を得た。MS:408.22(MH)。
【0171】
ステップ6:
rtの50mlのDCM中の7(2.89g、7.08mmol)の溶液に、NaHCO(1.2g、14.28mmol、2当量)を、次いでDess−Martinペルヨージナン(3.90g、9.19mmol、1.3当量)を添加し、この懸濁液を2時間撹拌した。この反応混合物をエーテルで希釈し、水性NaおよびNaHCOと共に2層が透明になるまで撹拌した。この有機層を分離し、水層をエーテルで抽出した。合わせた有機層を水性Na、NaHCOおよびブラインで洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥させ、濃縮し、蒸発して約3.0gの8を得た。MS:406.2(MH)。
【0172】
ステップ7:
50mlメタノール中の8(約7.08mmol)の溶液をKCO(3.9g、28.2mmol、4当量)と共にrtで3時間撹拌し、水で希釈した。この混合物をエーテルで抽出し、粗生成物を0%から10%のEtOAc−ヘキサンを使用するクロマトグラフィー精製を行い1.74gの9を得た。MS:334.1(MH)。
【0173】
ステップ8:
−78℃のTHF(5ml)中の9(185mg、0.554mmol)の溶液に、L−Selectride(1.10mmol、2当量)の1M THF溶液を添加した。この混合物を1.5時間撹拌し、次いで水性塩化アンモニウム溶液の添加によりクエンチし、THFを蒸発し、スラリーをEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発し、残渣を0%から15%のヘキサン中のEtOAcでのクロマトグラフィーにより精製して、115mgの10を得た。MS:336.1(MH)。
【0174】
ステップ9:
トルエン−エタノール−水混合物(それぞれ0.6ml、0.3mlおよび0.15ml)中の密封管中の10(30mg、0.089mmol)、3−フルオロフェニルボロン酸(25mg、0.179mmol、2当量)、Pd(PPh(5.2mg、4.5μmol、5mol%)およびKCO(50mg、0.36mmol、4当量)の混合物に、アルゴンを通気し、油浴中で、100℃で4時間加熱した。この混合物を水に注ぎ、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上乾燥し、ろ過し、濃縮し、溶離液としてヘキサン中の30%EtOAcを使用する分取TLCで精製して30mgの表題化合物11aを得た。MS:352.1(MH)。
【0175】
同様の手順を使用して、11b、11cおよび11dを対応するボロン酸を使用することによって調製した。また、11eを、(2−シアノフェニル)ボロン酸2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3環状エステルを2−シアノフェニルボロン酸の代わりに使用する以外は同じ方法で調製した。
【0176】
【化25】

およびRが一緒になってオキシムを形成する式Iの典型的な化合物の合成をスキーム2に提供する。ラクトン12をLHMDSで、次いで酸素で処理して、より少量の生成物としてケトン13を得た。ケトン13をNaBHで還元してアキシャルアルコールおよびエクアトリアルアルコールの混合物として14を得る。ケトン13をオキシム15および16にも変換する。
【0177】
【化26】

(実施例2)
【0178】
【化27】

ステップ1:
0℃のTHF(150ml)中の12(9.0g、23.3mmol)(米国特許2004/0152736を参照されたい)の溶液に、LHMDS(THF中の1M溶液、35ml、35mmol、1.5当量)を添加した。この混合物を30分間撹拌し、次いで脱気し、バルーンを使用して酸素を満たした。この混合物を酸素雰囲気下で、0℃で30分間およびrtで1時間撹拌した。水性亜硫酸ナトリウムの添加によって、反応をクエンチし、1時間撹拌し、EtOAcで抽出した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して少量生成物として300mgの13を得た。MS:331.1(MH)。
【0179】
ステップ2
0℃のメタノール(1ml)中の13(20mg、0.061mmol)の溶液に、NaBH(約2.5mg)を添加し、10分間撹拌した。水性塩化アンモニウムの添加によって、この混合物をクエンチし、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発してアキシャルアルコールおよびエクアトリアルアルコールの混合物として17mgの14を得た。MS:331.1(MH)。
【0180】
【化28】

(実施例3)
ピリジン(1ml)中の13(27mg、0.082mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(29mg、0.417mmol、5当量)の溶液をrtで終夜撹拌した。この混合物をEtOAcで希釈し、水、ブラインで3回洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発し、溶離液としてヘキサン中の50%EtOAcを使用する分取TLCによって精製して、シスおよびトランスオキシムの混合物として22mgの15を得た。MS:346.1(MH)。
【0181】
同様の手順を使用して、16をシスおよびトランスオキシムの混合物として調製した。MS:374.1(MH)。
【0182】
が、ヒドロキシアルキルである式Iの化合物の調製を下記のスキーム3に提供する。アルデヒド3をWittig反応によってオレフィン17に変換した。LiAlHに媒介された開環、次いでの第一級アルコールの選択的TIPS保護に次いで、第二級アルコールを酸化して、メチルケトン18を得た。ケトンの脱酸素と共にTIPSエーテルの除去によって、19が得られた。アルコールをアセテートとして保護し、オゾン分解条件にさらしてアルデヒド20を得た。アルデヒド20をEmmons−Wadsworth反応条件下でアルケン22に変換した。アセテートを塩基性条件下で開裂してアルコール23を得た。
【0183】
【化29】

(実施例4)
【0184】
【化30】

ステップ1:
0℃の300mlのTHF中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(50.0g、1.140mol)の懸濁液に、ヘキサン中のPhLi(1.8M溶液、71.5ml、0.129mol)を一滴ずつ添加し、この混合物をrtで30分間撹拌した。この混合物を−78℃に冷却し、THF(130ml)中の3(25.2g、0.107mol)の溶液を添加した。この混合物を−78℃で15分間、rtで1時間撹拌し、次いで水性NHCl(1L)でクエンチした。THFを蒸発し、混合物を4×300mlのエーテルで抽出した。合わせたエーテル層を2×500mlのHO、500mlブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。粗生成物を10:9 EtOAc:ヘキサンを使用するクロマトグラフィー精製して19.8gの17を得た。
【0185】
【化31】

ステップ2:
rtのTHF(70ml)中のラクトン17(4.75g、20.3mmol)の溶液に、1MのLiAlH(20ml、20mmol、1当量)を添加し、混合物をrtで2時間撹拌した。EtOAcの添加によって反応をクエンチし、300mlのHOで希釈し、濃HSOで酸性化した。この混合物を3×100mlのEtOAcで抽出し、合わせた有機層をそれぞれ100mlのHOおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して樹脂として粗ジオールを得た。
【0186】
−40℃のCHCl(100ml)中の上記ジオールの溶液に、EtN(4.3ml、30.9mmol、1.5当量)を、次いでTIPSOTf(6ml、22.3mmol、1.1当量)を一滴ずつ添加した。この混合物を1時間撹拌し、この混合物をその期間中に放置して0℃に温めた。この反応混合物を水性NaHCO(200ml)に注ぎ、振とうし、CHCl層を分離した。水層を2×100mlのEtOで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して、樹脂として8.4のアルコールを得た。
【0187】
CHCl(40ml)中の上記アルコール(4.9g、12.4mmol)の溶液に、NaHCO(2.1g、25.0mmol、2当量)、およびDess−Martinペルヨージナン(6.3g、14.85mmol、1.2当量)を添加し、この混合物をrtで1時間撹拌した。この溶液を50mlのEtOおよび150mlの水性Na/NaHCO混合物で希釈し、2つの層が透明になるまで撹拌した。有機層を分離し、水層を50mlのEtOで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して、約5gの18を得た。
【0188】
【化32】

ステップ3:
30mlのジエチレングリコール中のケトン18(約5g)に、無水N(2ml、63.7mmol、5当量)を、次いで粉砕したKOH(3.5g、62.4mmol、5当量)を添加した。この混合物をrtで約15分間撹拌し、次いで油浴中で、約210℃で終夜加熱した。この反応混合物をrtに冷却し、HO(150ml)で希釈し、3×50mlのEtOで抽出した。合わせた有機層を2×50mlのHOで、次いで50mlのブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して、粗生成物を得た。粗生成物をヘキサン中の5%から10%のEtOAcで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して450mgの19を得た。
【0189】
【化33】

ステップ4:
0℃のCHCl(10ml)中の19(430mg、1.93mmol)、DMAP(24mg、0.20mmol、0.1当量)およびEtN(540μl、3.87mmol、2当量)の溶液に、塩化アセチル(275μl、3.87mmol、2当量)を添加し、この混合物を2.5時間撹拌した。この混合物をEtO(100ml)で希釈し、2×30ml水性NaHCO、30mlブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して460mgのアセテートを得た。
【0190】
−78℃のCHCl(10ml)中の上記生成物の溶液に、青色が残存している間、オゾンを通気した。過剰なオゾンをNで取り除き、この溶液に酢酸(2ml)、Zn粉末(2g)およびAgNOの少量の結晶を添加した。この混合物を0℃で1時間撹拌し、セライトパッドを通してろ過し、EtOですすいだ。ろ液を2×30mlのHO、2×30mlの水性NaHCO、30mlブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して440mgの20を得た。
【0191】
【化34】

ステップ5:
0℃のTHF(15ml)中のホスホネート21(1.07g、3.31mmol、2当量)の溶液に、ヘキサン(1.32ml、3.30mmol、2当量)中の2.5MのBuLiの溶液を添加し、20分間撹拌した。これに、Ti(OiPr)(975μl、3.30mmol、2当量)を、次いでTHF(3ml)中のアルデヒド20(440mg、1.65mmol)の溶液を添加した。この混合物を1時間撹拌し、水性酒石酸カリウムナトリウム溶液(100ml)中に注いだ。この水性スラリーを3×30mlのEtOAcで抽出し、合わせた有機層を30mlブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して残渣を得た。この残渣をクロマトグラフィーで精製して510mgの22を得た。
MS:m/e 436.1(MH)。
【0192】
ステップ6:
rtのMeOH(10ml)中の22(500mg、1.15mmol)およびKCO(640mg、4.63mmol、4当量)の混合物を3時間撹拌し、水性NHCl(100ml)で希釈し、3×30mlのEtOで抽出した。合わせた有機層を30mlブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、蒸発して450mgの23を得た。MS:m/e394.1(MH)。
【0193】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1種のさらなる薬剤と組み合わせた、式Iの化合物の投与を包含する。考えられるさらなる薬剤は、式Iの化合物と原子構成または配置のいずれかが異なる薬剤である。本発明の新規化合物と組み合わせて使用し得るさらなる薬剤には、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症を含む血栓症に関係する疾患、血管新生に関係する障害、不整脈、心臓血管または循環器疾患または状態、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、脳虚血、関節リウマチ、リウマチ、アストログリオーシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、糸球体腎炎、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管のホメオスタシス、腎虚血、膀胱の炎症、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、神経障害および/または悪性腫瘍、神経変性および/もしくは神経毒性疾患、状態もしくは損傷、炎症、ぜんそく、緑内障、黄斑変性、乾癬、肝臓、腎臓もしくは肺の内皮性機能不全障害、肺および胃腸管の炎症性障害、気道疾患もしくは状態、放射線線維症、内皮機能不全、歯周病または創傷または脊髄損傷、またはそれらの症状または結果、ならびにトロンビンおよびその受容体が病理学的役割を果たすその他の障害を治療するのに有用な薬物が含まれる。
【0194】
適切な心血管作動薬は、トロンボキサンA2生合成阻害剤;トロンボキサンアンタゴニスト;アデノシン二リン酸阻害剤;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;アンジオテンシンアンタゴニスト;エンドセリンアンタゴニスト;ホスホジエステラーゼ阻害剤;アンジオテンシン変換酵素阻害剤;中性エンドペプチダーゼ阻害剤;抗凝血剤;利尿薬;血小板凝集阻害剤;およびGP IIb/IIIaアンタゴニストからなる群から選択される。
【0195】
本発明の新規化合物と併用のための薬物の好ましい種類は、トロンボキサンA2生合成阻害剤、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、抗凝血剤、利尿薬、および血小板凝集阻害剤である。
【0196】
特に、適切な心血管作動薬は、アスピリン、セラトロダスト、ピコタミドおよびラマトロバン、クロピドグレル、メロキシカム、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルサルタン、テルミサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、エプロサルタン、テゾセンタン、ミルリノン、エノキシモン、カプトリル、エナラプリル、エナリプリラト、スピラプリル、キナプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、フォシノプリル、トランドラプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ベナザプリル、カンドキサトリル、エカドトリル、キシメラガトラン、フォンダパリン、エノキサパリン、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、エタクリン酸、フロセミド、アミロライド、アブシキシマブ、エプチフィバチド、プラスグレルおよびフラグミンからなる群から選択される。
【0197】
併用に特に好ましいのは、アスピリン、キャングリラー、重硫酸クロピドグレル、プラスグレルおよびフラグミンである。
【0198】
本発明が、式Iの化合物および別の薬剤の組合せを含む場合、2種の活性成分を同時に、または連続的に共投与することができ、または式Iの化合物および別の薬剤を薬学的に許容される担体中に含む単一の医薬組成物を投与することができる。組合せの成分は、個別に、またはカプセル、錠剤、粉末、カシェ剤、懸濁液、溶液、坐剤、鼻腔用スプレーなどの任意の通常の剤形で一緒に投与することができる。追加の薬剤の用量は、刊行物から決定することができ、1回当たり1から1000mgの範囲に及び得る。
【0199】
本明細書においては、用語「式Iの少なくとも1種の化合物」は、式Iの1から3種の異なる化合物が、医薬組成物または治療方法において使用し得ることを意味する。好ましくは、式Iの1種の化合物が使用される。同様に、用語「1種または複数のさらなる心血管作動薬」は、1から3種のさらなる薬物を式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、好ましくは、1種のさらなる化合物が式Iの化合物と組み合わせて投与されることを意味する。さらなる薬剤は、式Iの化合物に対して連続的にまたは同時に投与し得る。
【0200】
本発明により記載された化合物から医薬組成物を調製するための、不活性な、薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれかであってよい。固形製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐剤が含まれる。粉末および錠剤は、約5から約95パーセントの活性成分を含み得る。適切な固体担体は、当分野で周知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖または乳糖である。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に適した固体剤形として使用し得る。薬学的に許容される担体および種々の組成物の製造方法の例は、A. Gennaro (ed.)、The Science and Practice of Pharmacy、20th Edition、(2000年)、Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore、MDに見出し得る。
【0201】
液体製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が含まれる。例として言及し得るのは、非経口注射用の水または水−プロピレングリコール溶液または経口の溶液、懸濁液および乳濁液用の甘味料および乳白剤の添加である。液体製剤は、鼻腔内投与用の溶液も含み得る。
【0202】
吸入に適するエアゾール製剤は、不活性圧縮ガス、例えば、窒素などの薬学的に許容される担体と併用し得る溶液および粉末形態の固体を含み得る。
【0203】
同様に含まれるのは、経口用または非経口投与用のいずれかの液体製剤に使用直前に変換されることを目的とした固形製剤である。このような液体には、溶液、懸濁液および乳濁液が含まれる。
【0204】
本発明の化合物は、経皮的に送達可能でもあり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアゾールおよび/または乳濁液の形態を取ることができ、本目的について当分野で通常であるマトリックスまたは貯蔵タイプの経皮パッチ中に含まれ得る。
【0205】
好ましくは、本化合物は経口投与される。
【0206】
好ましくは、医薬製剤は、単位剤形である。このような形態においては、製剤は、適切な量の活性成分、例えば、所望の目的を達成するための有効量を含有する適切なサイズの単位用量に細分される。
【0207】
製剤の単位用量中の活性成分の量は、特定の用途に応じて約1mgから約150mg、好ましくは約1mgから約75mg、より好ましくは約1mgから約50mgに変更または調節し得る。
【0208】
使用される実際用量は、治療される患者の要件および状態の重篤性に応じて変更し得る。特定の状況についての適切な用量計画の決定は、当業者の裁量内に含まれる。便宜上、合計日用量は、必要に応じて、分割し1日に小分けして投与し得る。
【0209】
本発明の化合物および/または薬学的に許容されるその塩の投与の量および頻度は、治療される患者の年齢、状態および大きさならびに症状の重篤性などの要因を考慮して主治医の判断にしたがって調節される。経口投与用の典型的な推奨される日用量計画は、2から4回の分割用量で、約1mg/日から約300mg/日、好ましくは1mg/日から75mg/日の範囲に及び得る。
【0210】
式Iの別々の化合物および他の薬剤が、別々の組成物として投与される場合、それらは、式Iの化合物および他の薬剤が、その併用が治療有効である量で存在する、単一のパッケージに、薬学的に許容される担体中に式Iの化合物を含む1個の容器、および薬学的に許容される担体中に別の心血管作動薬を含む1個の別の容器を含むキットで提供することができる。キットは、例えば、成分が異なる時間間隔で投与される必要がある場合に、またはそれらが異なる剤形である場合に、組合せの投与用に有利である。
【0211】
式Iの化合物の活性は、次の手順により求め得る。
【0212】
トロンビン受容体アンタゴニスト用のインビトロ試験手順:
H]haTRAPの調製
A(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NH(1.03mg)および10%Pd/C(5.07mg)をDMF(250μl)およびジイソプロピルエチルアミン(10μl)中に懸濁した。容器をトリチウムの管に取り付け、液体窒素中で凍結し、脱気した。次いで、トリチウムガス(342mCi)をフラスコに添加し、室温で2時間撹拌した。反応の完了において、過剰なトリチウムを除去し、反応したペプチド溶液をDMF(0.5ml)で希釈し、ろ過して触媒を除去した。回収した粗ペプチドのDMF溶液を水で希釈し、凍結乾燥して不安定なトリチウムを除去した。固体ペプチドを水中に再溶解し、凍結乾燥過程を繰り返した。トリチウムペプチド([H]haTRAP)を0.5mlの0.1%水性TFA中に溶解し、次の条件:カラム、Vydac(商標)C18、25cm×9.4mm I.D.;移動相、(A)水中の0.1%TFA、(B)CHCN中の0.1%TFA;グラジエント、(A/B)30分で100/0から40/60;流速、5ml/分;検知、215nmのUVを使用するHPLCにより精製した。[H]haTRAPの放射化学的純度は、HPLCにより分析して99%であった。18.4Ci/mmolの比放射能における14.9mCiのバッチを得た。
【0213】
血小板細胞膜の調製
血小板細胞膜を、回収の48時間以内にthe North Jersey Blood Center (East Orange、NJ)から得た20単位の濃縮血小板からNatarajanら、(Natarajanら、Int.J.Peptide Protein Res. 45巻:145〜151頁(1995年))の方法の改変したものを使用して調製した。全てのステップを4℃で承認された生物学的有害物質安全条件下で実施した。血小板を4℃で20分間100×gで遠心分離して赤血球を除去した。上澄みをデカントし、15分間3000×gで遠心分離して血小板をペレット化した。血小板を10mMトリス−HCl、pH7.5、150mM NaCl、5mM EDTA中に再懸濁して200mlの合計量にし、10分間4400×gで遠心分離した。このステップをさらに2回繰り返した。血小板を5mMトリス−HCl、pH7.5、5mM EDTA中に再懸濁して約30mlの最終量にし、Dounce(商標)ホモジナイザー中の20ストロークでホモジナイズした。細胞膜を41,000×gでペレット化し、40〜50mlの20mMトリス−HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.1mMジチオスレイトール中に再懸濁し、10mlアリコートを液体N中で凍結し、−80℃で貯蔵した。細胞膜製剤を仕上げるために、アリコートを解凍し、貯留し、Dounceホモジナイザー中の5ストロークでホモジナイズした。細胞膜をペレット化し、10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.4、5mM EDTA中で3回洗浄し、20〜25mlの50mMトリス−HCl、pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTA、および1%DMSO中に再懸濁した。細胞膜のアリコートを液体N中に凍結し、−80℃で貯蔵した。細胞膜は少なくとも3ヶ月間安定であった。20単位の濃縮血小板は、一般的に250mgの膜タンパク質を生じた。タンパク濃度をLowryアッセイ(Lowryら、J. Biol. Chem.、193巻:265〜275頁(1951年))により求めた。
【0214】
ハイスループットのトロンビン受容体放射性リガンド結合アッセイ
トロンビン受容体アンタゴニストを、Ahnら(Ahnら、Mol. Pharmacol.、51巻:350〜356頁(1997年))のトロンビン受容体放射性リガンド結合アッセイの改変したものを使用して選別した。アッセイを96ウェルNuncプレート(Cat.No.269620)中で、200μlの最終アッセイ量で実施した。血小板細胞膜および[H]haTRAPを、結合緩衝液(50mMトリス−HCl、pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTA、0.1%BSA)中で、それぞれ0.4mg/mlおよび22.2nMに希釈した。試験化合物の原液(100%DMSO中10mM)を100%DMSO中でさらに希釈した。他に指示がない限り、10μlの希釈化合物溶液および90μlの放射性リガンド(5%DMSO中10nMの最終濃度)を各ウェルに添加し、100μlの細胞膜(40μgタンパク質/ウェル)の添加によって、反応を開始した。結合は5%DMSOによって大幅には阻害されなかった。化合物を3種の濃度(0.1、1および10μM)で試験した。プレートを覆い、室温で1時間Lab−Line(商標)Titer Plate Shakerで徐々にボルテックスで混合した。Packard UniFilter(商標)GF/Cフィルタープレートを0.1%ポリエチレンイミン中に少なくとも1時間浸した。インキュベートした細胞膜をPackard FilterMate(商標)Universal Harvesterを使用して回収し、300μl氷冷50mMトリス−HCl、pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTAで4回急速に洗浄した。MicroScint(商標)20シンチレーションカクテル(25μl)を各ウェルに添加し、プレートをPackard TopCount(商標)Microplate Scintillation Counterで計数した。特異的な結合を、過剰(50μM)な非標識haTRAPの存在下で観測された総結合から非特異的な結合を減算したものと定義した。トロンビン受容体に結合している[H]haTRAPの化合物による阻害%は、次の関係から計算した。
阻害%=(総結合−試験化合物の存在下での結合/総結合−非特異的結合)×100。
【0215】
材料
A(pF−F)R(ChA)(hR)Y−NHおよびA(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NHは、AnaSpec Inc.(San Jose,CA)によって注文合成された。これらのペプチドの純度は>95%であった。トリチウムガス(97%)は、EG&G Mound,Miamisburg,Ohioから購入した。次いで、このガスをIN/US Systems Inc.のTrisorberに入れ貯蔵した。MicroScint(商標)20シンチレーションカクテルは、Packard Instrument Co.から得た。
【0216】
カンナビノイドCB受容体結合アッセイ
ヒトカンナビノイドCB受容体への結合を、多少の改変を加えたShowalterら(1996年、J. Pharmacol Exp Ther. 278(3)、989〜99頁)の手法を使用して実施した。すべてのアッセイを100ulの最終量で実施した。試験化合物をDMSO中の10mMに再懸濁し、次いで、50mMトリス、pH7.1、3mM MgCl、1mM EDTA、50%DMSO中で連続希釈した。次いで、それぞれの希釈サンプルのアリコート(10ul)を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェル中に移した。ヒトCBトランスフェクションしたCHO/Ki細胞(Receptor Biology,Inc)の細胞膜を、結合緩衝液(50mMトリス、pH7.1、3mM MgCl、1mM EDTA、0.1%脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン)中に再懸濁し、次いで、結合反応中に添加した(1アッセイ当たり50ul中に約15ug)。結合緩衝液中に希釈した[H]CP−55、940(比放射能=180Ci/mmol;New England Nuclear,Boston,Mass.)の添加で反応を開始した。結合反応物中の最終リガンド濃度は0.48nMであった。室温での2時間のインキュベーション後、細胞膜を、TomTec(商標)Mach 3U 96ウェル細胞ハーベスター(Hamden,Ct)を使用して、前処理(0.5%ポリエチレンイミン;Sigma P−3143)したGF−Cフィルタープレート(Unifilter−96,Packard)を通したろ過によって回収した。プレートを100ul結合緩衝液中で10回洗浄し、細胞膜を空気乾燥させた。細胞膜上の放射能を、Packard Omniscint(商標)20シンチレーション液の添加後にTopCount(商標)NXT Microplate ScintillationおよびLuminescence Counter (Packard,Meriden,Ct)を使用して定量した。非線形回帰分析をPrism(商標)20b.(GraphPad Software,San Diego,Ca)を使用して実施した。
【0217】
上記に記載された試験手法を使用して、式Iの代表的な化合物は、約20から約420nMの範囲に及ぶトロンビン受容体K値を有することが見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1−1】

によって表される化合物、または該化合物の薬学的に許容される塩
[式中、
【化1−2】

は、価数要件により許容される二重結合または単結合を表し;但し、R10が結合している炭素が二重結合の一部である場合、R10は存在せず;
Bは、
【化2】

であり、ここで、nは、0〜5であり、nおよびnは、独立に0〜2であり、R12およびR12aは、水素、アルキルおよびハロゲンからなる群から独立に選択され;
GおよびJは、−N(R54)−、−(CR)−、−O−、−C(O)−、−S−、−S(O)−および−S(O)−からなる群から独立に選択され;但し、GおよびJの選択は、隣接した酸素または硫黄原子を生じず、少なくとも1個の炭素原子が、該酸素、窒素または硫黄原子の間に出現し;
各nは、0、1または2であり、但し、変数nの合計は、1、2または3であり;
Hetは、1から13個の炭素原子、ならびにN、OおよびSからなる群から独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含む、5から14個の原子の単環式、二環式または三環式芳香族複素環基であり、但し、芳香族複素環基中に存在する隣接した酸素または硫黄原子はなく、ここで、環窒素は、アルキル基とN酸化物または第四級基を形成することができ、ここで、Hetは、炭素原子環員を介してBに結合しており、ここで、Het基は、1から4部分、Wによって置換されており、ここで、それぞれのWは、水素;アルキル;フルオロアルキル;ジフルオロアルキル;トリフルオロアルキル;シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アルキルまたはアルケニルで置換されたヘテロシクロアルキル;アルケニル;R21−アリールアルキル;R21−アリール−アルケニル;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル;ヘテロアリールアルケニル;ヒドロキシアルキル;ジヒドロキシアルキル;アミノアルキル;アルキルアミノアルキル;ジ−(アルキル)−アミノアルキル;チオアルキル;アルコキシ;アルケニルオキシ;ハロゲン;−NR;−CN;−OH;−C(O)OR17;−COR16;−OS(O)CF;−CHOCHCF;アルキルチオ;−C(O)NR;−OCHR−フェニル;フェノキシアルキル;−NHCOR16;−NHC(O)OR16;−NHSO16;ビフェニル;−OC(RCOOR;−OC(RC(O)NR;アルキル、アミノまたは−NHC(O)OR17で置換されたアルコキシ;R21−アリール;R21−ヘテロアリール;−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)R、−NRS(ONR、−C(O)OR、−CONR、ヘテロアリール、ヒドロキシアルキルまたは−S(O)−アルキルで場合により置換されたアルキル;または−C(O)NRからなる群から独立に選択され;ここで、Het環上の隣接した炭素は、メチレンジオキシ基と環を場合によって形成することができ;
およびRは、水素、アルキル、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アリールおよびチオアルキルからなる群から独立に選択され;あるいは
およびRは、窒素に結合している場合に、一緒になって、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−CO−から選択される1〜3個のヘテロ原子と、4〜10個の原子の単環式または二環式複素環を形成し、但し、SおよびO環原子は、互いに隣接しておらず、ここで、該複素環は、置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシおよびアリールアルコキシから選択される1個または複数の基で置換されており;
は、R、フルオロアルコキシ、ジフルオロアルコキシ、トリフルオロアルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルコキシ、アリールアルコキシ、アリールアルケニルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールアルケニルオキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、アリールオキシまたはチオアルコキシであり;
は、R34−アルキル、R34−アルケニル、R34−アルキニル、R40−ヘテロシクロアルキル、R38−アリール、R38−アラルキル、R42−シクロアルキル、R42−シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)OR44、−NR43C(O)NR4445、−NHS(O)43、−OC(O)NR4344、R37−アルコキシ、R37−アルケニルオキシ、R37−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロ−アルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16または−CH(=NOR17)であり;
またはRおよびRは一緒になって、=NOR17であり;
は、水素、アルキルまたはフェニルであり;
は、水素またはアルキルであり;
それぞれのR13は、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONR、および−(CHn6C(O)NR2829から独立に選択され、ここで、nは、0〜4であり;
それぞれのR14は、水素、アルキル、−OH、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、−(CHn6NHC(O)OR16b、−(CHn6NHC(O)R16b、−(CHn6NHC(O)NR、−(CHn6NHSO16、−(CHn6NHSONR、および−(CHn6C(O)NR2829からなる群から独立に選択され、ここで、nは、0〜4であり;ここで、RおよびRは、水素、アルキル、フェニル、ベンジルおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択されるか、RおよびRは一緒になって、それらが結合している窒素と共に環を形成することができ、ここで、RおよびRにより形成された該環は、=O、OH、ORまたは−C(O)OHで場合によって置換されており;あるいは
13およびR14は一緒になって、3〜6個の環原子のスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し、ここで、該ヘテロスピロ環は、2から5個の炭素環原子およびO、SおよびNからなる群から選択される1または2個のヘテロ環原子を含有し;
16は、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立に選択され;
16aは、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立に選択され;
16bは、水素、アルコキシ、アルキル、アルコキシアルキル、R22−O−C(O)−アルキル−、シクロアルキル、R21−アリール、R21−アリールアルキル、ハロアルキル、アルケニル、ハロ置換されたアルケニル、アルキニル、ハロ置換されたアルキニル、R21−ヘテロアリール、(R21−ヘテロアリール)−アルキル−、(R21−ヘテロシクロアルキル)−アルキル−、R2829N−アルキル、R2829N−C(O)−アルキル−、R2829N−C(O)O−アルキル−、R28OC(O)N(R29)−アルキル−、R28S(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−C(O)−N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)N(R29)−アルキル−、R28−C(O)N(R29)−アルキル−、R2829N−S(O)−アルキル−、HOS(O)−アルキル−、(OH)P(O)−アルキル−、R28−S−アルキル−、R28−S(O)−アルキル−またはヒドロキシアルキルであり;
17は、水素、アルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から独立に選択され;
18およびR19は、水素、アルキル、アリール、R21−アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルコキシアルキル、ハロアルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アリールアルコキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロアリールアルコキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、(ヘテロシクリル)アルキルオキシアルキル、アルコキシアルキルオキシアルキル、−S(O)−アルキル−、−C(NH)NR、またはシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−C(O)NRから選択される1または2個の部分で置換されたアルキルであり;あるいは
18およびR19は、それらが結合している窒素と一緒になって、−O−、−N−、−S−、−S(O)−、−S(O)−および−C(O)−から選択される1〜3個のヘテロ環原子を有する4から10個の原子の単環式または二環式複素環を形成し、但し、SおよびO原子は、互いに隣接せず、この環は、置換されていないか、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRCOR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OR、−CONR、および−NR、−NRCOR、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)ORまたは−CONRで置換されたアルキルから選択される1個または複数の基で置換されており;
21は、1から3個の部分であり、それぞれのR21は、水素、−CN、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、アルキル、−OH、アルコキシ、アルキルアミノ−、ジ−(アルキル)アミノ−、−NR2526アルキル−、ヒドロキシアルキル−、−C(O)OR17、−COR17、−NHCOR16、−NHS(O)16、−C(NH)−NH、−NHS(O)CHCF、−C(O)NR2526、−NR25−C(O)−NR2526、−S(O)R16、−S(O)16、−SR16;−SONRおよび−CONRからなる群から独立に選択され;または2個の隣接したR21部分は、メチレンジオキシ基を形成することができ;
22は、水素、アルキル、フェニル、ベンジル、−COR16、−CONR1819、−COR23、−S(O)R31、−S(O)31、−S(O)NR2425または−C(O)OR27であり;
23は、
【化3−1】

であり、ここで、R35およびR36は、水素、アルキル、およびR37で置換されたアルキルからなる群から独立に選択され、ここで、R37は、HO−、HS−、CHS−、−NH、フェニル、p−ヒドロキシフェニルおよびインドリルからなる群から選択され;またはR23は、アルキル;ハロアルキル;アルケニル;ハロアルケニル;アルキニル;シクロアルキル;シクロアルキルアルキル;アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から選択される1から3個の置換基で置換されたシクロアルキル;アリール;アラルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;−NR、−NRCOR、−NRCONR、−NRC(O)OR、−NRS(O)R、−NRS(O)NR、−C(O)OR、−CONRおよび−SOHで置換されたアルキルであり;
24、R25およびR26は、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から独立に選択され;
27は、1から3個の部分であり、それぞれのR27は、水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群から選択され、ここで、R27は、−OH、−C(O)OH、ハロゲンおよびアルコキシで場合によって置換されており;
28およびR29は、水素、アルキル、アルコキシ、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、およびハロアルキルからなる群から独立に選択され;あるいは
28およびR29は一緒になって、3〜6個の環原子を有するスピロ環またはヘテロスピロ環を形成し;
32およびR33は、水素、R34−アルキル、R34−アルケニル、R34−アルキニル、R40−ヘテロシクロアルキル、R38−アリール、R38−アラルキル、R42−シクロアルキル、R42−シクロアルケニル、−OH、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHS(O)43、−OC(O)NR4344、R37−アルコキシ、R37−アルケニルオキシ、R37−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロ−アルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から独立に選択され;
またはR32およびR33は結合して下記の環構造Qを形成し、
【化3−2】

ここで、
は、水素、OH、アルコキシ、ハロゲンまたはハロアルキルであり;
Qは、O、S、S(O)、S(O)およびNR22から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する、4〜8個の原子の、縮合したRで置換されたアリール、Rで置換されたヘテロアリール、Rで置換された複素環であり、但し、SおよびOは、互いに隣接することはできず、あるいは
Qは
【化4】

であり;
10およびR11は、R、フルオロアルコキシ、ジフルオロアルコキシ、トリフルオロアルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アリールアルコキシ、アリールアルケニルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、ヘテロアリールアルケニルオキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、アリールオキシおよびチオアルコキシからなる群から独立に選択され、但し、環Qが芳香族であり、R10およびR11を有する炭素原子が二重結合で結合されている場合、R10およびR11は存在せず;
Rは、1から5個の部分であり、それぞれのRは、水素、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、−COR16、−C(O)OR17、−C(O)NR、−SOR16、−S(O)R16、−NR16COR16a、−NR16C(O)OR16a、−NR16CONR、−NR16S(O)NR、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリールおよびチオアルキルからなる群から独立に選択され;
34は、1から3個の部分であり、それぞれのR34は、水素、ハロゲン、−OH、アルコキシ、R47−アリール、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、ヘテロシクロアルキル、R39−シクロアルキル、R39−シクロアルケニル、−OC(O)R43、−C(O)OR43、−C(O)R43、−C(O)NR4344、−NR4344、−NR43C(O)R44、−NR43C(O)NR4445、−NHSO43、−OC(O)NR4344、R39−アルケニルオキシ、R39−アルキニルオキシ、R40−ヘテロシクロアルキルオキシ、R42−シクロアルキルオキシ、R42−シクロアルケニルオキシ、R42−シクロアルキル−NH−、−NHSONHR16および−CH(=NOR17)からなる群から独立に選択され;
38は、1から3個の部分であり、それぞれのR38は、水素、ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、−C(O)OR48、−CN、−C(O)NR4950、−NR51C(O)R52、−OR48、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキルアルキル、ハロアルキルシクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、およびR52−ヘテロアリールからなる群から独立に選択され;または隣接した環炭素上の2個のR38基は、縮合メチレンジオキシ基を形成し;
39は、1から3個の部分であり、それぞれのR39は、水素、ハロゲンおよびアルコキシからなる群から独立に選択され;
40は、1から3個の部分であり、それぞれのR40は、水素、R41−アルキル、R41−アルケニルおよびR41−アルキニルからなる群から独立に選択され;
41は、水素、−OHまたはアルコキシであり;
42は、1から3個の部分であり、それぞれのR42は、水素、アルキル、−OH、アルコキシおよびハロゲンからなる群から独立に選択され;
43、R44およびR45は、水素、アルキル、アルコキシアルキル、R38−アリールアルキル、R46−シクロアルキル、R53−シクロアルキルアルキル、R38−アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルアルキルおよびヘテロアリールアルキルからなる群から独立に選択され;
46は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアルコキシであり;
47は、1から3個の部分であり、それぞれのR47は、水素、アルキル、−OH、ハロゲン、−CN、アルコキシ、トリハロアルコキシ、アルキルアミノ、ジ(アルキル)アミノ、−OCF、ヒドロキシアルキル、−CHO、−C(O)アルキルアミノ、−C(O)ジ(アルキル)アミノ、−NH、−NHC(O)アルキルおよび−N(アルキル)C(O)アルキルからなる群から独立に選択され;
48は、水素、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリフルオロアルキルであり;
49およびR50は、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択され、あるいはR49およびR50は一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CH−NR39−(CH−であり、それらが結合している窒素と共に環を形成し;
51およびR52は、水素、アルキル、アラルキル、フェニルおよびシクロアルキルからなる群から独立に選択され、または基−NR39C(O)R40におけるR51およびR52は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜8個の環員を有する環状ラクタムを形成し;
53は、水素、アルコキシ、−SOR16、−SO17、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、アルキル、ハロゲン、フルオロアルキル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アラルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アリール、チオアルキル、アルコキシアルキルまたはアルキルアミノアルキルであり;
54は、水素;アルキル;フルオロアルキル;ジフルオロアルキル;トリフルオロアルキル;シクロアルキル;アルコキシアルキル、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−C(O)OH、−C(O)ORおよび−CONRからなる群から選択される1から3個の置換基で置換されたシクロアルキル;アルケニル;アルコキシ;アリールアルキル;アリールアルケニル;ヘテロアリールアルキル;ヘテロアリールアルケニル;ヒドロキシ;アルコキシ;ヒドロキシアルキル;アルコキシアルキル;アミノアルキル;アリール;ヘテロアリール;尿素、スルホンアミド、カルボキサミド、カルボン酸、カルボン酸エステルおよびスルホニル尿素からなる群から選択される1から3個の置換基で置換されたチオアルキルおよびアルキルからなる群から選択される]。
【請求項2】
がOHまたはアルコキシであり、RがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がメトキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが一緒になって、=NOHまたは=NO−アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
およびRが一緒になって、=NO−エチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
32およびR33が結合して、環構造Qを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Qが、
【化5】

である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
32がアルキルであり、R33がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
32がメチルであり、R33がメチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Bが、−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−(ここで、nおよびnは0である)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Hetが、Wで置換されたピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Wが、アリール、ヘテロアリールまたはハロゲンもしくは−CNで置換されたアリールである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Wが、ハロゲンまたはシアノで置換されたフェニルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が−CH−であり、Gが−(CR)−(ここで、RはHであり、RはHまたはアルキルである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、−CH−または−CH(CHCH)−である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
、R10およびR11が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がOHまたはアルコキシであり、RがHであるか、RおよびRが一緒になって、=NOHまたは=NO−アルキルであり;
Qが、
【化6】

であり;
Hetが、Wで置換されたピリジルであり;
Wが、ハロゲンまたはシアノで置換されたフェニルであり;
Bが、−(CHn4CR12=CR12a(CHn5−(ここで、nおよびnは0である)であり;
が、−CH−であり;
Gが、−(CR)−(ここで、RはHであり、RはHまたはアルキルである)であり;
、R10およびR11が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の有効量および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
トロンビン受容体を阻害する方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項20】
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生に関係する障害、不整脈、心臓血管または循環器疾患または状態、心不全、急性冠症候群、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、脳梗塞、片頭痛、勃起障害、関節リウマチ、リウマチ、アストログリオーシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管のホメオスタシス、腎虚血、膀胱炎、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、ニューロパシー、悪性腫瘍、神経変性および/もしくは神経毒性疾患、状態もしくは損傷、アルツハイマー病、炎症性疾患もしくは状態、ぜんそく、緑内障、黄斑変性、乾癬、肝臓、腎臓もしくは肺の内皮性機能不全障害、肺および胃腸管の炎症性障害、気道疾患もしくは状態、放射線線維症、内皮性機能不全、歯周疾患もしくは創傷、または脊髄損傷、あるいはそれらの症状または結果の治療方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に、請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項21】
前記炎症性疾患もしくは状態が、過敏性腸症候群、クローン病、腎炎、または胃腸管、肺、膀胱、胃腸管もしくは他の器官の放射線もしくは化学療法により誘発される増殖性もしくは炎症性障害である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記気道疾患もしくは状態が、可逆性気道閉塞、ぜんそく、慢性ぜんそく、気管支炎または慢性気道疾患である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記癌が、腎細胞癌または血管新生に関係する障害である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、筋萎縮側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病またはウィルソン病である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも2種の治療効果のある薬剤を投与するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、血管新生に関係する障害、不整脈、心臓血管または循環器疾患または状態、心不全、急性冠症候群、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、末梢血管疾患、深部静脈血栓症、静脈血栓塞栓症、ホルモン補充療法に関連した心臓血管疾患、播種性血管内凝固症候群、脳梗塞、片頭痛、勃起障害、関節リウマチ、リウマチ、アストログリオーシス、肝臓、腎臓、肺または腸管の線維性障害、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、骨粗しょう症、腎疾患、急性腎不全、慢性腎不全、腎臓血管のホメオスタシス、腎虚血、膀胱炎、糖尿病、糖尿病性神経障害、脳卒中、脳虚血、腎炎、癌、メラノーマ、腎細胞癌、ニューロパシー、悪性腫瘍、神経変性および/もしくは神経毒性疾患、状態もしくは損傷、アルツハイマー病、炎症性疾患もしくは状態、ぜんそく、緑内障、黄斑変性、乾癬、肝臓、腎臓もしくは肺の内皮性機能不全障害、肺および胃腸管の炎症性障害、気道疾患もしくは状態、放射線線維症、内皮性機能不全、歯周疾患もしくは創傷、または脊髄損傷、あるいはそれらの症状または結果の治療方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の化合物の有効量を少なくとも1種のさらなる心血管作動薬と組み合わせて投与するステップを含む、方法。
【請求項27】
前記さらなる心血管作動薬が、トロンボキサンA2生合成阻害剤、GP IIb/IIIaアンタゴニスト、トロンボキサンアンタゴニスト、アデノシン二リン酸阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アンジオテンシンアンタゴニスト、エンドセリンアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、抗凝血剤、利尿薬、および血小板凝集阻害剤からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記さらなる心血管作動薬が、アスピリン、キャングリラー、重硫酸クロピドグレル、プラスグレルおよびフラグミンからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記さらなる心血管作動薬が、アスピリンおよび重硫酸クロピドグレルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記さらなる心血管作動薬が、アスピリンおよびプラスグレルである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
カンナビノイド受容体の阻害方法であって、このような治療を必要とする哺乳動物に請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項32】
精製された形態の請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
単離された形態の請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
患者の悪性ではない組織における放射線または薬品により誘発される毒性の治療または予防方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
【請求項35】
放射線および/または薬品により誘発される毒性が、1種または複数の腸線維症、肺炎、腸管の粘膜炎、口腔粘膜炎、腸管の放射線症候群、または腸管の放射線曝露の病態生理学的発現である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
放射線および/または化学毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における構造的放射線傷害の軽減;放射線および/または化学毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における炎症の軽減;放射線および/または化学毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における有害な組織再構築;あるいは放射線および/または化学毒性に曝露されるであろう、同時に曝露される、または曝露された患者における線維増殖性組織の効果の軽減の方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項37】
細胞増殖障害を患う患者における細胞増殖障害の治療方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の化合物の治療有効量を投与するステップを含む方法。
【請求項38】
前記細胞増殖障害が、膵癌、神経膠腫、卵巣癌、結腸直腸癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、メラノーマ、または胃癌である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記神経膠腫が、未分化星状細胞腫または多形性膠芽腫である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
式:
【化7】

【化8】

の化合物。

【公表番号】特表2009−534308(P2009−534308A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502927(P2009−502927)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/007497
【国際公開番号】WO2007/126771
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】