説明

ドーパミンD3受容体モジュレーターとしてのアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体

本発明は、式(I)の新規な化合物またはその医薬上許容される塩、その製法、その製法にて使用される中間体、該化合物を含有する医薬組成物、ドーパミンD3受容体のモジュレーターとしての、例えば抗精神病薬としての薬物依存症を治療するための、強迫神経症スペクトル障害、早漏または認知障害を治療するための、その治療における使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーパミンD受容体のモジュレーターとしての、化合物、それらの製造方法、それらの方法に使用される中間体、それらを含む医薬組成物およびそれらの治療での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2002/40471号(SmithKline Beecham)は、ドーパミンD受容体で活性を有する特定のベンズアゼピン化合物を開示する。
最近になって、一の特許出願がWO2005/080382として公開され、それは以下の式(I)の化合物またはその塩を開示する:
【化1】

【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ドーパミン受容体、特にドーパミンD受容体に対して親和性を有する新たな一連の化合物が見出された。それらの化合物は、そのD受容体のモジュレーションが有益な状態の処置に、例えば薬物依存を処置するためにまたは抗精神病薬として、潜在能力がある。
【0004】
本発明は、式(I):
【化2】

[式中:
Gは、フェニル、ピリジル、ベンゾチアゾリルおよびインダゾリルからなる群より選択され;
pは、0、1、2、3、4または5であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択されるか、あるいは、R基に対応するものであり;
は、イソオキサゾリル、−CH−N−ピロリル、1,1−ジオキシド−2−イソチアゾリジニル、チエニル、チアゾリル、ピリジルおよび2−ピロリジノニルからなる群より選択され、そして、該基は、所望により、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC1−4アルカノイルからなる群より選択される1個または2個の置換基で置換されていてもよく;
mは、2、3、4または5であり;
Aは、S、Oまたは−CH−であり;
Qは、トリアゾリル以外の5員の複素環式芳香族基であって、該5員の複素環式芳香族基は、所望により、1個または2個のC1−4アルキルにより置換されていてもよく;そして
は、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基、または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよく、
そして、RがRに対応するものである場合、pは1である]
で示される化合物、またはその塩を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
用語「C1−4アルキル」は、1個から4個の炭素原子を有するアルキル基であり、すべての異性体、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを示す。用語「n−C1−4アルキル」は、以上で定義されたように分岐していないアルキルを示す。
【0006】
用語「C1−4アルコキシ」は、1個から4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシ(または「アルキルオキシ」)基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシを示す。
本明細書中で使用される「C1−4アルカノイル基」なる語は、直鎖または分岐鎖のアルカノイル基、例えば、アセチル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、i−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニルまたはt−ブチルカルボニル等であってもよい。
【0007】
本明細書中で使用される「ハロC1−4アルキル」なる語は、1個または複数の炭素原子を有するアルキル基を意味し、少なくとも1個の水素原子がハロゲンで置換されている、例えば、トリフルオロメチル基等を意味する。
本明細書中で使用される「ハロC1−4アルコキシ基」なる語は、少なくとも1個のハロゲン、好ましくはフッ素で置換されている、上記したC1−4アルコキシ基、例えばOCHFまたはOCFであってもよい。
用語「SF」は、ペンタフルオロスルファニルを示す。
【0008】
用語「ハロゲン」およびその略語「ハロ」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を示す。用語「ハロ」が他の基の前に用いられる場合、それは、その基が1個、2個または3個のハロゲン原子により置換されていることを示す。例えば、「ハロC1−4アルキル」は、トリフルオロメチル、ブロモエチル、トリフルオロプロピル、および以上で定義されたC1−4アルキル基から誘導された別の基などの基を示す;そして、用語「ハロC1−4アルコキシ」は、トリフルオロメトキシ、ブロモエトキシ、トリフルオロプロポキシ、および以上で定義されたC1−4アルコキシ基から誘導された別の基を示す。
【0009】
用語「ヘテロシクリル」は、5員もしくは6員の単環式基または8員〜11員の二環式基を示し、ここで、1、2、3、4または5個の炭素原子が、O、SまたはNから独立して選択されるヘテロ原子により置換されており、そして、それらは部分的にもしくは完全に飽和されている。完全に飽和された5員もしくは6員の単環式環の「ヘテロシクリル」の例には、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリル、チアゾリル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニル、ジオキサニル、テトラヒドロ−2H−ピラニルおよびジチアニルが挙げられる。部分的に飽和された5員もしくは6員の単環式環の「ヘテロシクリル」基の例には、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル(isoaxazolinyl)、イミダゾリニル、ピラゾリニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジルおよび3,6−ジヒドロ−2H−ピラニルが挙げられる。完全に飽和された8員〜11員の二環式環の「ヘテロシクリル」基の例には、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジニルおよびオクタヒドロ−1H−シクロペンタ[b]ピロリジニルが挙げられる。部分的に飽和された8員〜11員の二環式環の「ヘテロシクリル」基の例には、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニルおよび2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンズアゼピニルが挙げられる。
【0010】
用語「5員の複素環式芳香族基」は、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子、例えば、O、NまたはSから選択される1個〜3個のヘテロ原子を含む5員芳香族基を示す。用語「5員もしくは6員の複素環式芳香族基」は、1個、2個、3個または4個のヘテロ原子、例えば、O、NまたはSから選択される1個〜3個のヘテロ原子を含む5員もしくは6員の芳香族基を示す。例えば、基が、2個、3個または4個のヘテロ原子を含む場合、1つは、O、NまたはSから選択されてよく、残りのヘテロ原子は、Nであってよい。5員の複素環式芳香族基の例には、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、フラザニル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニルおよびチアジアゾリルが挙げられる。6員の複素環式芳香族基の例には、ピリジル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピラジニルが挙げられる。
【0011】
用語「8員〜11員の二環式基」は、全部で8個、9個、10個または11個の炭素原子を含む二環式環系を示し、ここで、1個、2個、3個または4個または5個の炭素原子は、O、SまたはNから独立して選択されるヘテロ原子により置換されていてもよい。この用語には、両方の環が芳香族の二環式系、ならびに、1つの環が部分的に飽和もしくは完全に飽和されている二環式環系が含まれる。両方の環が芳香族の8員〜11員の二環式基の例には、インデニル、ナフチルおよびアズレニルが挙げられる。両方の環が芳香族であり、1個、2個、3個、4個または5個のヘテロ原子を含む8員〜11員の二環式基の例には、6H−チエノ[2,3−b]ピロリル、イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾリル、イミダゾ[5,1−b][1,3]チアゾリル、[1,3]チアゾロ[3,2−b][1,2,4]トリアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、例えば、ベンズイミダゾール−2−イル、ベンズオキサゾリル、例えば、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ナフトリジニル、キノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニルおよびイソキノリルが挙げられる。1個、2個、3個、4個または5個のヘテロ原子を有し、そのいずれかの環が部分的にもしくは完全に飽和している8員〜11員の二環式基の例には、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、テトラヒドロナフチル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリル、ベンゾオキサジニルおよびベンゾアゼピニルが挙げられる。
これらのいずれの基も、任意の適当な部位の残りの分子と結合されてもよい。
【0012】
本明細書中で用いられる用語「塩」は、無機酸または有機酸または塩基、四級アンモニウム塩および内部形成塩(internally formed salt)から調製される、本発明に基づく化合物の塩のいずれかを示す。生理学的に許容される塩は、親化合物と比較して、そのより高い水溶解度のため医薬用途に特に適している。そのような塩は、生理学的に許容されるアニオンまたはカチオンを有していなければならないことは明らかである。本発明化合物の適当な生理学的に許容される塩には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸と、ならびに、有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンホル硫酸(camphorsulfuric acid)、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パトテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸、およびアリールスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸とで形成される酸付加塩;アルカリ金属やアルカリ土類金属と有機塩基、例えば、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リジンおよびプロカインとで形成される塩基付加塩;ならびに、内部形成塩が挙げられる。生理学的に許容されないアニオンまたはカチオンを有する塩は、生理学的に許容される塩の調製のための有用な中間体として、および/または治療のためでない使用について、例えばインビトロ環境での使用に関して、本発明の範囲内にある。
【0013】
1つの態様において、Gはフェニルまたはピリジルである。
1つの態様において、pは1または2である。
別の態様において、pは0である。
1つの態様において、Rは、ハロゲン(例えば、クロロ、ブロモまたはフルオロ)、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、C1−4アルキル(例えば、tert−ブチル)、シアノ、アセチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシである。
1つの態様において、Aは硫黄である。
【0014】
1つの態様において、Rは、ハロゲン、シアノ、C1−2アルキル(例えば、メチル)、ハロC1−2アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、C1−2アルコキシ(例えば、メトキシ)、C1−3アルカノイル(例えば、アセチル)から選択される1個または2個の置換基により置換されていてもよい、イソオキサゾリル、2−ピロリジノニル、1,1−ジオキシド−2−イソチアゾリジニルからなる群より選択される。例えば、Rは、イソオキサゾリル、2−ピロリジノニル、−CH−N−ピロリル、1,1−ジオキシド−2−イソチアゾリジニル、2−チエニル、2−ピリジルまたは2−チアゾリルである。
1つの態様において、mは、4または5である。
Qは、トリアゾリル以外の5員ヘテロ芳香環である。1つの態様において、ヘテロ芳香環は、少なくとも1つのNを含む。
【0015】
もう一つ別の実施形態において、Gはフェニルである。
もう一つ別の実施形態において、pは1である。
もう一つ別の実施形態において、Rはトリフルオロメチルである。
もう一つ別の実施形態において、mは3である。
【0016】
もう一つ別の実施形態において、Rは水素、C1−4アルキル(メチルなど)、所望により置換されていてもよいフェニル(例えば、フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3,4−ジフルオロフェニル)、キノリニル(例えば、2−メチルキノリン、8−フルオロ−2−メチルキノリン)などの所望により置換されていてもよい二環式基、所望により置換されていてもよいピラニル(例えば、4−テトラヒドロ−2H−ピラニル)、所望により置換されていてもよいピリジニル(例えば、3−メチル−2−ピリジニル、2−メチル−3−ピリジニル、3−ピリジニル、2−メチル−6−トリフルオロメチル−3−ピリジニル)、所望により置換されていてもよいピラゾリル(例えば、5−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、1−メチル−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イル、1,5−ジメチル−1H−ピラゾリル−4−イル)、所望により置換されていてもよいピリミジル(例えば、5−ピリミジニル)、所望により置換されていてもよいピリダジニル(例えば、4−ピリダジニル)、所望により置換されていてもよいピラジニル(例えば、5−メチル−2−ピラジニル)、所望により置換されていてもよいフラニル(例えば、3−メチル−2−フラニル、2,5−ジメチル−3−フラニル)、所望により置換されていてもよいチエニル(例えば、5−クロロ−2−チエニル)、所望により置換されていてもよいオキサゾリル(例えば、4−メチル−1,3−オキサゾール−5−イル、2−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−オキサゾール−4−イル)、所望により置換されていてもよいイソオキサゾリル(例えば、3−メチル−5−イソオキサゾリル)、所望により置換されていてもよいチアゾリル(例えば、2,4−ジメチル−1,3−チアゾール−5−イル)、所望により置換されていてもよいトリアゾリル(例えば、1−メチル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)である。
【0017】
一の実施形態において、Qはイミダゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、トリアゾリル、フラザニル、イソチアゾリルまたはイソオキサゾリルであり、その各々は、所望により、C1−4アルキル基で置換されていてもよい。
一の実施形態において、Rは水素、C1−4アルキル(メチル等)、所望により置換されていてもよいフェニル(例えば、4−クロロフェニル)、所望により置換されていてもよいピリジニル(例えば、3−ピリジニル)、所望により置換されていてもよいフラニル(例えば、2−フラニル)、所望により置換されていてもよいチエニル(例えば、5−クロロ−2−チエニル)である。
【0018】
一の実施形態において、Qはイミダゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、テトラゾリルまたはチエニルであり、その各々は、所望により、C1−4アルキル基で置換されていてもよい。
一の実施形態において、Rがフェニル、ヘテロサイクリル基、5−または6−員の複素芳香族基または8−ないし11−員の二環式基である場合、それは、Aとの結合から3位にある原子と結合し、すなわち、
【化3】

[式中、R、p、G、m、AおよびQは、式(I)で定義されたものであり、nは、0、1もしくは2であり、Rは、C1−4アルキルであり、そして、Rは、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、所望により、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]
を提供する。
【0019】
1つの態様において、本発明は、式(IB):
【化4】

[式中、R、p、G、mおよびAは、式(I)で定義されたものであり、nは、0、1もしくは2であり、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Wは、CもしくはNであり、Xは、NもしくはCRであり、そしてYは、O、S、NHもしくはNC1−4アルキルであり、ここで、Rは、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0020】
1つの態様において、式(IC):
【化5】

[式中、Rおよびpは、式(I)で定義されたものであり、nは、0、1もしくは2であり、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Wは、CまたはNであり、Xは、NまたはCRであり、そして、Yは、O、S、NH、またはNC1−4アルキルであり、ここで、Rは、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0021】
本発明に含まれる特定の基/置換基は、異性体として存在してもよい。本発明は、その範囲内に、ラセミ体、エナンチオマー、相互異性体およびそれらの混合物を含む該異性体の全てを含む。式(I)で示される化合物に含まれる置換された複素環式芳香族基のいくつかは、1つまたはそれ以上の互変異性型で存在してもよい。本発明は、その範囲内に、混合物を含むそのような互変異性型の全てを含む。
【0022】
式(I)’で示される化合物は、少なくとも2個の、すなわち、本化合物の3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン部分の1位および5位にキラル中心が存在することは認められよう。縮合したシクロプロパンの存在のため、式(I)で示される化合物は、置換基の「シス」配置を有する(二環式環系に連結された両方の基は、その二環式環系の同一面にある)と考えられる。従って、本化合物は、シクロプロパンにおけるキラル中心に関してエナンチオマーとなる2つの立体異性体で存在してもよい。また、ほとんどの生物活性分子と同じように、その生物学的活性レベルが所定の分子の個々の立体異性体の間で異なり得ることは認められる。本発明の範囲には、すべての個々の立体異性体(ジアステレオ異性体およびエナンチオマー)およびすべてのそれらの混合物(限定されるものではないが、本明細書に記載される手順に関して適当な生物活性を示すラセミ混合物を含む)が含まれることが意図される。
【0023】
本発明の他の実施形態において、シクロプロピル部分側に太線で強調された2つの結合により表される「シス」配置を有する式(I)で示される化合物に対応する式(I)’:
【化6】

[式中、G、p、R、m、A、QおよびRは、式(I)で示される化合物について上記で定義されたものである]
で示される化合物が提供される。
【0024】
式(I)’で示される化合物において、少なくとも2個のキラル中心が存在し、それらは、以下に示すように(太線で強調された結合は「シス」配置を意味する):
【化7】

シクロプロパン部分に位置する。
【0025】
Gが上記した複素芳香族基の一つである場合、式(IA)の化合物の立体配置が異なるカーン−インゴールド−プレローグ命名法の優先順位のため、(1R、5R)となる点に留意すべきである。
【0026】
本発明のさらなる実施形態において、立体配置(1S,5R)(または、Gが上記した複素芳香族基の一つである場合、おそらくは(1R,5R))に富んだ、式(I)で示される化合物の立体異性体に対応する式(ID):
【化8】

[式中、G、p、R、m、A、QおよびRは、式(I)’の化合物について上記で定義されたものである]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【0027】
本発明の内容において、式(I)で示される立体配置(1S,5R)(または、Gが上記した複素芳香族基の一つである場合、おそらくは(1R,5R))に富む立体異性体は、1つの実施形態において、少なくとも90%の鏡像体過剰率に相当する。他の実施形態において、異性体は少なくとも95%の鏡像体過剰率に相当する。他の実施形態において、異性体は少なくとも99%の鏡像体過剰率に相当する。
【0028】
本発明の化合物の絶対配置を決定する方策は、最初の工程で、分割剤として(S)−(+)アセチルマンデル酸を用いたキラル中間体、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン:
【化9】

の調製が含まれる。
【0029】
文献において、このキラル中間体に類似する一連の化合物の絶対配置が知られており、J. Med Chem 1981, 24(5), 481-90を参照のこと。この報文中に開示された幾つかの化合物に関する、その絶対配置は単結晶X線解析により提供された。
【0030】
キラル中間体、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンの絶対配置の割り当ては、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、(S)−(+)−マンデル酸塩の結晶から得られた単結晶X線構造により確認された。(S)−(+)マンデル酸の既知の立体配座に、そして異常分散効果の基礎の両方に基づく分析により、この化合物の割り当ては、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンであると確認された。このキラル中間体が本発明の例示的なすべての化合物の調製に用いられるため、すべての例示的な化合物の絶対配置は、当業者による妥当な推定に基づき、そのキラル中間体と同じであると考えられる。
【0031】
キラル分子は振動円偏光二色性(VCD)を示す。振動円偏光二色性(VCD)は、振動励起中の左回りと右回りの円偏光近赤放射を有するキラル分子の様々な相互作用である。
【0032】
キラル分子のVCDスペクトルは、その三次元構造に依存する。最も重要なことは、キラル分子のVCDスペクトルは、屈曲性分子の場合、その立体配置の絶対配置に敏感な関数である。従って、原理的に、VCDはキラル分子の構造の決定を可能にする。VCDスペクトルは、1970年代に初めて測定された。次いで、スペクトル範囲および感受性について、VCD機器は猛烈に開発された。現在、分散およびフーリエ変換(FT)VCD機器の両方を用いて、大部分の基本的な近赤(IR)スペクトル範囲(v≧650cm−1)にわたって可能な分解能(1〜5cm−1)で高感度に、液体および溶液のVCDスペクトルが測定され得る。最近では、商業的なFT VCD機器が利用できるようになり、さらにVCDスペクトルに接しやすくなっている。
【0033】
現在、キラル分子の絶対配置の決定について信頼性のある方法としてVCDの使用が、広く確立されている(例えば、Shah RDら、Curr Opin Drug Disc Dev 2001;4:764774;Freedman TBら、Helv Chim Acta 2002; 85:11601165;Dyatkin ABら、Chirality 2002;14:215219;Solladie'-Cavallo A, Balaz Metら、Tetrahedron Assym 2001;12:26052611Nafie LAら、Circular dichroism, principles and applications, 第2版. New York: John WileyおよびSons; 2000. p 97131;Nafie LAら、Yan B, Gremlish H-U編集. Infrared and Raman spectroscopy of biological materials. New York: Marcel Dekker; 2001. p 1554;Polavarapu PLら、J Anal Chem 2000;366:727734;Stephens PJら、Chirality 2000;12:172179;Solladie-Cavallo Aら、Eur J Org Chem 2002: 17881796を参照のこと)。
【0034】
この方法は、特定の配置に関するスペクトルの計算を用いて、観察されたIRおよびVCDスペクトルの比較を必要とし、絶対配置と溶液構造の両方の情報を提供する。
【0035】
絶対配置および/または立体配置が分かっていないキラル分子の実験スペクトルが得られた場合、決定するための一般的な手順は、次のとおりである:1)可能なすべての構造を定める;2)それらの構造のスペクトルを予測する;そして3)予測されたスペクトルを、実験スペクトルと比較する。正しい構造は、実験スペクトルと一致を示すであろうが;正しくないスペクトルは、実験スペクトルと一致しないであろう。
【0036】
VCDスペクトルは、いつも振動非偏光吸収スペクトル(「赤外(IR)スペクトル」)と同時に測定され、その2つの振動スペクトルは一緒になって、VCDスペクトル単独で行うよりもより多くの情報を提供する。加えて、振動非偏光吸収スペクトルは、VCDスペクトルと同時に自動的に予測される。
アブイニシオ(非経験的)割り当てについて、VCDおよび非偏光IRスペクトルは、ガウシアン(Gaussian)98ソフトウェア・パッケージを用いて計算された。
【0037】
キラル有機分子を合成した場合(または、天然物を単離した場合)、それらの旋光度は、通常、1つの周波数で、または、可視近紫外線スペクトル領域の少数の離散周波数で測定される。最も一般的には、1つの周波数での比旋光度、ナトリウムD線[α]の比旋光度が測定される。用いられる周波数は、電子吸収の閾値より下にあり、すなわち、それらは、「透明な」スペクトル領域にある。旋光度は、試料の鏡像体過剰率(ee)および優勢的なエナンチオマーの絶対配置(AC)を反映する。
【0038】
所定の周波数で100%eeの旋光度が利用できる場合、同じ周波数で測定された旋光度は、試料を決定することを可能にする。このeeの決定は、離散周波数、透明なスペクトル領域の旋光度の主な適用である。原理的に、未知であっても、主なエナンチオマーのACも決定することができる。しかしながら、旋光度からのACの決定には、既知AC分子の旋光度を、確実性をもって予測するアルゴリズムを必要とし、離散周波数、透明なスペクトル領域の旋光度を予測するための多くの方法論が提示されている(Eliel EL, Wilen SH. Stereochemistry of organic compounds. New York: John WileyおよびSons; 1994. 13章)。
【0039】
近年、アブイニシオ密度関数理論(DFT)の発展により、旋光度計算の正確性が急速に改善された。結果として、最初から旋光度からACを慣用的に得ることを可能にした。
アブイニシオOR割り当てについては、ダルトン・クァンタム・ケミストリー・プログラムが用いられる。
【0040】
1つの実施形態において、(1S,5R)配置(Gが上記した複素芳香族基の一つである場合、おそらくは(1R,5R)配置)に富む立体化学異性体またはその塩が得られる:
【化10】

[式中、R、p、G、m、AおよびQは、式(I)で定義されたものであり、nは0、1または2であり、Rは、C1−4アルキルであり、そしてRは、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]。
【0041】
1つの実施形態において、(1S,5R)配置(あるいはGが上記した複素芳香族基の一つである場合、おそらくは(1R,5R)配置)に富む立体化学異性体またはその塩が得られる:
【化11】


[式中、R、p、G、mおよびAは、式(I)で定義されたものであり、nは0、1もしくは2であり、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Wは、CまたはNであり、XはNまたはCRであり、そして、YはO、S、NHまたはNC1−4アルキルであり、ここで、Rは、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]。
【0042】
1つの実施形態において、(1S,5R)配置に富む立体化学異性体またはその塩が得られる:
【化12】

[式中、Rおよびpは、式(I)で定義されたものであり、nは、0、1もしくは2であり、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Wは、CまたはNであり、Xは、NまたはCRであり、そして、Yは、O、S、NHまたはNC1−4アルキルであり、ここで、Rは、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基、または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]
で示される立体化学異性体またはその塩が提供される。
【0043】
医薬での使用に関して、本発明の化合物の塩は医薬上(すなわち、生理学的に)許容されなければならないことは認められよう。適当な医薬上許容される塩は、当業者には明らかであろうし、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸;および有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸とで形成される酸付加塩が挙げられる。他の医薬上許容されない塩、例えばシュウ酸塩は、例えば、本発明化合物の単離に用いることができ、本発明の範囲内に含まれる。また、本発明に含まれるものには、発明化合物の溶媒和物、水和物、複合体およびプロドラッグがある。また、医薬上許容される塩は、慣用の方法を用いて、式(I)で示される化合物の他の塩を含む、他の塩から調製することができる。
【0044】
本発明の化合物の幾つかは、1またはそれ以上の当量の酸との酸付加塩を形成していてもよい。本発明は、その範囲内に可能なすべての化学量論のおよび非−化学量論の形態を含む。本発明の化合物の幾つかは、1当量未満の酸と、または1またはそれ以上の当量の酸との酸付加塩を形成していてもよい。本発明は、その範囲内に、可能なすべての化学量論のおよび非−化学量論の形態を含む。
【0045】
有機化学の分野の当業者であれば、多くの有機化合物が、それらが反応され、またはそれらが沈殿されもしくは結晶化される溶媒と複合体を形成し得ることは認められよう。これらの複合体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内にある。式(I)で示される化合物は、適当な溶媒の結晶化または蒸発により溶媒分子との関係で容易に単離でき、対応する溶媒和物を得ることができる。
【0046】
加えて、プロドラッグはまた、本発明の内容に含まれる。本明細書で用いられる用語「プロドラッグ」は、体内で、例えば血中での加水分解により医薬効果を有するその活性型に変換される化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella, the A.C.S. Symposium SeriesのProdrugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, Edward B. Rocheら、Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987およびD. Fleisher, S. RamonおよびH. Barbraの「Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs」、Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 19(2) 115-130に記載されている(これらはそれぞれ出典明示により本明細書の一部とされる)。
【0047】
プロドラッグは、いずれかの担体と共有結合で結合されており、そのようなプロドラッグは、患者に投与された場合に、インビボ(生体内)で、式(I)で示される化合物を放出する。プロドラッグは、そのモディフィケーションが、慣用の操作もしくは生体内のいずれかで開裂されて、親化合物を生成するよう、官能基がモディファイされることにより一般的に調製される。プロドラッグには、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が、いずれかの基と結合され、患者に投与された場合に、そのヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成する、本発明の化合物が含まれる。従って、プロドラッグの代表的な例には(限定されるものではないが)、構造(I)で示される化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体が含まれる。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、エステルが、例えば、メチルエステル、エチルエステル、およびその類似物が用いられ得る。エステルが、それ自体で活性であってよいし、および/またはヒト体内でのインビボ条件下で加水分解されてもよい。適当な医薬上許容されるインビボ加水分解性エステル基は、ヒト体内で容易に崩壊し、その親酸もしくはその塩を放出するものが含まれる。
【0048】
さらに、式(I)で示される化合物の結晶形の幾つかは、多形として存在してよく、それらは本発明に含まれる。
当業者には、本発明またはその溶媒和物の化合物の調製において、望ましくない副作用を防ぐため、分子中の1つまたはそれ以上の反応性の基を保護する必要があるおよび/または望ましい場合がある。本発明に関する使用のために適当な保護基は、当業者には周知であり、通常の様式で用いることができる。例えば、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts (John Wileyおよびsons 1991)による「Protective groups in organic synthesis」またはP.J. Kocienski (Georg Thieme Verlag 1994) による「Protecting Groups」を参照のこと。適当なアミノ保護基の例としては、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、脂肪族ウレタン型の保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、クロロトリチル)が挙げられる。適当な酸素保護基の例としては、例えば、アルキルシリル基、例えばトリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリル;アルキルエーテル、例えば、テトラヒドロピラニルまたはtert−ブチル;またはエステル、例えば、アセテートが含まれ得る。
【0049】
一般式(I)で示される化合物の特定のエナンチオマーが要求される場合、それは、例えば、慣用の方法を用いて、対応する鏡像異性の混合物の分割により得ることができる。従って、所要のエナンチオマーは、キラルHPLC手順の使用により、式(I)で示されるラセミ化合物から得ることができる。
【0050】
本発明には、同位体標識された化合物もまた含まれ、それらは、1つまたはそれ以上の原子が、天然で通常見出されるその原子質量または質量数と異なっている原子質量または質量数を有する原子により置換されていることを除けば、式(I)で言及されたものと同一である。本発明の化合物およびその塩に組み込まれえる同位元素の例には、H、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123Iおよび125Iなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が挙げられる。
【0051】
後述する同位元素および/または他の原子の別の同位元素を含む本発明の化合物および該化合物の塩は、本発明の目的の範囲内にある。本発明の同位体標識した化合物、例えば、H、14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものは、薬物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。三重水素化されたもの、すなわち、Hや炭素−14、すなわち14Cの同位体元素は、その調製の容易さと検出感度のため特に好ましい。11Cおよび18F同位元素は、PET(陽電子断層撮影法)に特に有用であり、そして125I同位元素は、SPECT(陽電子断層撮影法)に特に有用であり、すべて脳の画像化に有用である。さらに、より重い同位元素、例えば、重水素、すなわちHによる置換は、より大きな代謝安定性、例えば、増大した生体内半減期、または減少した必要用量から生じる、幾つかの治療上の利点が与えられ、それゆえ幾つかの状況で好ましいであろう。同位体標識された式(I)で示される化合物および本発明のその他の化合物は、一般に、容易に入手可能な同位体標識試薬を、非同位体標識試薬に代えて用い、以下のスキームおよび/または実施例に開示される手順を実施することにより調製することができる。
【0052】
本発明の1つの態様において、800またはそれ未満の分子量を有する化合物が提供される。他の実施形態において、600またはそれ未満の分子量を有する化合物が提供される。一般に、これらに限定されるものではないが、そのような化合物は、高い経口生物学的利用能を有していてよく、そして、場合により、高い可溶性および/または脳浸透性を有していてよい。分子量は、付加塩に寄与する、溶媒(例えば、水)分子、インビボで分解されるプロドラッグ分子部分などのいずれかの分子量を除き、非溶媒和の遊離塩基化合物の分子量を意味する。
【0053】
一般に、本発明の化合物または塩は、本質的にもしくは水中で非常に化学的に不安定な化合物(存在する場合)を除外するものと解釈されるべきであり、それらは、経口、非経口もしくはその他のいずれの投与経路であっても、すべての投与経路を通じ、医薬的な使用に明らかに不適当である。そのような化合物は、当業者には既知である。しかしながら、エックスビボ(生体外)で安定であり、そして哺乳動物(例えば、ヒト)の体内で本発明の化合物に変換されるプロドラッグまたは化合物が含まれる。
【0054】
本発明の例示的な化合物には、
(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(1H−イミダゾール−2−イルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(1,3−オキサゾール−2−イルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(1,3−チアゾール−2−イルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)− 3−(3−{[5−(3−ピリジニル)−1,3−チアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[1−メチル−5−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−5−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−フェニル−1,3−チアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(5−クロロ−2−チエニル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(2−ピリジニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(2−フラニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[4−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
またはその塩が含まれる。
【0055】
本発明はまた、以上で定義された式(I)で示される化合物またはその塩を調製する方法が提供され、その方法は、
(a)式(II):
【化13】

[式中、Rおよびpは、式(I)で定義されたものである]
で示される化合物を、式(III):
【化14】

[式中、m、QおよびRは、式(I)で定義されたものであり、そして、Lは脱離基である]
で示される化合物と反応させるか;
または
(b)式(I)で示される化合物(ここで、pは、1もしくは2である)の場合、式(IV):
【化15】

[式中、R、m、A、QおよびRは、式(I)で定義されたものであり、pは、0もしくは1であり、そしてYは、ハロゲン、ペルフルオロアルキルスルホニルオキシ基(例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)であるか、またはYは、ホウ素誘導体(例えば、ボロン酸官能基B(OH))または金属性官能基、例えばトリアルキルスタンニル(例えば、SnBu)、ハロゲン化亜鉛またはハロゲン化マグネシウムから選択されるM基である]
で示される化合物を、化合物R1−Y1
[式中、YがM基である場合、Y1はハロゲンであるか;またはYがハロゲンまたはペルフルオロアルキルスルホニルオキシ基である場合、Y1は、以上で定義されたM基または適当な遷移金属(例えば、Pd)の存在下で適当な塩基(例えば、CsCO)により活性化することができる水素であり、;「脱離基」は、当業者には理解されるもの、すなわち、例えばS2、S1またはSAr型の反応において求核により置換され得る基である]
と反応させるか;
または
(c)式(I)で示される化合物(ここで、AはSである)の場合、式(V):
【化16】

[式中、R、p、Gおよびmは、式(I)について定義されたものであり、そしてLは脱離基である]
で示される化合物を、式(VI):
【化17】


[式中、QおよびRは、式(I)について定義されたものである]
で示される化合物と反応させるか;
または
(d)式(I)で示される化合物(ここで、AはOである)の場合、式(VII):
【化18】

[式中、G、R、pおよびmは、式(I)で定義されたものである]
で示される化合物を、式(VIII):
【化19】

[式中、QおよびRは、式(I)定義されたものであり、そしてLは脱離基である]
で示される化合物と反応させるか;
または
(e)式(I)で示される化合物(ここで、AはCHである)の場合、式(IX):
【化20】

[式中、G、Rおよびpは、式(I)で定義されたものである]
で示される化合物を、式(X):
【化21】


[式中、R、RおよびRは、式(I)で定義されたものである]
で示される化合物と反応させること;
そして、その後、任意に、工程(a)、(b)、(c)、(d)または(e)について:
(i)いずれかの保護基(類)を除去すること;および/または
(ii)塩を形成させること;および/または
(iii)式(I)で示される化合物またはその塩を、式(I)で示される別の化合物またはその塩に変換することを含む方法が提供される。
【0056】
工程(a)は、第三級アミン形成についての慣用の方法を用いて実施することができる。脱離基Lは、ハロゲン、例えば、塩素であってよい。別には、Lは、スルホニルオキシ基、例えば、C1−4アルキルスルホニルオキシ(例えば、メタンスルホニルオキシ)、C1−4アルキルスルホニルオキシまたはハロC1−4アルキルスルホニルオキシ(例えば、トリフルオロメタンスルホニルオキシ);またはアリールスルホニルオキシであってよく、ここで、アリールは、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい5員もしくは6員の複素環式芳香族基、または置換されていてもよい二環式基、例えば置換されていてもよいフェニルであり、ここで、各々において最適な置換基は、1つまたはそれ以上のC1−2アルキル基;例えば、パラ−トルエンスルホニルオキシである。Lがハロゲンである場合、この反応は、溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド中、適当な温度、例えば、60℃で、ヨウ化物の供給源、例えばヨウ化ナトリウムの存在下、炭酸カリウムなどの塩基を用いて、実施し得る。
【0057】
式(II)で示される化合物は、当分野にて周知の方法により(例えば、J. Med. Chem. 1981, 24, 481-490)調製することができる。R基の相互交換は、当分野で周知の方法(例えば、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中の適当なルイス酸試薬、三臭化ホウ素を用いて、メトキシ基を脱メチル化することにより、ヒドロキシ基を得る)により実施できる。第二級アミンの適当な保護基の例としては、例えばN−トリフルオロアセチルがある。
式(III)で示される化合物は、当分野にて周知の方法により調製することができる。
【0058】
式(V)の化合物は、当該分野にて周知の方法により、式(II)の化合物より出発して調製され得る。
式(VI)の化合物は当該分野にて周知の方法により調製されてもよく、あるいは市場より入手してもよい。
【0059】
別法として、式(VIa)の化合物、すなわち、式(VI)の化合物(Qがイミダゾリルまたはチアゾリルであり、R3が3−ピリジニルである)は、以下の合成スキーム1に従って商業上入手可能な出発物質より調製され得る:
【0060】
【化22】

【0061】
ここで、XはNMeまたはSを表す;
ここにおいて、
−工程(a’’’)は式(XXII)の化合物をヨウ素化し、式(XIX)の化合物を得ることを意味する;
−工程(b’’’)は式(XIX)の化合物をスズキカップリング反応に付し、式(XX)の化合物を得ることを意味する;
−工程(c’’’)は式(XX)の化合物を酸化し、式(XXI)の対応するスルホキシドを得ることを意味する;
−工程(d’’’)は式(XXI)の化合物を変換し、式(VIa)のスルヒドリル化合物を得ることを意味する。
【0062】
工程(a’’’)は、都合よくは、DMSO中、0℃で、Iで処理することによりなされる。
工程(b’’’)は、都合よくは、式(XIX)の化合物、Pd(OAc)、PPh、NaCOおよびピリジン−3−ボロン酸の混合物をPrOH中で6時間還流することによりなされる。
工程(c’’’)は、都合よくは、式(XX)の化合物をMCPBAの溶液と反応させることによりなされる。
工程(d’’’)は、都合よくは、式(XXI)の化合物を無水トリフルオロ酢酸と6時間反応させることによりなされる。
【0063】
工程(b)に基づいて、式(IV)で示される化合物のR1−Y1との反応は、遷移金属、例えば、ビス−トリフェニルホスフィンパラジウム二塩化物、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)または系内(インシトゥ)でトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)と4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンから形成される複合体などのパラジウム触媒の存在下で実施することができる。Mがボロン酸官能基、例えば、B(OH)である場合、この反応は、適当な溶媒、例えばジオキサン中、例えば、水性炭酸ナトリウムを用いた塩基性条件下で行うことができる。Mがトリアルキルスタンニルである場合、この反応は、不活性溶媒、例えば、キシレンまたはジオキサン中、要すればLiClの存在下で行うことができる。Mが亜鉛またはハロゲン化マグネシウムである場合、この反応は、非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で実施することができる。Mが水素であり、適当な遷移金属(例えば、Pb)の存在下、適当な塩基(例えば、CsCO)により活性化される場合、この反応は、適当な塩基、例えば、CsCOの存在下、不活性溶媒、例えばジオキサン中で行うことができる。置換基Yは、ハロゲン、例えば臭素、またはスルホニルオキシ基、例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシであってよく;そして、Y1は、M基、例えば水素であってよく、それは、適当な遷移金属(例えば、Pb)の存在下、適当な塩基(例えば、CsCO)により活性化され得る。
【0064】
本発明の1つの態様において、式(II)で示される化合物(ここで、Gはフェニルである)の製造のための合成方法が提供される。この方法はまた、フェニル部分がピリジンにより置換された式(II)で示される化合物の製造にも好都合に実施することがでる。この方法は、以下の工程:
【化23】

(ここで、
工程(a’)は、アニリン(XI)をジアゾ化し、つづいてマレイミドとの反応により、3−アリールマレイミド(XII)を得ることを意味し;
工程(b’)は、(XII)のシクロプロパン化により、二環式イミド(XIII)を得ることを意味し;
工程(c’)は、イミド(XIII)の還元により、式(II)で示される化合物を得ることを意味する)
を含む。
【0065】
工程(a’)は、メールワイン反応(例えば、J. Am. Chem. Soc. 1955, 77, 2313は、この方法を用いてのアリールマレイミドの形成を掲載する)の一般的な方法を用いて実施することができる。別法として、多くの場合、この工程は、適合する溶媒、例えばアセトニトリル中の適当なマレイミド、無水CuClなどの適当な銅(II)塩、および亜硝酸tert−ブチルなどの適当な有機亜硝酸エステルの混合物に、式(XI)の化合物の溶液をゆっくり加える操作を用いることで適宜行われる。つづいてこれを適宜反応させ、適当な後処理を行う。
【0066】
工程(b)’は、ジメチルスルホキシドなどの適当な溶媒に溶かした、式(XII)で示される純粋な化合物の溶液または式(XII)で示される化合物を含む混合物を、ジメチルスルホキシドなどの適当な溶媒中のヨウ化トリメチルスルホキソニウムおよび水素化ナトリウムなどの適当な塩基の溶液に添加することからなる。つづいてこれを適宜反応させ、適当な後処理を行う。
【0067】
工程(c)’は、適合する溶媒中の還元剤、例えば、テトラヒドロフラン中のボラン、またはトルエン中のRed−Al(登録商標)を用い、適当な温度で、還元剤がボランの場合には例えば65℃で行うことができる。つづいてこれを適当な後処理に付す。
【0068】
本発明の別の態様において、以下の工程を含む、式(II)で示される化合物の別の製造方法が提供される:
【化24】

[式中:
、pおよびGは式(I)で定義されたものであり、R14Oは適当なアルコキシ基であり、PGは適当な保護基であり、そしてYは、臭素などのハロゲンまたはトリフルオロメチルスルホニルオキシなどのスルホニルオキシ基であってもよく;
ここで、
工程(a’’)は、(2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル)ボロネート(XIV)と芳香族ハロゲンまたはスルホニルオキシ誘導体(XV)とのカップリング反応を意味し;
工程(b’’)は、(XVI)のシクロプロパン化を行い、つづいて、要すれば脱保護して、二環式アミン(II)を得ることを意味する]。
【0069】
工程(a’’)は、スズキカップリングの一般的な方法を用いて、例えば、テトラヒドロフランなどの適当な溶媒中、フッ化セシウムの存在下で、触媒パラジウム(0)の供給源としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用いて、適当な温度で実施することができる。(R14O)Bは、好ましくは、Synlett 2002、5、829−831で報告されるように構造(X)の化合物を表す、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イルであってもよく、PGはベンジルであってよい。
【0070】
工程(b’’)は、ヨウ化トリメチルスルホオキソニウムと適当な塩、例えば水素化ナトリウムから生成される試薬を用いて、適合する溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド中で実施されるシクロプロパン化反応からなる。つづいてこれを脱保護反応に付す。
【0071】
工程(d)において、式(VII)で示される化合物は、当該分野にて周知の方法(例えば、J. Med. Chem. 1981, 24, 481-490)により調製することができる。例えば、式(VII)で示される化合物は、上記した式(II)で示される化合物を、式(VIII):
【化25】

[式中、mは、式(I)について定義されたものであり、Lは、脱離基、例えば臭素であり、そしてPGは保護基、例えば、デメチルエチルジメチルシランである]
で示される化合物と反応させ、続いて、適当な脱保護操作を行うことによって作製することができる。
【0072】
式(I)で示される化合物およびその塩の間の相互交換反応は、当該分野で周知の方法を用いて実施することができる。例としては、
(i)1つまたは複数のRを、アルコキシ(例えば、メトキシ)からヒドロキシに変換すること、
(ii)1つまたは複数のRを、ヒドロキシからスルホニルオキシ、例えば、アルキルスルホニルオキシまたはハロアルキルスルホニルオキシ、例えば、メタンスルホニルオキシまたはアルキルスルホニルオキシまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシに変換すること、
(iii)1つまたは複数のRを、ハロゲンまたはペルフルオロアルキルスルホニルオキシからシアノに変換すること、
そして、場合によりその後に式(I)の塩を形成させることが挙げられる。
【0073】
式(I)で示される化合物が、ドーパミン受容体、特にD受容体に対して親和性を示すことが見出され、該受容体のモジュレーションを要求する病状、例えば、精神病状態の処置に有用であることが期待される。そのような親和性は、典型的には、受容体から放射標識されたリガンドの50%を置換するのに必要とされる化合物の濃度、IC50から計算され、以下の式:
【化26】

[式中、L=放射リガンドおよびK=受容体に対する放射リガンドの親和性である(ChengおよびPrusoff, Biochem. Pharmacol. 22:3099, 1973)]
により計算された「K」として報告される。
【0074】
本発明の内容において、pKi(Kiの真数に相当する)がKiに代わって用いられ、本発明の化合物は、典型的には、7より大きいpKiを示す。1つの態様において、本発明は、7から8の間のpKiを有する式(I)で示される化合物を提供する。他の態様において、本発明は、8から9の間のpKiを有する式(I)で示される化合物を提供する。さらなる態様において、本発明は、9より大きいpKiを有する式(I)で示される化合物を提供する。
【0075】
式(I)で示される化合物の多くは、ドーパミンD受容体に対する親和性よりも、ドーパミンDに対する親和性が大きいこともまた見出された。最近利用される抗精神病薬(神経弛緩剤)の治療効果は、一般的に、D受容体の遮断を介して働くと考えられているが、その作用機序もまた、多くの神経弛緩薬と関係する望ましくない錐体外路副作用(eps)に関与すると考えられている。最近特徴付けられたドーパミンD受容体の遮断は、有意な錐体外路副作用を伴うことなく有益な抗精神病活性を生じさせ得ることを示す(例えば、Sokoloffら、Nature, 1990; 347: 146151;およびSchwartz ら、Clinical Neuropharmacology, Vol 16, No.4, 295-314, 1993を参照のこと)。1つの態様において、ドーパミンD受容体よりもドーパミンD受容体に対してより強い(10倍以上もしくは(100倍以上高い))親和性を有する本発明の化合物が、提供される(そのような親和性は、例えば、クローン化されたドーパミン受容体を用いた標準的な方法を用いて測定することができる−本明細書を参照のこと)。該化合物は、好ましくはD受容体の選択的モジュレーターとして用いることができる。
【0076】
受容体の局在から、化合物もまたD受容体と関係することが示され(例えば、Levant, 1997, Pharmacol. Rev., 49, 231-252を参照のこと)、物質乱用の処置に効用があることが推定される。そのような物質乱用の例としては、アルコール、コカイン、ヘロインおよびニコチンの乱用が挙げられる。該化合物により処置され得る他の状態には、運動異常障害、例えばパーキンソン病、神経弛緩−誘導性パーキンソンニズムおよび遅発性ジスキネジー;抑うつ症;不安症、記憶障害、例えばアルツハイマー病を含む認識機能障害、摂食障害、性機能障害、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、記憶喪失、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、概日リズムおよび胃運動性障害、例えば、IBSが含まれる。
本発明の化合物を用いて処理できる他の症状として、後記される強迫神経症(OC)スペクトル障害が挙げられる。
【0077】
式(I)で示される化合物は、薬物、例えばアルコール、コカイン、アヘン剤、ニコチン、ベンゾジアゼピンの乱用からの離脱症状、およびオピオイドにより誘導される耐性の阻害を含む、すべての態様の薬物依存症の処置に用いることができる。加えて、式(I)で示される化合物およびその塩および溶媒和物は、渇望を軽減するのに用いることができ、それゆえ、薬物渇望の処置に有用であろう。薬物渇望は、すでに消費された精神活性物質を自己投与する誘因動機付けとして定義される。3つの主な因子、(1)薬物離脱中の不快な状態は、渇望を誘導する陰性強化因子として作用し得る;(2)薬物効果と関係する環境刺激は、薬物探索または渇望の抑制に対して次第により強力なものとなり得る(増感);(3)薬物の愉快な効果を促進し、離脱中の不快な状態を緩和する能力の認識(記憶)が薬物渇望の増進および維持に関係する。渇望は、個人が薬物の乱用をあきらめる際の困難性の原因であり得るし、その結果として、薬物依存の増進および維持に大きく寄与する。
【0078】
式(I)で示される化合物は、抗精神病薬として、例えば統合失調症、統合失調性感情障害、心因性うつ病、躁病、妄想および妄想性障害の処置において利用しうる可能性がある。さらに、これらの化合物は、長期に及ぶこれらの処置に伴って経験する副作用を軽減するため、パーキンソン病の補助療法として、特にL−DOPAや可能性のあるドーパミン作動薬を用いる補助療法として有用性があろう(例えば、Schwartzら、Brain Res. Reviews, 1998, 26, 236-242を参照のこと)。
式(I)の化合物は、強迫神経症障害(OCD)の治療に、それと関連する精神病理的または神経精神学的障害(ODスペクトル障害)の治療に用いることができる。
式(I)の化合物は性的機能不全、例えば早漏の治療にて有用でありうる。
式(I)の化合物は認知障害の治療に有用でありうる。
【0079】
本発明の内容において、本明細書中で用いられる適応症を記載する用語は、the American Psychiatric Associationにより出版された精神疾患の分類と診断の手引(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第4版(DSM−IV)および/または国際疾病分類(International Classification of Diseases)、第10版(ICD−10)において分類されている。本明細書で言及される障害の様々な亜型は、本発明の一部であると考えられる。以下に列記する疾病の後ろの括弧中の数字は、DSM−IVにおける分類コードを意味する。
【0080】
本発明の内容において、用語「精神異常」には、
妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能型(295.90)および残遺型(295.60)の亜型を含む統合失調症;統合失調様障害(295.40);双極型およびうつ病型の亜型を含む統合失調性感情障害(295.70);色情型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型および不特定型の亜型を含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想を伴う、および幻覚を伴う亜型を含む、一般身体疾患による精神異常;妄想を伴う(293.81)および幻覚を伴う(293.82)亜型を含む物質誘発性精神病性障害;ならびに特定不能の精神異常(298.9)
が含まれる。
【0081】
本発明の内容において、用語「物質関連障害」には、
物質使用障害、例えば、物質依存、物質渇望および物質乱用を含む物質関連障害;物質誘発性障害、例えば、物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性痴呆、物質誘発性持続性健忘症、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害および幻覚持続知覚障害(Flashbacks);アルコール−関連障害、例えば、アルコール依存(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性痴呆、アルコール−誘導性持続性健忘症、アルコール−誘導性精神異常、アルコール−誘導性気分障害、アルコール−誘導性不安障害、アルコール−誘導性性機能障害、アルコール−誘導性睡眠障害および特定不能のアルコール−関連障害(291.9);アンフェタミン(またはアンフェタミン−様)−関連障害、例えば、アンフェタミン依存(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神異常、アンフェタミン−誘導性気分障害、アンフェタミン−誘導性不安障害、アンフェタミン−誘導性性機能障害、アンフェタミン−誘導性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン−関連障害(292.9);カフェイン関連障害、例えば、カフェイン中毒(305.90)、カフェイン−誘導性不安障害、カフェイン−誘導性睡眠障害および特定不能のカフェイン−関連障害(292.9);大麻−関連障害、例えば、大麻依存(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻−誘導性精神異常、大麻−誘導性不安障害および特定不能の大麻−関連障害(292.9);コカイン−関連障害、例えば、コカイン依存(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン−誘導性精神異常、コカイン−誘導性気分障害、コカイン−誘導性不安障害、コカイン−誘導性性機能障害、コカイン−誘導性睡眠障害および特定不能のコカイン−関連障害(292.9);幻覚剤−関連障害、例えば、幻覚剤依存(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚持続知覚障害(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤−誘導性精神異常、幻覚剤−誘導性気分障害、幻覚剤−誘導性不安障害および特定不能の幻覚剤−関連障害(292.9);吸入剤−関連障害、例えば、吸入剤依存(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤−誘導性持続性痴呆、吸入剤−誘導性精神異常、吸入剤−誘導性気分障害、吸入剤−誘導性不安障害および特定不能の吸入剤−関連障害(292.9);ニコチン−関連障害、例えば、ニコチン依存(305.1)、ニコチン離脱(292.0)および特定不能のニコチン−関連障害(292.9);オピオイド−関連障害、例えば、オピオイド依存(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド−誘導性精神異常、オピオイド−誘導性気分障害、オピオイド−誘導性性機能障害、オピオイド−誘導性睡眠障害および特定不能のオピオイド−関連障害(292.9);フェンシクリジン(またはフェンシクリジン−様)−関連障害、例えば、フェンシクリジン依存(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン−誘導性精神異常、フェンシクリジン−誘導性気分障害、フェンシクリジン−誘導性不安障害および特定不能のフェンシクリジン−関連障害(292.9);鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−関連障害、例えば、鎮静剤、睡眠剤または不安緩和剤依存(304.10)、鎮静剤、睡眠剤または不安緩和剤乱用(305.40)、鎮静剤、睡眠剤または不安緩和剤中毒(292.89)、鎮静剤、睡眠剤または不安緩和剤離脱(292.0)、鎮静剤、睡眠剤または不安緩和剤中毒せん妄、鎮静剤、睡眠剤または不安緩和剤離脱せん妄、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−持続性痴呆、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−持続性健忘症、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−誘導性精神異常、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−誘導性気分障害、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−誘導性不安障害、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−誘導性性機能障害、鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−誘導性睡眠障害および特定不能の鎮静剤−、睡眠剤−または不安緩和剤−関連障害(292.9);多物質関連障害、例えば、各種薬物の依存症(304.80);およびアナボリックステロイド、ニトレート吸入剤および亜酸化窒素などの他の(もしくは未知の)物質関連障害が含まれる。
【0082】
本発明の内容において、「強迫神経症スペクトル障害」なる語として、
強迫神経症障害(300.3)、身体醜形障害(300.7)およびハイパーコンドリアシス(300.7)を含む身体表現性障害、神経性多食症(307.51)、神経性無食欲症(307.1)、どこにも分類されていない摂食障害(307.50)、例えば過食症、どこにも分類されていない衝動調節障害(間欠性爆発性障害(312.34)、買い物またはショッピング中毒、反復性自傷、咬爪癖、心因性擦創、窃盗癖(312.32)、病的賭博(312.31)、抜毛癖(312.39)およびインターネット中毒を含む)、性的倒錯(302.70)および非性的倒錯セックス中毒、シデナム舞踏病、斜頚、自閉性障害(299.0)、強迫性買い溜め、およびツゥーレット症候群(307.23)を含む運動障害が挙げられる。
【0083】
本発明の内容において、「性的機能不全」なる語はまた、早漏(302.75)を包含する。
本発明の内容において、「認知障害」なる語として、統合失調症、双極性障害、抑うつ病、他の精神病理的障害および認知障害に付随する精神障害、例えばアルツハイマー病などの他の疾患における認知障害が挙げられる。
さらなる態様において、本発明は、ドーパミン受容体(特に、ドーパミンD受容体)のモジュレーション[特に、阻害/アンタゴニズム(構成的活性化受容体系の逆アゴニズムにも翻訳する)]が有益である症状の治療法であって、その必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に有効量の式(I)の化合物またはその医薬上(すなわち、生理学的に)許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0084】
かくして、さらなる態様において、本発明は、精神障害(例えば、統合失調症)または物質中毒または強迫神経症スペクトル障害(過食症など)または性的機能不全(早漏など)の治療法であって、その必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0085】
本発明はまた、治療に用いるための式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
本発明はまた、ドーパミン受容体(特に、ドーパミンD受容体)のモジュレーション[特に、阻害/アンタゴニズム(構成的活性化受容体系の逆アゴニズムにも翻訳する)]が有益である哺乳動物の症状の治療にて用いるための式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
本発明はまた、哺乳動物において、ドーパミン受容体(特に、ドーパミンD受容体)のモジュレーション[特に阻害/アンタゴニズム]が有益である症状を治療するための医薬の製造における、式(I)で示される化合物またはその塩の使用を提供する。
【0086】
1つの態様において、本発明のDアンタゴニストは、精神病、例えば、統合失調症の処置に、物質乱用の処置に、強迫神経症スペクトル障害の処置に、性的機能不全の処置に、および認知障害の処置に用いられる。
また、哺乳動物における精神病の状態(例えば、統合失調症)、物質乱用、強迫神経症スペクトル障害、性的機能不全および認知障害を処置するための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用が提供される。
また、哺乳動物における精神病の状態(例えば、統合失調症)、物質乱用、強迫神経症スペクトル障害、性的機能不全および認知障害の処置に使用するための、式(I)の化合物またはその塩が提供される。
また、哺乳動物において、例えば本明細書で記載されるいずれかの症状の処置に使用するため、活性な治療物質として使用するための式(I)で示される化合物またはその塩が提供される。
【0087】
「処置」には、関連した症状に適した予防が含まれる。
医薬での使用のため、本発明の化合物は通常、標準的な医薬組成物として投与される。従って、本発明は、さらなる態様において、式(I)で示される化合物またはその医薬上(すなわち、生理学的に)許容される塩および医薬上(すなわち、生理学的に)許容される担体を含む医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、本明細書中に記載されるいずれかの状態の処置での使用のためのものであってよい。
【0088】
式(I)の化合物は、例えば、経口、非経口(例えば、静脈内)、頬、舌下、鼻、直腸または経皮投与によるいずれかの慣用の方法により投与されてもよく、従って、医薬組成物を適用することができる。
経口で与えられた場合に活性である式(I)の化合物およびその塩は、液剤または固形剤、例えば、シロップ剤、懸濁剤もしくは乳剤、錠剤、カプセル剤および口内錠として製剤化されてもよい。
【0089】
液体製剤は、一般に、適当な液体担体(類)、例えば、エタノールもしくはグリセリンなどの水性溶媒、またはポリエチレングリコールもしくは油状物などの非水性溶媒中の化合物または塩の懸濁液または溶液を含む。製剤はまた、懸濁化剤、防腐剤、香味料または着色剤を含み得る。
【0090】
錠剤の形態における組成物は、固体調合薬を調製するのに慣用的に用いられるいずれかの適当な医薬的な担体(類)を用いて、調製することができる。そのような担体の例には、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、ラクトース、シュークロースおよびセルロースが挙げられる。
カプセル剤の形態における組成物は、慣用のカプセル化手順を用いて調製することができる。例えば、活性成分を含むピル剤は、標準的な担体を用いて調製することができ、次に、硬ゼラチンカプセル充填してもよく;別法として、分散剤または懸濁剤は、適当な医薬担体(類)のいずれか、例えば、水性ゴム類、セルロース、シリケートまたは油状物を用いて調製することができ、そして、その分散剤または懸濁剤を軟ゼラチンカプセルに充填する。
【0091】
典型的な非経口組成物は、滅菌水性担体または非経口で許容される油状物、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、落花生油またはゴマ油中の化合物または塩の溶液または懸濁液を含む。あるいは、液剤は、凍結乾燥され、投与の直前に適当な溶媒を用いて復元されてもよい。
【0092】
鼻腔投与についての組成物は、通常、エアロゾル、点滴剤、ゲルおよび粉剤として製剤化され得る。エアロゾル調合薬は、典型的には、医薬上許容される水性もしくは非水性溶媒中の活性物質の溶液または微粒子懸濁液を含み、通常、封入容器中に滅菌形態で単回もしくは複数回量で製造され、それらは、細分化する装置を用いて使用するため、カートリッジの剤型をとってもよく、または充填されてもよい。別法として、封入容器は、単回調合装置、例えば、容器の内容物を使い果たした場合には廃棄処理する計量バルブを備えた単回用量鼻吸入器またはエアロゾル・ディスペンサであってよい。投与剤型は、エアロゾル・ディスペンサを含み、それは、圧縮されたガス、例えば圧縮された空気またはフルオロクロロ炭化水素などの有機噴射剤であってよい噴射剤を含みよう。エアロゾル投与剤型はまた、ポンプの噴霧器の形態であってもよい。
【0093】
口内投与または舌下投与に適した組成物は、錠剤、口内錠およびトローチ剤が挙げられ、その活性成分は、担体、例えば糖およびアカシア、トラガカントもしくはゼラチンおよびグリセリンを用いて製剤化される。
直腸投与のための組成物は、通常、一般的な坐剤の基剤、例えばココアバターを含む坐剤の剤型である。
経皮投与に適した組成物は、軟膏、ゲルおよびパッチを含む。
1つの態様において、組成物は、錠剤、カプセル剤またはアンプル剤などの単回用量剤型である。
経口投与の用量単位はそれぞれ、例えば、遊離塩で計算された式(I)で示される化合物またはその塩1〜250mgを含む(および、非経口投与の場合は、例えば0.1mg〜25mgを含む)。
【0094】
本発明の医薬上許容される化合物は、遊離塩基で計算されて、通常、1日投与量計画(成人患者の場合)で、例えば、経口用量で1mg〜500mg、例えば、10mg〜400mg、例えば、10mg〜250mg、あるいは、静脈内、皮下または筋肉内用量で、0.1mg〜100mg、例えば、0.1mg〜50mg、例えば、1mg〜25mgの式(I)で示される化合物またはその塩が投与され、化合物は一日に1回〜4回投与される。適当には、化合物は、連続治療の期間に、例えば1週間またはそれ以上の期間投与されよう。
【0095】
生物学的試験方法
本発明の化合物の機能的能力および内在的な活性は、以下のGTPγSシンチレーション近接アッセイ(GTPγS−SPA)により測定することができる。この試験に用いられる細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
【表1】


化合物は2種類の別のプロトコルに従って試験されてもよい。
a)細胞膜は、以下のように調製される。細胞のペレットを、10倍量の50mM HEPES、1mM EDTA(KOHを用いてpH 7.4にした)中に懸濁させる。その日に、以下の蛋白質分解酵素を、ホモジナイズ溶液を得る直前に、緩衝液に加える。
緩衝液中、10−4M ロイペプチン(シグマL2884)−5000×保存=5mg/ml
緩衝液中、25μg/ml バシトラシン(Bacitracin)(シグマB0125)−1000×保存=25mg/ml
100%エタノール中、1mM PMSF−1000×保存=17mg/ml
100%DMSO中、2×10−6M ペプスタチン(Pepstain)A−1000×保存=2mM
【0096】
細胞を、200mlの50mM HEPES+10−4M ロイペプチン+25μg/ml バシトラシン+1mM EDTA+1mM PMSF+2μM ペプスタチンA(後方の2種の試薬は、各々、エタノール中、フレッシュな100倍および500倍保存液として添加する)中、グラス・ワーリングブレンダー内で2×15秒のバーストによりホモジナイズする。ブレンダーを最初のバーストから5分間、および最後のバーストから10−40分間氷中に突っ込み、泡沫体を消散させた。ついで、該物質を500gで20分間回転させ、その上清を48,000gで36分間回転させた。ペレットを上記と同じであるが、PMSFおよびペプスタチンAを含まない、緩衝液に懸濁させた。ついで、該物質を0.6mmの針に無理に通し、必要な容量(通常、最初の細胞ペレットの4倍の容量)にし、アリコートし、−80℃で凍結保存した。
【0097】
該アッセイにおける最終的な試験薬物の最高濃度は3μMであり、100% DMSO中、1:4の11点の連続的希釈曲線はバイオメックFXを用いて作成する。試験薬物を全アッセイ量(TAV)の1%で固体の白色384穴アッセイプレートに加える。20mM HEPES pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、60μg/ml サポニンおよび30μM GDP中、50%TAVの予め結合させた(4℃で90分間)5μg/ウェルの膜と、0.25mg/ウェルのウィートジャーム・アグルチニン・ポリスチレン・シンチレーション近接アッセイビーズ(RPNQ0260, Amersham)とを加える。三番目の添加は、20%TAVの緩衝液(アゴニスト形式)、またはアッセイ緩衝液(アンタゴニスト形式)に調製されたアゴニスト、キネロランの最終アッセイ濃度EC80のいずれかの添加である。このアッセイは29%TAVの0.38nMのGTPγ[35S]を最終(37MBq/ml、1160Ci/ミリモル、アメルシャム)にて添加することにより開始された。全ての添加を終えた後、アッセイプレートを1分間、1,000rpmでスピンダウンさせる。アッセイプレートは、ビュウレックス(Viewlux)、613/55フィルターで5分間、最後の添加後2〜6時間の間に計数される。
【0098】
試験薬物の基底を越える効果を、pEC50(すなわち、−logEC50)として表に示される、反復最小二乗曲線フィッティングプログラムにより、EC50値にて示す。反復最小二乗曲線フィッティングプログラムにより、EC50値が与えられる。試験薬物の最大効果と完全アゴニスト、キネロラン(Quinelorane)の最大効果との割合から、内活性(IA)値(すなわち、IA=1で完全アゴニスト、IA<1で部分アゴニスト)を求める。試験薬物のfpKiは、「アンタゴニスト形式」実験により得られたIC50から、チェング−プルソフ(Cheng & Prusoff)式:fKi=IC50/1+([A]/EC50)(ここで、[A]はアッセイ中のアゴニスト5−HTの濃度であり、そして、EC50は同じ試験で得られた5−HT EC50値である)を用いて計算される。fpKiは−logfKiとして定義される。
【0099】
b)細胞膜を次のように調製する。細胞ペレットを10倍容量の50mM HEPES、1mM EDTA
(KOHを用いてpH 7.4にした)中に懸濁する。その日に、以下の蛋白質分解酵素を、ホモジナイズ溶液を得る直前に、緩衝液に加える。
緩衝液中、10−6M ロイペプチン(シグマL2884)−5000×保存=5mg/ml
緩衝液中、25μg/ml バシトラシン(Bacitracin)(シグマB0125)−1000×保存=25mg/ml
100%エタノール中、1mM PMSF−1000×保存=17mg/ml
100%DMSO中、2×10−6M ペプスタチン(Pepstain)A−1000×保存=2mM
【0100】
細胞を、クラス2のバイオハザード保管庫にある1リットルのグラス・ワーリングブレンダー中、2×15秒のバーストによりホモジナイズする。得られた懸濁液を、500g(ベックマンT21遠心分離機:1550rpm)で20分間回転させる。その上清を、25mlのピペットで取り出し、予め冷却した遠心管にアリコートし、48,000g(ベックマンT1270:23,000rpmで30分間)で回転させ、膜断片をペレットにする。最後の48,000gのペレットを、ホモジナイゼーション(Homogenisation)緩衝液(元の細胞ペレットの4倍量)に再懸濁する。この48,000gのペレットを、5秒間ボルテックスして再懸濁して、ドウンス・ホモジナイザー(dounce homogenizer)の10〜15ストークでホモジナイズする。この調製物を、ポリプロピレンチューブに適当な大きさのアリコートに分け(200〜1000μl)、−80℃で保存した。膜調製物中の蛋白質含有量は、ブラッドフォード蛋白質アッセイを用いて評価される。
【0101】
アッセイにおける最終的な試験薬物の最高濃度は3μMであり、100% DMSO中、1:4の11点の一連の希釈曲線はバイオメックFXを用いて作成する。試験薬物を全アッセイ量(TAV)の1%で固体の白色384穴アッセイプレートに加える。20mM HEPES pH7.4、100mM NaCl、10mM MgCl、60μg/ml サポニンおよび30μM GDP中、50%TAVの予め結合させた(4℃で90分間)5μg/ウェルの膜と、0.25mg/ウェルのウィートジャーム・アグルチニン・ポリスチレン・シンチレーション近接アッセイビーズ(RPNQ0260, Amersham)とを加える。三番目の添加は、20%TAVの緩衝液(アゴニスト形式)、またはアッセイ緩衝液(アンタゴニスト形式)に調製されたアゴニスト、キネロランの最終アッセイ濃度EC80のいずれかの添加である。このアッセイは29%TAVの0.38nMのGTP[35S]を最終(37MBq/ml、1160Ci/ミリモル、アメルシャム)にて添加することにより開始された。全ての添加を終えた後、アッセイプレートを1分間、1,000rpmでスピンダウンさせる。アッセイプレートは、ビュウレックス(Viewlux)、613/55フィルターで5分間、最後の添加後2〜6時間の間に計数される。
【0102】
試験薬物の基底を越える効果を、pEC50(すなわち、−logEC50)として表に示される、反復最小二乗曲線フィッティングプログラムにより、EC50値にて示す。試験薬物の最大効果と完全アゴニスト、キネロラン(Quinelorane)の最大効果との割合から、内活性(IA)値(すなわち、IA=1で完全アゴニスト、IA<1で部分アゴニスト)を求める。試験薬物のfpKiは、「アンタゴニスト形式」実験により得られたIC50から、チェング−プルソフ(Cheng & Prusoff)式:fKi=IC50/1+([A]/EC50)(ここで、[A]はアッセイ中のアゴニストのキネロランの濃度であり、そして、EC50は同じ試験で得られたキネロラン EC50値である)を用いて計算される。fpKiは−logfKiとして定義される。
【0103】
上記した本発明の化合物は、ドーパミンD受容体において7.0〜10.5の範囲内のpKi値を有する。pKiの結果は、約±0.3〜0.5の正確性で推定されるにすぎない。
上記した本発明の化合物は、Dよりも30倍以上の選択性を有する。
【0104】
実施例
本発明をさらに以下の実施例を用いて説明するが、これに限定されるものではない。
すべての温度は℃を示す。赤外線スペクトルは、FT−IR装置で測定された。化合物は、アセトニトリルに溶解された試料の、陽電子スプレー(ES+)イオン化モードで作動される質量スペクトルへの直接注入により分析した。陽子磁気共鳴(H−NMR)スペクトルは、400MHzで記録され、ケミカルシフトは、内部標準として用いられるMeSiからのppmダウンフィールド(d)で報告され、一重線(s)、広幅の一重線(bs)、二重線(d)、二重線の二重線(dd)、三重線(t)、四重線(q)または多重線(m)として割り当てられる。
【0105】
例示的な振動円偏光二色性(VCD)スペクトルは、2000−800cm−1の周波数帯で動作するChiralIRTM VCD分光器を用いて測定された。スペクトルは、フッ化バリウムウィンドウと100ミクロンの経路長を用いて密閉したトランスミッションセルを用いて、室温(23℃)で測定された(スキャン時間は、異性体あたり60〜120分の間で変更した)。試料溶液は、典型的には、10ミリグラムの各エナンチオマーを100マイクロリットルのデュウテロ−クロロホルム(CDCl)中に溶解することにより調製した。アブイニシオ割り当てに関して、VCDおよび非偏光IRスペクトルは、ガウシアン98ソフトウェアパッケージ1を用いて計算された。
【0106】
旋光度は、589nm(ナトリウム源)で動作する偏光計(パーキンエルマーモデル(Perkin Elmer Model)241)を用いて測定された。測定は、23℃で恒温された1デシケーターミクロセルを用いて行われた。濃度は、典型的には、10mg/ml(c=0.01)であった。アブイニシオOR割り当てについては、ダルトン・カンタム・ケミストリープログラム(Dalton Quantum Chemistry Program)を用いた。
【0107】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(Merck AG Darmstaadt, Germany)により行った。以下の略語が明細書中で用いられる。AcOEt=酢酸エチル、EtO=ジエチルエーテル、TFAA=無水トリフルオロ酢酸、DMSO=ジメチルスルホキシド、MCPBA=メタクロロ過安息香酸、SCX=強陽イオン交換樹脂、Tlcはシリカプレートでの薄層クロマトグラフィーをいい、「乾燥」は無水硫酸ナトリウムにより乾燥された溶液を示し、r.t.(RT)は室温をいい、Rt=保持時間をいう。
【0108】
調製例1:3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−2,5ジオン
【化27】

塩酸(37%、285mL)と水(190mL)の混合液を、4−(トリフルオロメチル)アニリン(150g、116mL)に、室温で、激しく攪拌しながら加え、形成された沈殿物をさらに30分間攪拌した。温度を0℃に下げ、水180ml中の亜硝酸ナトリウム(70.6g)を、その攪拌した懸濁液に滴下した。ジアゾ化を終えて、透明黄色溶液が得られた。アセトン(1.1l)中のマレイミド(180g)を、0℃にて滴下し、次に、その溶液のpHを、酢酸ナトリウムを加えることによって3〜3.5に調整した。塩化銅(II)(18.8g)を、激しく攪拌した混合液に加えた。数分後に、ガスが発生し始めた(はっきりと発泡する)。反応混合物を0℃で1時間、そして室温で一晩攪拌させた。
アセトンを減圧にて取り除き、残渣を濾過して、一晩減圧にて乾燥させ、標記化合物(155g)を明褐色固体(收率=63%)として得た。
MS(m/z):242.2[MH]
【0109】
調製例2:(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4ジオン
【化28】

粉砕された水酸化ナトリウム(40g)を、DMSO(無水、2l)中のヨウ化トリメチルスルホキソニウム(219g)の攪拌溶液に、少しずつ加えた。得られた混合物を、室温で1.5時間攪拌させた。DMSO(無水、0.5l)中に溶解された3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−2,5ジオン(120g)を滴下し、得られた混合物を室温で20分間攪拌させた。次いで、温度を0℃にまで下げて、NHCl(飽和水溶液、2l)を、つづいてEtO(1l)をゆっくり加えた。2相を分離した後、水層を繰返しEtO(3×1l)で抽出した。合した有機層をブライン(2×1l)で洗浄し、次にNaSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、明褐色固体を得て、それを1lのジクロロメタンおよび1lのシクロヘキサン中に懸濁した。その混合物を室温で45分間攪拌させ、次に濾過して、標記化合物(116g)を白色固体(收率=71%)として得た。
MS(m/z):256.1[MH]
【0110】
調製例3:(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]−ヘキサン
【化29】

ボラン(テトラヒドロフラン中1M、1.4l)を、5lの反応器にN下で充填し、0℃に冷却した。次に、テトラヒドロフラン(無水、1l)中に溶解された(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4ジオン(101g)を、激しく攪拌し、それにより温度を5℃以下に一定して保ちながら滴下し、ガスの発生をモニター観察した。添加の終わりに、得られた混合物を放置して0℃で1時間攪拌し、ついで室温で一晩攪拌させた。
次いで、その混合物を0℃に冷却し、メタノール(200mL)を、続いて塩酸(6M溶液、0.8l)を慎重に加え、ガスの発生をモニター観察した。次に、テトラヒドロフランを減圧にて取り除き、残渣を0℃に冷却して、水酸化ナトリウム(5M溶液)を、pHが9〜10に達するまで加えた。水層をEtO(3×1l)で抽出した。溶媒を減圧にて取り除き、標記化合物(140g)を無色油状物として得た。
MS(m/z):228.1[MH]
【0111】
調製例4:(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン
【化30】

(S)−(+)−マンデル酸(94g)を、1.4lのテトラヒドロフラン中、(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(140g)の攪拌溶液に徐々に加えた。得られた混合物を、白色の沈殿物が形成されるまで、室温で2時間攪拌した。次いで、混合物を、還流温度にまで温め、45分間攪拌し、次に室温にまでゆっくり冷ました。その白色固体を濾過して収集し、減圧にて乾燥させた。この物質を、テトラヒドロフラン(10容量)から4回再結晶化させ、32.5gの白色固体を得た。
次に、この物質を、水酸化ナトリウム(1M溶液、400mL)およびEtO(400mL)に懸濁し、完全に溶解するまで室温で攪拌させた。2相に分離後、水層をEtO(3×250mL)で再び抽出した。合した有機層を、水酸化ナトリウム(1M溶液、3×200mL)で洗浄し、次に、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧にて蒸発させ、標記化合物(19g)を白色固体(收率=37%)として得た。
【0112】
光学異性体の絶対配置を、VCD(振動円偏光二色性)とOR(旋光度)分析の比較を用いて選定した。
標記化合物の立体配置は、実験に基づくVCDスペクトルと観察された比旋光度を、参照試料としての(1S,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(調製例11を参照のこと)について観察されたデータと比較することにより選定された。
標記化合物の絶対配置の選定は、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、(S)−(+)−マンデル酸塩の結晶から得られた単結晶X線構造により確認された。(S)(+)マンデル酸の既知の立体配置に基づく分析と異常分散効果に基づく分析の両方により、(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンであると標記化合物の選定が確認された。
NMR (1H, CDCl3): δ 7.51 (d, 2H), 7.25 (d, 2H), 3.20 (d, 1H), 3.0-3.1 (m, 3H), 1.69 (m, 1H), 0.8-1.0 (m, 2H), NHは観察されず。MS(m/z):228.1[MH]
【0113】
分析クロマトグラフィー
カラム:キラルセルOD 10μm、250×4.6mm
移動相:A:n−ヘキサン;B:イソプロパノール+0.1%イソプロピルアミン
勾配:アイソクラチック 2%B
流速:1mL/分
UV波長帯:200−400nm
分析時間25分
保持時間(分)% a/a
16.5 0.4(1R,5S)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン
21.7 99.6 標記化合物
比旋光度:[α]=−10°(CDCl、T=20℃、c=0.004g/0.8mL)。
【0114】
調製例5:(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン
【化31】

乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中の(1S,5R)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(1.00g)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.4mL)と1−ブロモ−3−クロロプロパン(3.7mL)を加え、得られた混合物を還流温度にて3時間加熱した。室温に冷却した後、酢酸エチル(30mL)で希釈し、水中(20mL)飽和NHCl溶液で2回洗浄し、そして水中(20mL)飽和NaHCO溶液で1回洗浄し、無水NaSOにより乾燥させ、そして減圧下にて濃縮した。その粗生成物を、シクロヘキサン/EtOAc7:3を用いて溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物を、透明な油状物(1.26g)として得た。
NMR (1H, CDCl3):δ 7.50 (d, 2H) 7.19 (d, 2H), 3.59 (t, 2H), 3.33 (d, 1H), 3.09 (d, 1H), 2.58 (m, 2H), 2.66 (dd, 1H), 2.46 (dd, 1H), 1.92 (m, 2H), 1.74 (m, 1H), 1,67 (t, 1H), 0.81 (dd, 1H). MS(m/z):304[MH]
【0115】
調製例6:ブロモ(4−メトキシフェニル)酢酸メチル
【化32】

CCl(0.2l)中の4−メトキシフェニル酢酸メチル(20g、0.11mol)とNBS(0.11mol)の混合液に、48%HBrを3滴加え、その混合液を8時間還流温度まで加熱した。冷却した溶液を、シリカゲルのパッドに通じてろ過し、濾液を減圧にて蒸発させ、標記化合物29gを淡黄色油状物として得て、それをさらに精製することなく次の工程に用いた。
NMR (1H, CDCl3):δ7.3 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 5.1 (s, 1H), 3.8 (s, 3H), 3.5 (s, 3H).
【0116】
調製例7:1−(4−メトキシフェニル)−1,2−シクロプロパンジカルボン酸ジメチル
【化33】

無水EtO(0.3l)中のNaH(鉱油中60%、4.4g)の攪拌したスラリーに、メタノール(10.3mL)を、続いてアクリル酸メチル(19.8mL)中、ブロモ(4−メトキシフェニル)酢酸メチル(29g)溶液(例えば、フェニル酢酸エチル誘導体から出発して、エタノールおよび酢酸エチルをそれぞれ用いた)およびメタノール(3mL)を0℃で30分かけて加えた。混合物を、25℃で24時間攪拌し、次に未反応のNaHを3mLのメタノールを用いて分解した。水を加え(75mL)、有機相を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過した。揮発性物質を減圧にて蒸発させ、標記化合物3.15gを油状物として得て、それをさらに精製することなく次の工程に用いた。
NMR (1H, CDCl3):δ7.3 (d, 2H), 6.8 (d, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), 3.64 (s, 3H), 2.18 (dd, 1H), 2.05 (dd, 1H), 1.46 (dd, 1H). MS(m/z):265.4[MH]
【0117】
調製例8:1−(4−メトキシフェニル)−1,2−シクロプロパンジカルボネート
【化34】

1:1 EtOH:HO(240mL)中の1−(4−メトキシフェニル)−1,2−シクロプロパンジカルボン酸ジメチル(31.5g)およびKOH(13.5g)の混合液を、還流温度で6時間加熱し、次の元の容量の半分まで濃縮した。その水溶液をEtOで抽出し、氷中で冷却し、次に、25mLの12N HClを用いて酸性にした。白色の結晶性生成物を濾過して収集し、減圧にて乾燥させ、12.8の標記化合物を得た(ブロモ(4−メトキシフェニル)酢酸メチルからの全体的な収率:50%)。
NMR (1H, DMSO):δ12.5 (bs,2H), 7.25 (d, 2H), 6.85 (d, 2H), 3.7 (s, 3H), 2.0 (dd, 1H), 1.85 (dd, 1H), 1.38 (dd, 1H). MS(m/z):235.0[M−H]
【0118】
調製例9:(1R,5S/1S,5R)−1−[4−(メトキシ)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4−ジオン
【化35】

300mLのm−キシレン中の12.8gの1−(4−メトキシフェニル)−1,2−シクロプロパンジカルボン酸および6.5gのウレアの混合液を、還流温度で8時間加熱し、次に減圧下にて蒸発乾固させた。粗製物を、カラムクロマトグラフィー(AcOEt:シクロヘキサン=1:10から4:6)により精製し、5.5gの標記化合物(收率=46%)を得た。
MS(m/z):218.1[MH]
【0119】
調製例10:(1R,5S/1S,5R)−1−(4−ブロモフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン
【化36】

下、0℃で攪拌した20mLの1M BH−テトラヒドロフランに、20mLの乾燥テトラヒドロフラン中、調製例6〜9と同じように調製された1.32g(5ミリモル)の(1R,5S/1S,5R)−1−(4−ブロモフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4ジオン溶液をゆっくり加えた。この溶液を室温で15分間攪拌し、次に、スチームバスで1時間温めた。次に、この溶液を氷浴中で冷却し、2.5mLの6M HClを慎重に加え、溶媒を減圧にて取り除いた。残留物を、12.5mLの5M NaOHと合わせ、その混合物をエーテルで抽出した。そのエーテル抽出物を、水で2回洗浄し、NaSOで乾燥させ濾過して、1.19gの標記化合物(收率=100%)を得た。
NMR (1H, CDCl3):δ7.35 (d, 2H), 7.02 (d, 2H), 3.25-2.96 (m, 4H), 1.63 (dd, 1H), 1.55 (dd, 1H), 1.30 (dd, 1H), NHは観察されず。MS(m/z):238.1[MH], 1Br。
【0120】
調製例11:(1R,5S/1S,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン
【化37】

粗標記化合物は、調製例6〜10に記載される方法に従って、商業的に利用可能な3,4−ジクロロフェニル酢酸メチル(1g、4.57ミリモル)から0.36gの収量で調製した。
標記化合物は、キラルカラム キラルセルAD10μm、250×21mmを用い、A:n−ヘキサン;B:イソプロパノール+0.1%イソプロピルアミンで、勾配アイソクラチック2% B、流速7mL/分で溶出し、UV200〜400nmで検出する分取クロマトグラフィーにより分割して、分割されたエナンチオマーを得た。得られた保持時間は、キラルカラム キラルセルAD5μm、250×4.6mmを用い、A:n−ヘキサン;B:イソプロパノール+0.1%イソプロピルアミンで、勾配アイソクラチック2% B、流速1.2mL/分で溶出し、UV200〜400nmで検出する分析HPLCを用いて得られた。
エナンチオマー1、(1R,5S)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンは、ラセミ体(60mg)から白色固体として、20mgの収量で回収された。Rt.=41分。
エナンチオマー2、(1S,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンは、ラセミ体(60mg)から白色固体として28mgの収量で回収された。Rt.=43.4分。
(1S,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンの絶対配置は、アブイニシオVCDとアブイニシオOR分析を用いて選定された。
(1S,5R)−1−(3,4−ジクロロフェニル)−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサンの比旋光度:[a]=−67.9°(CDCl、T=20℃、c=0.01g/mL)。
NMR (1H, CDCl3):δ 7.35 (d, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.02 (dd, 1H), 3.25 (d, 1H), 3.13 (bm, 2H), 3.06 (d, 1H), 1.71 (m, 1H), 0.93 (m, 2H), NHは観察されず。MS(m/z):228[MH]
【0121】
調製例12:1−メチル−5−フェニル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン
【化38】

標記化合物を米国特許第3505350号の記載に従って調製した。
【0122】
調製例13:5−フェニル−1,3−チアゾール−2(3H)−チオン
【化39】

標記化合物をChem.Ber.1976,109,139−153の記載に従って調製した。
【0123】
調製例14:5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−チオン
【化40】

標記化合物をActa Chemica Scandinavica 1961,15,1124−1129
【0124】
調製例15:5−ヨード−2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール
【化41】

2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール(2g、15.2ミリモル)のDMSO(20ml)中溶液に、0℃にてI(5.78g、22.8ミリモル)を少しずつ加え、該混合物を室温で4日間攪拌した。Naの10%水溶液(150ml)を添加し、該混合物を10%NaCOで塩基性にし、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機相を乾燥(NaSO)させ、蒸発させた。粗製物を酢酸エチル−石油エーテル(1:9)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。標記化合物を黄色油(2.4g)として得た。
MS(m/z):258[M+H]
【0125】
調製例16:3−[2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール−5−イル]ピリジン
【化42】

5−ヨード−2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール(2.1g、8.17ミリモル)、PPh(0.221g、0.84ミリモル)、Pd(OAc)(0.057g、0.25ミリモル)、NaCO(1.04g、10ミリモル)およびピリジン−3−ボロン酸(1.0g、8.17ミリモル)のn−PrOH(50ml)中混合物を6時間還流した。溶媒を蒸発させ、粗製物を水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)させ、蒸発させた。粗生成物をジクロロメタン−メタノール−30%水性アンモニア(95:5:0.5)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。標記化合物を黄色固体(1.4g、收率82%)として得た。MS(m/z):209.1[M+H]
【0126】
調製例17:3−[2−(メチルスルフィニル)−1,3−チアゾール−5−イル]ピリジン
【化43】

3−[2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール−5−イル]ピリジン(1.4g、6.73ミリモル)のジクロロメタン(140ml)中溶液を0℃に冷却し、MCPBA(77%、1.51g、6.73ミリモル)のジクロロメタン(30ml)中溶液を1時間にわたって滴下した。該混合物を同じ温度で30分間攪拌し、ついでNaHCO飽和水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、蒸発させた。粗製物をi−Pr2Oでトリチュレートした。標記化合物を黄色固体(1.2g、收率79%)として得た。MS(m/z):225.1[M+H]
【0127】
調製例18:5−(3−ピリジニル)−1,3−チアゾール−2(3H)−チオン
【化44】

3−[2−(メチルスルフィニル)−1,3−チアゾール−5−イル]ピリジン
(1.2g)のジクロロメタン(20ml)中溶液に、TFAA(12ml)を添加し、該混合物を還流温度で6時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタン−メタノール−30%水性アンモニア(90:10:0.5)を用いるフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。暗褐色固体(0.515g)を得、それを連続してi−PrOH、EtOHおよびMeOHでトリチュレートした。標記化合物を明褐色固体(0.34g)(融点299−300℃)として得た。MS(m/z):194.9[M+H]
【0128】
調製例19:1−メチル−2−(メチルチオ)−1H−イミダゾール
【化45】

標記化合物をJ.Heteroc.Chem.1995,227−234の記載に従って調製した。
【0129】
調製例20:5−ヨード−1−メチル−2−(メチルチオ)−1H−イミダゾール
【化46】

標記化合物を、1−メチル−2−(メチルチオ)−1H−イミダゾール(12.8g)から出発し、5−ヨード−2−(メチルチオ)−1,3−チアゾールの合成と同様の方法に従って、黄色粉末(2.8g)として得た。MS(m/z):254.8[M+H]
【0130】
調製例21:3−[1−メチル−2−(メチルチオ)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリジン
【化47】

標記化合物を、5−ヨード−1−メチル−2−(メチルチオ)−1H−イミダゾール(12.8g)から出発し、3−[2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール−5−イル]ピリジンの合成と同様の方法に従って、黄色油(0.8g)として得た。MS(m/z):206.0[M+H]
【0131】
調製例22:3,3−[1−メチル−2−(メチルスルフィニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリジン
【化48】

標記化合物を、3−[1−メチル−2−(メチルチオ)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリジン(0.8g)から出発し、3−[2−(メチルチオ)−1,3−チアゾール−5−イル]ピリジンの合成と同様の方法に従って、黄色油(0.55g)として得た。MS(m/z):222.0[M+H]
【0132】
調製例23:1−メチル−5−(3−ピリジニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン
【化49】

標記化合物を、3−[1−メチル−2−(メチルスルフィニル)−1H−イミダゾール−5−イル]ピリジン(0.5g)から出発し、5−(3−ピリジニル)−1,3−チアゾール−2(3H)−チオンの合成と同様の方法に従って、淡黄色固体(0.117g)として得た。MS(m/z):192.2[M+H]
【0133】
実施例1〜16(表1):
チオアリール(0.082ミリモル)の乾燥アセトニトリル(2ml)中溶液に、ポリスチレン上の2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザ−ホスホリン(56mg、2.2ミリモル/g)を加え、得られた混合物を30分間室温で振盪し、次に、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(25mg)を加え、そして、得られた混合物を50℃で一晩振盪した。冷却した後、樹脂を濾過して取り、メタノール(2ml)で洗浄して、次にその溶媒を減圧にて蒸発させた。精製は、以下の条件、
移動相:A:NHHCO溶液 10mM、pH10;B:CHCN
勾配1:30%(B)で1分間、9分までに30%(B)から95%(B)、95%(B)で3分間
流速:17ml/分
UV波長帯:210−350nm
質量帯:100−900amu
イオン化法:ES+
を用い、Waters XTerra Prep MS C18 10μm、100×19mmカラムを使用し、マスダイレクティドHPLCで行った。
溶媒は、減圧にて取り除き、標記化合物を遊離塩基として得た。
【0134】
HPLC:
分析
カラム: X Terra MS C18 5mm、50×4.6mm
移動相: A:10mM NHHCO溶液、pH10;B:CHCN
勾配:30%(B)で1分間、9分までに30%(B)から95%(B)、95%(B)で3分間
流速:1ml/分
UV波長帯:210−350nm
質量帯:100−900amu
イオン化法:ES+
【0135】
調製例で用いられる、本明細書に記載されていない、チオアリールは、商業的に入手可能であるか、文献に記載の操作に従って調製されてもよい(例えば、Kjellin, Gunnar; Sandstrom, Jan. Chem. Center, Univ. Lund, Lund, Swed. Acta Chemica Scandinavica (1947-1973) (1969), 23(8), 2879-87;欧州特許出願EP263066を参照のこと)。
【表2−1】


【表2−2】

【表2−3】

【0136】
実施例17:(1S,5R)−3−[3−{[5−(3−ピリジニル)−1,3−チアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩
【化50】

標記化合物を、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(50mg)および5−(3−ピリジニル)−1,3−チアゾール−2(3H)−チオン(38mg)から出発して、実施例1に記載の方法と同様にして白色のわずかに吸湿性の固体として調製した(19mg)。
【表3】

【0137】
実施例18:(1S,5R)−3−[3−{[1−メチル−5−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩
【化51】

標記化合物を、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(50mg)および1−メチル−5−(3−ピリジニル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン(35mg)から出発して、実施例1に記載の方法と同様にして白色のわずかに吸湿性の固体として調製した(収量18mg)。MS(m/z):459[MH]
【0138】
実施例19:(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−5−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩
【化52】

標記化合物を、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(40mg)および1−メチル−5−フェニル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−チオン(25mg)から出発して、実施例1に記載の方法と同様にして白色のわずかに吸湿性の固体として調製した(収量20mg)。
【表4】

【0139】
実施例20:(1S,5R)−3−{3−[(5−フェニル−1,3−チアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩
【化53】

標記化合物を、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(40mg)および5−フェニル−1,3−チアゾール−2(3H)−チオン(31mg)から出発して、実施例1に記載の方法と同様にして白色のわずかに吸湿性の固体として調製した(収量58mg)。
【表5】

【0140】
実施例21:(1S,5R)−3−{3−[(5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン塩酸塩
【化54】

標記化合物を、(1S,5R)−3−(3−クロロプロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン(40mg)および5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−チオン(31mg)から出発して、実施例1に記載の方法と同様にして白色のわずかに吸湿性の固体として調製した(収量45mg)。
【表6】

【0141】
特許および特許出願に限定されるものではないが、本明細書中で引用される全ての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が具体的にそして個々に示され完全に記載されたように、出典明示により本明細書の一部とされるように、出典明示により本明細書の一部とされる。
本発明がこれまでに本明細書中で記載された特定の基の組み合わせの全てを包含することは、理解されるべきである。
【0142】
いずれかの後願について、優先権の主張の基礎として、本明細書および特許請求の範囲が一部を形成する出願が用いられてもよい。そのような後願の特許請求の範囲は、本明細書に記載の特徴または特徴の組み合わせのいずれに関するものであってもよい。それらは、製品、組成物、方法または使用の請求の形式をとってよく、限定するものではないが一例として、添付の特許請求の範囲を含んでいてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Gは、フェニル、ピリジル、ベンゾチアゾリルおよびインダゾリルからなる群より選択され;
pは、0、1、2、3、4または5であり;
は、独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択されるか、あるいは、R基に対応するものであり;
は、イソオキサゾリル、−CH−N−ピロリル、1,1−ジオキシド−2−イソチアゾリジニル、チエニル、チアゾリル、ピリジルおよび2−ピロリジノニルからなる群より選択され、そして、該基は、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびC1−4アルカノイルからなる群より選択される1個または2個の置換基で置換されていてもよく;
mは、2、3、4または5であり;
Aは、S、Oまたは−CH−であり;
Qは、トリアゾリル以外の5員の複素環式芳香族基であって、該5員の複素環式芳香族基は、1個または2個のC1−4アルキルにより置換されていてもよく;そして
は、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基、または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよく、
そして、RがRに対応するものである場合、pは1である]
で示される化合物、またはその塩。
【請求項2】
Gがフェニルであるところの、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がトリフルオロメチルであるところの、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが硫黄であるところの、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
mが3であるところの、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
一般式(IC):
【化2】

[式中:
およびpは、式(I)で定義されたものであり、nは0、1または2であり、Rは、水素またはC1−4アルキルであり、Wは、CまたはNであり、XはNまたはCRであり、そして、Yは、O、S、NHまたはNC1−4アルキルであり、ここで、Rは、水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基、または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個または4個の置換基により置換されていてもよい]
で示される請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
Qが、イミダゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、テトラゾリルまたはチエニルであり、その各々は、C1−4アルキル基により置換されていてもよいところの、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(ID):
【化3】

[式中、G、p、R、m、A、QおよびRは、請求項1で定義されたものである]
で示される請求項1に記載の化合物、またはその塩。
【請求項9】
一般式(IG):
【化4】

[式中、Rおよびpは、式(I)で定義されたものであり、nは0、1または2であり、Rは水素またはC1−4アルキルであり、WはCまたはNであり、XはNまたはCRであり、そしてYはO、S、NHまたはNC1−4アルキルであり、ここで、Rは水素、C1−4アルキル、フェニル、ヘテロシクリル基、5員もしくは6員の複素環式芳香族基、または8員〜11員の二環式基であり、そのいずれの基も、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルカノイルおよびSFからなる群より選択される1個、2個、3個もしくは4個の置換基により置換されていてもよい]
で示される請求項1に記載の化合物、またはその塩。
【請求項10】
(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(1H−イミダゾール−2−イルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4,5−ジメチル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(1,3−オキサゾール−2−イルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−[3−(1,3−チアゾール−2−イルチオ)プロピル]−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)− 3−(3−{[5−(3−ピリジニル)−1,3−チアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[1−メチル−5−(3−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(1−メチル−5−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−フェニル−1,3−チアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(5−クロロ−2−チエニル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(2−ピリジニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(2−フラニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−(3−{[4−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]チオ}プロピル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
(1S,5R)−3−{3−[(4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)チオ]プロピル}−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン;
またはその塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
AがSである式(I)の化合物の場合、式(V):
【化5】

[式中、R、p、Gおよびmは、請求項1で定義されたものであり、そしてLは脱離基である]
で示される化合物を、式(VI):
【化6】

[式中、QおよびRは、請求項1で定義されたものである]
で示される化合物と反応させる工程;
そして、その後、所望により
(i)いずれかの保護基(類)を除去すること;および/または
(ii)塩を形成させること;および/または
(iii)請求項1に記載のある化合物を、請求項1に記載の別の化合物に変換することを含む、請求項1に記載の化合物の調製するための方法。
【請求項12】
ドーパミンD受容体のモジュレーションが有益な状態を処理する方法であって、それを必要とする哺乳動物(例えば、ヒト)に、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項13】
状態が、精神病もしくは精神病の状態、物質乱用、強迫神経症スペクトル障害、早漏または認知障害であるところの、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
状態が、物質乱用であるところの、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
精神病の状態が、統合失調症であるところの、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
状態が強迫神経症スペクトル障害であるところの、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ドーパミンD受容体のモジュレーションが有益な哺乳動物の状態の処置のための医薬の製造における、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
状態が、精神病または精神病の状態であるか、物質乱用、強迫神経症スペクトル障害、早漏または認知障害であるところの、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
状態が、物質乱用であるところの、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
精神病の状態が、統合失調症であるところの、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
状態が強迫神経症スペクトル障害であるところの、請求項17に記載の使用。
【請求項22】
治療での使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
ドーパミンD受容体のモジュレーションが有益な哺乳動物の状態の処置での使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
精神病もしくは精神病の状態での使用のための、または物質乱用の、強迫神経症スペクトル障害、早漏または認知障害の処置のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
統合失調症の処置での使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
物質乱用の処置での使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
強迫神経症スペクトル障害の処置での使用のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物および医薬上許容される担体を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2008−543802(P2008−543802A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516237(P2008−516237)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005768
【国際公開番号】WO2006/133946
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】