説明

ナノ粒子分散液、それを用いた半導体デバイスの製造方法及び半導体デバイス

【課題】ナノ粒子分散液を用いた良好な電気的性能を有する半導体デバイスを効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】下記式IまたはI'で表される化合物から選択される平均粒子サイズ50nm以下の金属酸化物ナノ粒子と分散媒とを含むナノ粒子分散液を用いて酸化物半導体薄膜22を形成する。 ZnXYInZ(X+1.5Y+1.5Z)[I](式中、Mはアルミニウム、鉄及びガリウムの中の少なくとも一つの元素であり、比率X/Yが0.2〜10の範囲であり、比率Y/Zが0.1〜2.5の範囲である。) ZnX'InZ'(X'+1.5Z') [I'](式中、比率X'/Z'は0.5〜8の範囲である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子分散液、それを用いた半導体デバイスの製造方法及び半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス基板上に形成された多結晶シリコンやアモルファスシリコンTFTは、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイにおける画素及びドライバに用いられている。しかしながら、モバイル用途を考えるとガラス基板に代わり、軽くて割れにくいプラスチック基板の使用が切望されているが、TFTなどの半導体デバイスを製造する際の耐熱性やフォトリソグラフィー工程における安定性・煩雑性などの点が問題であった。
これに対処するため、ガラス基板上に半導体デバイスを一旦作製したのち、プラスチック基板に移設することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
最近、細野らは室温プロセスで作製したアモルファス酸化物半導体を用いたフレキシブル薄膜トランジスタを報告している(例えば、非特許文献1及び特許文献2参照)。これによれば、プラスチック基板上に気相法によりアモルファスZnGaInO4が形成され、高い整流特性が得られている。
【特許文献1】特開2004−235238号公報
【特許文献2】特開2004−103957号公報
【非特許文献1】Nature、(2004) Vol.432, pp.488-492
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、気相法による製造では、フォトリソグラフィーによりパターン形成を行っているが、リソグラフィー工程における安定性や工程の煩雑性の観点ではさらに改善が必要である。
従って、本発明の目的は、良好な電気的性能を有する半導体デバイスを効率よく製造可能なナノ粒子分散液、これを用いた半導体デバイスの製造方法及び半導体デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のナノ粒子分散液は、下記一般式IまたはI'で表される化合物から選択された平均粒子サイズ50nm以下の金属酸化物ナノ粒子と、分散媒とを含むナノ粒子分散液である。
ZnXYInZ(X+1.5Y+1.5Z) [I]
式中、Mはアルミニウム、鉄及びガリウムの中の少なくとも一つの元素であり、比率X/Yが0.2〜10の範囲であり、比率Y/Zが0.1〜2.5の範囲である。
ZnX'InZ'(X'+1.5Z') [I']
式中、比率X'/Z'は0.5〜8の範囲である。
【0006】
ここで、該金属酸化物ナノ粒子は前記一般式Iで表される化合物から選択され、かつ比率X/Yが0.2〜1.5の範囲であることが好ましい。また、前記金属酸化物ナノ粒子がアモルファス状態であることが好ましい。
前記ナノ粒子分散液では、好ましくは、一般式IまたはI'で表される金属酸化物ナノ粒子の濃度が、ナノ粒子分散液中、0.5〜20質量%である。
【0007】
また、前記分散媒が、下記一般式IIで表され且つ沸点が120℃〜250℃である高沸点溶媒を少なくとも1種含むものであることが好ましい。
1−OH [II]
式中、R1は炭素原子数1〜12の置換又は未置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。
【0008】
また、本発明のナノ粒子分散液は、前記一般式IまたはI'で表される金属酸化物ナノ粒子が、その構成金属のアルコキシドを、前記一般式IIで表され且つ沸点が120℃〜250℃である高沸点溶媒を少なくとも1種含む溶液中で分解させることによって形成されたものであることが好ましい。
【0009】
本発明の半導体デバイスの製造方法は、基板上に半導体薄膜層、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を有する半導体デバイスの製造方法において、上記のナノ粒子分散液をインクジェット方式又はディスペンサー方式により基板に向かって吐出させること、前記ナノ粒子分散液を加熱して、半導体薄膜層を形成すること、を含むものである。
【0010】
ここで、前記加熱は、赤外又は紫外レーザにより行われることが好ましい。
また更に、絶縁膜形成用溶液をインクジェット方式又はディスペンサー方式により基板に向かって吐出させること、前記絶縁膜形成用溶液を加熱して、前記ゲート絶縁膜を形成することを更に含んでもよい。
本発明の半導体デバイスは、上記の製造方法によって製造されたことを特徴としている。
【0011】
本発明のナノ粒子分散液は、一般式IまたはI'で表される金属酸化物ナノ粒子を含むものであり、この金属酸化物ナノ粒子は、結晶のみならずアモルファス状態であっても良好な半導体特性を発揮することができる。また、このナノ粒子分散液は、インクジェット又はディスペンサー方式による吐出が可能であり、その後、加熱することにより緻密な半導体薄膜を形成することができる。この結果、リソグラフィーを用いることなく、良好な電気的性能を有する半導体デバイスを低温で製造することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、良好な電気的性能を有する半導体デバイスを効率よく製造可能なナノ粒子分散液、これを用いた半導体デバイスの製造方法及び半導体デバイスが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のナノ粒子分散液は、上記一般式IまたはI'で表される化合物から選択される平均粒子サイズ50nm以下の金属酸化物ナノ粒子と分散媒とを含むものである。
本ナノ粒子分散液中の金属酸化物ナノ粒子は、加熱により緻密な薄膜を形成させると、結晶だけでなくアモルファス状態でも良好な半導体特性を発揮することができる。
【0014】
本発明における金属酸化物ナノ粒子は、50nm以下の平均粒子サイズを有するものである。50nm以下であれば、粒子を結晶化、あるいは塗布膜を緻密化させるのに大きなエネルギーを要することがなく、抵抗率、キャリア移動度などの電気特性も良好な範囲にすることができ、更には半導体デバイスを作製する際に充分に薄い膜厚の半導体膜を形成することができる。なお、平均粒子サイズが1nm未満であると、粒子が不安定であり、塗布、乾燥中に合一が起こりやすいため、好ましくない。金属酸化物ナノ粒子の平均粒子サイズは、粒子の安定性及び塗布面の平滑性の観点から好ましくは、2nm〜30nm、さらに好ましくは2nm〜10nmである。また、変動係数は、塗布面の平滑性の観点から30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下の単分散粒子である。金属酸化物ナノ粒子の粒子サイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回折(XD)、X線小角散乱法などによって測定することができる。
【0015】
上記ナノ粒子を示す一般式Iにおいて、Mは、アルミニウム、鉄及びガリウムの中の
少なくとも一つの元素であり、これらは単独であってもよく、このうちの2つ以上が共存していてもよい。複数が存在する場合の比率には特に制限はなく、結晶化温度、隣接するゲート絶縁膜への拡散性、電気特性などを考慮して適切に選択できる。これらのうち、室温で高い絶縁性を示し、ノーマリーオフ特性を得やすい観点から、アルミニウム又はガリウムが好ましい。
【0016】
比率X/Yは、0.2〜10の範囲であり、0.2未満では、原料コストが高くなり、一方、10を超えるとZn成分が過剰となって酸化亜鉛の結晶が生じて複合酸化物ナノ粒子を形成することができない。X/Yは、電気特性の観点から0.2〜1.5の範囲であることが好ましく、0.5〜1.3の範囲であることが更に好ましい。
比率Y/Zは、0.1〜2.5の範囲であり、電気特性の観点から0.2〜1.5の範囲であることが好ましく、0.5〜1.3の範囲であることが更に好ましい。上記ナノ粒子を示すもう一つの一般式I'においては、比率X'/Z'は0.5〜8の範囲であり、好ましくは0.9〜7.6の範囲である。
より好ましくは、上記ナノ粒子が一般式Iで表される化合物から選択され、このときの比率X/Yが0.2〜1.5となる場合である。
【0017】
本発明の金属酸化物ナノ粒子は、公知の液相法、気相法、噴霧熱分解法等により合成することができるが、ハロゲン化物イオンや硫酸イオンなどの副生成物を生成せず、かつ、容易に溶媒に分散できることから、金属アルコキシドを用いるゾルゲル法が好ましい。
このとき、各構成金属のアルコキシドをそれぞれ形成し、次いで混合、加熱溶解することによって複合アルコキシドを形成し、これを加水分解及び/又は熱分解(必要により加圧下のソルボサーマル反応)することにより金属酸化物ナノ粒子を得る方法が好ましい。
例えば、下記一般式III及び一般式IV:
Zn(OR22 ・・・[III]
M(OR33 ・・・[IV]
(式中、Mはアルミニウム、鉄、インジウム及びガリウムの中の少なくとも一つの元素であり、比率Zn/Mが0.2〜10の範囲である。R2及びR3はそれぞれ同一でも異なってもよく、炭素数が1〜20の置換又は無置換のアルキル基を表す。)
で表される金属アルコキシド化合物(一般式III及び一般式IVで表される化合物はその一部が連結して複合アルコキシドを形成していてもよい)を含有する金属アルコキシド溶液を加熱することによって得ることができる。このような金属アルコキシド化合物としては、例えば、亜鉛エトキシド、亜鉛エトキシエトキシド、インジウムイソプロポキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、鉄イソプロポキシド等を挙げることができる。
【0018】
上記ナノ粒子は多結晶状態でもアモルファス状態でもよいが、好ましくはアモルファス状態である。アモルファス状態であれば、比較的低温で粒子を合成することができるので、粒子サイズを小さくすることが可能となり半導体薄膜層の平滑性を向上させることができる。アモルファス状態のナノ粒子は、一般式IまたはI'の構成金属のアルコキシドを、後述の一般式IIで表され且つ沸点が120℃〜250℃である高沸点溶媒を少なくとも1種含む溶液中で熱分解させることによって容易に得ることができる。
従って、本発明のナノ粒子分散液を用いることによって、ナノ粒子を結晶化させることなく、アモルファス状態で用いて半導体デバイスを作製することができる。また、必要により本発明のナノ粒子分散液を塗布後に加熱処理することにより多結晶薄膜を形成することもできる。金属酸化物ナノ粒子の状態(結晶状態又はアモルファス状態)はX線回折(XD)、電子線回折(ED)、透過型電子顕微鏡(TEM)等により確認することができる。
【0019】
本発明において、一般式IまたはI'で表される金属酸化物ナノ粒子は、前述のように
複合金属アルコキシドを溶液中で熱分解して合成する方法が好ましい。熱分解時の加熱方法としては、オイルバスやマントルヒーター等による常圧下の加熱の他に、オートクレーブを用いた加圧下での加熱や超音波照射、マイクロ波照射などの間接加熱を適用することができる。また、必要に応じて加熱工程に続いて、再分散工程を設けることができる。加圧下での加熱や超音波照射もしくはマイクロ波照射における高温反応によって、後述の一般式IIで表される高沸点溶媒を含有する溶媒の一部が分解、変性するのに伴い、生成したナノ粒子が凝集しやすくなっている。特に生成した金属酸化物が高濃度であるほど凝集しやすい。しかしながらこの凝集ナノ粒子を分散するには、通常の大粒子を微粒子に分散するブレークダウン法と異なり、短時間で速やかに行なうことができる。
【0020】
分散装置は、常用のものを単独で又は組合わせて使用できる。例えば、ビーズミル、ナノマイザー、ジェットミル、オムニミキサー、ホモジナイザー、遊星ミル、アイガーミルなどを用いることができる。分散時間は装置により異なるので一概には言えないが、数秒から数十分という短時間でよい。分散時の液温は任意でよいが15℃〜40℃が好ましい。このとき必要に応じて、分散剤(例えば、金属酸化物ナノ粒子に吸着する化合物、界面活性剤、高分子など)を添加することもできる。これらの分散剤の添加量は、金属酸化物の0.001〜100倍モルの量が好ましい。
【0021】
前記の分散媒としては一般式IまたはI'の金属酸化物ナノ粒子を分散させることができるものであればよく、水、アルコール類、アミノアルコール類、グリコール類などを挙げることができ、分散液の安定性、乾燥性の観点から下記一般式IIで表される高沸点溶媒を少なくとも1種含むものであることが更に好ましい。
1−OH [II]
【0022】
ここで、R1は炭素原子数2〜12の置換又は未置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、ブテニル基、プロペニル基などが、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などが、アリール基としては、フェニル基などがそれぞれ挙げられる。
アルキル基やアルケニル基への好ましい置換基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基など)、水酸基、アミノ基などが挙げられる。シクロアルキル基やアリール基への好ましい置換基の例としては、アルキル基(メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基など)、水酸基、アミノ基などが挙げられる。
特に好ましい置換基としては、ジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-t-ブチルアミノ基など)が挙げられる。
【0023】
また一般式IIで表される上記高沸点溶媒の沸点は、120℃〜250℃であり、乾燥時の負荷軽減の観点から好ましくは130℃〜200℃である。沸点が120℃未満では乾燥しやすく分散液の濃度が変動しやすいので好ましくなく、250℃を超えると半導体薄膜を形成する際に残存しやすくなるため、好ましくない。本発明に係るナノ粒子分散液は、一般式IIで表される高沸点溶媒を分散媒として少なくとも1種含有していればよく、このうちの複数種の組み合わせ、或いは他の溶媒との組み合わせであってもよい。
【0024】
一般式IIに相当する高沸点溶媒としては、例えば、2−エトキシエタノール、2−(メトキシエトキシ)エタノール、2−(エトキシエトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ベンジルアルコール、2−アミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−(アミノエトキシ)エタノールなどを挙げることができる。
これらの分散媒と併用できる溶媒としては、例えばジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセチルアセトンなどが挙げられる。
【0025】
ナノ粒子分散液における上記一般式IまたはI'で表される金属酸化物ナノ粒子は、ナノ粒子分散液全体の質量に対して0.5〜20質量%、好ましくは1〜10質量%であることが望ましい。0.5質量%未満では、均一な薄膜ができない場合があり、一方、20質量%を超えると充分に薄い半導体膜を構成することができない場合がある。
【0026】
前記ナノ粒子分散液は、前記吸着性化合物等の有機化合物の他にも帯電防止剤、可塑剤、高分子バインダー等の各種添加剤を目的に応じて添加し、物性調整して用いてもよい。
ナノ粒子分散液の電気伝導度は半導体特性上1,000μS/cm以下であるのが好ましく、100μS/cm以下であることがより好ましい。
また、ナノ粒子分散液の粘度は、塗布手段により異なるが、例えばインクジェットやディスペンサーの場合、吐出性の観点から1〜100mPa・s、好ましくは1〜20mPa・sであることが望ましい。ナノ粒子分散液の上記粘度は、市販の粘度計、例えば振動式粘度計 VISCOMATE (CBCマテリアルズ株式会社製)で測定することができる。
【0027】
本発明のナノ粒子分散液は、後述するように半導体デバイスにおける半導体膜を構成するために好ましく用いることができる。このような半導体デバイスとしては、各種のデバイスを含むことができ、例えば、電界効果型トランジスタ、バイポーラトランジスタ、積層型半導体装置、発光素子などを挙げることができる。これらの半導体デバイスの構成、構造等の詳細は特開2002−76356号等の文献に記載されており、本発明においても適用できる。
【0028】
次に本発明のナノ粒子分散液を用いて作製される本発明の半導体デバイスについて説明する。
図1には、本発明のナノ粒子分散液を適用可能な半導体デバイスの一例としての半導体デバイス10が示されている。
半導体デバイス10では、基板12上に、ゲート電極14及びゲート絶縁膜16を介して、ソース電極18、ドレイン電極20、半導体薄膜22が設けられている。
【0029】
基板12は、主として、絶縁性の材料で構成されており、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、耐熱ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、サファイア等のガラス;Al23、MgO、BeO、ZrO2、Y23、ThO2、CaO、GGG(ガドリウム・ガリウム・ガーネット)等の無機材料;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;ポリアリレート;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリイミド;フッ素樹脂;フェノキシ樹脂;ポリオレフィン系樹脂;ナイロン;スチレン系樹脂;ABS樹脂;金属;等を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。用途に応じてこれらの材料から適宜選択して、フィルム状等の可撓性基板、又は剛性のある基板とすることができる。
【0030】
耐熱性、耐光性の低いプラスチック基板を用いる場合には、該プラスチックのレーザ光による変性を防止するために変性防止層(下地層)を設け、その上にゲート電極14及びゲート絶縁膜16を形成することが好ましい。変性防止層は、プラスチック基板へ到達する光のエネルギーを低減する機能を少なくとも有する層である。
好ましい材料としては、SiO2、SnO2、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、Al23、ZrO2、Nb25、V25、TiO2、Sc23、Y23、La23、Ga23、GeO2、Ta25、HfO2などが挙げられる。これらの中で絶縁抵抗の大きいものはゲート絶縁膜の材料としても用いることができる。変性防止層は、ゾル−ゲル法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法など、通常の成膜方法により形成できる。なお、前記基板の形状は円盤状、カード状、シート状などいずれの形状であってもよい。
【0031】
ソース電極18、ドレイン電極20及びゲート電極14としては、アルミニウム、銅などの金属、Ti−Al、Mo−Tiなどの複合金属及び高ドープした半導体ポリシリコンなどの不透明導電性材料や、SnをドープしたIn23(ITO)、SbをドープSnO2(ATO)、ZnをドープしたIn23(IZO)、MgIn24、CuAlO2,AgInO2、13族元素(B、Al、Ga、In、Tl)、17族元素(F、Cl、Br、I)、1族元素(Li、Na、K、Rb、Cs)、15族元素(N、P、As、Sb、Bi)のいずれかをドープした導電性ZnO等の透明導電性材料を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。
なお、ソース電極18、ドレイン電極20及びゲート電極14としての各膜厚は、所望される電気的特性によって異なるが、一般に、0.04〜1μmとすることができる。
【0032】
ゲート絶縁膜16としては、例えば、1価の価数を取りうる元素又は15族元素又は、3d遷移金属元素をドープした絶縁性ZnO、SiN、SiO2等の透明絶縁性材料を挙げることができる。ここで、1価の価数を取りうる元素としては、例えば、1族元素(Li、Na、K、Rb、Cs)、Cu、Ag、Au等を挙げることができ、15族元素としては、N、P、As、Sb、Bi等を挙げることができる。ゲート絶縁膜16としては、その他にも、Al23、MgO、CeO2、ScAlMgO4、SiO2、Y23等の透明絶縁性酸化物を用いることができる。さらに、ポリマーフィルム、ビニール、プラスチック等の透明な絶縁体を用いてもよい。
なお、ゲート絶縁膜16としての乾燥膜厚は、所望される電気的特性によって異なるが、一般に、0.1〜1μmとすることができる。
【0033】
半導体薄膜22は、上述した本発明のナノ粒子分散液を用いて形成することができる。半導体薄膜22の乾燥膜厚は、20〜500nm、好ましくは30〜200nmとすることができる。
【0034】
このような本発明に係る半導体デバイスを製造する方法は、常法によってゲート電極14及びゲート絶縁膜16上にソース電極18及びドレイン電極20が設けられた基板12上の所定の位置に向かって、本発明に係るナノ粒子分散液をインクジェット方式又はディスペンサー方式により吐出して、ナノ粒子分散液層を塗設(パターン形成)し、その後、このパターンを加熱することにより半導体薄膜22を形成することを含む。このようにインクジェット方式又はディスペンサー方式によって半導体薄膜22を形成するので、リソグラフィーを適用することなく効率よく、且つ低いエネルギーで半導体デバイスを製造することができる。
【0035】
インクジェット方式及びディスペンサー方式による吐出工程では、ライン状に吐出ヘッドを並べ、コンピューターに入力された図形情報に基づき各吐出ヘッドを作動させることにより、1次元に走査するだけで必要な箇所のみにナノ粒子が塗布される。これにより、ナノ粒子分散物の無駄なく且つ短時間で半導体薄膜パターンを得ることができる。
【0036】
インクジェットプリンターを用いて又はディスペンサー方式によりナノ粒子分散液を吐出した場合には、塗膜の厚みは、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは1〜500μmである。これらの範囲内であれば、適切な電気特性を備えた半導体デバイスを構成するための乾燥膜厚を形成することができる。
【0037】
インクジェットプリンターには、インクの吐出方式により各種のタイプがある。例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型(インクに発泡を起こし、その圧力によりインクを噴出する方式)、空気流型、固形熱溶融性インク型、静電誘導型、音響インクプリント型、電気粘性インク型、また、大量生産に適した連続噴射型などがあり、本発明にはいずれでも使用することができ、パターンの形状や厚さ、インクの種類などにより適宜選択することができる。インクジェット方式の場合は、吐出するインク滴の大きさを調節することにより、パターン幅やピッチを3μm程度まで細線化することができる。従って、回路パターンやディスプレイの画素の形成にも十分対応できる。
【0038】
また、インクジェットプリンターやディスペンサーとパソコン等のコンピューターとを接続することにより、コンピューターに入力された図形情報により、基板上にパターンを形成することができる。
【0039】
ナノ粒子分散液をパターン状に吐出して形成したパターンは、加熱(焼成)することにより緻密化できるとともに金属酸化物を結晶化させて電気的特性を高めることができる。
なお、加熱処理前のパターンの乾燥は、適宜行ってもよく、実施する場合には自然乾燥でも通常の乾燥機を用いて行ってもよい。乾燥温度は、特に制限はないが、一般に、室温〜150℃にすることができる。
【0040】
加熱(焼成)は、基板がガラスや石英などの耐熱性の場合には、電気炉などを用いて500℃程度まで加熱することができる。
一方、プラスチック基板などの耐熱温度が低い材料を基板とした場合には、赤外又は紫外レーザによって加熱することが好ましい。レーザの使用は、ビームを照射して塗膜部に焦点を絞ることができるので描画した塗膜の部分だけ高エネルギーで加熱することができ、この結果、プラスチック基板のような一般に耐熱性が高くない基板であっても適用することができる。
【0041】
照射するレーザは、750nm〜1700nmの赤外光(熱線)及び/又は本発明の金属酸化物が光吸収する360nm以下の紫外光であることがより好ましい。更に、基板自体は吸収がないか、吸収が弱い波長のものが望ましい。代表的なレーザとしては、AlGaAsやInGaAsPなどの半導体レーザ、Nd:YAGレーザ、ArF、KrF、XeCl、XeFなどのエキシマレーザー、色素レーザなどが挙げられる。
【0042】
レーザによる加熱工程では、目的とする照射部に光を集束させてその部分を高エネルギーとし、緻密な金属酸化物薄膜の形成、結晶化を起こすことができる。また、ナノ粒子の平均粒子サイズが1〜50nmと小さいため、金属酸化物薄膜の緻密化や結晶化をより低温で起こすことができ、短時間レーザ照射することで半導体薄膜22を得ることができる。
このレーザ照射の照射光の強さは前記の酸化物などの金属酸化物薄膜22が緻密化、結晶化するに十分な程度であればよく、特に制限はない。好ましくは0.1mJ/cm2以上、より好ましくは1〜1000mJ/cm2である。レーザの照射は連続であっても、パルス状のものを複数回行ってもよい。
【0043】
ゲート絶縁膜16は、前述した絶縁性材料を適当な溶媒に溶解又は分散させた絶縁膜形成用溶液を調製し、スピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコートなどの塗布法を利用した形成方法や、液相沈着法やスパッタリング、イオンプレーティング法などの気相法で製膜することができるが、好ましくは、半導体薄膜22と同様に、ゲート絶縁膜16についても、絶縁膜形成用溶液をインクジェット方式又はディスペンサー方式により所定位置に吐出させること、吐出された絶縁膜形成用溶液を加熱することを含む方法によって形成してもよい。このとき半導体薄膜22と同様に、加熱工程の前に乾燥工程を設けてもよい。これにより、半導体デバイス全体の製造効率を向上させることができる。
ここで用いられる絶縁膜形成用溶液は、前述した絶縁性材料に加えて吸着性化合物等の有機化合物や帯電防止剤、可塑剤、高分子バインダー等の各種添加剤等を含むことができる。
【0044】
また、基板12とゲート絶縁膜16及びゲート電極14との間には、前記基板表面の平面性の改善、接着力の向上、基板12又は基板12に接触する膜の変質防止などの目的で、下塗り層が設けられてもよい。
下塗り層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、Nーメチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;熱硬化性又は光・電子線硬化樹脂;及びカップリング剤などの表面改質剤等が挙げられる。熱硬化性又は光・電子線硬化樹脂、及びカップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ゲルマニウム系カップリング剤アルミニウム系カップリング剤など)が好ましい。また、SiO2やSiNなどの無機材料であってもよい。
【0045】
前記下塗り層は、上記材料を適当な溶媒に溶解又は分散させて塗布液を調製し、該塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコートなどの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形成することができる。また、前記無機材料の場合には、液相沈着法やスパッタリング、イオンプレーティング法などの気相法で製膜することができる。下塗り層の膜厚(乾燥時)は、一般に0.001〜20μmが好ましく、0.005〜10μmがより好ましい。なお、下塗り層は変性防止層を兼ねることもできる。
【0046】
本発明の半導体デバイス10は、ナノ粒子分散液を加熱することによって形成された半導体薄膜22を備えているので、所望の半導体特性を有することができ、また基板12の材料を無機材料に制限されることなく効率よく作製することができる。なお、本発明の半導体デバイスは上記構造に限定されるものではなく、半導体デバイスの用途等に応じて、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極及び半導体薄膜の各構成部材の相対位置を適宜、変更してもよい。また、各構成部材の配置に合わせて形成順序等を変更することができる。
【実施例】
【0047】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
[ナノ粒子分散液の調製1]
酢酸亜鉛二水和物1.10gにエタノール50mlを加え1時間還流した。30mlを留去したのち、2−エトキシエタノール50mlを加え溶液Aを調製した。別に、インジウムイソプロポキシド1.46gに2−エトキシエタノール50mlを添加し、60℃で溶解した。さらにこの溶液にガリウムエトキシド1.03gをトルエン50mlに溶解した液を添加し、110℃に昇温してトルエンを留去した。液温を90℃に下げて溶液Aを添加し1時間撹拌した。さらに1−エトキシ−2−プロパノール50mlを添加し、溶媒を留去しながら150℃に昇温して1時間撹拌した。その後、室温に冷却後収納した。収量約30mlの淡黄色の溶液Bを得た。
【0049】
溶液Bをオートクレーブに入れ、300℃に昇温して2時間撹拌した。室温に冷却すると微細な沈殿物が生成していた。この沈殿物を分析したところ、Zn:Ga:Inの原子比が1.03:0.98:1である酸化物であることがわかったが、X線回折パターンは得られなかった。オムニミキサーを用いて粗分散したのち、ナノマイザー((株)東海社製)で分散して、乳白黄色の分散液としての試料(1)を得た。
【0050】
酢酸亜鉛二水和物の使用量を0.77g、又は1.54gに変えた以外は同様にして分散物の試料(2)及び(3)を調製した。また、ガリウムエトキシドの使用量を0.88g、又は1.23gに変えた以外は同様にして試料(4)及び(5)を調製した。さらに、ガリウムエトキシドの代わりに、アルミニウムイソプロポキシドを1.03g又は鉄(III)イソプロポキシドを1.17g用いた以外は同様にして、それぞれ試料(6)及び(7)を調製した。
【0051】
[ナノ粒子分散液の調製2]
酢酸亜鉛二水和物を1.54g、インジウムイソプロポキシドを0.19g、ガリウムエトキシドを0.13g、を用いた以外は上記と同様にしてZn:Ga:In=11:1:1(X/Y=11、Y/Z=1)の試料(8)を調製した。
【0052】
[試料の比較]
上記のようにして得られた試料(1)〜(8)の組成、サイズ等を表1にまとめた。なお、組成はICP分析より求めた。粒子の状態はX線回折装置によるX線回折パターンから判断した。
【0053】
【表1】

【0054】
表1に示されるように、本発明に係る試料(1)は、透過型電子顕微鏡で観察すると、平均粒子径が約8nmのナノ粒子が生成していることがわかった。また同様に本発明にかかる試料(2)〜(7)も、平均粒子径6nmから10nmのナノ粒子が生成していることがわかった。これらの試料(1)〜(7)では、いずれもX線回折パターンを得ることができず、いずれもアモルファス状態であることが示された。
これに対して、試料(8)は、Zn:Ga:In=11:1:1(X/Y=11、Y/Z=1)の組成によるナノ粒子分散液を目的として調製したものである。しかしながら、前記の溶液Bの段階でZnOの白色沈殿を生成し、複合酸化物ナノ粒子を合成できなかった。このことは、X/Yの比率が11では、本発明に係るナノ粒子分散液が得られないことを示している。
【0055】
[実施例2]
[ボトムゲート型TFTの作製]
幅50mm、長さ50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上にフォトリソグラフィー法によりゲート電極(ITO)を設置した。ゲート電極が形成された基板に対して、ゲート絶縁膜としてRFスパッタ法によりY23を膜厚150nmで形成した。更にこのゲート絶縁膜の上に、インクジェットプリンターを用いたインクジェット法でAuナノインク((株)アルバック製)を用いてソース及びドレイン電極を描画し、250℃で20分加熱した。チャネル長及びチャネル幅はそれぞれ50μm及び200μmであった。
上記実施例1で作製された試料(1)をナノ粒子分散液(分散液中のナノ粒子含有量:3.5質量%、粘度:8mPa・s)として選択し、チャネル部分に対して上記同様にインクジェット法にて乾燥膜厚80nmで塗設し、乾燥後、500℃で30分焼成して半導体薄膜(チャネル層)を形成し、ボトムゲート型TFTを作製した。なお、試料(1)は、乾燥後500℃で30分加熱してもX線回折パターンが得られないことを実験で確認しており、ここで形成した半導体薄膜(チャネル層)もアモルファス状態であると推定される。
【0056】
[TFT素子の特性評価]
上記で作製されたTFTは、ゲート電圧VG=0Vの時はIDS=2×10-8A(VDS=5.0V)であり、VG=5Vの時はIDS=8×10-6Aとなり、ノーマリーOFF特性が得られた。
【0057】
[実施例3]
[フレキシブル基板上へのTFT素子の作製]
幅100mm、長さ100mm、厚さ0.2mmのPET基板上にシランカップリング剤を用いてSiO2からなる厚さ500nmの変性防止層を形成した。この上にフォトリソグラフィー法によりゲート電極(ITO)を設置した。ゲート絶縁膜として平均粒子サイズ6nmのアルミナ分散液を用い、スピンコートにより乾燥膜厚200nmで塗設、乾燥後、500℃で10分焼成した。更に、このゲート絶縁膜の上に、実施例1と同様にインクジェット法でAuナノインク((株)アルバック製)を用いてソース及びドレイン電極を描画し、250℃で20分加熱した。チャネル長及びチャネル幅はそれぞれ50μm及び200μmであった。
【0058】
この上に実施例1で作製された試料(1)をナノ粒子分散液(1)として選択し、インクジェット法にて乾燥膜厚100nmで塗設、乾燥後、波長248nmのKrFエキシマレーザー光(LAMBDA PHYSIK社製、照射エネルギーは60mJ/cm2/パルス、周波数20Hz、照射時間1分)を照射してチャネル層(半導体薄膜)を形成し、TFTを作製した。
【0059】
[TFT素子の特性評価]
作製したTFTは、ゲート電圧VG=0Vの時はIDS=5×10-8A(VDS=5.0V)であり、VG=5Vの時はIDS=7×10-6Aとなり、ノーマリーOFF特性が得られた。
【0060】
このように本発明の実施例にかかる半導体デバイスは、低エネルギーで効率よく製造することができると共に、アモルファス状態の半導体薄膜を備えて、良好な電気的性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施例にかかる半導体デバイスの構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 半導体デバイス
12 基板
14 ゲート電極
16 ゲート絶縁膜
18 ソース電極
20 ドレイン電極
22 半導体薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式IまたはI'で表される化合物から選択された平均粒子サイズ50nm以下の金属酸化物ナノ粒子と、分散媒とを含むナノ粒子分散液。
ZnXYInZ(X+1.5Y+1.5Z) [I]
(式中、Mはアルミニウム、鉄及びガリウムの中の少なくとも一つの元素であり、比率X/Yが0.2〜10の範囲であり、比率Y/Zが0.1〜2.5の範囲である。)
ZnX'InZ'(X'+1.5Z') [I']
(式中、比率X'/Z'は0.5〜8の範囲である。)
【請求項2】
請求項1に記載のナノ粒子分散液において、該金属酸化物ナノ粒子が前記一般式Iで表された化合物から選択され、かつ前記一般式Iにおいて、Mがアルミニウム、鉄及びガリウムの中の少なくとも一つの元素であり、比率X/Yが0.2〜1.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子分散液。
【請求項3】
前記金属酸化物ナノ粒子がアモルファス状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノ粒子分散液。
【請求項4】
前記金属酸化物ナノ粒子の濃度が、ナノ粒子分散液中、0.5〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ粒子分散液。
【請求項5】
前記分散媒が、下記一般式IIで表され且つ沸点が120℃〜250℃である高沸点溶媒を少なくとも1種含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナノ粒子分散液。
1−OH [II]
(式中、R1は炭素原子数1〜12の置換又は未置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。)
【請求項6】
前記一般式IまたはI'で表される金属酸化物ナノ粒子が、その構成金属のアルコキシドを、前記一般式IIで表され且つ沸点が120℃〜250℃である高沸点溶媒を少なくとも1種含む溶液中で分解させることによって形成されたものであることを特徴とする請求項5記載のナノ粒子分散液。
【請求項7】
基板上に半導体薄膜層、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を有する半導体デバイスの製造方法において、
請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子分散液をインクジェット方式又はディスペンサー方式により基板に向かって吐出させること、
前記ナノ粒子分散液を加熱して、半導体薄膜層を形成すること、
を含む半導体デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記加熱が、赤外又は紫外レーザにより行われることを特徴とする請求項7に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項9】
絶縁膜形成用溶液をインクジェット方式又はディスペンサー方式により基板に向かって吐出させること、
前記絶縁膜形成用溶液を加熱して、前記ゲート絶縁膜を形成すること
を更に含む請求項7又は8に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
上記請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法によって製造された半導体デバイス。
【請求項11】
半導体薄膜層がアモルファスであることを特徴とする請求項10に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
基板がプラスチックであることを特徴とする請求項10又は11に記載の半導体デバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2007−42690(P2007−42690A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222246(P2005−222246)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】