説明

ナビゲーションシステム及びプログラム

【課題】出発地の気候に基づいて、目的地の気候を示す情報を通知可能なナビゲーションシステム及びプログラムを提供する。
【解決手段】新たに目的地が設定されると(S101:YES)、設定された設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、設定目的地を示す設定目的地情報を含む走行情報を取得する(S201:YES)。また、到着地情報の示す到着地が設定目的地情報の示す設定目的地に合致し、かつ、出発地気候情報の示す出発地の気候が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気候に合致する履歴情報があると判断された場合(S202:YES、S203:YES)、合致する履歴情報に関連付けられている評価情報に基づいて設定目的地の気候を示す案内フラグを送信する(S206)。これにより、出発地の気候に応じて適切に設定目的地の気候を適切に案内することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行ルートに基づいて、車両が走行中に遭遇すると予想される天候情報を運転者に報知する天候情報センタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−51974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、予想される天候情報を報知するが、天候に対する感じ方はユーザによって異なるため、必ずしもユーザにとって適切な報知とはなっていなかった。特にこれから向かう目的地の気候を知りたい場合、出発地における気候によって、目的地の気候に対する感じ方が異なる。例えば気候が気温である場合であって、目的地の気温が15℃である場合、出発地の気温が5℃である場合と25℃である場合とでは、体感が異なる。そのため、単に目的地の気候を案内しただけでは、ユーザにとって真に有益な情報とは言い難い。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、出発地の気候に応じて、目的地の気候に関する情報を通知可能なナビゲーションシステム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のナビゲーションシステムは、出発地の気候を示す出発地気候情報、到着地を示す到着地情報、および、到着地の気候に対する評価を示す評価情報が関連づけられた履歴情報を記憶している。ナビゲーションシステムは、新たに設定された設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、新たに設定された設定目的地を示す設定目的地情報を含む走行情報を取得する走行情報取得手段と、到着地情報の示す到着地が設定目的地情報の示す設定目的地に合致し、かつ、出発地気候情報の示す出発地の気候が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気候に合致する履歴情報があるか否かを判断する合致判断手段と、合致判断手段により合致する履歴情報があると判断された場合、当該合致する履歴情報に関連付けられている評価情報に基づいて、設定目的地の気候に関する通知情報を通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
これにより、出発地の気候が設定出発地の気候に合致する履歴情報に関連付けられている評価情報に基づいて設定目的地の気候に関する通知を行うので、設定出発地の気候に応じて適切に設定目的地の気候に関する案内を行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0006】
請求項2に記載のナビゲーションシステムにおいては、履歴情報には、到着地の気候を示す到着地気候情報がさらに含まれる。ここで、気候は気温である。またナビゲーションシステムは、設定目的地に到着する到着予定時間における到着時予測気温を予測する気温予測手段を備える。また、通知手段は、合致する履歴情報における到着地気候情報の示す到着地の気温と到着時予測気温との差分に基づいて、通知情報を変更する。これにより、到着時予測気温と合致する履歴情報における到着地の気温との差分に基づいて通知情報を変更するので、気候に関する案内をより適切に行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0007】
以上は、ナビゲーションシステムの発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することができる。
出発地の気候を示す出発地気候情報、到着地を示す到着地情報、および、到着地の気候に対する評価を示す評価情報が関連づけられた履歴情報を取得する履歴情報取得手段、新たに設定された設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、新たに設定された設定目的地を示す設定目的地情報を含む走行情報を取得する走行情報取得手段、到着地情報の示す到着地が設定目的地情報の示す設定目的地に合致し、かつ、出発地気候情報の示す出発地の気候が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気候に合致する履歴情報があるか否かを判断する合致判断手段、合致判断手段により合致する履歴情報があると判断された場合、当該合致する履歴情報に関連付けられている評価情報に基づいて、設定目的地の気候に関する通知情報を通知する通知手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。このようなプログラムを実行することで、上記と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による履歴情報送信処理を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による履歴情報を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による通知処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による案内フラグを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明によるナビゲーションシステムを図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1に示すように、本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムは、車両に搭載された車載器1と通信可能な情報センタ90によって具現化される。
まず、車載器1について説明する。車載器1は、制御部10を中心に構成されており、制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、通信部50、描画部60、音声出力部70、及び情報記憶部80等を備えている。
【0010】
制御部10は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System)受信機24等を有している。これらのセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0011】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上
ためのいわゆるマップマッチング用データおよび経路を探索するための地図データを記憶している。
【0012】
操作スイッチ群40は、ディスプレイ61と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
通信部50は、情報センタ90と通信を行うための構成である。
【0013】
描画部60には、上述したようにディスプレイ61が接続されている。ディスプレイ61は、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ61を介して情報表示が行われる。
音声出力部70にはスピーカ71が接続されており、このスピーカ71を介して音声による案内が行われる。
【0014】
情報記憶部80は、地図データ記憶部30と同一のHDDで構成されている。もちろん、メモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
温度センサ86は、車外の温度を検出するものであり、車両ECU85を介して車載器1の制御部10と接続されている。
【0015】
車載器1と通信可能である情報センタ90は、制御部91を中心に構成されており、制御部91に接続される通信部92および記憶部93等を備えている。
制御部91は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスライン等が備えられている。
通信部92は、車載器1と通信を行うための構成である。なお、情報センタ90の通信部92は、複数の車両に搭載された車載器と通信可能であるが、図1においては1つの車載器1のみを図示した。
【0016】
記憶部93は、HDD等で構成され、履歴情報データベース94を有している。履歴情報データベース94は、車載器1から取得された履歴情報が到着地ごとに格納されている。本実施形態においては、履歴情報データベース94に格納されている履歴情報は、24時間毎(例えば、午前0時)に全て破棄されるようになっている。なお、履歴情報は、車載器1が設定目的地に到着し、体感情報を取得すると、情報センタ90に送信されるように構成されているものとする。
【0017】
ここで、車載器1における履歴情報送信処理について図2のフローチャートに基づいて説明する。尚、本履歴情報送信処理は、車載器1において出発地、及び目的地が設定されているとき、即ち、経路が設定されているときに実行される処理である。
ここで、車載器1において目的地が設定されると、目的地が設定されたときの車両2の現在位置が出発地として設定されるものとする。そして、設定された出発地である設定出発地を示す設定出発地情報、設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、設定された目的地である設定目的地を示す設定目的地情報が走行情報として情報記憶部80に記憶される。設定出発地情報には、設定された出発地点の座標が含まれる所定のエリアを特定する情報が含まれる。また、設定目的地情報には、設定された目的地点の座標が含まれる所定のエリアを特定する情報が含まれる。本実施形態における所定のエリアを特定する情報は、「長野市」、「名古屋市」、「町田市」といった市区町村を示す情報である。また、出発地気候情報には、車両2が設定出発地に位置するときに温度センサ86によって検出される気温が含まれる。
【0018】
最初のステップS11(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、設定目的地に到着したか否かを判断する。本実施形態では、設定目的地の座標を中心とする所定範囲内に車両が位置することによって、当該設定目的地に到着したと判断する。目的地に到着していないと判断された場合(S11:NO)、この判断処理を繰り返す。目的地に到着したと判断された場合(S11:YES)、温度センサ86によって温度を検出し、S12へ移行する。
【0019】
S12では、到着地の気候の評価を示す評価情報としての体感情報の入力をユーザに促す画面をディスプレイ61に表示する。そして、操作スイッチ群40を介してユーザにより体感情報が入力されたか否かを判断する。体感情報が入力されていないと判断された場合(S12:NO)、この判断処理を繰り返す。体感情報が入力されたと判断された場合(S12:YES)、S13へ移行する。
【0020】
S13では、情報記憶部80に記憶さている当該到着地に対応する出発地情報、出発地気候情報、到着地情報および到着地気候情報と、体感情報と、を関連づけて履歴情報として情報記憶部80に記憶するとともに、情報センタ90に送信する。なお、情報センタ90においては、車載器1から送信された履歴情報を到着地ごとに履歴情報データベース94に格納する。
【0021】
ここで、車載器1の情報記憶部80に記憶される履歴情報について説明する。
車両2が目的地に到着すると(S11:YES、以下、到着した目的地を含む所定のエリアを「到着地」という。)、当該到着地に至る走行における出発地を示す出発地情報、出発地の気候を示す出発地気候情報、到着地を示す到着地情報、到着地の気候を示す到着地気候情報、および、S12にてユーザにより入力された体感情報が、関連づけられて履歴情報として情報記憶部80に記憶される。出発地情報および到着地情報には、上記設定出発地情報および設定目的地情報と同様、所定のエリアを特定する情報が含まれ、本実施形態においては市区町村を示す情報によって構成される。また、出発地気候情報には、車両2が出発地に位置したときに温度センサ86によって検出された気温が含まれ、到着地気候情報には、車両2が到着地に位置するときに温度センサ86によって検出された気温が含まれる。体感情報は、「寒い」、「普通」、「暑い」の3段階によって構成され、操作スイッチ群40を介してユーザにより選択されることによって取得される。
【0022】
ここで、情報センタ90の履歴情報データベース94に格納された履歴情報の具体例について、図3に基づいて説明する。
例えば、車両ID「P」の車両(以下、「車両P」といい、他のIDの車両も同様とする。)が、長野市内にある「Z寺」を目的地として設定し、名古屋市から走行したものとする。車両Pが名古屋市を出発したときの気温が25℃であったものとする。また、車両PがZ寺に到着したときの気温が10℃であり、ユーザにより入力された体感情報が「寒い」であったものとする。このとき、「名古屋市」を示す出発地情報、「25℃」を示す出発地気候情報、「長野市」を示す到着地情報、「10℃」を示す到着地気候情報、および、「寒い」を示す体感情報が関連づけられ、履歴情報として情報センタ90に送信される。そして図3に示すように、情報センタ90の履歴情報データベース94には、取得された履歴情報が、到着地情報の示す到着地毎に格納される。
【0023】
また例えば、車両Qが、長野市内にある「Yホテル」を目的地として設定し、青森市から走行したものとする。車両Qが青森市を出発したときの気温が4℃であったものとする。また、車両QがYホテルに到着したときの気温が11℃であり、ユーザにより入力された体感情報が「暑い」であったものとする。このとき、「青森市」を示す出発地情報、「4℃」を示す出発地気候情報、「長野市」を示す到着地情報、および、「11℃」を示す到着地気候情報と、「暑い」を示す体感情報が関連づけられ、履歴情報として情報センタ90に送信される。そして、情報センタ90の履歴情報データベース94に、取得された履歴情報が、到着地情報の示す到着地毎に格納される。
【0024】
なお、本実施形態における到着地情報は、市区町村を示す情報によって構成されている。すなわち、車両Pと車両Qとは、異なる目的地に到着しているものの、いずれも長野市内であるため、履歴情報データベース94においては、同じ「長野市」を示す到着地情報に該当する箇所に履歴情報が格納される。
車両R、車両S等の他の車両から取得された履歴情報についても同様に履歴情報データベース94に格納される。
【0025】
さてここで本実施形態では、設定目的地の気候を示す通知情報を、情報センタ90から車載器1に通知可能である点に特徴を有している。そこで、車載器1および情報センタ90において行われる通知処理について図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
まず、車載器1にて行われる処理について説明する。車載器1において行われる本処理は、イグニッションがオンとなったときに行われるものとする。
最初のS101では、目的地が設定されたか否かを判断する。目的地が設定されていないと判断された場合(S101:NO)、このステップを繰り返す。目的地が設定されたと判断された場合(S101:YES)、S102へ移行する。
【0027】
S102では、設定された目的地(以下、「設定目的地」という)を示す設定目的地情報が特定される。例えば、目的地として長野市内にある「Z寺」が設定された場合、該当する市区町村である「長野市」を示す情報が設定目的地情報として特定される。
また、設定出発地を示す設定出発地情報が特定される。本実施形態では、目的地が設定されたときの車両2の現在位置を設定出発地とする。例えば、目的地が設定されたときの車両2の現在地が「名古屋市名駅1−1」である場合、該当する市区町村である「名古屋市」を示す情報が設定出発地情報として特定される。さらに、車両2が設定出発地に位置しているとき、温度センサ86によって気温が取得される。ここで取得された気温が設定出発地気候情報として特定される。そして、車両ID、設定出発地情報、設定出発地気候情報、および、設定目的地情報が関連づけられた走行情報が情報記憶部80に記憶されるとともに、情報センサ90に送信される。また、走行情報を情報センタ90に送信してからの待機時間の計時を開始する。
【0028】
続くS103では、情報センタ90から送信される後述する通知情報を受信したか否かを判断する。通知情報を受信した場合(S103:YES)、S105へ移行する。通知情報を受信していない場合(S103:NO)、S104へ移行する。
S104では、走行情報を情報センタ90に送信してからの待機時間が所定時間を経過したか否かを判断する。本実施形態では、所定時間は10分とする。待機時間が所定時間を経過していない場合(S104:NO)、S103に戻る。待機時間が所定時間を経過した場合(S104:YES)、S106に移行する。
【0029】
情報センタ90から送信される通知情報を受信した場合(S103:YES)に移行するS105では、受信した通知情報に基づき、設定目的地の気候に関する案内を行う。設定目的地の気候に関する案内については、後述する。
走行情報を情報センタ90に送信してからの待機時間が所定時間を経過した場合(S104:YES)に移行するS106では、情報センタ90からの通知情報がない旨の案内を行う。
【0030】
次に、情報センタ90における処理を説明する。情報センタ90において行われる本処理は、所定の間隔(例えば100msec)で行われるものとする。なお、情報センタ90は、上述の履歴情報が履歴情報データベース94に予め記憶されているものとする。
最初のS201では、S102にて車載器1から送信される走行情報を受信したか否かを判断する。走行情報を受信していないと判断された場合(S201:NO)、S202以降の処理を行わない。走行情報を受信したと判断された場合(S201:YES)、S202へ移行する。
【0031】
S202では、履歴情報データベース94に格納された履歴情報に関連付けられている到着地情報が示す到着地が、S201で取得した走行情報の設定目的地情報が示す設定目的地に合致する履歴情報があるか否かを判断する。合致する履歴情報がないと判断された場合(S202:NO)、S203以降の処理を行わない。合致する履歴情報があると判断された場合(S202:YES)、合致する履歴情報に到着地合致フラグをセットし、S203へ移行する。
【0032】
S203では、S202において到着地合致フラグがセットされた履歴情報のうち、出発地気候情報の示す出発地の気温が、S201で受信した走行情報の設定出発地気候情報の示す設定目的地の気温に合致するものがあるか否かを判断する。ここでは、設定出発地気候情報の示す設定目的地の気温を中心とする所定範囲内に出発地気候情報の示す出発地の気温が含まれる場合、「出発地気候情報の示す出発地の気温が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気温に合致する」とみなすものとする。本実施形態における所定範囲は±2℃とし、設定出発地の気温が25.3℃である場合、履歴情報の出発地の気温が23.3℃以上27.3℃以下である場合、「出発地気候情報の示す出発地の気温が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気温に合致する」とみなす。到着地合致フラグがセットされた履歴情報のうち、出発地気候情報の示す出発地の気温が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気温に合致する履歴情報がないと判断された場合(S203:NO)、S204以降の処理を行わない。到着地合致フラグがセットされた履歴情報のうち、出発地気候情報の示す出発地の気温が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気温に合致する履歴情報があると判断された場合(S203:YES)、合致する履歴情報にさらに気温合致フラグをセットし、S204へ移行する。
【0033】
S204では、到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされている履歴情報が複数あるか否かを判断する。到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされている履歴情報が1つである場合(S204:NO)、S206へ移行する。到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされている履歴情報が複数ある場合(S204:YES)、S205へ移行する。
【0034】
S205では、到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされている複数の履歴情報のうち、以下の処理で用いる履歴情報を特定する。本実施形態では、出発地情報の示す出発地が設定出発地情報の示す設定出発地と最も近い履歴情報を以下の処理で用いる履歴情報として特定する。具体的には例えば、出発地及び設定出発地の市区町村の代表的な座標(代表地点)を特定し、特定された代表地点間の距離が最も短い出発地の履歴情報を、以下の処理用いる履歴情報として特定する。なお、到着地に到着した時刻情報が履歴情報に含まれるように構成し、当該時刻情報が最新の履歴情報を以下の処理で用いる履歴情報として特定してもよい。
【0035】
到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされている履歴情報が1つである場合(S204:NO)、および、以下の処理で用いる履歴情報が特定された場合(S205)に移行するS206では、S201で受信した走行情報に基づき、車載器1が設定目的地に到着する予定の到着予定時間における設定目的地の気温を予測する。具体的には、走行情報に含まれる設定出発地情報の示す設定出発地と設定目的地情報の示す設定目的地との経路を地図データに基づいて探索し、探索された経路を走行した場合に設定目的地に到着する到着予定時間を予測し、到着予定時間に基づき、到着予定時間における天気予報情報を参照して到着予測時間における設定目的地の気温である到着時予測気温を予測する。ここで、設定出発地から設定目的地へ至る経路は、例えば、設定出発地および設定目的地の市区町村の代表的な座標(代表地点)を特定し、特定された代表地点に基づいて探索される。なお、天気予報情報は、情報センタ90が予め有しているものであってもよいし、ネットワーク等を介して外部から取得されるものであってもよい。ここで、到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされている履歴情報が1つである場合(S204:YES)の履歴情報、および、S205において以下の処理に用いると特定された履歴情報を、「特定履歴情報」という。
【0036】
S207では、S206で予測された到着時予測気温から、特定履歴情報における到着地気候情報の示す到着地の気温を減算した減算値(以下、「気温差分」という。)を算出し、算出された気温差分に基づいて、案内フラグを特定する。
S208では、S207で特定された案内フラグを車載器1に送信する。なお、本実施形態では、S207で特定される案内フラグが「通知情報」に対応している。
【0037】
ここで、図5に基づいて案内フラグについて説明する。特定履歴情報の体感情報が「寒い」である場合であって、気温差分が−5℃未満である場合、案内フレーズ「目的地は非常に寒い可能性があります」に対応する「強寒冷フラグ」が特定される。特定履歴情報の体感情報が「寒い」である場合であって、気温差分が−5℃以上である場合、案内フレーズ「目的地は寒い可能性があります」に対応する「寒冷フラグ」が特定される。
【0038】
また、特定履歴情報の体感情報が「普通」である場合、気温差分に関わらず、目的地の気候に関する案内を行わない旨を示す情報である「普通フラグ」が特定される。
さらにまた、特定履歴情報の体感情報が「暑い」である場合であって、気温差分が5℃未満である場合、案内フレーズ「目的地は暑い可能性があります」に対応する「温暖フラグ」が特定される。特定履歴情報の体感情報が「暑い」である場合であって、気温差分が5℃以上である場合、案内フレーズ「目的地は非常に暑い可能性があります」に対応する強温暖フラグが特定される。
【0039】
なお、案内フラグの特定は、気温差分の絶対値に基づいて判断してもよい。例えば、特定履歴情報の体感情報が「寒い」である場合、到着時予測気温が到着地気温よりも低く、且つ、気温差分の絶対値が5以上である場合、「強寒冷フラグ」が特定され、気温差分の絶対値が5未満である場合、「寒冷フラグ」が特定される。また例えば、特定履歴情報の体感情報が「暑い」である場合、到着時予測気温が到着地気温よりも高く、且つ、気温差分の絶対値が5以上である場合、「強温暖フラグ」が特定され、気温差分の絶対値が5未満である場合、「温暖フラグ」が特定される。すなわち、「気温差分の絶対値が所定値以上である場合、案内フラグの段階を上げる」ということである。「案内フラグの段階を上げる」とは、この例でいうと、「寒冷フラグ」よりも「強寒冷フラグ」の方がより上の段階であり、「寒冷フラグ」を「強寒冷フラグ」に変更することが「案内フラグの段階を上げる」ということに対応する。同様に、「温暖フラグ」よりも「強温暖フラグ」の方がより上の段階であり、「温暖フラグ」を「強温暖フラグ」に変更することが「案内フラグの段階を上げる」ということに対応する。本実施形態における案内フラグは、「普通フラグ」を基準とし、体感情報が「寒い」に対して「寒冷フラグ」、「強寒冷フラグ」の2段階、体感情報が「暑い」に対して「温暖フラグ」、「強温暖フラグ」の2段階であるが、案内フラグの段階は2段階に限らず、任意に変更可能であることは勿論である。
【0040】
なお、車載器1では、案内フラグを受信した場合(S103:YES)、受信した案内フラグに基づく案内を行う(S105)。すなわち、受信した案内フラグが強寒冷フラグであった場合、「目的地は非常に寒い可能性があります」というフレーズをディスプレイ61に表示するとともにスピーカ71を介して音声案内を行う。受信した案内フラグが寒冷フラグであった場合、「目的地は寒い可能性があります」というフレーズをディスプレイ61に表示するとともにスピーカ71を介して音声案内を行う。
【0041】
また、受信した案内フラグが温暖フラグであった場合、「目的地は暑い可能性があります」というフレーズをディスプレイ61に表示するとともにスピーカ71を介して音声案内を行う。受信した案内フラグが強温暖フラグであった場合、「目的地は非常に暑い可能性があります」というフレーズをディスプレイ61に表示するとともにスピーカ71を介して音声案内を行う。
一方、受信した案内フラグが普通フラグであった場合、気候に関する案内を行う方がユーザにとって紛らわしい可能性があるため、S105において目的地の気候に関する案内は行わない。
【0042】
なお、本実施形態においては、気温差分に基づいて案内フラグを変更することにより、車載器1における案内を変更しているが、特定履歴情報の体感情報を、変更せずに通知情報として車載器1に通知するように構成してもよい。すなわち、S206およびS207を省略してもよい。
【0043】
以上詳述したように、情報センタ90は、車両2が出発した出発地の気候を示す出発地気候情報、到着地を示す到着地情報、および、到着地の気候に対する評価を示す評価情報としての体感情報が関連づけられた履歴情報を情報センタ90の履歴情報データベース94に記憶している。また、情報センタ90は、車載器1において新たに目的地が設定されると(S101:YES)、設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、設定目的地を示す設定目的地情報を含む走行情報を取得する(S201:YES)。また、到着地情報の示す到着地が設定目的地情報の示す設定目的地に合致し、かつ、出発地気候情報の示す出発地の気候が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気候に合致する履歴情報があると判断された場合(S202:YES、S203:YES)、当該合致する履歴情報に基づいて設定目的地の気候に関する案内フラグを送信する(S207)。
【0044】
これにより、出発地気候情報の示す出発地の気候が設定出発地気候情報の示す設定出発地の気候に合致する履歴情報に基づいて、設定目的地の気候を示す通知情報を車載器1に通知する。これにより、車載器1において、設定出発地の気候に応じて適切に設定目的地の気候を案内することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0045】
また、情報センタ90では、車載器1が設定目的地に到着する到着予定時間における到着時予測気温を予測する(S206)。そして、到着時予測気温から特定履歴情報における到着地気候情報の示す到着地の気温を減算した減算値である気温差分を算出し、気温差分に基づいて案内フラグを変更する(S207)。そして、S207にて特定された案内フラグを車載器1に通知する(S208)。車載器1では、受信した案内フラグに基づいて、設定目的地の気候に関する案内を行う。これにより、気候に関する案内をより適切に行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0046】
なお本実施形態では、情報センタ90の制御部91が、「走行情報取得手段」、「合致判断手段」、「通知手段」、および、「気温予測手段」を構成する。また、図4中のS201が「走行情報取得手段」の機能としての処理に相当し、S202およびS203が「合致判断手段」の機能としての処理に相当し、S207およびS208が「通知手段」の機能としての処理に相当する。また、S206が「気温予測手段」の機能としての処理に相当する。なお、本実施形態では情報センタ90の制御部91がナビゲーションシステムを構成しているが、車載器1の制御部10がナビゲーションシステムを構成してもよい。
【0047】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
(ア)出発地の地域性
例えば、設定出発地が九州地方である場合と関東地方である場合とでは、設定出発地の気温が同じであり、また、同じ設定目的地(例えば長野)へ向かったとしても、ユーザが感じる体感は異なる可能性が考えられる。すなわち、設定出発地が普段は暖かい九州地方である場合、設定出発地が関東地方である場合と比較して、より寒く感じられる可能性が考えられる。同様に、設定出発地が東北地方である場合と関東地方である場合とでは、設定出発地の気温が同じであり、また、同じ設定目的地(例えば長野)へ向かったとしても、ユーザが感じる体感は異なる可能性が考えられる。すなわち、設定出発地が普段から寒い東北地方である場合、設定出発地が関東地方である場合と比較して、あまり寒いと感じない可能性が考えられる。
【0048】
そこで、図4のS203における判断処理を、出発地または設定出発地が含まれる地域の出発日を含む月の月平均気温や年間平均気温等に基づいて行っても良い。すなわち、気温に替えて月平均気温や年間平均気温を出発地気候情報及び設定出発地気候情報として用いるように構成してもよい。また、図4のS203における気温を出発地気候情報及び設定出発地気候情報として用いた判断処理に加え、上述した月平均気温や年間平均気温を出発地気候情報及び設定出発地気候情報として用いた判断処理を行ってもよい。
【0049】
(イ)履歴情報の特定
上記実施形態では、到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされた履歴情報が複数ある場合(S204:YES)、S205において、以下の処理で用いる特定履歴情報を特定した。これに替えて、到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされた複数の履歴情報の体感情報についての統計処理を行い、例えば最も多かった体感情報を以下の処理で用いるように構成してもよい。また、到着地合致フラグおよび気温合致フラグの両方がセットされた複数の履歴情報における到着地気候情報の示す到着地気温の平均値を算出し、当該平均値を用いて気温差分を算出し、案内フラグを変更するように構成してもよい。
【0050】
(ウ)設定目的地の気候に関する案内
上記実施形態では、案内フレーズに対応するフラグを情報センタから車載器に通知するように構成していたが、案内フレーズそのものを通知するように構成してもよい。また、案内フレーズは、上記実施形態の例に限らず、例えば「非常に寒いので防寒具を用意してください」、「非常に暑いので熱中症に気をつけてください」というようなフレーズとすることも勿論可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:車載器、2:車両、10:制御部、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部、40:操作スイッチ群、50:通信部、60:描画部、61:ディスプレイ、70:音声出力部、71:スピーカ、80:情報記憶部、85:車両ECU、86:温度センサ、90:情報センタ(ナビゲーションシステム)、91:制御部(走行情報取得手段、合致判断手段、通知手段、気温予測手段)、92:通信部、93:記憶部、94:履歴情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地の気候を示す出発地気候情報、到着地を示す到着地情報、および、前記到着地の気候に対する評価を示す評価情報が関連づけられた履歴情報を記憶しているナビゲーションシステムにおいて、
新たに設定された設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、新たに設定された設定目的地を示す設定目的地情報を含む走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記到着地情報の示す前記到着地が前記設定目的地情報の示す前記設定目的地に合致し、かつ、前記出発地気候情報の示す前記出発地の気候が前記設定出発地気候情報の示す前記設定出発地の気候に合致する前記履歴情報があるか否かを判断する合致判断手段と、
前記合致判断手段により合致する前記履歴情報があると判断された場合、当該合致する履歴情報に関連付けられている前記評価情報に基づいて、前記設定目的地の気候に関する通知情報を通知する通知手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記履歴情報には前記到着地の気候を示す到着地気候情報がさらに含まれ、
前記気候は温度であって、
前記設定目的地に到着する到着予定時間における到着時予測気温を予測する気温予測手段を備え、
前記通知手段は、前記合致する履歴情報における前記到着地気候情報の示す前記到着地の気温と前記到着時予測気温との差分に基づいて、前記通知情報を変更することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
出発地の気候を示す出発地気候情報、到着地を示す到着地情報、および、前記到着地の気候に対する評価を示す評価情報が関連づけられた履歴情報を取得する履歴情報取得手段、
新たに設定された設定出発地の気候を示す設定出発地気候情報、および、新たに設定された設定目的地を示す設定目的地情報を含む走行情報を取得する走行情報取得手段、
前記到着地情報の示す前記到着地が前記設定目的地情報の示す前記設定目的地に合致し、かつ、前記出発地気候情報の示す前記出発地の気候が前記設定出発地気候情報の示す前記設定出発地の気候に合致する前記履歴情報があるか否かを判断する合致判断手段、
前記合致判断手段により合致する前記履歴情報があると判断された場合、当該合致する履歴情報に関連付けられている前記評価情報に基づいて、前記設定目的地の気候に関する通知情報を通知する通知手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−137634(P2011−137634A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295844(P2009−295844)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】