説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラム

【課題】複数レーンを含む交差点やジャンクションが連続する場合に最適なレーンを案内する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、案内地点における車線情報を記憶している記憶部と、車両の走行方向を判定する判定部と、前記車両の走行方向に前記案内地点があるか否かを検出する検出部と、前記検出部により少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定する決定部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動する車などにナビゲーション装置が搭載され、ユーザの現在位置や目的地までの経路などをユーザに提示することが行われている。例えば、交差点の右左折を案内する場合には、交差点の手前で「次の交差点を右折です。」などの案内を行う。また、交差点の右左折が連続する場合や、複数レーンがある交差点やジャンクションが連続する場合には、「次の交差点を右折です。続いて交差点を左折です。右折レーンを走行してください。」という、右左折が連続することを考慮した案内を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−127598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数レーンを含む交差点やジャンクションを連続して右左折する場合、どのレーンを走行するかについては、直前の案内地点しか考慮されない。したがって、最初の交差点を曲がった直後に「左折レーンを走行してください。」と案内しても、運転者に無理な車線変更を強いる場合があるという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数レーンを含む交差点やジャンクションが連続する場合に最適なレーンを案内することが可能な、新規かつ改良されたナビゲーション装置、ナビゲーション方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、案内地点における車線情報を記憶している記憶部と、車両の走行方向を判定する判定部と、前記車両の走行方向に前記案内地点があるか否かを検出する検出部と、前記検出部により少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定する決定部と、を備えるナビゲーション装置が提供される。
【0006】
また、前記検出部は、前記車両の走行先の案内地点である第1の案内地点および前記車両の走行先のさらに先の案内地点である第2の案内地点を検出し、前記決定部は、前記検出部により前記第1の案内地点および前記第2の案内地点が検出された場合に、前記第1の案内地点の車線情報および前記第2の案内地点の車線情報に基づいて、前記第1の案内地点における走行車線の優先順位を決定してもよい。
【0007】
また、前記検出部は、前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との距離が所定の閾値以下であることを検出してもよい。
【0008】
また、前記記憶部は、案内地点における各車線の右左折情報を記憶してもよい。
【0009】
また、前記各車線の右左折情報は、車線数分のビット幅で表され、前記決定部は、前記第1の案内地点のビットの値と前記第2の案内地点のビットの値との論理積により第1の案内地点における走行車線の優先順位を決定してもよい。
【0010】
また、前記記憶部には、前記第1の案内地点から前記第2の案内地点までの間の車線の増減を示す車線増減情報が記憶されており、前記決定部は、前記車線増減情報と、前記第1の案内地点の車線情報および前記第2の案内地点の車線情報に基づいて、前記案内地点における走行車線の優先順位を決定してもよい。
【0011】
また、次の案内地点を通過する前に、前記決定部により決定された前記走行車線の優先順位を案内する案内部を備えてもよい。
【0012】
また、前記案内部は、表示画面に表示された前記走行車線上に前記車両の走行方向を示す矢印を表示し、前記決定部により決定された前記走行車線の優先順位に応じて前記走行方向を示す矢印を変更してもよい。
【0013】
また、表示画面には複数の走行車線が表示されており、前記案内部は、表示画面に表示された前記複数の前記走行車線上に前記車両の走行方向を示す矢印をそれぞれ表示し、前記決定部により決定された優先度の高い走行車線に表示された矢印を、他の走行車線の矢印よりも強調して表示してもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、案内地点における車線情報を記憶している記憶部と、車両の走行方向を判定する判定部と、前記車両の走行方向に前記案内地点があるか否かを検出する検出部と、前記検出部により少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定する決定部と、を備えるナビゲーション装置として機能させるための、プログラムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、車両の走行方向を判定するステップと、前記車両の走行方向の案内地点を検出するステップと、少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定するステップと、を含む、ナビゲーション方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、複数レーンを含む交差点やジャンクションが連続する場合に最適なレーンを案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の概要を説明する説明図である。
【図2】同実施形態にかかるPNDの外観図である。
【図3】同実施形態にかかるPNDの機能構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態にかかる演算器1の機能構成の詳細を示すブロック図である。
【図5】同実施形態にかかる車線の右左折情報や車線増減情報について説明する説明図である。
【図6】同実施形態にかかるレーン数が一致しない場合について説明する説明図である。
【図7】同実施形態にかかるレーン数が途中で増減する場合について説明する説明図である。
【図8】同実施形態にかかるレーン数が途中で増減する場合について説明する説明図である。
【図9】同実施形態にかかる最適な走行レーンの案内方法について説明する説明図である。
【図10】同実施形態にかかるPNDの動作の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
また、以下に示す順序に従って、当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
<1.本実施形態の目的>
<2.本実施形態の概要>
<3.PNDのハードウェア構成>
<4.PNDの機能構成>
<5.PNDの動作の詳細>
【0020】
<1.本実施形態の目的>
まず、本実施形態の目的について説明する。従来から、移動する車などにナビゲーション装置が搭載され、ユーザの現在位置や目的地までの経路などをユーザに提示することが行われている。例えば、交差点の右左折を案内する場合には、交差点の手前で「次の交差点を右折です。」などの案内を行う。
【0021】
また、交差点での右左折やジャンクションで左右に分岐する場合、右折や左折の専用レーンを走行しなければならないことがある。運転者は、道路標識/標示を見て、自分が行きたい方向のレーンに侵入し、右左折したり分岐方向へ進んだりする。しかし、道路標識/標示は、その交差点やジャンクションの情報しか書かれていないため、複数レーンある交差点やジャンクションに侵入するたびに、道路標識/標示を見て瞬時に判断し、目的方向のレーンに車線変更しなければならない。このように、車線変更が連続すると、運転者はどのレーンを走行するかについて非常に気を遣わなければならず、ストレスがたまるばかりか、無理な車線変更をしなければならない場合があり、非常に危険である。
【0022】
従来のカーナビゲーションシステムでは、交差点の右左折が連続する場合や、複数レーンがある交差点やジャンクションが連続する場合には、「次の交差点を右折です。続いて交差点を左折です。右折レーンを走行してください。」という、右左折が連続することを考慮した案内を行う。しかし、複数レーンを含む交差点やジャンクションを連続して右左折する場合、どのレーンを走行するかについては、直前の案内地点しか考慮されない。したがって、最初の交差点を曲がった直後に「左折レーンを走行してください。」と案内しても、運転者に無理な車線変更を強いる場合があるという問題があった。
【0023】
そこで、上記のような事情を一着眼点として、本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置が創作されるに至った。本実施形態にかかるナビゲーション装置によれば、複数レーンを含む交差点やジャンクションが連続する場合に最適なレーンを案内することが可能となる。
【0024】
<2.本実施形態の概要>
以上、本実施形態の目的について説明した。次に、図1を参照して、本実施形態の概要について説明する。図1は、本実施形態の概要を説明する説明図である。ナビゲーション装置を利用する利用者は、目的地や経由地を設定して、ルート探索を行わせ、目的地までの案内を開始させる。ナビゲーション装置は、ディスプレイ上に走行すべきルートを示す。また、交差点等の右左折が必要な場所に接近したときに、「○○交差点を右折です」などの音声案内や、画面上に曲がる方向を矢印で示すなど地図上で案内を行う。以下では、交差点の右左折が必要な場所を案内地点とも称する。
【0025】
また、案内地点において複数のレーンを含む場合には、ナビゲーション装置は、案内地点のレーン情報を用いて「○○交差点を右折です。右車線を走行してください」など、どのレーンを走行すべきなのかなど、より詳細な案内を音声や画面表示で行う。
【0026】
ナビゲーション装置は、原則的には次の案内地点に対する案内を行うが、次の案内地点と次の次の案内地点の距離が近い場合には、「○○交差点を右折です。続いて××交差点を左折です」など、次の案内地点を案内する際に、次の次の案内地点に対する案内も合わせて行う。次の案内地点と次の次の案内地点の距離が近い場合には、次の案内地点の案内が終わってから、次の次の地点の案内を行っていたのでは、案内が間に合わないからである。
【0027】
次に、複数レーンを含む交差点が連続する場合の適切な案内について説明する。例えば、図1に示したように、○○交差点を右折して、××交差点を左折するルートAを走行する場合について説明する。ルートAを走行する場合、最初の案内地点で2つの右折レーンのうち左側の右折レーンを走行することにより、次の次の案内地点で容易に左折することができる。ナビゲーション装置は、各交差点のレーン情報を用いて最適な走行レーンを算出し、「○○交差点を右折です。続いて××交差点を左折です。右から2番目のレーンを走行してください」など、次の案内地点の手前で、次の次の案内地点まで考慮した案内を行う。これにより、運転者が慌てることなく、安全にルート通りの道を走行することが可能となる。
【0028】
<3.PNDのハードウェア構成>
以上、本実施形態の概要について説明した。次に、図2を参照して、ナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。以下では、ナビゲーション装置を図2に示したPND(Personal Navigation Device)100に適用して説明する。
【0029】
〔3−1〕PNDのハードウェア構成
図2に示したように、PND100は、装置の前面に表示部120が設けられている。PND100は、内蔵された不揮発性メモリ(図示せず)に格納されている地図データに応じた実画像等を表示部120に表示してナビゲーションを実行する。また、PND100は、クレードル140および吸盤160を備えていてもよい。クレードル140および吸盤160は、PND100を車内で用いる際に、車両のダッシュボード上に取り付けるために必要となる。PND100は、車両のダッシュボード上に吸盤160を介して取り付けられ、かつ、PND100と機械的および電気的に接続される。PND100は、クレードル140を介して車両から供給される電力に基づいて動作することが可能である。
【0030】
また、本実施形態では、PND100を車両に取り付ける場合について説明するが、かかる例に限定されず、PND100を徒歩時や自転車走行時に利用してもよい。ユーザが徒歩の際にPND100を使用する場合には、クレードル140および吸盤160の構成を有していなくてもよい。ユーザが徒歩の際にPND100を使用する場合には、PND100本体のみを所持して移動する。また、ユーザが自転車で走行する際にPND100を使用する場合には、徒歩時と同様にPND100本体のみを所持して移動してもよいし、自転車のハンドルなどにクレードル140および吸盤160を取り付けて移動してもよい。
【0031】
また、PND100のナビゲーションモード切替ボタン(図示せず)を押下することにより、複数のナビゲーションモードから所望するナビゲーションモードを選択するようにしてもよい。例えば、車でPND100を利用する場合には車モードを選択操作し、自転車でPND100を利用する場合には自転車モードを選択操作し、徒歩でPND100を利用する場合には徒歩モードを選択操作する。
【0032】
ユーザ操作によりユーザが所望するナビゲーションモードが選択されると、PND100は、選択されたナビゲーションモードでナビゲーションを実行する。PND100は、現在位置の取得機能を有しているため、現在位置を含む地図を表示部120に表示して、表示された地図上にユーザの現在位置や進行方向を重畳してナビゲーションを実行する。
【0033】
<4.PNDの機能構成>
以上、PND100のハードウェア構成について説明した。次に、図3を参照して、PND100の機能構成について説明する。図3に示したように、PND100は、主演算器1と、RAM(Random Access Memory)2と、ROM(Read Only Memory)3と、不揮発性メモリ4と、音声合成装置5と、スピーカ6と。映像信号生成装置7と、ディスプレイ装置8と、センサ11と、現在位置取得装置12などを備える。
【0034】
主演算器1は、CPU(Central Processing Unit)などであり、データの演算処理やシステムの制御などを行う。ROM3には、プログラムや書き換え不要なデータ等が保持されており、RAM2には、演算処理の一時データなどが記録されている。
【0035】
不揮発性メモリ4は、例えば、HDDやフラッシュメモリやメモリカードなどであり、地図の描画や、目的地の検索、経路探索、案内に必要な地図データが記録されている。また、DVD/CDドライブ10に地図データが記録されていてもよい。地図データには、各交差点やジャンクションに複数のレーンがある場合に、それぞれのレーンがどの方向に進行可能かを示すレーン情報が保持されている。交差点のレーン情報については、後で詳細に説明する。不揮発性メモリ4は、本発明の記憶部の一例である。
【0036】
音声合成装置5はガイド音声を作成し、スピーカ6は音声合成装置5により作成されたガイド音声を出力する。映像信号生成装置7は、地図や走行ルートを表示するための映像信号を生成する。ディスプレイ装置8は、映像信号生成装置7により生成された映像を表示する。
【0037】
また、UI部9は、操作ボタンやタッチパネル、タッチスクリーンなどを例示でき、ユーザからの操作を受け付ける機能を有する。ユーザによる操作内容としては、例えば、目的地の設定、地図の拡大/縮小、現在地表示、音声案内設定、および画面表示設定などが挙げられる。
【0038】
センサ11は、GPSや車速パルス、角速度センサなどの各種センサを例示できる。GPSは、各GPS信号に含まれる軌道情報から各人工衛星の位置を算出する。そして、GPS処理部114は、各人工衛星の位置と、GPS信号の送信時刻と受信時刻の差分に基づいて現在の3次元位置を連立方程式により算出する。GPSにより現在位置の算出ができない場合には角速度サンサなどを用いて現在位置を取得する。
【0039】
現在位置取得装置12は、センサ11により算出された現在位置の情報を取得する機能を有する。上記したように、GPSにより現在位置の位置情報が算出された場合には、該位置情報を取得する。また、角速度サンセなどにより進行方向に対する速度V、および旋回角度θに基づき、前回算出時の位置から現在位置までの変化量を求める。そして、前回算出時の位置に上記変化量を加えることにより現在位置を取得する。
【0040】
なお、現在位置などの取得方法は、GPS測位や、センサを用いる上記方法に限られない。例えば、無線LANの基地局により送信されるWiFi電波の信号強度を利用して現在位置を取得することも可能である。より具体的には、PND100は、各基地局からのWiFi電波の受信強度から各基地局との距離を推定し、各基地局との距離および各基地局の位置を利用し、三角測量の原理に基づいて現在位置を取得してもよい。
【0041】
次に、図4を参照して、主演算器1の機能構成の詳細について説明する。図4は、主演算器1の機能構成の詳細を示すブロック図である。図4に示したように、主演算器1は、判定部102、検出部104、決定部106、案内部108などを備える。判定部102は、車両の走行方向を判定する機能を有する。判定部102により判定された車両の走行方向に関する情報は、決定部106に提供される。
【0042】
検出部104は、車両の走行方向に案内地点があるか否かを検出する機能を有する。案内地点とは、上記したように、目的地までの経路において交差点の右左折が必要な地点である。また、検出部104は、走行先の次の案内地点(第1の案内地点)と、走行先の次の次の案内地点(第2の案内地点)とを検出する。検出部104により検出された案内地点に関する情報は、決定部106に提供される。
【0043】
決定部106は、検出部104により、少なくとも2以上の案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定する機能を有する。上記したように、走行先の次の案内地点と次の次の案内地点を検出した場合には、第1の案内地点の車線情報および第2の案内地点の車線情報に基づいて、第1の案内地点における走行車線の優先順位を決定する。
【0044】
また、上記したように、不揮発性メモリ4には、各交差点やジャンクションに複数のレーンがある場合に、それぞれのレーンがどの方向に進行可能かを示すレーン情報(右左折情報)が保持されている。各車線の右左折情報は、車線数分のビット幅で表されている。決定部106は、第1の案内地点のビットの値と第2の案内地点のビットの値との論理積により第1の案内地点における走行車線の優先順位を決定する。
【0045】
さらに、不揮発性メモリ4には、第1の案内地点から第2の案内地点までの間の車線の増減を示す車線増減情報が記憶されている。決定部106は、車線増減情報と、第1の案内地点の車線情報および第2の案内地点の車線情報に基づいて、案内地点における走行車線の優先順位を決定する。ここで、図5を参照して、各案内地点に保持されている車線の右左折情報や車線増減情報について説明する。図5は、車線の右左折情報や車線増減情報について説明する説明図である。
【0046】
図5に示したように、各交差点における情報として、交差点の進入レーン数や増加レーン数や、減少レーン数などが保持されている。また、交差点の進入レーン数のうち、どのレーンが右折用レーンか、直進用レーンか、左折用レーンかの情報も保持している。例えば、レーン数が4本であり、4ビットのビット幅で各レーンの情報を保持している場合について説明する。進行可能な方向は直進、左折、右折の3つであるため、4ビット幅の領域を3つ使用する。各進行方向に進行可能なレーンを“1”、進行不可能なレーンを“0”とする。
【0047】
例えば、図1において、図の下方から○○交差点へ進入する場合、直進方向のレーン情報は“1100”、左折方向は“1000”、右折方向は“0011”となる。同様に、○○交差点から××交差点に進入する場合、××交差点のレーン情報は、左折方向は“10”、右折方向は“11”となる。××交差点における直進レーンはないため、直進に対するレーン情報は保持していない。
【0048】
このような各交差点のレーン情報を用いることにより、2つの交差点が連続する場合に最初の交差点での最適な走行レーンを算出することができる。具体的には、最初の交差点のレーン情報と、次の交差点のレーン情報の論理積をとることにより、最初の交差点における最適な走行レーンを算出することが可能となる。
【0049】
図1のルートAを走行する場合、○○交差点では、2本ある右折レーンのうち左側の右折レーンのほうが、次の××交差点にある左折レーンに進入しやすい。したがって、○○交差点の2本ある右折レーンのうち、左側の右折レーンが最適な走行レーンとなる。上記したビット情報を用いると以下のように最適な走行レーンを算出することができる。
【0050】
まず、○○交差点の右折方向のレーン情報“0011”により、右折可能なレーンは右2つであることがわかる。そして、右折可能なレーン分のビット値“11”を切り出す。××交差点の左折方向のレーン情報は“10”であるため、“11”と“10”の論理積をとると“10”となる。これにより、ルートAを走行する際に、○○交差点での最適なレーンは右折レーンのうち、左側の右折レーンであることがわかる。
【0051】
ここで、次の次の交差点で曲がる方向側のレーン、すなわち、次の次に左折するなら左のレーンを最適なレーンとし、次の次に右折するなら右のレーンを最適なレーンとして案内すれば、より簡単に最適なレーンを案内することができるようにも思える。しかし、図1のルートBを走行する場合には、××交差点では2車線とも右折可能であるため、○○交差点では2つの右折レーンのどちらも適切なレーンとなる。したがって、上記のように次の次の交差点で曲がる方向側のレーンを最適なレーンとしてしまうと、ルートBを走行するような場合に適切な案内ができなくなってしまう。
【0052】
しかし、本実施形態にかかる方法を用いることによりルートBを走行するような場合でも、適切な案内をすることが可能となる。具体的には、○○交差点の右折レーン情報“0011”から切り出した“11”と、××交差点の右折レーン情報“11”との論理積をとると“11”となる。したがって、ルートBを走行する際に、○○交差点でのいずれの右折レーンも最適なレーンであることを算出することができる。
【0053】
図1では、最初の案内地点において、次の案内地点に行くことが可能なレーン数と次の案内地点のレーン数が同じ場合について説明した。次に、図6を参照して、レーン数が一致しない場合について説明する。まず、最初の案内地点P1において、次の案内地点P2に行くことができるレーン数をm、P2のレーン数をnとする。また、P1通過後、次の案内地点P2に到達するまでのレーン数は増減しないものとする。m<nのとき、左折する場合には、一番左側同士の車線を基準に、右折する場合は一番右側の車線同士を基準にレーン情報を比較する。
【0054】
例えば、案内地点P1を左折し、P2を右折するルートの場合、m=2、n=3、P2の右折レーン情報が“011”の場合、一番左、すなわちMSB(Most Significant Bit)側を基準にレーン情報を比較する。具体的には、交差点P1の左折のレーン情報“11”を“110”として、交差点P2の右折レーン情報の“011”と比較する。交差点P1の左折レーン情報“110”と交差点P2の右折レーン情報“011”の論理積は“010”となる。したがって、交差点P1では、一番右側の左折車線が最適であることがわかる。
【0055】
また、交差点P2の右折レーン情報が001である場合も考えられる。この場合、上述の方法によりレーン情報を比較すると、“000”となる。比較結果が0になった場合には、交差点P2で曲がる方向に一番近い車線、すなわち一番右の左折車線を案内すればよい。
【0056】
また、交差点P1で右折し、交差点P2’で左折する場合にも上記と同様に最適なレーンを算出することができる。交差点P1の右折レーン情報は“11”であり、交差点P2の左折レーン情報は“110”である。この場合、一番右側の車線同士、すなわち、LSB(Least Significant Bit)側を基準に比較する。具体的には、交差点P1の右折レーン情報“011”として、P2の左折レーン情報“110”との論理積をとることにより、“010”が算出される。これにより、交差点P1の左側の右折レーンが最適であることがわかる。
【0057】
なお、m>nの場合については、これは、道路の構造として危険であり、現実に存在しないため考慮する必要がない。
【0058】
次に、図7および図8を参照して、レーン数が途中で増減する場合について説明する。図7および図8は、レーン数が増減する場合について説明する説明図である。図7に示したように、交差点P1を通過後、P2へ向かう道路のレーン数が増減する場合、レーン数が変わる地点で道路情報を分けて管理する。まず、レーン数が変わる手前の道路をR1とし、レーン数が変わった先の道路をR2とする。そして、R1にR2のレーン情報を考慮したレーン情報を持たせて、そのレーン情報と交差点P1のレーン情報を比較する。
【0059】
まず、R1のレーン数をn1、R2のレーン数をn2とし、n1<n2の場合について説明する。図7に示したように、R1のレーン数n1=2、R2のレーン数n2=3とする。また、R2は右側のレーンが増え、R2の左折レーン情報は“110”、右折レーン情報は“011”とする。このとき、R1のレーン情報は以下のとおりとなる。R1からR2の右折レーンにいけるのは、右側のレーンのみであるため、R1の右折レーン情報を“01”とする。一方、R1からR2の左折レーンには両票のレーンから行けるため、左折レーン情報は“11”となる。
【0060】
交差点P1を右折後、交差点P2を右折するルートを考える。この場合、P1の右折レーン情報が“11”であった場合、R1の右折レーン情報“01”との論理積をとり、結果は“01”となる。したがって、交差点P1では、右側の右折レーンが最適であると算出することができる。
【0061】
同様に、交差点P1右折後、交差点P2を左折するルートの場合について説明する。この場合、交差点P1の右折レーン情報“11”と、R1の左折レーン情報“11”の論理暦をとると“11”となり、交差点P1の両方の右折レーンが最適であることがわかる。
【0062】
次に、図8を参照して、レーン数が減少する場合、すなわちR1のレーン数n1>R2のレーン数n2の場合について説明する。図8に示したように、R1のレーン数n1=3、R2のレーン数n2=2とする。また、R1の一番右の車線がR2ではなくなり、R2の左折レーン情報が“10”、右折レーン情報が“01”であるとする。この場合、R1のレーン情報は、左折レーン情報が“100”、右折レーン情報は“010”となる。そして、交差点P1のレーン情報が“111”だった場合、交差点P2を左折する場合は“100”、交差点P2を右折する場合は“010”となる。したがって、交差点P2を左折する場合は一番左の車線、交差点P2を右折する場合は中央の車線が、それぞれP1での最適なレーンであることがわかる。
【0063】
上記したように、本実施形態にかかるナビゲーション装置によれば、次の次の案内地点におけるレーンの状況によって、手前の案内地点での最適な走行レーンを算出することが可能となる。
【0064】
図4に戻り、主演算器1の機能構成の説明を続ける。案内部108は、次の案内地点を通過する前に、決定部106により決定された走行車線の優先順位を案内する機能を有する。案内部108は、ディスプレイ装置8の表示画面に表示された走行車線上に車両の走行方向を示す矢印を表示し、決定部106により決定された走行車線の優先順位に応じて走行方向を示す矢印を変更する。
【0065】
また、案内部108は、ディスプレイ装置8の表示画面に表示された複数の走行車線上に車両の走行方向を示す矢印をそれぞれ表示する。そして、決定部106により決定された優先度の高い走行車線に表示された矢印を、他の走行車線の矢印よりも強調して表示する。
【0066】
ここで、図9を参照して、案内部108による最適な走行レーンの案内方法について説明する。図9は、最適な走行レーンの案内方法について説明する説明図である。
【0067】
上記方法により算出した最適な走行レーンを、図9に示した表示により案内することにより、運転者に分かりやすく、より安全に走行することが可能となる。例えば、図1のルートAを走行する場合、従来のカーナビゲーションシステムでは、○○交差点において、単に右折をさせるためだけの案内しかしていなかった。このため、図9(a)に示したように、右折レーンの両方をハイライトしたレーン情報のイメージを表示し、いずれかの右折レーンを走行するよう案内する。
【0068】
一方、ルートAを案内する場合、最初の○○交差点における案内では、右折レーンの両方を走行してもよいが、左の右折レーンのほうがより適している。この場合、図4(b)に示したように、左側の右折レーンの矢印を濃く描画し、右側の右折レーンの矢印を薄く描画する。これにより、2つの右折レーンのうち、左の右折レーンの矢印が強調され、左の右折レーンのほうが、右側の右折レーンより適していることを示すことができる。
【0069】
このように、最適な走行レーンを強調し、その他の走行可能な走行レーンを次に強調するようにし、走行してはいけない走行レーンは目立たないように表示する。これにより、どのレーンが最適か、また、どのレーンを走行すれば正しい経路を走行することができるかをユーザにわかりやすく伝えることが可能となる。矢印を段階的に強調する表示としては、色の濃淡で表現する方法の他、図9の(c)に示したように、最適な走行レーンの矢印を実線とし、次に適している走行レーンの矢印を破線にしてもよい。
【0070】
また、図4(d)に示したように、最適な走行レーンを大きく表示し、次に適しているレーンを通常の大きさ、走行してはいけない走行レーンは小さく表示するようにしてもよい。また、図4の(a)〜(d)の表示方法を組み合わせて、最適な走行レーン、走行可能な走行レーン、走行不可能な走行レーンの表示の差をより大きくしてもよい。
【0071】
<5.PNDの動作の詳細>
以上、PND100の機能構成について説明した。次に、図10を参照して、本実施形態にかかるPND100の動作の詳細について説明する。図10は、本実施形態にかかるPND100の動作の詳細を示すフローチャートである。図10に示したように、まず、検出部104は、次の案内地点を検出する(S102)。そして、次に案内すべき地点があるか否かを判定する(S104)。
【0072】
ステップS104において、次に案内すべき地点がないと判定された場合には、処理を終了する。ステップS104において、次に案内すべき地点がある場合には、次の案内地点にレーン情報があるか否かを判定する(S106)。ステップS106において、次の案内地点にレーン情報があるとは、次の案内地点と、該案内地点のレーン情報が関連付けられて記憶されていることを意味する。
【0073】
ステップS106において、次の案内地点にレーン情報があると判定された場合には、次の案内地点のレーン情報を取得する(S108)。ステップS106において、次の案内地点にレーン情報がないと判定された場合には、最適なレーン情報を算出することができないため、ステップS126以降の通常のナビゲーション案内処理を行う。
【0074】
ステップS108において、次の案内地点のレーン情報を取得した後、検出部104は、次の次の案内地点を検出する(S110)。そして、次の次に案内すべき地点があるか否かを判定する(S112)。ステップS112において、次の次に案内すべき地点があると判定された場合には、検出部104は、次の案内地点と次の次の案内地点の距離が近いか否かを判定する(S114)。ステップS114において、次の案内地点と次の次の案内地点の距離が近いと判定された場合には、次の次の案内地点にレーン情報があるか否かを判定する(S116)。
【0075】
ステップS112において次の次に案内すべき地点がない場合、ステップS114において次の案内地点と次の次の案内地点の距離が遠い場合、ステップS116において次の次の案内地点にレーン情報がない場合には、ステップS126以降の処理を実行する。
【0076】
そして、ステップS116において、次の次の案内地点にレーン情報があると判定された場合には、次の次の案内地点のレーン情報を取得する(S118)。次に、次の次の案内地点までにレーンの増減があるか否かを判定する(S120)。ステップS120において、次の次の案内地点までにレーンの増減があると判定された場合には、レーンの増減地点のレーン情報を取得する(S122)。
【0077】
そして、決定部106は、ステップS108において取得した次の案内地点のレーン情報と、ステップS118において取得した次の次の案内地点のレーン情報、もしくはステップS122において取得したレーンの増減地点のレーン情報を基に、最適なレーンを算出する(S124)。
【0078】
そして、ステップS124において算出された最適なレーンを示す案内情報を作成する(S126)。ステップS126において、案内地点のレーン情報を取得できなかった場合には、通常の右左折を案内する案内情報を作成する。
【0079】
そして、次の案内地点の案内を行う距離か否かを判定する(S128)。ステップS128において、次の案内地点の案内を行う距離であると判定された場合には、次の案内地点の案内を行い(S130)、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0080】
以上、PND100の動作の詳細について説明した。以上の処理により、PND100は、複数レーンを含む交差点やジャンクションが連続する場合に最適なレーンを案内することが可能となる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
例えば、本明細書のPND100などのナビゲーション装置の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、PND100などのナビゲーション装置の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。
【0083】
また、PND100などのナビゲーション装置に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述したナビゲーション装置の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0084】
1 主演算器
2 RAM
3 ROM
4 不揮発性メモリ
5 音声合成装置
6 スピーカ
7 映像信号生成装置
8 ディスプレイ装置
9 UI部
10 DVD/CDドライブ
11 センサ
12 現在位置取得装置
102 判定部
104 検出部
106 決定部
108 案内部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内地点における車線情報を記憶している記憶部と、
車両の走行方向を判定する判定部と、
前記車両の走行方向に前記案内地点があるか否かを検出する検出部と、
前記検出部により少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定する決定部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記車両の走行先の案内地点である第1の案内地点および前記車両の走行先のさらに先の案内地点である第2の案内地点を検出し、
前記決定部は、前記検出部により前記第1の案内地点および前記第2の案内地点が検出された場合に、前記第1の案内地点の車線情報および前記第2の案内地点の車線情報に基づいて、前記第1の案内地点における走行車線の優先順位を決定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第1の案内地点と前記第2の案内地点との距離が所定の閾値以下であることを検出する、請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記記憶部は、案内地点における各車線の右左折情報を記憶している、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記各車線の右左折情報は、車線数分のビット幅で表され、
前記決定部は、前記第1の案内地点のビットの値と前記第2の案内地点のビットの値との論理積により第1の案内地点における走行車線の優先順位を決定する、請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記記憶部には、前記第1の案内地点から前記第2の案内地点までの間の車線の増減を示す車線増減情報が記憶されており、
前記決定部は、前記車線増減情報と、前記第1の案内地点の車線情報および前記第2の案内地点の車線情報に基づいて、前記案内地点における走行車線の優先順位を決定する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
次の案内地点を通過する前に、前記決定部により決定された前記走行車線の優先順位を案内する案内部を備える、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記案内部は、表示画面に表示された前記走行車線上に前記車両の走行方向を示す矢印を表示し、前記決定部により決定された前記走行車線の優先順位に応じて前記走行方向を示す矢印を変更する、請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
表示画面には複数の走行車線が表示されており、
前記案内部は、表示画面に表示された前記複数の前記走行車線上に前記車両の走行方向を示す矢印をそれぞれ表示し、前記決定部により決定された優先度の高い走行車線に表示された矢印を、他の走行車線の矢印よりも強調して表示する、請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
コンピュータを、
案内地点における車線情報を記憶している記憶部と、
車両の走行方向を判定する判定部と、
前記車両の走行方向に前記案内地点があるか否かを検出する検出部と、
前記検出部により少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定する決定部と、
を備えるナビゲーション装置として機能させるための、プログラム。
【請求項11】
車両の走行方向を判定するステップと、
前記車両の走行方向の案内地点を検出するステップと、
少なくとも2以上の前記案内地点があることが検出された場合に、2以上の案内地点の車線情報および前記車両の走行方向に基づいて、次の案内地点における走行車線の優先順位を決定するステップと、
を含む、ナビゲーション方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−154003(P2011−154003A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17358(P2010−17358)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】