説明

ナビゲーション装置、及びナビゲーションプログラム

【課題】ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行うための新たな方法を実現することができるようにする。
【解決手段】表示装置の表示画面における地図上にユーザAの現在位置を表示してユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置100が、道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶部21と、ユーザAが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶する休憩地点情報記憶部22と、ユーザAに関する所定の情報(例えば、身体情報や行動履歴、嗜好情報、および移動方法に応じた推奨連続移動量)を示すユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部23とを備え、ユーザ情報に基づいてユーザAが目的地まで移動する場合の休憩地点情報の検索条件を決定し、決定した検索条件を満たす休憩地点情報を検索し、道路地図情報に基づいて、検索した休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示画面における地図上にユーザの現在位置を表示してユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置、およびナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両や人間などの移動体の目的地への到達を支援するための装置として、ナビゲーション装置が知られている。このナビゲーション装置は、例えば、GPS(Global Positioning System)によって移動体の現在位置を導出し、この移動体の現在位置情報と道路地図情報とを基に経路探索処理によって推奨移動経路を求め、この推奨移動経路に基づいて移動経路の自動案内(以下、「経路誘導」という。)を行う。
【0003】
このようなナビゲーション装置には、徒歩などによる移動の際、ユーザに対して休憩を促すように構成されたものがある。
【0004】
このようなナビゲーション装置には、例えば、歩道ネットワークデータを用いて、携帯電話によって受け付けた出発地から目的地までの推奨経路を探索し、ユーザ情報に基づいて、ユーザの移動能力を表す許容コストデータを求め、この許容コストデータに応じて推奨経路を複数の区間に区切るポイントを決定し、決定したポイントの周辺で休憩場所を決定するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−216582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなナビゲーション装置は、目的地までの推奨移動経路を探索してから、探索した推奨移動経路上、またはその周辺に位置する休憩地点を検索したり、探索した推奨移動経路上の所定の条件を満たす地点を基準にして休憩地点を検索したりするので、探索した推奨移動経路の近傍に休憩地点が存在しない場合などには、適切な休憩地点をユーザに提示することができなくなる場合があるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決すべく、ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行うための新たな方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、表示装置の表示画面における地図上にユーザの現在位置を表示して前記ユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶手段と、前記ユーザが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶する休憩地点情報記憶手段と、前記ユーザに関する所定の情報を示すユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶手段と、前記ユーザ情報に基づいて前記ユーザが前記目的地まで移動する場合の前記休憩地点情報の検索条件を決定する検索条件決定手段と、前記休憩地点情報記憶手段に記憶された休憩地点情報の中から、前記検索条件決定手段により決定された検索条件を満たす休憩地点情報を検索する休憩地点情報検索手段と、前記道路地図情報に基づいて、前記休憩地点情報検索手段により検索された休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する推奨移動経路探索手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記の構成としたことで、ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行うための新たな方法を実現することができるようになる。
【0010】
前記休憩地点情報は、前記休憩地点毎に天気などに対応する推奨条件を含み、前記ユーザの現在位置を特定する現在位置特定手段と、該現在位置特定手段により特定された現在位置と前記目的地とに基づいて前記休憩地点情報の検索範囲を決定する検索範囲決定手段と、前記検索範囲決定手段により決定された検索範囲に応じた天気情報を取得する天気情報取得手段とを含み、前記検索条件決定手段は、前記天気情報取得手段により取得された天気情報を前記検索条件に反映させる構成とされていてもよい。
【0011】
前記検索範囲決定手段により決定された検索範囲に応じた道路の状況を示す道路状況情報を取得する道路状況情報取得手段とを含み、前記検索条件決定手段は、前記道路状況情報取得手段により取得された道路状況情報を前記検索条件に反映させる構成とされていてもよい。
【0012】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの身体情報などに基づく推奨連続移動量を含み、前記検索条件決定手段は、少なくとも前記現在位置特定手段により特定された現在位置から前記推奨連続移動量を超えない範囲で移動できる休憩地点を示す休憩地点情報であることを前記検索条件として決定する構成とされていてもよい。
【0013】
前記ユーザ情報は前記ユーザの行動履歴を含む構成とされていてもよい。
【0014】
また、本発明のナビゲーションプログラムは、表示装置の表示画面における地図上にユーザの現在位置を表示して前記ユーザを目的地まで誘導するようにナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、前記ナビゲーション装置に、前記ユーザに関する所定の情報を示すユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶手段に記憶されたユーザ情報に基づいて前記ユーザが前記目的地まで移動する場合の、前記ユーザが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶する休憩地点情報記憶手段に記憶された休憩地点情報の検索条件を決定する検索条件決定処理と、前記休憩地点情報記憶手段に記憶された休憩地点情報の中から前記検索条件決定処理にて決定された検索条件を満たす休憩地点情報を検索する休憩地点情報検索処理と、道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶手段に記憶された道路地図情報に基づいて、前記休憩地点情報検索処理にて検索された休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する推奨移動経路探索処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行うための新たな方法を実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ナビゲーション装置の構成の例を示すブロック図である。
【図2】制御部と記憶部の構成の例を説明するための説明図である。
【図3】休憩地点情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図4】ユーザ情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図5】ナビゲーション処理の概念について説明するための説明図である。
【図6】ナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置100の構成の例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、例えば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable
Navigation Device)や専用デバイスなどの情報処理装置によって構成されるものである。以下、ナビゲーション装置100が、ユーザにより携帯される場合について説明する。
【0019】
図1に示すように、ナビゲーション装置100は、制御部10と、記憶部20と、メモリ30と、表示部40と、センサ部50と、通信部60と、入力部70とを含む。なお、図示しないが、ナビゲーション装置100は、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)等を有する。
【0020】
制御部10は、例えばCPUにより構成され、記憶部20に記憶されたコンピュータプログラム(ナビゲーション装置100に動作制御させるためのコンピュータプログラムであり、ナビゲーションプログラムを含む。)に従い、ナビゲーション装置100を構成する各要素を統括制御し、経路探索機能、経路誘導機能、サービス情報(ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル・旅館といった店舗情報や、有名な施設情報、行楽地情報といったPOI(Point Of Interest)情報)を検索する情報検索機能を含む各種の処理を実行するための各種の機能を有する。なお、これらの各種機能は、一般のナビゲーション装置が備える公知の技術によって実現される。制御部10の構成については、後で詳しく説明する(図2参照)。
【0021】
記憶部20は、ROMやRAMなどで構成され、ナビゲーション装置100が使用する各種コンピュータプログラムや、地図情報などナビゲーション装置として必要な各種情報を記憶する記憶媒体である。記憶部20の構成については、後で詳しく説明する(図2参照)。
【0022】
メモリ30は、制御部10が処理する各種情報を一時的に保持する記憶媒体であり、RAMなどの半導体記憶装置により構成される。
【0023】
出力部40は、各種情報、特に経路誘導に関する情報をユーザが認識可能な形で出力する機能を備え、例えば画像情報を表示する画像表示装置(ディスプレイ装置、モニタ)と、音声情報を音声出力する音声出力装置(スピーカ装置)とを含む。画像表示装置は、道路地図情報とユーザの現在位置情報とを表示画面上に表示するとともに、目的地までの推奨移動経路を表示画面上に併せて表示することで、視覚によって道順などを報知する。
【0024】
また、音声出力装置は、各種音声情報に基づいて各種音声を出力することで、聴覚によって移動経路の道順(例えば、「100m先を右折」など)や、移動経路に関連する情報(例えば、道路名称や交通規制情報、付近のお奨め施設の紹介など)などを報知する。なお、音声出力装置を含む出力部40は、制御部10からの通知を受けて音声案内などを行う。
【0025】
センサ部50は、ナビゲーション装置100の現在位置(すなわち、ユーザの現在位置)を測位する機能を備えており、例えば、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて位置を測定するGPSセンサや、初期位置から移動量(距離)を計測する速度センサ、進行(移動)方位を計測するジャイロセンサ等からなる。
【0026】
GPSセンサは、いわゆるGPS受信機と称されるものであり、GPS衛星から放射されるGPS信号を受信してGPS衛星とGPS受信機自身との距離(疑似距離)を測定し、複数の衛星からのGPS信号を同時に受信することによりGPS受信機自身の現在位置(GPS測位解)を算出する。
【0027】
また、センサ部50は、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)の他、受信したGPS信号のデコード等の処理を行い、制御部10に通知する機能を有する。
【0028】
通信部60は、インターネットなどの通信ネットワークに無線あるいは有線によって接続し、通信ネットワークに接続された管理サーバなどの外部の装置と情報の送受信を行うための機能を有する。
【0029】
入力部70は、制御部10に対する各種指示をユーザから受け付ける機能を備える。本例では、入力部70は、例えば、表示部40の表示画面上に表示される操作ボタンなどによって構成される。
【0030】
図2は、本例における制御部10と記憶部20の構成の例を説明するための説明図である。図2に示すように、制御部10は、センサ情報処理部11と、通信処理部12と、検索条件決定部13と、検索範囲決定部14と、検索部15と、経路探索部16とを含む。
【0031】
センサ情報処理部11は、センサ部50により位置情報や速度情報などのセンサ情報の取得や記憶などを行うための処理を実行する機能を有する。すなわち、ナビゲーション装置100は、センサ情報処理部11によりユーザの現在位置を特定する。
【0032】
通信処理部12は、通信部60により各種情報の送受信を行うための処理を実行する機能を有する。本例においては、通信処理部12は、インターネットなどの通信回線を介して、外部サーバなどから、天気情報や後述する道路状況情報など各種情報を取得する処理を行う。
【0033】
検索条件決定部13は、後述するユーザ情報に基づいて、ユーザが目的地まで移動する場合の休憩地点の検索条件を決定する処理を実行する機能を有する。本例においては、検索条件決定部13は、後述するユーザ情報に含まれるユーザの行動履歴や嗜好情報に基づいて検索条件を決定する。また、本例における検索条件決定部13は、天気情報を検索条件に反映させる。具体的には、検索条件決定部13は、推奨移動経路探索時の天気や日時、気温など予め設定された項目を示す天気情報に基づいて、「晴天の日には屋外の休憩地点を検索対象から除外する」ことや、「台風の日には地下の休憩地点を検索対象とする」ことを検索条件として決定する。
【0034】
また、検索条件決定部13は、道路状況、特に、天気により影響を受けた道路状況を検索条件に反映させる。ここで、「道路状況情報」とは、道路の状況に関する情報であればよい。すなわち、道路状況情報の例としては、例えば、「雨の影響により足場が悪くなっている可能性の高い道」や「晴天の日に直射日光を避けられる道」など種々の情報が考えられる。また、道路状況情報を検索対象に反映させるとは、例えば、「雨でぬかるんだ道路周辺に位置する休憩地点を検索対象から除外する」ことや、「晴天の日に直射日光を避けられる道に位置する休憩地点を検索対象とする」ことを検索条件として決定することを意味する。
【0035】
検索範囲決定部14は、任意の地点を基準とする休憩地点情報の検索範囲を決定する処理を実行する機能を有する。本例においては、検索範囲決定部14は、ユーザの現在位置と目的地とに基づいて、休憩地点の検索範囲を決定する。具体的には、検索範囲決定部14は、任意の2点間を基準とする所定形状の範囲(例えば、現在位置と目的地とを焦点とする楕円形状の範囲)を検索範囲とする。なお、検索範囲の決定方法は特に限定されず、例えば、地図が複数のエリアに分類されている場合には、地図上で任意の2点(現在位置と目的地)が属するエリアを検索範囲とする構成としてもよい。
【0036】
検索部15は、後述する休憩地点情報記憶部22に記憶された休憩地点情報の中から、検索条件決定部13により決定された検索条件を満たす休憩地点情報を検索する処理を実行する機能を有する。
【0037】
経路探索部16は、出発位置(例えば、ユーザの現在位置やユーザにより入力された位置)から目的地(例えば、地図上のユーザが選択した位置)までの移動経路を導出する経路探索処理を実行する機能を有する。経路探索処理では、例えば、入力部70を介して出発地(例えば、現在位置)と目的地とを示す情報の入力を受け付けて、受け付けた情報に基づいて、道路情報を参照して出発地から目的地までの移動経路を導出するとともに、導出した移動経路を含む道路地図からなる移動経路周辺地図を生成する処理を行う。なお、経路探索処理については公知の技術を用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、経路探索処理に必要な情報、例えば現在位置の特定や移動経路周辺地図を生成するためなどに用いられる地図情報は、予め記憶部20に記憶されている構成としてもよいし、通信部60により外部の管理サーバなどから取得する構成としてもよい。
【0038】
また、本例における経路探索部16は、検索部15により検索された休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する処理を実行する機能を有する。
【0039】
記憶部20は、図2に示すように、道路地図情報記憶部21と、休憩地点情報記憶部22と、ユーザ情報記憶部23とを含む。
【0040】
道路地図情報記憶部21は、所定のグリッド(本例においては、一定の緯度幅と緯度幅で区切られた矩形状の範囲)に分割して地図情報を記憶する記憶媒体である。この地図情報は、道路地図情報記憶部21に記憶されるほか、例えばSDメモリカードと呼ばれるリムーバルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介して地図情報をダウンロードするようにしてもよい。また、道路地図情報記憶部21は、交通規制や道路の構成などを示す道路情報として、道路をノードとリンクで表して管理し、各ノードとリンクに関して経路構成ノード情報と経路構成リンク情報とを記憶する記憶媒体である。すなわち、経路探索部11は、経路探索処理において必要な情報を道路地図情報記憶部21から取得することとなる。以下、適宜地図情報と道路情報とを対応付けした情報を「道路地図情報」と呼ぶ。
【0041】
なお、道路情報は、時期や車両の進行方向によって異なる内容となる場合がある。ここで、本例における道路情報には、各リンクの長さや通過時間を経路コストとして格納されている。また、道路情報は、複数の階層を持っており、本例においては近傍用(全ての道路を格納)、近距離用(細街路以外の道路を格納)、中距離用(県道以上の道路を格納)、遠距離用(高速道、国道を格納)が設定されている。この場合、例えば道路情報を構成するノードとリンクに階層情報を設定するようにすればよい。これにより、経路探索の条件によって経路探索の対象となる道路情報を使い分けることができる。すなわち、例えば現在位置から目的地までの距離が長距離である場合には、間に存在する道路情報の量が膨大になるため、遠距離用が設定された道路情報を用いて経路探索処理を行うことにより、経路探索部11の処理負荷を軽減させることができる。
【0042】
また、本例における道路情報は、階段や坂道に関する情報である通路情報を含む。階段や坂道の位置や大きさを示す通路情報を含むことにより、例えば、後述するユーザ情報に応じて、階段や坂道が多い移動経路をあえて推奨移動経路として提供することができるようになる。
【0043】
休憩地点情報記憶部22は、ユーザが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶するための記憶媒体である。なお、ここでいう「休憩地点」は、店舗や公園などに限定されず、例えば、ベンチや自動販売機などが設置された地点であってもよい。
【0044】
図3は、休憩地点情報記憶部22における休憩地点情報の格納状態の例を示す説明図である。図3に示すように、本例における休憩地点情報は、休憩地点を一意に特定するための休憩地点IDと、休憩地点の名称と、休憩地点(または、休憩地点に位置する施設。休憩施設。)の利用可能条件と、利用フラグとを含む。
【0045】
ここで、「利用可能条件」とは、ユーザが休憩地点を利用するために満たすべき条件を示すものであり、本例においては、例えば、店舗の営業日時や、天気に応じた利用の可否(例えば、屋外のベンチであれば雨天時は利用不能とするなど。)が含まれるものとする。
【0046】
また、「利用フラグ」とは、後述するユーザ情報や、他の情報(本例においては、天気情報や道路状況情報)に基づいて決定される検索条件を満たす休憩地点であるか否かを示すものである。本例においては、検索範囲決定部15により決定される検索範囲内に位置する休憩地点のうち、検索条件を満たす休憩地点には「1」が、休憩条件を満たさない休憩地点には「0」が、それぞれ設定されるものとする。なお、検索範囲内に位置しない休憩地点は検索条件とされないため、検索条件を満たしている場合でも利用フラグには「0」が設定される。よって、本例においては、検索範囲内に位置することが検索条件の1つであるということとなる。なお、休憩地点情報は、休憩地点に関する情報であればよく、例えば、休憩地点の周辺環境(または、休憩施設の立地条件)を示す情報を含む構成とされていてもよい。
【0047】
ユーザ情報記憶部23は、ユーザに関する所定の情報を示すユーザ情報を記憶するための記憶媒体である。本例においては、ユーザ情報は、ユーザの健康状況を含む情報が記憶されている場合を例に説明を行う。
【0048】
図4は、ユーザ情報記憶部23におけるユーザ情報の格納状態の例を示す説明図である。図4に示すように、本例におけるユーザ情報は、ユーザを一意に特定するためのユーザIDと、ユーザの身体情報と、移動方法と、推奨連続移動量と、行動履歴と、ユーザの嗜好を示す嗜好情報とを含む。
【0049】
ここで、「身体情報」とは、ユーザの健康状況を推定する上で必要な情報であり、身体情報に基づいて推奨連続移動量が決定される。本例においては、身体情報とし、ユーザの身長や体重のほか、例えば平熱や平均血圧、年齢や持病の有無など、種々の情報が含まれるものとする。
【0050】
また、「移動方法」とは、ユーザの移動方法を示すものであり、本例においては、歩行、ランニング、および自転車毎に推奨連続移動量が設定されるものとする。
【0051】
また、「推奨連続移動量」とは、ユーザの身体情報から推測される「ユーザが休憩を挟まずに移動しても問題がないと考えられる移動量」を示すものである。よって、推奨連続移動量は、推奨休憩間隔を示す情報であるともいえる。本例においては、推奨連続移動量は、天気毎に、時間や距離により示されるものとする。なお、天気だけでなく、湿度や温度により推奨連続移動量が設定される構成としてもよい。
【0052】
また、「行動履歴」とは、ユーザの行動の履歴を示すものであればよく、例えば、所定期間内にユーザが移動した距離や、立ち寄った施設の種類、移動時に休憩を取った間隔などが含まれる。
【0053】
また、「嗜好情報」とは、移動に関するユーザの嗜好を示すものであり、例えば、「晴天の日は地下道を優先する」ことや、「晴天の日に比べて曇りの日では、休憩までのインターバルを長く取る」ということが設定される。なお、嗜好情報は、ユーザにより設定される構成とされていてもよいし、行動履歴に基づいて設定される構成としてもよい。行動履歴により嗜好情報を設定する構成とする場合、例えば、行動履歴から嗜好情報を設定するための基準となる情報(基準情報)が記憶部20に記憶されている構成とすればよい。
【0054】
なお、ユーザ情報における推奨連続移動量は、身体情報だけでなく、行動履歴や嗜好情報に基づいて設定される構成とされていてもよい。すなわち、推奨連続移動量は、身体情報に基づく所定の算術式を用いて基礎となる値が算出され、その値に、行動履歴や嗜好情報が反映されて決定される構成とされていてもよい。より具体的には、例えば、行動履歴に基づいて、推奨連続移動量よりも多めに移動することを好むユーザであると推測できる場合には、推奨連続移動量を大きく(時間を長く、または距離を長く)したり、晴天の日に比べて曇りの日では休憩までのインターバルを長く取るユーザであると推測できる場合には、曇りの日に対応する推奨連続移動量を大きくしたりする構成とされていてもよい。この場合、制御部10が、所定の時機にユーザ情報を更新する構成とされることが好ましい。
【0055】
次に、ナビゲーション装置100が実行するナビゲーション処理の概念について図を参照して説明する。
【0056】
図5は、ナビゲーション装置100が実行するナビゲーション処理の概念について説明するための説明図である。図5(A)に示すように、ユーザの現在位置Pと目的地Gとを基準として決定される検索範囲SRがあるとする。
【0057】
この場合、ナビゲーション装置100は、先ず、図5(B)に示すように、検索範囲SR内において検索条件を満たす休憩地点BP1〜BP3を検索する。
【0058】
休憩地点を検索すると、ナビゲーション装置100は、図5(C)に示すように、ユーザ情報に基づいて適宜休憩地点を経由する推奨移動経路R1を探索する。よって、休憩地点BP3のように、推奨移動経路R1の経由地として選択されない休憩地点も発生し得る。また、推奨移動経路R1が、現在位置Pから目的地Gまでの最短経路R2と一致しない場合も起こり得る。
【0059】
なお、ユーザに応じた推奨連続移動量を超えない範囲で休憩地点を経由するルートが複数ある場合には、ナビゲーション装置100が、休憩地点の少ないルートを推奨移動経路とする構成としてもよいし、休憩地点がユーザの嗜好により合致するルートを推奨移動経路とする構成としてもよい。また、ナビゲーション装置100が、休憩地点の間隔が所定のしきい値よりも短くなるルートを推奨移動経路の候補から除外する構成としてもよい。
【0060】
次に、本例におけるナビゲーション装置100の動作について図を参照して説明する。なお、本発明に特に係わらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0061】
図6は、ナビゲーション装置100が実行するナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。ナビゲーション処理では、ナビゲーション装置100のユーザAの健康面を考慮した推奨移動経路を探索して経路案内を開始するための処理が行われる。
【0062】
本例におけるナビゲーション処理は、例えば、制御部10が、入力部70を介してユーザAによる目的地の指定を含む推奨移動経路の探索要求を受け付けたことにより開始される。
【0063】
ナビゲーション処理において、先ず、制御部10は、ユーザAに応じたユーザ情報を取得する(ステップS101)。本例においては、制御部10は、ユーザ情報記憶部23に記憶されたユーザ情報のうち、ユーザAに応じたユーザ情報を読み出す。
【0064】
ユーザ情報を取得すると、制御部10は、センサ情報処理部11により、ユーザAの現在位置を特定する(ステップS102)。なお、このとき、ユーザAから任意の出発地の入力を受け付ける構成としてもよい。
【0065】
現在位置を特定すると、制御部10は、検索範囲決定部14により、現在位置と目的地とに応じた検索範囲を決定する(ステップS103)。
【0066】
検索範囲を決定すると、制御部10は、通信処理部12により、検索範囲に応じた天気情報を取得する(ステップS104)。すなわち、制御部10は、検索範囲に応じた緯度経度を含む地域の天気情報を外部サーバなどから取得する。なお、制御部10が、天気情報をユーザAから受け付ける構成としてもよい。
【0067】
天気情報を取得すると、制御部10は、通信処理部12により、検索範囲に応じた道路状況情報を取得する(ステップS105)。
【0068】
道路状況情報を取得すると、制御部10は、検索条件決定部13により、休憩地点の(すなわち、休憩地点情報の)検索条件を決定する(ステップS106)。
【0069】
休憩地点情報の検索条件を決定すると、制御部10は、検索部15により、決定した検索条件を満たす休憩地点情報を検索する(ステップS107)。
【0070】
検索条件を満たす休憩地点情報を検索すると、制御部10は、経路探索部16により、検索した休憩地点情報が示す休憩地点とユーザ情報が示す推奨連続移動量とに基づいて、現在位置から目的地までの推奨移動経路を探索する(ステップS108)。
【0071】
なお、本例においては、経路探索部16は、先ず、特定した現在位置から推奨連続移動量を超えない範囲で移動できる休憩地点または目的地までの経路を探索する。次いで、探索した経路で到達できる休憩地点から推奨連続移動量を超えない範囲で移動できる休憩地点または目的地までの経路を探索する。そして、現在位置から休憩地点を経由して(または経由しないで)目的地まで移動するための経路のうち、休憩間隔が推奨連続移動量を超えない移動経路を探索する。
【0072】
推奨移動経路を探索すると、制御部10は、探索した推奨移動経路に基づく経路案内を開始し(ステップS109)、ここでの処理を終了する。
【0073】
なお、このとき、制御部10が、目的地までの最短経路を含む複数の推奨移動経路をユーザAに対して選択可能に提示し、ユーザAによる選択を受け付けた推奨移動経路に基づく経路案内を開始する構成としてもよい。
【0074】
以上に説明したように、上述した実施の形態では、表示装置の表示画面(例えば、表示部40が備える画像表示装置の表示画面)における地図上にユーザAの現在位置を表示してユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置100が、道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶部21と、ユーザAが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶する休憩地点情報記憶部22と、ユーザAに関する所定の情報(例えば、身体情報や行動履歴、嗜好情報、および移動方法に応じた推奨連続移動量)を示すユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部23とを備え、ユーザ情報に基づいてユーザAが目的地まで移動する場合の休憩地点情報の検索条件を決定し、決定した検索条件を満たす休憩地点情報を検索し、道路地図情報に基づいて、検索した休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する構成としているので、ユーザの健康面を考慮したルートの設定を行うための新たな方法を実現することができるようになる。
【0075】
すなわち、現在位置と目的地との間に位置する休憩地点を検索し、検索した休憩地点に関する情報を考慮した推奨移動経路の探索を行うことにより、よりユーザに適した休憩地点を含むルート(推奨移動経路)を設定することができるようになる。
【0076】
また、歩行による移動の場合に、立ち寄り地として休憩地点を含む推奨移動経路を設定することができるので、移動時の周辺の状況に応じた体力の消費や気分の変化などによる熱射病などのリスクを未然防ぐことができるようになる。また、休憩地点情報を考慮することにより、休憩地点の立地条件などを考慮した上で推奨移動経路を探索することができるようになる。
【0077】
また、上述した実施の形態では、休憩地点情報は、休憩地点毎に天気などに対応する推奨条件(例えば、利用可能条件)を含み、ナビゲーション装置100が、ユーザAの現在位置を特定し、特定した現在位置と目的地とに基づいて休憩地点情報の検索範囲を決定し、 決定した検索範囲に応じた天気情報を取得し、取得した天気情報を検索条件に反映させる構成としているので、より実際の状況に適した休憩地点を含む推奨移動経路を設定することができるようになる。
【0078】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、決定した検索範囲に応じた道路の状況を示す道路状況情報を取得し、取得した道路状況情報を検索条件に反映させる構成としているので、より実際の状況に適した休憩地点を含む推奨移動経路を設定することができるようになる。
【0079】
また、上述した実施の形態では、ユーザ情報は、ユーザAの身体情報などに基づく推奨連続移動量を含み、ナビゲーション装置100が、少なくとも特定した現在位置から推奨連続移動量を超えない範囲で移動できる休憩地点を示す休憩地点情報であることを検索条件として決定する構成としているので、よりユーザの状況に応じた推奨移動経路を設定することができるようになる。
【0080】
特に、歩行者ナビゲーションでは、移動体が人間である為、その健康面からの休憩の取得が重要なファクターとなる。特に、夏場、熱射病などのリスクが高くなる状況にて、目的地に早く着くことだけを優先するのではなく、休憩を取得することを前提としたルート設定が必要になる。上述した実施の形態によれば、例えば、晴天の日に比べて曇りの日では、休憩までのインターバルを長く取り、長時間の歩行が可能である等の条件を考慮したルート設定ができるようになる。
【0081】
また、上述した実施の形態では、ユーザ情報はユーザAの行動履歴を含む構成としているので、ユーザAの実際の行動に応じた健康状況を推測して(例えば、行動履歴に基づいて推奨連続移動量を設定または調整して)休憩地点の検索条件を決定することができるので、よりユーザに適した間隔で休憩地点が位置する推奨移動経路を設定することができるようになる。
【0082】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置100が、ユーザ情報に基づいて休憩地点での休憩時間を設定する構成としてもよい。また、休憩地点におけるユーザの滞在時間が設定した休憩時間に対する所定の割合を越えたときに、ナビゲーション装置100が、ユーザにその旨を報知する構成としてもよい。
【0083】
また、この場合、ナビゲーション装置100が、休憩地点までにユーザが移動した移動量(時間または距離)に応じて休憩地点での休憩時間を算出する構成としてもよい。
【0084】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置が、経路案内中に、現在位置周辺に位置する休憩地点をユーザに案内する構成とされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ユーザの進路案内を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、特に、ユーザの健康面を考慮したナビゲーション装置の利便性を向上させるのに有用である。
【符号の説明】
【0086】
10 制御部
11 センサ情報処理部
12 通信処理部
13 検索条件決定部
14 検索範囲決定部
15 検索部
16 経路探索部
20 記憶部
21 道路地図情報記憶部
22 休憩地点情報記憶部
23 ユーザ情報記憶部
30 メモリ
40 出力部
50 センサ部
60 通信部
70 入力部
100 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面における地図上にユーザの現在位置を表示して前記ユーザを目的地まで誘導するナビゲーション装置であって、
道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶手段と、
前記ユーザが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶する休憩地点情報記憶手段と、
前記ユーザに関する所定の情報を示すユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶手段と、
前記ユーザ情報に基づいて前記ユーザが前記目的地まで移動する場合の前記休憩地点情報の検索条件を決定する検索条件決定手段と、
前記休憩地点情報記憶手段に記憶された休憩地点情報の中から、前記検索条件決定手段により決定された検索条件を満たす休憩地点情報を検索する休憩地点情報検索手段と、
前記道路地図情報に基づいて、前記休憩地点情報検索手段により検索された休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する推奨移動経路探索手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記休憩地点情報は、前記休憩地点毎に天気などに対応する推奨条件を含み、
前記ユーザの現在位置を特定する現在位置特定手段と、
該現在位置特定手段により特定された現在位置と前記目的地とに基づいて前記休憩地点情報の検索範囲を決定する検索範囲決定手段と、
前記検索範囲決定手段により決定された検索範囲に応じた天気情報を取得する天気情報取得手段とを含み、
前記検索条件決定手段は、前記天気情報取得手段により取得された天気情報を前記検索条件に反映させる
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検索範囲決定手段により決定された検索範囲に応じた道路の状況を示す道路状況情報を取得する道路状況情報取得手段とを含み、
前記検索条件決定手段は、前記道路状況情報取得手段により取得された道路状況情報を前記検索条件に反映させる
請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの身体情報などに基づく推奨連続移動量を含み、
前記検索条件決定手段は、少なくとも前記現在位置特定手段により特定された現在位置から前記推奨連続移動量を超えない範囲で移動できる休憩地点を示す休憩地点情報であることを前記検索条件として決定する
請求項2から請求項3のうち何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ユーザ情報は前記ユーザの行動履歴を含む
請求項2から請求項4のうち何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
表示装置の表示画面における地図上にユーザの現在位置を表示して前記ユーザを目的地まで誘導するようにナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、
前記ナビゲーション装置に、
前記ユーザに関する所定の情報を示すユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶手段に記憶されたユーザ情報に基づいて前記ユーザが前記目的地まで移動する場合の、前記ユーザが休憩可能な地点を示す休憩地点に関する情報である休憩地点情報を記憶する休憩地点情報記憶手段に記憶された休憩地点情報の検索条件を決定する検索条件決定処理と、
前記休憩地点情報記憶手段に記憶された休憩地点情報の中から、前記検索条件決定処理にて決定された検索条件を満たす休憩地点情報を検索する休憩地点情報検索処理と、
道路地図情報を記憶する道路地図情報記憶手段に記憶された道路地図情報に基づいて、前記休憩地点情報検索処理にて検索された休憩地点情報が示す休憩地点を経由地とする推奨移動経路を探索する推奨移動経路探索処理とを
実行させるためのナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−159413(P2012−159413A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19811(P2011−19811)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】