説明

ナビゲーション装置及びエフェメリスデータ取得方法

【課題】本発明は、煩雑な操作をユーザに強いることなく、有効なエフェメリスデータを常時保持した状態で現在位置を短時間でかつ正確に測位できるようにする。
【解決手段】本発明は、GPS衛星から衛星信号S1を受信して復調することによりエフェメリスデータS2を取得し、当該エフェメリスデータS2を記憶しておき、当該エフェメリスデータS2の有効時間を当該エフェメリスデータS2の取得タイミングから計時し、エフェメリスデータS2の有効時間が経過する前に、新たなエフェメリスデータS2を再取得させることにより、現在位置を測位するまでの所要時間が最も短いホットスタートを常に行なうことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びエフェメリスデータ取得方法に関し、例えば持ち運び自在なポータブルナビゲーションデバイスに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)においては、少なくとも3個のGPS(Global Positioning System)衛星から送信されてくる測位に必要なデータをそれぞれ取得し、これを解析することにより、車両の現在位置(緯度、経度)を算出するようになされている。
【0003】
またPNDにおいては、3個以上のGPS衛星から測位に必要なデータを取得し解析することにより、車両の現在位置(緯度、経度)に加えて高度についても算出し得るようになされている。
【0004】
そしてPNDでは、車両の現在位置を地図上に表示し、出発地から目的地までの走行経路を探索した後、当該走行経路を介してユーザを目的地までナビゲーションするようになされている。
【0005】
ところでPNDでは、現在位置を測位するに当って、当該PNDにとって受信可能なGPS衛星から各衛星の軌道情報(正確な位置情報及び時刻情報等)でなるエフェメリスデータが必要である。このエフェメリスデータは約2時間毎に更新され、更新後4時間程度まで有効な寿命を持った情報である。
【0006】
従ってPNDでは、電源がオフされたままの状態で4時間以上経過したような場合、改めてそれぞれのGPS衛星から新たなエフェメリスデータを取得し直さなければならない。このときPNDは、GPS衛星から約30秒周期でエフェメリスデータが送られてくるため、最低でも30秒間連続してエフェメリスデータを受信できるという通信環境を確保していることが望ましい。
【0007】
しかしながらPNDでは、GPS衛星から送られてくるエフェメリスデータを最低でも30秒間連続して受信できる良好な通信環境を確保したいところ、走行中であったり、停車中であってもビルの陰になっていたり、良好な通信環境を確保できないことが多い。
【0008】
このような場合PNDは、GPS衛星からのエフェメリスデータが全て完全には揃わないため、次の周期で当該エフェメリスデータを再取得して全て揃うのを待ち、それでも揃わなければ、更に次の周期で当該エフェメリスデータを再取得して全て揃うのを待つことになる。
【0009】
実際上PNDでは、少なくとも3個以上のGPS衛星からのエフェメリスデータをそれぞれ全て完全に取得しなければならないため、通信環境によっては、3個以上のGPS衛星からのエフェメリスデータが全て完全に揃うまでには数分間程度を要することもある。
【0010】
そうなるとPNDでは、前回電源がオフされてから4時間以上経過した後に、再度電源が投入された場合や、GPS衛星からの電波を4時間以上も受信できない通信環境にある場合、ユーザに対して車両の現在位置が特定されるのを数分間も待たせることになり、利便性を欠くことになる。
【0011】
そこで、エフェメリスデータの取得したときから取得後の経過時間を計算し、2時間を過ぎた時点からアラーム音を発生させ、エフェメリスデータの有効期限が切れる前に電波の受信環境が良い場所で計測させることをユーザに促すことにより、短時間で位置計測できる確率を上げるようになされた測位装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000-338220公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで上述した特許文献1に記載の測位装置においては、アラーム音によってユーザの注意を喚起し、ユーザに対して受信環境の良い場所へ移動させて測位させなければならず、煩雑な操作をユーザに強いるという問題があった。
【0013】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、煩雑な操作をユーザに強いることなく、有効なエフェメリスデータを常時保持した状態で現在位置を短時間でかつ正確に測位し得るナビゲーション装置及びエフェメリスデータ取得方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するため本発明においては、衛星から衛星信号を受信して復調することによりエフェメリスデータを取得し、当該エフェメリスデータを記憶しておき、当該エフェメリスデータの有効時間を当該エフェメリスデータの取得タイミングから計時し、エフェメリスデータの有効時間が経過する前に、取得部により新たなエフェメリスデータを再取得させるようにする。
【0015】
これにより、エフェメリスデータの有効時間が経過する前に新たなエフェメリスデータを自動的に再取得することができるので、現在位置の測位までの所要時間が最も短いホットスタートを常に行なうことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エフェメリスデータの有効時間が経過する前に新たなエフェメリスデータを自動的に再取得することができるので、現在位置の測位までの所要時間が最も短いホットスタートを常に行なうことができ、かくして煩雑な操作をユーザに強いることなく、有効なエフェメリスデータを常時保持した状態で現在位置を短時間でかつ正確に測位し得るナビゲーション装置及びエフェメリスデータ取得方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0018】
(1)PNDの全体構成
図1において、1は全体として本発明のポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)を示し、4.8型の液晶ディスプレイを搭載した表示部6の裏側にクレードル部15が設けられた構成を有し、当該クレードル部15の吸盤15Aを介して車両のダッシュボードに装着し、かつ取り外し得るようになされている。
【0019】
一般的に、GPSにより現在位置を測位するだけでなく、当該GPSによる測位が出来ないときには、車両から取り込んだ車速パルスに基づいて車両の走行速度を算出し、ジャイロセンサからの出力に基づいて車両の進行方向を算出することにより、当該車両の現在位置を推測する所謂フルナビゲーションシステムが存在する。
【0020】
これに対して、この種のPND1はクレードル部15を介して、車両との脱着を可能とした構成を有するものであるため、フルナビゲーションシステムとは異なり、車速パルスやジャイロセンサに頼ることなくGPSによってのみ現在位置を測位するタイプの簡易型のナビゲーションシステムであることを特徴とする。
【0021】
(2)PNDの回路構成
図2に示すようにPND1は、内蔵バッテリ(図示せず)からの電力供給を受けて、マイクロコンピュータ構成の制御部8が基本プログラムに従って全体を統括制御する。なお、PND1は、クレードル部15を介して車両に取り付けられているときは、車両から供給される電力に基づいて制御部8が全体を統括制御するようになされている。
【0022】
またPND1の制御部8は、ハードディスクや不揮発性メモリ等でなる記憶部9に格納された種々のアプリケーションプログラムに従って各種ナビゲーション処理や後述するエフェメリスデータの各種取得処理等を実行するようになされている。
【0023】
実際上PND1は、GPSアンテナ2によって受信した複数のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からの衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調部3によって復調することによりエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を復元し、これらを測位演算部4へ送出する。
【0024】
ここでエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)は、GPS衛星がどのような軌道で周回しているかを示す詳細軌道情報(パラメータ)である。またエフェメリスデータは、車両の現在位置を正確に測位するために少なくとも3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から取得しておく必要があるものであって、およそ2時間毎に更新され、更新後4時間まで有効な寿命のある情報である。
【0025】
この場合、「有効」とは更新後4時間までの有効時間の範囲内であれば、そのエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を用いて車両の現在位置を測位したときに所定レベルの精度を保証することができることを意味する。
【0026】
逆に、更新後4時間を越えたエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を用いて車両の現在位置を測位したときには所定レベルの精度を保証し得ないことを意味する。
【0027】
因みにエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)は、GPS衛星から約50[bps]で送信されており、PND1がエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を受信するのに約30秒間程度を要する。
【0028】
従ってPND1では、電源投入時、有効なエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を保持していなければ、少なくとも3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)からの新たにエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C)を取得し直さなければならなくなる。
【0029】
実際上PND1では、3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)に限らず、GPSの電波を受信可能な6個〜8個程度のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……、衛星H)からエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……、S2H)を取得し得るようになされており、その中から任意の3個以上のエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を用いるようになされている。
【0030】
また復調部3は、エフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)に含まれる時刻情報T1を抽出し、これをクロック出力部11へ供給するようになされている。これによりクロック出力部11では、復調部3から供給された時刻情報T1に基づいて現在時刻を正確な値に補正した後、その補正後の正確な時刻データCLKを制御部9及びタイマー起動部12へ供給するようになされている。
【0031】
測位演算部4は、エフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C)及び3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)から車両までの距離データに基づいて当該車両の現在位置を測位し、その現在位置データS3を経路案内地図生成部5へ送出すると共に記憶部9へ送出する。
【0032】
記憶部9は、測位演算部4が測位する毎に随時送られてくる現在位置データS3を順次記憶して保持しておくようになされている。
【0033】
経路案内地図生成部5は、PND1の表面パネル(図示せず)に設けられた各種操作ボタン等でなる操作ボタン部10に対するユーザの押下操作に応じて供給される経路探索命令S10に従い、現在位置データS3に応じた車両の現在位置から目的地までの走行経路を探索する。
【0034】
そして経路案内地図生成部5は、その走行経路を含む経路案内地図を生成し、その結果得られる経路案内地図データS6を表示部6へ出力する。
【0035】
表示部6は、経路案内地図データS6に応じた経路案内地図画像を表示することにより、現在位置アイコン(図示せず)から目的地までの走行経路をユーザに対して目視確認させ得るようになされている。
【0036】
ところでタイマー起動部12は、3個のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C)に対するエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C)を全て取得し終わった時点からの経過時間(即ちエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C)の有効時間)を、クロック出力部11から供給された時刻データCLKに基づいて計時するようになされている。
【0037】
ここでタイマー起動部12は、復調部3から時刻情報T1をクロック出力部11へ供給したタイミングがエフェメリスデータS2を取得し終わった時点であるものの、クロック出力部11から時刻データCLKが供給された時点との時間差については無視できる程度に小さいため、当該時刻データCLKに基づいてエフェメリスデータS2の有効時間を計時するようになされている。
【0038】
(3)エフェメリスデータを用いた測位の基本的考え方
図3に示すように、PND1の制御部8は、当該PND1を起動している状態(以下、これをウェイクアップ状態と呼ぶ)のとき、GPSアンテナ2によって受信した複数の衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調部3によって復調する(以下、これを単にGPS受信と呼ぶ)ことによりエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得する。
【0039】
このときPND1の制御部8は、エフェメリスデータS2を取得し、当該エフェメリスデータS2を記憶部9に保持した時点(0時00分)から、当該エフェメリスデータS2が有効である4時間が経過するまでは、当該エフェメリスデータS2を用いて車両の現在位置を極めて短時間(例えば3秒乃至5秒程度)に測位する(以下、これをホットスタートと呼ぶ)ことが出来るようになされている。
【0040】
しかしながらPND1の制御部8は、エフェメリスデータS2を記憶部9に保持してから4時間以上が経過した場合、当該エフェメリスデータS2の有効時間を過ぎているため、新たにエフェメリスデータS2を取り直さなければならない。
【0041】
このときPNDは、GPS衛星から約30秒周期でエフェメリスデータが送られてくるため、新たにエフェメリスデータS2を再取得するのに最低でも30秒間以上の時間が必要であり、新たなエフェメリスデータS2を再取得してから車両の現在位置を測位する(以下、これをウォームスタートと呼ぶ)までには少なくとも約30秒〜1分間程度の時間を要する。
【0042】
これが、今までのエフェメリスデータS2を用いた車両の現在位置を測位する際の基本的な考え方であるが、これでは、車両の現在位置を測位するのに常にホットスタートできる訳ではなく、使い勝手が悪い。
【0043】
そこで本発明におけるPND1では、ユーザが車両の現在位置を測位しようとしたときに、種々の方式によって常にホットスタートすることが出来るようになされており、以下順番に説明する。
【0044】
(4)エフェメリスデータの取得方法
実際上、PND1の制御部8は、車両から取り外された状態で用いられる場合には無駄なバッテリー消費を抑制するためにも、常にウェイクアップ状態にあるとは限らず、スリープ状態へ遷移していることも多い。その点を考慮した方法を説明する。
【0045】
因みにPND1におけるスリープ状態とは、エフェメリスデータS2を保持している記憶部9やタイマー起動部12だけが動作しており、他の制御部8等については動作していないことを示している。
【0046】
(4−1)定期的にエフェメリスデータを取得する方法
図4に示すように、PND1の制御部8は、GPS受信することによりエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できた時点(0時00分)の後、一旦ウェイクアップ状態からスリープ状態へ遷移する。
【0047】
このときPND1のタイマー起動部12(図2)は、エフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できた時点(0時00分)から有効時間(この場合、4時間)をカウントしており、当該有効時間の10分前の3時間50分が経過した時点でウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するようになされている。
【0048】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ遷移し、改めてGPS受信を試みることにより、新たなエフェメリスデータS2を再取得する。因みに、このときのウェイクアップ状態とは、電源ボタンが押下操作されたときのような通常の起動状態ではなく、表示部6を消去したままの省電力化状態であるが、PND1ではウェイクアップ状態であることを示すLED表示が併せて行なわれる。
【0049】
このときもPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2を再取得した後、タイマー起動部12のカウントを一旦リセットし、当該新たなエフェメリスデータS2を記憶部9に更新したリセット時点(0時00分)の後、ウェイクアップ状態から再度スリープ状態へ遷移する。
【0050】
そして、このときもPND1のタイマー起動部12は、新たなエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できたリセット時点(0時00分)から有効時間(この場合、4時間)をカウントし、当該有効時間の10分前の3時間50分が経過した時点でウェイクアップ信号S12を制御部8へ再度出力するようになされている。
【0051】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ遷移し、改めてGPS受信を試みることにより新たなエフェメリスデータS2を再取得し、以下上述の流れを3時間50分毎に繰り返すようになされている。
【0052】
このようにPND1では、常時ウェイクアップ状態にあるのではなく、エフェメリスデータS2を取得した後に、スリープ状態へ移り、当該エフェメリスデータS2の有効時間が切れる10分前になると自動的にウェイクアップ状態へ戻って、新たなエフェメリスデータS2を再度取得するようにした。
【0053】
これによりPND1は、記憶部9に保持しているエフェメリスデータS2の有効時間である4時間が経過する前の3時間50分が経過した時点で、新たなエフェメリスデータS2を再取得することができるので、ユーザが何時の時点で車両の現在位置を測位しようとしても常にホットスタートし得るようになされている。
【0054】
またPND1は、常にホットスタートし得るようになされているものの、常時ウェイクアップ状態を維持している訳ではなく、エフェメリスデータS2を取得して記憶部9に保持した後はスリープ状態へ遷移するようにしたので、車両から取り外されて電力の供給が受けられないときに内蔵バッテリ(図示せず)の消費電力が増大することを防止し得るようになされている。
【0055】
因みにPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2を再取得することを、有効時間の10分前である3時間50分毎のタイミングで繰り返すようにしたが、これに限るものではなく、1分前や5分前等のその他種々のタイミングで繰り返すようにしても良い。
【0056】
(4−2)所定時間間隔で繰り返しエフェメリスデータを取得する方法
この場合PND1では、エフェメリスデータS2の有効時間である4時間が経過する30分前から10分間隔でタイマー起動部12からウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するように設定されている。
【0057】
図5に示すように、PND1の制御部8は、GPS受信することによりエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できた時点(0時00分)の後、一旦ウェイクアップ状態からスリープ状態へ遷移する。
【0058】
このときPND1のタイマー起動部12(図2)は、エフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できた時点(0時00分)から有効時間(この場合、4時間)をカウントしており、当該有効時間の30分前の3時間30分が経過した時点でウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するようになされている。
【0059】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ遷移した後、改めてGPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2を再取得することを試みた結果、失敗したときには、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0060】
ここで、PND1の制御部8が新たなエフェメリスデータS2を再取得できなかった理由としては、衛星信号S1の信号レベルが低く過ぎてエフェメリスデータS2を復調することが出来ない程度の通信環境であるか、或いは衛星信号S1を一切受信できない通信環境であることが考えられる。
【0061】
その後、PND1のタイマー起動部12は前回ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力した時点から10分後の3時間40分が経過した時点で、ウェイクアップ信号S12を制御部8へ再度出力するようになされている。
【0062】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ再び遷移した後、改めてGPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2を再取得することを試みた結果、失敗したときには、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0063】
その後、PND1のタイマー起動部12は前回ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力した時点から10分後の3時間50分が経過した時点で、再度ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するようになされている。
【0064】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ再び遷移し、改めてGPS受信を試みた結果、新たなエフェメリスデータS2を再取得することができたとき、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0065】
このようにPND1では、エフェメリスデータS2を記憶部9で保持しているところ、当該エフェメリスデータS2の有効時間が切れる30分前から10分間隔で自動的にウェイクアップ状態へ戻って、新たなエフェメリスデータS2を再度取得できるまで繰り返すようにした。
【0066】
これによりPND1は、3時間50分が経過した時点で新たなエフェメリスデータS2を再取得することが失敗したときに、有効時間が切れる30分前から10分間隔で再取得を試みることにより、有効時間の4時間が経過してしまって、ウェームスタートしなければならない状況に陥ることを予め回避し得、常にホットスタートし得るようになされている。
【0067】
またPND1は、ホットスタートし得るようになされているものの、常時ウェイクアップ状態を維持している訳ではなく、エフェメリスデータS2を取得できなかったときでも、次の10分後にGPS受信するまでには再度スリープ状態へ遷移するようにしたため、車両から取り外されて電力の供給が受けられないときに内蔵バッテリ(図示せず)の消費電力が増大することを防止し得るようになされている。
【0068】
因みにPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2をその有効時間が切れる30分前から10分間隔で自動的に再取得するように試みるようにしたが、これに限るものではなく、有効時間が切れる20分前から5分間隔で自動的に再取得するように試みる等のその他種々の時間間隔で繰り返すようにしても良い。
【0069】
(4−3)時間間隔を短縮しながら繰り返しエフェメリスデータを取得する方法
この場合PND1では、エフェメリスデータS2の有効時間である4時間が経過する15分前の3時間45分が経過した時点から、その時間間隔を例えば10分間、2分間、1分間と次第に短縮しながら、タイマー起動部12からウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するように設定されている。
【0070】
図6に示すように、PND1の制御部8は、GPS受信することによりエフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できた時点(0時00分)の後、一旦ウェイクアップ状態からスリープ状態へ遷移する。
【0071】
このときPND1のタイマー起動部12(図2)は、エフェメリスデータS2(S2A、S2B、S2C、……)を取得できた時点(0時00分)から有効時間(この場合、4時間)をカウントしており、当該有効時間の15分前の3時間45分が経過した時点でウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するようになされている。
【0072】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ遷移し、改めてGPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2を再取得することを試みた結果、失敗したときには、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0073】
ここで、PND1の制御部8が新たなエフェメリスデータS2を再取得できなかった理由として、衛星信号S1の信号レベルが低く過ぎてエフェメリスデータS2を復調することが出来ない程度の通信環境であるか、或いは衛星信号S1を一切受信できない通信環境であることが考えられる。
【0074】
その後、PND1のタイマー起動部12は前回ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力した時点から10分後の3時間55分が経過した時点で、ウェイクアップ信号S12を制御部8へ再度出力するようになされている。
【0075】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ再び遷移した後、改めてGPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2を再取得することを試みた結果、失敗したときには、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0076】
その後、PND1のタイマー起動部12は前回ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力した時点から2分後の3時間57分が経過した時点で、再度ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するようになされている。
【0077】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ再び遷移した後、改めてGPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2を再取得することを試みた結果、失敗したときには、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0078】
その後、PND1のタイマー起動部12は前回ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力した時点から1分後の3時間58分が経過した時点で、再度ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力するようになされている。
【0079】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ再び遷移した後、改めてGPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2を再取得することを試みた結果、失敗したときには、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0080】
その後、PND1のタイマー起動部12は前回ウェイクアップ信号S12を制御部8へ出力した時点から1分後の3時間59分が経過した時点で、ウェイクアップ信号S12を制御部8へ再度出力するようになされている。
【0081】
PND1の制御部8は、タイマー起動部12から再度供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて自身及びPND1全体を起動することによりウェイクアップ状態へ再び遷移し、改めてGPS受信を試みた結果、新たなエフェメリスデータS2を再取得することができたとき、その直後から再びスリープ状態へ遷移する。
【0082】
このようにPND1では、エフェメリスデータS2を記憶部9で保持しているところ、当該エフェメリスデータS2の有効時間が切れる15分前の3時間45分経過後から、その時間間隔を10分間、2分間、1分間と次第に短縮しながら、自動的にウェイクアップ状態へ戻って、新たなエフェメリスデータS2を再度取得できるまで繰り返すようにした。
【0083】
これによりPND1は、3時間45分が経過した時点で新たなエフェメリスデータS2を再取得することが失敗したときであっても、有効時間の4時間が経過する前までに、その時間間隔を次第に短縮しながら、新たなエフェメリスデータS2を再取得することができるようにしたので、ウェームスタートしなければならない状況に陥ることを予め回避し得、常にホットスタートし得るようになされている。
【0084】
またPND1は、ホットスタートし得るようになされているものの、常時ウェイクアップ状態を維持している訳ではなく、エフェメリスデータS2を取得できなかったときでも、次にGPS受信するまでには何度でも繰り返しスリープ状態へ遷移するようにしたため、車両から取り外されて電力の供給が受けられないときに内蔵バッテリ(図示せず)の消費電力が増大することを防止し得るようになされている。
【0085】
因みにPND1の制御部8は、その有効時間が切れる15分前から10分間、2分間、1分間と次第に時間間隔を短縮しながら新たなエフェメリスデータS2を自動的に再取得するように試みるようにした。
【0086】
しかしながら、これに限るものではなく、PND1の制御部8は有効時間が切れる10分前から3分、2分、1分、30秒と次第に時間間隔を短縮しながら新たなエフェメリスデータS2を再取得するように、その他種々の時間間隔で短縮しながら新たなエフェメリスデータS2を再取得するようにしても良い。
【0087】
(4−4)エフェメリスデータ取得間歇動作処理手順
続いて、PND1の制御部8がタイマー起動部12から供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて起動した後、GPS受信を開始して新たなエフェメリスデータS2を再取得するまでの動作に対するエフェメリスデータ取得間歇動作処理手順について、図7のフローチャートに従って説明する。
【0088】
なお、PND1の制御部8が図7のフローチャートに従って行なうエフェメリスデータ取得間歇動作処理手順は、上述した(4−1)定期的にエフェメリスデータを取得する方法、(4−2)所定時間間隔で繰り返しエフェメリスデータを取得する方法、及び(4−3)時間間隔を短縮しながら繰り返しエフェメリスデータを取得する方法に対して適用される。
【0089】
PND1の制御部8は、アプリケーションプログラムに従い、ルーチンRT1の開始ステップから入って次のステップSP1へ移る。ステップSP1においてPND1の制御部8は、タイマー起動部12から供給されたウェイクアップ信号S12に基づいて起動した後、複数のGPS衛星(衛星A、衛星B、衛星C、……)からの衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を受信し、次のステップSP2へ移る。
【0090】
ステップSP2においてPND1の制御部8は、衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)の受信を開始したときからの受信時間をカウントし、次のステップSP3へ移る。
【0091】
ステップSP3においてPND1の制御部8は、衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)がエフェメリスデータS2を取得可能な信号レベルに到達しているか否かを、衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)に対する過去の復調結果に基づいて設定された閾値に従い判定する。
【0092】
ここで肯定結果が得られると、このことは衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)の信号レベルが十分であって、当該衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調した結果エフェメリスデータS2を取得することが出来ることを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP8へ移る。
【0093】
ステップSP8においてPND1の制御部8は、所定時間以内に衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調することによりエフェメリスデータS2を直ちに取得し、次のステップSP9へ移って処理を終了する。
【0094】
これに対してステップSP3で否定結果が得られると、このことは衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調してもエフェメリスデータS2を取得することが出来ない程度の信号レベルでしかないことを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP4へ移る。
【0095】
ステップSP4においてPND1の制御部8は、衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調してもエフェメリスデータS2を取得することが出来ない状態のまま、受信時間が30秒間を経過したか否かを判定する。
【0096】
ここで否定結果が得られると、このことは衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)の受信を開始してから、その受信時間がまだ30秒間を経過していないことを表しており、このときPND1の制御部8はステップSP4へ戻り、受信時間が30秒間を経過するまで待ち受ける。
【0097】
これに対してステップSP4で肯定結果が得られると、このことは衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)を復調してもエフェメリスデータS2を取得することが出来ないので、これ以上続けても消費電力を浪費するだけで無意味であることを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP5へ移る。
【0098】
ステップSP5においてPND1の制御部8は、ウェイクアップ状態から強制的にスリープ状態へ遷移させ、次のステップSP6へ移る。ステップSP6においてPND1の制御部8は、タイマー起動部12から次のウェイクアップ信号S12が到来したか否かを判定する。
【0099】
ここで否定結果が得られると、このことはタイマー起動部12から次にGPS受信を行なって新たなエフェメリスデータS2を取得するタイミングが未だ来ていないことを表しており、このときPND1の制御部8はステップSP5へ戻ってスリープ状態を継続する。
【0100】
これに対してステップSP6で肯定結果が得られると、このことはタイマー起動部12から次にGPS受信を行なって新たなエフェメリスデータS2を取得するタイミングが到来したことを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP7へ移る。
【0101】
ステップSP7においてPND1の制御部8は、タイマー起動部12からのウェイクアップ信号S12に基づいてスリープ状態からウェイクアップ状態へ遷移し、再度ステップSP1へ戻って衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)の受信を再度開始し、以降の処理を繰り返す。
【0102】
これによりPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2を再取得する際、衛星信号S1の信号レベルが十分でないときに、無駄に復調処理を繰り返すことにより、内蔵バッテリの消費電力を浪費してしまうことを防止し得るようになされている。
【0103】
(5)ユーザの行動に適応したエフェメリスデータのスケジューリング取得方法
次に、PND1では、上述したような、エフェメリスデータS2の有効時間が切れることがないように、その有効時間が切れる前に予め新たなエフェメリスデータS2を再取得する方法だけではなく、ユーザのPND1を使用する行動時間帯(スケジュール)に合わせたタイミングでエフェメリスデータS2を予め取得する方法について以下、説明する。
【0104】
具体的には、PND1が稼動している稼動時間帯のログを当該PND1自身で取得し、そのログに基づいてユーザの行動時間帯を予め予測するようになされている。
【0105】
例えば図8に示すように、PND1の制御部8は、0時00分から24時00分まで1時間単位の稼動日数が1週間7日のうち過半数の4日を超えている例えば6時00分から23時00分までをユーザの一般的な行動時間帯として予め認識し、その行動時間帯を記憶部9に保持し得るようになされている。
【0106】
その結果、PND1の制御部8は、ユーザが当該PND1を使用して現在位置の測位を開始するであろう6時00分の1時間前にタイマー起動部12からウェイクアップ信号S12を出力すべく設定し、当該ウェイクアップ信号S12に基づいて起動したとき、GPS受信を開始して新たなエフェメリスデータS2を予め取得するようになされている。
【0107】
これによりPND1の制御部8は、ユーザが6時00分の時点で電源を立ち上げて現在位置を測位しようとしたとき、改めてGPS受信を開始してエフェメリスデータS2を取得することなく、既に1時間前に取得しておいたエフェメリスデータS2に基づいてホットスタートすることが出来るようになされている。
【0108】
このようなユーザの行動に適応したエフェメリスデータS2のスケジューリング取得処理手順について、次の図9のフローチャートを用いて詳述する。
【0109】
実際上、PND1の制御部8はアプリケーションプログラムに従い、ルーチンRT2の開始ステップから入ってステップSP11へ移り、PND1に対する電源オフ操作が行なわれたことを制御部8が認識したとき、次のステップSP12へ移る。
【0110】
電源オフ操作が行なわれる具体例としては、例えばユーザが夜帰宅してPND1を使用しなくなったので、車両から取り外される際に電源オフ操作が行なわれたとき等が一般的に考えられる。
【0111】
ステップSP12においてPND1の制御部8は、電源オフ操作が行なわれた時点が記憶部9に保持しておいたユーザの行動時間帯(6時00分から23時00分)の範囲内であるか否かを判定する。
【0112】
ここで肯定結果が得られると、このことは電源オフ操作が行なわれた時点がユーザの行動時間帯(6時00分から23時00分)の範囲内であり、現在位置の測位が何時ユーザによって求められるか分からない状態であることを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP13へ移る。
【0113】
ステップSP13においてPND1の制御部8は、エフェメリスデータS2の有効時間である4時間が経過する前に、定期的に新たなエフェメリスデータS2を取得するべく、エフェメリスデータS2の有効時間の10分前にウェイクアップ信号S12を出力するようにタイマー起動部12を設定し、次のステップSP15へ移る。
【0114】
これに対してステップSP12で否定結果が得られると、このことは電源オフ操作が行なわれた時点がユーザの行動時間帯の範囲内ではないことを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP14へ移る。
【0115】
ステップSP14においてPND1の制御部8は、電源オフ操作が行なわれた時点がユーザの行動時間帯の範囲内ではないため、ユーザの行動開始が予測される例えば6時00分の1時間前に、ウェイクアップ信号S12を出力するようにタイマー起動部12を設定することにより新たなエフェメリスデータS2を予め取得しておく準備を行ない、次のステップSP15へ移る。
【0116】
ステップSP15においてPND1の制御部8は、ユーザの行動時間帯の範囲内であってもなくても、GPS受信することによりエフェメリスデータS2を取得する必要のないときにはスリープ状態へ遷移し、次のステップSP16へ移る。
【0117】
ステップSP16においてPND1の制御部8は、ステップSP13で設定したエフェメリスデータS2の有効時間の10分前か、或いはユーザの行動開始が予測される1時間前に、タイマー起動部12から供給されるウェイクアップ信号S12に応じてスリープ状態からウェイクアップ状態へ移り、次のステップSP17へ移る。
【0118】
ステップSP17においてPND1の制御部8は、ウェイクアップ状態へ移った後、GPS受信することにより新たなエフェメリスデータS2の取得を開始し、次のステップSP18へ移る。
【0119】
ステップSP18においてPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2の取得が完了したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは新たなエフェメリスデータS2の取得が完了したことを表しており、このときPND1の制御部8はステップSP12へ戻って上述の処理を繰り返す。
【0120】
これに対してステップSP18で否定結果が得られると、新たなエフェメリスデータS2の取得を開始してから所定時間以上経過したにも拘わらず、通信環境の悪化等によって新たなエフェメリスデータS2を未だ取得完了できていないことを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP19へ移る。
【0121】
ステップSP19においてPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2の取得を開始したまま完了することのない状態で、未だ内蔵バッテリの残量が半分以上残っているか否かを判定する。
【0122】
ここで肯定結果が得られると、このことは内蔵バッテリの残量が半分以上も残っているので、このまま新たなエフェメリスデータS2の取得を継続したままであっても、バッテリ切れが生じる心配がないことを表しており、このときPND1の制御部8はステップSP17以降の処理を再度繰り返す。
【0123】
これに対してステップSP19で否定結果が得られると、このことは内蔵バッテリの残量が半分以上残っておらず、このまま新たなエフェメリスデータS2の取得処理を継続すると、バッテリ切れが生じる心配があることを表しており、このときPND1の制御部8は次のステップSP20へ移る。
【0124】
ステップSP20においてPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2の取得処理を中止し、ウェイクアップ状態からスリープ状態へ強制的に遷移することにより、バッテリ切れが生じる事態を予め回避し、次のステップSP21へ移って処理を終了する。
【0125】
このようにPND1の制御部8は、ルーチンRT2におけるエフェメリスデータS2のスケジューリング取得処理手順を実行したことにより、ユーザの行動時間帯であれば、定期的に新たなエフェメリスデータS2を取得し、またユーザの行動時間帯でなければ、ユーザの行動開始が予測される1時間前に予め新たなエフェメリスデータS2を新たに取得することができる。
【0126】
その結果、PND1では、ユーザの行動時間帯の範囲内であるか否かに拘わらず、24時間体制で新たなエフェメリスデータS2を取得する流れをスケジューリングし、常にホットスタートを実現し得るようになされている。
【0127】
(6)動作及び効果
以上の構成において、PND1の制御部8は、記憶部9に保持しているエフェメリスデータS2の有効時間が経過する前に、タイマー起動部12からのウェイクアップ信号S12に基づいて起動し、新たなエフェメリスデータS2を予め再取得することにより、常時ホットスタート可能な状態を維持することができる。
【0128】
またPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2を再取得するために、常時ウェイクアップ状態にある訳ではなく、必要なタイミングになるとウェイクアップ信号S12に基づいてスリープ状態からウェイクアップ状態へ遷移するようにしたことにより、消費電力の浪費を最小限に抑制することができる。
【0129】
さらにPND1の制御部8は、新たなエフェメリスデータS2を取得可能な信号レベルに衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)が到達していないときや、新たなエフェメリスデータS2の取得が完了する前に内蔵バッテリの残量が半分未満になったときには、ウェイクアップ状態から強制的にスリープ状態へ遷移するようにした。
【0130】
これによりPND1の制御部8は、クレードル部15を介して車両から電力供給を受けていないとき、すなわち持ち運び状態で用いられているときに、無駄な電力消費を抑えながらバッテリ切れを未然に防止し、長時間使用に耐えることができる。
【0131】
以上の構成によれば、PND1の制御部8は、煩雑な操作をユーザに強いることなく、有効時間の範囲内にある新たなエフェメリスデータS2を記憶部9に常時保持した状態で、車両の現在位置を短時間でかつ正確に測位することができる。
【0132】
(7)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、ユーザの行動に適応したエフェメリスデータのスケジューリング取得処理手順(ルーチンRT2)のステップSP17で、GPS受信による新たなエフェメリスデータS2の取得を開始するようにした場合について述べた。
【0133】
しかしながら、本発明はこれに限らず、PND1の制御部8は、ステップSP17で、GPS受信による新たなエフェメリスデータS2の取得を開始するのではなく、無線通信機能(図示せず)を介して所定のサーバを経由し、新たなエフェメリスデータS2の取得を開始するようにしても良い。
【0134】
また上述の実施の形態においては、ユーザの行動に適応したエフェメリスデータS2のスケジューリング取得処理手順(ルーチンRT2)のステップSP19で、内蔵バッテリの残量が半分未満のときに次のステップSP20へ移って強制的にスリープ状態へ遷移するようにした場合について述べた。
【0135】
しかしながら、本発明はこれに限らず、PND1の制御部8は、その後の内蔵バッテリの残量を監視し、内蔵バッテリの残量が未だ半分以上残っているように回復した場合には、ステップSP12以降の処理を繰り返すようにしても良い。
【0136】
さらに上述の実施の形態においては、PND1が稼動している時間帯のログを当該PND1自身で取得し、図8に示したログの集計結果に基づいてユーザの行動時間帯を予め予測し、その行動時間帯に応じてエフェメリスデータS2を予め取得しておくようにした場合について述べた。
【0137】
しかしながら、本発明はこれに限らず、PND1の制御部部8では、休日と平日に分けてログの集計結果を算出し、休日の行動時間帯と平日の行動時間帯とをそれぞれ独立して予測し、休日の行動時間帯と平日の行動時間帯とにそれぞれ応じてエフェメリスデータS2を予め取得しておくようにしても良く、またユーザ自身によって予め入力された行動時間帯に応じてエフェメリスデータS2を予め取得しておくようにしても良い。
【0138】
さらに上述の実施の形態においては、ルーチンRT2におけるエフェメリスデータのスケジューリング取得処理手順を実行することにより、ユーザの行動時間帯であれば、定期的に新たなエフェメリスデータS2を取得し(図4)、またユーザの行動時間帯でなければ、ユーザの行動開始が予測される1時間前に予め新たなエフェメリスデータS2を新たに取得するようにした場合について述べた。
【0139】
しかしながら、本発明はこれに限らず、PND1の制御部8はユーザの行動時間帯のとき、定期的に新たなエフェメリスデータS2を取得するのではなく、所定時間間隔で繰り返しエフェメリスデータS2を取得したり(図5)、時間間隔を短縮しながら繰り返しエフェメリスデータS2を取得する(図6)ようにしても良い。
【0140】
さらに上述の実施の形態においては、ルーチンRT1の間歇動作処理手順におけるステップSP3で、衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)が新たなエフェメリスデータS2を取得可能な信号レベルに到達しているときに、次のステップSP8へ移って新たなエフェメリスデータS2を所定時間内で直ちに取得するようにした場合について述べた。
【0141】
しかしながら、本発明はこれに限らず、PND1の制御部8は、衛星信号S1(S1A、S1B、S1C、……)が所定時間以内に新たなエフェメリスデータS2を取得可能な信号レベルに到達しているときは、新たなエフェメリスデータS2を取得するまでの取得処理時間を延長するようにしても良い。
【0142】
さらに上述の実施の形態においては、PND1の制御部8が予めインストールされたアプリケーションプログラムに従い、上述したルーチンRT1の間歇動作処理手順及びルーチンRT2のスケジューリング処理手順を実行するようにした場合について述べた。
【0143】
しかしながら、本発明はこれに限らず、PND1の制御部8においては、所定の記録媒体からインストールしたアプリケーションプログラムや、インターネットからダウンロードしたアプリケーションプログラム、その他種々のルートによってインストールしたアプリケーションプログラムに従って上述したルーチンRT1の間歇動作処理手順及びルーチンRT2のスケジューリング処理手順を実行するようにしても良い。
【0144】
さらに上述の実施の形態においては、取得部としての復調部3、記憶部としての記憶部9、計時部としてのタイマー起動部12、及び制御部としての制御部8によって本発明におけるナビゲーション装置としてのPND1を構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる取得部、記憶部、計時部及び制御部によって本発明におけるナビゲーション装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明のナビゲーション装置及びエフェメリスデータ取得方法は、例えばPND以外にも、GPS等の測位手段を有するノートブック型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機及びポータブル型ゲーム機等のその他種々の電子機器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明におけるPNDの概観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】本発明におけるPNDの回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図3】エフェメリスデータを用いた測位の基本的考え方の説明に供する略線図である。
【図4】定期的にエフェメリスデータを取得する方法の説明に供する略線図である。
【図5】所定時間間隔で繰り返しエフェメリスデータを取得する方法の説明に供する略線図である。
【図6】時間間隔を短縮しながら繰り返しエフェメリスデータを取得する方法の説明に供する略線図である。
【図7】間歇動作処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図8】ユーザの行動時間帯の説明に供する略線図である。
【図9】エフェメリスデータのスケジューリング取得処理手順の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0147】
1……PND、2……GPSアンテナ、3……復調部、4……測位演算部、5……経路案内地図生成部、6……表示部、8……制御部、9……記憶部、10……操作ボタン部、11……クロック出力部、12……タイマー起動部、15……クレードル部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から衛星信号を受信して復調することによりエフェメリスデータを取得する取得部と、
上記エフェメリスデータを記憶しておく記憶部と、
上記エフェメリスデータの有効時間を当該エフェメリスデータの取得タイミングから計時する計時部と、
上記計時部によって上記エフェメリスデータの有効時間が経過する前に、上記取得部により新たなエフェメリスデータを再取得させる制御部と
を具えるナビゲーション装置。
【請求項2】
上記制御部は、上記取得部により上記エフェメリスデータを取得してから一端スリープ状態に遷移した後、上記再取得させるための再取得タイミングになると自動的に起動して、上記新たなエフェメリスデータを再取得させる
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記制御部は、上記新たなエフェメリスデータの再取得に失敗した場合、上記エフェメリスデータの有効時間が経過する前までに、所定時間間隔で再度、上記新たなエフェメリスデータの再取得を試みる
請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記所定時間間隔で上記新たなエフェメリスデータを再取得できるまで繰り返し、そのときの時間間隔を次第に短くしていく
請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
上記制御部は、上記取得部により上記エフェメリスデータを取得してからスリープ状態へ遷移した後であっても、上記再取得タイミングになると自動的に起動して、上記新たなエフェメリスデータを再取得させるように試みるが、上記新たなエフェメリスデータを取得可能な信号レベルの上記衛星信号が所定時間以内に得られないときは上記スリープ状態へ再度遷移させる
請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記所定時間間隔で上記新たなエフェメリスデータを再取得できるまで繰り返している最中、バッテリ残量が所定レベル以下になったときは上記再取得を停止する
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
上記制御部は、稼動時間帯のログを取得することによりユーザの行動時間帯を予測し、その行動時間帯が始まる所定時間前の時点で、上記取得部により新たなエフェメリスデータを予め再取得させる
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
取得部によって、衛星から衛星信号を受信して復調することによりエフェメリスデータを取得する取得ステップと、
記憶部に対し上記エフェメリスデータを記憶させておく記憶ステップと、
計時部により上記エフェメリスデータの有効時間を当該エフェメリスデータの取得タイミングから計時する計時ステップと、
上記エフェメリスデータの有効時間が経過する前に、制御部により上記取得部を介して新たなエフェメリスデータを再取得させるエフェメリスデータ再取得ステップと
を有するエフェメリスデータ取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−270929(P2009−270929A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121481(P2008−121481)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】