説明

ナビゲーション装置

【課題】迂回経路を利用するか否かをユーザの判断に委ねることができるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】ノード接続点データ22などが参照され、推奨経路を構成する第1の区間に含まれるノード接続点の数が計数される。第1の区間に含まれる交差点の数がしきい値K以上であるとの判定がなされると、案内画像データ24が読み出され、迂回経路の存在を示す矢印の画像がディスプレイ10に表示される。また、案内音声データ25が読み出され、「迂回も可能です。」との音声がスピーカ9から出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路を案内するナビゲーション装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション機能付き車載AV機器やナビゲーション機能付き携帯電話端末などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、誘導中の経路R(R=L1+R1+R2)のうち被迂回経路R1を迂回経路R1´に置き換えてコストが最小となる経路(L1+R1´+R2)を案内するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2001−174278号公報(第5−6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のナビゲーション装置においては、迂回経路R1´が唯一の迂回経路であれば、迂回経路R1´がユーザの希望に添わない経路であっても、被迂回経路R1を迂回経路R1´に置き換えた経路は案内されてしまう。つまり、ユーザの希望に添わない経路が案内されてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、迂回経路を利用するか否かをユーザの判断に委ねることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るナビゲーション装置は、第1の区間とこの第1の区間を迂回する第2の区間との分岐点を示す分岐点データおよび現在位置を示す現在位置データを用いて現在位置が分岐点に接近しているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで現在位置が分岐点に接近しているとの判定がなされた後に第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラムを実行する構成を有している。
【0006】
この構成によれば、第1の区間へ進入すべき旨が案内されるとともに第2の区間が存在する旨が案内されることとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、第1の区間とこの第1の区間を迂回する第2の区間との分岐点を示す分岐点データおよび現在位置を示す現在位置データを用いて現在位置が分岐点から予め定められたの距離内に存在する否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップで現在位置が分岐点から予め定められたの距離内に存在するとの判定がなされると第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出ステップとをコンピュータに実行させることによって、迂回経路を利用するか否かをユーザの判断に委ねることができるという効果を有するナビゲーション装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るナビゲーション装置を実施するための最良の形態について、図1ないし図8を参照しながら説明する。まず、図1および図2を参照しながら本実施の形態に係るナビゲーション装置1の構成を説明する。
【0009】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、各種センサなどが接続されるインターフェース(以下I/F)2と、ディスク3からデータを読み取る読取機4と、読取機4によって読み取られたデータなどを記憶するハードディスクドライブ(以下、HDDという)5と、I/F2などからのデータを処理するための各種プログラムを格納するロム(以下、ROMという)6と、ROM6に格納された各種プログラムを実行してデータを処理するシーピーユー(以下、CPUという)7と、CPU7の処理結果などを保持するRAM8とを備える。
【0010】
I/F2には、音声を出力するスピーカ9、画像を表示するディスプレイ10、GPS電波を受信するGPSレシーバ11、車速を検知する車速センサ12や方位を検知する方位センサ13などが接続されている。そして、GPSレシーバ11によって受信されたGPSデータなどは、I/F2に入力された後、RAM8に保持される。
【0011】
HDD5には、各種判定用のしきい値を示すしきい値データや読取機4によって地図ディスクから読み取られた地図データなどが記憶されている。図2に示すように、地図データ20には、経路探索に用いられる探索データ21が含まれている。探索データ21は、ノードとノードとの接続関係を示すノード接続データ22(分岐点データおよび交差点データに相当)、各リンクのコストを示すリンクコストデータ23、案内画像をディスプレイ10に表示するための案内画像データ24および案内音声をスピーカ9から出力するための案内音声データ25を有する。
【0012】
ROM6には、地図表示処理や経路探索処理などを実行するためのナビゲーションプログラムの他に、第1の区間とこの第1の区間を迂回する第2の区間との分岐点を示す分岐点データおよび現在位置を示す現在位置データを用いて現在位置が分岐点から予め定められたの距離内に存在する否かを判定する判定ステップと、判定ステップで現在位置が分岐点から予め定められたの距離内に存在するとの判定がなされると第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラムが格納されている。また、ROM6には、交差点の存在を示す交差点データを用いて第1の区間に存在する交差点数が予め定められた個数以上であるか否かを判定する判定ステップと、判定ステップで第1の区間に存在する交差点数が予め定められた個数以上であるとの判定がなされると第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラムが格納されている。
【0013】
以上のように構成されたナビゲーション装置1について、図3ないし図8を参照しながらその動作を説明する。図3に示すように、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、出発地から目的地までの推奨経路を探索する(ステップS1)。ここで、推奨経路を示す推奨経路データはRAM8に保持される。
【0014】
具体的な処理としては、リンクコストデータ23などが参照され、出発地から目的地までのリンクコストの合計が最小となる経路が推奨経路として探索される。例えば、図4に示すように、第1の区間が幹線道路であれば、推奨経路は第1の区間を利用した経路となる。以下、第1の区間を利用した経路を推奨経路として説明をする。
【0015】
推奨経路が探索されると、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、推奨経路の一部区間を迂回する迂回経路を探索する(ステップS2)。ここで、迂回経路を示す迂回経路データは、RAM8に保持される。
【0016】
具体的な処理としては、リンクコストデータ23などが参照され、出発地から目的地までのリンクコストの合計が2番目に小さい経路が迂回経路として探索される。以下、推奨経路の一区間を第1の区間とし、この第1の区間を迂回し第2の区間を利用した経路を迂回経路として説明をする。
【0017】
ステップS2において迂回経路が探索された後、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、現在位置が分岐点に接近したか否かを判定する(ステップS3)。
【0018】
具体的な処理としては、RAM8に保持された推奨経路データ、迂回経路データやGPSデータなどが参照され、GPSデータが示す現在位置と推奨経路データまたは迂回経路データが示す分岐点の位置との差(以下、距離差という)がHDD5に記憶されたしきい値データが示すしきい値以下であるか否かの判定がなされる。このとき、距離差がしきい値(例えば、50メートル)以下であれば、現在位置は分岐点に接近しているとの判定がなされる。他方、距離差がHDD5に記憶されたしきい値(例えば、50メートル)より大きければ、現在位置は分岐点に接近していないとの判定がなされる。ここで、分岐点とは、推奨経路と迂回経路との分かれ目、第1の区間と第2の区間の分かれ目をいい、本実施の形態では交差点Aである。
【0019】
ステップS3において、現在位置が分岐点に接近したとの判定がなされると(S3のYes)、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、第1の区間へ進入すべき旨を案内する(ステップS4)。
【0020】
具体的な処理としては、RAM8に保持された推奨経路データが参照され、推奨経路データ示す推奨経路上の点Aに対応する案内画像データ24および案内音声データ25がHDD5から読み出される。図5に示すように、案内画像データ24が読み出されると、推奨経路への進入方向を示す矢印の画像がディスプレイ10に表示される。他方、案内音声データ25が読み出されると、「この先、直進です。」との音声がスピーカ9から出力される。
【0021】
第1の区間へ進入すべき旨が案内されると、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、推奨経路に含まれる交差点の数がしきい値K以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0022】
具体的な処理としては、ノード接続点データ22などが参照され、第1の区間に含まれるノード接続点の数が計数される。例えば、しきい値Kが5である場合、図6に示すように、第1の区間に、交差点A、B、C、D、E、Fの計6つの交差点が含まれていれば、推奨経路に含まれる交差点の数はしきい値K以上であるとの判定がなされる。他方、図7に示すように、第1の区間に、交差点A、C、E、Fの計4つの交差点が含まれていれば、推奨経路に含まれる交差点の数はしきい値K以上ではないとの判定がなされる。
【0023】
他方、ステップS5において、推奨経路に含まれる交差点の数はしきい値K以上であるとの判定がなされると(S5のYes)、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、第2の区間が存在する旨を案内する(ステップS6)。
【0024】
具体的な処理としては、RAM8に保持された迂回経路データが参照され、迂回経路データ示す迂回経路上の点Aに対応する案内画像データ24および案内音声データ25がHDD5から読み出される。
【0025】
図8に示すように、案内画像データ24が読み出されると、迂回経路の存在を示す矢印の画像がディスプレイ10に表示される。このとき、推奨経路への進入を示す矢印および迂回経路の存在を示す矢印がそれぞれ実線および点線で表示されるなど、推奨経路への進入および迂回経路の存在がそれぞれ異なる表示態様で表示されてもよい。他方、案内音声データ25が読み出されると、「迂回も可能です。」との音声がスピーカ9から出力される。
【0026】
ステップS6において、第2の区間が存在する旨が案内されると、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、RAM8に保持されたGPSデータなどを参照し、現在位置が目的地に到達したか否かを判定する(ステップS7)。
【0027】
ステップS5において推奨経路に含まれる交差点の数はしきい値K以上ではないとの判定がなされ(S2のNo)またはステップS7において現在位置が目的地に到達していないとの判定がなされると(S7のYes)、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、RAM8に保持された推奨経路データなどを参照しながら推奨経路を案内する(ステップS8)。すなわち、本実施の形態では、推奨経路が案内されるとともに、ユーザの経路選択の補助となるように迂回経路の存在が案内されることになる。
【0028】
他方、ステップS7において現在位置が目的地に到達しているとの判定がなされると(S7のNo)、CPU7は、ROM6に格納されたプログラムを実行して、データ処理を完了する。
【0029】
以上本実施の形態によれば、推奨経路を構成する第1の区間へ進入すべき旨が案内されるとともに、迂回経路を構成する第2の区間が存在する旨が案内されるので、ユーザに対して迂回経路の存在を認識させることで、迂回経路を利用するか否かをユーザの判断に委ねることができる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、第1の区間へ進入すべき旨を示す矢印と第2の区間が存在する旨を示す矢印とがそれぞれ異なる表示態様で表示されるので、ユーザに対して迂回経路の存在をより明確に認識させることができる。
【0031】
また、本実施の形態によれば、複数の交差点が第1の区間に含まれる場合に第2の経路の存在が案内されるので、ユーザに対して信号待ちの少ない経路を選択させることができる。
【0032】
なお、本実施の形態とは別に、ステップS3におけるYesの判定およびステップS5におけるYesの判定の何れか一方が成立した場合に、迂回経路が存在する旨が案内されるようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明に係るナビゲーション装置は、迂回経路を利用するか否かをユーザの判断に委ねることができるという効果を有し、ナビゲーション機能付き車載AV機器やナビゲーション機能付き携帯電話端末などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の最良の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】本実施の形態における地図データのデータ構造を示す図
【図3】本実施の形態に係るナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図4】本実施の形態における推奨経路と迂回経路との関係を示す図
【図5】本実施の形態における推奨経路への進入を案内するときの案内態様を説明するための図
【図6】本実施の形態における第1の区間と第2の区間との関係を示す図
【図7】本実施の形態における第1の区間と第2の区間との関係を示す図
【図8】本実施の形態における迂回経路の存在を案内するときの案内態様を説明するための図
【符号の説明】
【0035】
1 ナビゲーション装置
6 ROM(送出手段)
7 CPU(送出手段)
9 スピーカ(案内手段)
10 ディスプレイ(案内手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の区間とこの第1の区間を迂回する第2の区間との分岐点を示す分岐点データおよび現在位置を示す現在位置データを用いて現在位置が分岐点から予め定められたの距離内に存在する否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで現在位置が分岐点から予め定められたの距離内に存在するとの判定がなされると第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項2】
前記送出ステップは、第2のデータを画像データとして送出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションプログラム。
【請求項3】
前記送出ステップは、第2のデータを音声データとして送出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションプログラム。
【請求項4】
交差点の存在を示す交差点データを用いて第1の区間に存在する交差点数が予め定められた個数以上であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで第1の区間に存在する交差点数が予め定められた個数以上であるとの判定がなされると第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項5】
前記送出ステップは、第2のデータを画像データとして送出することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションプログラム。
【請求項6】
前記送出ステップは、第2のデータを音声データとして送出することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションプログラム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載のナビゲーションプログラムを実行して第1の区間へ進入すべき旨を案内するための第1のデータおよび第2の区間が存在する旨を案内するための第2のデータを送出する送出手段と、
前記送出手段によって送出された第1のデータおよび第2のデータを用いて第1の区間へ進入すべき旨を第2の区間が存在する旨とともに案内する案内手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−38807(P2006−38807A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223179(P2004−223179)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】