説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション機能の便利さを体感できるように操作の簡単なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在位置を検出する位置検出部12と、地図データを記憶する地図データ記憶部16と、最初に自宅設定が行われる際に、位置検出部で検索された自宅位置から所定範囲内に存在する施設を地図データ記憶部から読み出した地図データに基づき検索する制御部17と、制御部で検索された施設をジャンル毎に表示する表示部18と、表示部に表示された施設を選択する操作入力部13と、操作入力部によって選択された施設を登録地として記憶する登録地記憶部14を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出発地から目的地までの最適経路を案内するナビゲーション装置に関し、特に登録地を自動的に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばナビゲーション装置などに適用される自動地点記憶装置が知られている。例えば特許文献1は、使用者が自ら操作することなく、地点登録を行うことができる自動地点記憶装置を開示している。この自動地点記憶装置は、自動車のイグニッションスイッチがオン操作されたとき、所定の条件に基づき、その時点でGPS(Global Positioning System)により取得した位置データを記憶させる。また、その位置データに対応して記憶された、その位置データが示す地点におけるメモリ回数を1つ加算し、同時に位置データに対応して現在の曜日および日時のデータも記憶させる。それ以後、必要に応じて、記憶した位置データ、および、それに対応するメモリ回数、曜日および日時のデータを呼び出し、呼び出した位置データから移動途中の駐車地点を知る。また、メモリ回数、曜日および日時のデータの付加情報を用いて、位置データの検索、グループ分けまたはソートなどを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−321407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術では、イグニッションスイッチのオン操作でメモリ地点が増加していくため、メモリ地点の数が膨大になる。また、曜日および日時データを基に並びソート機能を有するが、毎回同じ地点に行くとは限らないため、メモリ地点が多ければ多いほど操作が複雑化する。また、一度も行っていない場所はメモリ地点として登録できない。
【0005】
ところで、上述した従来のナビゲーション装置は操作に応じた状態遷移が多いので、機器の操作に不慣れな人はナビゲーション装置の使用にためらいを持ち、極端な場合は、ナビゲーション装置を使用しない人もいる。また、ナビゲーション装置は、知らない場所または旅行などで使用する場合は便利であるが、実際には、自宅周辺の買い物、送迎、通勤または通学などに使用するケースが多い。
【0006】
ナビゲーション装置を使用する場合は、最初に目的地が設定され、その後、探索機能および誘導機能によりユーザは安全かつ確実に目的地に導かれるが、目的地の設定方法が初心者にはわかりにくく、ナビゲーション装置を使いづらくしている。目的地の設定方法としては、地図から設定したり、電話番号から設定したり、または、住所から設定したりといった複数の方法が存在するが、よく行く場所については、操作回数も少なく、目的地の位置精度もよいので、登録地から目的地を設定する方法が多くのユーザに使用されている。
【0007】
ところが、複数の登録地を設定するには多くの操作が必要となるので、初心者は敬遠しがちであり、例えば登録地の自動設定のような簡単な設定方法が望ましい。このような簡単な操作方法を採用することにより、ナビゲーション装置に不慣れな人にナビゲーション装置の便利さを体感させ、ナビゲーション操作のアレルギーを払拭させることが望まれている。
【0008】
この発明は、上述した要請に応えるためになされたものであり、その課題は、ナビゲーション機能の便利さを体感できるように操作の簡単なナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、現在位置を検出する位置検出部と、地図データを記憶する地図データ記憶部と、最初に自宅設定が行われる際に、位置検出部で検索された自宅位置から所定範囲内に存在する施設を地図データ記憶部から読み出した地図データに基づき検索する制御部と、制御部で検索された施設をジャンル毎に表示する表示部と、表示部に表示された施設を選択する操作入力部と、操作入力部によって選択された施設を登録地として記憶する登録地記憶部を備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、最初に自宅設定が行われる際に、自宅位置から所定範囲内に存在する施設を検索してジャンル毎に表示し、この表示された中から選択された施設を登録地として登録するように構成したので、自宅周辺の施設に行く際に簡単に登録地から目的地を設定できるようになる。その結果、自宅周辺の施設に行く際、機器の操作に不慣れな人であっても簡単に目的地を設定することができるので、ナビゲーション装置の便利さを体感できるようになり、ナビゲーション操作のアレルギーを払拭できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われる登録地設定処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われる登録地設定処理で表示される画面の例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われるルート案内開始処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われるルート案内開始処理で表示される目的地設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、GPSシステム11、位置検出部12、操作入力部13、ROM(Read Only Memory)14、RAM(Random Access Memory)15、地図データ記憶部16、制御部17および表示部18を備えている。
【0013】
GPSシステム11は、GPS衛星から送信される現在位置を特定するためのデータを受信し、位置検出部12および制御部17に送る。位置検出部12は、GPSシステム11から送られてくるデータに基づき現在位置を検出し、現在位置データとして制御部17に送る。
【0014】
操作入力部13は、例えばタッチパネルまたは操作スイッチなどから構成されており、種々のデータを当該ナビゲーション装置に入力するために使用される。この操作入力部13から入力されたデータは、操作データとして制御部17に送られる。
【0015】
ROM14は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)から構成されており、この発明の「登録地記憶部」に対応する。このROM14は、演算に必要なプログラムデータおよび登録地などを記憶し、制御部17によってアクセスされる。RAM15は、演算の途中のデータを一時的に保存する。このRAM15は、制御部17によってアクセスされる。
【0016】
地図データ記憶部16は、地図データを記憶する。この地図データ記憶部16に記憶されている地図データは、制御部17によって読み出される。制御部17は、GPSシステム11、位置検出部12、操作入力部13、ROM14、RAM15および地図データ記憶部16を用いて所定の処理を実行することにより、このナビゲーション装置の全体を制御する。この制御部17で実行される処理の詳細は後述する。表示部18は、制御部17から送られてくる表示データに従って、地図または目的地設定をするためのデータなどを表示する。
【0017】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を説明する。まず、自宅登録から登録地設定完了までの処理、つまり自宅周辺の登録地設定処理を、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0018】
ナビゲーション装置が車両に取り付けられると、自宅周辺の登録地設定処理が開始される。この自宅周辺の登録地設定処理では、まず、自宅設定が行われる(ステップST11)。すなわち、制御部17は、操作入力部13から送られてくる操作データを、自宅を示すデータとしてROM14に保存する。この自宅設定が完了すると、図3(a)に示すような自宅登録の完了を表す画面が表示される。ユーザは、自宅周辺については地理感があるので、自宅設定については、初心者であっても操作可能である。なお、ユーザにとって自宅設定が難しければ購入時に店舗で設定してもらうこともできる。
【0019】
次いで、初めての自宅登録であるかどうかが調べられる(ステップST12)。すなわち、制御部17は、自宅設定が初めて行われるのか、引越しなどによって再登録が行われるのか否かを調べる。このステップST12において、初めての自宅登録であることが判断されると、シーケンスはステップST13に進む。
【0020】
一方、ステップST12において、初めての自宅登録でないことが判断されると、以前の自宅周辺の登録地を削除するかどうかが調べられる(ステップST18)。このステップST18における選択により、ユーザは、自宅の登録が再登録の場合、以前の自宅周辺の登録地を削除するか否かを指定できる。このステップST18において、以前の自宅周辺の登録地を削除することが判断されると、以前の自宅周辺の登録地が削除される(ステップST19)。その後、シーケンスはステップST13に進む。一方、ステップST18において、以前の自宅周辺の登録地を削除しないことが判断されると、以前の自宅周辺の登録地としてリストに保持される(ステップST20)。その後、シーケンスはステップST13に進む。
【0021】
ステップST13においては、自宅周辺施設検索が行われる。より詳しくは、自宅が設定されると、制御部17は、地図データ記憶部16に記憶されている地図データを参照し、位置検出部12から送られてくる現在位置データによって示される地点、つまり自宅から所定範囲、例えば数キロ圏内にある施設を検索する。そして、検索された施設を、ジャンル(例えば、買い物、病院、車、食事、駅または学校など)毎に分類する。
【0022】
次いで、検索結果がジャンル別に表示される(ステップST14)。すなわち、制御部17は、ステップST13で検索された施設のジャンルを表す表示データを表示部18に送る。これにより、図3(b)に示すように、施設のジャンルが表示部18に表示される。
【0023】
その後、1つのジャンルが選択されると、制御部17は、ステップST13で検索された施設の分類を表す表示データを表示部18に送る。これにより、図3(c)に示すように、施設の分類が表示部18に表示される。なお、図3(c)は、図3(b)において「病院」が選択された場合を示している。引き続いて、1つの分類が選択されると、制御部17は、ステップST13で検索された施設を表す表示データを表示部18に送る。これにより、図3(d)に示すように、施設が表示部18に表示される。
【0024】
次いで、ユーザによってジャンル毎に好みの施設が選択される(ステップST15)。すなわち、ユーザは、操作入力部13を操作することにより、表示部18に表示された施設の中から、好みの施設を選択する。これにより、選択された施設を表すデータが、操作データとして制御部17に送られる。
【0025】
次いで、選択された施設が登録地に設定される(ステップST16)。すなわち、制御部17は、ステップST15において選択された施設を登録地としてROM14に保存する。なお、ROM14に登録された登録地はリスト表示することができ、ユーザは、好みに応じて登録地を削除することができる。これにより、頻繁に行く登録地をより早く見つけることが可能になる。さらに、登録地として設定した場所を、一定期間目的地に設定しない場合は、自動的に登録地から削除するように構成できる。
【0026】
次いで、登録地設定が終了したかどうかが調べられる(ステップST17)。このステップST17の処理では、例えば画面に表示された「終了」釦が押下されたかどうかが調べられる。このステップST17において、登録地設定が終了していないことが判断されると、シーケンスはステップST15に戻り、ステップST13で検索された施設のうちの未表示の施設が表示された後に、上述した処理が繰り返される。そして、ステップST17において、登録地設定が終了したことが判断されると、自宅周辺の登録地設定処理は終了する。
【0027】
次に、自宅登録が完了した後に行われるルート案内開始処理を、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
ナビゲーション装置の電源がONされると、ルート案内開始処理が実行される。このルート案内開始処理では、まず、現在地が自宅周辺であるかどうかが調べられる(ステップST21)。すなわち、制御部17は、位置検出部12から送られてくる現在位置データによって示される位置が、自宅から数キロ圏内か否かを調べる。
【0029】
このステップST21において、現在地が自宅周辺であることが判断されると、登録地から目的地を設定する画面が表示される(ステップST22)。すなわち、制御部17は、登録地から目的地を設定する画面を表す表示データを生成し、表示部18に送る。これにより、図5に示すような、目的地設定画面が表示部18に表示される。
【0030】
次いで、所定時間内に目的地選択操作がなされたかどうかが調べられる(ステップST23)。すなわち、制御部17は、操作入力部13から送られてきた操作データは目的地選択操作がなされたことを示しており、かつ、目的地設定画面の表示から所定時間(数秒間)内であるかどうかを調べる。このステップST23において、所定時間内に目的地選択操作がなされたことが判断されると、登録地から目的地が設定される(ステップST24)。すなわち、ステップST23の目的地選択操作によって複数の登録地の中から選択された1つの登録地が目的地に設定される。
【0031】
次いで、ルート案内が開始される(ステップST25)。すなわち、制御部17は、位置検出部12から送られてくる現在位置データおよび地図データ記憶部16から読み出した地図データに従って、現在地から目的地までのルートを案内する処理を開始する。その後、ルート案内開始処理は終了する。
【0032】
上記ステップST23において、所定時間内に目的地選択操作がなされなかったことが判断されると、通常起動画面へ遷移する(ステップST26)。すなわち、目的地の設定およびルート案内開始は行われず、通常のナビゲーションを開始するための画面に遷移する。その後、ルート案内開始処理は終了する。
【0033】
上記ステップST21において、現在地が自宅周辺でないことが判断されると、現在位置(地点X)での周辺施設検索および登録を行うかどうかが調べられる(ステップST27)。このステップST27において、現在位置(地点X)での周辺施設検索および登録を行わないことが判断されると、シーケンスはステップST26に進み、通常起動画面へ遷移する処理が実行された後、ルート案内開始処理は終了する。
【0034】
上記ステップST27において、現在位置(地点X)での周辺施設検索および登録を行うことが判断されると、現在地周辺の施設検索が行われる(ステップST28)。すなわち、制御部17は、地図データ記憶部16に記憶されている地図データを参照し、位置検出部12から送られてくる現在位置データによって示される地点、つまり現在位置から数キロ圏内にある施設を検索する。
【0035】
次いで、登録地設定処理が行われる(ステップST29)。この登録地設定処理では、図2に示したフローチャートのステップST14〜ST17と同様の処理(検索結果をジャンル別に表示し、ユーザが好みの施設を選択していくという処理)が行われる。
【0036】
次いで、地点Xでの登録地リストが作成される(ステップST30)。その後、シーケンスはステップST26に進み、通常起動画面へ遷移する処理が実行された後、ルート案内開始処理は終了する。
【0037】
以上の処理により、現在位置(地点X)が自宅の数キロ圏外だった場合、その地点での周辺施設検索および登録を行うかを選択できるので、実家または別荘などといった自宅以外の場所でも簡単に周辺の登録地リストを作成することができる。
【0038】
なお、ステップST27においては、現在位置が自宅周辺か地点Xの周辺であるか否かを調べ、現在位置がどちらでもない場合は、新たな地点Yにおいて、登録地リストが作成される。このように、自宅、地点X、地点Y、・・・といった単位で登録地リストが順次に作成される。このように新たな登録地が作成されると、電源がONされた時に表示部18に表示される目的地設定画面では、図5に示すように、登録地を示すタブの数が増加する。
【0039】
なお、図5に示す目的地設定画面に表示される施設(○○、××、□□、・・・)は、利用度順、近い順、ジャンル順、・・・といった釦を押下することにより、押下された釦で示される種類の順にソートできるように構成されている。
【0040】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、機器の操作に不慣れな人であっても、自宅周辺の頻繁に行く身近な施設を「登録地」として簡単に設定できるので、ナビゲーション装置の便利さを体感できるようになり、ナビゲーション操作のアレルギーを払拭できる。また、ナビゲーション装置の起動時に、数秒間だけ登録地リストを表示されるので、目的地設定を促すことができる。
【符号の説明】
【0041】
11 GPSシステム、12 位置検出部、13 操作入力部、14 ROM、15 RAM、16 地図データ記憶部、17 制御部、18 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する位置検出部と、
地図データを記憶する地図データ記憶部と、
初めて自宅設定が行われる際に、前記位置検出部で検索された自宅位置から所定範囲内に存在する施設を前記地図データ記憶部から読み出した地図データに基づき検索する制御部と、
前記制御部で検索された施設をジャンル毎に表示する表示部と、
前記表示部に表示された施設を選択する操作入力部と、
前記操作入力部によって選択された施設を登録地として記憶する登録地記憶部
とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
制御部は、電源ON後の所定時間内に、登録地記憶部から読み出して表示部に表示した登録地の中から操作入力部によって選択された1つを目的地に設定してルート案内を開始する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
表示部は、制御部で検索された施設を、利用度順、近い順またはジャンル順にソートして表示する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
制御部は、電源ON時に、位置検出部において検出された現在位置が自宅周辺でない場合に、該検索された現在位置から所定範囲内に存在する施設を、地図データ記憶部から読み出した地図データに基づき検索する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
制御部は、登録地記憶部から読み出して表示部に表示した登録地の中から操作入力部によって選択された1つを削除する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
制御部は、初めてでない自宅設定が行われる場合に、登録地記憶部に記憶されている以前の自宅周辺の登録地を削除する
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59066(P2011−59066A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212006(P2009−212006)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】