説明

ナンバープレート読取装置

【課題】撮像した車両の撮像画像からナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識率の低下を抑えたナンバープレート読取装置を提供する。
【解決手段】ナンバープレート読取装置1は、撮像部3において撮像領域に進入してきた車両を第1の露光量で撮像するとともに、第2の露光量で撮像する。また、ナンバープレート読取装置1は、第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像と、を対応づけて撮像画像記憶部6に記憶する。画像認識処理部7は、撮像画像記憶部6に対応づけて記憶している2つの撮像画像の一方に対して、撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号の認識処理を行い、認識できなければ他方の撮像画像に対して、撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号の認識処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置で撮像した車両の撮像画像から、この車両に取り付けられているナンバープレートに表記されている登録番号を認識するナンバープレート読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置で撮像した車両の撮像画像を処理し、この車両に取り付けられているナンバープレートに表記されている登録番号を認識するナンバープレート読取装置があった(例えば、特許文献1参照)。このナンバープレート読取装置は、道路網における2地点間の旅行時間を計測するシステムや、駐車場内の車両を管理するシステム等で利用されている。例えば、旅行時間を計測するシステムは、周知のように、道路網の複数の地点で、地点毎に撮像装置で撮像した撮像画像を処理し、その地点を通過した車両のナンバープレートに表記されている登録番号、通過時刻、および通過地点を含む車両の通過情報をセンタで収集することにより、道路網のある地点から別の地点までの2地点間における車両の旅行時間を計測するシステムである。また、駐車場内の車両を管理するシステムは、駐車場の入口や、出口にナンバープレート読取装置を設置し、このナンバープレート読取装置で駐車場に入庫した車両のナンバープレートに表記されている登録番号や、駐車場から出庫した車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する。そして、ナンバープレート読取装置で認識した登録番号をセンタで収集することにより、駐車場内に駐車されている車両を登録番号とともに管理するシステムである。
【特許文献1】特開昭63−54889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、最近ナンバープレートが傷ついたり、汚れるのを防止するために、ナンバープレートカバーをナンバープレートに取り付けた車両が増加している。このナンバープレートカバーには、近赤外光を吸収するフィルム(近赤外吸収フィルム)で構成されたものがある。従来のナンバープレート読取装置は、撮像装置が近赤外領域で車両を撮像している。したがって、上述した近赤外吸収フィルムで構成されたナンバープレートカバーが装着されている車両については、ナンバープレート部分が黒くてコントラストが低い撮像画像しか得られず、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識することができないことがある。すなわち、ナンバープレートカバーをナンバープレートに取り付けた車両の増加にともなって、撮像した車両のナンバープレートに表記されている登録番号の認識率が低下している。このため、ナンバープレート読取装置が適用される、道路網における2地点間の旅行時間を計測するシステムや、駐車場内の車両を管理するシステム等が、適正に運用できなくなる可能性がある。
【0004】
この発明の目的は、撮像した車両の撮像画像からナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識率の低下を抑えたナンバープレート読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のナンバープレート読取装置は、上記課題を解決するために以下のように構成している。
【0006】
露光量指示手段が、撮像領域を可視光領域で撮像する撮像手段に対して、撮像時の露光量として第1の露光量、または第2の露光量を指示する。進入検知手段が、前記撮像手段の撮像領域内に車両が進入してきたかどうかを検知する。この進入検知手段により前記撮像手段の撮像領域内に進入してきた車両が検知されたとき、前記撮像手段により時間的に連続して撮像された2つの撮像画像が、記憶手段に記憶される。また、前記露光量指示手段は、前記記憶手段に対応づけて記憶される2つの撮像画像が、前記第1の露光量で撮像された撮像画像と、前記第2の露光量で撮像された撮像画像と、になるように、前記撮像手段に対して撮像時の露光量を指示する。すなわち、記憶手段が対応づけて記憶する2つの画像は、第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像とである。
【0007】
撮像手段は、上述したように、可視光領域で撮像するので、近赤外吸収フィルムで構成されたナンバープレートカバーが取り付けられていても、撮像画像におけるナンバープレート部分が真っ黒になることはない。また、第1の露光量を、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる露光量とした場合、第2の露光量を、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる露光量とすればよい。第2の露光量は、ナンバープレートカバーによる減衰を考慮した露光量であり、第1の露光量よりも大きい。この第1の露光量、および第2の露光量は、撮像領域周辺の環境等に基づいて決定すればよい。
【0008】
したがって、登録番号認識手段では、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両であれば、第1の露光量で撮像した撮像画像を処理することで、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識することができる。また、ナンバープレートカバーを取り付けた車両であれば、第2の露光量で撮像した撮像画像を処理することで、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識することができる。すなわち、登録番号認識手段は、記憶手段が対応づけて記憶している一方の撮像画像から、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識することができ、登録番号を認識する認識率の低下が抑えられる。
【0009】
撮像手段に対する露光量の指示は、絞りや、シャッタスピード等を指示する構成とすればよい。シャッタスピードを露光量として指示する構成のほうが、対応づけて記憶する2つの撮像画像における撮像時間のズレを小さくできるので、絞りで指示するよりも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、撮像した車両の撮像画像からナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識率の低下が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態であるナンバープレート読取装置について説明する。
【0012】
図1は、ナンバープレート読取装置の主要部の構成を示す図である。ナンバープレート読取装置1は、制御部2と、撮像部3と、露光量指示部4と、ナンバープレート検知部5と、撮像画像記憶部6と、画像認識処理部7と、出力部8と、を備えている。このナンバープレート読取装置1は、道路網における2地点間の旅行時間を計測するシステムや、駐車場内の車両を管理するシステムに利用される。制御部2は、本体各部の動作を制御する。撮像部3は、撮像領域を可視光領域で撮像するCCDカメラを有する。撮像部3のCCDカメラは、1秒間に撮像領域を撮像した撮像画像を15〜30フレーム程度出力することができる。また、撮像領域を通過する車両のナンバープレートに表記されている文字が画像処理で認識できる大きさに撮像されるように、撮像部3のCCDカメラを設置している。露光量指示部4は、撮像部3に対して撮像時の露光量を第1の露光量とするか、第2の露光量とするかを指示する。第1の露光量は、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる撮像画像が得られる露光量であり、第2の露光量は、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる撮像画像が得られる露光量である。第1の露光量、および第2の露光量は、撮像部3のCCDカメラの特性や、撮像領域周辺の環境等に基づいて決定すればよい。また、露光量の指示は、CCDカメラの絞りを指示する方法でもよいし、CCDカメラのシャッタスピードを指示する構成でもよいし、絞り、およびシャッタスピードの両方を指示する構成であってもよい。ここでは、露光量指示部4は、撮像部3のCCDカメラの応答性の面から、露光量の指示をシャッタスピードで行なうようにしている。具体的には、露光量指示部4は、撮像部3に対して、シャッタスピードとしてN(s)(第1の露光量)またはa×N(s)(ただし、a>1)(第2の露光量)を指示する。
【0013】
図2(A)は、ナンバープレートカバーが取り付けられていない車両を第1の露光量で撮像した撮像画像であり、図2(B)は、ナンバープレートカバーが取り付けられていない車両を第2の露光量で撮像した撮像画像である。また、図3(A)は、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を第1の露光量で撮像した撮像画像であり、図3(B)は、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を第2の露光量で撮像した撮像画像である。第1の露光量は、上述したように、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる撮像画像が得られる露光量であるので、ナンバープレートカバーが取り付けられていない車両を第1の露光量で撮像した場合、図2(A)に示すように、ナンバープレート部分については、明るさ、およびコントラストが十分な撮像画像が得られる。これに対して、ナンバープレートカバーが取り付けられていない車両を第2の露光量で撮像した場合、図2(B)に示すように、全体的にハレーションが生じた撮像画像になり、ナンバープレートに表記されている登録番号が認識できない可能性が高い。
【0014】
また、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を第1の露光量で撮像した場合、図3(A)に示すように、ナンバープレート部分の明るさ、およびコントラストが不十分な撮像画像になり、ナンバープレートに表記されている登録番号が認識できない可能性が高い。一方、第2の露光量は、上述したように、ナンバープレートカバーを取り付けている車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる撮像画像が得られる露光量であるので、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を第2の露光量で撮像した場合、図3(B)に示すように、ナンバープレート以外の部分ではハレーションが生じた撮像画像になるが、ナンバープレート部分については明るさ、およびコントラストが十分な撮像画像が得られる。
【0015】
図2(A)、および図3(B)に示す撮像画像が、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識するのに適した撮像画像であり、図2(B)、および図3(A)に示す撮像画像が、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識するのに適していない撮像画像である。
【0016】
ナンバープレート検知部5は、撮像部3で撮像された撮像画像にナンバープレートらしきものが撮像されているかどうかを検知することにより、撮像部3の撮像領域内に車両が進入してきたかどうかを検知する。ナンバープレート検知部5は、撮像画像に対して、ナンバープレートに表記されている登録番号の文字線幅に反応するマスク処理を行い、このマスク処理で反応したエリアの集積度からナンバープレートが撮像されているかどうかを検知する。また、この検知の精度を高めるために、ナンバープレートであると判断した部分について、2値化、垂直・水平投影を行って、各文字を切り出し、ナンバープレートに表記されている登録番号のフォーマットに一致するかどうかを判定し、一致した場合に、ナンバープレートらしきものが撮像されていると判断するようにしてもよい。
【0017】
撮像画像記憶部6は、撮像部3で撮像された撮像画像を記憶する。後述するように、撮像画像記憶部6は、時間的に連続して撮像された2つの画像を対応づけて記憶する。この2つの撮像画像の一方は第1の露光量で撮像された撮像画像であり、他方は第2の露光量で撮像された撮像画像である。制御部2が、撮像画像記憶部6に記憶させる撮像画像を制御する。言い換えれば、撮像画像記憶部6は、撮像部3で撮像された全ての撮像画像を記憶するのではなく、制御部2によって記憶することが指示された撮像画像を記憶する。画像認識処理部7は、撮像画像記憶部6が対応づけて記憶している撮像画像を処理して、撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する画像処理を行なう。撮像画像から、撮像されている車両のナンバープレート部分の画像を切り出し、ここで切り出したナンバープレート部分の画像に対して、このナンバープレートに表記されている文字毎にパターンマッチング等による文字認識処理を行い、登録番号を認識する。出力部8は、画像認識処理部7で認識された登録番号を、図示していない上位装置へ出力する。例えば、道路網における2地点間の旅行時間を計測するシステムや、駐車場内の車両を管理するシステム等のセンタへ出力する。
【0018】
次に、このナンバープレート読取装置1の動作について説明する。図4は、ナンバープレート読取装置における撮像処理を示すフローチャートである。露光量指示部4は、撮像部3に対して、撮像時の露光量として第1の露光量を指示する(s1)。この指示は、シャッタスピードをN(s)とする指示である。撮像部3は、予め定められた時間間隔(例えば、30ms〜60ms程度の時間間隔)で撮像領域を撮像し、撮像画像を出力する処理を繰り返している。このとき、撮像部3は、露光量指示部4によって指示された露光量(すなわち、シャッタスピード)で撮像領域を撮像している。ナンバープレート検知部5は、撮像部3が撮像領域を撮像する毎に、その撮像画像に対して、ナンバープレートに表記されている登録番号の文字線幅に反応するマスク処理を行い、撮像領域内に車両が存在しているかどうかを検知する(s2、s3)。ナンバープレート検知部5は、検知結果を制御部2に通知する。ナンバープレート読取装置1は、s3で撮像領域内に車両が存在していることを検知するまで、上述したs2、s3にかかる処理を繰り返す。
【0019】
ナンバープレート読取装置1は、ナンバープレート検知部5がs3で撮像領域内に車両が存在していることを検知すると、今回撮像した撮像画像を撮像画像記憶部6に記憶するとともに(s4)、露光量指示部4が撮像部3に対して、撮像時の露光量として第2の露光量を指示する(s5)。s5では、シャッタスピードを2×N(s)とする指示を行なう。これにより、撮像部3が、第2の露光量で撮像領域を撮像する(s6)。ナンバープレート読取装置1は、撮像部3が第2の露光量で撮像した撮像画像を、s4で記憶した撮像画像に対応づけて撮像画像記憶部6に記憶する(s7)。ナンバープレート読取装置1は、s7で2つの画像を撮像画像記憶部6に対応づけて記憶すると、s1に戻る。
【0020】
ナンバープレート読取装置1は、上記図4に示した処理を繰り返し行なうことで、撮像領域を通過する車両毎に、その車両を第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像と、を対応づけて撮像画像記憶部6に記憶する。
【0021】
また、ナンバープレート読取装置1は、撮像画像記憶部6に対応づけて記憶した2つの撮像画像から、撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識処理を行なう。図5は、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識処理を示すフローチャートである。この処理は、撮像画像記憶部6が2つの撮像画像を対応づけて記憶しているときに実行すればよい。画像認識処理部7は、撮像画像記憶部6が対応づけて記憶している2つの撮像画像の一方を取り込み(s11)、取り込んだ撮像画像に対して撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する画像処理を行なう(s12)。s11では、第1の露光量で撮像した撮像画像を取り込んでもよいし、第2の露光量で撮像した撮像画像を取り込んでもよい。ここでは、s11で取り込む撮像画像が、第1の露光量で撮像した撮像画像であるとして説明する。s12では、今回取り込んだ撮像画像に撮像されている車両が、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両であれば、そのナンバープレートに表記されている登録番号の認識率を確保することができる。一方、今回取り込んだ撮像画像に撮像されている車両が、ナンバープレートカバーを取り付けている車両であれば、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できない可能性が高い。
【0022】
ナンバープレート番号読取装置1は、s12で実行した画像処理で撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号が認識できなければ(s13)、撮像画像記憶部6がs11で取り込んだ撮像画像に対応づけて記憶している他方の撮像画像を取り込み(s14)、ここで取り込んだ撮像画像に対して撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する画像処理を行なう(s15)。s15では、今回取り込んだ撮像画像に撮像されている車両が、ナンバープレートカバーを取り付けている車両であれば、そのナンバープレートに表記されている登録番号の認識率を確保することができる。
【0023】
ナンバープレート読取装置1は、s15で撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号が認識できなければ(s16)、認識不良と判断し、今回処理した2つの撮像画像を撮像画像記憶部6から削除し(s18)、本処理を終了する。一方、ナンバープレート読取装置1は、s12、またはs15で撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号が認識できたときには、出力部8において、認識した登録番号を上位装置へ出力する(s17)。また、s18では、ナンバープレートに表記されている登録番号を認識した車両について、撮像画像記憶部6が対応づけて記憶している2つの撮像画像も加えて上位装置へ出力してもよい。ナンバープレート読取装置1は、s18でナンバープレートに表記されている登録番号を認識した車両について、撮像画像記憶部6が対応づけて記憶している2つの撮像画像を削除し、本処理を終了する。
【0024】
このように、ナンバープレート読取装置1は、撮像領域に進入してきた車両について、第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像とを対応づけて撮像画像記憶部6に記憶する。そして、第1の露光量は、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる撮像画像が得られる露光量であり、第2の露光量は、ナンバープレートカバーが取り付けられている車両を撮像したときに、そのナンバープレートに表記されている登録番号が認識できる撮像画像が得られる露光量である。このため、ナンバープレートカバーを取り付けていない車両であれば第1の露光量で撮像した撮像画像で登録番号を認識できる可能性を確保でき、反対に、ナンバープレートカバーを取り付けている車両であれば第2の露光量で撮像した撮像画像で登録番号を認識できる可能性を確保できる。したがって、撮像した車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識率の低下が抑えられる。
【0025】
また、上述した図4に示す処理を図6に示す処理に置き換えてもよい。図4は、通常時、撮像部3に対して第1の露光量を撮像時の露光量として指示し、撮像領域内に車両が進入してきたことを検知したタイミングで、一時的に撮像部3に対して第2の露光量を撮像時の露光量として指示する構成としたが、この図6に示す処理は、撮像部3の撮像毎に、指示する露光量を切り替える構成である。
【0026】
露光量指示部4は、撮像部3に対して、撮像時の露光量として第1の露光量を指示する(s21)。この指示は、シャッタスピードをN(s)とする指示である。撮像部3は、上述した実施形態と同様に、予め定められた時間間隔(例えば、30ms〜60ms程度の時間間隔)で撮像領域を撮像し、撮像画像を出力する処理を繰り返す。ナンバープレート検知部5は、撮像部3が撮像領域を撮像する毎に、その撮像画像に対して、ナンバープレートに表記されている登録番号の文字線幅に反応するマスク処理を行い、撮像領域内に車両が存在しているかどうかを検知する(s22、s23)。ナンバープレート読取装置1は、s23で撮像領域内に車両が存在していなければ、撮像部3に対して、撮像時の露光量として第2の露光量を指示する(s24)。これにより、撮像部3は、第2の露光量で撮像領域を撮像する。ナンバープレート検知部5は、撮像部3から撮像画像が入力されると、その撮像画像に対して、ナンバープレートに表記されている登録番号の文字線幅に反応するマスク処理を行い、撮像領域内に車両が存在しているかどうかを検知する(s25、s26)。ナンバープレート読取装置1は、s26で撮像領域内に車両が存在していなければ、s21に戻る。すなわち、ナンバープレート読取装置1は、s23、またはs26で撮像領域内に車両が存在していることが検知されるまで、s21〜s26の処理を繰り返す。
【0027】
ナンバープレート読取装置1は、s23で撮像領域内に車両が存在していることを検知すると、今回の撮像画像を撮像画像記憶部6に記憶するとともに(s27)、露光量指示部4が撮像部3に対して、撮像時の露光量として第2の露光量を指示する(s28)。これにより、撮像部3が、第2の露光量で撮像領域を撮像する(s29)。ナンバープレート読取装置1は、撮像部3が第2の露光量で撮像した撮像画像を、s27で記憶した撮像画像に対応づけて撮像画像記憶部6に記憶する(s30)。ナンバープレート読取装置1は、s30で2つの画像を撮像画像記憶部6に対応づけて記憶すると、s21に戻る。
【0028】
また、ナンバープレート読取装置1は、s26で撮像領域内に車両が存在していることを検知すると、今回の撮像画像を撮像画像記憶部6に記憶するとともに(s31)、露光量指示部4が撮像部3に対して、撮像時の露光量として第1の露光量を指示する(s32)。これにより、撮像部3が、第1の露光量で撮像領域を撮像する(s33)。ナンバープレート読取装置1は、撮像部3が第1の露光量で撮像した撮像画像を、s31で記憶した撮像画像に対応づけて撮像画像記憶部6に記憶する(s34)。ナンバープレート読取装置1は、s34で2つの画像を撮像画像記憶部6に対応づけて記憶すると、s21に戻る。
【0029】
このように、撮像部3の撮像毎に、指示する露光量を切り替える図6に示す処理とした場合も、撮像領域を通過する車両毎に、その車両を第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像と、を対応づけて撮像画像記憶部6に記憶することができる。したがって、上述した実施形態と同様に、撮像した車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識率の低下が抑えられる。
【0030】
また、上記実施形態では、撮像部3で撮像された撮像画像を処理して、撮像部3の撮像領域内における車両の進入を検知するとしたが、超音波センサ等を利用した物体検知センサで撮像部3の撮像領域内における車両の進入を検知する構成としてもよい。図7は、このナンバープレート読取装置1の主要部の構成を示す図である。図1と異なる点は、ナンバープレート検知部5に代えて、物体進入検知部9を設けた点である。この物体進入検知部9は、撮像部3の撮像領域に対して超音波や、レーザ光等の検知波を照射し、その検知波を照射してから、この検知波の反射波を受信するまでの経過時間に計測することで、撮像部3の撮像領域に車両が進入したかどうかを検知する。具体的には、検知波を照射してから、この検知波の反射波を受信するまでの経過時間が、予め定めた時間よりも短ければ、撮像領域に車両が進入したと判断する。
【0031】
図8は、このナンバープレート読取装置の撮像処理を示すフローチャートである。このナンバープレート読取装置1では、撮像部3は、上述した実施形態と異なり、露光量指示部4によって撮像時の露光量が指示されたときに、指示された露光量で撮像領域を撮像する。言い換えれば、撮像部3は、露光量指示部4によって撮像時の露光量が指示されないと、撮像領域を撮像しない。
【0032】
ナンバープレート読取装置1は、物体進入検知部9において、撮像領域内への車両の進入が検知されるのを待つ(s41)。このとき、撮像部3は、撮像領域を撮像していない。ナンバープレート読取装置1は、s41で撮像領域への車両の進入を検知すると、撮像部3に対して第1の露光量での撮像を指示する(s42)。これにより、撮像部3が、第1の露光量で撮像領域を撮像する(s43)。ナンバープレート読取装置1は、撮像部3が第1の露光量で撮像した撮像画像を撮像画像記憶部6に記憶し(s44)、撮像部3に対して第2の露光量での撮像を指示する(s45)。これにより、撮像部3が、第2の露光量で撮像領域を撮像する(s46)。ナンバープレート読取装置1は、撮像部3が第2の露光量で撮像した撮像画像を、s44で記憶した撮像画像に対応づけて記憶し(s47)、s41に戻る。
【0033】
このように、図8に示す処理とした場合も、撮像領域を通過する車両毎に、その車両を第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像と、を対応づけて撮像画像記憶部6に記憶することができる。したがって、上述した2つの実施形態と同様に、撮像した車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識率の低下が抑えられる。
【0034】
また、撮像部3にCCDカメラを2つ設け、一方のCCDカメラが第1の露光量で撮像領域を撮像し、他方のカメラが第2の露光量で撮像領域を撮像する構成としてもよい。この場合には、2つのCCDカメラの撮像タイミングを同期させることによって、第1の露光量で撮像した撮像画像と、第2の露光量で撮像した撮像画像と、の撮像タイミングを一致させることができる。
【0035】
例えば、2つのCCDカメラの撮像タイミングを同期させ、上述したナンバープレート検知部5が一方のCCDカメラで撮像された撮像画像を処理して、撮像領域内における車両の進入を検知する構成とすればよい。そして、ナンバープレート検知部5が像領域内における車両の進入を検知したときには、このときに2つのCCDカメラが撮像した撮像画像を対応づけて、撮像画像記憶部6に記憶すればよい。
【0036】
また、物体進入検知部9が撮像領域内における車両の進入を検知したときに、一方のCCDカメラに対して第1の露光量での撮像を指示し、他方のCCDカメラに対して第2の露光量での撮像を指示する構成としてもよい。この場合も、2つのCCDカメラが撮像した撮像画像を対応づけて、撮像画像記憶部6に記憶すればよい。
【0037】
さらに、ナンバープレート読取装置1を、図9に示すように、図1に示したナンバープレート検知部5を差分画像生成処理部10に置き換え、この差分画像生成処理部10で撮像部3の撮像領域に車両が存在しているかどうかを検知する構成としてもよい。この差分画像生成処理部10は、撮像部3で撮像された撮像画像と、撮像領域に車両が存在していないときの撮像画像(以下、背景画像と言う。)と、の差分画像を生成し、この差分画像から撮像領域内に車両が存在しているかどうかを検知する。この検知は、生成した差分画像に、車両に相当する大きさの物体があるかどうかを検知することで行う。
【0038】
この図9に示す構成のナンバープレート読取装置1も、上述した図4、または図6に示す処理を実行することで、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ナンバープレート読取装置の主要部の構成を示す図である。
【図2】ナンバープレートカバーが取り付けられていない車両の撮像画像を示す図である。
【図3】ナンバープレートカバーが取り付けられている車両の撮像画像を示す図である。
【図4】ナンバープレート読取装置の撮像処理を示すフローチャートである。
【図5】ナンバープレートに表記されている登録番号を認識する認識処理を示すフローチャートである。
【図6】別のナンバープレート読取装置の撮像処理を示すフローチャートである。
【図7】別のナンバープレート読取装置の主要部の構成を示す図である。
【図8】別のナンバープレート読取装置の撮像処理を示すフローチャートである。
【図9】別のナンバープレート読取装置の主要部の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1−ナンバープレート読取装置
2−制御部
3−撮像部
4−露光量指示部
5−ナンバープレート検知部
6−撮像画像記憶部
7−画像認識処理部
8−出力部
9−物体進入検知部
10−差分画像生成処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像領域を可視光領域で撮像する撮像手段と、
前記撮像手段に対して、撮像時の露光量として第1の露光量、または第2の露光量を指示する露光量指示手段と、
前記撮像手段の撮像領域内に車両が進入してきたかどうかを検知する進入検知手段と、
前記進入検知手段により前記撮像手段の撮像領域内に進入してきた車両が検知されたときに、前記撮像手段により時間的に連続して撮像された2つの撮像画像を対応づけて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している一方の撮像画像を処理し、撮像されている車両のナンバープレートに表記されている登録番号を認識する登録番号認識手段と、を備え、
前記露光量指示手段は、前記記憶手段に対応づけて記憶される2つの撮像画像が、前記第1の露光量で撮像された撮像画像と、前記第2の露光量で撮像された撮像画像と、になるように、前記撮像手段に対して撮像時の露光量を指示する手段である、ナンバープレート読取装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、予め定められた時間間隔で撮像領域を撮像する手段であり、
前記露光量指示手段は、通常時、前記撮像手段に対して第1の露光量を撮像時の露光量として指示し、前記進入検知手段が撮像領域内に車両が進入してきたことを検知したときに、一時的に前記撮像手段に対して第2の露光量を撮像時の露光量として指示する手段であり、
さらに、記憶手段は、前記進入検知手段が撮像領域内に車両が進入してきたことを検知したときの撮像画像と、この次の撮像画像と、を対応づけて記憶する手段である、請求項1に記載のナンバープレート読取装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、予め定められた時間間隔で撮像領域を撮像する手段であり、
前記露光量指示手段は、前記撮像手段における撮像領域の撮像毎に、撮像時の露光量として第1の露光量と第2の露光量とを交互に指示する手段であり、
さらに、記憶手段は、前記進入検知手段が撮像領域内に車両が進入してきたことを検知したときの撮像画像と、この次の撮像画像と、を対応づけて記憶する手段である、請求項1に記載のナンバープレート読取装置。
【請求項4】
前記進入検知手段は、前記撮像手段が撮像した撮像画像に車両のナンバープレートが撮像されているかどうかを検知することにより、撮像領域内に車両が進入してきたかどうかを検知する手段である、請求項1〜3のいずれかに記載のナンバープレート読取装置。
【請求項5】
前記進入検知手段により前記撮像手段の撮像領域内に車両が進入してきたことが検知されたときに、予め定められた時間間隔で前記撮像手段に撮像領域の撮像を複数回指示する撮像指示手段を備え、
前記露光量指示手段は、前記撮像手段における撮像領域の撮像毎に、撮像時の露光量として第1の露光量と第2の露光量とを交互に指示する手段であり、
さらに、前記進入検知手段は、撮像領域内に物体が存在するかどうかを検知するセンサを有する、請求項1に記載のナンバープレート読取装置。
【請求項6】
前記露光量指示手段は、前記撮像手段に対してシャッタスピードを、露光量として指示する手段である、請求項1〜5のいずれかに記載のナンバープレート読取装置。
【請求項7】
前記登録番号認識手段が認識した登録番号を出力する出力手段を備えた、請求項1〜6のいずれかに記載のナンバープレート読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−15478(P2009−15478A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174724(P2007−174724)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】