説明

ニューライトの成長を刺激するための方法および組成物

【課題】ニューライトの成長を刺激することにより処置できる広範な種々の疾患、およびこの性質を保持するFKBP12結合化合物を提供すること。
【解決手段】以下のa)、b)およびc)を含有する薬学的に受容可能な組成物:a)神経栄養量の、式(I)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体:ここで、A、B、D、E、J、Kは、本明細書で定義されるとおりである;b)神経栄養因子;およびc)薬学的に適切なキャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、神経細胞におけるニューライトの成長を刺激するための方法および薬学的組成物に関する。この組成物は、FK-506結合タンパク(FKBP)および神経栄養因子(例えば、神経成長因子NGF)に結合する化合物を、神経栄養量で含有する。この方法は、上記組成物または神経栄養因子を有さずFKBP結合化合物を含有する組成物で、神経細胞を処置する工程を包含する。本発明の方法は、疾患または外傷により起こる神経損傷の修復を促進するのに使用できる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
イムノフィリンは、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA、FK506およびラパマイシン)の作用を媒介する可溶性タンパク質の一群である。12kDaのイムノフィリン、FK-506結合タンパク(FKBP12)が特に興味深い。FKBP12は、FK-506およびラパマイシンを結合し、T-細胞活性化および増殖を阻害する。興味深いことに、FK-506およびラパマイシンの作用機構は、異なっている。総説としては、H.Solomonら、Nature Med.、1、pp. 32〜37 (1995年)を参照せよ。
【0003】
FK-506は、FKBP12に結合し、得られた複合体は、カルシニューリン(細胞質ホスファターゼ)に結合し阻害する。カルシニューリンのホスファターゼ活性は、脱リン、およびそれに続く転写因子NF-ATの核への転座に必要である。NF-ATは、インターロイキン-2遺伝子の活性化を引き起こし、次に、T-細胞増殖を媒介する。
【0004】
他方、このラパマイシン−FKBP12複合体は、RAFT1/FRAPと呼ばれる機能が知られていないタンパクと会合する。この三部複合体は、T-細胞の細胞周期の進行に必要な細胞内の種々のキナーゼ(例えば、p70S6、p34cdc2、cdk2)を阻害することが知られている。ラパマイシンはまた、おそらく、このFKBP12結合に対する競合阻害剤として作用することにより、FK-506の強力なアンタゴニストであることが知られている。
【0005】
さらに最近では、FKBPは、体内において、他の重要な役割を果たすことが発見された。FKBP12は、細胞内カルシウムイオンチャンネル(リアノジンレセプター(RyR)およびイノシトール1,4,5-トリホスフェートレセプター(IPR))と複合体を形成して、カルシウムの放出を安定化させるのに役立つことが見出された(T.Jayaramanら、J. Biol. Chem.、267、pp. 9474〜77 (1992年);A. M. Cameronら、Proc. Natl.Acad. Sci.、USA、92、pp. 1784〜44 (1995年))。このリアノジンレセプターは、骨格筋、心筋、脳および他の興奮性組織で見出されている。IPRは、細胞表面で作用してホスホリパーゼCを活性化しイノシトール1,4,5-トリホスフェート(triphophase)(IP)を発生するホルモンおよび神経伝達物質により誘発された細胞内カルシウムの放出を媒介する。ほとんどのIPRは、小胞体と会合して見出されているが、あるものは、この細胞表面で生じ、この細胞へのカルシウムフラックスを媒介する。
【0006】
RyRおよびIPRの両方について、FK-506およびラパマイシンが、このレセプターからFKBP12を解離できることが立証されている。各場合には、FKBP12の「ストリッピング(stripping)」により、このカルシウムチャンネルの高い漏出および低い細胞内カルシウム濃度が生じる。
【0007】
FKBP12の他の役割は、神経細胞におけるニューライト成長(outgrowth)の制御がある。W.E.Lyonsら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91、pp. 3191〜95 (1994年))は、FK-506が、ラット褐色細胞腫におけるニューライトの成長を刺激する際に、神経成長因子(NGF)と相乗的に作用することを立証した。興味深いことに、ラパマイシンは、ニューライト成長に対するFK-506の効果を阻害せず、むしろ、それ自体、神経栄養性であり、FK-506の添加効果を示した。知覚神経節では、FK-506は、類似の神経栄養性効果を示したが、それらの効果は、ラパマイシンにより妨害された。これらの結果により、著者は、FK-506が、そのFKBP12およびカルシニューリンとの複合体化および後者のホスファターゼ活性の阻害により、その神経栄養性効果を発揮すると推測した。他方、著者は、FK-506が、「ストリッピング」機構(例えば、RyRおよびIPRからのFKBP12の除去に関与したもの)を介して作用すると提案した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ニューライトの成長を刺激することにより処置できる広範な種々の疾患、およびこの性質を保持することが知られている比較的少数のFKBP12結合化合物に関して、依然として、別の神経栄養性FKBP12結合化合物が非常に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、例えば、以下が提供される。
(1)以下のa)、b)およびc)を含有する薬学的に受容可能な組成物:
a)神経栄養量の、式(I)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体:
【0010】
【化1】

ここで、Aは、O、NHまたはN−(C1-C4アルキル)である;
ここで、Bは、水素、CHL-Ar、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C5-C7)シクロアルキル、(C5-C7)シクロアルケニルまたはAr置換した(C1-C6)アルキルまたは(C2-C6)アルケニル、あるいは以下である:
【0011】
【化2】

ここで、LおよびQは、独立して、水素、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルである;そして
Tは、3位および4位に置換基を有するArまたは置換シクロヘキシルであり、該置換基は、水素、ヒドロキシル、O−(C1-C4)アルキルまたはO−(C2-C4)アルケニルおよびカルボニルからなる群から選択される;
ここで、Arは、1個〜3個の置換基を有する1-ナフチル、2-ナフチル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジルおよびフェニルからなる群から選択され、該置換基は、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、CF、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたはO−(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−ベンジル、O−フェニル、アミノおよびフェニルからなる群から選択される;
Dは、Uである;
Eは、酸素またはCH−Uのいずれかであるが、但し、Dが水素なら、Eは、CH−Uであり、またはEが酸素なら、Dは、水素ではない;
ここで、各Uは、独立して、水素、O−(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたはO−(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルで置換した(C5-C7)シクロアルキルまたは(C5-C7)シクロアルケニル、2-インドリル、3-インドリル、[(C1-C4)アルキルまたは(C2-C4)アルケニル]−ArまたはArから選択される;
Jは、水素、またはC1またはC2アルキルである;
Kは、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルである;あるいはJおよびKは、共に結合して、5〜7員環の複素環式環を形成し、該複素環式環は、O、S、SOまたはSO置換基を有し得る;そして
炭素位置1の立体化学は、RまたはSである;
b)神経栄養因子;および
c)薬学的に適切なキャリア。
(2)項目1に記載の組成物であって、
ここで:
Aが、酸素であり;
Jが、水素またはC1またはC2アルキルであり;
Kが、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルであるか;またはJおよびKは、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し;そして
炭素位置1の立体化学がSである、組成物。
(3)項目2に記載の組成物であって、
ここで:
JおよびKが、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し;
Eが、CH−Uであり;そして
Uが、ジメチルアミノフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリメトキシフェニル、ニトロフェニル、フリル、インドリル、ピリジルまたはメチレンジオキシフェニルである、組成物。
(4)項目2に記載の組成物であって、
ここで:
JおよびKが、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し;
Eが、酸素であり;
Bが、ベンジル、ナフチル、tert-ブチル、水素、E-3-フェニル-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-[トランス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)]-2-メチル-プロプ-2-エニル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘキシルブチル、シクロペンチルプロピル、E-3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニルまたはE-3-[シス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)]-2-メチル-プロプ-2-エニルであり;そして
Dが、フェニル、メトキシフェニル、シクロヘキシル、エチル、メトキシ、ニトロベンジル、チオフェニル、インドリル、フリル、ピリジル、ピリジル-N-オキシド、ニトロフェニル、フルオロフェニル、トリメトキシフェニルまたはジメトキシフェニルである、組成物。
(5)以下のa)、b)およびc)を含有する薬学的に受容可能な組成物:
a) 神経栄養量の、式(II)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体:
【0012】
【化3】

ここで、A'は、CH、酸素、NHまたはN−(C1-C4アルキル)である;
B'およびWは、独立して、以下の(i)または(ii)である:
(i)水素、Ar'、(C1-C10)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルキル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、あるいはAr'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、ここで、各場合には、該アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖のCH基のいずれか1個は、必要に応じて、O、S、SO、SO、NおよびNRからなる群から選択したヘテロ原子で置き換えられ得、
ここで、Rは、水素、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルおよび(C1-C4)架橋アルキルからなる群から選択され、ここで、該ヘテロ原子含有鎖の窒素と炭素原子との間で架橋が形成されて、環を形成し、そしてここで、該環は、必要に応じて、Ar'基に縮合されている;または
(ii)
【0013】
【化4】

ここで、Q'は、水素、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルである;そして
T'は、3位および4位に置換基を有するAr'または置換5〜7員環シクロアルキルであり、該置換基は、独立して、オキソ、水素、ヒドロキシル、O−(C1-C4)アルキルおよびO−(C2-C4)アルケニルからなる群から選択される;
ここで、Ar'は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルからなる群から選択した炭素環式芳香族基;または2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H-インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8-ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニルおよびフェノキサジニルからなる群から選択した複素環式芳香族基である;そして
ここで、Ar'は、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノ、カルボキシル、N-[(C1-C5)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C5)直鎖もしくは分枝アルケニル]カルボキサミド、N,N-ジ-[(C1-C5)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C5)直鎖もしくは分枝アルケニル]カルボキサミド、N-モルホリノカルボキサミド、N-ベンジルカルボキサミド、N-チオモルホリノカルボキサミド、N-ピコリノイルカルボキサミド、O−X、CH−(CH)−X、O−(CH)−X、(CH)−O−XおよびCH=CH−Xからなる群から選択される;
ここで、Xは、4-メトキシフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピラジル、キノリル、3,5-ジメチルイソキサゾイル、イソキサゾイル、2-メチルチアゾイル、チアゾイル、2-チエニル、3-チエニルまたはピリミジルである;そして
qは、0〜2である;
Gは、U'である;
Mは、酸素またはCH−U'のいずれかである;
但し、Gが水素なら、Mは、CH−U'であり、またはMが酸素なら、Gは、U'である;
ここで、U'は、水素、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]またはO−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルで置換した(C5-C7)シクロアルキルまたは(C5-C7)シクロアルケニル、[(C1-C4)アルキルまたは(C2-C4)アルケニル]−YまたはYである;
ここで、Yは、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、ピロリジニル、1,3-ジオキソリル、2-イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、および上記Ar'について定義した複素環式芳香族基からなる群から選択される;そして
ここで、Yは、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択される;
J'は、水素、(C1-C2)アルキルまたはベンジルである;
K'は、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルであるか、またはJ'およびK'は、共に結合して、5〜7員環の複素環式環を形成し、該複素環式環は、O、S、SOおよびSOからなる群から選択したヘテロ原子を有し得る;
mは、0〜3である;そして
ここで、該化合物は式(I)の化合物ではない;
b)神経栄養因子;および
c)薬学的に適切なキャリア。
(6)項目6に記載の組成物であって、
ここで:
B'およびWが、独立して、以下の(i)または(ii)であり:
(i)水素、Ar'、(C1-C10)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルキル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、またはAr'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、ここで、各場合には、該アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖のCH基のいずれか1個は、必要に応じて、O、S、SOまたはSOからなる群から選択したヘテロ原子で置き換えられ得る;または
(ii)
【0014】
【化5】

Arが、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択され;そして
Yが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、および上記Ar'について定義した複素環式芳香族基からなる群から選択される、組成物。
(7)項目5に記載の組成物であって、
ここで:
B'またはWの少なくとも1個が、独立して、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルキニル;(C5-C7)シクロアルキル置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニル;(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニル;および
Ar'置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニルからなる群から選択される、組成物。
(8)項目5に記載の組成物であって、
ここで:
B'またはWの少なくとも1個が、独立して、式−(CH)−(Z)−(CH)−Ar'により表わされ、ここで:
Zが、独立して、CH、O、S、SO、SO、NおよびNRからなる群から選択され;
rが、0〜4であり;
sが、0〜1である、組成物。
(9)項目5に記載の組成物であって、
ここで:
B'またはWの少なくとも1個が、独立して、Ar'、Ar'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、およびAr'置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルからなる群から選択され;
ここで、Ar'が、1個〜3個の置換基で置換されており、該置換基が、独立して、N-[直鎖もしくは分枝(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニル]カルボキサミド、N,N-ジ-[直鎖もしくは分枝(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニル]カルボキサミド、N-モルホリノカルボキサミド、N-ベンジルカルボキサミド、N-チオモルホリノカルボキサミド、N-ピコリノイルカルボキサミド、O−X、CH−(CH)−X、O−(CH)−X、(CH)−O−XおよびCH=CH−Xからなる群から選択される、組成物。
(10)前記神経栄養因子が、神経成長因子(NGF)、インシュリン成長因子(IGF)およびその活性短縮誘導体、酸性繊維芽細胞成長因子(aFGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)およびニューロトロフィン4/5(NT-4/5)から選択される、項目1または5に記載の組成物。
(11)前記神経栄養因子が、NFGである、項目10に記載の組成物。
(12)神経細胞におけるニューライトの成長を刺激する方法であって、該神経細胞を、以下の式(I)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体を神経栄養量で含有する組成物と接触させる工程を包含する、方法:
【0015】
【化6】

ここで、Aは、O、NHまたはN−(C1-C4アルキル)である;
Bは、水素、CHL-Ar、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C5-C7)シクロアルキル、(C5-C7)シクロアルケニルまたはAr置換した(C1-C6)アルキルまたは(C2-C6)アルケニル、あるいは以下である:
【0016】
【化7】

ここで、LおよびQは、独立して、水素、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルである;そして
Tは、3位および4位に置換基を有するArまたは置換シクロヘキシルであり、該置換基は、独立して、水素、ヒドロキシル、O−(C1-C4)アルキルまたはO−(C2-C4)アルケニルからなる群から選択される;
ここで、Arは、1個〜3個の置換基を有する1-ナフチル、2-ナフチル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジルおよびフェニルからなる群から選択され、該置換基は、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、CF、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたはO−((C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル)、O−ベンジル、O−フェニル、アミノおよびフェニルからなる群から選択される;
Dは、Uである;
Eは、酸素またはCH−Uのいずれかであるが、但し、Dが水素なら、Eは、CH−Uであり、またはEが酸素なら、Dは、水素ではない;
ここで、各Uは、独立して、水素、O−(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたはO−((C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル)、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルで置換した(C5-C7)シクロアルキルまたは(C5-C7)シクロアルケニル、2-インドリル、3-インドリル、[(C1-C4)アルキルまたは(C2-C4)アルケニル]−ArまたはArから選択される;
Jは、水素、またはC1またはC2アルキルである;
Kは、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルである;またはJおよびKは、共に結合して、5〜7員環の複素環式環を形成し、該複素環式環は、O、S、SOまたはSO置換基を有し得る;そして
炭素位置1の立体化学は、RまたはSである。
(13)項目12に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において、
Aが、酸素であり;
Jが、水素またはC1またはC2アルキルであり;
Kが、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルであるか;またはJおよびKは、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し;そして
炭素位置1の立体化学がSである、方法。
(14)項目13に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において、
JおよびKが、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し;
Eが、CH−Uであり;そして
Uが、ジメチルアミノフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリメトキシフェニル、ニトロフェニル、フリル、インドリル、ピリジルまたはメチレンジオキシフェニルである、方法。
(15)項目13に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において、
JおよびKが、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し;
Eが、酸素であり;
Bが、ベンジル、ナフチル、tert-ブチル、水素、E-3-フェニル-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-[トランス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)]-2-メチル-プロプ-2-エニル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘキシルブチル、シクロペンチルプロピル、E-3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニルまたはE-3-[シス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)]-2-メチル-プロプ-2-エニルであり;そして
Dが、フェニル、メトキシフェニル、シクロヘキシル、エチル、メトキシ、ニトロベンジル、チオフェニル、インドリル、フリル、ピリジル、ピリジル-N-オキシド、ニトロフェニル、フルオロフェニル、トリメトキシフェニルまたはジメトキシフェニルである、方法。
(16)神経細胞におけるニューライトの成長を刺激する方法であって、該神経細胞を、以下の式(II)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体を神経栄養量で含有する組成物と接触させる工程を包含する、方法:
【0017】
【化8】

ここで、A'は、CH、酸素、NHまたはN−(C1-C4アルキル)である;
B'およびWは、独立して、以下の(i)または(ii)である:
(i)水素、Ar'、(C1-C10)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルキル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、またはAr'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、ここで、各場合には、該アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖のCH基のいずれか1個は、必要に応じて、O、S、SO、SO、NおよびNRからなる群から選択したヘテロ原子で置き換えられ得る、
ここで、Rは、水素、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルおよび(C1-C4)架橋アルキルからなる群から選択され、そしてここで、該ヘテロ原子含有鎖の窒素と炭素原子との間で架橋が形成されて、環を形成し、ここで、該環は、必要に応じて、Ar'基に縮合されている;または
(ii)
【0018】
【化9】

ここで、Q'は、水素、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルである;そして
T'は、3位および4位に置換基を有するAr'または置換5〜7員環シクロアルキルであり、該置換基は、独立して、オキソ、水素、ヒドロキシル、O−(C1-C4)アルキルおよびO−(C2-C4)アルケニルからなる群から選択される;
ここで、Ar'は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルからなる群から選択した炭素環式芳香族基;または2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H-インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8-ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニルおよびフェノキサジニルからなる群から選択した複素環式芳香族基である;そして
ここで、Ar'は、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノ、カルボキシル、N-[(C1-C5)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C5)直鎖もしくは分枝アルケニル]カルボキサミド、N,N-ジ-[(C1-C5)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C5)直鎖もしくは分枝アルケニル]カルボキサミド、N-モルホリノカルボキサミド、N-ベンジルカルボキサミド、N-チオモルホリノカルボキサミド、N-ピコリノイルカルボキサミド、O−X、CH−(CH)−X、O−(CH)−X、(CH)−O−XおよびCH=CH−Xからなる群から選択される;
ここで、Xは、4-メトキシフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピラジル、キノリル、3,5-ジメチルイソキサゾイル、イソキサゾイル、2-メチルチアゾイル、チアゾイル、2-チエニル、3-チエニルまたはピリミジルである;そして
qは、0〜2である;
Gは、U'である;
Mは、酸素またはCH−U'のいずれかである;
但し、Gが水素なら、Mは、CH−U'であり、またはMが酸素なら、Gは、U'である;
ここで、U'は、水素、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]またはO−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルで置換した(C5-C7)シクロアルキルまたは(C5-C7)シクロアルケニル、[(C1-C4)アルキルまたは(C2-C4)アルケニル]−YまたはYである;
ここで、Yは、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、ピロリジニル、1,3-ジオキソリル、2-イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、および上記Ar'について定義した複素環式芳香族基からなる群から選択される;そして
ここで、Yは、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択される;
J'は、水素、(C1-C2)アルキルまたはベンジルである;
K'は、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルであるか、またはJ'およびK'は、共に結合して、5〜7員環の複素環式環を形成し、該複素環式環は、O、S、SOおよびSOからなる群から選択したヘテロ原子を有し得る;そして
mは、0〜3である;
ここで、該化合物は、式(I)の化合物ではない。
(17)項目16に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において、
B'およびWが、独立して、以下の(i)または(ii)であり:
(i)水素、Ar'、(C1-C10)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルキル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、またはAr'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、ここで、各場合には、該アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖のCH基のいずれか1個は、必要に応じて、O、S、SOまたはSOからなる群から選択したヘテロ原子で置き換えられ得る;または
(ii)
【0019】
【化10】

Ar'が、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択され;そして
Yが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、および上記Arについて定義した複素環式芳香族基からなる群から選択される、方法。
(18)項目16に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において:
B'またはWの少なくとも1個が、独立して、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルキニル;(C5-C7)シクロアルキル置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニル;(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニル;およびAr'置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニルからなる群から選択される、方法。
(19)項目16に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において:
B'またはWの少なくとも1個が、独立して、式−(CH)−(Z)−(CH)−Ar'により表わされ、ここで:
Zが、独立して、CH、O、S、SO、SO、NおよびNRからなる群から選択され;
rが、0〜4であり;そして
sが、0〜1である、方法。
(20)項目16に記載の方法であって、ここで、FKBP12親和性の前記化合物において:
B'またはWの少なくとも1個が、独立して、Ar'、Ar'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、およびAr'置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルからなる群から選択され;そして
ここで、Ar'が、1個〜3個の置換基で置換されており、該置換基が、独立して、N-[直鎖もしくは分枝(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニル]カルボキサミド、N,N-ジ-[直鎖もしくは分枝(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニル]カルボキサミド、N-モルホリノカルボキサミド、N-ベンジルカルボキサミド、N-チオモルホリノカルボキサミド、N-ピコリノイルカルボキサミド、O−X、CH−(CH)−X、O−(CH)−X、(CH)−O−XおよびCH=CH−Xからなる群から選択される、方法。
(21)前記方法が、前記神経細胞を神経栄養因子と接触させる追加工程を包含する、項目12または16に記載の方法。
(22)前記神経栄養因子が、神経成長因子(NGF)、インシュリン成長因子(IGF)およびその活性短縮誘導体、酸性繊維芽細胞成長因子(aFGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)およびニューロトロフィン4/5(NT-4/5)から選択される、項目21に記載の方法。
(23)前記神経栄養因子が、NFGである、項目22に記載の方法。
(24)前記方法が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、発作および発作に関連する虚血、神経パロパシィー、他の神経変性疾患、運動ニューロン疾患、坐骨神経挫傷、脊髄損傷または顔面神経挫傷を患っているかまたは患っていた患者を処置するのに使用される、項目12または16に記載の方法。
(25)前記方法が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、発作および発作に関連する虚血、神経パロパシィー、他の神経変性疾患、運動ニューロン疾患、坐骨神経挫傷、脊髄損傷または顔面神経挫傷を患っているかまたは患っていた患者を処置するのに使用される、項目21に記載の方法。
【0020】
発明の要旨
出願人は、出願人が以前に共同発明した2種類の新規なFKBP12結合化合物がまた、神経栄養活性を保持していることの発見により上で述べた問題点を解決した。出願人は、以前に、PCT特許公報WO92/19593およびWO 94/07858において、FKBP12に結合する一連のアシル化アミノ酸誘導体を記載した。他の一連のFKBP12リガンドは、出願人の米国特許第5,192,773号および第5,330,993号およびPCT特許公報WO92/00278に記載されている。各系列の化合物は、外生または内生のNGFの存在下にて、ニューライトの成長を刺激する。
【0021】
提供した組成物は、上記2種類のうちの1種類に由来の化合物および神経成長因子を含有する。本明細書中に記載の方法は、先に記載の化合物およびそれを含有する組成物を使用してニューライトの成長を達成し、種々の疾患および外傷により引き起こされる神経損傷を処置するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
一実施態様に従って、本発明は、以下のa)、b)およびc)を含有する薬学的組成物を提供する:
a)以下の式(I)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体:
【0023】
【化11】

ここで、Aは、O、NHまたはN−(C1-C4アルキル)である;
ここで、Bは、水素、CHL-Ar、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C5-C7)シクロアルキル、(C5-C7)シクロアルケニルまたはAr置換した(C1-C6)アルキルまたは(C2-C6)アルケニル、あるいは以下である:
【0024】
【化12】

ここで、LおよびQは、独立して、水素、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルである;
ここで、Tは、3位および4位に置換基を有するArまたは置換シクロヘキシルであり、該置換基は、独立して、水素、ヒドロキシル、O−(C1-C4)アルキルまたはO−(C2-C4)アルケニルおよびカルボニルからなる群から選択される;
ここで、Arは、1個〜3個の置換基を有する1-ナフチル、2-ナフチル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジルおよびフェニルからなる群から選択され、該置換基は、独立して、水素、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、CF、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたはO−(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−ベンジル、O−フェニル、アミノおよびフェニルからなる群から選択される;
ここで、Dは、Uである;Eは、酸素またはCH−Uのいずれかであるが、但し、Dが水素なら、Eは、CH−Uであり、またはEが酸素なら、Dは、水素ではない;
ここで、各Uは、独立して、水素、O−(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたはO−(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルで置換した(C5-C7)シクロアルキルまたは(C5-C7)シクロアルケニル、2-インドリル、3-インドリル、[(C1-C4)アルキルまたは(C2-C4)アルケニル]−ArまたはArから選択される;
ここで、Jは、水素、またはC1またはC2アルキルである;Kは、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルである;あるいはここでJおよびKは、共に結合して、5〜7員環の複素環式環を形成し、該複素環式環は、O、S、SOまたはSO置換基を有し得る;
ここで、炭素位置1の立体化学は、RまたはSである;
b)神経栄養因子;および
c)薬学的に適切なキャリア。
【0025】
さらに好ましくは、これらの薬学的組成物において、FKBP12に対して親和性を有する化合物において:
Aは、酸素である;Jは、水素またはC1またはC2アルキルである;Kは、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルである;またはJおよびKは、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成する;そして炭素位置1の立体化学は、Sである。
【0026】
上記好ましい化合物では、JおよびKは、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し、そしてEは、CH−Uであり、Uは、好ましくは、ジメチルアミノフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリメトキシフェニル、ニトロフェニル、フリル、インドリル、ピリジルまたはメチレンジオキシフェニルである。
【0027】
上記好ましい化合物では、JおよびKは、共に結合して、ピロリジルまたはピペリジルを形成し、そしてEは、酸素である;
Bは、好ましくは、ベンジル、ナフチル、tert-ブチル、水素、E-3-フェニル-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-[トランス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)]-2-メチル-プロプ-2-エニル、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルプロピル、シクロヘキシルブチル、シクロペンチルプロピル(cyclopentylopropyl)、E-3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニル、E-3-(3,4-ジメトキシフェニル)-2-メチル-プロプ-2-エニルまたはE-3-[シス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)]-2-メチル-プロプ-2-エニルである;そしてDは、好ましくは、フェニル、メトキシフェニル、シクロヘキシル、エチル、メトキシ、ニトロベンジル、チオフェニル、インドリル、フリル、ピリジル、ピリジル-N-オキシド、ニトロフェニル、フルオロフェニル、トリメトキシフェニルまたはジメトキシフェニルである。
【0028】
本発明の組成物および方法で有用な最も好ましい式(I)の化合物は、式Ia、Ib、IcおよびIdのものがあり、これらは、それぞれ、以下の実施例1に示す表IaからIdに挙げられている。
【0029】
これらの組成物において、FKBP12に対して親和性を有する式(I)の化合物の合成は、米国特許第5,192,773号および第5,330,993号およびPCT特許公報WO92/00278に記載されており、これらの開示は、本明細書中で参考として援用されている。
【0030】
別の実施態様に従って、本発明は、以下のa)、b)およびc)を含有する薬学的組成物を提供する:
a)以下の式(II)を有するFKBP12親和性の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体:
【0031】
【化13】

ここで、A'は、CH、酸素、NHまたはN−(C1-C4アルキル)である;
ここで、B'およびWは、独立して、以下の(i)または(ii)である:
(i)水素、Ar'、(C1-C10)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルキル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、あるいはAr'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、ここで、各場合には、該アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖のCH基のいずれか1個は、必要に応じて、O、S、SO、SO、NおよびNRからなる群から選択したヘテロ原子で置き換えられ得、ここで、Rは、水素、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルおよび(C1-C4)架橋アルキルからなる群から選択され、ここで、該ヘテロ原子含有鎖の窒素と炭素原子との間で架橋が形成されて、環を形成し、そしてここで、該環は、必要に応じて、Ar'基に縮合されている;または
(ii)
【0032】
【化14】

ここで、Q'は、水素、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルである;
ここで、T'は、3位および4位に置換基を有するAr'または置換5〜7員環シクロアルキルであり、該置換基は、独立して、オキソ、水素、ヒドロキシル、O−(C1-C4)アルキルおよびO−(C2-C4)アルケニルからなる群から選択される;
ここで、Ar'は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルからなる群から選択した炭素環式芳香族基;または2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、1,3,5-トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H-インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、1,8-ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニルおよびフェノキサジニルからなる群から選択した複素環式芳香族基である;
ここで、Ar'は、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノ、カルボキシル、N-[(C1-C5)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C5)直鎖もしくは分枝アルケニル]カルボキサミド、N,N-ジ-[(C1-C5)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C5)直鎖もしくは分枝アルケニル]カルボキサミド、N-モルホリノカルボキサミド、N-ベンジルカルボキサミド、N-チオモルホリノカルボキサミド、N-ピコリノイルカルボキサミド、O−X、CH−(CH)−X、O−(CH)−X、(CH)−O−XおよびCH=CH−Xからなる群から選択される;
ここで、Xは、4-メトキシフェニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピラジル、キノリル、3,5-ジメチルイソキサゾリル、イソキサゾイル、2-メチルチアゾイル、チアゾイル、2-チエニル、3-チエニルまたはピリミジルである;そして
qは、0〜2である;
ここで、Gは、U'である;
Mは、酸素またはCH−U'のいずれかである;
但し、Gが水素なら、Mは、CH−U'であり、またはMが酸素なら、Gは、U'である;
ここで、U'は、水素、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]またはO−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニルで置換した(C5-C7)シクロアルキルまたは(C5-C7)シクロアルケニル、[(C1-C4)アルキルまたは(C2-C4)アルケニル]−YまたはYである;
ここで、Yは、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、ピロリジニル、1,3-ジオキソリル、2-イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ピペリジル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、および上記Ar'について定義した複素環式芳香族基からなる群から選択される;
ここで、Yは、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択される;
ここで、J'は、水素、(C1-C2)アルキルまたはベンジルである;
K'は、(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル、ベンジルまたはシクロヘキシルメチルであるか、またはJ'およびK'は、共に結合して、5〜7員環の複素環式環を形成し、該複素環式環は、O、S、SOおよびSOからなる群から選択したヘテロ原子を有し得る;そして
ここで、mは、0〜3である;
b)神経栄養因子;および
c)薬学的に適切なキャリア。式(II)の化合物は、式(I)のいずれの化合物も除外する。
【0033】
さらに好ましくは、これらの薬学的組成物において、FKBP12に対して親和性を有する化合物において:
B'およびWは、独立して、以下の(i)または(ii)であり:
(i)水素、Ar'、(C1-C10)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルキル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、またはAr'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキルまたは(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニル、ここで、各場合には、該アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖のCH基のいずれか1個は、必要に応じて、O、S、SOまたはSOからなる群から選択したヘテロ原子で置き換えられ得る;または
(ii)
【0034】
【化15】

Ar'は、1個〜3個の置換基を有し得、該置換基は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニル、O−[(C1-C4)直鎖もしくは分枝アルキル]、O−[(C2-C4)直鎖もしくは分枝アルケニル]、O−ベンジル、O−フェニル、1,2-メチレンジオキシ、アミノおよびカルボキシルからなる群から選択され;そして
Yは、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル、および上記Ar'について定義した複素環式芳香族基からなる群から選択される。
【0035】
他の好ましい実施態様に従って、式(II)を有するFKBP12親和性の化合物において:
B'またはWの少なくとも1個は、独立して、(C2-C10)直鎖もしくは分枝アルキニル;(C5-C7)シクロアルキル置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニル;(C5-C7)シクロアルケニル置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニル;およびAr'置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルキニルからなる群から選択される。
【0036】
あるいは、B'またはWの少なくとも1個は、独立して、式−(CH)−(Z)−(CH)−Ar'により表わされ、ここで、
Zは、独立して、CH、O、S、SO、SO、NおよびNRからなる群から選択される;
rは、0〜4である;
sは、0〜1である;そして
Ar'およびRは、式IIにおいて上記で定義した通りである。
【0037】
式IIのさらに他の別の実施態様では、B'またはWの少なくとも1個は、独立して、Ar'、Ar'置換した(C1-C6)直鎖もしくは分枝アルキル、およびAr'置換した(C2-C6)直鎖もしくは分枝アルケニルまたはアルキニルからなる群から選択される;
ここで、Ar'は、1個〜3個の置換基で置換されており、該置換基は、独立して、N-[直鎖もしくは分枝(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニル]カルボキサミド、N,N-ジ-[直鎖もしくは分枝(C1-C5)アルキルまたは(C2-C5)アルケニル]カルボキサミド、N-モルホリノカルボキサミド、N-ベンジルカルボキサミド、N-チオモルホリノカルボキサミド、N-ピコリノイルカルボキサミド、O−X、CH−(CH)−X、O−(CH)−X、(CH)−O−XおよびCH=CH−Xからなる群から選択される;そしてAr'、Xおよびqは、上記で定義した通りである。
【0038】
最も好ましくは、この薬学的組成物で使用する式(II)の化合物は、実施例1で示した表2中に挙げた、式(II')の化合物から選択される。
【0039】
式IIの化合物の合成は、出願人のPCT特許公報WO92/19593およびWO 94/07858に詳細に記載され、この開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0040】
本明細書中で使用する、本発明の薬学的組成物および方法で用いられるFKBP12結合化合物は、それらの薬学的に受容可能な誘導体を含有するように、定義される。「薬学的に受容可能な誘導体」とは、本発明の化合物または他のいずれかの化合物(これは、患者に投与すると、直接的もしくは間接的に本発明の化合物、あるいはそれらの代謝物または残留物(residue)を提供でき、ニューライトの成長を促進するかまたは増強する能力によって特徴付けられる)の、任意の薬学的に受容可能な塩、エステルまたはこのようなエステルの塩を表わす。
【0041】
このFKBP12結合化合物の薬学的に受容可能な塩を使用する場合、これらの塩は、好ましくは、無機酸または有機酸および塩基から誘導される。このような酸塩には、以下が挙げられる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウ硫酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート(tosylate)およびウンデカン酸塩。塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩)、N-メチル-D-グルカミン、ならびにアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)の塩などが挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)などのような試薬で四級化できる。それにより、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性の生成物が得られる。
【0042】
本発明の組成物および方法で利用するFKBP12結合化合物はまた、選択的な生物学的特性を高める適切な官能性を付加(append)することにより、改変できる。このような改変は、当該技術分野で公知であり、そして所定の生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透(biologicalpenetration)を高めること、経口利用可能性(availability)を高めること、注射による投与ができるように溶解性を高めること、代謝を変えることおよび排出速度を変えることを含む。
【0043】
本発明のFKBP12結合化合物の神経栄養活性は、それらのFKBP12に対する親和性、およびそれらがFKBP12ロトマーゼ(rotomase)活性を阻害する能力に直接関係している。これらの特性を定量するためには、当該技術分野で公知のいくつかのアッセイが使用できる。例えば、レポーティングリガンドとして標識FK-506を用いる競合LH20結合アッセイは、M.W. Hardingら、Nature、341、pp. 758〜60 (1989年)およびJ. J. Siekierkaら、Nature、341、pp. 755〜57(1989年)により、記載されている。
【0044】
好ましくは、このアッセイは、FKBP12ロトマーゼ活性の阻害を測定している。このようなアッセイはまた、M. W. Hardingら(上記)およびJ. J.Siekierkaら(上記)により、記載されている。このアッセイでは、続いて、人工基質であるN-スクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリドの異性化が分光測光的に行われる。このアッセイは、シス形態のこの基質、FKBP12、阻害剤およびキモトリプシンを含む。キモトリプシンは、トランス形態の基質からp-ニトロアニリドを切断できるが、シス形態のこの基質からは切断できない。p-ニトロアニリドの放出を測定する。
【0045】
上記薬学的組成物のそれぞれの第二成分は、「神経栄養因子」である。本明細書中の用語「神経栄養因子」は、神経組織の成長または増殖を刺激できる化合物を意味する。本願で使用する用語「神経栄養因子」は、本明細書中で記載するFKBP12結合化合物、ならびにFK-506およびラパマイシンを除外する。
【0046】
当該技術分野において、非常に多くの神経栄養因子が同定されており、そしてこれらの因子のいずれも、本発明の組成物で使用できる。これらの神経栄養因子には、神経成長因子(NGF)、インシュリン成長因子(IGF-1)およびその活性短縮型誘導体(例えば、gIGF-1)、酸性および塩基性繊維芽細胞成長因子(それぞれ、aFGFおよびbFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)およびニューロトロフィン4/5(NT-4/5)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において最も好ましい神経栄養因子は、NGFである。
【0047】
本発明の薬学的に受容可能な組成物の第三成分は、薬学的に受容可能なキャリアである。これらの薬学的組成物で使用できる薬学的に受容可能なキャリアには、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸二ナトリウム水素、リン酸カリウム水素、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、マグネシウムトリシリケート、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック共重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の組成物は、経口的、非経口的に、吸入噴霧により、局所的に、直腸から、鼻から、頬から、膣から、またはインプラントされたレザバーを介して、投与できる。本明細書中で使用する用語「非経口的」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、くも膜下内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射(injection)または注入(infusion)技術を含む。好ましくは、この組成物は、経口的、腹腔内または静脈内で投与される。
【0049】
本発明の組成物の無菌の注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の技術に従って、処方できる。この無菌の注射可能な調製物(preparation)はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用できる受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。この目的には、いずれかの穏やか(bland)な固定油が使用でき、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。脂肪酸(例えば、オレイン酸)およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブ油またはひまし油、特に、それらのポリオキシエチル化したバージョン)と同様に、注射可能物の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤(例えば、Ph.Helvまたは類似のアルコール)を含有し得る。
【0050】
本発明の薬学的組成物は、いずれかの経口的に受容可能な用量形態(これには、カプセル、錠剤、および水性懸濁液もしくは水性溶液が含まれるが、それらに限定されない)で、経口的に投与できる。経口用途のための錠剤の場合には、通常使用されるキャリアには、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的には、添加される。カプセル形態の経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液が経口用途に必要とされるとき、その活性成分は、乳化剤および懸濁剤と組み合わされる。所望であれば、特定の甘味料、香料または着色剤もまた、添加し得る。
【0051】
あるいは、本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための座剤の形態で、投与できる。これらは、この試薬と、適切な非刺激性の賦形剤(これは、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で融けて薬物を放出する)とを混合することにより、調製され得る。このような材料には、ココアバター、みつろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0052】
本発明の薬学的組成物はまた、特に、処置の標的が、局所的な適用により容易にアクセスできる領域または器官を含む場合、局所的に投与できる(目、皮膚または下部腸管の疾患を含む)。これらの領域または器官のそれぞれのために適切な局所製剤は、容易に調製される。
【0053】
下部腸管に対する局所適用は、直腸座剤製剤(上記を参照)により、または適切な浣腸製剤にて、行うことができる。局所的な経皮パッチもまた、使用できる。
【0054】
局所的適用のために、この薬学的組成物は、1種またはそれ以上のキャリアに懸濁または溶解した活性成分を含む適切な軟膏で、処方してもよい。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアには、鉱油、液状ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、この薬学的組成物は、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能なキャリアに懸濁または溶解した活性成分を含む適切なローションまたはクリームで処方できる。適切なキャリアには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート 60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール(cetearyl alcohol)、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
眼科用途には、この薬学的組成物は、防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)と共にもしくはそれなしのいずれかで、pHを調整したアイソトニック無菌生理食塩水の微細化懸濁液として、または、好ましくは、pHを調整したアイソトニック無菌生理食塩水の溶液として、処方できる。あるいは、眼科用途には、この薬学的組成物は、軟膏(例えば、ワセリン)に処方できる。
【0056】
本発明の薬学的組成物はまた、鼻エアロゾルまたは鼻吸入により、投与できる。このような組成物は、薬学的製剤の当該技術分野で周知の技術に従って調製され、生理食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティーを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の通常の可溶化剤または分散剤を使用して、調製できる。
【0057】
キャリア材料と組み合わせて、単一用量形態を生成できるFKPB12結合化合物および神経栄養因子の両方の量は、処置される宿主、特定の投与様式に依存して、変わる。本発明の薬学的組成物の2つの活性成分は、ニューライトの成長を刺激するように、相乗的に作用する。従って、このような組成物中の神経栄養因子の量は、その因子だけを使用する単独療法で必要な量より少ない。好ましくは、この組成物は、このような組成物を受容する患者に対して、0.01〜100mg/体重1 kg/1日の間の用量のFKBP12結合タンパク質が投与でき、そして0.01〜100 μg/体重1 kg/1日の間の用量の神経栄養剤が投与できるように、処方すべきである。
【0058】
任意の特定の患者に対する特定の用量および処置レジメンは、種々の要因に依存することもまた理解すべきであり、これには、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食(diet)、投与時間、排出速度、薬物の組合せ、および治療する医師の判断、ならびに処置されるべき特定の疾患の重篤度が含まれる。活性成分の量はまた、この組成物中の特定のFKBP12結合化合物および神経栄養因子に依存する。
【0059】
他の実施態様によれば、本発明は、ニューライトの成長を刺激する方法を提供する。このような方法は、上記FKBP12結合化合物のいずれかで神経細胞を処置する工程を包含する。好ましくは、この方法は、患者のニューライトの成長を刺激するために使用され、そしてこのFKBP12結合化合物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含有する組成物に処方される。これらの方法で使用するFKBP12結合化合物の量は、約0.01mg/体重1 kg/1日と100 mg/体重1 kg/1日の間である。
【0060】
別の実施態様によれば、このニューライト成長を刺激する方法は、神経栄養因子(例えば、本発明の薬学的組成物に含有されているもの)で神経細胞を処置するさらなる工程を包含する。この実施態様は、このFKBP12結合化合物および神経栄養剤を、単一用量形態または別個の複数用量形態で投与することを包含する。別個の用量形態を使用するなら、それらは、同時に、継続的に、または互いの約5時間未満以内に投与できる。
【0061】
好ましくは、本発明の方法は、患者のニューライト成長を刺激するのに使用される。
【0062】
本発明の方法および組成物は、広く種々の疾患または肉体的外傷により起こる神経損傷を処置するのに使用できる。これらには、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、発作(stroke)および発作に関連する虚血、神経パロパシィー(paropathy)、他の神経変性疾患、運動ニューロン疾患、坐骨挫傷(sciaticcrush)、脊髄傷害および顔面神経挫傷が挙げられるが、これらには限定されない。
【0063】
本明細書中に記載の本発明をさらに充分に理解し得るために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的だけのためのものであり、いずれの様式でも、本発明を限定するものとして解釈すべきではないことを理解すべきである。
【実施例】
【0064】
実施例1
FKBP12結合アッセイ
本発明の組成物中に存在する好ましいFKBP12結合化合物によるFKBPロトマーゼ(rotomase)活性の阻害をアッセイした。このアッセイでは、FKBP12およびキモトリプシンの存在下にて、種々の量のFKBP12結合化合物(0.1nM〜10 μM)を、シス-N-スクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリドに添加した。FKBP12は、この基質のシス形態をトランス形態に変換する。これにより、キモトリプシンが、この基質からp-ニトロアニリドを切断できるようになる。p-ニトロアニリドの放出は、分光測光的に測定した。このアッセイにより、FKBP12結合化合物濃度の関数として、このロトマーゼ活性の一次速度定数の変化を測定することが可能になり、そして見掛けのKの推定値が得られた。本発明の組成物および方法で使用する最も好ましいFKBP12結合化合物ならびにそれらの計算Kを、以下に表で示す。
【0065】
【化16】

【0066】
【化17】

【0067】
【化18】

【0068】
【化19】

【0069】
【化20】

【0070】
【化21】

【0071】
【化22】

【0072】
【化23】

【0073】
【化24】

【0074】
【化25】

【0075】
【化26】

【0076】
【化27】

【0077】
【化28】

【0078】
【化29】

【0079】
【化30】

【0080】
【化31】

【0081】
【化32】

【0082】
【化33】

【0083】
【化34】

【0084】
【化35】

実施例2
PC12培養物におけるニューライト成長のアッセイ
本発明で使用するFKBP12結合化合物の神経栄養活性を直接測定するために、W.E. Lyonsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91、pp. 3191〜95 (1994年)に記載のアッセイを行う。
【0085】
PC12ラット褐色細胞腫の細胞を、10%熱不活化ウマ血清(HS)および5%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、37℃で5%COにて維持する。次いで、これらの細胞を、5μg/cmラット尾コラーゲンで被覆した35mm培養ウェルあたり10でプレーティングし、そして付着させる。次いで、この培地を、DMEM+2% HSおよび1% FBS、NGF(1〜100ng/ml)および様々な濃度のFKBP12結合化合物(0.1 nM〜10 μM)で置き換える。コントロール培養物には、FKBP12結合化合物なしでNGFを投与する。
【0086】
本発明で使用するFKBP12結合化合物は、コントロール培養物よりも、ニューライトの成長が著しく増加する。
【0087】
実施例3
後根神経節培養物におけるニューライト成長のアッセイ
本発明で使用するFKBP12結合化合物の神経栄養活性を直接測定する他の方法は、W.E. Lyonsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91、pp. 3191〜95 (1994年)にも記載されている後根神経節培養物アッセイである。
【0088】
このアッセイでは、16日齢のラット胎児から、後根神経節を切開し、そして15%CO環境にて37℃で、N2培地を有するコラーゲン被覆35mmディッシュで培養する。次いで、知覚神経節を、種々の濃度のNGF(0〜100 ng/ml)およびFKB12結合化合物(0.1 nM〜10 μM)で処置する。神経節を、位相差顕微鏡下にて2日ごとに観察し、そして軸策長を測定する。コントロール培養物は、FKBP12結合化合物を欠くか、またはFKBP12結合化合物およびNGFを欠くかのいずれかである。
【0089】
本発明で使用するFKBP12結合化合物は、コントロール培養物(これは、NGFの存在下および非存在下の両方において、このような化合物を欠く)よりも、ニューライトの成長が著しく増加する。
【0090】
以上において、本発明者は、本発明の多くの実施態様を提示しているものの、本発明の方法を利用する他の実施態様を提供するために、その基本的な構造は変えてもよいことが明らかである。従って、本発明の範囲は、例として提示された特定の実施態様ではなく、添付の請求の範囲により定義されることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載されるようなニューライトの成長を刺激するための組成物。

【公開番号】特開2007−308517(P2007−308517A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227995(P2007−227995)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【分割の表示】特願平9−503275の分割
【原出願日】平成8年6月6日(1996.6.6)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】