説明

ネガ型感光性樹脂組成物及びそれを用いたポリイミド樹脂膜、フレキシブルプリント配線板

【課題】 非露光部の現像液による溶解性に優れるとともに露光部の現像液による膜の劣化が少なく、基材との密着性に優れたネガ型感光性樹脂組成物、及びそれを用いたポリイミド樹脂膜、プリント配線板を提供する。
【解決手段】 芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むカルボン酸無水物成分と芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを縮合重合したポリイミド前駆体樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、及び、密着向上剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記密着向上剤が、チアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物であることを特徴とする、ネガ型感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の保護膜の形成等に好適に用いられるネガ型感光性樹脂組成物、及びそれを用いたポリイミド樹脂膜、フレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は耐熱性に優れ、また良好な電気絶縁性を示すことよりプリント配線板の基材、層間接着剤、カバーレイ(保護膜)等として使用されている。また配線の微細化に伴い、保護膜としてのポリイミド樹脂を微細加工するために感光性を持たせることが検討されている。配線形成した基材上に、ポリイミド樹脂を含む感光性樹脂組成物の塗膜を形成した後、マスクを介して紫外線等を照射して露光部を変質させることで、露光部のみ(ポジ型)又は非露光部のみ(ネガ型)を除去することができ、パターン形成が可能となる。
【0003】
ポリイミド前駆体に感光性を付与する方法として、光反応性官能基とアミノ基を有する化合物をポリイミド前駆体にイオン結合で導入する方法が用いられている。特許文献1にはポリイミド前駆体(ポリアミド酸)と、化学線により2量化又は重合可能な炭素−炭素二重結合及びアミノ基又はその四級化塩を含む化合物(光重合性モノマー)と、必要に応じて加える増感剤、光開始剤、共重合モノマーとからなるネガ型の感光材料が開示されている。この感光材料にパターンを介して化学線を照射すると、露光部では、光重合性モノマーが重合すると共に、光重合性モノマーのアミノ基とポリイミド前駆体のカルボキシル基がイオン的に結合して、溶剤溶解性が低下する。その後未露光部を現像液で溶解除去してパターン形成し、加熱、硬化してポリイミド膜が得られる。
【0004】
ポリイミド前駆体に感光性を付与する別の方法としては、エステル結合によって光反応性官能基をポリイミド前駆体に導入するものがある。特許文献2にはこのような感光性ポリイミド前駆体が開示されている。
【0005】
また、特許文献3にはネガ型の感光性ポリイミド樹脂を保護膜として用いた回路基板及び回路付きサスペンション基板が開示されている。回路付きサスペンション基板は、ステンレス等の金属箔基材上に絶縁層を有し、その上に銅などの金属からなる導体層のパターン回路、及びこれを被覆する絶縁層を有する。特許文献2では、金属箔基材上の絶縁層及び導体層を被覆する絶縁層としてネガ型の感光性ポリイミド樹脂を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭54−145794号公報
【特許文献2】特公昭55−41422号公報
【特許文献3】特開平10−265572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネガ型感光性樹脂組成物を使用する場合、非露光部のポリイミド前駆体を現像液で溶解して除去する。露光部のポリイミド前駆体はパターン形成されて残り、加熱硬化されてポリイミド膜となる。良好な現像性を得るためには、非露光部は溶け残りなく素早く溶解すると共に、露光部では現像液による膜の劣化が少なく、基材と強固に密着していることが必要である。
【0008】
さらにポリイミド膜の硬化後、露出した基材上に金メッキ等のメッキ処理を行うことがあるが、ポリイミド膜と基材との密着性が充分でない場合にはメッキ液がポリイミド膜と基材との間に染みこみ、ポリイミド膜の劣化や基材からの剥離が起こる可能性があり、耐メッキ性という点でもポリイミド膜と基材との密着性が必要である。
【0009】
ポリイミド膜と基材との密着性を向上するための手法として、ポリイミド前駆体を含む樹脂組成物中に密着向上剤を添加することが考えられる。しかし密着向上剤を添加することによって、非露光部のポリイミド前駆体樹脂と基材との密着力も強くなってしまい現像時に非露光部の溶け残り(現像残渣)が発生する可能性がある。
【0010】
上記の問題に鑑み、本発明は非露光部の現像液による溶解性に優れるとともに露光部の現像液による膜の劣化が少なく、基材との密着性に優れるネガ型感光性樹脂組成物、及びそれを用いたポリイミド樹脂膜、プリント配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むカルボン酸無水物成分と芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを縮合重合したポリイミド前駆体樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、及び、密着向上剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、前記密着向上剤が、チアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物であることを特徴とする、ネガ型感光性樹脂組成物である。
【0012】
ポリイミドと基材との密着力を向上させるための添加剤としてメラミンやシランカップリング剤等、種々の添加剤が挙げられるが、ネガ型の感光性ポリイミドにおいて密着向上剤としてチアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物を使用することで、現像性(非露光部の現像液による溶解性)を低下させることなく、基材とポリイミド膜との密着力を向上できることを見いだした。
【0013】
前記密着向上剤の含有量は、前記ネガ型感光性樹脂組成物の固形分全体に対して0.02〜2.0重量%とすることが好ましい(請求項2)。含有量が0.02重量%よりも少ない場合には、充分な密着力向上効果が得られない可能性がある。また含有量を2.0重量%よりも多くすると、現像時に非露光部の溶け残りが生じる可能性がある。なおネガ型感光性樹脂組成物の固形分全体とは、ポリイミド前駆体樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、その他の添加剤を含む全ての材料の固形分の総量である。密着向上剤のさらに好ましい含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分全体に対して0.2〜1.0重量%である。
【0014】
前記密着向上剤が、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールであると好ましい(請求項3)。5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールは、特に基材がニッケルメッキ層である場合に、ポリイミド膜と基材との密着力向上効果に優れている。
【0015】
また本発明は、上記いずれかの感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、加熱硬化して得られるポリイミド樹脂膜を提供する。感光性樹脂組成物の塗布後、溶剤を乾燥させた後、加熱硬化する前にマスクを通して露光して現像液で現像すれば任意のパターンを形成したポリイミド樹脂膜を得ることができる。この加熱硬化の過程でポリイミド前駆体(ポリアミック酸)樹脂がポリイミド樹脂となる。
【0016】
さらに本発明は、上記製造方法によって得られ、熱膨張係数が10ppm/℃以上30ppm/℃以下であることを特徴とするポリイミド樹脂膜、及び該ポリイミド樹脂膜を保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供する。
【0017】
ポリイミド樹脂膜の熱膨張係数を10ppm/℃以上30ppm/℃以下とすることで、ステンレス、銅などの金属とポリイミド樹脂膜の熱膨張係数を近づけることができ、これらの金属と組み合わせたフレキシブルプリント配線板において、温度変化による反りを少なくすることができる。より好ましい熱膨張係数の範囲は15ppm/℃以上20ppm/℃以下である。このようなフレキシブルプリント配線板は、特にハードディスクドライブに使用されるサスペンション用の基板として用いられると好ましい。なお熱膨張係数は熱機械分析装置(TMA)により測定することができ、50℃から150℃までの平均値とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、非露光部の現像液による溶解性に優れるとともに露光部の現像液による膜の劣化が少なく、基材との密着性に優れるネガ型感光性樹脂組成物を得ることができる。またこのネガ型感光性樹脂組成物を用いることで、膜の劣化の少ないポリイミド樹脂膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を構成するポリイミド前駆体樹脂(ポリアミック酸)は、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と芳香族ジアミンを含むジアミン成分との縮合重合によって得られる。この縮合重合反応は、従来のポリイミドの合成と同様な条件で行うことができる。
【0020】
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボンキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物等が例示される。
【0021】
中でも、下記式(I)で表される3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)はビフェニル骨格を持つ剛直な構造であり、ポリイミド樹脂の熱膨張係数を低くできるため好ましい。BPDAの含有量は芳香族テトラカルボン酸二無水物成分の合計量に対して50モル%以上とすることが好ましい。このようなモノマー構成とすることで剛直な成分であるビフェニル骨格を持つモノマーの含有量を多くすることができ、ポリイミドの熱膨張係数を低くすることができる。
【0022】
【化1】

【0023】
ポリイミド前駆体樹脂は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と2種類以上のジアミンとを縮合重合したものであり、前記ジアミン又は前記芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ビフェニル骨格を持つモノマーを2種類以上含有すると共に、該ビフェニル骨格を持つモノマーの含有量は、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの合計量に対して50モル%以上であり、前記ジアミンとして、テトラメチルジシロキサン骨格を持つジアミンを、ジアミン合計量に対して0.5モル%以上5モル%以下含有することが好ましい。
【0024】
剛直な成分であるビフェニル骨格を持つモノマーを2種類以上用い、その含有量を50モル%以上とすることで、熱膨張係数を低くすることができ、かつ良好な現像性を得ることができる。同時に柔軟なテトラメチルジシロキサン骨格を持つジアミンを少量用い、ジシロキサン骨格をポリマー主鎖に導入することによって、基板との密着性を向上できると共に、ポリイミド樹脂の透明性(i線透過性)を向上できる。尚、ビフェニル骨格を持つモノマーは芳香族テトラカルボン酸二無水物、ジアミンのいずれであっても良いが、芳香族テトラカルボン酸二無水物、ジアミンの両方にビフェニル骨格を持つモノマーを使用することが好ましい。
【0025】
ジアミンとしては、2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis−A−AF)パラフェニレンジアミン(PPD)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,3’−ジヒドロキシ4,4’−ジアミノビフェニル、4、4’−ジヒドロキシ3,3’−ジアミノビフェニル等が例示できる。
【0026】
この中でも、式(II)で表される2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)や式(III)で表される2,2’−ビス(トリフルオロメチル)4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)は、ビフェニル骨格を持つ剛直な構造であり、ポリイミド樹脂の熱膨張係数を低くできる点で好ましい。
【0027】
【化2】

【0028】
【化3】

【0029】
ビフェニル骨格を持つモノマーは、芳香族テトラカルボン酸二無水物であってもジアミンであっても良く、モノマー成分全体(芳香族テトラカルボン酸とジアミンの合計量)に対して50モル%以上とすると好ましい。さらに好ましいビフェニル骨格を持つモノマーの含有率は、70%以上である。
【0030】
また、ジアミンとしてテトラメチルジシロキサン骨格を持つジアミンを、ジアミン成分全体に対して0.5モル%以上5モル%以下含有する必要がある。テトラメチルジシロキサン骨格を持つジアミンを少量含有することでポリイミド樹脂の接着性が向上する。テトラメチルジシロキサン骨格を持つジアミンの量が0.5モル%未満では上記の効果を充分に得ることができない。一方、5モル%を超えるとポリイミド樹脂の熱膨張係数が大きくなる。
【0031】
テトラメチルジシロキサン骨格を持つジアミンとは、シロキサン骨格を有しその末端に一級アミノ基を2つ有する化合物である。例えば下記式(IV)で表される物が広く採用されている。
【0032】
【化4】

【0033】
上記の他に、下記構造式で表される物も例示される。
【0034】
【化5】

【0035】
さらに、ジアミン又は芳香族テトラカルボン酸二無水物として、フッ素化モノマーをジアミン成分全体に対して20モル%以上70モル%以下含有すると好ましい。フッ素化モノマーを含有することでポリイミド樹脂の透明性(光透過性)を向上することができ、また溶解性が向上するので厚膜での現像性が向上する。
【0036】
フッ素化モノマーとしては上記の2,2’−ビス(トリフルオロメチル)4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)や、式(VI)で表される2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BIS−A−AF)等が例示できる。
【0037】
【化6】

【0038】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を構成するポリイミド前駆体樹脂のGPC測定による重量平均分子量は20000〜400000の範囲が好ましい。重量平均分子量がこの範囲を超える場合は組成物の印刷性の低下、現像時の抜け残り等を発生しやすくなる。一方、重量平均分子量がこの範囲未満の場合は現像時に膜劣化が生じる、皮膜の機械強度が不十分になる、等の問題を生じる場合がある。
【0039】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を構成する密着向上剤として、チアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物を使用する。チアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物としては、式(VII)で表される5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、式(VIII)で表される1,3,4−チアジアゾール−2,5−チオール、式(IX)で表される5―メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、式(X)で表される1H−1,3,4−トリアゾール−3−チオール等が挙げられる。
【0040】
これらの密着向上剤は、現像性を損なうことなく基材とポリイミド膜との密着性を向上させる効果に優れている。特に基材がニッケルである場合に密着力向上効果が高い。
【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を構成する光重合性モノマーは、X線、電子線、紫外線等を照射(露光)することで架橋する光反応性官能基を持つモノマーである。本発明では、光重合性モノマーとして、不飽和二重結合等の光反応性官能基と、アミノ基とを有する化合物を使用することが好ましい。このような化合物として、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン、メタクリロイルピペリジン、クロトンアミド、N−メチルクロトンアミド、N−イソプロピルクロトンアミド、N−ブチルクロトンアミド、酢酸アリルアミド、プロピオン酸アリルアミドなどが例示される。光重合性モノマーはポリイミド前駆体樹脂のカルボキシル基に対して1〜1.5当量の範囲で配合することが好ましい。
【0046】
さらに本発明では、光重合性モノマーとして光反応性官能基とグリシジル基を有する化合物を少量添加してもよい。光反応性官能基とグリシジル基を有する化合物としてはグリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどのグリシジル(メタ)アクリレートを使用することができる。その他には、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルやアリルグリシジルエーテルなどの化合物も使用できる。
【0047】
本発明の感光性樹脂組成物を構成する光重合開始剤としては、i線(波長365nm)吸収タイプとしてはα−アミノケトン型のもの、g線(波長436nm)吸収タイプとしてはチタノセン化合物等のメタロセン系のものがそれぞれ好ましく用いられる。いずれの開始剤も、ポリイミド前駆体樹脂固形分に対して0.1〜10重量%配合することによって良好な現像性が得られる。厚膜を形成する場合には、低CTEポリイミドの前駆体では、長波長側の吸収が存在するため、g線吸収タイプの光重合開始剤を用いることが望ましい。
【0048】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、上記のポリイミド前駆体樹脂と光重合性モノマー、重合開始剤を混合することで得ることができる。また本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、種々の添加剤を含有していても良い。添加剤としては、現像時の視認性向上のための染料、顔料としてフェノールフタレイン、フェノールレッド、ニールレッド、ピロガロールレッド、ピロガロールバイレット、ディスパースレッド1、ディスパースレッド13、ディスパースレッド19、ディスパースオレンジ1、ディスパースオレンジ3、ディスパースオレンジ13、ディスパースオレンジ25、ディスパースブルー3、ディスパースブルー14、エオシンB、ロダミンB、キナリザリン、5−(4−ジメチルアミノベンジリデン)ロダニン、アウリントリカルボキシアシド、アルミノン、アリザリン、パラローザニリン、エモジン、チオニン、メチレンバイオレット、ピグメントブルー、ピグメントレッド等が例示できる。また非露光部の溶解促進を向上するための添加剤としてベンゼンスルホンアミド、N−メチルベンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド、N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−t−ブチルベンゼンスルホンアミド、N,N−ジ−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアニリド、N,N−ジフェニルベンゼンスルホンアミド、N−p−トリルベンゼンスルホンアミド、N−o−トリルベンゼンスルホンアミド、N−m−トリルベンゼンスルホンアミド、N,N−ジ−p−トリルベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、N,N−ジメチル−p−トルエンスルホンアミド、N−n−ブチル−p−トルエンスルホンアミド、N−t−ブチル−p−トルエンスルホンアミド、N,N−ジ−n−ブチル−p−トルエンスルホンアミド、N−フェニル−p−トルエンスルホンアミド、N,N−ジフェニル−p−トルエンスルホンアミド、N−p−トリル−p−トルエンスルホンアミド、N−m−トリル−p−トルエンスルホンアミド、N,N−ジ−p−トリル−p−トルエンスルホンアミド、N,N−ジ−m−トリル−p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、N−メチル−o−トルエンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、N,N−ジメチル−o−トルエンスルホンアミド、N−n−ブチル−o−トルエンスルホンアミド、N−t−ブチル−o−トルエンスルホンアミド、N,N−ジ−n−ブチル−o−トルエンスルホンアミド、N−フェニル−o−トルエンスルホンアミド、N,N−ジフェニル−o−トルエンスルホンアミド、N−p−トリル−o−トルエンスルホンアミド、N−m−トリル−o−トルエンスルホンアミド、N,N−ジ−p−トリル−o−トルエンスルホンアミド、N,N−ジ−m−トリル−o−トルエンスルホンアミド、ナフタレンスルホンアミド、N−メチルナフタレンスルホンアミド、N−エチルナフタレンスルホンアミド、N,N−ジメチルナフタレンスルホンアミド、N−n−ブチルナフタレンスルホンアミド、N−t−ブチルナフタレンスルホンアミド、N,N−ジ−n−ブチルナフタレンスルホンアミド、N−フェニルナフタレンスルホンアミド、N,N−ジフェニルナフタレンスルホンアミド、N−p−トリルナフタレンスルホンアミド、N−o−トリルナフタレンスルホンアミド、N−m−トリルナフタレンスルホンアミド、N,N−ジ−p−トリルナフタレンスルホンアミド、N,N−ジ−m−トリルナフタレンスルホンアミド、2,3−ジメチルベンゼンスルホンアミド、N−メチル−2,3−ジメチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチル−2,3−ジメチルベンゼンスルホンアミド、p−エチルベンゼンスルホンアミド、N−メチル−p−エチルベンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド、N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチル−p−エチルベンゼンスルホンアミド等が例示できる。
【0049】
上記のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布する工程、得られた膜を加熱して溶媒を除去する工程、溶媒を除去した膜に対して、マスクを通して露光する工程、現像液を用いて現像する工程、現像後の膜を加熱硬化する工程により、ポリイミド樹脂膜が得られる。
【0050】
感光性樹脂組成物の塗布は、スクリーン印刷やスピンコート等、一般的な方法を用いることができる。またその後の工程についても、従来のネガ型感光性樹脂組成物を使用する場合と同様に行うことができる。
【0051】
このようにして得られたポリイミド樹脂膜は厚膜成形が可能であり、現像時の膜厚を20μm以上にできる。また熱膨張係数を10ppm/℃以上30ppm/℃以下とすることができる。ステンレスの熱膨張係数は約17ppm/℃、銅の熱膨張係数は約19ppm/℃であるため、ポリイミド樹脂膜の熱膨張係数を10ppm/℃以上30ppm/℃以下、さらに好ましくは15ppm/℃以上20ppm/℃以下とすることで、ポリイミド樹脂膜の熱膨張係数を金属の熱膨張係数により近づけることができ、両者を組み合わせた場合に、温度変化による反りの少ない製品を得ることができる。
【0052】
なお、熱膨張係数は熱機械分析装置(TMA)により測定することができ、ここでは50℃から150℃までの平均値とする。
【0053】
また本発明は、上記のポリイミド樹脂膜を保護膜として有するフレキシブルプリント配線板を提供する。例えばポリイミド基材の片面に銅等の金属からなる導体配線を有し、その導体配線上に上記のポリイミド樹脂膜をカバーレイフィルム(保護膜)として有する片面フレキシブルプリント配線板が例示できる。またステンレス等の金属箔基材上にポリイミド等の絶縁層を有し、その上に銅等の金属からなる導体配線(回路)を有し、その導体配線上に上記のポリイミド樹脂膜を保護膜として有する回路付きサスペンション基板も例示できる。導体配線(回路)はニッケルメッキして使用されることがあり、この場合、特にポリイミド膜と導体配線との密着力が向上して好ましい。また、上記のポリイミド樹脂膜を金属箔基材上の絶縁層として使用することも可能である。この回路付きサスペンション基板は、ハードディスクドライブに使用されるサスペンション用の基板として用いられる。
【0054】
次に発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)35.5g(120mmol)、p−フェニレンジアミン(PPD)19.4g(180mmol)をN−メチルピロリドン700gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)44.2g(150mmol)とピロメリット酸二無水物(PMDA)32.7g(150mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。その後60℃で20時間撹拌し反応を終えた。合成した共重合ワニスの固形分は16.5%であり、24℃での粘度は20,000cpsであった(B型粘度計で測定)。このワニスに、密着向上剤として5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールをワニスの固形分全体に対して0.5重量%混合すると共に、光重合性モノマーであるメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルをポリアミック酸のカルボン酸に対して1.2当量、重合開始剤として2−ベンジル2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンとビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタンをワニス固形分全体に対してそれぞれ4%と2%混合し、さらにベンゼンスルホンアニリドをワニスの固形分全体に対して5%混合し、ネガ型感光性樹脂組成物を作製した。
【0056】
厚み40μmの銅箔上に上記ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法によって塗布した後、90℃で30分間加熱乾燥して厚み20μmの感光性ポリイミド前駆体の被膜を形成した。次いでネガ型のテストパターンを介し露光量500mJ/cmで紫外光を照射した後、105℃で10分間ポストベークを行った。続いて有機溶剤系現像液を用いて30℃で現像処理を行い、蒸留水で十分洗浄した後、窒素気流で強制風乾燥した。その後、窒素雰囲気下で120℃で30分間、220℃で30分間、340℃で60分間の熱処理を行ってポリイミド前駆体のイミド化を行ったところ、膜減りもほぼなく良好な現像パターンを保ったポリイミド樹脂膜が得られた。得られた硬化後ポリイミド膜の熱膨張係数は17ppm/℃、残膜率は85%であった。なお、熱膨張係数はセイコーインスツルメンツ(株)製熱応力歪測定装置「TMA/SS120C」を用いたTMA測定(引張試験)で行い、温度範囲−50℃→200℃→−50℃の温度上昇、下降の両方で測定して、50℃から150℃までの温度範囲での平均値を求めた。得られたサンプルを5.0mm幅に切断して180°剥離試験を行い、銅とポリイミド膜との接着力を測定したところ、銅に対する接着力は0.9kgf/cmであった。
【0057】
銅箔上に無電解ニッケルメッキを施した基材上に上記ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法によって塗布した後上記と同様の条件で処理して、ニッケルとポリイミド膜との接着力を測定した。ニッケルに対する接着力は0.7kgf/cmであった。
【0058】
(比較例1)
密着向上剤としての5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行って銅箔上及び無電解ニッケルメッキした銅箔上にプリベーク後の厚みが20μmであるポリイミド膜を作成した。膜減りもほぼなく良好な現像パターンを保ったポリイミド樹脂膜が得られたが、銅及びニッケルとの接着力を評価したところ、銅に対する接着力は0.5kgf/cm、ニッケルに対する接着力は0.3kgf/cmであり、実施例1と比較すると接着力が低い。
【0059】
(実施例2)
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)43.2g(135mmol)、2,2’−ジメチル4,4’−ジアミノビフェニル(mTBHG)33.8g(159mmol)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(APDS)1.49g(6.0mmol)をN−メチルピロリドン700gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)44.2g(150mmol)とピロメリット酸二無水物(PMDA)32.7g(150mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。その後60℃で20時間撹拌し反応を終えた。合成した共重合ワニスの固形分は18.2%であり、24℃での粘度は24,000cpsであった(B型粘度計で測定)。このワニスに密着向上剤として5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールをワニスの固形分全体に対して0.27重量%混合すると共に、光重合性モノマーであるメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルをポリアミック酸のカルボン酸に対して1.2当量、重合開始剤として2−ベンジル2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンとビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタンをワニス固形分全体に対してそれぞれ4%と2%混合し、さらにベンゼンスルホンアニリドをワニスの固形分全体に対して5%混合し、ネガ型感光性樹脂組成物を作製した。
【0060】
得られたネガ型感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行って銅箔上及び無電解ニッケルメッキした銅箔上にプリベーク後の厚みが20μmであるポリイミド膜を作成した。膜減りもほぼなく良好な現像パターンを保ったポリイミド樹脂膜が得られた。得られた硬化後ポリイミド膜の熱膨張係数は17ppm/℃、残膜率は85%であった。銅及びニッケルとの接着力を評価したところ、銅に対する接着力は1.0kgf/cm、ニッケルに対する接着力は0.7kgf/cmであり、実施例1と同様に基材との密着性は良好である。
【0061】
(実施例3〜6、比較例2)
5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの添加量を表1に示す量にしたこと以外は実施例2と同様の操作を行ってニッケル上にプリベーク後の厚みが20μmであるポリイミド膜を作成してニッケルとの接着力を評価した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールを添加していない比較例2と比べると、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールを0.07重量%添加した実施例3では接着力が0.44kgf/cmとわずかではあるが接着力が向上している。5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールの添加量が増えるに従ってニッケルに対する接着力は向上し、添加量が0.2重量%〜1.0重量%の範囲である実施例2、実施例5、実施例6では接着力が0.6kgf/cmとなり、添加量をこの範囲にすることが特に好ましいことがわかる。なお比較例2のワニスでは銅に対する接着力も評価し、結果は0.52kgf/cmであった。
【0064】
(実施例7)
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)48.0g(150mmol)、p−フェニレンジアミン(PPD)16.2g(150mmol)をN−メチルピロリドン700gに溶解させた後、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)88.3g(300mmol)を加えて窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。その後60℃で20時間撹拌し反応を終えた。合成した共重合ワニスの固形分は16.2%であり、24℃での粘度は24,000cpsであった(B型粘度計で測定)。このワニスに密着向上剤として5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールをワニスの固形分全体に対して0.7重量%混合すると共に、光重合性モノマーであるメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルをポリアミック酸のカルボン酸に対して1.2当量、また重合開始剤として2−ベンジル2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノンとビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル]チタンをワニス固形分全体に対してそれぞれ1%と3%混合し、さらにベンゼンスルホンアニリドをワニス固形分全体に対して6%混合し、ネガ型感光性樹脂組成物を作製した。
【0065】
得られたネガ型感光性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行って銅箔上及び無電解ニッケルメッキした銅箔上にプリベーク後の厚みが20μmであるポリイミド膜を作成した。膜減りもほぼなく良好な現像パターンを保ったポリイミド樹脂膜が得られた。得られた硬化後ポリイミド膜の熱膨張係数は16ppm/℃、残膜率は85%であった。銅及びニッケルとの接着力を評価したところ、銅に対する接着力は0.71kgf/cm、ニッケルに対する接着力は0.73kgf/cmであり、実施例1と同様に基材との密着性は良好である。
【0066】
(比較例3〜11)
密着向上剤の種類及び添加量を表2に示すものに変更したこと以外は実施例7と同様の操作を行って銅箔上及び無電解ニッケルメッキした銅箔上にプリベーク後の厚みが20μmであるポリイミド膜を作成し、銅及びニッケルに対する接着力を評価した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
(*1)(日本サイテックインダストリーズ(株)製、サイメル(登録商標)303:ヘキサメトキシメラミン)
(*2)信越化学工業(株)製、KBM−573
(*3)(シプロ化成(株)製、SEETEC BT−R)
【0069】
評価基準は、銅に対する接着力を0.7kgf/cm以上、ニッケルに対する接着力を0.4kgf/cm以上とする。密着向上剤として5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールを用いた実施例1〜3ではどちらも評価基準を満たしている。密着向上剤としてメラミン化合物を用いた比較例4、5では、密着向上剤を添加していない比較例3と比べて銅に対する接着力は少し向上しているがニッケルに対する接着力はほとんど変化が無い。シランカップリング剤を用いて添加量を0.70重量%とした比較例7では、若干ニッケルに対する接着力が向上しているが、逆に銅に対する接着力は低くなり評価基準を満たしていない。ベンゾトリアゾールを用いた比較例8、9では銅、ニッケルともに接着力向上効果が見られない。これらの結果より、チアジアゾール骨格とチオール基とを有する化合物である5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールを用いることで顕著な接着力向上効果があることがわかる。
【0070】
(実施例4)
SUS/低CTEポリイミド/銅微細配線(最小部のL/S20μmピッチ)基材を準備し、銅微細配線を無電解ニッケルメッキした後に、実施例2で使用したネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート法によって塗布した後、90℃で30分間加熱乾燥して厚み20μmの感光性ポリイミド前駆体の被膜を形成した。次いでネガ型のテストパターンを介し露光量1000mJ/cmで紫外光を照射した後、105℃で20分間ポストベークを行った。続いて有機溶剤系現像液を用いて30℃で現像処理を行い、蒸留水で十分洗浄した後、窒素気流で強制風乾燥した。その後、窒素雰囲気下で徐々に加熱しながら温度を上げ、最終的に350℃で2時間の熱処理を行ってポリイミド前駆体のイミド化を行ったところ、膜減りもほぼなく良好な現像パターンを保ったポリイミド樹脂膜が得られた。この後、露出している導体(ニッケルメッキした銅)に対して金メッキ処理を行ったところ、問題なく金メッキが可能であり、ポリイミド膜へのメッキ液の染みこみやポリイミド膜の剥がれ等は観察されなかった。
【0071】
密着向上剤を添加していない比較例2のネガ型感光性樹脂組成物を使用し、実施例4と同様の操作を行った。金メッキ後のサンプルには、ポリイミド膜の一部にメッキ液の染みこみが見られ、耐金メッキ性が悪いことがわかった。
【0072】
以上の結果から、密着向上剤としてチアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物を用いた実施例1〜3のネガ型感光性樹脂組成物では、銅及びニッケルに対する密着力が高く、更に実施例2の配合では耐金メッキ性も良好であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族テトラカルボン酸二無水物を含むカルボン酸無水物成分と芳香族ジアミンを含むジアミン成分とを縮合重合したポリイミド前駆体樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、及び、密着向上剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記密着向上剤が、チアジアゾール骨格又はトリアゾール骨格とチオール基とを有する化合物であることを特徴とする、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記密着向上剤の含有量が、前記ネガ型感光性樹脂組成物の固形分全体に対して0.02重量%〜2.0重量%である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記密着向上剤が、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールである、請求項1又は2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を製膜し、加熱硬化して得られるポリイミド樹脂膜。
【請求項5】
熱膨張係数が10ppm/℃以上30ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項4に記載のポリイミド樹脂膜。
【請求項6】
請求項5に記載のポリイミド樹脂膜を、保護膜として有するフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
ハードディスクドライブに使用されるサスペンション用の基板として用いられることを特徴とする、請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板。

【公開番号】特開2011−28005(P2011−28005A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173783(P2009−173783)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】