説明

ネットワーク基盤のロボット制御システム及びネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法

【課題】ネットワーク基盤のロボット制御システム及びネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法を提供すること。
【解決手段】クライアントが上記ロボットにより撮影された映像データフレームの受信状態に応じてロボットの制御速度を計算し、計算されたロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成してロボットに送ることで、ロボットに、ロボット制御メッセージに含まれているロボット制御速度に応じて速度を変更させる。これにより、クライアントの映像データの受信状態に応じてロボットの速度を制御することから、ユーザーにクライアントの性能とは無関係に円滑にロボットの制御を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボット制御システムに係り、特に、ネットワーク基盤のロボット制御システム及びネットワーク基盤のロボット制御システムにおいてロボット速度を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種の感覚に対応するセンサーをもって、特定の指令に従って自ら判断して行動する機械をロボットという。この種のロボットは、ユーザーが与える役目により使い分けられるが、近年、掃除用のロボット、玩具型のロボットなどのヒューマンロボットへと次第に発展しており、さらには、1台のロボットが多数の機能を併せ持つように開発されている。
【0003】
また、ロボットは、人間とのコミュニケーションにより各種のサービスを提供可能に開発されているが、最近に至っては、URC(Ubiquitous Robotic Companion)システムなどのネットワーク技術を基にロボットを制御可能にするシステムが開発されている。
【0004】
ネットワーク基盤のロボット制御システムにおいて、ユーザーは、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェブパッド、携帯電話、パソコンなどのクライアントを用いて遠隔にてロボットを制御することができる。クライアントは、ユーザーの要求を受け、インターネット、無線LAN、移動通信網(CDMA、GSM)などの有無線ネットワークを介して遠隔にてロボットを制御する。ロボットは、クライアントの制御による動作を行い、映像データをクライアントに与える。これにより、ユーザーは、ロボットの制御に際し、クライアントの画面を介してロボットからの映像を目視しながらロボットを制御する。
【0005】
ところが、クライアントは、その種別ごとにプロセッサの性能が異なり、且つ、相異なる通信環境下に置かれている。例えば、普通の場合、パソコンは、データ処理能力が良好であり、データの転送速度が高いのに対し、携帯電話やPDAなどはパソコンよりもデータ処理能力に劣っており、データの転送速度も低い。
【0006】
もし、それぞれのクライアントにロボットの映像データを同じ映像データパケットとして与えた場合、データ処理能力が良好であり、しかも、データの受信速度が高いクライアントの場合、映像データパケットを成功的に受信して処理することができる。しかし、データ処理能力が悪く、しかも、データ受信速度が低いクライアントの場合、映像データパケットの受信を成功的に行うことが困難であり、受信された映像データを処理することができないため、動作が止まったり、エラーが生じたりする可能性がある。
【0007】
このため、従来には、クライアントの映像データの受信速度及びデータ処理能力によって各クライアントに与えられる1秒当たりの映像データパケット量を調節したり、映像データの画質を調節していた。
【0008】
例えば、従来には、データ処理能力が良好であり、データの受信速度が高いクライアントの場合、ロボットからの映像データパケットの受信及び処理が迅速に行われることから、ロボットからの映像データパケットをそのままクライアントに転送していた。これに対し、データ処理能力に劣っており、データの受信速度が低いクライアントの場合、映像データパケットの受信が遅いため、ロボットからの映像データパケットの数を低減してからクライアントに転送していた。
【0009】
データ処理能力が良好であり、データ受信速度が高いクライアント場合、ロボットからの映像データパケットがそのままクライアントに転送されるため、クライアントの画面には映像が途切れることなくスムーズに表示され、ユーザーがロボットを制御する上で特に問題がない。しかしながら、データ処理能力が劣っており、データの受信速度が低いクライアントの場合、ロボットからの映像データパケットがいずれも受信されるのではなく、飛び飛びに受信されるため、画面にはロボットからの映像がスムーズに連続することなく、途切れて表示されてしまう。このため、ユーザーは、データ処理能力が劣っており、データの受信速度が低いクライアントに表示される映像を用いて、現在ロボットがいかなる状態にあるのかが判断し難くなり、その結果、ロボットの制御が困難になるという問題点がある。
【0010】
例えば、ロボットが1秒当たり10フレームの映像データパケットを与えるとしたとき、従来には、パソコンなどの高性能のクライアントにはロボットからの1秒当たり10フレームの映像データパケットをそのまま与え、携帯電話などの低性能のクライアントには、ロボットからの映像データパケットを1秒当たり10フレーム以下(例えば、7または5フレーム)に低減してから与えていた。ところが、この場合、高性能のクライアントに与えられて表示される映像は、ロボットの移動速度と略等速にて変わるが、低性能のクライアントに与えられて表示される映像は、決してロボットの移動速度でなめらかに変わることはない。このことは、ユーザーにとって、ロボットを制御し難くなるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クライアントの映像データの受信状態に応じてロボットの速度を制御することにより、ユーザーにロボットの制御を円滑に行わせるネットワーク基盤のロボット制御システム及び方法を提供するところにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、ロボットの速度をクライアントに与えられて表示される映像データの画面の変化速度に合わせて制御するネットワーク基盤のロボット制御システム及び方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の問題点を解決するために、本発明は、ネットワーク基盤のロボット制御システムであって、所定の動作の実行に伴い撮影される映像データフレームを与え、ロボット制御メッセージを受信するとき、受信されたロボット制御メッセージに含まれているロボットの制御速度によって速度を変更するロボットと、上記ロボットからの映像データフレームを受信し、受信された映像データフレームをクライアントの性能によって処理して送るサーバーと、上記サーバーを介して上記ロボットによって撮影された映像データフレームを受信し、上記映像データフレームの受信状態によってロボットの制御速度を計算し、ロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成して上記ロボットに送るクライアントと、を備える。
【0014】
さらに、本発明は、ネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法であって、上記ロボットによって撮影された映像データフレームを受信するステップと、上記映像データフレームの受信状態によってロボットの制御速度を計算するステップと、上記ロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成して上記ロボットに送るステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるシステムは、クライアントによる映像データの受信状態に応じてロボットの速度を制御することから、ユーザーがクライアントの性能に影響されることなく円滑にロボットを制御することができる。
【0016】
すなわち、本発明は、クライアントによる映像データの受信状態に応じてロボットの速度を制御することから、受信された映像データフレームの枚数が少ない場合であっても、ロボットの映像データをクライアントの画面に途切れることなくスムーズに表示することができる。これにより、本発明によれば、ユーザーがクライアントの画面に表示される映像データを目視しながら円滑にロボットを制御することができる。
【0017】
さらに、本発明は、ロボットの速度を制御するためのメッセージを簡単なパケットにすることから、ロボット速度の制御に際し、クライアントとサーバーとの通信を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明による好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成や機能の詳細については、本発明の要旨を曖昧にしないために省略している。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態によるネットワーク基盤のロボット制御システムの構成図である。図1を参照すると、本発明の実施の形態によるネットワーク基盤のロボット制御システムは、クライアント100、有無線ネットワーク150、URCサーバー200、アクセスポイント250、ロボット300を備える。
【0020】
クライアント100は、PDA、ウェブパッド101、携帯電話102、パソコン103などの有無線通信端末であっても良く、ユーザーの要求により、有無線ネットワーク150を介してURCサーバー200に接続して認証される。クライアント100は、認証時に自分のIDとパスワードをURCサーバー200に与え、クライアントの種別に関する情報をさらに与える。例えば、クライアント100は、自分がPDAであれば、その旨を知らせる情報、パソコンであれば、その旨を知らせる情報、携帯電話であれば、その旨を知らせる情報をURCサーバー200に与える。
【0021】
また、クライアント100は、ロボットの制御のためのロボット制御メッセージをURCサーバー200に送り、URCサーバー200からロボット300の映像データパケットを受信して出力する。そして、クライアント100は、ロボット300の映像データパケットを受信すると、1秒当たりの受信映像データフレームの枚数によってロボットの適正な制御速度を計算し、この計算結果に基づき、ロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成してURCサーバー300に送る。
【0022】
有無線ネットワーク150はTCP/IP基盤の有無線網であって、インターネット、無線LAN、移動通信網(CDMA、GSM)などであっても良い。この有無線ネットワーク150は、クライアント100とURCサーバー200とのデータ通信を中継する。
【0023】
URCサーバー200は、クライアント100が接続されると、認証過程を行い、クライアント100からのIDとパスワードからクライアント100の種別を認識する。そして、URCサーバー200は、クライアント100の種別によってロボット300からの映像データパケットを処理して送る。例えば、URCサーバー200は、クライアント100がパソコンであるか、PDAであるか、それとも、携帯電話であるかによってロボット300からの映像データフレームの枚数を調節するか、あるいは、画質を変える。そして、URCサーバー200は、クライアント100の種別によって、処理された映像データパケットを当該クライアント100に送る。アクセスポイント250は、URCサーバー200とロボット300との中継機であって、URCサーバー200とロボット300とのデータの送受信を可能にする。
【0024】
ロボット300は、Baucus2301、Imaro3302、Cubo303、Watchdog304などの各種の知能ロボットであっても良い。このロボット300は、URCサーバー200を介してクライアント100からのロボット制御メッセージを受信する。そして、ロボット300は、受信されたロボット制御メッセージに含まれている制御指令に基づいて動作し、動作中に撮影される映像に対する映像データフレームをURCサーバー200に送る。また、ロボット300は、受信されたロボット制御メッセージに含まれているロボットの制御速度によって自分の速度(例えば、移動速度またはカメラ速度)を変更する。
【0025】
これにより、本発明の実施の形態によるネットワーク基盤のロボット制御システムは、クライアント100の映像データの受信状態によってロボット300の速度を変更することにより、たとえ映像データの受信状態が悪い場合であっても、ロボット300からの映像データが途切れることなく、クライアント100の画面にスムーズに表示される。その結果、ユーザーは、クライアント100の画面に表示されるロボット映像のデータを目視しながら、ロボットを円滑に制御することができる。
【0026】
以下、このような構成を有するネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法を詳述する。図2は、本発明の実施の形態によるネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法を示すフローチャートである。図2を参照すると、ロボット300は、ステップS210において、カメラによって撮影される映像による映像データフレームをURCサーバー200に送る。
【0027】
URCサーバー200は、ロボット300からの映像データフレームを受信し、ステップS220において、映像データフレームをクライアント100に合うように処理する。例えば、URCサーバー200は、クライアント100がパソコンであるか、PDAであるか、それとも携帯電話であるかによってロボット300からの映像データフレームの枚数を調節するか、あるいは、画質を変化させる。そして、URCサーバー200は、ステップS230において、クライアント100の種別によって処理された映像データパケットを当該クライアント100に送る。例えば、URCサーバー200は、ロボットが1秒当たり10フレームの映像データパケットを与えるとしたとき、パソコンなどの高性能の種別のクライアント100にはロボットからの1秒当たり10フレームの映像データパケットをそのまま与える。そして、URCサーバー200は、携帯電話など低性能の種別のクライアント100には、ロボットからの映像データパケットを1秒当たり10フレーム以下(例えば、7または5フレーム)に低減して与えるか、それとも、画質を低めた10フレームを送る。
【0028】
このように、クライアント100によって映像データパケットの数を調節するか、あるいは、映像データの画質を低める場合、データの受信速度が高くて処理能の良好なクライアントには、1秒当たり多数の映像データパケットが与えられて映像データがスムーズに表示される。ところが、データの受信速度が低くて処理能に劣っているクライアントには1秒当たり少ない映像データパケットが与えられ、映像データが途切れて表示される。そして、このように映像データが途切れて表示される場合、ロボットの映像データの画面がスムーズに変化するのではなく、画面の変化が激しいため、ユーザーは、映像データ画面を目視しながらロボットを制御することが困難になる。
【0029】
このため、クライアント100は、ステップS240において、自分の映像データの受信状態、すなわち、1秒当たりの受信映像データフレームの枚数によってロボットの制御速度を変更する。すなわち、クライアント100は、1秒当たりの受信映像データフレームの枚数が多ければ、ロボットの制御速度を相対的に高く、且つ、1秒当たりの受信映像データフレームの枚数が少なければ、ロボットの制御速度を相対的に低く変更する。
【0030】
そして、クライアント100は、ステップS250において、変更されたロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージをURCサーバー200に送る。ロボット制御メッセージには、ロボット300に所定の動作を行わせるための指令が含まれる。
【0031】
URCサーバー200は、ステップS260において、クライアント100からのロボット制御メッセージをロボット300に伝える。ロボット300は、ステップS270において、URCサーバー200からロボット制御メッセージを受信し、ロボット制御メッセージに含まれているロボットの制御速度によって自分の速度を変更する。
【0032】
以下、本発明の実施の形態によるクライアント100の構成及び動作について詳述する。図3は、本発明の実施の形態によるクライアント100のブロック構成図である。
【0033】
図3を参照すると、本発明の実施の形態によるクライアント100は、送受信部110、映像データ処理部120、ユーザーインターフェース部130、ロボットの制御速度計算部140、ロボット制御メッセージ生成部150を備えてなる。
【0034】
送受信部110は、URCサーバー200と通信を行い、ユーザーの要求によってURCサーバー200にロボット制御メッセージを送り、URCサーバー200からロボット300によって撮影された周辺映像の映像データパケットを受信する。
【0035】
映像データ処理部130は、受信された映像データパケットを処理してユーザーインターフェース部130に伝え、1秒当たりの受信映像データパケットの枚数を計算してロボットの制御速度計算部140に与える。
【0036】
ユーザーインターフェース部130は、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置と、タッチパネル、キーパッドなどの入力装置などを備えることができ、ロボット制御画面を表示し、このロボット制御画面を介してユーザーからロボット制御指令を入力される。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態によるクライアント100のロボット制御画面の一例を示す図である。図4を参照すると、ロボット制御画面は、映像データを表示する映像データ表示ウィンドウ42と、ロボット300の移動を制御するための指令が入力されるロボット移動制御指令入力ウィンドウ44と、ロボット300のカメラ動作を制御するための指令が入力されるロボットカメラ制御指令入力ウィンドウ46とを備える。
【0038】
ユーザーインターフェース部130は、映像データ処理部120によって処理されたロボット300からの映像データを映像データ表示ウィンドウ42に表示し、ロボット移動制御指令入力ウィンドウ44及びロボットカメラ制御指令入力ウィンドウ46を介してユーザーからロボット制御指令を入力される。ユーザーは、映像データ表示ウィンドウ42に表示される映像を目視しながら、ロボット移動制御指令入力ウィンドウ44及びロボットカメラ制御指令入力ウィンドウ46の各指令ボタンを選択してロボットを制御することができる。
【0039】
ロボットの制御速度計算部140は、映像データ処理部120によって計算された1秒当たりの受信映像データパケットの枚数によってロボットの制御速度を計算する。本発明の実施の形態によると、ロボットの制御速度計算部140は、基本値に設定されているロボット速度にクライアント100が受信する1秒当たりの受信映像フレームの枚数fcによる速度加重値を乗じて、新しいロボット速度Vnewを計算する。
【0040】
ロボット制御メッセージ生成部150は、ロボット300に所定の動作を行わせるためのロボット制御メッセージを生成し、ロボット制御メッセージに新たに計算されたロボット速度Vnewによるロボット速度情報を含める。このとき、ロボット速度情報は、ロボットの移動速度、またはロボットカメラ速度などであっても良い。ロボット制御メッセージ生成部150は、新たに計算されたロボット速度Vnewによるロボット速度情報を含むロボット制御メッセージを送受信部110を介してURCサーバー200に送信する。
【0041】
以下、このような構成を有するクライアント100のロボット速度の制御方法を詳述する。図5は、本発明の実施の形態によるクライアント100のロボット速度を制御する動作を示すフローチャートである。図5を参照すると、クライアント100は、ステップS502において、映像パケットを受信する。すなわち、クライアント100は、URCサーバー200からロボット300によって撮影された周辺映像の映像データパケットを受信する。
【0042】
ロボット300の映像データパケットが受信されると、クライアント100は、受信された映像データパケットを表示し、ステップS504において、1秒当たり受信フレームの枚数を計算する。すなわち、クライアント100は、1秒に何枚のフレームが受信されるかを計算する。
【0043】
そして、クライアント100は、ステップ506において、1秒当たりの受信フレームの枚数の計算結果に基づき、ロボットの制御速度を変更する。例えば、本発明の実施の形態によると、クライアント100は、あらかじめ基本値に設定されているロボット速度にクライアント100が受信する1秒当たりの受信映像フレームの枚数fcによる速度加重値を乗じて、新しいロボット速度Vnewを計算する。そして、クライアント100は、計算された新しいロボット速度Vnewによってロボットの制御速度を変更する。
【0044】
本発明の実施の形態によると、ロボットの制御速度を計算する式は、下記式1の通りである。
【0045】
【数1】

【0046】
式中、Vnewは新たに計算されたロボット速度、Vbaseは基本値に設定されているロボット速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【0047】
前式1を参照すると、ロボットの制御速度計算部140は、基本値に設定されているロボット速度にクライアント100に受信する1秒当たりの受信映像フレームの枚数fcによる速度加重値aを乗じて、新しいロボット速度Vnewを計算する。
【0048】
本発明の実施の形態によると、速度加重値aは、
【数2】

により決められる。
【0049】
図6Aおよび図6Bは、本発明の実施の形態による速度加重値を示す図である。図6Aおよび図6Bは、本発明の実施の形態による速度加重値グラフの一例を示す図である。
【0050】
図6Aおよび図6Bを参照すると、横軸は1秒当たりの映像フレームの最大枚数に対する実際に受信される1秒当たりのフレームの枚数の割合(fc/fmax)であり、縦軸は速度加重値aである。
【0051】
まず、図6Aは、速度加重値が
【数3】

である場合である。図6Aにおいて、速度加重値aは、1秒当たりの映像フレームの最大枚数に対する実際に受信される1秒当たりのフレームの枚数の割合(fc/fmax)に比例する。
【0052】
これにより、クライアント100に受信される1秒当たりの映像フレームの枚数が多ければ、新しく計算されるロボット速度は高く、クライアント100に受信される1秒当たりの映像フレームの枚数が少なければ、新しく計算されるロボット速度は低い。
【0053】
しかしながら、fc/fmaxが小さな場合は、映像データが途切れて表示される可能性が高いため、ロボットの速度を大いに高める必要があるが、fc/fmaxが大きな場合には、たとえ最大枚数の映像フレームが受信されなかったとしても、映像データが正常に表示されるため、ロボットの速度を大いに高める必要はない。
【0054】
このため、1秒当たりの受信フレームの枚数が少ないときは、速度加重値の増大量を大きくし、1秒当たりの受信フレームの枚数が多いときは、加重値の増大量を小さくすることが一層好ましい。
【0055】
これにより、本発明の実施の形態においては、1秒当たりの受信フレームの枚数が少ないときは、速度加重値の増大量を大きくし、1秒当たりの受信フレームの枚数が多いときは、速度加重値の増大量を小さくするために、速度加重値を
【数4】

のように決める。
【0056】
図6Bは、速度加重値が
【数5】

である場合を示す。図6Bを参照すると、fc/fmaxが小さければ、1秒当たりの受信映像フレームの枚数が増大するほど、速度加重値の増大量が多く、fc/fmaxが大きければ、1秒当たりの受信映像フレームの枚数が増大しても、速度加重値の増大量が少ない。
【0057】
クライアント100は、上述したように、1秒当たりの受信映像フレームの枚数によって速度加重値aを決め、ロボット基本速度Vbaseに速度加重値aを乗じて新しいロボット速度Vnewを計算する。そして、クライアント100は、計算された新しいロボット速度Vnewによってロボットの制御速度を変更する。
【0058】
次いで、クライアント100は、ステップS508において新たに計算されたロボット速度Vnewによるロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成する。ロボット制御メッセージは、ロボット300に所定の動作を行わせるためのものであり、ロボットの制御速度フィールドを含む。ロボットの制御速度フィールドは、ロボットの移動速度を制御するフィールドと、ロボットカメラの速度を制御するためのフィールドなどとを含む。
【0059】
図7Aおよび図7Bは、本発明の実施の形態によるロボット制御メッセージフォーマットの一例を示す図である。図7Aは、ロボットの移動速度を制御するためのロボット制御メッセージのフォーマットであり、図7Bは、ロボットカメラの速度を制御するためのロボット制御メッセージのフォーマットである。
【0060】
まず、図7Aを参照すると、ロボットの移動速度を制御するためのロボット制御メッセージは、MSG_TYPEフィールド610、ロボット方向フィールド630、ロボット速度フィールド640、セッティングフィールド650、予備フィールド660を含む。
【0061】
MSG_TYPEフィールド610は、ロボット制御メッセージがロボット速度を制御するためのメッセージであるかどうかを知らせる情報を含む。
【0062】
ロボット方向フィールド630は、ロボットの方向を制御するためのものであり、ロボットを制御する方向情報を含む。
【0063】
ロボット速度フィールド640は、ロボットの速度を制御するためのものであり、新たに計算されたロボット速度Vnew情報によって変更されたロボットの最大線速度値vmax642とロボットの最大角速度値wmax644を含む。
【0064】
新たに計算されたロボット速度Vnew情報は、新たに計算されたロボットの線速度Vnewと角速度wnewなどを含む。線速度はロボットが直線運動をするときにおける、運動方向への速度である。角速度は、ロボットが旋回するときにおける回転方向への速度である。
【0065】
本発明の実施の形態によると、新しいロボットの線速度Vnewは下記式2により計算される。
【0066】
【数6】

【0067】
式中、vnewは新たに計算されたロボット線速度、vbaseは基本値に設定されているロボット線速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【0068】
また、本発明の実施の形態によると、新しいロボットの角速度wnewは下記式3により計算される。
【0069】
【数7】

式中、wnewは新たに計算されたロボット角速度、wbaseは基本値に設定されているロボット線速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【0070】
本発明の実施の形態によると、ロボット速度フィールド640のロボットの最大線速度vmax642には新たに計算されたロボットの線速度Vnewが含まれ、ロボットの最大角速度値wmax644には新たに計算されたロボットの角速度wnewが含まれる。このとき、線速度の単位はm/秒であり、角速度の単位は°/秒である。例えば、新たに計算されたロボットの線速度Vnewが50m/secであり、かつ、角速度が20°/秒であれば、vmaxの値は50であり、wmaxの値は20である。
【0071】
Settingフィールド650は、ロボットの障害物の回避機能を用いるかどうかを指定するためのものであり、障害物の回避機能の使用有無の値が含まれる。例えば、Settingフィールドには、障害物の回避機能を用いる場合、00000001の値が含まれる。そして、障害物の回避機能を用いない場合、00000000の値が含まれる。
【0072】
Reservedフィールド660は、その他のフラグ値として使用可能であり、今後、音声認識用にも使用可能である。
【0073】
一方、図7Bを参照すると、ロボットカメラ速度を制御するためのロボット制御メッセージは、MSG_TYPEフィールド710、カメラ座標フィールド730、ズームフィールド740、カメラ速度フィールド750、Reservedフィールド760を含む。
【0074】
MSG_TYPEフィールド710は、ロボット制御メッセージ情報を示すためのものであり、ロボットカメラを制御するためのメッセージであるかどうかを知らせる情報を含む。
【0075】
カメラ座標フィールド730は、カメラの左右/上下動を制御するためのものであり、パン732値とチルト744値を含む。パン値はカメラの左右動の座標値であり、負(−)の値は右側への移動を意味し、正(+)の値は左側への移動を意味する。チルトの値は、カメラの上下動の座標値であり、負(−)の値は上方への移動を意味し、正(+)の値は下方への移動を意味する。例えば、カメラを右側に30°下方に50°移動するように制御する場合、パン732値とチルト744値は(−30、50)となる。
【0076】
Zoomフィールド740は、カメラのズームイン/アウトを制御するためのものであり、カメラレンズを何倍ズームインまたはズームアウトするかに関するズームイン/アウト倍率を含む。
【0077】
カメラ速度フィールド750は、ロボットカメラの速度を制御するためのものであり、カメラ速度を含む。
【0078】
本発明の実施の形態によると、ロボットカメラの速度は下記式4により計算される。
【0079】
【数8】

【0080】
式中、v_cameranewは新たに計算されたロボットカメラの速度、v_camerabaseは基本値に設定されているロボットカメラの速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。そして、ロボットカメラの速度は、ロボットのカメラに対する左右動、上下動、ズームイン/アウト倍率を意味する。
【0081】
Reservedフィールド760は、その他のフラグ値として使用可能であり、今後、音声認識用に使用可能である。
【0082】
上述したロボット制御メッセージを生成した後、クライアント100は、ステップ510において、上記生成されたロボット制御メッセージをURCサーバー300を介してロボット300に送る。
【0083】
すると、ロボット300は、URCサーバー200からロボット制御メッセージを受信し、ロボット制御メッセージに含まれているロボットの移動速度及びロボットカメラの速度によって自分の移動速度及びカメラ速度を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態によるネットワーク基盤のロボット制御システムの構成図。
【図2】本発明の実施の形態によるネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法に対するフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態によるクライアントのブロック構成図。
【図4】本発明の実施の形態によるクライアントのロボット制御画面の一例を示す図。
【図5】本発明の実施の形態によるクライアントでロボット速度制御のための動作フローチャート。
【図6A】本発明の実施の形態による速度加重値グラフの一例を示す図。
【図6B】本発明の実施の形態による速度加重値グラフの一例を示す図。
【図7A】本発明の実施の形態によるロボット制御メッセージフォーマットの一例を示す図。
【図7B】本発明の実施の形態によるロボット制御メッセージフォーマットの一例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
100:クライアント
200:URCサーバー
210:映像データフレーム
220:映像データフレーム処理
230:映像データパケット
240:映像データ受信状態によるロボット制御速度の変更
250:ロボット制御メッセージ
260:ロボット制御メッセージ
270:速度変更
300:ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク基盤のロボット制御システムであって、
所定の動作の実行に伴い撮影される映像データフレームを与え、ロボット制御メッセージを受信するとき、受信されたロボット制御メッセージに含まれているロボットの制御速度によって速度を変更するロボットと、
前記ロボットからの映像データフレームを受信し、受信された映像データフレームをクライアントの性能によって処理して送るサーバーと、
前記サーバーを介して前記ロボットによって撮影された映像データフレームを受信し、前記映像データフレームの受信状態によってロボットの制御速度を計算し、ロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成して前記ロボットに送るクライアントと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記クライアントは、前記受信された映像データフレームの枚数によってロボットの制御速度を計算することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クライアントは、あらかじめ設定されたロボット基本速度に前記受信された映像データフレームの枚数による速度加重値を乗じて、新しいロボットの制御速度を計算することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ロボットの制御速度は、下記式により計算されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシステム。
【数1】

ここで、Vnewは新たに計算されたロボット速度、Vbaseは基本値に設定されているロボット速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【請求項5】
前記ロボットの制御速度は、下記式により計算されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシステム。
【数2】

ここで、Vnewは新たに計算されたロボット速度、Vbaseは基本値に設定されているロボット速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【請求項6】
前記ロボットの制御速度は、前記ロボットの移動速度を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロボットの移動速度は、前記ロボットの移動方向に対する線速度と、前記ロボットの回転方向に対する回転角速度とを含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロボットの制御速度は、前記ロボットのカメラ速度を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロボットのカメラ速度は、前記ロボットカメラの上下/左右動速度及びズーム速度を含むことを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記クライアントは、
前記サーバーから前記ロボットによって撮影された周辺映像の映像データパケットを受信し、前記サーバーにロボット制御メッセージを送る送受信部と、
前記1秒当たりの受信映像データパケットの数を計算する映像データ処理部と、
前記1秒当たりの受信映像データパケットの数によってロボット速度を計算するロボットの制御速度計算部と、
前記処理された映像データを表示するユーザーインターフェース部と、
前記1秒当たりの受信映像データパケットの数によってロボットの制御速度を計算するロボットの制御速度計算部と、
前記ロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成するロボット制御メッセージ生成部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロボットの制御速度計算部は、あらかじめ設定されたロボット基本速度に前記1秒当たりの受信映像フレームの枚数による速度加重値を乗じて、新しいロボットの制御速度を計算することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記サーバーは、前記クライアントの処理性能によって前記ロボットからの映像データフレームの枚数を調節して、当該クライアントに送ることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記サーバーは、前記クライアントの処理性能によって前記ロボットからの映像データフレームの画質を変化させて当該クライアントに送ることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
ネットワーク基盤のロボット制御システムにおけるロボット速度の制御方法であって、
前記ロボットによって撮影された映像データフレームを受信するステップと、
前記映像データフレームの受信状態によってロボットの制御速度を計算するステップと、
前記ロボットの制御速度を含むロボット制御メッセージを生成して前記ロボットに送るステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記ロボットが、前記ロボット制御メッセージに含まれているロボットの制御速度によってロボットの速度を変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ロボットの制御速度を計算するステップは、
前記受信された映像データフレームの枚数による速度加重値を決めるステップと、
あらかじめ設定されたロボット基本速度に前記受信された映像データフレームの枚数による速度加重値を乗じて、ロボットの制御速度を計算するステップと、を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットの制御速度は、下記式により計算されることを特徴とする請求項14ないし16のいずれかに記載の方法。
【数3】

ここで、Vnewは新たに計算されたロボット速度、Vbaseは基本値に設定されているロボット速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【請求項18】
前記ロボットの制御速度は、下記式により計算されることを特徴とする請求項14ないし16のいずれかに記載の方法。
【数4】

ここで、Vnewは新たに計算されたロボット速度、Vbaseは基本値に設定されているロボット速度、aは速度加重値、fcは1秒当たりの受信映像フレームの枚数、fmaxは1秒当たりの映像フレームの最大枚数である。
【請求項19】
前記ロボットの制御速度は、前記ロボットの移動速度を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ロボットの移動速度は、前記ロボットの移動方向に対する線速度と、前記ロボットの回転方向に対する回転角速度とを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ロボットの制御速度は、前記ロボットのカメラ速度を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記ロボットのカメラ速度は、前記ロボットカメラの上下/左右動速度及びズーム速度を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図1】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−331404(P2006−331404A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114587(P2006−114587)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】