説明

ネットワーク複合機、ネットワーク複合機の宛先情報管理方法、及びネットワーク複合機システム

【課題】ユーザ毎の宛先情報をユーザ端末で個別に管理することを可能にするネットワーク複合機システムを提供する。
【解決手段】ネットワークに接続された少なくとも1つのユーザ端末と通信可能なネットワーク複合機(100)は、情報の入力および表示を行うための操作表示手段(101)と、各ユーザ端末(200)に保管され使用制限された宛先情報リストへのアクセス情報を格納する格納手段(102)と、操作表示手段を通して選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、当該宛先情報リストの使用が許可された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する制御手段(103)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク複合機システムに係り、特にネットワーク複合機の宛先情報管理方法およびそれを用いたネットワーク複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファクシミリ装置をネットワークに接続し、このファクシミリ装置とネットワークに接続された端末との間で通信を行う技術が普及してきている。例えば、端末で作成した原稿をネットワーク経由でファクシミリ装置へ転送し、ファクシミリ装置では指定された宛先へファクシミリ送信することができる。以下、このようなネットワークに接続されたファクシミリ装置を含む通信装置としてネットワーク複合機を考える。
【0003】
一方、宛先情報については、ネットワーク複合機に保管されて共有の情報として取り扱われている。例えば、複数のユーザが同じネットワーク複合機を利用する場合、ユーザ毎の宛先情報が共有の情報としてネットワーク複合機に一括保管されることになる。このため、ユーザ毎に宛先情報を個別に管理することができず、セキュリティ上の問題が発生することも想定される。またネットワークに複数のネットワーク複合機が接続されている場合、ユーザ毎の宛先情報を複数のネットワーク複合機に設定することも想定され、その初期設定およびその後の更新作業に係るワークロードも無視できないものがある。さらに、宛先情報として登録する情報については詳細情報を関連して設定することができないため、利便性に欠けている。
【0004】
特許文献1では、宛先情報データベースを有する宛先情報管理サーバと、このサーバとネットワークで接続されたクライアント端末とで構成された宛先情報管理システムが開示されている。ユーザはクライアント端末から宛先情報管理サーバにアクセスする際に、ユーザID及びパスワードを用いた認証処理を行い、認証OKの場合にユーザはユーザのアドレス帳へのアクセスが許可され、閲覧・更新作業を行うことができる。このシステムでは、物流配送における宛先の指定を、アドレス帳から任意の複数の宛先情報を選び出し、これを物流システムに直結して入力作業を軽減し、入力と配送間のデータ同一性を保証することを目的としている。
【0005】
特許文献2では、複合機に保存されたユーザ毎のデータを、複合機を共有しているユーザ間で受け渡しするための認証方法および画像入出力装置が開示されている。本画像入出力装置では、非接触型カードを検出し、非接触型カード毎の認証処理を行い、複数の非接触型カードとの認証が確立した場合に、複数の非接触型カードに対応する記憶領域に対するアクセスを許可する。これにより、1つの装置内で複数のユーザ間でユーザ毎に保持しているデータの受け渡しが可能になる。なおこの装置では、画像データを管理するためのBOX管理テーブル(BOX番号、属性、アドレス、ブロック数)と、ユーザID毎にBOX番号のどれを使用しているかを管理するためのユーザ管理テーブル(ユーザID、パスワード、BOX番号リスト)と、認証が確立しているユーザを管理するためのアクセスリスト(ユーザID、アクセス可能領域)とを有し、アクセス可能領域に登録されたBOX番号のBOXに対してアクセスが許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−128222号公報
【特許文献2】特開2007−299254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1および2に開示されたシステムでは、複数のユーザがサーバに対してアクセスすることを前提としている。
【0008】
特許文献1では、ユーザ毎の宛先情報をアドレス帳として、複数のユーザのアドレス帳を1つの宛先情報管理サーバで管理する。したがって専用の管理サーバを導入することが必要となるため、管理サーバの構築・維持・運用するためのコストや管理負荷などが増大する。
【0009】
また、特許文献2では、ユーザ管理テーブルやアクセスリストを複合機本体で管理する。1人のユーザが複数の複合機を利用する場合、ユーザ毎の情報を複数の複合機に設定することも想定され、利用する複合機の数が多くなる程その初期設定およびその後の更新作業に係るワークロードも無視できないものがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、ユーザ毎の宛先情報をユーザ端末で個別に管理することを可能にするネットワーク複合機およびユーザ端末、ネットワーク複合機の宛先情報管理方法、及びネットワーク複合機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるネットワーク複合機は、ネットワークに接続された少なくとも1つのユーザ端末と通信可能なネットワーク複合機であって、情報の入力および表示を行うための操作表示手段と、各ユーザ端末に保管され使用制限された宛先情報リストへのアクセス情報を格納する格納手段と、前記操作表示手段を通して選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、当該宛先情報リストの使用が許可された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によるネットワーク複合機システムは、少なくとも1つのネットワーク複合機と少なくとも1つのユーザ端末とがネットワークに接続されたネットワーク複合機システムであって、各ユーザ端末は、宛先情報リストを格納する宛先情報リスト格納手段と、前記宛先情報リストの使用制限を行う認証手段と、を有し、前記ネットワーク複合機は、情報の入力および表示を行うための操作表示手段と、各ユーザ端末に保管された前記宛先情報リストへのアクセス情報を格納する格納手段と、前記操作表示手段を通して選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、前記認証手段により認証された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明によるユーザ端末は、少なくとも1つのネットワーク複合機とネットワークを通して通信可能なユーザ端末であって、宛先情報リストを格納する宛先情報リスト格納手段と、前記宛先情報リストの使用制限を行う認証手段と、前記ネットワーク複合機からの認証要求に応じて前記認証手段により認証を行い、認証された場合に限り、前記ネットワーク複合機からの要求に応じて宛先情報を送信する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明による宛先情報管理方法は、少なくとも1つのネットワーク複合機と少なくとも1つのユーザ端末とがネットワークに接続されたネットワーク複合機システムにおける宛先情報管理方法であって、各ユーザ端末が使用制限された宛先情報リストを格納し、前記ネットワーク複合機が各ユーザ端末に保管された前記宛先情報リストへのアクセス情報を格納し、ユーザにより選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、前記ユーザ端末により認証された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ユーザ毎の宛先情報をユーザ端末で個別に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るネットワーク複合機システムの概略構成図である。
【図2】(A)はユーザ端末(PC)に保管される宛先情報リストのデータフォーマットを示す模式図、(B)はネットワーク複合機に保管される宛先情報アクセスリストのデータフォーマットを示す模式図である。
【図3】第1実施形態における事前設定の手順を示すシーケンス図である。
【図4】第1実施形態における宛先情報を取り出す手順を示すシーケンス図である。
【図5】図4において宛先情報の取り出し失敗(フォルダが見つからない場合)を示すシーケンス図である。
【図6】図4において宛先情報の取り出し失敗(PW認証が失敗した場合)を示すシーケンス図である。
【図7】本実施形態によるネットワーク複合機の処理フローを示す図である。
【図8】図4においてフォルダアクセス判断(S102)の詳細を示すシーケンス図である。
【図9】図5においてPW送信処理(S104)及び認証結果判断(S107)の詳細を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るネットワーク複合機システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施の形態により限定されるものではない。
【0018】
1.第1実施形態
1.1)構成
図1は、本発明の第1実施形態に係るネットワーク複合機システムの概略構成図である。本実施形態に係るネットワーク複合機システムは、少なくとも1つのネットワーク複合機と少なくとも1つのユーザ端末とがネットワーク(LAN)300に接続された構成を有する。
【0019】
ネットワーク複合機100には、ユーザの入力操作を行う操作表示部101と、宛先情報リストが保管されているユーザ端末のIPアドレス及び検索パスが含まれる宛先情報アクセスリストを格納するメモリ部102と、ネットワークを介してユーザ端末と通信を行うLAN制御部103とが設けられ、さらにネットワーク複合機100の全体的動作を制御する制御部104が設けられている。制御部104は、たとえばCPU等のプログラム制御プロセッサである。
【0020】
ユーザ端末(PC)200には、宛先情報リストを格納するメモリ部202と、ネットワーク複合機100からのアクセスを制限する認証部201とが設けられ、さらにユーザ端末200の全体的動作を制御する制御部203が設けられている。制御部203は、たとえばCPU等のプログラム制御プロセッサである。以下、ユーザ端末を「PC」と略記する。
【0021】
操作表示部101は、メモリ部102に格納されている宛先情報アクセスリストを表示できる。また、後述するように、制御部104は、宛先情報アクセスリストに設定されたPC200が見つからない場合やPC200の認証部201によりパスワード認証が拒否された場合には操作表示部101にアクセスエラー表示を行い、認証部201に認証された場合にはメモリ部202から読み出された宛先名リストを操作表示部102に表示させてユーザが参照し選択できるようにする。
【0022】
制御部104は、メモリ部102に格納されている宛先情報アクセスリストからアクセス登録名が選択されパスワードが入力されると、選択された登録名のIPアドレスおよび検索パスを用いてLAN制御部103により指定のPC200にアクセスしパスワードを送信することができる。また、制御部104は、PC200のメモリ部202に格納されている宛先リストをLAN制御部103を通して受信すると、操作表示部101に表示してユーザが参照できるようにする。宛先リストからユーザが選択すると、制御部104は、LAN制御部103を通してPC200のメモリ部202から宛先情報を取り出し、ファクシミリ等の送信先の設定することができる。
【0023】
PC200の認証部201は、ネットワーク複合機100から受信したパスワードをメモリ部202に事前に設定しているパスワードと照合してアクセスの可否を判定し、PC200の制御部203はパスワードの照合結果をネットワーク複合機100へ返す。その際、パスワード照合結果が許可であれば、メモリ部202に格納された宛先情報リストの宛先リストもネットワーク複合機100へ送信する。
【0024】
図2(A)に示すように、PC200に保管される宛先情報リストは、1つ以上の宛先が登録され、宛先毎に宛先名、電話番号、FAX番号、メールアドレス、及びIPアドレスの情報を含む。
【0025】
図2(B)に示すように、ネットワーク複合機100に保管される宛先情報アクセスリストは、1つ以上のユーザ端末(PC)がアクセス先として登録され、ユーザ端末毎に、IPアドレスと、当該ユーザ端末が保管する宛先情報リストへアクセスするための検索パス情報とを含む。検索パスとして、自動選択としてもよい。検索パスの自動選択については、PC内のファイル名検索機能を利用して宛先情報ファイルを検索することができる。
【0026】
1.2)事前設定
図3に示すように、ユーザがPC200を操作することでパスワードおよび宛先情報リストを設定すると(ステップS1)、PC200の制御部203は、メモリ部202に設定されたパスワードおよび宛先情報リストを格納する(ステップS2)。また、ユーザがネットワーク複合機100を操作して、宛先情報アクセスリストにPC200のIPアドレスと宛先情報とを格納してあるファイルの検索パスを設定すると(ステップS3)、制御部104はメモリ部102に設定された宛先情報アクセスリストを格納する(ステップS4)。
【0027】
1.3)動作
続いて、図4を参照しながら、ネットワーク複合機100がPC200から宛先情報を取り出す手順を説明する。ユーザは、ネットワーク複合機100の操作表示部101を操作し、図2(B)に示すような宛先情報アクセスリストからアクセス先のフォルダを選択する(ステップS101)。選択されたフォルダに設定されているIPアドレスと検索パスを元に、制御部103は、PC200の宛先情報格納フォルダへLAN300を経由してフォルダの有無を確認する(ステップS102)。指定されたフォルダが有った場合、制御部104は、操作表示部101にパスワード設定画面を表示する。ユーザがパスワードを入力すると(ステップS103)、制御部104は、ユーザの入力したパスワードをメッセージM101にてPC200に送信する(ステップS104)。なお、指定されたフォルダがなかった場合にはエラー表示画面となる。
【0028】
メッセージM101を受信すると、PC200の制御部203は認証部201に指示して、ユーザが入力したパスワードとメモリ部202に格納してあるパスワードとを比較させる(ステップS105)。制御部203は認証部201による認証結果からメッセージM102を作成し、ネットワーク複合機100へ送信する(ステップS106)。このメッセージM102は、認証結果がアクセス許可であれば、メモリ部202に格納されている宛先情報リストの宛先名を含めて作成され、認証結果がアクセス不可であれば、その認証結果のみを含めて作成される。
【0029】
ネットワーク複合機100の制御部104は、メッセージM102の認証結果を判断し、アクセス許可の場合には、メッセージM102から宛先名を読み出して操作表示部101に表示させる(ステップS107)。なお、認証結果がアクセス不可であれば、エラー画面が表示される。
【0030】
ユーザは、操作表示部101に表示されている宛先名から使用する宛先を選択する(ステップS108)。宛先が選択されると、ネットワーク複合機100の制御部104は、宛先情報取り出し要求メッセージM103をPC200に送信する(ステップS109)。メッセージM103を受けて、PC200の制御部203は、ユーザにより選択された宛先に対応する宛先情報(電話番号、FAX番号、メールアドレスなど)をメモリ部202から読み出し、メッセージM104によりネットワーク複合機100に送信する(ステップS110)。
【0031】
メッセージM104を受けて、ネットワーク複合機100の制御部104は宛先情報を設定する(ステップS111)。すなわち、ユーザが選択した宛先情報を通信手段に合わせてネットワーク複合機に設定する。例えば、通信手段がFAX送信の場合はFAX番号を設定し、通信手段がメール送信の場合はメールアドレスを設定する。
【0032】
図5は、図4において宛先情報の取り出し失敗(フォルダが見つからない場合)を示すシーケンス図である。選択されたフォルダに設定されているIPアドレスと検索パスを元に、制御部103がPC200の宛先情報格納フォルダへLAN300を経由してフォルダの有無を確認する際(ステップS102)、指定されたユーザ端末(PC)にアクセスできない場合、指定された検索パスのフォルダが見つからない場合、または指定された検索パスのフォルダに宛先情報リストが見つからない場合に、ユーザ端末(PC)のフォルダへのアクセスが失敗したと判断し、前記操作表示部101にアクセス失敗のメッセージ表示を行い、ステップS103以降の処理を中断する。
【0033】
図6は、図4において宛先情報の取り出し失敗(PW認証が失敗した場合)を示すシーケンス図である。PW認証処理(ステップS105)においてユーザ端末(PC)に予め設定されたパスワードP2とステップS103でユーザが入力したパスワードP1とを照合し、不一致の場合にはユーザ端末(PC)のフォルダへのアクセス権限が無いと判断し、認証失敗の認証結果通知をネットワーク複合機100へ送信する(ステップS106)。
【0034】
ネットワーク複合機100の制御部104は、ユーザ端末(PC)から認証失敗が通知されると(ステップS107)、前記操作表示部101に認証失敗のメッセージ表示を行うとともに、ステップS108以降の処理を中断する。
【0035】
図7は、ネットワーク複合機100の宛先情報取り出し処理フローを示す図である。宛先情報取り出し処理を開始すると、初期画面としてアクセスリスト選択画面を表示する(ステップS201)。ユーザがアクセスリストを選択して(ステップS202:「する」)。指定フォルダの有り(ステップS203)の場合、PW入力画面を表示する(ステップS204)。ユーザがPWを入力し、PC200から認証結果がOKのメッセージを受信すると(ステップS205:OK)、メッセージに含まれる宛先名を宛先情報選択画面として表示してユーザが選択した宛先情報をPC200から取得する(ステップS206)。
【0036】
ステップS202においてユーザがアクセスリストを選択しない場合、宛先情報取り出し処理を終了する。ステップS203において指定フォルダ無しの場合あるいはステップS205において認証結果がNGの場合には、操作表示部101にエラー画面を表示し(ステップS207)、宛先情報の取得を実行しないで処理を終了する。
【0037】
図8は、図4においてフォルダアクセス判断(S102)の詳細を示すシーケンス図である。ユーザが操作表示部101により宛先情報アクセスリストの指定フォルダを選択すると(ステップS301)、ネットワーク複合機100の制御部104は、指定フォルダアクセス指示(メッセージM301)をLAN制御部103に送信する(ステップS301)。指示を受けて、LAN制御部103は、PC200の宛先情報格納フォルダにアクセスする(ステップS302)。PC200からアクセス可否を受信すると、制御部104はアクセス可否のメッセージM302をLAN制御部103から操作表示部101に送信する。アクセス可否を受けて、制御部104は、操作表示部101の画面表示を切り替える(ステップS304)。切り替える画面は図7にて説明したように、アクセス可の場合は、PW入力画面を表示する。アクセス否の場合は、エラー画面を表示する。
【0038】
図9は、図4においてPW送信処理(S104)及び認証結果判断(S107)の詳細を示すシーケンス図である。ユーザが操作表示部101によりPWを設定すると(ステップS401)、制御部104はPW送信指示(メッセージM401)をLAN制御部103に送信する。指示を受けると、LAN制御部103はPC200にPWを送信する(ステップS402)。LAN制御部103がPC200から認証結果を受信すると(ステップS403)、制御部104は、認証結果(メッセージM402)をLAN制御部103から操作表示部101へ送信する(ステップS404)。認証結果により、操作表示部101の画面表示が切り替えられる(ステップS405)。切り替える画面は図7にて説明したように、認証結果OKの場合は、宛先情報選択画面を表示する。認証結果NGの場合は、エラー画面を表示する。
【0039】
1.4)効果
本実施形態によれば、少なくとも1つのネットワーク複合機と少なくとも1つのユーザ端末とがネットワークに接続されたネットワーク複合機システムにおいて、ユーザ毎の宛先情報をユーザ端末で個別に管理することが可能になる。またユーザ端末にアクセスするためのパスワードを設定することで、ユーザ毎のセキュリティを確保することもできる。
【0040】
さらに、宛先情報リストには、宛先毎に宛先名、電話番号、FAX番号、メールアドレス、及びIPアドレスなどの情報が関連して設定されているため、宛先情報を通信手段に合わせて取り出すことができ、利便性が向上する。例えば、通信手段がFAX送信の場合はFAX番号を設定し、通信手段がメール送信の場合はメールアドレスを設定することができる。
【0041】
2.第2実施形態
図10は、本発明の第2実施形態に係るネットワーク複合機システムの概略構成図である。複数のネットワーク複合機100、110と複数のPC200、210がLAN300に接続されている場合、PC200を持つユーザは、ネットワーク複合機100あるいは110から自己のPC200にアクセスすることができる。しかしながら、PC200を持つユーザは、PC210のメモリ部212に設定しているパスワードを入手しない限り、ネットワーク複合機100あるいは110からPC210にアクセスすることはできない。逆に、PC210を持つユーザはネットワーク複合機100あるいは110からPC210にアクセスすることができるが、PC200のメモリ部202に設定しているパスワードを入手しない限りPC200にアクセスすることはできない。
【0042】
このように、本実施形態では、どのネットワーク複合機からでもユーザ自身が設定した宛先情報を参照できるという効果が得られる。また、本実施形態では、ユーザ毎にパスワードを設定して宛先情報を登録しているので、ユーザ毎に宛先情報を管理することができるという効果が得られる。
【0043】
すなわち、ネットワークに複数のネットワーク複合機が接続されている場合、各ネットワーク複合機に宛先情報アクセスリストを設定することで、ユーザはどのネットワーク複合機からでも自分のユーザ端末にアクセスし宛先情報を取り出した後、送信処理を行うことが可能になり、利便性が向上する。また、ユーザが複数のネットワーク複合機を利用する場合において、ユーザの宛先情報を1箇所(ユーザ端末)に保管することで、データの同一性を保証できるとともに、宛先情報の設定/更新作業に係るワークロードを低減する効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、ネットワーク複合機とユーザ端末とがネットワークに接続されたネットワーク環境において、ユーザ毎の宛先情報をユーザ端末で個別に管理することを可能にするネットワーク複合機に適用できる。
【符号の説明】
【0045】
100 ネットワーク複合機
101 操作表示部
102 メモリ部
103 LAN制御部
104 制御部
110 ネットワーク複合機
111 操作表示部
112 メモリ部
113 LAN制御部
114 制御部
200 PC
201 認証部
202 メモリ部
203 制御部
210 PC
211 認証部
212 メモリ部
213 制御部
300 LAN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された少なくとも1つのユーザ端末と通信可能なネットワーク複合機であって、
情報の入力および表示を行うための操作表示手段と、
各ユーザ端末に保管され使用制限された宛先情報リストへのアクセス情報を格納する格納手段と、
前記操作表示手段を通して選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、当該宛先情報リストの使用が許可された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する制御手段と、
を有することを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記宛先情報リストの使用が許可された場合に限り、選択された宛先情報の取り出し要求を当該ユーザ端末へ送信し、当該選択された宛先情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク複合機。
【請求項3】
前記宛先情報リストはパスワード保護され、前記制御手段は前記操作表示手段を通して前記パスワードの入力を催促することを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク複合機。
【請求項4】
前記宛先情報リストには、1つ以上の宛先が登録され、宛先毎に宛先名、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスおよび/またはIPアドレスの宛先情報が少なくとも含まれることを特徴とする請求項1−3のいずれか1項に記載のネットワーク複合機。
【請求項5】
前記制御手段は、ユーザが選択した宛先の宛先情報を使用する通信手段に合わせて設定することを特徴とする請求項4に記載のネットワーク複合機。
【請求項6】
少なくとも1つのネットワーク複合機と少なくとも1つのユーザ端末とがネットワークに接続されたネットワーク複合機システムであって、
各ユーザ端末は、
宛先情報リストを格納する宛先情報リスト格納手段と、
前記宛先情報リストの使用制限を行う認証手段と、
を有し、
前記ネットワーク複合機は、
情報の入力および表示を行うための操作表示手段と、
各ユーザ端末に保管された前記宛先情報リストへのアクセス情報を格納する格納手段と、
前記操作表示手段を通して選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、前記認証手段により認証された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する制御手段と、
を有することを特徴とするネットワーク複合機システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記認証手段により認証された場合に限り、選択された宛先情報の取り出し要求を当該ユーザ端末へ送信し、当該選択された宛先情報を取得することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク複合機システム。
【請求項8】
前記宛先情報リストはパスワード保護され、前記制御手段は前記操作表示手段を通して前記パスワードの入力を催促することを特徴とする請求項6または7に記載のネットワーク複合機システム。
【請求項9】
前記宛先情報リストには、1つ以上の宛先が登録され、宛先毎に宛先名、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスおよび/またはIPアドレスの宛先情報が少なくとも含まれることを特徴とする請求項6−8のいずれか1項に記載のネットワーク複合機システム。
【請求項10】
前記制御手段は、ユーザが選択した宛先の宛先情報を使用する通信手段に合わせて設定することを特徴とする請求項9に記載のネットワーク複合機システム。
【請求項11】
少なくとも1つのネットワーク複合機とネットワークを通して通信可能なユーザ端末であって、
宛先情報リストを格納する宛先情報リスト格納手段と、
前記宛先情報リストの使用制限を行う認証手段と、
前記ネットワーク複合機からの認証要求に応じて前記認証手段により認証を行い、認証された場合に限り、前記ネットワーク複合機からの要求に応じて宛先情報を送信する制御手段と、
を有することを特徴とするユーザ端末。
【請求項12】
前記宛先情報リストはパスワード保護され、前記認証手段は、前記ネットワーク複合機から受信したパスワードと予め設定されたパスワードとを照合することを特徴とする請求項11に記載のユーザ端末。
【請求項13】
前記宛先情報リストには、1つ以上の宛先が登録され、宛先毎に宛先名、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスおよび/またはIPアドレスの宛先情報が少なくとも含まれることを特徴とする請求項11または12に記載のユーザ端末。
【請求項14】
少なくとも1つのネットワーク複合機と少なくとも1つのユーザ端末とがネットワークに接続されたネットワーク複合機システムにおける宛先情報管理方法であって、
各ユーザ端末が使用制限された宛先情報リストを格納し、
前記ネットワーク複合機が各ユーザ端末に保管された前記宛先情報リストへのアクセス情報を格納し、ユーザにより選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、前記ユーザ端末により認証された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する、
ことを特徴とする宛先情報管理方法。
【請求項15】
前記ネットワーク複合機は、前記認証手段により認証された場合に限り、選択された宛先情報の取り出し要求を当該ユーザ端末へ送信し、当該選択された宛先情報を取得することを特徴とする請求項14に記載の宛先情報管理方法。
【請求項16】
前記宛先情報リストはパスワード保護され、前記ネットワーク複合機は、前記パスワードの入力をユーザに催促することを特徴とする請求項14または15に記載の宛先情報管理方法。
【請求項17】
前記宛先情報リストには、1つ以上の宛先が登録され、宛先毎に宛先名、電話番号、ファクシミリ番号、メールアドレスおよび/またはIPアドレスの宛先情報が少なくとも含まれることを特徴とする請求項14−16のいずれか1項に記載の宛先情報管理方法。
【請求項18】
ネットワークに接続された少なくとも1つのユーザ端末と通信可能なネットワーク複合機のプログラム制御プロセッサを機能させるプログラムであって、
各ユーザ端末に保管され使用制限された宛先情報リストへのアクセス情報を格納手段に格納し、
操作表示手段を通して選択されたアクセス情報に基づいて当該ユーザ端末の宛先情報リストへアクセスし、
当該宛先情報リストの使用が許可された場合に限り、当該宛先情報リストの宛先情報を選択可能に設定する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
少なくとも1つのネットワーク複合機とネットワークを通して通信可能なユーザ端末のプログラム制御プロセッサを機能させるプログラムであって、
宛先情報リストを宛先情報リスト格納手段に格納し、
前記ネットワーク複合機からの認証要求に応じて認証手段により認証を行い、認証された場合に限り、前記ネットワーク複合機からの要求に応じて前記宛先情報リスト格納手段から宛先情報を読み出して送信する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−183467(P2010−183467A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26910(P2009−26910)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】