説明

ノニオン性添加剤を含む乾燥顔料調合物

本発明は、
(i) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(ii) モノマー[A]、[B]、[C]及び[D]を重合することによって得ることができる分散剤、
を含む、顔料調合物に関する。但し、
[A]は、次式(I)のモノマーであり;
【化1】


[式中、
Aは、C2〜C4アルキレンを表し、そして
Bは、Aとは異なるC2〜C4アルキレンを表し、
Rは、水素またはメチルを表す]
[B]は、次式(II)のモノマーであり;
【化2】


[式中、
Dは、C3アルキレンを表し、そして
Rは、水素またはメチルを表し、
oは、2〜500の数である]
[C]は、芳香族基を含むエチレン性不飽和モノマーであり; そして
[D]は、アルキル基を含む、エチレン性不飽和モノマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、新規のノニオン性ポリマーを分散剤として含む乾燥顔料調合物、並びに天然もしくは合成材料の着色のためのそれらの使用である。
【背景技術】
【0002】
最近の傾向は、汎用に適合性のある乾燥顔料調合物を提供することである。これらは、液状の分散液を乾燥することによって製造される。液状媒体に顔料を分散させるためには、通常、分散剤が必要である。湿潤剤とも称される、適当な界面活性剤で援助されるこの分散剤は、表面活性剤として、分散すべき顔料の濡れを促進し、そして顔料分散体の製造の際に集塊物(Agglomerat)及び凝集体(Aggregat)の破壊を容易にし、これは、一般に、粉砕機の助けを借りて成し遂げられる。分散剤は、アニオン性、カチオン性、両性または中性の構造であることができる。これらは、低分子量であるかまたは高分子量ポリマーであることができ、後者は、重合されたモノマーのランダム状、交互状、ブロック状、櫛型または星形に配列されたアーキテクチャーを形成する。商業的に特に重要なものは、例えば、エマルションペイント及び着色ニス、ペイント、コーティング組成物及び印刷インキの着色に並びに紙、厚紙及びテキスタイル材料の着色に使用される顔料濃厚物の製造の際の顔料の分散のための分散剤である。市場及び乾燥調合物へのそれの傾向に応ずるために、最近は、液状分散体の乾燥プロセスの後に、応用媒体中への乾燥粉末または顆粒物の素早い溶解を保証する分散剤及び添加剤が求められている。このためには、櫛形ポリマーが適し得る。櫛形ポリマーは、多くの場合に、コモノマーとしてのモノ(メタ)アクリル酸エステルに基づくマクロモノマーを使用して製造され、そして疎水性及び親水性もしくは極性が主鎖及び側鎖に分けることができるために明確に整列された構造を有するという点で、他のポリマー性分散剤とは異なる。
【0003】
欧州特許出願公開第1293523号明細書(特許文献1)には、約5,000〜100,000の重量平均分子量を有しそして20〜80重量%の親水性骨格と80〜20重量%のマクロモノマー性側鎖とを含むポリマーである、分散剤が記載されている。前記骨格は、それの重量を基準にして、その70〜98重量%がカルボキシル基を含まない重合されたエチレン性不飽和モノマー、2〜30重量%がカルボキシル基を有する重合されたエチレン性不飽和モノマーからなり、この際、カルボキシル基のうちの少なくとも10%がアミンまたは無機塩基で中和されている。前記骨格は、側鎖と比較して親水性の性質を有する。この側鎖は、重合されたエチレン性不飽和モノマーのマクロモノマーからなる。
【0004】
欧州特許出願公開第1081169号明細書(特許文献2)には、以下のモノマー混合物から誘導される分枝状ポリマーが記載されている。
(A)少なくとも一種のエチレン性不飽和モノマー50〜93重量%、
(B)1,000〜20,000の分子量を有する少なくとも一種のエチレン性不飽和マクロモノマー2〜25重量%、及び
(C)少なくとも一種の重合性イミダゾール誘導体5〜25重量%。
【0005】
欧州特許出願公開第1562696号明細書(特許文献3)は、ポリアルキレングリコール−モノ(メタ)アクリレートからなるマクロモノマーを用いて合成される、水性エマルション重合で製造されたポリマー性分散剤を記載している。このポリマーの主鎖は、少なくとも一つのアミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーを含まなければならない。
【0006】
独国特許出願公開第102005019384号明細書(特許文献4)には、純粋なポリエチレングリコール−モノ(メタ)アクリレートと組み合わせたエチレン性不飽和モノマー、例えばアルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートから合成され、そして分散剤として使用される、櫛状ポリマーが記載されている。
【0007】
欧州特許出願公開第1323789号明細書(特許文献5)は、ポリアルキレンオキシド−モノ(メタ)アクリレート構成要素を含むが、非水溶性である櫛状ポリマーを開示している。水性インキを製造することが目的である。欧州特許出願公開第1491598号明細書(特許文献6)は、ポリアルキレンオキシド−モノ(メタ)アクリレート構成要素及び塩形成性モノマーを含む点でこれと類似し、このポリマーは水性インキに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1293523号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1081169号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1562696号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102005019384号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1323789号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1491598号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第102008038072号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第2638946号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献は、分散剤として櫛状のまたはブロック形成性ポリマーを提供する技術水準を記載している。しかし、乾燥して生ずる粉末または顆粒物は、水性系または溶剤含有系中のいずれかにしか容易に混ぜ入れることができない。これまで開示された発明のいずれも、水性顔料分散体を良好に安定化し、次いで分散体を、例えば噴霧乾燥によって、良好に乾燥でき、それによって水系及び溶剤含有系に、迅速でかつ強い色強度の発達をもって、簡単に混ぜ入れることができる、分散剤を提供するに至っていない。水系及び溶剤含有系中に粉末または顆粒物が汎用に分散可能であることが決定的に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、ポリエチレン/ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリル酸エステルからなるマクロモノマーを用いて製造された特定のノニオン性櫛状ポリマーが、上記の課題を満たすこと、すなわち汎用の分散性に対する要求を満たす乾燥顔料調合物であることが見出された。“乾燥”とは、自由流動性の粉末または顆粒物を意味する。
【0011】
本発明の対象は、
(i) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(ii) モノマー[A]、[B]、[C]及び[D]を重合することによって得ることができる、分散剤、
を含む、顔料調合物である。
【0012】
[A]は次式(1)のモノマーであり;
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、
Aは、C2〜C4アルキレンを表し、そして
Bは、Aとは異なるC2〜C4アルキレンを表し、
Rは、水素またはメチルを表し、
mは、1〜500、好ましくは1〜50の数であり、
nは、1〜500、好ましくは1〜50の数であり、
m+nの合計は2〜1000である]
【0015】
[B]は次式(II)のモノマーであり;
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、
Dは、C3アルキレンを表し、そして
Rは、水素またはメチルを表し、
oは、2〜500、好ましくは2〜100、特に2〜50、特に好ましくは5〜25の数である]
[C]は、芳香族基を含む、エチレン性不飽和モノマーであり;
[D]は、アルキル基を含む、エチレン性不飽和モノマーである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
更なる成分は、
(iii)湿潤剤、
(iv)更に別の界面活性剤及び/または分散剤、
(v)水性顔料分散体の製造に慣用の他の添加剤、
であることができる。
【0019】
好ましい顔料調合物は、乾燥状態で、30〜90重量%、例えば50〜85重量%の成分(i)を含む。
【0020】
好ましい顔料調合物は、乾燥状態で、0.1〜30重量%、例えば5〜30重量%の成分(ii)を含む。
【0021】
特に好ましい顔料調合物は、それぞれ乾燥顔料調合物の総重量(100重量%)を基準にして、
成分(i)を60〜85重量%、例えば70〜80重量%、
成分(ii)を10〜30重量%、例えば10〜25重量%、
成分(iii)を0〜10重量%、例えば0.1〜2重量%、
成分(iv)を0〜20重量%、例えば1〜20重量%、
成分(v)を0〜20重量%、例えば1〜10重量%、
含む。
【0022】
成分(iii)、(iv)及び(v)の一つまたは複数が存在する場合には、それの最小濃度は、互いに独立して、乾燥顔料調合物の総重量を基準にして有利には少なくとも0.01重量%、特に少なくとも0.1重量%である。
【0023】
本発明の顔料調合物の成分(i)は、微細な有機または無機系顔料、あるいは異なる有機系及び/または無機系顔料の混合物である。成分(i)は、或る特定の溶剤中に可溶性でかつ他の溶剤中で顔料の特性を有する染料であることもできる。
【0024】
有機系顔料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯体顔料、及び多環式顔料、例えばフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料及びジケトピロロピロール顔料、またはカーボンブラックなどが挙げられる。
【0025】
上記の有機系顔料の中でも、該調合物の製造のためにできるだけ微細で、この際、顔料粒子の好ましくは95%、特に好ましくは99%が≦500nmの粒度を有するものが特に適している。
【0026】
この際、特に好ましい有機系顔料の例示的な選択肢としては、カーボンブラック顔料、例えばガスブラックまたはファーネスブラック; モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー191、ピグメントイエロー213、ピグメントイエロー214、ピグメントイエロー219、ピグメントレッド38、ピグメントレッド144、ピグメントレッド214、ピグメントレッド242、ピグメントレッド262、ピグメントレッド266、ピグメントレッド269、ピグメントレッド274、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ34またはピグメントブラウン41; β−ナフトール顔料及びナフトールAS顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド2、ピグメントレッド3、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド9、ピグメントレッド12、ピグメントレッド14、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド170、ピグメントレッド184、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド210、ピグメントレッド247、ピグメントレッド253、ピグメントレッド256、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ38またはピグメントブラウン1; レーキ化アゾ顔料及び金属錯体顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド257、ピグメントオレンジ68またはピグメントオレンジ70; ベンズイミダゾリン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー120、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー194、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208、ピグメントバイオレット32、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ72またはピグメントブラウン25; イソインドリノン顔料及びイソインドリン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー139またはピグメントイエロー173; フタロシアニン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントグリーン7またはピグメントグリーン36; アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料及びチオインディゴ顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー196、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド168、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド181、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントレッド263、ピグメントブルー60、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23またはピグメントオレンジ43; トリアリールカルボニウム顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド169、ピグメントブルー56またはピグメントブルー61; ジケトピロロピロール顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73、ピグメントオレンジ81などを挙げることができる。
【0027】
更に、レーキ化染料、例えばスルホン酸及び/またはカルボン酸基含有染料のCa、Mg、Alレーキも適している。
【0028】
適当な無機顔料は、例えば、二酸化チタン類、硫化亜鉛類、酸化亜鉛類、酸化鉄類、マグネタイト類、酸化鉄マンガン類、酸化クロム類、ウルトラマリン、ニッケル−またはクロムアンチモンチタン酸化物類、マンガンチタンルチル類、酸化コバルト類、コバルト及びアルミニウムの混合酸化物、ルチル混合相顔料、希土類金属の硫化物、コバルトとニッケル及び亜鉛とのスピネル類、鉄及びクロムと銅、亜鉛並びにマンガンとに基づくスピネル類、バナジン酸ビスマス、並びに体質顔料である。特に、カラーインデックス顔料のピグメントイエロー184、ピグメントイエロー53、ピグメントイエロー42、ピグメントイエローブラウン24、ピグメントレッド101、ピグメントブルー28、ピグメントブルー36、ピグメントグリーン50、ピグメントグリーン17、ピグメントブラック11、ピグメントブラック33並びにピグメントホワイト6が使用される。好ましくは、無機顔料の混合物もしばしば使用される。有機顔料と無機顔料との混合物も同様にしばしば使用される。
【0029】
顔料分散体の代わりに、固形物質として、例えば、天然の微細な鉱石、ミネラル、難溶性もしくは不溶性の塩、ワックスもしくはプラスチック粒子、染料、植物保護剤及び有害生物防除剤、UV吸収剤、蛍光増白剤及び重合安定化剤を含む分散体も製造できる。
【0030】
該コポリマー(成分ii)は、10g/モル〜10g/モル、特に好ましくは10〜10g/モル、特に好ましくは10〜10g/モルの分子量を有する。
【0031】
これらのポリマーは、上記のモノマー[A]、[B]、[C]及び[D]をラジカル重合することによって製造することができる。この製造方法は、独国特許出願公開第102008038072号明細書(特許文献7)に記載されている。
【0032】
上記コポリマーは、ラジカル重合の開始によって、または連鎖移動反応によってまたは連鎖停止反応によって生じた通常の末端基、例えばプロトン、ラジカル開始剤からの基、または連鎖移動試薬からの硫黄含有基を有する。
【0033】
該コポリマー中において、各モノマーのモル割合は、好ましくは、モノマー[A]が0.1〜90%、モノマー[B]が0.1〜90%、モノマー[C]が0.1〜90%、そしてモノマー[D]が0.1〜90%であり、この際、これらのモル割合の合計は100%になる。
【0034】
特に好ましくは、各モノマーのモル割合は、モノマー[A]が0.1〜70%、モノマー[B]が10〜80%、モノマー[C]が0.1〜50%、そしてモノマー[D]が0.1〜50%である。
【0035】
モノマー[A]のアルキレンオキシド単位(A−O)及び(B−O)は、ランダムにまたは好ましい実施形態の場合にはブロック状に配列されて存在することができる。
好ましい実施形態の一つでは、(A−O)はプロピレンオキシド単位を表し、そして(B−O)はエチレンオキシド単位を表すか、または(A−O)はエチレンオキシド単位を表し、そして(B−O)はプロピレンオキシド単位を表し、この際、エチレンオキシド単位のモル割合は、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位との合計(100%)を基準にして、好ましくは50〜98%、特に60〜95%、特に好ましくは70〜95%である。
【0036】
アルキレンオキシド単位の合計は、原則的にn+m=2〜1000、好ましくは2〜500、特に2〜100、特に好ましくは5〜50であることができる。
【0037】
好ましいモノマー[C]は、以下の式(IIIa)または(IIIb)によって表すことができる。
【0038】
【化3】

【0039】
[式中、
aは、一つまたは複数の、例えば1、2または3個のヘテロ原子N、O及びSを場合により含む、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、
aは、Hまたは(C1〜C4)アルキルを表し、
bは、Hまたは(C1〜C4)アルキルを表し、そして
cは、Hまたは(C1〜C4)アルキルを表す]
【0040】
【化4】

【0041】
[式中、
1は、水素またはメチルを表し、
bは、一つまたは複数の、例えば1、2または3個のヘテロ原子N、O及びSを場合により含む、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、
aは、酸素またはNH基を表す]
【0042】
モノマー[C]には、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸の次のエステル及びアミド、すなわちフェニル、ベンジル、トリル、2−フェノキシエチル、フェネチルエステル及びアミドが挙げられる。
【0043】
他のモノマー[C]は、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びそれの誘導体、例えばビニルトルエン、アルファ−メチルスチレンである。芳香族単位は、例えば1−ビニルイミダゾールにおけるように、ヘテロ芳香族類であることもできる。
【0044】
特に好ましいモノマー[C]は、スチレン、1−ビニルイミダゾール、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート及びフェネチルメタクリレートであることができる。
好ましいモノマー[D]は、次式(IV)によって表すことができる。
【0045】
【化5】

【0046】
[式中、
2は、水素またはメチルを表し、
Yは、線状もしくは分枝状であることができるかまたは環状であることもでき、そしてヘテロ原子O、N及び/またはSを含むことができ、また不飽和であることもできる、炭素原子数1〜30、好ましくは6〜30、特に9〜20の脂肪族炭化水素基を表し、
bは、酸素またはNH基を表す]
【0047】
モノマー[D]には、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸の以下のエステル及びアミド、すなわち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、3,3−ジメチルブチル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、ラウリル、セチル、ステアリル、ベヘニル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ボルニル、イソボルニル、アダマンチル、(2,2−ジメチル−1−メチル)プロピル、シクロペンチル、4−エチル−シクロヘキシル、2−エトキシエチル、テトラヒドロフルフリル及びテトラヒドロピラニルエステル及びアミドが挙げられる。
【0048】
好ましいモノマー[D]は、アクリル酸及びメタクリル酸の次のアルキルエステルまたはアルキルアミド、すなわちメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エトキシエチル、ミリスチル、オクタデシル、特に好ましくは2−エチルヘキシル及びラウリルエステルまたはアミドである。
【0049】
成分(iii)としては、大概は、顔料の濡れを助ける(湿潤剤)、カチオン性、アニオン性、両性またはノニオン性化合物、例えばアルキルスルフェート、例えばラウリルスルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸、短鎖アルコキシル化生成物、例えば約5モルのエチレンオキシドまたはアルキンジオールと反応させたラウリルアルコールが使用される。
【0050】
本発明の顔料調合物の成分(iv)としては、水性顔料分散体の製造に適した通常の分散剤及び界面活性剤またはこのような物質の混合物が使用される。通常は、アニオン性、カチオン性、両性またはノニオン性界面活性化合物が使用される。
【0051】
成分(v)としては、例えば増粘剤、防腐剤、粘度安定剤、粉砕助剤及びフィラーが使用される。他の慣用の添加物質は、沈殿防止剤、光保護剤、酸化防止剤、脱ガス剤/消泡剤、泡減少剤、ケーキング防止剤、並びに粘度及びレオロジーに有利に影響を及ぼす添加剤であることができる。粘度を調節するための剤としては、例えばポリビニルアルコール及びセルロール誘導体などが挙げられる。接着強度及び耐摩耗性を高めるために、成膜剤またはバインダーとしての水溶性の天然または人工樹脂並びにポリマーも同様に挙げられる。pH調節剤として、有機または無機塩基及び酸が使用される。好ましい有機塩基は、アミン類、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノールまたはジメチルアミノメチルプロパノールである。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、またはアンモニアである。成分(v)は、植物または動物由来の油脂、例えば牛脂、パーム核脂肪、ココナッツ脂肪、ナタネ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、ダイズ油、ピーナッツ油及び鯨油、綿実油、トウモロコシ油、ケシ油、オリーブ油、ヒマシ油、コルザ油、ベニバナ油、ダイズ油、アザミ油、ヒマワリ油、ニシン油、イワシ油であることもできる。飽和もしくは不飽和高級脂肪酸、例えばパルミチン酸、シプリル酸(Cyprylsaeure)、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、カプロン酸、カプリル酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸並びにこれらの塩も通常の添加剤である。
【0052】
本発明の更なる対象は、本発明の顔料調合物を製造する方法であって、粉末、顆粒物または水性プレスケーキの形の成分(i)を、水並びに成分(ii)、場合によっては及び成分(iii)、(iv)及び(v)の存在下に分散させることを特徴とする前記方法である。好ましくは、先ず、成分(ii)、場合によっては及び成分(iii)、(iv)及び(v)の一つまたはそれ以上を混合、均一化し、次いで成分(i)を、予め仕込んだ前記混合物中に混ぜ入れ、この際、成分(i)がペースト化及び予備分散される。次いで、成分(i)の粒の硬さに応じて、場合により冷却下に、粉砕もしくは分散装置を用いて、微分散もしくは微細化する。このためには、攪拌機、ディスソルバ(鋸歯攪拌機)、ローター・ステーターミル、ボールミル、攪拌ボールミル、例えばサンドミル及びビーズミル、高速ミキサー、混練装置、ロールミルまたは高性能ビーズミルを使用することができる。微分散もしくは粉砕は、希望の粒度分布まで行われ、そして0〜100℃の範囲の温度、有利には10〜70℃の温度、好ましくは20〜60℃の温度で行うことができる。微分散の後は、脱イオン水で約20%の濃度に調節し、そして噴霧乾燥器を用いて分散体を乾燥する。乾燥粉末、または乾燥パラメータの選択に応じて顆粒物が得られる。
【0053】
本発明の乾燥顔料調合物は、全ての種類の天然もしくは合成材料の顔料着色及び染色に、特に水性ペイント、エマルションペイント及び着色ニス(エマルションワニス)及び溶剤含有ワニスの顔料着色及び染色に適している。
【0054】
更に、本発明の顔料調合物は、全ての種類の高分子量材料、例えば天然及び合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維の着色に、及び紙パルプの着色、並びに積層材の着色に適している。更に別の用途は、印刷インキ、例えば繊維材料用印刷インキ、フレキソ印刷用インキ、装飾用インキまたは凹版印刷用インキ、壁紙用着色料、水で希釈可能な塗料、木材保護系、ビスコース紡糸着色料、粉末塗料も含む塗料、ソーセージケーシング、種、肥料、ガラス、特にガラスボトルの製造に、並びに屋根瓦の内部着色、漆喰、コンクリート、木材着色用媒染剤、色鉛筆の芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、製図用インキ、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び洗浄剤、靴の手入れ剤、ラテックス製品、研磨剤の着色に、並びにプラスチックもしくは高分子材料の着色である。高分子有機材料は、例えばセルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートまたはセルロースブチレート、天然樹脂もしくは合成樹脂、例えば重合樹脂または縮合樹脂、例えばアミノプラスト、特に尿素−及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノプラスト、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えばポリスチレン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド、ポリウレタン、またはポリエステル、ゴム、カゼイン、ラテックス、シリコーン、シリコーン樹脂の個々のものまたは混合物である。
【0055】
更に、本発明の顔料調合物は、全ての慣用のインクジェットプリンター、特にバブルジェット法もしくはピエゾ法に基づくインクジェットプリンターに使用する印刷インキの製造に適している。これらの印刷インキを用いて、紙、天然もしくは合成繊維材料、フィルム及びプラスチックに印刷することができる。加えて、本発明の顔料調合物は、様々な種類の被覆されたもしくは被覆されていない基材、すなわち例えば、厚紙、ボール紙、木材、及び木材加工材料、金属製材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラス繊維及びセラミック繊維、無機加工材料、コンクリレート、皮革、食品、化粧料、皮膚及び毛髪の印刷に使用することができる。この際、この基材は、二次的に平面に広がるか、または立体的に広がる、すなわち三次元の形であることができ、全体がもしくは一部のみ印刷もしくは被覆されていることができる。
【0056】
更にまた、本発明の顔料調合物は、電子写真用トナー及び現像剤、例えば一成分もしくは二成分粉末トナー(一成分もしくは二成分現像剤とも称される)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー並びに特殊トナー中の着色剤としても適している。
【0057】
更に、本発明の顔料調合物は、インキ、好ましくはインクジェット用インキ、例えば水性もしくは非水性(“溶剤系”)のインクジェット用インキ、マイクロエマルションインキ、UV硬化性インキに、並びにホットメルト法に従い機能するインキに着色剤として適している。
【0058】
更に本発明の顔料調合物は、加法混色及び減法混色のための“フラットパネルディスプレー”用のカラーフィルターのための着色剤、更に“フォトレジスト”のための着色剤、並びに電子インキ(“エレクトロニックインキ”または“e−インキ”)のための着色剤として、または電子ペーパー(“エレクトロニックペーパー”または“e−ペーパー”)のための着色剤としても使用できる。
【実施例】
【0059】
コポリマー性分散剤(ii)の製造
【0060】
合成手順
攪拌機、還流冷却器、内部温度計及び窒素導入口を備えたフラスコ中に、モノマーA、モノマーB、モノマーC、モノマーD及び分子量調節剤を、溶剤中に、窒素導入下に以下の表に記載の重量部で仕込む。次いで、温度を攪拌しながら80℃にし、そして一時間かけて開始剤の溶液を計量添加する。この温度で更に2時間攪拌し、次いで溶剤を減圧下に除去する。
【0061】
以下の二つの表は、上記の合成手順と同様の合成例を含む。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
モノマー[A]の組成:
【0065】
【表3】

【0066】
モノマー[B]の組成
【0067】
【表4】

【0068】
AMBN=2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
【0069】
顔料調合物の製造
粉末、顆粒物またはプレスケーキのいずれかとしての顔料を、分散剤及び他の添加剤と一緒に脱イオン水中でペースト化し、次いでディスソルバ(例えばVMA−Getzmann GmbH社のタイプAE3−M1)または他の適当な装置で均一化及び予備分散した。次いで、ビーズミル(例えばVMA−Getzmann製のAE3−M1)または他の適当な分散装置を用いて微分散を行った。この際、d=1mm径のシリカザイトビーズまたはジルコニウム混合酸化物ビーズを用いて冷却下に、所望の色強度及び色彩となるまで粉砕を行った。次いで、粉体媒体を分離し、顔料調合物を単離し、そして脱イオン水で約20%の濃度に調節し、そしてBuechi(Buechi190)製の噴霧乾燥器を用いて乾燥した。乾燥粉末が得られた。
【0070】
顔料調合物の評価
色強度及び色相の測定は、DIN55986に従い行った。水性顔料分散体及び乾燥粉末を、内装塗装用の慣用の水系エマルションペイント中及び慣用の溶剤含有ワニス中で試験した(色強度及び着色すべき媒体との適合性)。“ラブアウト試験(Rub−Out−Test)”のために、ペイントを、顔料分散体と混合した後、ペイントチャートに塗布した。次いで、このペイントチャートの下の方の部分を指で後擦りした。この際、後擦りした面が、それの隣の後処理していない面と比べてより強く着色された場合に、相容性が悪かった(“ラブアウト試験”は、独国特許出願公開第2638946号明細書(特許文献8)に記載されている)。
粘度は、Haake社のコーン・プレート粘度計(Roto Visco 1)を用いて、20℃で測定した(チタニウム製コーン:φ60mm、1°)。この際、0〜200s−1の範囲の剪断速度に対する粘度の依存性を試験した。粘度は、60s−1の剪断速度で測定した。
【0071】
分散体の貯蔵安定性の評価のためには、調合物の製造直後の粘度及び50℃で四週間貯蔵後の粘度を測定した。
【0072】
以下の例に記載の顔料調合物を、上記の方法に従い製造した。この際、下記の成分は、各々100部の顔料調合物が生ずるように、以下に記載の量で使用した。以下の例では、部は重量部を意味する。
【0073】
例1
35部 C.I.ピグメントイエロー74
14部 合成例11(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、ここで約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントイエロー74
28部 合成例11(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0074】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しそして安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。この分散体は、50℃で28日間の貯蔵の後でもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性及び安定していることが分かる。粘度は、製造後は1.26Pa.sである。この乾燥粉末は、水系白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れ可能である。これらを手で3分間攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度が得られ、凝集安定性(flockulationstabil)で斑点の生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比較して色強度の差異を示さない。
【0075】
例2
35部 C.I.ピグメントレッド168
5部 合成例6(表)のポリマー
10部 成分(iv)、エーテルスルフェート
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、ここで約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントレッド168
10部 合成例6(表)のポリマー
20部 成分(iv)、エーテルスルフェート
【0076】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて、非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は、水系の白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラウアウト試験は、後擦りした面と比較して色強度の差異を示さない。
【0077】
例3
35部 C.I.ピグメントレッド122
5部 合成例18(表)のポリマー
10部 成分(iv)、エーテルスルフェート
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントレッド122
10部 合成例18(表)のポリマー
20部 成分(iv)、エーテルスルフェート
【0078】
該水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りしていない面と比べて色強度の差異を示さない。乾燥粉末は、水系白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性で斑点を生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比較して色強度の差異を示さない。
【0079】
例4
35部 C.I.ピグメントブラック7
14部 合成例19(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントブラック7
28部 合成例19(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0080】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。この分散体は、50℃での28日間の貯蔵の後でもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性及び安定していることが分かる。乾燥粉末は、水系白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0081】
例5
35部 C.I.ピグメントブルー15:3
5部 合成例13(表)のポリマー
10部 成分(iv)、アルコールエトキシレート
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントブルー15:3
10部 合成例13(表)のポリマー
20部 成分(iv)、アルコールエトキシレート
【0082】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は、水系白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、及び凝集安定性でかつ斑点を生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0083】
例6
35部 C.I.ピグメントグリーン7
14部 合成例12(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントグリーン7
28部 合成例12(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0084】
この水性顔料調合物は、白色エマルション及びワニス中で強い色強度を示しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比較して色強度の差異を示さない。該分散体は、50℃で28日間貯蔵した後でもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性で安定していることが分かる。乾燥粉末は、水系白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に容易に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点を生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0085】
例7
35部 C.I.ピグメントブルー15
5部 合成例1(表)のポリマー
10部 成分(iv)、エーテルスルフェート
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントブルー15
10部 合成例1(表)のポリマー
20部 成分(iv)、エーテルスルフェート
【0086】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は水系白色エマルション中に自然に混ぜ入れることができ、そして溶剤含有ワニス中に非常に簡単に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0087】
例8
35部 C.I.ピグメントレッド101
14部 合成例10(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントレッド101
28部 合成例10(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0088】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。分散体は、50℃で28日間の貯蔵後にもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性でかつ安定していることが分かる。乾燥粉末は水系白色エマルション中及び溶剤含有ワニス中に容易かつ自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0089】
例9
35部 C.I.ピグメントイエロー42
5部 合成例16(表)のポリマー
10部 成分(iv)、リンエーテル
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントイエロー42
10部 合成例16(表)のポリマー
20部 成分(iv)、リンエーテル
【0090】
この顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0091】
例10
35部 C.I.ピグメントバイオレット23
14部 合成例3(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントバイオレット23
28部 合成例3(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0092】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。この分散体は、50℃で28日間の貯蔵後にもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性でかつ安定していることが分かる。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0093】
例11
35部 C.I.ピグメントイエロー97
5部 合成例2(表)のポリマー
10部 成分(iv)、エーテルスルフェート
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントイエロー97
10部 合成例2(表)のポリマー
20部 成分(iv)、エーテルスルフェート
【0094】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0095】
例12
35部 C.I.ピグメントレッド112
14部 合成例8(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントレッド112
28部 合成例8(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0096】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。この分散体は、50℃で28日間の貯蔵後にもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性でかつ安定していることが分かる。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0097】
例13
35部 C.I.ピグメントグリーン50
5部 合成例4(表)のポリマー
10部 成分(iv)、アルコールエトキシレート
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントグリーン50
10部 合成例4(表)のポリマー
20部 成分(iv)、アルコールエトキシレート
【0098】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0099】
例14
35部 C.I.ピグメントブラック33
14部 合成例20(表)のポリマー
1部 湿潤剤
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントブラック33
28部 合成例20(表)のポリマー
2部 湿潤剤
【0100】
この水性顔料調合物は、白色エマルション中及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。この分散体は、50℃で28日間の貯蔵後にもなおも同様に自由流動性であるため、自由流動性でかつ安定していることが分かる。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。
【0101】
例15
35部 C.I.ピグメントホワイト6
5部 合成例9(表)のポリマー
10部 成分(iv)、エトキシル化アミン
50部 水
乾燥後、この顔料調合物は以下の組成を有し、この際、約1%の残留含水量は無視する。
70部 C.I.ピグメントホワイト6
10部 合成例9(表)のポリマー
20部 成分(iv)、エトキシル化アミン
【0102】
この水性顔料調合物は、白色エマルション及びワニス中で強い色強度を有しかつ安定している。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて非常に僅かな色強度の差異しか示さない。乾燥粉末は水系白色エマルション中に及び溶剤含有ワニス中に自然に混ぜ入れることができる。これらを3分間、手で攪拌する。両方のペイント系において、強い色強度、並びに凝集安定性でかつ斑点が生じない塗布が得られる。ラブアウト試験は、後擦りした面と比べて色強度の差異を示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(ii) モノマー[A]、[B]、[C]及び[D]を重合して得ることができる分散剤、
を含む顔料調合物:
但し、
[A]は、次式(I)のモノマーであり;
【化1】

[式中、
Aは、C2〜C4アルキレンを表し、そして
Bは、Aとは異なるC2〜C4アルキレンを表し、
Rは、水素またはメチルを表し、
mは、1〜500の数であり、
nは、1〜500の数であり、
m+nの合計は2〜1000である]
[B]は、次式(II)のモノマーであり;
【化2】

[式中、
Dは、C3アルキレンであり、そして
Rは、水素またはメチルを表し、
oは、2〜500の数である]
[C]は、芳香族基を含む、エチレン性不飽和モノマーであり; そして
[D]は、アルキル基を含む、エチレン性不飽和モノマーである。
【請求項2】
乾燥状態で成分(i)を30〜90重量%含む、請求項1の顔料調合物。
【請求項3】
乾燥状態で成分(ii)を0.1〜30重量%含む、請求項1または2の顔料調合物。
【請求項4】
それぞれ乾燥顔料調合物の総重量を基準にして
成分(i) 60〜85重量%
成分(ii) 10〜30重量%
を含む、請求項1〜3の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項5】
有機顔料が、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯体顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料またはジケトピロロピロール顔料あるいはカーボンブラックであることを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項6】
モノマー[A]のアルキレンオキシド単位(A−O)m及び(B−O)nがブロック状に配列されて存在することを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも一つの顔料調合物。
【請求項7】
モノマー[C]が、以下の式(IIIa)または(IIIb)の化合物であることを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも一つの顔料調合物。
【化3】

[式中、
aは、N、O及びSの群からのヘテロ原子を場合により含む、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、
aは、Hまたは(C1〜C4)アルキルを表し、
bは、Hまたは(C1〜C4)アルキルを表し、そして
cは、Hまたは(C1〜C4)アルキルを表す]
【化4】

[式中、
1は、水素またはメチルを表し、
bは、N、O及びSの群からのヘテロ原子を場合により含む、炭素原子数3〜30の芳香族または芳香脂肪族基を表し、
aは、酸素またはNH基を表す]
【請求項8】
モノマー[D]が、次式(IV)の化合物であることを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも一つの顔料調合物。
【化5】

[式中、
2は、水素またはメチルを表し、
Yは、線状もしくは分枝状かまたは環状であることもでき、そしてO、N及びSの群からのヘテロ原子を含むことができ、また不飽和であることができる、炭素原子数1〜30の脂肪族炭化水素基を表し、
bは、酸素またはNH基を表す]
【請求項9】
粉末、顆粒物または水性プレスケーキの形の成分(i)を、水及び成分(ii)の存在下に分散させ、次いで場合により乾燥することを特徴とする、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の顔料調合物の製造方法。
【請求項10】
天然もしくは合成材料の顔料着色及び染色のための、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の顔料調合物の使用。
【請求項11】
水性ペイント、エマルションペイントもしくは着色ニス、及び溶剤含有ワニスの顔料着色のための、請求項10の使用。

【公表番号】特表2012−500291(P2012−500291A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522396(P2011−522396)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005202
【国際公開番号】WO2010/020317
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】