説明

ハイブリッドシステム構成を使用した画像処理

【課題】画像を調整するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】画像を調整するためのシステム及び方法によって、離散プロセッサのグラフィックス処理性能に対する影響が最小化される。ハイブリッドシステム構成は、離散プロセッサ及び統合プロセッサを備えている。画像は、ハイブリッドシステム内の離散プロセッサのビデオエンジン又はグラフィックスエンジンによって生成される。次に、個々の画像がホスト処理メモリ内のバックバッファに転送される。画像が解析され、調整設定値を生成するために使用される画像解析結果が生成される。このバックバッファがスワップされてフロントバッファになり、調整済みの画像を表示するために統合プロセッサによって調整設定値が画像に適用される。この調整を電力節約技法と共に使用して、ディスプレイバックライト照明をうす暗くする際の画像品質を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の実施形態は、一般に、ハイブリッドシステム構成における画像処理に関し、より具体的には、離散プロセッサによって生成される画像を処理するための統合プロセッサの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]従来、ビデオ画像は、YUV色空間からRGB(赤、緑、青)色空間へのビデオ画像の変換に先立って、コントラストを修正するために調整されている。コントラストの変更などの調整を実施するために、コントラストレベルを決定するべく画像がRGB色空間に変換され、解析され、次に、コントラストを修正するべく画像RGB値が調整される。電力の消費を少なくするためにディスプレイのバックライトをうす暗くし、ノート型及び他の携帯型計算デバイスの電池の寿命を長くすることができる。表示された画像が知覚される際の視覚品質を維持するために、画像のコントラストを変化させることができる。しかしながら、グラフィックスプロセッサを使用してビデオ画像をRGB色空間に変換し、次に、引き続いて画像を解析し、コントラストを調整する場合、これらのオペレーションを実行するためにさらなる帯域幅及び処理電力が消費されるため、システムの総合処理性能が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]したがって、当分野においては、ビデオ画像を調整し、且つ、グラフィックス処理性能に対する影響を最小化するためのシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]画像を調整し、且つ、グラフィックス処理性能に対する影響を最小化するためのシステム及び方法である。ハイブリッドシステム構成は、離散プロセッサ及び統合プロセッサを備えており、離散プロセッサは、一般に、統合プロセッサと比較すると、より多くの電力を消費してより優れた処理性能を提供している。画像は、ハイブリッドシステム内の離散プロセッサのビデオエンジン又はグラフィックスエンジンによって生成される。ビデオエンジンによって生成された画像は、表示のためにRGBフォーマットに変換される。次に、個々の画像がホスト処理メモリ内のバックバッファに転送される。画像が解析され、調整設定値を生成するために使用される画像解析結果が生成される。このバックバッファがスワップされてフロントバッファになり、調整済みの画像を表示するために統合プロセッサによって調整設定値が画像に適用される。この調整を電力節約技法と共に使用して、ディスプレイバックライト照明をうす暗くする際の画像品質を維持することができる。また、この調整を使用して、1つ又は複数の色チャネルに対する特殊な効果を実施することも可能である。画像の解析、調整設定値の決定及び調整の適用は、シーケンス中の次の画像が離散プロセッサによって生成される際に、表示すべき現在の画像に対して実施される。調整設定値の決定は、ハイブリッドシステム内のホスト中央処理装置(CPU)又は統合プロセッサによって実施することができる。
【0005】
[0005]ハイブリッドシステム構成を使用して表示用の画像を処理するための本発明の方法の様々な実施形態には、アルファ、赤、緑、青(ARGB)フォーマットで表されるピクチャデータを生成するステップと、ピクチャデータをハイブリッドシステム構成内の離散プロセッサのバックバッファに記憶するステップが含まれている。ピクチャデータは、画像解析結果を生成するために、ハイブリッドシステム構成内の統合プロセッサのバックバッファに転送され、離散プロセッサ又は統合プロセッサによって処理される。画像解析結果は、ハイブリッドシステム構成内の統合プロセッサに結合されているメモリに記憶される。被調整画像設定値は、画像解析結果に基づいて決定され、且つ、ハイブリッドシステム構成内の統合プロセッサを使用してピクチャデータに適用され、それにより統合プロセッサによってディスプレイに表示される調整済みピクチャデータが生成される。
【0006】
[0006]本発明の様々な実施形態は、表示用の画像を処理するように構成されたハイブリッドシステム構成を備えている。ハイブリッドシステム構成は、離散プロセッサ及び統合プロセッサを備えている。離散プロセッサはメモリを備えており、アルファ、赤、緑、青(ARGB)フォーマットで表されるピクチャデータを生成し、画像をメモリのバックバッファに記憶し、且つ、ピクチャデータを第2のバックバッファに転送するように構成されている。統合プロセッサは、被調整画像設定値をピクチャデータに適用して、表示用の調整済みピクチャデータを生成するために、第2のバックバッファに記憶されている画像を処理するように構成されており、被調整画像設定値は、画像解析結果に基づいて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
[0007]以下、上で説明した本発明の特徴をより深く理解することができるよう、上で簡単に要約した本発明について、いくつかが添付の図面に示されている実施形態を参照してより詳細に説明する。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示したものにすぎず、本発明には他の同様に有効な実施形態が許容されるため、したがってこれらを本発明の範囲を制限するものと解釈してはならないことに留意されたい。
【図1A】本発明の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたコンピュータシステムを示すブロック図である。
【図1B】本発明の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたコンピュータシステムを示すブロック図である。
【図2A】本発明の1つ又は複数の態様による、図1Aのコンピュータシステムのためのコアロジックのブロック図である。
【図2B】本発明の1つ又は複数の態様による、図1Bのコンピュータシステムのためのコアロジックのブロック図である。
【図3】本発明の1つ又は複数の態様によるハイブリッドシステムにおける統合プロセッサと離散プロセッサの間の処理の分散を示す概念線図である。
【図4】本発明の1つ又は複数の態様による、バッファ、画像解析結果及び被調整画像設定値の位置を示すハイブリッドシステムの一部の線図である。
【図5】本発明の1つ又は複数の態様によるハイブリッドシステムを使用した画像処理のための方法ステップの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0013]以下の説明には、本発明をより完全に理解するために多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、これらの特定の詳細のうちの1つ又は複数を必要とすることなく本発明を実践することができることは当業者には明らかであろう。他の実例では、良く知られている特徴については、本発明を明確にするためにその説明は省略されている。
【0009】
(システム概説)
[0014]図1Aは、本発明の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、様々なレベルの動作及び様々なレベルの電力消費を提供するために複数の処理装置を備えたハイブリッド計算プラットフォームである。コンピュータシステム100は、コアロジック105を備えたバス経路を介して通信している中央処理装置(CPU)102及びシステムメモリ104を備えている。コアロジック105は、一般的には離散GPU112より性能が劣り、また、電力消費が少ない統合GPU150を備えている。
【0010】
[0015]コアロジック105は、CPU102をプラットフォーム内の1つ又は複数の他のデバイスに結合しているブリッジデバイスであり、コネクション113を介してシステムメモリ104に結合されている。コアロジック105は、1つ又は複数のユーザ入力デバイス108(例えばキーボード、マウス)からユーザ入力を受け取り、受け取った入力を経路106を介してCPU102に転送している。
【0011】
[0016]離散GPU112は、バス又は他の通信経路(例えばPCI Express、Accelerated Graphics Port又はHyperTransportリンク)を介してコアロジック105に結合されており、一実施形態では、離散GPU112は、二次元(2D)図形データ、三次元(3D)図形データ及び/又はビデオデータを処理して画像を生成するグラフィックスサブシステムである。ビデオデータから生成される画像は、通常、YUV色空間で表されており、ディスプレイデバイス110に表示するためにRGB色空間に変換される。デバイスドライバは、システムメモリ104に記憶することができ、図3に関連して説明するように、CPU102によって実行されるアプリケーションプログラムなどのプロセスと、離散GPU112及び統合GPU150との間をインタフェースし、離散GPU112及び統合GPU150が実行するために必要なプログラム命令を翻訳している。システム100が低電力モードで動作している間、コアロジック105は、離散GPU112に入力される電圧を電圧調整器を介して制御することにより、パワーオフ状態に入るように離散GPU112を構成することができる。同様に、コアロジック105は、システムメモリ104に入力される電圧を制御することにより、同じくパワーオフ状態に入るようにシステムメモリ104を構成することができる。
【0012】
[0017]コアロジック105は、ディスプレイデバイス110(例えば従来のCRT又はLCDをベースとするモニタ)に結合されており、ディスプレイデバイス110が消費する電力を変化させるためにバックライトレベルを制御することができる。また、システムディスク114がコアロジック105に接続されている。スイッチ116は、コアロジック105と他のコンポーネント、例えばネットワークアダプタ118及び様々なアドインカード120、121などとの間の接続を提供している。USB又は他のポート接続、CDドライブ、DVDドライブ、フィルム記録デバイス、等々を始めとする他のコンポーネント(明示せず)も同じくコアロジック105に接続することができる。図1Aに示されている様々なコンポーネントを相互接続している通信経路は、PCI(Peripheral Component Interconnect)、PCI Express(PCI−E)、AGP(Accelerated Graphics Port)、HyperTransport又は他の任意のバス或いは(1つ又は複数の)二地点間通信プロトコルなどの適切な任意のプロトコルを使用して実施することができ、また、異なるデバイス間の接続には、当分野で知られている異なるプロトコルを使用することも可能である。
【0013】
[0018]図1Bは、本発明の1つ又は複数の態様を実施するように構成されたコンピュータシステム100を示す他のブロック図である。図1Aの場合とは対照的に、システムメモリ104は、コアロジック115を介してではなく、コネクション103を介して直接CPU122に接続されており、また、他のデバイスは、コアロジック115及びCPU122を介してシステムメモリ104と通信している。
【0014】
[0019]本明細書において示されているシステムは説明を目的としたものであること、また、変形形態及び変更態様が可能であることは理解されよう。ブリッジの数及び配置を始めとする接続形態は、必要に応じて修正することができる。他の代替接続形態では、GPU112は、コアロジック105又はコアロジック115にではなく、CPU102又はCPU122に直接接続される。さらに他の実施形態では、コアロジック105又はコアロジック115を複数のチップに分割することができる。本明細書において示されている特定のコンポーネントは任意選択であり、例えば任意の数のアドインカード又は周辺デバイスをサポートすることができる。いくつかの実施形態では、スイッチ116が除去されており、ネットワークアダプタ118及びアドインカード120、121は、コアロジック105又はコアロジック115に直接接続されている。システム100の残りの部分へのGPU112の接続も同じく変更することができる。いくつかの実施形態では、GPU112は、システム100の拡張スロットに挿入することができるアドインカードとして実施されている。
【0015】
(コアロジック概説)
[0020]図2Aは、本発明の1つ又は複数の態様による、図1Aのコンピュータシステム100のためのコアロジック105のブロック図である。図2Bは、本発明の1つ又は複数の態様による、図1Bのコンピュータシステム100のためのコアロジック115のブロック図である。コアロジック105及びコアロジック115は、それぞれ、ARM(advanced reduced instruction set machine)、PowerPC等の埋設低電力プロセッサであってもよいシステム管理ユニット200を備えている。システム管理ユニット200が消費する電力は、CPU102又はCPU122が消費する電力より少なく、また、CPU102又はCPU122によって実行される処理のうちの少なくとも一部、例えばサービスシステム中断に必要な処理などを実行するように構成することができる。
【0016】
[0021]また、コアロジック105及びコアロジック115は、それぞれ、ディスプレイデバイス110に出力するためのRGBイメージデータを含んだフロントバッファ260を記憶するように構成することができるローカルメモリ205を備えている。ローカルメモリ205は、ディスプレイデバイス110に出力するための画像の二重バッファリングを実行するためにフロントバッファ260とスワップされるバックバッファを記憶するように構成することも可能である。バックバッファは、フロントバッファ260が表示されている間に、統合GPU150又は離散GPU112によって書き込まれる。フロントバッファ260の表示が完了すると、フロントバッファ260がバックバッファとスワップされ、バックバッファに記憶されている画像が表示される。フロントバッファ260及びバックバッファは、ローカルメモリ205の代わりにシステムメモリ104に記憶することも可能である。
【0017】
[0022]図1Bに示されている接続形態が使用される場合、データは、CPU122及びコネクション103を介してシステムメモリ104に転送され、また、これらを介してシステムメモリ104から転送される。ローカルメモリ205は、オンチップSRAM、オンチップ埋設DRAM、オフチップDRAM、等々を使用して構築することができる。図1Aに示されているようにシステムメモリ104がコアロジック105に直接接続される場合、ローカルメモリ205及びシステムメモリ104は、同じ物理的構成要素にすることができる。
【0018】
[0023]システム管理ユニット200は、コンピュータシステム100を低電力動作モードにしなければならない時期を決定し、また、コンピュータシステム100が低電力動作モードから抜け出さなければならない時期を決定するように構成することができる。システム管理ユニット200は、CPU102及びCPU122に入力される電圧をイネーブル及びディセーブルすることによってCPU102又はCPU122に電力を供給し、或いはそれらへの電力の供給を停止するように構成されている。同様に、システム管理ユニット200は、GPU112に入力される電圧をイネーブル及びディセーブルすることによって離散GPU112に電力を供給し、或いは離散GPU112への電力の供給を停止するように構成されている。既に説明したように、システム管理ユニット200は、コンピュータシステム100内のシステムメモリ104及び統合GPU150などの他のコンポーネントへの電力の供給を停止するように構成することも可能である。
【0019】
[0024]本発明のいくつかの実施形態では、コアロジック105は、システムメモリ104とインタフェースするために使用されるメモリインタフェース214を備えている。システム管理ユニット200は、システム管理ユニット200がイネーブルされている間、システム管理ユニット200及びCPU102又はCPU122の両方をイネーブルすることができ、また、CPU102又はCPU122をディセーブルすることができるため、コンピュータシステム100にハイブリッド処理能力を提供している。
【0020】
(画像処理)
[0025]図3は、本発明の1つ又は複数の態様によるハイブリッドシステム100の統合GPU150と離散GPU112の間の処理の分散を示す概念線図である。ビデオアプリケーション300がCPU102上で実行され、システムメモリ104に記憶されているユーザモードドライバ305がコマンド及び符号化データ302を受け取る。ユーザモードドライバ305は、コマンド及び符号化データ302を処理のためにカーネルモードドライバ310に転送する。カーネルモードドライバ310は、ハイブリッド構成を認識し、詳細には、統合GPU150及び離散GPU112の両方がコマンド及び符号化データ302を処理することができることを認識する。
【0021】
[0026]従来のハイブリッドシステムの場合、カーネルモードドライバ310は、個々のGPUプロセスにコマンド及び符号化データ302の一部を持たせることによって処理作業負荷を統合GPU150と離散GPU112の間で分割する。例えば、統合GPU150は、コマンド及び符号化データ302の第1の部分を処理し、ディスプレイデバイス110に出力するための表面の上、下、右及び左側の部分を生成することができる。離散GPU112は、コマンド及び符号化データ302の第2の部分を処理し、ディスプレイデバイス110に出力するための表面の残りの部分を生成することができる。
【0022】
[0027]従来のシステムの場合、ハイブリッドシステムであれ、或いはそれ以外のシステムであれ、うす暗くなったバックライト照明を補償するために最終RGB値を調整し、色チャネルに対する特殊な効果を実施し、或いは色チャネルをオーバドライブすることによってLCD応答性を改善するために、ディスプレイ110に出力するための最終画像の処理が実施される。最終RGB値の処理は、離散GPU112によって実施され、最良の結果を得るためにRGB色空間で表されるデータに対して実施される。したがって、この方法の場合、通常、YUV空間で表されるビデオデータは処理されないか、或いはYUV空間で処理され、その結果、画像品質が悪くなっている。従来のシステムの場合、最終画像のこの処理を実施する能力はビデオプレイバックデータに限定されており(3D図形データは除外されている)、最終RGB値を調整するために追加処理サイクルが消費されるため、離散GPU112の性能を低下させている。
【0023】
[0028]本発明の好ましい実施形態では、カーネルモードドライバ310は、処理のために離散GPU112にコマンド及び符号化データ302を出力するように構成されている。カーネルモードドライバ310は、図5に関連して説明するように、最終RGB値の処理を実施するように統合GPU150を構成する。ディスプレイ110に出力するための最終画像の処理は、うす暗くなったバックライト照明を補償するために最終RGB値を調整し、色チャネルに対する特殊な効果を実施し、或いは色チャネルをオーバドライブすることによってLCD応答性を改善するために、統合GPU150によって、離散GPU112によって処理されたビデオデータ、2Dデータ及び3Dデータに対して実施することができる。その上、最終RGB値の処理は、離散GPU112から統合GPU150までオフロードされているため、離散GPU112の性能が低下することはない。さらに、離散GPU112は、統合GPU150がシーケンス中の(n−1)番目の画像の最終RGB値を処理している間、シーケンス中のn番目の画像を生成している。
【0024】
[0029]図4は、本発明の1つ又は複数の態様による、バッファ、画像解析結果及び被調整画像設定値の位置を示すハイブリッドシステムの一部の線図である。フロントバッファ260、バックバッファ402、画像解析結果155及び被調整画像設定値160のうちの1つ又は複数は、ローカルメモリ205に記憶することができる。離散GPU112内のビデオエンジンは、カーネルモードドライバ310によって提供されるコマンド及び符号化データ302を復号し、YUVフォーマットの復号データを生成している。離散GPU112は、2D図形、3D図形及び/又は離散GPU112内のビデオエンジンを使用して、復号されたYUVデータの追加処理を実施し、RGBフォーマットのピクチャデータを生成している。離散GPU112は、バックバッファ400にピクチャデータを記憶している。バックバッファ400は、ホストシステムに転送され、バックバッファ402としてシステムメモリ104に記憶される。バックバッファ400が転送されると、離散GPU112は、バックバッファ400への異なる画像のためのピクチャデータの記憶を開始することができる。
【0025】
[0030]離散GPU112、CPU102又は統合GPU150は、第1の画像を解析し、システムメモリ104に記憶される画像解析結果155を生成している。画像解析結果155は、コントラストレベルを変化させることによって分類され、或いは1つ又は複数のチャネル(赤、緑及び青)に対するチャネル色値を変化させることによって分類されるバックバッファ402のヒストグラムを表すことができる。解析を実施するために、統合GPU150は、最初に、バックバッファ402中で分類されたRGBデータをY(luma)データに変換することができる。また、統合GPU150は、バックバッファ400がより大きい場合、性能を改善する(フレームレートを高くする)ために、バックバッファ402が1024×768画素までダウンスケールされるようにカーネルモードドライバ310によって構成することができる。別法としては、統合GPU150は、離散GPU112によって生成される画素の数が限定されている場合、デバイスドライバユーザモードドライバ305によって規定される会話形フレームレートを支えるために、バックバッファ402がアップスケールされるようにカーネルモードドライバ310によって構成することも可能である。RGBピクチャデータのアップスケール化又はダウンスケール化は、ピクチャデータがバックバッファ400からバックバッファ402へ転送される際に実施することができる。
【0026】
[0031]次に、画像解析結果155を使用して、被調整画像設定値160が決定される。例えば、電力消費を少なくするためにフラットパネルディスプレイのバックライトをうす暗くする場合、つまりSmartDimmerフィーチャを使用する場合、バックバッファ402によって表される画像のコントラストを大きくすることができる。コントラストを大きくすることにより、うす暗いバックライトを使用し、且つ、コントラストを大きくしない状態で画像を表示する場合と比較すると、表示される画像の知覚視覚品質(主として輝度)が改善される。画像解析結果155は、周辺光(Ambi-light)などの色チャネルに対する特殊な効果を実施するために使用される色チャネル値のヒストグラムを表すことも可能である。被調整画像設定値160は、画像解析結果155に基づいて、複数の色チャネルのうちの1つ又は複数に対する修正を規定することができる。最後に、RGB色値を一時的にオーバドライブしてディスプレイデバイス110のLCD応答性を改善することによってゴースト人工物(ghosting artifact)を小さくするために、被調整画像設定値160によってLCDオーバドライブフィーチャを規定することができる。
【0027】
[0032]図5は、本発明の1つ又は複数の態様による、ハイブリッドシステム100を使用した画像処理のための方法ステップの流れ図である。ステップ500で離散GPU112が画像を復号し、ステップ505でARGBフォーマットデータとしてバックバッファ400に記憶されるピクチャデータを生成する。画像は、コマンド及び符号化データ302を使用して、ピクチャデータを生成するために離散GPU112によって描写されるグラフィックスアプリケーションによって提供されるビデオアプリケーション300又は2D図形データ或いは3D図形データから復号することができる。ステップ510でバックバッファ400がバックバッファ402に複写される。既に説明したように、統合GPU150は、ピクチャデータがバックバッファ400からバックバッファ402に複写される際に、ピクチャデータをアップスケール又はダウンスケールするように構成することができる。また、統合GPU150は、データがバックバッファ400からバックバッファ402に複写される際に、ピクチャデータをRGBフォーマットデータに変換するように構成することも可能である。
【0028】
[0033]ステップ515で、バックバッファ402を解析し、画像解析結果155を生成するように統合GPU150が構成される。本発明のいくつかの実施形態では、画像解析結果155を生成するようにCPU102を構成することができる。ステップ520で画像解析結果155がシステムメモリ104又はローカルメモリ205に記憶される。ステップ525で画像解析結果155が解析され、ピクチャデータがディスプレイデバイス110に出力される際に、バックバッファ402に記憶されているピクチャデータに適用される被調整設定値を表す被調整画像設定値160が生成される。被調整画像設定値160には、バックライト照明の変化、色チャネル効果の変化及び他の電力リダクション又は表示オプションの変化が考慮されている。CPU102又は統合GPU150は、被調整画像設定値160を生成するように構成することができる。
【0029】
[0034]ステップ530でコアロジック105又は115は、ディスプレイデバイス110を制御するために何らかのディスプレイ調整を実施するかどうか、例えばバックライトレベルを変化させるかどうか、等々を決定する。ディスプレイ調整を実施する場合、ステップ535でディスプレイデバイス110にディスプレイ調整が適用される。ステップ540でフロントバッファ260がバックバッファ402とスワップされ、それによりバックバッファ402がディスプレイデバイス110に出力される。ステップ545で、バックバッファ402からピクチャデータを読み出し、且つ、調整済みピクチャデータをディスプレイデバイス110に出力する前に被調整画像設定値160を適用するように、統合GPU150が構成される。
【0030】
[0035]ディスプレイデバイス110に出力するための最終画像の処理は、離散GPU112から統合GPU150までオフロードされており、離散GPU112によるビデオデータ及び図形データの処理性能が改善されている。統合GPU150は、ビデオ及び2D及び/又は3Dグラフィックス処理から得られたピクチャデータの最終RGB値を調整して、うす暗くなったバックライト照明を補償し、色チャネルに対する特殊な効果を実施し、或いは色チャネルをオーバドライブすることによってLCD応答性を改善することができる。
【0031】
[0036]以上、本発明について、特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、特許請求の範囲に示されている本発明のより広義の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更をそれらの実施形態に加えることができることは当業者には理解されよう。本発明の一実施形態は、コンピュータシステムと共に使用するためのプログラム製品として実施することができる。プログラム製品の(1つ又は複数の)プログラムは、実施形態(本明細書において説明されている方法を含む)の機能を定義しており、様々なコンピュータ可読記憶媒体に記憶させることができる。実例コンピュータ可読記憶媒体には、それらに限定されないが、(i)情報が永久的に記憶される書込み不能記憶媒体(例えば、コンピュータ内の、CD−ROMドライブによる読取りが可能なCD−ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップなどのリードオンリメモリデバイス又は任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリ)、及び(ii)情報が変更可能に記憶される書込み可能記憶媒体(例えばディスケットドライブ内のフロッピーディスク(登録商標)、ハードディスクドライブ又は任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)がある。したがって以上の説明及び図面は、本発明を制限する意味ではなく、本発明を実例で説明したものとして解釈されたい。
【符号の説明】
【0032】
100 コンピュータシステム(システム、ハイブリッドシステム)
102、122 中央処理装置(CPU)
103、113 コネクション
104 システムメモリ
105、115 コアロジック
106 経路
108 ユーザ入力デバイス
110 ディスプレイデバイス(ディスプレイ)
112 離散GPU
114 システムディスク
116 スイッチ
118 ネットワークアダプタ
120、121 アドインカード
150 統合GPU
155 画像解析結果
160 被調整画像設定値
200 システム管理ユニット
205 ローカルメモリ
214 メモリインタフェース
260 フロントバッファ
300 ビデオアプリケーション
302 コマンド及び符号化データ
305 ユーザモードドライバ(デバイスドライバユーザモードドライバ)
310 カーネルモードドライバ
400、402 バックバッファ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示用の画像を処理するためのハイブリッドシステム構成であって、
メモリを備え、
アルファ、赤、緑、青(ARGB)フォーマットで表されるピクチャデータを生成し、
前記ピクチャデータを前記メモリのバックバッファに記憶し、
前記ピクチャデータを第2のメモリに記憶されている第2のバックバッファに転送する
ように構成されている離散プロセッサと、
前記第2のメモリに結合され、
前記ピクチャデータを処理することによって生成される画像解析結果を獲得し、
前記第2のバックバッファに記憶されている前記ピクチャデータに、前記画像解析結果に基づいて決定される被調整画像設定値を適用して、表示用の調整済みピクチャデータを生成する
ように構成された統合プロセッサと
を備えたハイブリッドシステム構成。
【請求項2】
前記統合プロセッサが、前記画像解析結果を解析して前記被調整画像設定値を生成するように構成されている、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項3】
前記統合プロセッサに結合され、前記画像解析結果を解析して前記被調整画像設定値を生成するように構成されている中央処理装置(CPU)をさらに備えた、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項4】
前記統合プロセッサが、ディスプレイデバイスのバックライトレベルを修正するように構成されているコアロジック内に包含され、前記被調整画像設定値が前記ディスプレイデバイスの前記バックライトレベルに基づく、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項5】
前記統合プロセッサに結合されているディスプレイデバイスをさらに備え、前記統合プロセッサが、前記調整済みピクチャデータを前記ディスプレイデバイスに出力するようにさらに構成されている、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項6】
前記離散プロセッサが、前記バックバッファに記憶されている前記ピクチャデータを処理して前記画像解析結果を生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項7】
前記統合プロセッサが、前記第2のバックバッファに記憶されている前記ピクチャデータを処理して前記画像解析結果を生成するようにさらに構成されている、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項8】
前記被調整画像設定値が前記ピクチャデータのコントラストレベルの修正を規定する、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項9】
前記被調整画像設定値が前記ピクチャデータの色チャネルのオーバドライブを規定する、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。
【請求項10】
前記統合プロセッサが、前記第2のバックバッファに記憶されている前記ピクチャデータをスケーリングするようにさらに構成されている、請求項1に記載のハイブリッドシステム構成。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−118062(P2010−118062A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−260035(P2009−260035)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(501261300)エヌヴィディア コーポレイション (166)
【Fターム(参考)】