説明

ハイブリッド型作業機械

【課題】エンジンのアシスト用の電動機と、作業要素の駆動源としての電動機を共通化したハイブリッド型作業機械を提供することを課題とする。
【解決手段】ハイブリッド型作業機械は、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に回転軸の一側が同軸接続される電動発電機と、前記電動発電機の回転軸の他側に入力軸が同軸接続されるとともに、出力軸が作業要素の駆動機構に接続される変速機とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の旋回機構の駆動制御を行うハイブリッド型作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上部旋回体を旋回させるための旋回機構の動力源として電動機を備える建設機械が提案されている。このような建設機械では、電動機の力行運転で旋回機構を加速(駆動)するとともに、旋回機構を減速(制動)する際に回生運転を行い、発電される電力をバッテリに充電している(例えば、特許文献1参照)。また、この特許文献1に記載された建設機械は、旋回機構以外の駆動機構を油圧で駆動するために油圧ポンプを備えるが、この油圧ポンプを駆動するためのエンジンに増速機を介して発電機を接続し、発電で得る電力をバッテリの充電と旋回機構の電動機の駆動に用いている。
【特許文献1】特開平2004−036303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、旋回機構等の作業要素の駆動源としての電動機と、エンジンのアシスト用の電動機とを備える建設機械では、少なくとも2つの電動機を備える必要があるため、装置構成が複雑となるうえ、高価であった。
【0004】
そこで、本発明は、エンジンのアシスト用の電動機と、作業要素の駆動源としての電動機を共通化したハイブリッド型作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面のハイブリッド型作業機械は、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸に回転軸の一側が同軸接続される電動発電機と、前記電動発電機の回転軸の他側に入力軸が同軸接続されるとともに、出力軸が作業要素の駆動機構に接続される変速機とを含む。
【0006】
また、前記内燃機関の出力軸と前記電動発電機の回転軸の一側との間に、前記内燃機関によって駆動されることにより、油圧作業要素の駆動機構に供給するための圧油を生成する油圧ポンプを含んでもよい。
【0007】
また、前記電動発電機の力行運転に必要な電力を供給するとともに、前記電動機の回生運転によって得られる電力を充電する蓄電器を含んでもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エンジンのアシスト用の電動機と、作業要素の駆動源としての電動機を共通化したハイブリッド型作業機械を提供できるという特有の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のハイブリッド型作業機械を適用した実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態の旋回駆動制御装置を含む建設機械を示す側面図である。
【0011】
この建設機械の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。また、上部旋回体3には、ブーム4、アーム5、及びバケット6と、これらを油圧駆動するためのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に加えて、キャビン10及び動力源が搭載される。
【0012】
[全体構成」
図2は、本実施の形態の旋回駆動制御装置を含む建設機械の構成を表すブロック図である。この図2では、機械的動力系を二重線、高圧油圧ラインを実線、パイロットラインを破線、電気駆動・制御系を一点鎖線でそれぞれ示す。
【0013】
機械式駆動部としてのエンジン11の出力軸11Aには、メインポンプ12及びパイロットポンプ13が接続されている。メインポンプ12には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。高圧油圧ラインには、メインポンプ12によって生成される圧油の油圧を検出するための油圧センサ16Aが配設されている。検出される油圧を表す信号は、コントローラ100に入力される。
【0014】
また、このエンジン11の出力軸11Aには、メインポンプ12及びパイロットポンプ13を介して電動発電機14の回転軸の一側(図中左側)が接続されている。
【0015】
さらに、電動発電機14の回転軸の他側(図中右側)には、変速機15の入力軸が接続されており、この変速機15の出力軸には、旋回機構2が接続されている。
【0016】
コントロールバルブ17は、本実施の形態の建設機械における油圧系の制御を行う制御装置であり、このコントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
【0017】
電動発電機14には、インバータ18を介してバッテリ19が接続されている。
【0018】
また、パイロットポンプ13には、パイロットライン13Aを介して操作装置20が接続される。
【0019】
操作装置20には、油圧ライン21及び22を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ23がそれぞれ接続される。この圧力センサ23には、本実施の形態の建設機械の電気系の駆動制御を行うコントローラ100が接続されている。
【0020】
このような本実施の形態の建設機械は、エンジン11及び電動発電機14を動力源とするハイブリッド型の建設機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
【0021】
[各部の構成」
エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸11Aはメインポンプ12及びパイロットポンプ13を介して電動発電機14の回転軸の一側(図中左側)に接続される。このエンジン11は、建設機械の運転中は常時運転されるため、メインポンプ12及びパイロットポンプ13は、建設機械の運転中は常時エンジン11によって駆動される。
【0022】
メインポンプ12は、コントロールバルブ17に供給するための油圧を発生するポンプである。この油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。
【0023】
パイロットポンプ13は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。この油圧操作系の構成については後述する。
【0024】
電動発電機14は、電動運転及び発電運転の双方が可能な電動機であればよい。ここでは、電動発電機14として、インバータ18によって交流駆動される電動発電機を示す。この電動発電機14は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。
【0025】
この電動発電機14の回転軸は、エンジン11の出力軸11Aと機械的に接続されているため、エンジン11Aの出力軸11Aと常に同一方向に同一の回転数で回転するが、電動発電機14の運転状態には、エンジン11によって駆動されることによる発電運転、又は、インバータ18によって駆動されることによる電動運転の2種類がある。電動発電機14の電動運転では、電動発電機14の駆動力がメインポンプ12に伝達されることにより、エンジン11の駆動がアシストされる。
【0026】
電動発電機14の電動運転と発電運転の切り替えは、コントローラ100により、エンジン11又はメインポンプ12の負荷等に応じて行われる。
【0027】
変速機15は、操作装置20のレバー20Aによって旋回駆動操作が行われたときに、電動発電機14の駆動力を正転方向又は逆転方向の回転駆動力として旋回機構2に伝達する変速機である。ここで、変速機15として、静油圧電動装置(HST)を用いることができる。この場合、油圧ポンプの吐出し流量を変速レバーによって変化させることで無段階に速度をコントロールすることができ、さらには正逆回転をスムーズに行うことができる。
【0028】
また、この変速機15は、旋回操作が行われていないときは、電動発電機14の駆動力を旋回機構2に伝達しないように、入力軸に対して出力軸がフリーにされる機構を含む。
【0029】
変速機15の旋回機構2への動力伝達の有無、及び正転方向または逆転方向の旋回を行うための変速比の選択は、旋回操作用のレバー20Aの操作量に応じた信号に基づき、コントローラ100によって電子的に制御される。また、変速機15の変速レバーを別途設け、旋回操作用のレバー20Aに連動させて変速比を機械的に変えるようにしてもよい。
【0030】
このため、操作装置20のレバー20Aによって旋回駆動操作が行われると、コントローラ100によって変速比が設定されて旋回機構2への動力伝達が行われることにより、電動発電機14の駆動力が正転方向又は逆転方向の回転駆動力として減速されて旋回機構2に伝達される。
【0031】
ここで、本実施の形態のハイブリッド型作業機械の制御系では、上部旋回体3を右方向に旋回させるための変速機15の出力軸の回転方向を「正転」と称す。一方、上部旋回体3を左方向に旋回させるための変速機15の出力軸の回転方向を「逆転」と称す。
【0032】
なお、変速機15の出力軸(図中右側)には、出力軸の回転位置を検出するためのレゾルバと、出力軸を停止させるためのメカニカルブレーキが配設される。このため、旋回機構2は、メカニカルブレーキが解除された状態で旋回可能となり、電動発電機14の駆動力が変速機15で正転方向又は逆転方向に減速されて伝達されることにより、上部旋回体3が左方向又は右方向に旋回される。
【0033】
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧で駆動制御する油圧制御装置である。
【0034】
インバータ18は、電動発電機14の電動運転に必要な電力をバッテリ19から電動発電機14に供給するとともに、電動発電機14の発電運転によって発電された電力をバッテリ19に充電するために電動発電機14とバッテリ19との間に設けられたインバータである。
【0035】
バッテリ19は、インバータ18に接続されている。電動発電機14が電動運転を行っている際には、電動運転に必要な電力を供給し、発電運転を行っている際には、発電運転によって発生した回生電力を電気エネルギーとして蓄積(充電)する。
【0036】
なお、バッテリ19の充放電制御は、バッテリ19の充電状態と電動発電機14の運転状態(電動運転又は発電運転)に基づき、コントローラ100によって行われる。
【0037】
操作装置20は、下部走行体1、旋回機構2、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための操作装置であり、レバー20A及び20Bとペダル20Cを含む。レバー20Aは、旋回機構2及びアーム5を操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。レバー20Bは、ブーム4及びバケット6を操作するためのレバーであり、運転席近傍に設けられる。また、ペダル20Cは、下部走行体1を操作するための一対のペダルであり、運転席の足下に設けられる。
【0038】
この操作装置20は、パイロットライン13Aを通じて供給される油圧(1次側の油圧)を運転者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置20から出力される2次側の油圧は、油圧ライン21を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ23によって検出される。
【0039】
レバー20A及び20Bとペダル20Cの各々が操作されると、油圧ライン21を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
【0040】
なお、油圧ライン21は、油圧モータ1A及び1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダの駆動に必要な油圧をコントロールバルブに供給する。
【0041】
圧力センサ23では、レバー20Aの操作による、油圧ライン22内の油圧の変化が圧力センサ23で検出される。圧力センサ23は、油圧ライン22内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、レバー20Aの操作方向(右旋回又は左旋回)と操作量を表す信号であり、コントローラ100に入力される。
【0042】
[コントローラ100]
コントローラ100は、本実施の形態の建設機械の駆動制御を行う制御装置である。このコントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、コントローラ100のCPUが内部メモリに格納される駆動制御用のプログラムを実行することによって実現される装置である。
【0043】
このコントローラ100は、操作レバー20Aの操作量、油圧センサ16Aで検出される圧油の油圧、及び、バッテリ19の充電状態(SOC:State Of Charge)に基づき、電動発電機14の駆動状態(電動運転又は発電運転)の制御、変速機15の変速比の制御、及び、バッテリ19の充放電制御を行う。この充放電制御は、図3に示す駆動パターンに従って実行される。
【0044】
図3は、本実施の形態のハイブリッド型作業機械における駆動パターンを示す図である。この図は、縦軸に旋回駆動の有無、旋回方向、及び加減速状態を示し、横軸にエンジンの駆動状態、電動発電機の運転状態、変速比、バッテリ19の充放電状態を示し、駆動パターンをマトリクス状に表したものである。
【0045】
縦軸は、旋回機構の駆動パターンを表し、旋回駆動の有無と加減速の別に分けられる。旋回駆動の有無は、操作レバー20Aが操作されずに旋回駆動が行われていない場合に「旋回駆動無し」と表され、操作レバー20Aの操作により正転方向の旋回が行われている場合に「旋回正転駆動」と表され、操作レバー20Aの操作により逆転方向の旋回が行われている場合に「旋回逆転駆動」と表される。また、加減速の別は、「加速」または「減速(制動)」のいずれかで表される。
【0046】
横軸は、エンジンの駆動状態、電動発電機の運転状態、変速機の変速比、及びバッテリの充放電状態を含む。
【0047】
エンジンの駆動状態は、出力の余裕が有り(出力余裕有)、または出力の余裕がなし(出力余裕なし)の場合において、油圧ポンプ12、電動発電機14、または旋回機構2のいずれをエンジン11が駆動しているかを表す。また、電動発電機の運転状態は、電動発電機14の電動運転または発電運転の別を表す。
【0048】
「出力余裕有り」または「出力余裕無し」の判定は、油圧センサ16Aによって検出される圧油の油圧が所定の閾値以下であるか(余裕有り)、または閾値より高いか(余裕なし)のいずれであるかがコントローラ100によって判定されることによって実現される。
【0049】
また、変速機の変速比は、変速機15の変速比を表し、零(変速機15の入力軸に対して出力軸がフリーの状態)、正転(旋回機構2を正転方向に回転させるための変速比が設定されている状態)、または逆転(旋回機構2を逆転方向に回転させるための変速比が設定されている状態)を表す。
【0050】
さらに、バッテリの充放電状態は、バッテリ19が充電状態または放電状態のいずれであるかを表す。
【0051】
ここで、図3に示す駆動パターンを列毎に(上側の列から下側の列に向けて順番に)説明する。この駆動パターンの制御はコントローラ100によって実行される。
【0052】
まず、旋回機構の動作パターンが「旋回駆動無し」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」であり、かつ、バッテリ19のSOCが閾値以下である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12と電動発電機14の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせる。このとき、変速機15はデフォルト(初期条件)である中立状態となっているため、変速比は「零」となる。これにより、旋回機構2の駆動は行われず、バッテリ19の充電が行われる。
【0053】
旋回機構の動作パターンが「旋回駆動無し」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」であり、かつ、バッテリ19のSOCが閾値より高い場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12の駆動を行わせ、電動発電機14に電動運転を行わせる。このとき、変速機15はデフォルト(初期条件)である中立状態となっているため、変速比は「零」となる。これにより、旋回機構2の駆動は行われず、バッテリ19の放電(電動発電機14への電力供給)が行われる。
【0054】
旋回機構の動作パターンが「旋回駆動無し」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12の駆動を行わせ、電動発電機14に電動運転を行わせる。このとき、変速機15はデフォルト(初期条件)である中立状態となっているため、変速比は「零」となる。これにより、旋回機構2の駆動は行われず、エンジン11による油圧ポンプ12の駆動が電動発電機14によってアシストされる。なお、このとき、バッテリ19は放電され、電動発電機14に電力が供給される。
【0055】
旋回機構の動作パターンが「旋回正転駆動」で「加速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」であり、かつ、バッテリ19のSOCが閾値より高い場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12と旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に電動運転を行わせ、変速機15の変速比を「正転」に設定させる。これにより、エンジン11が電動発電機14によってアシストされながら旋回機構2が正転方向に加速され、バッテリ19は放電(電動発電機14への電力供給)が行われる。
【0056】
旋回機構の動作パターンが「旋回正転駆動」で「加速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」であり、かつ、バッテリ19のSOCが閾値以下である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12、電動発電機14、及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせ、変速機15の変速比を「正転」に設定させる。これにより、旋回機構2は正転方向に加速され、バッテリ19は発電される。
【0057】
旋回機構の動作パターンが「旋回正転駆動」で「加速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に電動運転を行わせ、変速機15の変速比を「正転」に設定させる。これにより、エンジン11が電動発電機14によってアシストされながら旋回機構2は正転方向に加速され、バッテリ19は放電(電動発電機14への電力供給)が行われる。
【0058】
旋回機構の動作パターンが「旋回正転駆動」で「減速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12、電動発電機14、及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせ、変速機15の変速比を「正転」に設定させる。これにより、旋回機構2が正転方向に減速され、バッテリ19は充電される。
【0059】
旋回機構の動作パターンが「旋回正転駆動」で「減速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12、電動発電機14、及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせ、変速機15の変速比を「正転」に設定させる。これにより、旋回機構2が正転方向に減速され、バッテリ19は充電される。なお、この場合は、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」であるため、電動発電機14の駆動は、エンジン11による駆動よりも、旋回機構2の減速力が変速機15を経て電動発電機14の回転軸に伝達されることによって行われる。
【0060】
旋回機構の動作パターンが「旋回逆転駆動」で「加速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」であり、かつ、バッテリ19のSOCが閾値より高い場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12と旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に電動運転を行わせ、変速機15の変速比を「逆転」に設定させる。これにより、エンジン11が電動発電機14によってアシストされながら旋回機構2が逆転方向に加速され、バッテリ19は放電(電動発電機14への電力供給)が行われる。
【0061】
旋回機構の動作パターンが「旋回逆転駆動」で「加速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」であり、かつ、バッテリ19のSOCが閾値以下である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12、電動発電機14、及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせ、変速機15の変速比を「逆転」に設定させる。これにより、旋回機構2は逆転方向に加速され、バッテリ19は発電される。
【0062】
旋回機構の動作パターンが「旋回逆転駆動」で「加速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に電動運転を行わせ、変速機15の変速比を「逆転」に設定させる。これにより、エンジン11が電動発電機14によってアシストされながら旋回機構2は逆転方向に加速され、バッテリ19は放電(電動発電機14への電力供給)が行われる。
【0063】
旋回機構の動作パターンが「旋回逆転駆動」で「減速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕有り」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12、電動発電機14、及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせ、変速機15の変速比を「逆転」に設定させる。これにより、旋回機構2が逆転方向に減速され、バッテリ19は充電される。
【0064】
旋回機構の動作パターンが「旋回逆転駆動」で「減速」の場合に、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」である場合は、コントローラ100は、エンジン11に油圧ポンプ12、電動発電機14、及び旋回機構2の駆動を行わせ、電動発電機14に発電運転を行わせ、変速機15の変速比を「逆転」に設定させる。これにより、旋回機構2が逆転方向に減速され、バッテリ19は充電される。なお、この場合は、エンジンの駆動状態が「出力余裕無し」であるため、電動発電機14の駆動は、エンジン11による駆動よりも、旋回機構2の減速力が変速機15を経て電動発電機14の回転軸に伝達されることによって行われる。
【0065】
以上、本実施の形態のハイブリッド型作業機械によれば、電動発電機14が電動運転によりエンジン11のアシストを行えるとともに、エンジン11が電動発電機14を駆動することによって電動発電機14の発電運転が行えることに加えて、電動発電機14と旋回機構2との間に変速機15を配設することにより、エンジン11または電動発電機14の駆動力を旋回機構2の正転方向または逆転方向の回転力に変換することができるので、エンジン11のアシスト用の電動機と、作業要素の駆動源としての電動機を共通化することができ、これにより、コストダウンを図ることが可能である。
【0066】
なお、以上では、変速機15の出力軸に旋回機構2が接続される形態について説明したが、変速機15の出力軸には、旋回機構2の代わりに、ブーム4、アーム5、またはバケット6の駆動機構を機械的に接続してもよい。
【0067】
以上、本発明の例示的な実施の形態のハイブリッド型作業機械について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態の旋回駆動制御装置を含む建設機械を示す側面図である。
【図2】本実施の形態の旋回駆動制御装置を含む建設機械の構成を表すブロック図である。
【図3】本実施の形態のハイブリッド型作業機械における駆動パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 下部走行体
1A、1B 走行機構
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
11 エンジン
12 メインポンプ
13 パイロットポンプ
13A パイロットライン
14 電動発電機
15 変速機
16 高圧油圧ライン
16A 油圧センサ
17 コントロールバルブ
18 インバータ
19 バッテリ
20 操作装置
20A、20B レバー
20C ペダル
21 油圧ライン
22 油圧ライン
23 圧力センサ
100 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸に回転軸の一側が同軸接続される電動発電機と、
前記電動発電機の回転軸の他側に入力軸が同軸接続されるとともに、出力軸が作業要素の駆動機構に接続される変速機と
を含む、ハイブリッド型作業機械。
【請求項2】
前記内燃機関の出力軸と前記電動発電機の回転軸の一側との間に、前記内燃機関によって駆動されることにより、油圧作業要素の駆動機構に供給するための圧油を生成する油圧ポンプを含む、請求項1に記載のハイブリッド型作業機械。
【請求項3】
前記電動発電機の力行運転に必要な電力を供給するとともに、前記電動機の回生運転によって得られる電力を充電する蓄電器を含む、請求項1又は2に記載のハイブリッド型作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−7391(P2010−7391A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169471(P2008−169471)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】