説明

ハイブリッド車

【課題】 一般的なハイブリッド車をさらに発展させること、特にそのタンク換気装置を改良する。
【解決手段】 ガルバニ電池(2)から電力を供給することができる、または発電機動作中にガルバニ電池に電力を供給する電気機械と、タンクから可燃性液体を供給することができる内燃機関とによって選択的に駆動するハイブリッド車であって、活性炭フィルタ(1)が、可燃性液体の蒸気を吸収するようにタンクに割り当てられ、活性炭フィルタが、フラッシングを行うために、要求に応じて内燃機関の吸気系に接続可能であるハイブリッド車において、前記活性炭フィルタがガルバニ電池の領域内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載のハイブリッド車に関する。また、前記タイプのハイブリッド車において、活性炭フィルタが、炭化水素用の緩衝装置として、燃料タンクとその周辺との間でタンク換気ラインに設置される。従来、前記緩衝装置は、エンジン電子回路によって制御される方式で、気流によって再生される。このとき、空気が、活性炭フィルタの炭化水素含有炭粒子を通して伝導され、その結果、前記炭化水素が解放され、気流によって内燃機関に輸送される。活性炭フィルタからの前記炭化水素含有気流は、燃焼空気と混合されて、燃焼される。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、タンク換気装置内で、活性炭フィルタの下流に接続された短鎖炭化水素用の洗浄器が、その洗浄器の加熱のために車両の排気系の近傍に提供される自動車が記載されている。
【0003】
下記特許文献2には、自動車の排気系にある熱交換器によってタンク換気装置の活性炭フィルタ用のフラッシング気流を加熱することに関する。このとき、排気系とタンクとは、互いに隣接して配置されるが、互いから熱的に絶縁される。
【0004】
下記特許文献3は、自動車のタンク換気装置用の活性炭フィルタであって、自動車の排気系と燃料タンクとの間に配置される活性炭フィルタに関する。
【特許文献1】米国特許第7114492号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/008301号パンフレット
【特許文献3】独国特許4140090号明細書
【特許文献4】独国特許4031873A1号明細書
【特許文献5】独国特許4408869A1号明細書
【特許文献6】独国特許112005000060T5号明細書
【特許文献7】独国特許3805711A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一般的なハイブリッド車をさらに発展させること、特にそのタンク換気装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴によって実現される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態および改良形態に関する。
【0007】
本発明によれば、燃料蒸気を吸収するように内燃機関の燃料タンクに設けられた活性炭フィルタが、ガルバニ(galvanic)電池の領域内に(例えば、ガルバニ電池の近傍に)配置され、そのガルバニ電池は、ハイブリッド車の電気機械に電力を供給して、前記電気機械を電動機として動作させることができ、また、ガルバニ電池は、電気機械の発電機動作中に電力を供給される。本発明による活性炭フィルタの配置により、ガルバニ電池で発生された廃熱を利用して活性炭フィルタを加熱することができる。ここで、本発明は、ハイブリッド車では燃料タンク内で熱の導入が比較的少なく、かつ蒸気の発生が比較的少ないという知識を利用する。これは、内燃機関が、少なくとも時々は動作休止するからである。その結果、ハイブリッド車内では、燃料に熱を導入する電気的送達デバイス(燃料ポンプ)もほとんど動作しない。さらにまた、戻りラインが存在する場合、高温燃料がほとんど燃料タンクに戻らない。このように、ハイブリッド車では、従来の自動車に比べて燃料蒸気量が少ないので、関連する活性炭フィルタによって吸収すべき燃料蒸気の量もより少なくなる。しかし、ここで、内燃機関が時々しか作動されないので、活性炭フィルタのフラッシング段階もあまり頻繁には行われないことを考慮しなければならない。要約すると、ハイブリッド車内の活性炭フィルタは、従来の車両の場合よりも少ない燃料蒸気を吸収すればよいが、前記活性炭フィルタはまた、あまり頻繁にはフラッシングされない。したがって、ハイブリッド車の活性炭フィルタで必要な吸着は、従来の車両におけるよりも少ない。したがって、本発明によるガルバニ電池の領域内での配置によって提供される活性炭フィルタの加熱は、タンク換気装置の性能の低下を特にもたらさない。実際、温度上昇により、フラッシング・プロセス中に、吸着された炭化水素の再生の改善が得られ、したがって前記フラッシング・プロセスがそれほど頻繁に行われる必要はなくなる。すなわち、本発明によれば、活性炭フィルタの温度が上昇されることにより、活性炭フィルタの吸着と再生との平衡がずらされる。ここで、活性炭フィルタの適切な配置により、その(平均)温度に対応して所望の平衡状態が設定される。
【0008】
有利には、ガルバニ電池が、特にニッケル金属水素化物またはリチウムイオンタイプの高電圧電池として提供されることが提案される。第1に、これらは、ハイブリッド車の電気機械用の実証済みの強力な電源である。第2に、これらは、対応する量の廃熱を生成し、その結果、それに対応して配置された活性炭フィルタが加熱され、したがってフィルタの再生が改善される。また、当然、他のタイプのガルバニ電池、例えば燃料電池または鉛電池を提供することも可能である。さらに、ハイブリッド車内で複数のガルバニ電池を使用するとき、活性炭フィルタは、例えば設置空間の面で好適なガルバニ電池に配置されてよい。
【0009】
有利には、ガルバニ電池と活性炭フィルタとが、ハイブリッド車のラゲージスペース凹部の領域内に提供される。ガルバニ電池の対応する重量により、これは、車両重心を低くする。さらに、通常、この領域内では十分な設置空間が利用可能である。そのような構成では、本発明による配置がさらなる利点を有する。比較的大きな体積の活性炭フィルタの対応する配置により、前記活性炭フィルタは、比較的繊細なガルバニ電池用の機械的な保護シールドとなることができる。対応する配置により、活性炭フィルタは、ハイブリッド車が衝突事故に遭った場合にエネルギーを吸収することができ、および/または石はねから防護する働きをすることができる。
【0010】
ハイブリッド車の内燃機関の排気系は、活性炭フィルタがガルバニ電池と排気系の一部との間に位置決めされるように構成されると特に有利である。例えば、排気系の触媒コンバータ、消音器、および/または導管が、活性炭フィルタの近傍に導かれる。これは、排気系からの追加の廃熱により、活性炭フィルタ内でさらなる温度上昇をもたらし、したがってそれに対応する再生の改善をもたらす。
【0011】
活性炭フィルタを固定するための1つの好適な選択肢は、活性炭フィルタがガルバニ電池のカバーに固定されるものである。前記タイプのカバーまたは固定を使用することによって、活性炭フィルタ用の追加の固定選択肢を提供する必要はない。これにより、特に省資源の設計が可能になる。
【0012】
次に、本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。ここで、図面は、本発明の好ましい実施形態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、活性炭フィルタ1と、ハイブリッド車の電気機械(図示せず)に電力供給するためのガルバニ電池2と、ハイブリッド車の内燃機関(図示せず)の排気系の導管3、3aおよび後部消音器4とを有するハイブリッド車内での構成の一部を例示する。図1に示すハイブリッド車は、ガルバニ電池2から電力を供給することができる、または、発電機動作中に前記ガルバニ電池に電力を供給する電気機械と、タンクから可燃性液体を供給することができる内燃機関とによって選択的に駆動し、活性炭フィルタ1が、前記可燃性液体の蒸気を吸収するように前記タンクに割り当てられ、前記活性炭フィルタが、フラッシングを行うために、要求に応じて前記内燃機関の吸気系に接続可能である。ここで、活性炭フィルタ1は、燃料タンク(図示せず)のタンク換気装置に割り当てられる。さらに、活性炭フィルタ1は、ガルバニ電池2の側部カバー5に固定される。さらに、排気系は、後部消音器4が活性炭フィルタ1の近傍に配置されるように設計される。
【0014】
活性炭フィルタ、排気系、およびガルバニ電池の対応する設計、すなわち配置は、ハイブリッド車の従来の動作時に、従来の自動車に比べて活性炭フィルタ内で所望の温度上昇がもたらされるように選択され、したがって、活性炭フィルタの再生の増加および吸着の減少への推移がなされる。このために、個々の構成要素相互の対応する間隔によって、所望の通りに温度が設定される。活性炭フィルタのこのような配置転換により、特に、複雑な再設計を行う必要なく、従来の自動車から対応するハイブリッド車に活性炭フィルタを引き継ぐことが可能になる。実際、活性炭フィルタの所要の再生は、活性炭フィルタの対応する温度上昇によってもたらされる。これは、活性炭フィルタを加熱する構成要素への活性炭フィルタの上述の配置によって得られる。したがって、対応する従来の自動車におけるものと同じ活性炭フィルタをハイブリッド型の自動車で使用すること、したがって、それに対応して開発費を節約することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】活性炭フィルタ1と、ハイブリッド車の電気機械に電力供給するためのガルバニ電池2と、ハイブリッド車の内燃機関の排気系の導管3、3aおよび後部消音器4とを有するハイブリッド車内での構成の一部を例示する図である。
【符号の説明】
【0016】
1 活性炭フィルタ
2 ガルバニ電池
3 導管
3a 導管
4 後部消音器
5 側部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルバニ電池(2)から電力を供給することができる、または、発電機動作中に前記ガルバニ電池に電力を供給する電気機械と、タンクから可燃性液体を供給することができる内燃機関とによって選択的に駆動するハイブリッド車であって、活性炭フィルタ(1)が、前記可燃性液体の蒸気を吸収するように前記タンクに割り当てられ、前記活性炭フィルタが、フラッシングを行うために、要求に応じて前記内燃機関の吸気系に接続可能である、ハイブリッド車において、
前記活性炭フィルタが、前記ガルバニ電池の領域内に配置されることを特徴とするハイブリッド車。
【請求項2】
前記ガルバニ電池が、特にニッケル金属水素化物またはリチウムイオンタイプの高電圧電池として設計される請求項1に記載のハイブリッド車。
【請求項3】
前記ガルバニ電池と前記活性炭フィルタとが、前記ハイブリッド車のラゲージスペース凹部の領域内に提供される請求項1または2に記載のハイブリッド車。
【請求項4】
前記活性炭フィルタが、前記ガルバニ電池の側部カバー(5)に固定される請求項1〜3のいずれか一項に記載のハイブリッド車。
【請求項5】
前記活性炭フィルタが、前記ガルバニ電池と前記内燃機関の排気系の一部との間に配置される請求項1〜4のいずれか一項に記載のハイブリッド車。

【図1】
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【公開番号】特開2009−137572(P2009−137572A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295149(P2008−295149)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】