説明

ハンズフリー機能付き車載装置

【課題】携帯電話機に登録されている最新の電話帳データを適切にハンズフリー機能付き車載装置に反映させて利便性を高める。
【解決手段】車載ハンズフリー装置2は、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間でハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー・プロファイル(HFP)及び電話帳データの転送を実現するためのフォンブック・アクセス・プロファイル(PBAP)以外にメール転送を実現するためのメッセージ・アクセス・プロファイル(MAP)をも同時接続する場合に、HFPの接続処理を完了した後にMAPの接続処理を挟むことなくPBAPの接続処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機との間でハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルと携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置への電話帳データの転送を実現するための電話帳データ転送プロトコルとを同時接続可能に構成されているハンズフリー機能付き車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内における携帯電話機の主たる用途としてハンズフリー通話があり、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有する車載装置が搭載されている車両の車室内にBT通信機能を有する携帯電話機が持込まれると、車載装置と携帯電話機との間でBTの通信規格により定義されているハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー・プロファイル(HFP)を接続する構成が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−223288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話機の機能として電話帳データを登録する機能があり、携帯電話機に登録されている電話帳データの車載装置への転送を実現するためのプロファイルとしてフォンブック・アクセス・プロファイル(PBAP)がある。出願人は、これらHFP及びPBAPの機能に着目し、車載装置と携帯電話機との間でHFPとPBAPとを同時接続(所謂マルチ接続)する構成を検討している。
【0005】
ところで、車載装置と携帯電話機との間でPBAPを接続すると、PBAPの接続処理を開始した時点で携帯電話機に登録されている最新の電話帳データが車載装置に自動的に転送される。そのため、車載装置と携帯電話機との間でHFPの接続処理を完了したがPBAPの接続処理を完了していない状態で通信網から携帯電話機への着信が発生すると、携帯電話機では電話帳データを参照することで着信電話番号に対応して登録されている登録名(例えば氏名等)が表示されるが、車載装置では携帯電話機から最新の電話帳データが転送されていないが故に着信電話番号だけが表示され、携帯電話機に登録されている登録名が表示されないという事態が発生するという問題がある。
【0006】
即ち、車載装置と携帯電話機との間ではHFP以外にPBAPやBTの通信規格により定義されているメール転送を実現するためのメッセージ・アクセス・プロファイル(MAP)や音楽データの転送を実現するためのオーディオ・ビデオ・プロファイル(AVP)をも同時接続可能であるが、それら複数のプロファイルを順次接続する場合に、HFPの接続処理を完了してからPBAPの接続処理を完了するまでの期間が長いと、上記した問題が起こり得ることになり、利便性に劣るという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯電話機との間でハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルと携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置への電話帳データの転送を実現するための電話帳データ転送プロトコルとを同時接続する場合に、携帯電話機に登録されている最新の電話帳データを適切にハンズフリー機能付き車載装置に反映させることができ、利便性を高めることができるハンズフリー機能付き車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載したハンズフリー機能付き車載装置によれば、接続手段は、携帯電話機との間でハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルと携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置への電話帳データの転送を実現するための電話帳データ転送プロトコルとを同時接続可能であり、制御手段は、接続手段と携帯電話機との間でハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとを接続させる場合に、ハンズフリー通話プロトコルの接続処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなく電話帳データ転送プロトコルの接続処理を開始する。
【0009】
これにより、ハンズフリー通話プロトコルの接続処理を完了してから電話帳データ転送プロトコルの接続処理を開始するまでの期間を極力短くすることができ、携帯電話機に登録されている最新の電話帳データを適切にハンズフリー機能付き車載装置に反映させることができ、利便性を高めることができる。
【0010】
請求項2に記載したハンズフリー機能付き車載装置によれば、接続手段は、携帯電話機との間でハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとに加えて携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置への電子メールの転送を実現するためのメール転送プロトコルをも同時接続可能であり、制御手段は、接続手段と携帯電話機との間でハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとメール転送プロトコルとを接続させる場合に、ハンズフリー通話プロトコルの接続処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなく電話帳データ転送プロトコルの接続処理を開始し、電話帳データ転送プロトコルの接続処理を完了した後にメール転送プロトコルの接続処理を開始する。
【0011】
これにより、電話帳データ転送プロトコルの接続処理を完了した後にメール転送プロトコルの接続処理を開始することにより、携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置に電子メールを転送するアプリケーションを実現することができる。
【0012】
請求項3に記載したハンズフリー機能付き車載装置によれば、制御手段は、接続手段と携帯電話機との間で接続しているハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとメール転送プロトコルとを切断する場合に、ハンズフリー通話プロトコルの切断処理を完了した後にメール転送プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなくメール転送プロトコルの切断処理を開始し、メール転送プロトコルの切断処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルの切断処理を開始する。
【0013】
これにより、ハンズフリー通話プロトコル及びメール転送プロトコルの一方を接続している一方で他方を切断している状況を極力抑えることで、着信の種別により通知元の機器が異なる状況を極力回避することができ、通信網から携帯電話機への着信を携帯電話機からユーザに対して通知してしまうことを極力回避することができ、利便性を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載したハンズフリー機能付き車載装置によれば、制御手段は、接続手段と携帯電話機との間で接続しているハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとメール転送プロトコルとを切断する場合に、メール転送プロトコルの切断処理を完了した後にハンズフリー通話プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなくハンズフリー通話プロトコルの切断処理を開始し、ハンズフリー通話プロトコルの切断処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルの切断処理を開始する。
【0015】
これにより、上記した請求項3に記載したものと同様にして、ハンズフリー通話プロトコル及びメール転送プロトコルの一方を接続している一方で他方を切断している状況を極力抑えることで、着信の種別により通知元の機器が異なる状況を極力回避することができ、通信網から携帯電話機への着信を携帯電話機からユーザに対して通知してしまうことを極力回避することができ、利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート(その1)
【図3】フローチャート(その2)
【図4】フローチャート(その3)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。尚、ここでは、Bluetooth(登録商標)(以下、BTと称する)通信機能を有するBT対応の車載ハンズフリー装置(本発明でいうハンズフリー機能付き車載装置)が搭載されている車両の車室内に、BT通信機能を有するBT対応の携帯電話機が車室内に持込まれ、車載ハンズフリー装置と携帯電話機とがBT通信可能な状態にある場合を説明する。
【0018】
車載ハンズフリーシステム1は、車載ハンズフリー装置2と携帯電話機3とから構成されている。車載ハンズフリー装置2は、制御部4(本発明でいう制御手段)と、BTインタフェース(IF)部5(本発明でいう接続手段)と、通話音声処理部6と、記憶部7と、表示制御部8と、タッチ操作入力部9とを備えて構成されている。
【0019】
制御部4は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM及びI/Oバス等を有し、車載ハンズフリー装置2の通信動作やデータ管理動作等の動作全般を制御する。BTインタフェース部5は、携帯電話機3との間でBT通信を行う機能を有し、BTの通信規格により定義されているハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー・プロファイル(HFP)(本発明でいうハンズフリー通話プロトコル)と、電話帳データや発信履歴データや着信履歴データの転送を実現するためのフォンブック・アクセス・プロファイル(PBAP)(本発明でいう電話帳データ転送プロトコル)と、メール転送を実現するためのメッセージ・アクセス・プロファイル(MAP)(本発明でいうメール転送プロトコル)とに対応しており、それらプロファイルを同時接続(所謂マルチ接続)可能に構成されている。
【0020】
尚、ここでいうメールとは周知のコンピュータネットワークを通じて交換される文字メッセージや画像データ等の総称である。又、BTインタフェース部5は、これらHFPやPBAPやMAPの他に、音楽データの転送を実現するためのオーディオ・ビデオ・プロファイル(AVP)や各種データの転送を実現するためのオブジェクト・プッシュ・プロファイル(OPP)等にも対応している。これらプロファイルは、機能毎に定義された通信プロトコルを意味している。
【0021】
通話音声処理部6には車室内にあって例えばハンドルの近傍等のユーザが発した音声を集音し易い部位に配置されているマイクロホン10が接続されていると共に、車載ハンズフリー装置2の外部に配置されているオーディオアンプ11が接続されており、オーディオアンプ11には2個のスピーカ12,13が接続されている。スピーカ12,13は車載ハンズフリー装置2を搭載している車両の全長方向を対称中心して左右対称に配置されており、スピーカ12は例えば運転席ドアに配置され、スピーカ13は例えば助手席ドアに配置されている。又、オーディオアンプ11にはチューナーデッキ14も接続されており、オーディオアンプ11はチューナーデッキ14が例えば音楽用記録媒体から再生した楽曲音やラジオ放送局から受信したラジオ番組を当該チューナーデッキ14から入力すると、それら入力した楽曲音やラジオ番組を増幅してスピーカ12,13から出力させる。
【0022】
記憶部7は、各種データを記憶可能に構成されており、例えば電話番号と登録名との対応を表す電話帳データ、車載ハンズフリー装置2からの発信動作又は当該車載ハンズフリー装置2との間でHFPを接続している携帯電話機3からの発信動作に係る発信時刻と発信電話番号との対応を表す発信履歴データ、車載ハンズフリー装置2との間でHFPを接続している携帯電話機3の着信動作に係る着信時刻と着信電話番号との対応を表す着信履歴データ等を記憶可能に構成されている。
【0023】
ディスプレイ装置15は、各種表示画面を表示する表示装置16と、表示画面上にタッチスイッチを形成するタッチ操作入力装置17とを備えて構成されている。表示制御部8は、制御部4から表示指令通知を入力すると、その入力した表示指令通知に基づいてディスプレイ装置15における表示装置16の表示動作を制御する。タッチ操作入力部9は、ユーザが表示画面上に形成されているタッチスイッチを操作したことに応じてタッチ操作入力装置17から操作検出通知を入力すると、その入力した操作検出通知を制御部4に出力し、制御部4は、タッチ操作入力部9から入力した操作検出通知を解析する。
【0024】
携帯電話機3は、自機の動作全般を制御する制御部、通信網18との間で電話通信を行う電話通信部、BT通信を行うBTインタフェース部、ユーザが操作する各種キーが配列されてなるキー入力部、例えば電話番号と登録名との対応を表す電話帳データ等の各種データを記憶する記憶部、各種表示画面を表示する表示部、ユーザが発した音声を入力するマイクロホン、通話相手から受信した音声を受話音声として出力するスピーカを備えて構成されている。この場合、携帯電話機3のBTインタフェース部は、車載ハンズフリー装置2との間でBT通信を行う機能を有し、車載ハンズフリー装置2のBTインタフェース部5と同様にしてHFPとPBAPとMAPとに対応しており、車載ハンズフリー装置2との間でHFPとPBAPとMAPとを同時接続可能に構成されている。
【0025】
上記した構成では、車載ハンズフリー装置2と携帯電話機3との間でHFPを接続している状況で通信網18から携帯電話機3への音声着信が発生すると、音声着信音がスピーカ12,13から出力されたり音声着信画面が表示装置16に表示されたりすることで、音声着信が車載ハンズフリー装置2からユーザに対して通知され、車載ハンズフリー装置2と携帯電話機3との間でMAPを接続している状況で通信網18から携帯電話機3へのメール着信が発生すると、メール着信音がスピーカ12,13から出力されたりメール着信画面が表示装置16に表示されたりすることで、メール着信が車載ハンズフリー装置2からユーザに対して通知される。
【0026】
次に、上記した構成の作用について、図2乃至図4を参照して説明する。図2は車載ハンズフリー装置2が携帯電話機3との間でプロファイルを接続するプロファイル接続処理を示しており、図3及び図4は車載ハンズフリー装置2が携帯電話機3との間でプロファイルを切断するプロファイル切断処理を示している。以下、これらプロファイル接続処理及びプロファイル切断処理を順次説明する。尚、ここでは、車載ハンズフリー装置2と携帯電話機3とが両者の間でHFPとPBAPとMAPとを同時接続する場合について説明する。
【0027】
(1)プロファイル接続処理
車載ハンズフリー装置2において、制御部4は、プロファイル接続処理を開始すると、
HFPの接続要求(HFPの登録要求)が発生したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、制御部4は、HFPの接続要求が発生していない旨を判定すると(ステップS1にて「NO」)、プロファイル切断処理を完了して他の処理(例えばメイン処理)にリターンする。
【0028】
さて、制御部4は、例えばHFP登録画面(図示せず)を表示装置16に表示させている状態でユーザが所定キーを押下したことでHFPの接続要求をタッチ操作入力装置17で受付けた旨を判定し、HFPの接続要求が発生した旨を判定すると(ステップS1にて「YES」)、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間でHFPを接続するHFPの接続処理を開始する(ステップS2)。
【0029】
具体的には、制御部4は、HFPの接続要求が発生した旨を判定すると、HFPの接続要求が発生した旨を携帯電話機3に通知し、携帯電話機3から送信された「PIN要求」をBTインタフェース部5により受信した旨を判定すると、「PIN応答要求」をBTインタフェース部5から携帯電話機3に送信させ、ユーザが携帯電話機3を操作してPINを入力する旨を待機する。次いで、制御部4は、ユーザが携帯電話機3を操作してPINを入力することで携帯電話機3から送信された「PIN応答」、「リンクキー」、「認証結果」をBTインタフェース部5により順次受信した旨を判定すると、HFPと携帯電話機3を識別する識別情報(例えば電話番号)とを対応付け、HFPを携帯電話機3に対して登録する処理を開始する。
【0030】
そして、制御部4は、HFPの接続処理を完了する旨を待機し(ステップS3)、HFPを携帯電話機3に対して登録する処理を完了し、HFPの接続処理を完了した旨を判定すると(ステップS3にて「YES」)、HFP接続完了通知画面を表示装置16に表示させることで、HFPの接続処理を完了した旨をユーザに対して通知する。
【0031】
次いで、制御部4は、携帯電話機3が対応するプロファイルを問合せる「機能確認要求」をBTインタフェース部5から携帯電話機3に送信させ、携帯電話機3から送信された「機能応答」をBTインタフェース部5により受信し、携帯電話機3がHFPの他にPBAPとMAPとに対応している旨を判定すると、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間でPBAPを接続するPBAPの接続処理を開始し(ステップS4)、PBAPを携帯電話機3に対して登録する処理を開始する。
【0032】
そして、制御部4は、PBAPの接続処理を完了する旨を待機し(ステップS5)、PBAPを携帯電話機3に対して登録する処理を完了し、PBAPの接続処理を完了した旨を判定すると(ステップS5にて「YES」)、PABP接続完了通知画面を表示装置16に表示させることで、PBAPの切断処理を完了した旨をユーザに対して通知する。
【0033】
次いで、制御部4は、MAPの接続要求(MAP機能の登録要求)を問合せるMAP登録画面(図示せず)を表示装置16に表示させる。そして、制御部4は、MAP登録画面を表示装置16に表示させている状態でユーザが所定キーを押下したことでMAPの接続要求をタッチ操作入力装置17で受付けた旨を判定すると、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間でMAPの接続処理を開始する(ステップS6)。
【0034】
具体的には、制御部4は、ユーザが所定キーを押下したことでMAPの接続要求をタッチ操作入力装置17で受付けた旨を判定すると、「PIN応答要求」をBTインタフェース部5から携帯電話機3に送信させ、ユーザが携帯電話機3を操作してPINを入力する旨を待機する。次いで、制御部4は、ユーザが携帯電話機3を操作してPINを入力することで携帯電話機3から送信された「PIN応答」をBTインタフェース部5により受信した旨を判定すると、MAPの接続処理を開始し、MAPを携帯電話機3に対して登録する処理を開始する。
【0035】
そして、制御部4は、MAPの接続処理を完了する旨を待機し(ステップS7)、MAPを携帯電話機3に対して登録する処理を完了し、MAPの接続処理を完了した旨を判定すると(ステップS7にて「YES」)、MAP接続完了通知画面を表示装置16に表示させることで、MAPの切断処理を完了した旨をユーザに対して通知する。
【0036】
以上に説明した一連の処理により、制御部4は、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間でHFPとPBAPとMAPとを接続する場合に、HFP、PBAP、MAPの順序でプロファイルを接続する。尚、制御部4は、各プロファイルの接続処理の待機を解除する条件(例えば待機時間が予め設定している設定時間に到達する等)を設定しており、各プロファイルの接続処理を待機している期間中に当該条件を成立すると、各プロファイルの接続処理の待機を解除し(中止し)、別の処理に移行する。
【0037】
(2)プロファイル切断処理
車載ハンズフリー装置2において、制御部4は、プロファイル切断処理を開始すると、HFPの切断要求が発生したか否かを判定する(ステップS11)。ここで、制御部4は、HFPの切断要求が発生していない旨を判定すると(ステップS11にて「NO」)、プロファイル切断処理を完了して他の処理(例えばメイン処理)にリターンする。
【0038】
さて、制御部4は、例えばHFP登録解除画面(図示せず)を表示装置16に表示させている状態でユーザが所定キーを押下したことでHFPの切断要求(HFPの登録解除要求)をタッチ操作入力装置17で受付けた旨を判定し、HFPの切断要求が発生した旨を判定すると(ステップS11にて「YES」)、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているHFPの切断処理を開始し(ステップS12)、HFPの切断処理を完了する旨を待機する(ステップS13)。
【0039】
次いで、制御部4は、携帯電話機3に対するHFPの登録を解除し、HFPの切断処理を完了した旨を判定すると(ステップS13にて「YES」)、続いて、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているMAPの切断処理を開始し(ステップS14)、MAPの切断処理を完了する旨を待機する(ステップS15)。次いで、制御部4は、携帯電話機3に対するMAPの登録を解除し、MAPの切断処理を完了した旨を判定すると(ステップS15にて「YES」)、続いて、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているPBAPの切断処理を開始し(ステップS16)、PBAPの切断処理を完了する旨を待機する(ステップS17)。そして、制御部4は、携帯電話機3に対するPBAPの登録を解除し、PBAPの切断処理を完了した旨を判定すると(ステップS17にて「YES」)、ファイル切断処理を完了して他の処理にリターンする。
【0040】
以上に説明した一連の処理により、制御部4は、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているHFPとPBAPとMAPとを切断する場合には、それらHFPとPBAPとMAPとを接続したときの順序とは異なり、HFP、MAP、PBAPの順序でプロファイルを切断する。尚、制御部4は、各プロファイルの切断処理の待機を解除する条件(例えば待機時間が予め設定している設定時間に到達する等)を設定しており、各プロファイルの切断処理を待機している期間中に当該条件を成立すると、各プロファイルの切断処理の待機を解除し(中止し)、別の処理に移行する。
【0041】
ところで、以上は、先にHFPの切断処理を行い、続けてMAPの切断処理を行う場合を説明したが、先にMAPの切断処理を行い、続けてHFPの切断処理を行うようにしても良い。即ち、制御部4は、MAPの切断要求が発生した旨を判定すると(ステップS21にて「YES」)、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているMAPの切断処理を開始し(ステップS22)、MAPの切断処理を完了した旨を判定すると(ステップS23にて「YES」)、続いて、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているHFPの切断処理を開始し(ステップS24)、HFPの切断処理を完了した旨を判定すると(ステップS25にて「YES」)、続いて、BTインタフェース部5と携帯電話機3との間で接続しているPBAPの切断処理を開始し(ステップS26)、PBAPの切断処理を完了した旨を判定すると(ステップS27にて「YES」)、ファイル切断処理を完了して他の処理にリターンするようにしても良い。
【0042】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ハンズフリー装置2において、HFP及びPBAP以外にMAPをも同時接続する場合に、HFPの接続処理を完了した後にMAPの接続処理を挟むことなくPBAPの接続処理を開始するように構成したので、HFPの接続処理を完了してからPBAPの接続処理を完了するまでの期間を極力短くすることができ、携帯電話機3に登録されている最新の電話帳データを適切に反映させることができ、利便性を高めることができる。
【0043】
又、携帯電話機3との間で同時接続しているHFPとPBAPとMAPとを切断する場合に、HFPの切断処理を完了した後にPBAPの切断処理を挟むことなくMAPの切断処理を開始したり、MAPの切断処理を完了した後にPBAPの切断処理を挟むことなくHFPの切断処理を開始したりするように構成したので、HFP及びMAPのうち一方を接続しているが他方を切断している状況を極力抑えることで、音声着信とメール着信とで通知元の機器が異なる状況を極力回避することができ、通信網18から携帯電話機3への着信を携帯電話機3からユーザに対して通知してしまうことを回避することができ、利便性を高めることができる。
【0044】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
車載ハンズフリー装置の機能が例えば車載ナビゲーション装置等の別の車載装置に組み込まれていても良い。
BTインタフェース部と携帯電話機との間でHFPを接続した後に、「機能確認要求」を携帯電話機に送信させ、携帯電話機から送信された「機能応答」を受信することで、携帯電話機がHFPの他にPBAPとMAPとに対応している旨を判定する構成に限らず、「機能確認要求」を携帯電話機に送信させることなく、携帯電話機から自発的に送信された「機能応答」を受信することで、携帯電話機がHFPの他にPBAPとMAPとに対応している旨を判定する構成であっても良い。
【0045】
HFPの接続処理を完了した後に他のプロファイルの接続処理を挟むことなくPBAPの接続処理を開始する構成であれば、PBAPの接続処理を完了した後はどのような順序でプロファイルの接続処理を行っても良い。
HFPの切断処理を完了した後に他のプロファイルの切断処理を挟むことなくMAPの切断処理を開始する構成であれば、MAPの切断処理を完了した後はどのような順序でプロファイルの切断処理を行っても良く、又、MAPの切断処理を完了した後に他のプロファイルの切断処理を挟むことなくHFPの切断処理を開始する構成であれば、HFPの切断処理を完了した後はどのような順序でプロファイルの切断処理を行っても良い。即ち、通信網から携帯電話機への着信を通知するプロファイルの切断処理を続けて行えば、他のプロファイルの切断処理はどのような順序で行っても良い。
【符号の説明】
【0046】
図面中、1は車載ハンズフリーシステム、2は車載ハンズフリー装置(ハンズフリー機能付き車載装置)、3は携帯電話機、4は制御部(制御手段)、5はBTインタフェース部(接続手段)、18は通信網である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機との間でハンズフリー通話を実現するためのハンズフリー通話プロトコルと携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置への電話帳データの転送を実現するための電話帳データ転送プロトコルとを同時接続可能な接続手段と、
前記接続手段と携帯電話機との間の通信プロトコルの接続及び切断を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記接続手段と携帯電話機との間でハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとを接続する場合に、ハンズフリー通話プロトコルの接続処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなく電話帳データ転送プロトコルの接続処理を開始することを特徴とするハンズフリー機能付き車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載したハンズフリー機能付き車載装置において、
前記接続手段は、携帯電話機との間でハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとに加えて携帯電話機からハンズフリー機能付き車載装置への電子メールの転送を実現するためのメール転送プロトコルをも同時接続可能であり、
前記制御手段は、前記接続手段と携帯電話機との間でハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとメール転送プロトコルとを接続する場合に、ハンズフリー通話プロトコルの接続処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなく電話帳データ転送プロトコルの接続処理を開始し、電話帳データ転送プロトコルの接続処理を完了した後にメール転送プロトコルの接続処理を開始することを特徴とするハンズフリー機能付き車載装置。
【請求項3】
請求項2に記載したハンズフリー機能付き車載装置において、
前記制御手段は、前記接続手段と携帯電話機との間で接続しているハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとメール転送プロトコルとを切断する場合に、ハンズフリー通話プロトコルの切断処理を完了した後にメール転送プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなくメール転送プロトコルの切断処理を開始し、メール転送プロトコルの切断処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルの切断処理を開始することを特徴とするハンズフリー機能付き車載装置。
【請求項4】
請求項2に記載したハンズフリー機能付き車載装置において、
前記制御手段は、前記接続手段と携帯電話機との間で接続しているハンズフリー通話プロトコルと電話帳データ転送プロトコルとメール転送プロトコルとを切断する場合に、メール転送プロトコルの切断処理を完了した後にハンズフリー通話プロトコルを除く他のプロトコルの接続処理を挟むことなくハンズフリー通話プロトコルの切断処理を開始し、ハンズフリー通話プロトコルの切断処理を完了した後に電話帳データ転送プロトコルの切断処理を開始することを特徴とするハンズフリー機能付き車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−187289(P2010−187289A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31233(P2009−31233)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】