説明

バブル含有液生成装置及び処理装置

【課題】バブル含有液に含まれるバブルのサイズを変えることのできるバブル含有液生成装置とその装置を用いた処理装置を提供することである。
【解決手段】バブル含有液生成装置は、気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構(11、13、14、15)と、該気体溶存液生成機構により生成された気体溶存液と気体とを混合して霧状の液体を噴出する二流体ノズル16と、該二流体ノズル16に供給すべき前記気体の流量を制御する気体流量制御手段(18、19、27、25)とを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なバブルを含有する液体を生成するバブル含有液生成装置及び該バブル含有液生成装置を用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体内で微細バブルを発生させることにより生成されたバブル含有液体が様々な分野で利用されるようになっている。例えば、微細バブルと液体との界面の電位が洗浄効果や酸化作用を促し、また、物体表面に付着した微細バブルが破裂するときのエネルギーによって物体表面の汚れの剥離に寄与する等の性質を利用して、バブル含有液体を半導体ウェーハ等の基板の洗浄に利用することが提案されている。なお、微細バブルはそのバブルのサイズが小さくなるに従って、マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルと呼ばれる。
【0003】
従来、マイクロバブルを含有するバブル含有液を利用した基板処理装置が提案されている(特許文献1参照)。この基板処理装置では、マイクロバブル発生部により発生させられたマイクロバブルを含む純水(マイクロバブル含有液体)が処理槽内の基板に供給され、超音波発生部が前記処理槽内のマイクロバブル含有液体に対して超音波を発すると、この超音波振動の衝撃によって基板の表面からパーティクルが除去されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−179765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、微細バブルを含有するバブル含有液による洗浄処理においては、その洗浄処理の目的に応じて、好ましいバブルのサイズがあるということが判明した。例えば、半導体ウェーハの基板の洗浄処理において、特に微細部分の洗浄には、より微細なバブル、例えば、マイクロナノバブルやナノバブルを含むバブル含有液が好ましく、そのような洗浄後の基板上に残った異物を除去(浮上分離)するためには、比較的サイズの大きいバブルを含むバブル含有液が好ましく、また、廃液の浄化処理では、ラジカル発生による有機成分除去のためにより微細なナノバブルを含むバブル含有液、異物除去後の浮上分離のためにマイクロナノバブルを含むバブル含有液がそれぞれ好ましい。
【0006】
しかしながら、前述した従来の基板処理装置では、処理の目的に応じて、バブル含有液に含まれるバブルのサイズを変えることができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、バブル含有液に含まれるバブルのサイズを変えることのできるバブル含有液生成装置と、そのバブル含有液生成装置を用いた処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバブル含有液生成装置は、気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構と、該気体溶存液生成機構により生成された気体溶存液と気体とを混合して霧状の液体を噴出する二流体ノズルと、該二流体ノズルに供給すべき前記気体の流量を制御する気体流量制御手段とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、気体溶存液が二流体ノズルから気体とともに噴出する際に減圧開放がなされて、霧状に飛翔する各液粒内に微細なバブルが生成され得る。そして、二流体ノズルに供給すべき気体の流量が制御されることにより、気体溶存液の減圧開放の状態が変化するとともに霧状にある各液粒のサイズが変化し得る。
【0010】
本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記気体溶存液生成機構は、気体と液体とを混合する気液混合機構と、前記気液混合機構により生成された気体含有液体を貯留して加圧する加圧機構とを有する構成することができる。
【0011】
このような構成により、気体と液体とが混合されてできた気体含有液体が加圧されることにより当該気体含有液体に含まれる気体が液中に溶解し、気体溶存液が生成され得る。
【0012】
更に、本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記二流体ノズルから噴出される液体を貯留する貯留槽と、該貯留槽に貯留する液体に含有されるバブルの量を検出するバブル量検出手段とを有する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、二流体ノズルから噴出される霧状のバブル含有液が貯液槽に貯められ、該貯液槽に貯留されたバブル含有液含まれるバブルの量をバブル量検出手段での検出結果に基づいてモニタすることができるようになる。
【0014】
また、本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記二流体ノズルに供給される前記気体溶存液を加熱する加熱機構を有する構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、二流体ノズルに供給される気体溶存液の温度を高くすることができるので、気体溶存液は、飽和溶解度が低下してよりバブルが発生し易い状態となる。その結果、気体溶存液が二流体ノズルから気体とともに噴出する際の減圧開放によって、より多くのバブルを発生させることができるようになる。
【0016】
前記加熱機構は、前記気体溶存液生成機構から二流体ノズルに送られる途中の前記気体溶存液を加熱するヒータユニットであっても、前記二流体ノズルに供給される前記気体溶存液に加熱液体を混合させる加熱液混合機構であってもよい。
【0017】
本発明に係る処理装置は、前述したいずれかのバブル含有液生成装置と、前記二流体ノズルから噴出される液体を処理液として被処理物に供する処理液供給機構とを有する構成となる。
【0018】
このような構成により、前述したバブル含有液生成装置における二流体ノズルから噴出するバブル含有液が被処理物に供されるようになるので、処理目的に応じたサイズのバブルを含み得るバブル含有液により被処理物を処理することができるようになる。
【0019】
本発明に係る処理装置において、前記処理液供給機構は、前記二流体ノズルから噴出される液体を直接前記被処理物に供する構造となる構成とすることができ、また、前記バブル含有液生成装置が前記二流体ノズルから噴出される液体を貯留する貯留槽を有する場合には、前記処理液供給機構は、前記処理物に処理液を吐射するノズルと、前記貯液槽に貯留される液体を前記ノズルに処理液として送る処理液移送機構とを有する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るバブル含有液生成装置によれば、二流体ノズルに供給すべき気体の流量が制御されることにより、該二流体ノズルに供給される気体溶存液の減圧開放の状態が変化するとともに霧状にある各液粒のサイズが変化し得るので、バブル含有液の各液粒内に含まれるバブルのサイズを変えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すバブル含有液生成装置に用いられる二流体ノズルの断面を示す断面図である。
【図3】図1に示す基板処理装置における制御系の構成例を示す図である。
【図4】二流体ノズルに供給される気体の流量と当該二流体ノズルから吐出される液体におけるバブル含有効率との関係を示す相関図である。
【図5】二流体ノズルに供給される気体の流量と当該二流体ノズルから噴出される液体の溶存気体濃度との関係を示す相関図である。
【図6】気体溶存液の減圧開放によって発生するバブルの粒径と液中におけるバブル含有効率との関係を示す相関図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0023】
本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置は、図1に示すように構成される。
【0024】
図1に示す基板処理装置100は、バブル含有液生成装置を構成する第1貯液槽11、第1ガス供給部13、第1ポンプ14、加圧槽15、二流体ノズル16、第2ガス供給部18、ガス流量調整弁27、及びガス流量調整弁27を駆動させるアクチュエータ19を備えるとともに、半導体ウェーハ50を洗浄処理するために用いられる第2貯液槽21、第2ポンプ23及び洗浄室101を備えている。前記バブル含有液生成装置では、液体、例えば、純水DIWを貯留する第1貯液槽11と加圧槽15とが送通管12にて連結され、この送通管12にポンプ14が設けられている。そして、第1貯液槽11からの純水DIWが通る送通管12の第1貯液槽11と第1ポンプ14との間に、第1ガス供給部13からの気体(例えば、窒素ガス、酸素ガス等)が開閉弁20を介して供給されるようになっている(気液混合機構)。
【0025】
第1ガス供給部13からの気体が混在した純水DIW(以下、適宜、気体含有液体という)が、第1ポンプ14により送通管12を通って加圧槽15(加圧機構)に圧送され、その気体含有液体が加圧槽15に一時的に貯められる。加圧槽15では、貯留される気体含有液体が加圧され、気体含有液体内の気体が液体中に溶融して、液中の気体濃度が上昇し、過飽和あるいはそれに近い状態となった気体溶存液Wが生成される(気体溶存液生成機構)。なお、加圧槽15内の圧力は、圧力調整器26によって調整することができる。
【0026】
加圧槽15と二流体ノズル16とが送通管17によって連結され、加圧槽15内の気体溶存液Wがその加圧された状態を維持しつつ送通管17を通って二流体ノズル16に供給される。二流体ノズル16には、第2ガス供給部18からの気体(例えば、空気)がガス流量調整弁27を介して供給されている。ガス流量調整弁27はアクチュエータ19によって駆動されることによりその開度が調整され、その開度に応じた流量にて第2ガス供給部18からの気体が二流体ノズル16に供給される。二流体ノズル16は、加圧槽15から供給される気体溶存液Wと第2ガス供給部18からの気体とを混合して霧状の液体(微細な液粒)を噴出する。二流体ノズル16から霧状に噴出される液体は、後述するように微細なバブル(マイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブル)の含まれたバブル含有液BWとなっており、そのバブル含有液が第2貯液槽21に貯められる。
【0027】
第2貯液槽21と洗浄室101内の洗浄ノズルユニット110とが送通管22によって連結され、その送通管22の途中に第2ポンプ23が設けられている。第2ポンプ23により、第2貯液槽21内に貯められたバブル含有液BWが送通管22を通って洗浄ノズルユニット110に処理液(洗浄液)として供給される(処理液移送機構)。洗浄室101内には、洗浄ノズルユニット110の下方に配置されるように被洗浄物となる半導体ウェーハ50を支持する機構が設けられている。具体的には、駆動ユニット113の回転軸112に固定されたテーブル111上に半導体ウェーハ50が支持され、駆動ユニット113によるテーブル111の回転にともなって半導体ウェーハ50が回転するようになっている。第2貯液槽21から第2ポンプ23によって洗浄ノズルユニット110に供給されたバブル含有液BWが、その洗浄ノズルユニット110から回転する半導体ウェーハ50の表面に処理液として吹き付けられる(処理液供給機構)。半導体ウェーハ50の表面は、その吹き付けられる処理液によって洗浄される。なお、半導体ウェーハ50等の被洗浄物(被処理物)は、上述のように洗浄ノズルユニット110の下方において回転させる他、搬送機構によって洗浄ノズルユニット110の下方を所定速度で移動させるようにしてもよい。
【0028】
前述した二流体ノズル16は、例えば、図2に示すように構成されている。
【0029】
図2において、この二流体ノズル16は、ユニット本体160の略中央部に上下方向に延びる気体通路161が形成された構造となっている。気体通路161の上端部が気体導入口161aとして開口するとともに、気体通路161の下端部がノズル孔161bとして開口している。また、ユニット本体160の外側面から気体通路161に至るように液体通路162が形成されている。
【0030】
このような二流体ノズル16では、液体通路162の口部に加圧槽15から続く送通管17の端部が接続され、加圧槽15(図1参照)からの気体溶存液Wが液体通路162を通って気体通路161に導かれるようになっている。また、第2ガス供給部18からの気体(例えば、空気)Gがガス流量調整弁27を介してユニット本体160の気体導入口161aから気体通路161に供給され、ガス流量調整弁27の開度に応じた流量の気体Gが気体通路161を通過する。気体通路161を通過する気体G中に液体通路162からの気体溶存液Wが供給されることにより、気体Gと気体溶存液Wとが混合されて、その気体溶存液Wがノズル孔161bから霧状(微細な液粒)となって飛出する。
【0031】
加圧された状態の気体溶存液Wが二流体ノズル16のノズル孔161bから噴出する際に当該気体溶存液Wの減圧開放がなされ、その液中に微細なバブルが発生する。これにより、二流体ノズル16から霧状となって飛出する液体(液粒)は、微細なバブルを含むバブル含有液BWとなる。
【0032】
上述したような構造の基板処理装置100における処理系は、例えば、図3に示すように構成されている。
【0033】
図3において、処理ユニット25には、第2貯液槽21に設けられたパーティクルカウンタ28、ガス流量調整弁27を駆動するアクチュエータ19、及び加圧槽15に設けられた圧力調整器26が接続されている。パーティクルカウンタ28は、第2貯液槽21内に貯められたバブル含有液BW中の単位体積当たりのバブルの数に応じた検出信号をそのバブル含有液BW中のバブルの量を表す信号として出力する(バブル量検出手段)。
【0034】
ところで、二流体ノズル16において、供給される気体の流量と、噴出後の液体(液粒)に含まれるバブルの量との関係は、例えば、図4に示すグラフのようになることが判明した。図4に示すグラフでは、縦軸が二流体ノズル16から噴出される液体(液粒)に含まれるバブルの個数割合(%)で定義されるバブル含有効率を表し、横軸が二流体ノズル16に供給される気体の流量(L/min)を表している。また、第2ガス供給部18から供給される気体の流量と、噴出後の液体(液粒)中の溶存気体濃度(mg/L)との関係が図5に示すグラフのようになる。図4及び図5に示す関係によれば、第2ガス供給部18から二流体ノズル16に供給される気体の流量が多くなるほど、噴出後の液体(液粒)中のバブルの含有割合(バブル含有効率)は大きくなり、その結果、噴出後の液体(液粒)の気体溶存濃度が低下することが分かる。これは、二流体ノズル16に供給される気体溶存液W中の溶存気体のより多くの量が気化されてより多くのバブルに変わったものと考えられる。また、気体溶存液Wの減圧開放によって発生するバブルの粒径(μm)と発生するバブルの量(バブル含有効率)との関係が図6に示すグラフのようになる。この関係によれば、前述したように、液体中のバブルの個数割合(バブル含有効率)が大きくなるということは、含まれるバブルのサイズが小さくなることを意味する。従って、図4に示す関係は、二流体ノズル16に供給される気体の流量が多くなるほど、二流体ノズル16から霧状に噴出される液体(液粒)に含まれるバブルの大きさが、(a)、(b)、(c)、(d)に示すように小さくなることを表しているといい得る。液中に含まれるバブルのサイズが大きくなるほど(例えば、図4の(a)、(b))、その液体の白濁の程度が大きくなり、液中に含まれるバブルのサイズが小さくなるほど(例えば、図4の(c)、(d)参照)、液体の透明の度合いが大きくなる。
【0035】
処理ユニット25は、二流体ノズル16に供給すべき気体の流量を調整するガス流量構成弁27のアクチュエータ19を制御する。具体的には、処理ユニット25は、図4に示すような二流体ノズル16に供給される気体の流量と、二流体ノズル16から噴出される液体(液粒)中に含まれるバブルの量(バブル含有効率)、及び図6に示すようなバブル含有効率とバブルの大きさとの関係に基づいて作成された、二流体ノズル16に供給される気体の流量と、二流体ノズル16から噴出されるバブルの大きさとの関係についての参照テーブルを備えている。この参照テーブルは、二流体ノズル16に供給される気体の流量が多くなるに従って、二流体ノズル16から霧状に噴出する液体(液粒)に含まれるバブルのサイズが小さくなる関係を示すことになる(図4及び図6参照)。例えば、操作部(図示略)の操作によって、二流体ノズル16から噴出されるべきバブル含有液BWに含まれるバブルの大きさについての指示がなされると、処理ユニット25は、参照テーブル(図4及び図6に示す関係参照)に基づいて前記指示されたバブルの大きさに対応する気体の流量を決定し、二流体ノズル16に供給される気体の流量がその決定した流量になるように、アクチュエータ19を制御してガス流量調整弁27の開度を調整する。また、処理ユニット25は、パーティクルカウンタ26からの検出信号を入力し、第2貯液槽21に貯められたバブル含有液BW中の単位体積当たりのバブルの個数、即ち、バブル含有液BW中のバブルの大きさをモニタしている。
【0036】
このような基板処理装置100での半導体ウェーハ50(被処理物)の洗浄処理について説明する。
【0037】
例えば、半導体ウェーハ50の微細部分までも良好に洗浄するために、できるだけ細かいバブル(例えば、ナノバブル)を含むバブル含有液BWを生成するための指示がなされると、処理ユニット25は、参照テーブル(図4及び図6に示す関係)に基づいて、二流体ノズル16に供給される気体の流量が比較的大きな値となるように(図4(d)参照)、アクチュエータ19を駆動してガス流量調整弁27の開度を制御する。これにより、二流体ノズル16に対して加圧槽15から加圧状態の気体溶存液Wが供給されるとともに、第2ガス供給部18からの気体が比較的大きい流量にて供給される。その結果、極めて微細なバブル(例えば、ナノバブル)を含むバブル含有液BWが霧状となって二流体ノズル16から噴出されて第2貯液槽21に貯められる。
【0038】
そして、このように第2貯液槽21に貯められた極めて微細なバブルを含むバブル含有液BWは、ポンプ23によって洗浄ノズルユニット110に供給され、そのバブル含有液BWが処理液(洗浄液)として洗浄ノズルユニット110から回転する半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられる。このナノバブルのような極めて微細なバブルを含む洗浄液にて半導体ウェーハ50の表面が洗浄され、微細な構造部分に付着した異物も極めて微細なバブルの作用によってその表面から良好に剥離することができる。
【0039】
前述したように極めて微細なバブルを含む洗浄液にて洗浄された半導体ウェーハ50の表面に残った異物を除去(浮上分離)するためには、比較的サイズの大きいバブルを含むバブル含有液BWが好ましい。このため、微細バブルのなかでも比較的大サイズの大きいバブル(例えば、マイクロバブル)を含むバブル含有液BWを生成するための指示がなされると、処理ユニット25は、参照テーブル(図4及び図6に示す関係)に基づいて、二流体ノズル16に供給される気体の流量が比較的小さな値となるように(図4(a)参照)、アクチュエータ19を駆動してガス流量調整弁27の開度を制御する。これにより、二流体ノズル16に対して加圧槽15から加圧状態の気体溶存液Wが供給されるとともに、第2ガス供給部18からの気体が比較的小さい流量にて供給される。その結果、微細バブルであっても比較的大きいサイズのバブル(例えば、マイクロバブル)を含むバブル含有液BWが霧状となって二流体ノズル16から噴出されて第2貯液槽21に貯められる。
【0040】
そして、このように第2貯液槽21に貯められた比較的サイズの大きいバブル(例えば、マクロバブル)を含むバブル含有液BWは、ポンプ23によって洗浄ノズルユニット110に供給され、そのバブル含有液BWが洗浄液として洗浄ノズルユニット110から回転する半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられる。微細バブルでもそのサイズが比較的大きいマイクロバブルのようなバブルを含む処理液にて半導体ウェーハ50の表面が洗浄され、表面に付着した異物がそのバブルの作用によって当該表面から浮上分離されて、その異物を良好に半導体ウェーハ50の表面から洗い流すことができる。
【0041】
なお、処理ユニット25は、前述した処理の過程で、第2貯液槽21に設けられたパーティクルカウンタ28からの検出信号にて表されるバブルの量(単位体積当たりの数)から換算されるバブルのサイズと指示されたバブルのサイズとの差が所定値以内であるか否かを判定している。その差が前記所定値を越える場合、バブル含有液生成装置に異常があるとして、警報や装置停止等の処理を行うことができる。
【0042】
前述したような処理装置100に用いられるバブル含有液生成装置によれば、加圧槽15から加圧状態で供給される気体溶存液Wが二流体ノズル16から気体とともに噴出する際に減圧開放がなされて、霧状に飛翔する各液粒内に微細なバブルが生成される。そして、二流体ノズル16に供給すべき気体の流量が制御されることにより、該二流体ノズル16に供給される気体溶存液Wの減圧開放の状態が変化するとともに霧状にある各液粒のサイズが変化し得るので、バブル含有液の各液粒内に含まれるバブルのサイズを変えることができるようになる。
【0043】
また、このようなバブル含有液生成装置を用いた処理装置100によれば、処理液として用いられるバブル含有液BW中に含まれる微細バブルのサイズを制御することができるので、その処理に適したサイズのバブルを含む処理液(洗浄液)にて半導体ウェーハ50等の被処理物の処理(洗浄処理等)を行うことができるようになる。その結果、被処理物をより良好に処理することができるようになる。
【0044】
本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置は、図7に示すように構成される。この基板処理装置200は、二流体ノズル36から噴出する霧状のバブル含有液を、前述した第1の実施の形態(図1参照)のように第2貯液槽21(図1参照)に貯めることなく、直接、被処理物である半導体ウェーハ50に処理液として吹き付けるようになっている。
【0045】
図7において、この処理装置200は、第1の実施の形態と同様に、バブル含有液生成装置を構成する貯液槽31、第1ガス供給部33、貯液槽31と送通管32によって連結される加圧槽35、送通管32に設けられたポンプ34、加圧槽35と送通管37によって連結される二流体ノズル36(構造は図2参照)、第2ガス供給部38、ガス流量調整弁47、及びガス流量調整弁47を駆動させるアクチュエータ39を有している。このバブル含有液生成装置では、更に、加圧槽35と二流体ノズル36とを連結する送通管37に絞り弁42が設けられるとともに、第1ガス供給部33から供給される気体の流量を計測するための流量計41a、加圧槽35から二流体ノズル36に向けて流出する気体溶存液Wの流量を計測するための流量計41b、及び第2ガス供給部38から二流体ノズル36に供給される気体の流量を計測するための流量計41cが設けられている。
【0046】
なお、この処理装置200は、図示されてはいないが、第1の実施の形態(図3参照)と同様に、圧力調整器46及びアクチュエータ39を制御する処理ユニットを有している。その処理ユニットは、各流量計41a、41b、41cで計測される気体及び気体溶存液Wの流量をモニタしている。
【0047】
このようなバブル含有液生成装置では、ポンプ34によって貯液槽31から加圧槽35に送通管32を通して送られる純水DIWに、第1ガス供給部33から気体(例えば、窒素ガス、酸素ガス等)が開閉弁40を介して供給され、加圧槽35には、気体含有液体が貯められる。圧力調整器46によって圧力調整のなされる加圧槽35において、気体含有液体の気体が液中に溶融して、過飽和またはそれに近い状態の気体溶存液が生成される。加圧槽35から送通管37を通って送られる加圧状態の気体溶存液が絞り弁42を介して二流体ノズル36に供給される。二流体ノズル36には第2ガス供給部38からの気体(例えば、空気)がガス流量調整弁47を介して供給されている。
【0048】
二流体ノズル36は、加圧された状態で供給される前記気体溶存液Wと第2ガス供給部38からの気体とを混合して霧状の液体(微細な液粒)を噴出する。そして、第1の実施の形態の場合と同様に、加圧された状態の前記気体溶存液Wが二流体ノズル36から気体とともに噴出する際に当該気体溶存液の減圧開放がなされ、その液中に微細なバブルが発生する。これにより、二流体ノズル16から霧状となって飛出する液体(液粒)は、微細なバブルを含むバブル含有液BWとなる。
【0049】
前述したようなバブル含有液生成装置を含む処理装置200では、二流体ノズル36の下方に、駆動ユニット113の回転軸112に固定されたテーブル111上に載置された被処理物としての半導体ウェーハ50が配置されている。これにより、二流体ノズル36から霧状に噴出されるバブル含有液BWが処理液として回転する半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられ、当該バブル含有液BW(処理液)によって半導体ウェーハ50の表面が処理(洗浄)される。
【0050】
この場合も、半導体ウェーハ50の処理目的(異物の剥離、異物の浮上分離等)に応じて、例えば、図4及び図6に示す関係に基づいて、ガス流量調整弁47の開度をアクチュエータ39によって制御して二流体ノズル36に供給される気体の流量を制御することにより、二流体ノズル36から霧状に噴出される液粒に含まれるバブルの大きさを制御する。これにより、第1の実施の形態の場合と同様に、処理に適したサイズのバブルを含む処理液(洗浄液)にて半導体ウェーハ50等の被処理物の処理(洗浄処理等)を行うことができるようになる。
【0051】
本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置は、図8に示すように構成される。この基板処理装置200は、前述した第2の実施の形態に係る基板処理装置(図7参照)と同様に、二流体ノズル36から噴出する霧状のバブル含有液を、被処理物である半導体ウェーハ50に処理液として吹き付けるようになっている。そして、この基板処理装置200は、そのバブル含有液生成装置において加圧槽35から二流体ノズル36まで延びる送通管37の絞り弁42と二流体ノズル36との間の部分にヒータユニット48(加熱機構)が設けられており、それ以外の構成は、前述した第2の実施の形態に係る基板処理装置(図7参照)と同じである。
【0052】
このような基板処理装置200(バブル含有液生成装置)では、加圧槽35から送通管37を通って送られる加圧状態の気体溶存液がヒータユニット48によって加熱されて二流体ノズル36に供給される。このような加熱により気体溶存液の温度が上昇すると、当該気体溶存液における気体の飽和溶解度が下がってバブルがより発生し易い状態になる。二流体ノズル36は、このようにバブルがより発生し易い状態となった加圧状態の前記気体溶存液と第2ガス供給部38からの気体とを混合して霧状の液体(微細な液粒)を噴出する。この場合、前記加熱されてバブルの発生し易い状態となった気体溶存液の二流体ノズル36から噴出する際の減圧開放によって霧状に噴出される液体(微細な液粒)にはより多くの微細バブルが含まれるようになる。
【0053】
本発明の第3の実施の形態に係る基板処理装置200では、二流体ノズル36から噴出する霧状の液体(微細な液粒)に効率的に微細バブルを生じさせることができるようになり、より多くの微細バブルを含む霧状の液体を処理液として被処理物である半導体ウェーハ50に吹き付けることができるようになる。また、二流体ノズル36に供給される気体溶存液の温度を制御することにより、噴出する霧状の液体に含まれる微細バブルの量を制御することが可能になる。
【0054】
更に、二流体ノズル36から半導体ウェーハ50に処理液(洗浄液)として吹き付けられる霧状の液体が比較的高温となるので、比較的高い洗浄効果を得ることができるようになる。
【0055】
本発明の第4の実施の形態に係る基板処理装置は、図9に示すように構成される。この基板処理装置200では、前述した第3の実施の形態に係る基板処理装置(図8参照)のヒータユニット48に代えて、アスピレータ60、液体(例えば、純水)を加熱した状態で貯めおく加熱槽61及び開閉弁62が設けられている。
【0056】
このような基板処理装置200(バブル含有液生成装置)では、加圧槽35から送通管37を通って送られる加圧状態の気体溶存液がアスピレータ60を通って二流体ノズル36に供給されている。また加熱槽61にて加熱された状態となった液体が開放された開閉弁62を介してアスピレータ60の吸引導入部に供給されている。加圧槽36からの気体溶存液がアスピレータ60を高速に通過する際に内部で発生する負圧状態によって吸引導入部に供給される加熱された液体がアスピレータ60内に引き込まれる。そして、アスピレータ60内で加圧槽35からの気体溶存液と加熱槽61からの高温の液体とが混合して全体として比較的高い温度の気体溶存液となって二流体ノズル36に供給される。
【0057】
このように、二流体ノズル36に供給される気体溶存液が比較的高い温度となるので、前述した第3の実施の形態の場合と同様に、二流体ノズル36は、比較的温度が高くてバブルがより発生し易い状態となった加圧状態の前記気体溶存液と第2ガス供給部38からの気体とを混合して霧状の液体(微細な液粒)を噴出する。そして、そのバブルの発生し易い状態となった気体溶存液の二流体ノズル36から噴出する際の減圧開放によって霧状に噴出される液体(微細な液粒)にはより多くの微細バブルが含まれるようになる。その結果、二流体ノズル36から噴出する霧状の液体(微細な液粒)に効率的に微細バブルを生じさせることができるようになり、より多くの微細バブルを含む霧状の液体を処理液として被処理物である半導体ウェーハ50に吹き付けることができるようになる。
【0058】
前述した本発明の各実施の形態では、半導体ウェーハ50の表面を洗浄する処理装置であったが、被処理物は、半導体ウェーハ50に限られるものではなく、他の板状物や他の形状の個体を被処理物にすることが可能であることは勿論、更に、例えば、廃液浄化等、液体を被処理物とすることもできる。
【符号の説明】
【0059】
11 第1貯液槽
12、17、22、32、37 送通管
13、33 第1ガス供給部
14 第1のポンプ
15、35 加圧槽 (加圧機構)
16 二流体ノズル
160 ユニット本体
161 気体通路
161a 気体導入口
161b ノズル孔
162 液体導入部
18 38 第2ガス供給部
19、39 アクチュエータ
21 第2貯液槽
20、40 開閉弁
22 第2ポンプ
25 処理ユニット
26 46 圧力調整器
27、47 ガス流量調整弁
28 バブルカウンター
31 貯液槽
34 ポンプ
36 二流体ノズル
41a 41b 41c 流量計
42 圧力開放部
48 ヒータユニット(加熱機構)
50 半導体ウェーハ(被処理物)
60 アスピレータ
61 加熱槽
62 開閉弁
100 200 バブル生成装置
101 洗浄室
110 洗浄ノズルユニット
111 テーブル
112 回転軸
113 駆動ユニット
160 ユニット本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体溶存液を生成する気体溶存液生成機構と、
該気体溶存液生成機構により生成された気体溶存液と気体とを混合して霧状の液体を噴出する二流体ノズルと、
該二流体ノズルに供給すべき前記気体の流量を制御する気体流量制御手段とを有するバブル含有液生成装置。
【請求項2】
前記気体溶存液生成機構は、
気体と液体とを混合する気液混合機構と、
前記気液混合機構により生成された気体含有液体を貯留して加圧する加圧機構とを有する請求項1記載のバブル含有液生成装置。
【請求項3】
前記二流体ノズルから噴出される液体を貯留する貯留槽と、
該貯留槽に貯留する液体に含有されるバブルの量を検出するバブル量検出手段とを有する請求項1または2記載のバブル含有液生成装置。
【請求項4】
前記二流体ノズルに供給される前記気体溶存液を加熱する加熱機構を有する請求項1乃至3のいずれかに記載のバブル含有液生成装置。
【請求項5】
前記加熱機構は、前記気体溶存液生成機構から二流体ノズルに送られる途中の前記気体溶存液を加熱するヒータユニットを有する請求項4バブル含有液生成装置。
【請求項6】
前記加熱機構は、前記二流体ノズルに供給される前記気体溶存液に加熱液体を混合させる加熱液混合機構を有する請求項4記載のバブル含有液生成
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載のバブル含有液生成装置と、
前記二流体ノズルから噴出される液体を処理液として被処理物に供する処理液供給機構とを有する処理装置。
【請求項8】
前記バブル含有液生成装置は、請求項1また2記載のバブル含有生成装置であって、
前記処理液供給機構は、前記二流体ノズルから噴出される液体を直接前記被処理物に供する構造となる請求項5記載の処理装置。
【請求項9】
前記バブル含有液生成装置は、請求項3に記載されるバブル含有液生成装置であって、
前記処理液供給機構は、前記処理物に処理液を吐射するノズルと、
前記貯液槽に貯留される液体を前記ノズルに処理液として送る処理液移送機構とを有する請求項7記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−580(P2012−580A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138969(P2010−138969)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】