説明

バルブ内蔵コネクタ

【課題】安定した流量を確保できる寿命の長いバルブ内蔵コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング3の本体部9を、バルブ本体57を収容する軸方向一方側のバルブ収容部33と、このバルブ収容部33と一体化した軸方向他方側の流出部35と、から構成し、流出部35を、軸方向他端が第2の接続部13の長さ方向中央と一体化している軸方向に短く延びる筒状基部37と、この筒状基部37の軸方向一端部に一体的に形成した大径の嵌め付け部39と、から構成する。流出部35の流出孔43と第2の接続部13内とを、流出側オリフィス45により連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車の燃料供給系に用いられるエバポレート配管に使用するための、バルブ内蔵コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のガソリン燃料タンク内で発生した燃料蒸発ガス(ベーパ)は、大気中に放出されないように処理されるのが好ましいが、このような処理を行うベーパ放出防止機構としては、発生したベーパをキャニスタに吸着させる形式のものが広く採用されている。こういった形式のベーパ放出防止機構で、燃料タンクとキャニスタとを接続するエバポレート配管、あるいは給油時に発生するベーパ量を低減させ、キャニスタの小型化を図るための、燃料タンクとインレットパイプとを接続するブリーザ回路又は配管には、燃料タンク内の圧力を適正に保つための1WAYバルブ又はチェックバルブが使用される。
【0003】
エバポレート配管あるいはブリーザ配管に使用されるこのような1WAYバルブは、例えば、配管用のコネクタのコネクタハウジング内に内蔵バルブとして配置される(例えば、特許文献1及び2参照)。内蔵バルブは、コネクタハウジングの流通路又は貫通路に形成されたバルブシートと、このバルブシートのバルブ孔を開閉し、燃料タンク側からキャニスタ側あるいはインレットパイプ側へのベーパ流量を制御するバルブ本体と、このバルブ本体を燃料タンク側に向って付勢する圧縮コイルスプリングと、を有していて、燃料タンク内のベーパ圧力が高まると、圧縮コイルスプリングのバネ力に抗してバルブ本体がキャニスタ側あるいはインレットパイプ側に移動し、バルブ孔を開放するように構成されている。したがって、ベーパ圧力の上昇にともなって、燃料タンク内のベーパが内蔵バルブを通過してキャニスタあるいはインレットパイプに流れ込む。
【0004】
【特許文献1】特開2002−168384号公報
【特許文献2】特開2003−028010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような内蔵バルブの構成では、燃料タンク側からキャニスタ側あるいはインレットパイプ側に流れ込むベーパ量は、バルブ本体によるバルブシートのバルブ孔の開放度合いにもっぱら依存している。したがって、ここでは、圧縮コイルスプリングのバネ特性によって、バルブ本体の開弁圧(バルブ本体がバルブ孔を開放するように作動する最低圧)だけでなく、燃料タンク側からキャニスタ側あるいはインレットパイプ側へのベーパ流量も決定されることとなる。
【0006】
しかしながら、圧縮コイルスプリングのバネ特性(特に剛性の低い圧縮コイルスプリングのバネ特性)は、疲労や老化により径時的に変化する可能性が大きく、ベーパの流れを全て、圧縮コイルスプリングのバネ特性によって制御するこれまでの構成では、言い換えると、バルブ特性がほとんど圧縮コイルスプリングのバネ特性に依存するこれまでの構成では、使用期間が長くなると、ベーパ流量の制御態様が大きく変化するおそれがある。
【0007】
また、圧縮コイルスプリングのバネ力のみによってベーパ流量を制御しようとすると、開弁後のバルブ本体の作動が不安定となってしまう。例えば、ベーパ圧が変化するとバルブ本体が振動するといったような事態が生じるが、バルブ本体の作動が不安定だと、ベーパ流量も安定しなくなる。しかしながら、ベーパ(ガソリン)の蒸散を低く抑えるためには、ベーパ流量のばらつきをできるだけ少なくするのが得策なのである。
【0008】
そこで本発明は、安定した流量を確保できる寿命の長いバルブ内蔵コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するための本発明のバルブ内蔵コネクタは、軸方向一方側に一方側配管、例えば上流側配管のための第1の接続部が形成され、軸方向他方側に他方側配管、例えば下流側配管のための第2の接続部が形成されたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの流通路内又は貫通路内に設けられた内蔵バルブと、を備え、前記内蔵バルブは、前記コネクタハウジングの前記流通路に形成されたバルブシートと、このバルブシートのバルブ孔を開閉するバルブ本体と、このバルブ本体を軸方向一方側、例えば上流側に向って付勢する圧縮コイルスプリングと、を有している、バルブ内蔵コネクタであって、前記コネクタハウジングの前記流通路には、前記バルブシートよりも軸方向他方側に(すなわち下流側に)、前記他方側配管に流出する流体の流量を制限する流出側オリフィスが形成されているものである。ここでは、圧縮コイルスプリングのバネ特性は、例えば、もっぱら所定の開弁圧を確保するといった観点から設定される。また、流出側オリフィスの断面積又は直径あるいは流通路に対する断面積割合又は直径割合は、例えば、一方側配管内が所定の流体圧である場合に、他方側配管に所定の流量で流体が流れ込むようにするといった観点から設定される。本発明のバルブ内臓コネクタのバルブ特性は、本質的に、流出側オリフィスと圧縮コイルスプリングのバネ特性とに依存する。したがって、バルブ本体の作動を安定させることが可能である。
【0010】
ところで、一方側配管から流入する流体の流れに乱れがあると、バルブ本体は径方向に揺さぶられて流通路内周面を擦りながら移動するおそれがある。バルブ本体が流通路内周面を擦りながら移動すると、擦れ音である異音が発生し、この異音は例えば車室内に伝達されて車室内での静粛性の確保を阻害する。したがって、コネクタハウジングの流通路に、バルブシートあるいはバルブ本体よりも軸方向一方側で(すなわち上流側で)、一方側配管から流れ込む流体の流れを整える流入側オリフィスが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明のバルブ内蔵コネクタは、圧縮コイルスプリング
のバネ特性が経時的に変化しても、所定のバルブ特性を維持することが、あるいはそれなりに維持することが可能なものなので、耐久性に優れている。また、流量の制御が圧縮コイルスプリングのバネ力のみによって行われているわけではないので、バルブ本体の作動を安定させて流量のばらつきを少なくすることができ、内部流体の蒸散を効果的に防止することが可能なものであって、かつ、優れた設計自由度を有している。さらに、流出側オリフィスと圧縮コイルスプリングとの組み合わせによってバルブ特性が設定されるので、管理すべき圧縮コイルスプリングの種類数が減少し、その結果、組み付け用の部品管理が容易となるので、製造コストを低減できるといった利点も備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明に係るバルブ内蔵コネクタの斜視図、図2はバルブ内蔵コネクタの断面図、図3はコネクタハウジングの本体部個所の断面図である。
【0014】
例えばガソリン燃料タンクのエバポレート配管に用いられるバルブ内蔵コネクタ1は、ポリアセタール(POM)製のコネクタハウジング3と、このコネクタハウジング3の流通路5又は流通路5内に設けられた内蔵チェックバルブ7と、を備えていて、コネクタハウジング3は、内蔵チェックバルブ7が配置された本体部9と、この本体部9の軸方向一方側に形成された、軸方向に延びる小径の第1の接続部11と、本体部9の軸方向他方側に形成された、軸方向と直交する方向に延びる大径の第2の接続部13と、を一体的に有して、ほぼT字状に形成されている。
【0015】
第1の接続部11は、外周面が軸方向他方側に向かって概ね緩やかに拡径する軸方向一方側部15と、軸方向一方側部15の軸方向他方側でほぼ単純な円筒状外面として延びている外周面に、断面四角形状の抜止め環状突出部17及び軸方向他方側に向かって拡径する断面直角三角形状の2本の抜止め環状突出部19、19が、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって順次、軸方向に間隔を有して形成された軸方向他方側部21とから構成され、外周又は外周面に一方側配管の樹脂チューブ(第1の樹脂チューブ23:図5参照)がきつく嵌め付けられて接続される。軸方向他方側部21の軸方向一方側端外周面25(軸方向一方側部15と抜止め環状突出部17との間)は小径にあるいは比較的深い環状溝として形成されていて、樹脂チューブを嵌め付けるに際してこの軸方向一方側端外周面25にシールリング(第1のシールリング27:図5参照)を配置しておく。
【0016】
第1の接続部11の内周面は、ほぼ全長にわたって単純な円筒状内面として延びて流入孔29(流通路5の一部)を形成しているが、軸方向一方側端部又は先端部では、例えばこの流入孔29のほぼ2分の1の直径の流入側オリフィス31を構成している。
【0017】
コネクタハウジング3の本体部9は、軸方向一方側に小径筒状の第1の接続部11が一体成形によって設けられているバルブ収容部33と、軸方向他方側に大径筒状の第2の接続部13が一体成形によって設けられている流出部35と、から構成されていて、バルブ収容部33と流出部35とは、バルブ収容部33の軸方向他端部外周に、流出部35の軸方向一端部を超音波溶着(符号36は溶着部分を示す)しながら嵌め付けることにより一体化されている。流出部35は、軸方向他端に第2の接続部13の長さ方向中央が一体成形されることにより接続された、軸方向に短く延びる筒状基部37と、この筒状基部37の軸方向一端部に一体成形により形成された、大径の嵌め付け部39とから形成されていて、この嵌め付け部39がバルブ収容部33の軸方向他端部外周に嵌め付けられている。筒状基部37の環状の軸方向一方側端面には、環状のスプリング受け溝41が形成され、筒状基部37の内面は、流出孔43を構成する単純な円筒状内周面として形成されている。流出孔43と第2の接続部13内とは、流出側オリフィス45により連通しているが、流出側オリフィス45は、筒状基部37の流出孔43内径のほぼ4分の1の内径を有するように形成されている。
【0018】
コネクタハウジング3のバルブ収容部33の内面47は、軸方向一方側で、単純な円筒状内周面として延びて、第1の接続部11の流入孔29のほぼ1.5倍の直径を有し、かつ、筒状基部37の流出孔43とほぼ等しい直径を有するガイド孔49(流通路5の一部)を構成し、軸方向他方側で、単純な円筒状内周面として延びて、ガイド孔49のほぼ1.7倍の直径を有するスライド孔51(流通路5の一部)を構成している。バルブ収容部33の、スライド孔51とガイド孔49との間の内周面47は、スライド孔51の軸方向一端から、比較的急な角度で軸方向一方側に向かってテーパ状に縮径して延びる第1のテーパ部53と、この第1のテーパ部53の軸方向一端から、比較的緩い角度でガイド孔49の軸方向他端までテーパ状に縮径して延びる、第1のテーパ部53のほぼ2倍の軸方向長さを有する第2のテーパ部55と、を構成しているが、第2のテーパ部55又は第2のテーパ部55の内周面はバルブシートとして機能し、内側にバルブ孔を備えている。
【0019】
バルブ収容部33内には、内蔵チェックバルブ7を構成するバルブ本体57が収容されている。図4に詳細に示されるように、バルブ本体57は、薄肉の円盤状部59の外周に、軸方向他方側に短く延びる環状部61を一体的に有する閉塞部63と、この閉塞部63の環状部61に設けられ、軸方向他方側に延びる他方側ガイド65と、閉塞部63の円盤状部59の外周から軸方向一方側に延びる一方側ガイド67と、から一体的に形成されていて、バルブ本体57の素材にはPOMが用いられている(図4はバルブ本体57の斜視図)。閉塞部63では、円盤状部59と環状部61との接続部分の外周面(接続外周面)69が、断面外側に膨らむ円弧状に形成されることにより、断面直線状に形成されている第2のテーパ部55(バルブシート)に気密的に当接する当接面として構成されている。
【0020】
他方側ガイド65は、環状部61に周方向等間隔(具体的には60度間隔)で一体的に設けられた複数枚(具体的には6枚)のプレート状他方側スライド脚71から構成され、それぞれの他方側スライド脚71は、環状部61に設けられた支持部73と、この支持部73の軸方向他端に一体的に連続して形成された長方形状のスライド部75と、を有していて、プレートの厚み方向が環状部61の接線方向と一致するように配置されている。環状部61の中心からそれぞれのスライド部75の径方向外端面までの径方向距離は、スライド孔51の内周面の半径とほぼ等しく、あるいはスライド孔51の内周面の半径よりも僅かに小さく設定されていて、スライド部75の径方向外端面は、スライド孔51の内周面上をスライド移動できるように軸方向に延びる面として形成されている。それぞれのスライド部75の軸方向他端からは、軸方向一方側に延びる又は切れ込む支持溝77が形成され、この支持溝77は、環状部61とほぼ同一の径方向位置に配置されている。
【0021】
一方側ガイド67は、円盤状部59の外周に周方向等間隔(具体的には90度間隔)で一体的に設けられた複数枚(具体的には4枚)のプレート状一方側スライド脚79から構成されていて、それぞれの一方側スライド脚79は、プレートの厚み方向が円盤状部59の接線方向と一致するように配置され、径方向外端が軸方向に延びる直角三角形状に形成されている。円盤状部59の中心からそれぞれの一方側スライド脚79の径方向外端あるいは径方向外端面までの径方向距離は、ガイド孔49の内周面の半径とほぼ等しく、あるいはガイド孔49の内周面 の半径よりも僅かに小さく設定されていて、一方側スライド脚79の径方向外端面はガイド孔49の内周面上をスライド移動できるように形成されている。
【0022】
このように構成されたバルブ本体57は、他方側スライド脚71のスライド部75に形成された支持溝77に軸方向一方側部が収容され、筒状基部37のスプリング受け溝41に軸方向他方側部が収容された圧縮コイルスプリング81によって、一方側ガイド67が本体部9のガイド孔49内に入り込み、閉塞部63の接続外周面69が第2のテーパ状部55(バルブシート)のほぼ軸方向中央位置に当接するように、軸方向一方側に付勢されている。
【0023】
図2によく示されているように、第2の接続部13は、長さ方向(軸方向と直交する方向)両側に同一構成の接続部分83、83を有している。それぞれの接続部分83は、外周面が長さ方向中央に向かって概ね緩やかに拡径する長さ方向外側部85と、長さ方向外側部85の長さ方向中央側でほぼ単純な円筒状外面として延びている外周面に、断面四角形状の抜止め環状突出部87及び長さ方向中央に向かって拡径する断面直角三角形状の2本の抜止め環状突出部89、89が、長さ方向外側から長さ方向中央に向かって順次、長さ方向に間隔を有して形成された長さ方向中央側部91とから構成され、外周又は外周面に他方側配管の樹脂チューブ(第2樹脂チューブ93及び第3樹脂チューブ95:図5参照)がきつく嵌め付けられて接続される。長さ方向中央側部91の長さ方向外端外周面97(長さ方向外側部85と抜止め環状突出部87との間)は小径にあるいは比較的深い環状溝として形成されていて、樹脂チューブを嵌め付けるに際してこの長さ方向外端外周面97にシールリング(第2のシールリング99及び第3のシールリング101:図5参照)を配置しておく。なお、図中、符号103は吊り下げ部である。
【0024】
図5はバルブ内蔵コネクタ1をエバポレート配管に使用した場合を説明する図である。
【0025】
バルブ内蔵コネクタ1の第1の接続部11の外周には、ガソリン燃料タンクから延びる第1の樹脂チューブ23が嵌め付けられ、第2の接続部13の一方の接続部分83には、第1の樹脂チューブ23とは別の配管を構成する第2の樹脂チューブ93(他方側配管)が嵌め付けられ、さらに、第2の接続部13の他方の接続部分83には、第1の樹脂チューブ23及び第2の樹脂チューブ93とは別の配管を構成する第3の樹脂チューブ95(他方側配管)が嵌め付けられて、エバポレート配管が構成されている。なお、図中、符号105、107、109は、樹脂チューブの嵌め込み量又は圧入量を規制するためのストッパである。
【0026】
ここで、ガソリン燃料タンク内のベーパ圧が上昇すると、図6に示されるように、バルブ本体57が圧縮コイルスプリング81のバネ力に抗して軸方向他方側に移動する(図6はバルブ本体57の開状態を説明するための図)。バルブ本体57が軸方向他方側に移動して、閉塞部63の接続外周面69が第2のテーパ状部55の軸方向中央位置から離れると、閉塞部63の接続外周面69と第2のテーパ状部55の軸方向中央位置との間の大径の環状隙間を通過してベーパがスライド孔51内に流れ込み(矢印A参照)、流れ込んだベーパは、筒状基部37の流出孔43から流出側オリフィス45を通過して第2の接続部13内に流出する(矢印B参照)。バルブ本体57は、他方側スライド脚71のスライド部75が、筒状基部37の環状の軸方向一方側端面に当接するまで、軸方向他方側に移動することができる。バルブ本体57の軸方向の移動は、一方側スライド脚79のガイド孔49内周面上のスライド移動及び他方側スライド脚71のスライド孔51内周面上のスライド移動を伴なうので、移動中にバルブ本体57が傾いてしまうおそれはない。しかしながら、ベーパ流に乱れがあると、バルブ本体57が本体部9の内周面47に偏って押し付けられ、その結果、こすれ音(異音)が発生する可能性があるが、図示のように、第1の接続部11の軸方向一方側端部に流入側オリフィス31を設けておけば、ベーパ流を整えることができるようになる。なお、一方側スライド脚79は、バルブ本体57が閉塞状態のときの他方側スライド脚71と筒状基部37の軸方向一方側端との軸方向距離、あるいはバルブ本体57の軸方向の移動距離よりも長く形成されているので、一方側スライド脚79がバルブ本体57の移動によってガイド孔49から抜け出てしまうといったことはない。
【0027】
図7は流出側オリフィス45の直径(断面積)を変化させた場合の圧力−流量特性(PQ特性)を示す図である。
【0028】
バルブ内蔵コネクタ1の流出孔43の内径を8.0mmに設定し、バルブ本体
57の開弁圧が1.4kPaとなるように圧縮コイルスプリング81のバネ特性を設定した上で、バルブ内蔵コネクタ1の流出側オリフィス45のオリフィス径を1.8mm、2.0mm、2.2mm及び2.4mmに変化させたときの、圧力(第1の接続部11側圧力(kPa))−流量(流出側オリフィス45通過流量(L/min.又はl/min))特性あるいはバルブ特性を計測した。図中、第1曲線はオリフィス径1.8mmの場合の計測結果、第2曲線はオリフィス径2.0mmの場合の計測結果、第3曲線はオリフィス径2.2mmの場合の計測結果、第4曲線はオリフィス径2.4mmの場合の計測結果、そして、第5曲線は、圧縮コイルスプリング81のバネ定数を5倍に高め(開弁圧は1.4kPaで同じ)、かつ、オリフィス径を2.4mmとした場合の計測結果を示す。図7から理解できるように、圧縮コイルスプリング81のバネ定数を5倍に引き上げても、PQ特性への影響は僅かであるが、オリフィス径を若干変えれば、PQ特性を大きく変化させることができる。このことはまた、経時変化により圧縮コイルスプリング81のバネ特性が多少変化しても、バルブ特性は大きな影響を受けないことを示している。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のバルブ内蔵コネクタは、例えば、自動車のエバポレート配管に用いられれば、燃料タンク内で発生したベーパを適切に処理できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るバルブ内蔵コネクタの斜視図である。
【図2】バルブ内蔵コネクタの断面図である。
【図3】コネクタハウジングの本体部個所の断面図である。
【図4】バルブ本体の斜視図である。
【図5】バルブ内蔵コネクタをエバポレート配管に使用した場合を説明する図である。
【図6】バルブ本体の開状態を説明するための図である。
【図7】流出側オリフィスの直径を変化させた場合の圧力−流量特性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一方側に一方側配管のための第1の接続部が形成され、軸方向他方側に他方側配管のための第2の接続部が形成されたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの流通路内に設けられた内蔵バルブと、を備え、前記内蔵バルブは、前記コネクタハウジングの前記流通路に形成されたバルブシートと、このバルブシートのバルブ孔を開閉するバルブ本体と、このバルブ本体を軸方向一方側に向って付勢する圧縮コイルスプリングと、を有している、バルブ内蔵コネクタであって、
前記コネクタハウジングの前記流通路には、前記バルブシートよりも軸方向他方側に、前記他方側配管に流出する流体の流量を制限する流出側オリフィスが形成され、かつ、前記流出側オリフィス及び前記内蔵バルブの間に、前記流出側オリフィスよりも大径の流出孔が形成されている、ことを特徴とするバルブ内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングの前記流通路には、前記バルブシートよりも軸方向一方側に、前記一方側配管から流れ込む流体の流れを整える流入側オリフィスが形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のバルブ内蔵コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−180377(P2009−180377A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114758(P2009−114758)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【分割の表示】特願2003−400424(P2003−400424)の分割
【原出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】