説明

バンドクランプ

【課題】この発明は、略平行に並設した2本の配索物を固定できる適応性の高いバンドクランプを提供することを目的とする。
【解決手段】略平行に並設して配索する2本の長尺状のハーネス200及びホース201を固定するバンドクランプ1であって、本体部10から帯状に延出した巻着バンド50と、ハーネス200の外周を巻着した巻着バンド50を挿通固定する第1バックル40と、該第1バックル40を通過するとともに、ホース201の外周を巻着した巻着バンド50を挿通固定する第2バックル61とで構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両パネル等に長尺状の配索物を取付けるバンドクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両パネルに配索する配索物を取付けるバンドクランプが存在している。このような、バンドクランプは、ワイヤーハーネス等の長尺状の配索物の外周に帯状のバンドを巻着して固定し、前記車両パネルに取付けるものである。
しかし、このようなバンドクランプは1つの取付孔に対して1本の配索物を固定する場合にしか用いることはできなかった。
【0003】
装備する電装品や装備の種類や数が増加する傾向である昨今の車両において、ワイヤーハーネスのみならず、ホース等の配索物を複数、特に2本平行に配索することが多く、平行に配索された並設線を1箇所の取付孔に取付けたバンドクランプに固定する配線構造が提案されている(特許文献1参照)。この並設線の固定は、バンド部分に着脱自在に取付け、並設線の外周を左右から挟んで握持するクリップ部分を備えて構成している。これにより、1箇所の取付孔に取付けて、1本の配索物を固定したバンドクランプのクリップ部分で並設線を固定することができる。
【0004】
しかし、このバンドクランプは、並設線の径に適合するクリップ部分を取付ける必要があり、様々な径の並設線に対応するためにはあらゆる径に対応するクリップ部を用意する必要があり、利用者の満足を得るものではなかった。
【特許文献1】特開平7−147720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、略平行に並設した2本の配索物を固定できる適応性の高いバンドクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、略平行に並設して配索する2本の長尺状の配索物を固定するバンドクランプであって、本体部から帯状に延出したバンド部と、一方の上記配索物の外周を巻着した上記バンド部を挿通固定する第1挿通固定部と、該第1挿通固定部を通過するとともに、他方の上記配索物の外周を巻着した上記バンド部を挿通固定する第2挿通固定部とで構成としたバンドクランプであることを特徴とする。
【0007】
上記配索物は、複数の電線や光ケーブル線等を束ね、鞘管やテーピングによってケーブル状に形成されたワイヤーハーネスや、中空のホース等であることを含む。
【0008】
上記構成により、1本のバンド部で2本の長尺状の配索物の外周のそれぞれを巻着して固定することができる。
また、本発明のバンドクランプは、帯状の1本のバンド部で2本の配索物の各外周を巻着して固定しているため、様々な径の配索物であっても、その径に応じて外周に巻着して固定することができ、各配索物の径への適応性が向上し、利用者の満足度を向上することができる。
【0009】
この発明の態様として、前記第1挿通固定部と前記第2挿通固定部とを、前記配索物の配索方向、及び前記2本の配索物の並設方向にずらして配することができる。
上記配索物の配索方向は長尺状の配索物の軸線方向であることを含み、上記2本の配索物の並設方向は、2本の配索物の軸線の間隔方向であることを含む。
【0010】
上記構成により、略平行に並設して配索する2本の長尺状の配索物を固定した場合に、配索物同士が重ならず、例えば、一方の配索物の荷重が他方の配索物にかかる等の相互の影響がなく、固定することができる。
【0011】
さらに、一方の配索物の外周を巻着したバンド部を第1挿通固定部に挿通固定した後、他方の配索物の外周にバンド部を巻回して第2挿通固定部に挿通固定する場合であっても、前記第1挿通固定部と前記第2挿通固定部とを、前記配索物の配索方向、及び前記2本の配索物の並設方向にずらして配しているため、バンド部と第1挿通固定部との固定部分が、第2挿通固定部へのバンド部の挿通固定に干渉することがなく、容易にバンド部を第2挿通固定部に挿通固定することができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記第1挿通固定部を、前記本体部の一部を貫通して形成し、前記第2挿通固定部を、前記本体部の側方に延出した台座部に形成することができる。
上記構成により、略平行に並設して配索する2本の配索物を固定した際に、本体部及び台座部が並設方向に沿うような態様で固定でき、2本の配索物を安定して固定することができる。
【0013】
また、この発明の態様として、前記台座部を前記本体部に対して着脱可能に構成することができる。
これにより、台座部を取り外した状態のバンドクランプを1本の配索物を取付けるための1本用バンドクランプとして用い、2本の並設する配索物がある場合、先ほどの1本用バンドクランプの本体部に台座部を取付けることで、2本の配索物を固定することのできる2本用バンドクランプとして用いることができる。したがって、1本用バンドクランプ、2本用バンドクランプといったように固定本数に応じた専用のバンドクランプを用意せずとも、固定する本数に応じたバンドクランプを容易に構成することができる。
【0014】
また、この発明の態様として、前記第1挿通固定部を、前記本体部の一部を貫通して形成し、前記第2挿通固定部を、一方の前記配索物の外周を巻着する前記バンド部の基端付近の外面側に形成することができる。
上記バンド部の基端付近の外面側とは、本体部から帯状に延出したバンド部の本体部側の根元に近い部分であり、配索物の外周を巻着したバンド部の配索物との対向面側に対して反対側であることを指す。
【0015】
これにより、2本の略平行に配索された配索物が重ならずに安定して固定することができる。
さらに、一方の配索物の外周を巻着したバンド部を第1挿通固定部に挿通固定した後に、他方の配索物の外周にバンド部を巻回して第2挿通固定部に挿通固定する場合であっても、前記第2挿通固定部を、一方の前記配索物の外周を巻着する前記バンド部の基端付近の外面側に形成しているため、第2挿通固定部へのバンド部の挿通固定に干渉することがなく、容易にバンド部を第2挿通固定部に挿通固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、略平行に並設した2本の配索物を固定できる適応性の高いバンドクランプを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0018】
車両パネル100にハーネス200及びホース201を取付けた状態のバンドクランプ1の斜視図を示す図1と、同状態のバンドクランプ1の正面図を示す図2と、同状態のバンドクランプ1の右側面図を示す図3と、同状態におけるバンドクランプ1のハーネス200の高さ方向中央付近の平面方向断面図を示す図4とともに、バンドクランプ1について説明する。
【0019】
図2から図4に示すように、車両パネル100は、車体の一部を構成する適宜の肉厚のパネルであり、所定箇所にバンドクランプ1を取付ける取付孔101を備えている。ハーネス200は車体内部に配索する電装系のケーブルであり、複数の被覆電線を束ねた円形断面の長尺体で形成している。また、該ハーネス200に平行に配索するホース201は、内部に被覆電線を格納した中空のホースであり、ハーネス200よりひと回り小さな径の円形断面の長尺体で形成している。
【0020】
本実施例のバンドクランプ1は、略平行に並設して配索する長尺状のハーネス200及びホース201を固定するバンドクランプであって、本体部10から帯状に延出した巻着バンド50と、ハーネス200の外周を巻着した巻着バンド50を挿通固定する第1バックル40と、第1バックル40を通過するとともに、ホース201の外周を巻着した巻着バンド50を挿通固定する第2バックル61とで構成とし、第1バックル40と第2バックル61とを、ハーネス200やホース201の配索方向、すなわち図1における矢印X方向、及び、前記ハーネス200やホース201の並設方向、すなわち図1における矢印Y方向にずらして配したことを特徴としている。
また、第1バックル40を本体部10の一部を貫通して形成し、第2バックル61を本体部10の側方に延出したバックル台座60に形成し、バックル台座60が本体部10に対して着脱可能に構成している。
【0021】
詳述すると、バンドクランプ1は、上記ハーネス200やホース201を車両パネル100に取付けるための取付治具であり、平面視長方形の本体部10、該本体部10の上面の左右方向中央付近に備えた第1バックル40、第1バックル40上面に一端が固定され、垂直方向に延びる帯状の巻着バンド50、第1バックル40の右側後方、すなわち平行に配索されるハーネス200及びホース201の軸線方向に対して角度を有して交差する方向にずらして備えた第2バックル61、並びに本体部10の下面に備えたカサ部20及び挿着部30で構成され、適宜の弾性を有する樹脂で一体形成されている。
【0022】
カサ部20は、底面視円形状であり、適宜の肉厚で、本体部10の底面から下方に向かって外側に広がる底面開放の逆すり鉢形状に形成している。
挿着部30は、図2及び図3において詳細に示すように、本体部10の左右方向中央の底面から下方に突き出すように配置され、適宜の厚みを有し、前後の下端を斜め方向に大きく面取りした六角形形状の支柱部31と、該支柱部31の下端の左右両側から上方外向きに配した脚部32とで構成され、支柱部31と脚部32とで正面視いかり形状を形成している。各脚部32の上端外側には、上記取付孔101の下端の角部が係止する係止フック32aを3段備えている。なお、各脚部32を幅方向内側に押圧することによって、外側方向の付勢力を得ることができる。また、3段の係止フック32aは、取付ける車両パネル100の肉厚や取付孔101の径に適した係止フック32aが係止する構成である。
【0023】
第1バックル40は本体部10の上面に本体部10と一体構成され、内部に巻着バンド50の挿入を許容するとともに、左右方向に貫通する挿入孔41を備えている。巻着バンド50は一端が第1バックル40上面に固定され、他端がフリーの帯状であり、ハーネス200及びホース201の外周を合わせた長さより長く形成され、巻着バンド50の内側面の中央に段状部51を備えている。なお、挿入孔41に挿入された巻着バンド50の該段状部51が挿入孔41の内部に備えた逆行防止フック(図示省略)に係止し、挿入された巻着バンド50が挿入方向と逆方向である抜け出し方向に逆行することを防止している。
【0024】
第2バックル61は、上述したように第1バックル40の右後方で、本体部10に接続して平面視L型を形成するバックル台座60の上面に備えられ、第1バックル40と同様に、挿入された巻着バンド50の該段状部51が係止する逆行防止フック(図示省略)を内部に備えた挿入孔62を備え、挿入された巻着バンド50が挿入方向と逆方向である抜け出し方向に逆行することを防止している。なお、バックル台座60は、本体部10の背面側側部に備えた接続挿入開口11に、バックル台座60前面に備えた接続片63を挿入して着脱自在に接続することができる。
【0025】
上述したような構成のバンドクランプ1に、ハーネス200及びホース201を装着し、車両パネル100に取付ける取付け方法について以下において説明する。
まず、バンドクランプ1をハーネス200の所定箇所に装着する。詳述すると、巻着バンド50をハーネス200の所定箇所の外側を回して、先端50aを挿入孔41に挿入し、出口側から巻着バンド50を引っ張りだして、ループを形成する。これにより、第1バックル40で抜け出し防止され、ハーネス200の外周を周方向に締め付ける巻着バンド50によって、バンドクランプ1をハーネス200の所定箇所に装着することができる。
【0026】
続いて、ハーネス200に対して平行に配索されるホース201をバンドクランプ1に取付ける。詳述すると、巻着バンド50の第1バックル40を通過した先端50a側の部分を、ホース201の所定箇所の外側を回して、先端50aを第2バックル61の挿入孔62に挿入し、出口側から巻着バンド50を引っ張りだして、ループを形成する。これにより、バックル台座60で抜け出し防止され、ホース201の外周を周方向に締め付ける巻着バンド50によって、ホース201を、ハーネス200に平行な状態でバンドクランプ1に固定することができる。
【0027】
この状態で、バンドクランプ1を車両パネル100の取付孔101に取付ける。詳述すると、カサ部20で車両パネル100の上面を押圧するまで、取付孔101に挿着部30を挿入して、バンドクランプ1を車両パネル100の上面側から取付ける。
【0028】
ここで、脚部32は取付孔101の側面によって内側に押圧され、最下段の係止フック32aが取付孔101の下端角部に係止する。このとき、係止フック32aで取付孔101の下端角部に係止するとともに、取付孔101の側面を外側に付勢する脚部32によって車両パネル100の下面側に固定したバンドクランプ1は、車両パネル100の上面を変形したカサ部20で押圧する。すなわち、車両パネル100の下面側に係止フック32aで固定した脚部32と、車両パネル100の上面を押圧するカサ部20とで車両パネル100を上下方向から挟み込んでバンドクランプ1を車両パネル100に取付けることができる。
【0029】
上記構成及び取付方法によって、バンドクランプ1を用いて車両パネル100にハーネス200及びホース201を容易に取付けることができる。
また、ハーネス200及びホース201の外周を1本の巻着バンド50で巻着するとともに、それぞれのハーネス200及びホース201に対して第1バックル40及び第2バックル61で固定しているため、巻着バンド50の該段状部51とそれぞれのバックルに備えた逆行防止フック(図示省略)とによってハーネス200及びホース201の径に応じた締め付け具合でハーネス200及びホース201の外周を締め付けて固定することができる。したがって、例えばハーネス200及びホース201の径が同じであったり、異なったりといったような様々な径のハーネス200及びホース201であっても、各種径に合わせたバンドクランプを用意せずともバンドクランプ1で対応することができ、利用者の満足度を向上することができる。
【0030】
なお、ハーネス200を固定する第1バックル40と、ホース201を固定する第2バックル61とを、平行に配索されるハーネス200及びホース201の図1における矢印Xに示す軸線方向に対して角度を有して交差する方向、すなわち図1における矢印Y方向にずらして配設しているため、バンドクランプ1に固定されたハーネス200とホース201とは、互いに接触することなく車両パネル100に取付けることができる。
【0031】
さらに、ハーネス200を固定する第1バックル40と、ホース201を固定する第2バックル61とを、前記軸線方向、すなわち図1における矢印X方向にずらして配設しているため、バンドクランプ1にハーネス200を固定した後であっても、巻着バンド50をホース201の外周に巻着して、ホース201をバンドクランプ1に容易に固定することができ、バンドクランプ1の操作性を向上することができる。
【0032】
また、第2バックル61を上面に備えたバックル台座60を本体部10に対して脱着可能に構成したため、ハーネス200及びホース201を取付孔101に取付けるといったように、1箇所の取付孔に2本の配索物を取付ける場合に、バックル台座60を接続したバンドクランプ1を用いればよく、別途2本用のバンドクランプを用意する場合と比較して、部品コストを低減できるとともに、バンドクランプ1を用いる利用者の利便性を向上することができる。
【0033】
なお、本実施例において、略平行に配索したハーネス200とホース201とをバンドクランプ1で固定したが、同じハーネス200やホース201を2本固定しても良い。また、3本以上の長尺状のハーネス200やホース201を固定する構成であってもよい。この場合、固定するハーネス200やホース201の本数に応じた数の第2バックル61を装着すればよい。
【実施例2】
【0034】
次に、車両パネル100にハーネス200及びホース201を取付けた状態の第2の実施形態のバンドクランプ1aの斜視図を示す図5と、同状態のバンドクランプ1aの正面図を示す図6と、同状態のバンドクランプ1aの第2バックル70付近を通る縦断面図を示す図7と、同状態におけるバンドクランプ1aのハーネス200の高さ方向中央付近の平面方向断面図を示す図8とともに、バンドクランプ1aについて説明する。
【0035】
第2の実施例のバンドクランプ1aは、図5に示すように、略平行に並設して配索する長尺状のハーネス200及びホース201を固定するバンドクランプであって、本体部10aから帯状に延出した巻着バンド50と、ハーネス200の外周を巻着した巻着バンド50を挿通固定する第1バックル40と、第1バックル40を通過するとともに、ホース201の外周を巻着した巻着バンド50を挿通固定する第2バックル70とで構成とし、第1バックル40を本体部10aの一部を貫通して形成し、第2バックル70をハーネス200の外周を巻着する巻着バンド50の基端付近、すなわち一端が固定された第1バックル40上面付近の外面側に形成した。ここで外面側とは、ハーネス200の外周に巻着した巻着バンド50のハーネス200との対向面側に対して反対側の外側面であることを示す。
【0036】
詳述すると、バンドクランプ1aは実施例1のバンドクランプ1と同様に、上記ハーネス200やホース201を車両パネル100に取付けるための取付治具であり、平面視長方形の本体部10a、該本体部10aの上面の左右方向中央付近に備えた第1バックル40、第1バックル40上面から垂直方向に延びる帯状の巻着バンド50、並びに本体部10の下面に備えたカサ部20及び挿着部30で構成され、適宜の弾性を有する樹脂で一体形成されている。
なお、第2の実施例のバンドクランプ1aにおけるカサ部20、挿着部30、第1バックル40、巻着バンド50、車両パネル100、取付孔101、ハーネス200、並びにホース201は、第1の実施例と同様である。
【0037】
そして、バンドクランプ1aは、巻着バンド50に対して脱着可能に構成された第2バックル70を備えている。第2バックル70は略直方体形状で構成され、直方体の一面から対向する対向面までを貫通し、巻着バンド50の挿入を許容する挿入孔71(71a,71b)を幅方向に2つ平行に備えている。
【0038】
なお、2つの挿入孔71はそれぞれ内部に、巻着バンド50の段状部51と係止して巻着バンド50の逆行を防止する逆行防止フック備え、2つの挿入孔71のうち、一方は巻着バンド50のうちハーネス200の外周に巻着している部分の基端付近、すなわち巻着バンド50の一端が固定された第1バックル40側の根元付近に第2バックル70を装着するために、巻着バンド50を挿入する取付挿入孔71aを構成し、他方をハーネス200の外周に巻着する巻着バンド50の挿入を許容する締付挿入孔71bを構成している。
【0039】
このように構成したバンドクランプ1aでハーネス200とホース201を車両パネル100に取付ける取付方法について、以下において説明する。
まず、第2バックル70の取付挿入孔71aに巻着バンド50を挿入して、第2バックル70を巻着バンド50の根元付近に装着し、この状態で実施例1と同様に、巻着バンド50をハーネス200の所定箇所の外側に巻着してから、ホース201をバンドクランプ1aに取付ける。
【0040】
詳述すると、ハーネス200の外周を巻着し、第1バックル40を通り抜けた巻着バンド50の先端50a側の部分を、ホース201の所定箇所の外側を回して、先端50aを第2バックル70の締付挿入孔71bの底面側から挿入し、出口である上面側から巻着バンド50を引っ張りだして、ループを形成する。これにより、第2バックル70で抜け出し防止され、ホース201の外周を周方向に締め付ける巻着バンド50によって、ホース201を、ハーネス200に平行な状態でバンドクランプ1aに固定することができる。
【0041】
この状態で、バンドクランプ1aを車両パネル100の取付孔101に取り付けることによって、バンドクランプ1aを用いてハーネス200及びホース201の車両パネル100へ容易に取付ることができる。
【0042】
また、ハーネス200及びホース201の外周を1本の巻着バンド50で巻着するとともに、ハーネス200及びホース201のそれぞれに対して第1バックル40及び第2バックル70で固定しているため、巻着バンド50の段状部51とそれぞれのバックルに備えた逆行防止フック(図示省略)とによってハーネス200及びホース201の径に応じた締め付け具合でハーネス200及びホース201の外周を締め付けて固定することができる。
【0043】
したがって、例えばハーネス200及びホース201の径が同じであったり、異なったりといったような様々な径のハーネス200及びホース201であっても、各種径に合わせたバンドクランプ1aを用意せずともバンドクランプ1aで対応することができ、利用者の満足度を向上することができる。
【0044】
なお、ホース201を固定する第2バックル70を、ハーネス200の外周に巻着した部分の巻着バンド50に装着したため、第2バックル70を装着するための別の機構を備えた場合と比較して、単純な構造で複数の配索物を固定するための第2バックル70をバンドクランプ1aに装着することができる。
【0045】
また、巻着バンド50の根元付近に第2バックル70を装着可能に構成したため、すなわち固定状態のハーネス200とホース201との間に第2バックル70が配される位置となり、バンドクランプ1aに固定されたハーネス200とホース201とは、互いに接触することなく車両パネル100に取付けることができる。
【0046】
また、第2バックル70を巻着バンド50に対して脱着可能に構成したため、ハーネス200及びホース201を取付孔101に取付けるといったように、1箇所の取付孔に2本の配索物を取付ける場合に、巻着バンド50に予め第2バックル70を装着したバンドクランプ1aを用いればよく、別途2本用のバンドクランプを用意する場合と比較して、部品コストを低減できるとともに、バンドクランプ1aを用いる利用者の利便性を向上することができる。
【0047】
なお、本実施例において、略平行に配索したハーネス200とホース201とをバンドクランプ1aで固定したが、同じハーネス200やホース201を2本固定しても良く、さらには3本以上の長尺状のハーネス200やホース201を固定する構成であってもよい。この場合、固定するハーネス200やホース201の本数に応じた数の第2バックル70をハーネス200やホース201の外周に巻着させた部分の巻着バンド50に装着すればよい。
【0048】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の配索物は、ハーネス200及びホース201に対応し、
以下同様に、
バンド部は、巻着バンド50に対応し、
第1挿通固定部は、第1バックル40に対応し、
第2挿通固定部は、第2バックル61,70に対応し、
台座部は、バックル台座60に対応し、
配索方向は、矢印X方向に対応し、
並設方向は、矢印Y方向に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】取付状態のバンドクランプの斜視図。
【図2】取付状態のバンドクランプの正面図。
【図3】取付状態のバンドクランプの右側面図。
【図4】取付状態におけるバンドクランプの平面方向断面図。
【図5】別の実施形態の取付状態のバンドクランプの斜視図。
【図6】別の実施形態の取付状態のバンドクランプの正面図。
【図7】別の実施形態の取付状態のバンドクランプの中央付近の縦断面図。
【図8】別の実施形態の取付状態におけるバンドクランプの平面方向断面図。
【符号の説明】
【0050】
1,1a…バンドクランプ
10,10a…本体部
40…第1バックル
50…巻着バンド
60…バックル台座
61,70…第2バックル
200…ハーネス
201…ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行に並設して配索する2本の長尺状の配索物を固定するバンドクランプであって、
本体部から帯状に延出したバンド部と、
一方の上記配索物の外周を巻着した上記バンド部を挿通固定する第1挿通固定部と、
該第1挿通固定部を通過するとともに、他方の上記配索物の外周を巻着した上記バンド部を挿通固定する第2挿通固定部とで構成とした
バンドクランプ。
【請求項2】
前記第1挿通固定部と前記第2挿通固定部とを、
前記配索物の配索方向、及び前記2本の配索物の並設方向にずらして配したことを特徴とする
請求項1に記載のバンドクランプ。
【請求項3】
前記第1挿通固定部を、
前記本体部の一部を貫通して形成し、
前記第2挿通固定部を、
前記本体部の側方に延出した台座部に形成した
請求項2に記載のバンドクランプ。
【請求項4】
前記台座部が、
前記本体部に対して着脱可能に構成されたことを特徴とする
請求項3に記載のバンドクランプ。
【請求項5】
前記第1挿通固定部を、
前記本体部の一部を貫通して形成し、
前記第2挿通固定部を、
一方の前記配索物の外周を巻着する前記バンド部の基端付近の外面側に形成した
請求項1に記載のバンドクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−215488(P2008−215488A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53737(P2007−53737)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】