説明

バンドパスフィルタを同調させるための装置、及び方法

【課題】バンドパスフィルタを同調させるための装置、及び方法を提供する。
【解決手段】チューナブルバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタと、フィルタに接続された複数のスイッチとを備える。バンドパスフィルタは、複数のトランスコンダクタと複数のコンデンサとを備える。チューナブルバンドパスフィルタは、複素バンドパスフィルタ、または、複素バンドパスフィルタの中心周波数を同調させるための同調装置として設定され得る。同調装置は、少なくとも1つの同調用積分器、及び比較器を備える。同調用積分器は、少なくとも1つのトランスコンダクタ、及びコンデンサを備える。トランスコンダクタは、複数のスイッチによって複数のトランスコンダクタの中から選択され、コンデンサは、複数のスイッチによって複数のコンデンサの中から選択される。選択されたトランスコンダクタ及びコンデンサは、バンドパスフィルタの中心周波数を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタを同調させるための方法に関係すると共に、更に詳細には、無線受信機におけるバンドパスフィルタを同調させるための方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
無線受信機は、一般的に無線信号の周波数を、特定の周波数範囲に変換するためのミキサと、更に不必要な周波数をフィルタ処理して除去することによって所望の周波数を選択するためのフィルタとを備える。
【0003】
フィルタは、ローパスフィルタ(LPF)、ハイパスフィルタ(HPF)、バンドパスフィルタ(BPF)、及び複素バンドパスフィルタを含むことができるが、それらに限定されない。例えば、図1は、受動的なインダクタとコンデンサとを利用するバターワースローパスフィルタ(LPF)を示す。LPFの帯域幅は、1[MHz]に設計される。標準の組み立て方法によって、図1における抵抗、キャパシタンス(静電容量)、及びインダクタンスは、以下のように、Rs=1[kΩ]、R=1[kΩ]、C1LPF=C2LPF=227.6[pF]、L2LPF=253.1[μH]として計算され得る。
【0004】
フィルタを実現するためにトランスコンダクタ、及びコンデンサを使用することは、広く産業に受け入れられた。図2は、トランスコンダクタ、及びコンデンサによって実現されたLPFを例証する。図1におけるLPFの帯域幅と同じ帯域幅を有するために、図1におけるキャパシタンス、抵抗、及びインダクタンスと、図2におけるトランスコンダクタ、及びキャパシタンスとの間の関係は、以下の式に従わなければならない。
【0005】
【数1】

【0006】
トランスコンダクタGmGの適当な値が必要とされることに、注意が必要である。この例において、GmGは、1[ミリシーメンス]であるように選択される。従って、図2における構成要素に関する計算された値は、GmS=1[mS]、GmL=1[mS]、GmG=1[mS]、C1=227.6[pF]、C2=253.1[pF]、及びC3=227.6[pF]となる。
【0007】
図3は、図2のLPF回路網から変換された複素BPFを例証する。図2のLPF、及び図3の複素BPFの周波数応答は、図4で示される。1[MHz]の帯域幅を有するLPFは、4[MHz]の中心周波数と2[MHz]の帯域幅を有する複素BPF変換される。複素BPFは、2つの直交する入力信号“Vin”、及び“j*Vin”を受け取ると共に、2つの直交信号“Vout”、及び“j*Vout”を出力する。複素BPFは、2つのLPF302、304、及び追加の“トランスコンダクタGmC1、GmC2、GmC3”306を備える。複素BPFの中心周波数Fは、トランスコンダクタGmC1、GmC2、GmC3、及び2つのLPF302、304の中のキャパシタンスの値によって決定され、ここで、
【0008】
【数2】

【0009】
である。この例では、中心周波数は4MHzであるので、従って、トランスコンダクタGmCに関して計算された値は、GmC1=5.72[mS]、GmC2=6.36[mS]、GmC3=5.72[mS]である。
【0010】
上記の3つの例の重大な欠点は、これらのフィルタの極周波数(pole frequency)が、構成要素の変動の絶対値に制約を受けるということである。これらのフィルタを集積回路に実装する場合に、抵抗、キャパシタンス、相互コンダクタンス(トランスコンダクタンス)における変動が発生し得る。例えば、トランスコンダクタ−コンデンサ(G−C)フィルタに関して、相互コンダクタンス、及びキャパシタンスは、±20%の範囲内で容易に変化し得る。従って、設計された所望のフィルタ周波数応答を獲得することは不可能である。トランスコンダクタンスか、またはコンデンサのいずれかは、所望の周波数応答を得るために調整される必要がある。そのような調整は、フィルタチューニング(フィルタ同調)、またはフィルタトリミングと呼ばれることができる。
【0011】
図5は、個別の同調装置を使用するフィルタ同調のための伝統的な方法を例証する。装置500は、メインフィルタ502、及び同調装置504を備える。同調装置504は、電圧制御発振器(VCO)506、位相検波器508、及びループフィルタ510を備える。電圧制御発振器(VCO)506は、周波数Fvcoを生成するために、メインフィルタ内のトランスコンダクタ、及びコンデンサと重複しているトランスコンダクタ、及びコンデンサを利用する。同様に、同調装置504におけるVCO506の代わりに、電圧制御ローパスフィルタ(VCLPF)を使用することが可能であることに注意が必要である。位相検波器508は、Fvco、及び基準周波数Frefを受け取ると共に、FvcoとFrefとの間の位相差を検出する。検出された差異は、メインフィルタ502内の構成要素(すなわち、トランスコンダクタまたはコンデンサ)の値を名目上の設計値に調整することが可能であるループフィルタ510に提供される。従って、メインフィルタの周波数は、安定すると共に正確な値で保持され得る。
【0012】
しかしながら、この同調アプローチにはいくつかの欠点がある。第一に、VCO506の連続的な同調は、フィルタの動作に影響を及ぼすノイズを発生させることになる。第二に、VOC506は、追加の電力を消費すると共に、追加の物理的領域を占領する。第三に、好ましくない同調精度に帰着する可能性がある特定の状況下で、VCO506の極周波数は、フィルタの極周波数と非常に異なるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明が対象とすることは、追加の電力と領域を必要とせず、そして追加のノイズ源を導入しない、正確な同調を提供することができる改良され得たフィルタ同調方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、チューナブルバンドパスフィルタが提供される。チューナブルバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタと、バンドパスフィルタに接続された複数のスイッチとを備える。バンドパスフィルタは、複数のトランスコンダクタと、複数のコンデンサとを備える。複数のスイッチは、第1の状態、及び第2の状態において作動する。複数のスイッチが第1の状態にある場合に、チューナブルバンドパスフィルタは、複素バンドパスフィルタとして設定される。複数のスイッチが第2の状態にある場合に、チューナブルバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタの中心周波数を所定の値に同調させるための同調装置として設定される。同調装置は、少なくとも1つの同調用積分器、及び比較器を備える。同調用積分器は、少なくとも1つのトランスコンダクタ、及びコンデンサを備える。トランスコンダクタは、複数のトランスコンダクタの中から、複数のスイッチによって選択されると共に、コンデンサは、複数のコンデンサの中から、複数のスイッチによって選択される。選択されたトランスコンダクタ、及び選択されたコンデンサは、バンドパスフィルタの中心周波数を決定する。
【0015】
本発明では、同様に、無線信号を受信するための無線受信機が提供される。無線受信機は、ミキサと、ミキサに接続されたチューナブルフィルタとを備える。ミキサは、無線信号を更に低い周波数信号にシフトすることが可能である。チューナブルフィルタは、更に低い周波数信号を所定の中心周波数信号に調整することが可能である。チューナブルフィルタは、バンドパスフィルタと、バンドパスフィルタに接続された複数のスイッチとを備える。バンドパスフィルタは、複数のトランスコンダクタと、複数のコンデンサとを備える。複数のスイッチは、第1の状態、及び第2の状態において作動する。複数のスイッチが第1の状態にある場合に、チューナブルバンドパスフィルタは、複素バンドパスフィルタとして設定される。複数のスイッチが第2の状態にある場合に、チューナブルバンドパスフィルタは、バンドパスフィルタの中心周波数を所定の中心周波数に同調させるための同調装置として設定される。同調装置は、少なくとも1つの同調用積分器、及び比較器を備える。同調用積分器は、少なくとも1つのトランスコンダクタ、及びコンデンサを備える。トランスコンダクタは、複数のトランスコンダクタの中から、複数のスイッチによって選択されると共に、コンデンサは、複数のコンデンサの中から、複数のスイッチによって選択される。選択されたトランスコンダクタ、及び選択されたコンデンサは、バンドパスフィルタの中心周波数を決定する。
【0016】
本発明では、同様に、複数のトランスコンダクタと、複数のコンデンサとを有するチューナブルバンドパスフィルタを提供するための方法が提供される。方法は、チューナブルバンドパスフィルタにモード選択信号を提供する段階と、モード選択信号がフィルタ処理モードを表している場合に、チューナブルバンドパスフィルタをバンドパスフィルタとして作動するように設定する段階と、モード選択信号が同調処理モードを表している場合に、チューナブルバンドパスフィルタの中心周波数を同調させるための同調装置として作動するように設定する段階とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例の特徴、及び利点は、以下の詳細な説明の収益として、そして同一の参照符号が同一の構成要素を示す図面に対する参照によって明白になるであろう。
【0018】
本発明は、複素バンドパスフィルタ、バンドパスフィルタ等を含むが、それに限定されず、様々なフィルタに適用できる。本発明の効果的な説明のために、2MHzの帯域幅と、4MHzの中心周波数を有する6次複素BPFの組み立ての一例がここで説明される。しかしながら、本発明の範囲はここで例証された例に限定されないと共に、あらゆる変更または変形が、本発明の精神からはずれずに可能であるということが、前もって当業者に理解されている。本発明は、一般的にミキサと、ミキサに接続されたフィルタとを備える、ブルートゥース(登録商標)受信機、無線周波数受信機のような無線受信機に適用できるということが、容易に当業者に理解されている。図6は、複素バンドパスフィルタの改良された回路網を例証する。図3におけるコンデンサ値と比較すると、図5におけるコンデンサは、この実施例においては、227.6[pF]の同じ容量に対して設計される。有利に、同じ値を有するC1、C2、C3によって、コンデンサは、フィルタ同調のための一種のスイッチキャパシタアレイ(switch-capacitor-array)だけを使用することによって調整され得る。スイッチキャパシタアレイについては、更に以下で説明されることになる。この改良された複素BPFは、スイッチキャパシタアレイによってフィルタノード(すなわち、図6において示されるノード1、ノード2、ノード3、ノード4、ノード5、ノード6)に導入された寄生容量が同一であることを保証する。同調精度は、フィルタのノードにおける寄生容量が十分に制御されれば改善さることになるということが明白である。C1、C2、C3を、同じ値に設定するために、図3におけるGmG=1[mS]と比較して、GmGは、0.95[mS]に変更される。たとえ、いくつかの構成要素の値が異なるとしても、図3及び図6の複素BPFの周波数応答は正確に同じであるということが保証される。
【0019】
図7は、追加のダミーのトランスコンダクタセル(G−セル)を使用する、更にもう一つの改良された複素BPFを例証する。図6におけるノード[1...6]において見られるキャパシタンスは、正確に同じではないので、従って、ノード[1...6]において見られるキャパシタンスが正確に同じであることを保証するのに、ダミーのG−セルが、ノード[1...6]の内のいくつかに寄生容量を導入するために使用される。図7は、ノード1からノード6までの合計のキャパシタンス(所望のキャパシタンスと寄生容量とを足したもの)を等しくさせるために、2つのダミーのG−セルをノード2及びノード5に追加する理想の構成を例証する。ダミーのG−セルの追加は、必要とされる調整精度に応じて、任意である。
【0020】
上述のように、複素BPFの中心周波数は、(1)式によって決定される。従って、中心周波数は、相互コンダクタンスGmC1、GmC2、GmC3を調整することと、キャパシタンスC1、C2、C3を調整することのどちらによってでも、目標値に同調され得る。代りに、中心周波数は、相互コンダクタンスとキャパシタンスの両方を調整することによって目標値に同調され得る。
【0021】
図8は、代表的な4ビットスイッチキャパシタアレイ800を例証する。図3及び図6における各コンデンサC1、C2、及びC3は、スイッチキャパシタアレイ800によって実現され得る。スイッチキャパシタアレイを使用することによって、これらのコンデンサは、徐々に名目上の設計値に調整され得る。スイッチキャパシタアレイ800は、並列に接続された複数のコンデンサを備える。コンデンサCminは、所定の最小キャパシタンスを有する。SW0 802、SW1 804、SW2 806、SW3 808は、それぞれ、コンデンサΔC、2ΔC、4ΔC、8ΔCと直列に接続される。4つの制御信号B0、B1、B2、B3は、4つのスイッチの導通状態を制御するために、SW0、SW1、SW2、SW3に印加される。ΔC、2ΔC、4ΔC、8ΔCは、複素BPFの正確な中心周波数を保証するために、適切なキャパシタンスが獲得され得るように、選択的に制御信号B0、B1、B2、B3に応えて選択される。制御信号のビットの数は、必要とされる同調解像度、または同調精度によって決まるということに注意が必要である。
【0022】
チューナブルコンデンサを獲得するためにスイッチキャパシタアレイを使用することは、相互コンダクタンスを調整することと比較して、ポピュラーな方法である。図3において、C2の値がC1及びC3の値と異なるので、各コンデンサを同一の配列のスイッチキャパシタアレイを使用して調整することは容易ではない。もしC1=C2=C3の場合、その場合には、単に1つの種類のスイッチキャパシタアレイが必要とされる。図6において論じられたように、GmGの値の適切な選択によって、C1、C2、及びC3の値は等しくされ得る。例えば、もしGmG=0.948[mS]の場合、その場合には、C1=C2=C3=227.6[pF]になる。
【0023】
複素BPFの中心周波数を調整するために、同様に、トランスコンダクタの値GmCを調整することが可能である。図9は、差動式相互コンダクタンスセルの詳細な図を例証する。トランスコンダクタの値は、以下の(2)式によって明白であるように、そのテール電流Iの値を切り替えることによって調整され得る。
【0024】
【数3】

【0025】
テール電流Iは、NMOSの電流ミラーM5に流れ込む電流の量を制御することによって、デジタル的に調整され得る。図9において示されたように、電流源I1、I2、I3は、テール電流Iを表す合計電流を供給する。各電流源I1、I2、I3は、それぞれ、スイッチSW4、SW5、またはSW6と直列に接続される。3ビット(B4、B5、B6)の制御信号が、スイッチSW4、SW5、及びSW6の導通状態を制御するために使用される。電流源の数、及び制御信号のためのビットの数は、必要とされる同調解像度、または同調精度によって決まるということが当業者によって理解される。同相モードフィードバック回路が、図9において示される。
【0026】
従って、フィルタの同調は、スイッチキャパシタアレイか、またはGMの値のいずれかをデジタル的に調整することによって実行され得る。代りに、フィルタの同調は、GMの値、及びスイッチキャパシタアレイの両方を調整することによって実行され得る。例えば、5ビット[B0....B4]を有する制御信号は、2つの部分に分割され得る。B4(最上位ビット)からB0(最下位ビット)は、スイッチキャパシタアレイを制御するために使用され得ると共に、一方、1ビット(B4)が、GMの値を調整するために使用されるであろう。
【0027】
トランスコンダクタセル、及びコンデンサは、積分器か、またはLPFのいずれかに配置され得る。図10Aは、理想的な積分器を描写し、図10Bは、損失がある積分器を描写すると共に、図10Cは、LPFを描写する。図10A、図10B、及び図10Cの周波数応答は、図11において示される。図10A、図10B、及び図10Cにおいて、全てのトランスコンダクタ、及びコンデンサの値は等しく、すなわち、G=5.72[mS]、及びC=227.6[pF]である。図10Aにおける理想的な積分器に関して、積分器の利得は、G/(2πC)=4[MHz]の周波数において0[dB]である。図10Cにおいて示されたLPFに関して、LPFの利得は、G/(2πC)=4[MHz]の周波数において−3[dB]である。損失がある積分器に関する低周波利得は、G/(2πC)=4[MHz]の周波数において約0[dB]の利得に低下する。
【0028】
本発明の目的は、主要な構成要素がフィルタの中から選択される同調装置を提供することである。言い換えると、図5において論じられたような、フィルタを同調させるための個別の同調装置を使用する従来の同調方法と比較して、図3、図6、及び図7に示されたフィルタ内の構成要素のいくつかは、同調装置内の構成要素として再利用される。複素BPFにおける構成要素を同調装置の構成要素として再利用することによって、有利に、チップ領域、及び電力消費は節約され得る。連続的な同調方法を使用する従来の方法と比較すると、更に有利に、集積回路に導入されるノイズが非常に減少する。
【0029】
図12は、本発明の一実施例による同調装置の構造を例証する。同調装置は、同調用積分器1202と、2つのエンベロープ検波器1206、1208と、比較器1204と、同調用制御ロジック回路1210とを備える。好ましくは、同調用積分器1202は、図10Bにおいて示されたような損失がある積分器であり得る。同調用積分器1202におけるコンデンサ、及びトランスコンダクタは、図3、図6、または図7において示された複素BPFが提供するトランスコンダクタ、C1、C2、C3の中から選択される。同調用積分器1202の主要な特性は、同調用積分器1202が、この例における複素BPFの中心周波数であるGmC/C=4[MHz]の周波数において、約0dBの利得を有しているということである。同調用積分器は、所定の中心周波数(例えば、この例では4[MHz])と関連付けられた周波数を有する基準信号を受け取る。基準信号は、一例において、正弦波信号であり得る。もし成分の変動が複素BPFにおけるトランスコンダクタまたはコンデンサに発生しない場合、同調用積分器1202の出力信号の振幅は、4[MHz](基準信号の周波数)の基準信号の振幅と同じであろう。もし同調用積分器1202の出力信号の振幅が基準信号の振幅と異なる場合、それは、複素BPFにおけるトランスコンダクタ、またはコンデンサの値が変化してしまったことを示し、従って、これらの変化してしまった値は、適切な調整を必要とする。2つのエンベロープ検波器1206、1208は、基準信号の振幅のピーク、及び同調用積分器1202の出力信号のピークを検出するために使用される。比較器1204は、2つの検出された振幅を比較すると共に、基準信号の振幅と同調用積分器1202の出力信号の振幅との間の差異を表しているフィードバック信号を生成する。比較器1204は、コンデンサの値が増やされるか、または減らされる必要性があるか否かを決定することになる。もし、同調用積分器1202の出力信号の振幅が、その入力信号の振幅より大きい場合、これは、G/(2πC)が高すぎることを意味すると共に、従って、コンデンサの値が増やされる必要性があるか、あるいはトランスコンダクタの値が減らされる必要性がある。同調用制御ロジック回路1210は、フィードバック信号に応じて、同調用積分器1202のキャパシタンスまたは相互コンダクタンスを調整するための制御信号を提供するために使用される。同調用制御ロジック回路1210は、同調用積分器1202の出力信号の振幅が基準信号の振幅に等しくなるまで同調動作を継続する。一度、同調用積分器1202におけるトランスコンダクタ及びコンデンサが名目上の設計値に調整されると、複素BPFにおける全てのトランスコンダクタ及びコンデンサは、同時に、それに従って調整される。制御信号は、図8において示された制御信号(B0、B1、B2、B3)のように、スイッチキャパシタアレイ800を調整するために使用され得る。代りに、制御信号は、図9において示された制御信号(B4、B5、B6)のように、トランスコンダクタの値を調整するために使用され得る。代りに、制御信号は、スイッチキャパシタアレイと、トランスコンダクタの両方を調整するために使用され得る。
【0030】
同調用積分器1202は、低周波で非常に高い利得を有するので、その入力におけるあらゆるDCオフセット電圧は、その出力において非常に大きな値まで増幅されるであろう。差動出力は、電圧レール(voltage rail)まで振られると共に、トランジスタは、三極管領域(triode region)に入るであろう。従って、図10Bに示されたような損失がある積分器を使用することが望ましいであろう。損失がある積分器が必要とされる場合、同調処理段階の間、Gm22がイネーブルされる。有利に、低周波数における損失がある積分器の更に低い利得は、言及されたDCオフセットの好ましくない効果を減少させることになると共に、それにも拘らず同調精度には影響を及ぼさないであろう。同調用積分器1202は、同様に、図10Aに示されたような配置でも実現され得るということに注意が必要である。しかしながら、図10Aの理想的な周波数応答は、実際のアプリケーションにおいて達成するのは容易ではない。従って、この実施例においては、損失がある積分器が好まれる。
【0031】
図13は、本発明の一実施例による好ましい同調装置1300を例証する。同調装置1300は、リミッタ1312と、第1の積分器1314と、第2の積分器1316と、同調用積分器1302と、2つのエンベロープ検波器1306、1308と、比較器1304と、同調用制御ロジック回路1310とを備える。同調用積分器1302と、2つのエンベロープ検波器1306、1308と、比較器1304と、同調用制御ロジック回路1310は、図12において示されたものと同じである。従って、簡単化のために、これらの構成要素の説明は、ここでは省略される。同調装置1300は、所定の中心周波数(例えば、4[MHz])を有する方形波信号を受信する。
【0032】
同調用積分器1302が4[MHz]において0[dB]の利得を有するために、同調用積分器は、その非線形動作領域で動作してはいけない。同調用積分器の入力は、小さな振幅の高調波を有する正弦波でなければならない。従って、その入力信号は、小さな振幅を有する正弦波信号でなければならない。信号は、回路雑音によって影響を受け得る程小さすぎてはいけない。この入力信号は、集積回路のクロック信号から獲得され得るか、もしくはフィルタの同調のために特に生成された信号であり得る。しかしながら、集積回路に利用可能なクロック信号は、主としてCMOSロジックレベルである。従って、リミッタ1312は、CMOSロジックレベルの入力方形波を、正確で適度に小さい振幅レベルに変換するために考案される。
【0033】
図14は、図13で使用されるリミッタ1312の図を例証する。図14において、Im5はIm4に等しい。Im4は、演算増幅器(OPA)、R1、及びM3によって形成された電圧−電流変換器によって生成される。VREFは、正確なバンドギャップ基準電圧である。
【0034】
【数4】

【0035】
4MHzのCMOSロジック信号は、M1及びM2を交互にターンオン及びターンオフする。その場合に、VOP及びVONの電圧レベルは、以下のようになる。
【0036】
【数5】

【0037】
R2は、VOP及びVONの同相モード電圧レベルを制御するために使用される。VOUTの差動電圧スイング(振れ幅)は、R3、R1、N、及びVREFの固有値によって設定され得る。
【0038】
再度図13を参照すると、出力信号は、その場合に、同様に、ここでは第1のLPF、及び第2のLPFと呼ばれる、2つのトランスコンダクタ−コンデンサ積分器1314、1316に供給される。2つのトランスコンダクタ−コンデンサ積分器1314、1316は、クロック信号を、方形波信号から正弦波信号に変換するためのLPFとしての役割を果たす。これらの2つの積分器1314、1316は、同調装置1300のために、十分な精度で方形波信号を正弦波信号に変換するのに十分である。
【0039】
2つのLPF1314、1316は、図10A、図10B、及び図10Cにおいて示された、あらゆるタイプの積分器、またはLPFであり得る。これらの2つのLPFにおけるトランスコンダクタ、及びコンデンサは、同様に、複素BPF内のトランスコンダクタ、及びコンデンサの中から選択され得る。正弦波信号が生成された後で、それは、次に同調用積分器1302に供給される。エンベロープ検波器1306、1308、比較器1304、及び同調用制御ロジック回路1310の機能性は、図12におけるそれらの機能性と同じである。従って、これらの構成要素の説明は、ここでは省略される。
【0040】
調整の始まりにおいて、LPF1314、1316の周波数応答は、正確ではない。しかしながら、その調整が続くので、調整の精度は高められることになる。
【0041】
本発明は、第1の動作モード、及び第2の動作モードという2つの動作モードを提示する。第1の動作モードは、フィルタ処理段階のことを指し、一方第2の動作モードは、同調処理段階のことを指している。図15は、フィルタ処理モードから同調処理モードへの切り替えを例証する代表的なチューナブルフィルタを示す図である。図3、図6、及び図7で示されたフィルタと比較すると、複数のスイッチが、複素バンドパスフィルタに接続される。複数のスイッチは、第1の状態、及び第2の状態において作動することが可能である。複数のスイッチが第1の状態にある場合に、複素BPFは、フィルタ処理モードで作動するように設定され、複数のスイッチが第2の状態にある場合に、複素BPFは、同調処理モードで作動するように設定される。複素BPFが同調処理モードで作動している場合、図15における全てのスイッチをターンオフすることによって、図13に示されたような同調装置として作動するということが、図15から分かる。リミッタ1312の出力は、Node Aに印加される。第1のエンベロープ検波器1308は、Node Cに接続され、一方第2のエンベロープ検波器1306は、Node Dに接続される。従って、図15におけるスイッチに対してモード制御信号を提供することによって、図13における同調装置1300と同じである同調装置が、複素BPFが提供する既存のトランスコンダクタ、及びコンデンサを用いて構築され得る。
【0042】
同調処理モードの間の複素BPFのトランスコンダクタ及びコンデンサの再利用は、同調処理を目的とする追加のトランスコンダクタ及びコンデンサの必要性を除外することになる。本発明によって提示された方法は、伝統的な同調方法において追加のトランスコンダクタ及びコンデンサが利用される場合の同調精度を向上させる。図15は、1つの可能な構成だけを示している。図15によると、同調処理モードにおいて、3つのトランスコンダクタ−コンデンサペアが必要とされ、それらの内の2つがローパスフィルタの機能を果たすと共に、3番目のペアが同調用積分器の機能を果たす。複素BPFから必要とされるトランスコンダクタ−コンデンサペアを獲得するために、図15に対して、変形及び変更が行われ得る。同様に、8次複素BPFのような高次の複素BPFから、必要とされるトランスコンダクタ−コンデンサペアを獲得することが可能である。一実施例において、同調装置は、図12に示されたような単一の同調用積分器だけを有することができる。従って、図15におけるスイッチの設定は、適宜に変更され得る。
【0043】
図16は、本発明の一実施例による同調制御タイミング図を例証する。短いパルスSTART_CALは、CAL=1に設定するのに使用される。CAL信号は、モード選択信号である。CAL=1の場合、フィルタは、同調処理モードで作動する。CAL=0の場合、フィルタは、フィルタ処理モードで作動する。フィルタは、同調処理モードで作動する場合、同調装置は、スイッチの設定によって、フィルタ内の既存のトランスコンダクタ及びコンデンサから構築されることができる。同調処理モードの間、所定の中心周波数4[MHz]を有する正弦波信号が提供される。同調処理モードの始まりにおいて、2つのエンベロープ検波器、及び比較器が定常状態に入るために、ある程度時間がかかることになる。同調装置が定常状態に入る前に、4[MHz]の信号の64サイクルが、この遷移期間のために必要とされると仮定する。従って、64/4[MHz]の期間を有するCLK_COMPAREが適宜に提供されるべきである。同調処理モードの始まりにおいて、(同様に、図8において言及された制御信号と言われる)CODE_TUNINGは、事前に定義された値にセットされるであろう。例えば、図8において示されたように、CODE_TUNING信号は、コンデンサが、Cmin([B0、B1、B2、B3]=0000)とCmax([B0、B1、B2、B3]=1111)との間の中間値に設定されるように、[1000]の値を有する4ビット制御信号[B0、B1、B2、B3]であり得る。もしトランスコンダクタ及びコンデンサが異常な変動を示す状況下でも、フィルタが望ましい周波数応答に調整されるべきであるならば、CminとCmaxとの間の差異は、十分に大きくなければならない。ASTOP_CALパルス信号は、同調の完了を示すと共に、それはCAL=0をセットすることになる。CAL=0によって、フィルタは、フィルタ処理モードに設定される。フィルタ処理段階の間では必要とされない、比較器、及び2つのエンベロープ検波器のような同調に関連する回路は、電源が切られることになる。
【0044】
図17は、図12、または図13において例証される同調制御ロジック回路1310の詳細な回路図を例証する。CODE_TUNING(または、制御信号)は、比較器によって提供されるフィードバック信号に応じて、増やされるか、または減らされることになる。スイッチキャパシタアレイは、CODE_TUNINGが増やされるか、または減らされるのに従って、名目上の設計値に近い新しい値に調整される。同調段階の終わりにおいて、STOP_CAL信号は、図17におけるLATCH1によって、最終のCODE_TUNINGをラッチすると共に、CODE_FINALを生成することになる。STOP_CAL信号は、同様に、LATCH2によって、CAL信号を強制的にゼロにすることになる。言い換えると、CAL=0は、CODE_FINAL信号を選択するようにマルチプレクサMUXを制御することになる。従って、CODE_FILTERはCODE_FINALに等しい。フィルタのスイッチキャパシタアレイを制御するCODE_FINAL信号によって、フィルタは、最終的に、その所望の周波数応答に調整される。上述のように、トランスコンダクタの値を切り替えるために、CODE_FILTER信号が提供するいくつかのビットが使用されると共に、CODE_FILTER信号の残りのビットは、スイッチキャパシタアレイの値を制御するために使用されるであろう。トランスコンダクタの値を制御するために、またはスイッチキャパシタアレイを単独で制御するために、全てのビットを使用することが同様に可能である。
【0045】
全てのスイッチキャパシタアレイは、CODE_FILTERによって制御される。同調処理段階の間、CODE_FILTERはCODE_TUNINGに等しいと共に、一方フィルタ処理段階の間、CODE_FILTERはCODE_FINALに等しい。
【0046】
ここで使用された用語、及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されると共に、そのような用語、及び表現の使用に、示されると共に説明された特徴(または、それの一部分)のあらゆる同等物を除外する意図はなく、そして、様々な変更が請求項の範囲内で可能であるということが認識される。他の変更、変形、及び代替案が、同様に可能である。従って、請求項は、全てのそのような等価物をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】受動的なインダクタとコンデンサとを利用するバターワースローパスフィルタ(LPF)を例証する図である。
【図2】トランスコンダクタ、及びコンデンサを利用するローパスフィルタを例証する図である。
【図3】複素バンドパスフィルタ回路網を例証する図である。
【図4】LPF、及び複素BPFの周波数応答を例証する図である。
【図5】伝統的なフィルタ同調方法の従来技術を例証する図である。
【図6】複素バンドパスフィルタの改良された回路網を例証する図である。
【図7】追加のダミーのトランスコンダクタセル(G−セル)を使用する、更にもう一つの改良された複素BPFを例証する図である。
【図8】代表的な4ビットスイッチキャパシタアレイを例証する図である。
【図9】差動式相互コンダクタンスセルの詳細な図を例証する図である。
【図10A】理想的な積分器を描写する図である。
【図10B】損失がある積分器を描写する図である。
【図10C】ローパスフィルタを描写する図である。
【図11】図10A、図10B、及び図10Cの周波数応答を描写する図である。
【図12】本発明の一実施例による同調装置のブロック図を例証する図である。
【図13】本発明の一実施例による好ましい同調装置を例証する図である。
【図14】図13で使用されるリミッタの図を例証する図である。
【図15】フィルタ処理モードから同調処理モードへの切り替えを例証する代表的なチューナブルフィルタを示す図である。
【図16】本発明の一実施例による同調制御タイミング図を例証する図である。
【図17】図12、または図13において例証される同調制御ロジック回路1310の詳細な回路図を例証する図である。
【符号の説明】
【0048】
302、304 LPF
306 トランスコンダクタGmC1、GmC2、GmC3
500 装置
502 メインフィルタ
504 同調装置
506 電圧制御発振器(VCO)
508 位相検波器
510 ループフィルタ
800 スイッチキャパシタアレイ
802 SW0
804 SW1
806 SW2
808 SW3
1202 同調用積分器
1204 比較器
1206、1208 エンベロープ検波器
1210 同調用制御ロジック回路
1300 同調装置
1302 同調用積分器
1304 比較器
1306、1308 エンベロープ検波器
1310 同調用制御ロジック回路
1312 リミッタ
1314 第1の積分器
1316 第2の積分器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューナブルフィルタであって、
複数のトランスコンダクタ、及び前記複数のトランスコンダクタに接続された複数のコンデンサを有すると共に、中心周波数で作動するバンドパスフィルタと、
所定の構成における前記バンドパスフィルタに接続されると共に、第1の状態と第2の状態とにおいて作動することが可能である複数のスイッチと、
前記バンドパスフィルタに接続された比較器とを具備し、
前記複数のスイッチが前記第1の状態にある場合に、前記チューナブルフィルタが、前記バンドパスフィルタとして設定され、
前記複数のスイッチが前記第2の状態にある場合に、前記チューナブルフィルタが、前記中心周波数を所定の中心周波数に同調させるための同調装置として設定され、
前記同調装置が、同調用積分器と、前記比較器とを含み、
前記同調用積分器が、前記複数のトランスコンダクタの中から選択された少なくとも1つのトランスコンダクタと、前記複数のコンデンサの中から選択されたコンデンサとを含み、
前記少なくとも1つのトランスコンダクタと前記コンデンサとが、前記バンドパスフィルタの前記中心周波数を決定する
ことを特徴とするチューナブルフィルタ。
【請求項2】
前記同調用積分器が、基準信号を受け取ると共に、出力端子において出力信号を生成し、
前記基準信号が、振幅を有し、
前記出力信号が、振幅を有し、
前記基準信号が、前記バンドパスフィルタの前記所定の中心周波数と関連している
ことを特徴とする請求項1に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項3】
前記バンドパスフィルタの前記中心周波数が、前記所定の中心周波数に等しく、
前記同調用積分器の前記出力信号の振幅が、前記基準信号の振幅に等しい
ことを特徴とする請求項2に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項4】
前記比較器が、前記基準信号の振幅を前記出力信号の振幅と比較すると共に、フィードバック信号を生成し、
前記バンドパスフィルタの前記中心周波数が、前記フィードバック信号に基づいて調整される
ことを特徴とする請求項3に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項5】
前記複数のスイッチが前記第2の状態にある場合に、前記同調用積分器が、前記バンドパスフィルタの前記複数のトランスコンダクタの中から選択された第2のトランスコンダクタを更に含み、
前記少なくとも1つのトランスコンダクタ、前記第2のトランスコンダクタ、及び前記コンデンサが前記出力端子に接続され、
前記第2のトランスコンダクタが、第1の端子、及び前記第1の端子に接続された第2の端子を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項6】
前記第2のトランスコンダクタの値が、前記少なくとも1つのトランスコンダクタの値と異なる
ことを特徴とする請求項5に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項7】
前記バンドパスフィルタに接続されると共に、前記チューナブルフィルタの動作モードを表しているモード制御信号を受け取る制御ロジック回路を更に備え、
前記モード制御信号が、フィルタ処理モードを表している場合に、前記制御ロジック回路が、前記複数のスイッチを前記第1の状態に設定し、
前記モード制御信号が、同調処理モードを表している場合に、前記制御ロジック回路が、前記複数のスイッチを前記第2の状態に設定する
ことを特徴とする請求項4に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項8】
前記複数のコンデンサが、調整可能であり、
前記制御ロジック回路が、前記フィードバック信号に従って前記複数のコンデンサを調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させることが可能である
ことを特徴とする請求項7に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項9】
前記複数のトランスコンダクタが、調整可能であり、
前記制御ロジック回路が、前記フィードバック信号に従って前記複数のトランスコンダクタを調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させることが可能である
ことを特徴とする請求項7に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項10】
前記複数のトランスコンダクタと前記複数のコンデンサが、調整可能であり、
前記制御ロジック回路が、前記フィードバック信号に従って前記複数のトランスコンダクタと前記複数のコンデンサを調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させることが可能である
ことを特徴とする請求項7に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項11】
前記同調装置が、
第1のローパスフィルタと、
前記第1のローパスフィルタと前記同調用積分器に直列に接続された第2のローパスフィルタとを更に備え、
各ローパスフィルタが、
前記複数のトランスコンダクタの中から選択された少なくとも1つのトランスコンダクタと、
前記複数のコンデンサの中から選択されたコンデンサとを有し、
前記第1及び前記第2のローパスフィルタが、前記基準信号を正弦波信号に変換すると共に、変換された基準信号を前記同調用積分器に供給することが可能である
ことを特徴とする請求項4に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項12】
前記バンドパスフィルタが、複素バンドパスフィルタである
ことを特徴とする請求項1に記載のチューナブルフィルタ。
【請求項13】
無線信号を受信するための無線受信機であって、
前記無線信号を更に低い周波数信号にシフトするためのミキサと、
前記更に低い周波数信号を所定の中心周波数信号に調整するために前記ミキサに接続されたチューナブルフィルタとを備え、
前記チューナブルフィルタが、
複数のトランスコンダクタ、及び前記複数のトランスコンダクタに接続された複数のコンデンサを有すると共に、中心周波数で作動するバンドパスフィルタと、
所定の構成における前記バンドパスフィルタに接続されると共に、第1の状態と第2の状態とにおいて作動することが可能である複数のスイッチと、
前記バンドパスフィルタに接続された比較器とを具備し、
前記複数のスイッチが前記第1の状態にある場合に、前記チューナブルフィルタが、前記バンドパスフィルタとして設定され、
前記複数のスイッチが前記第2の状態にある場合に、前記チューナブルフィルタが、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させるための同調装置として設定され、
前記同調装置が、同調用積分器と、前記比較器とを含み、
前記同調用積分器が、前記複数のトランスコンダクタの中から選択された少なくとも1つのトランスコンダクタと、前記複数のコンデンサの中から選択されたコンデンサとを有し、
前記少なくとも1つのトランスコンダクタと前記コンデンサとが、前記バンドパスフィルタの前記中心周波数を決定する
ことを特徴とする無線受信機。
【請求項14】
前記同調用積分器が、基準信号を受け取ると共に、出力端子において出力信号を生成し、
前記基準信号が、振幅を有し、
前記出力信号が、振幅を有し、
前記基準信号が、前記バンドパスフィルタの前記所定の中心周波数と関連している
ことを特徴とする請求項13に記載の無線受信機。
【請求項15】
前記バンドパスフィルタの前記中心周波数が、前記所定の中心周波数に等しく、
前記同調用積分器の前記出力信号の振幅が、前記基準信号の振幅に等しい
ことを特徴とする請求項14に記載の無線受信機。
【請求項16】
前記比較器が、前記基準信号の振幅を前記出力信号の振幅と比較すると共に、フィードバック信号を生成し、
前記バンドパスフィルタの前記中心周波数が、前記フィードバック信号に基づいて調整される
ことを特徴とする請求項15に記載の無線受信機。
【請求項17】
前記複数のスイッチが前記第2の状態にある場合に、前記同調用積分器が、前記バンドパスフィルタの前記複数のトランスコンダクタの中から選択された第2のトランスコンダクタを更に含み、
前記少なくとも1つのトランスコンダクタ、前記第2のトランスコンダクタ、及び前記コンデンサが前記出力端子に接続され、
前記第2のトランスコンダクタが、第1の端子、及び前記第1の端子に接続された第2の端子を有する
ことを特徴とする請求項15に記載の無線受信機。
【請求項18】
前記第2のトランスコンダクタの値が、前記少なくとも1つのトランスコンダクタの値と異なる
ことを特徴とする請求項17に記載の無線受信機。
【請求項19】
前記チューナブルフィルタが、
前記バンドパスフィルタに接続されると共に、前記チューナブルフィルタの動作モードを表しているモード制御信号を受け取る制御ロジック回路を更に備え、
前記モード制御信号が、フィルタ処理モードを表している場合に、前記制御ロジック回路が、前記複数のスイッチを前記第1の状態に設定し、
前記モード制御信号が、同調処理モードを表している場合に、前記制御ロジック回路が、前記複数のスイッチを前記第2の状態に設定する
ことを特徴とする請求項16に記載の無線受信機。
【請求項20】
前記複数のコンデンサが、調整可能であり、
前記制御ロジック回路が、前記フィードバック信号に従って前記複数のコンデンサを調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させることが可能である
ことを特徴とする請求項17に記載の無線受信機。
【請求項21】
前記複数のトランスコンダクタが、調整可能であり、
前記制御ロジック回路が、前記フィードバック信号に従って前記複数のトランスコンダクタを調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させることが可能である
ことを特徴とする請求項17に記載の無線受信機。
【請求項22】
前記複数のトランスコンダクタと前記複数のコンデンサが、調整可能であり、
前記制御ロジック回路が、前記フィードバック信号に従って前記複数のトランスコンダクタと前記複数のコンデンサを調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させることが可能である
ことを特徴とする請求項17に記載の無線受信機。
【請求項23】
前記同調装置が、
第1のローパスフィルタと、
前記第1のローパスフィルタと前記同調用積分器に直列に接続された第2のローパスフィルタとを更に備え、
各ローパスフィルタが、
前記複数のトランスコンダクタの中から選択された少なくとも1つのトランスコンダクタと、
前記複数のコンデンサの中から選択されたコンデンサとを有し、
前記第1及び前記第2のローパスフィルタが、前記基準信号を正弦波状の信号に変換すると共に、変換された基準信号を前記同調用積分器に供給することが可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の無線受信機。
【請求項24】
前記バンドパスフィルタが、複素バンドパスフィルタである
ことを特徴とする請求項13に記載の無線受信機。
【請求項25】
複数のトランスコンダクタと、複数のコンデンサとを有するチューナブルバンドパスフィルタを提供するための方法であって、
前記チューナブルバンドパスフィルタにモード選択信号を提供する段階と、
前記モード選択信号がフィルタ処理モードを表している場合に、前記チューナブルバンドパスフィルタをバンドパスフィルタとして作動するように設定する段階と、
前記モード選択信号が同調処理モードを表している場合に、前記チューナブルバンドパスフィルタの中心周波数を同調させるための同調装置として作動するように設定する段階と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記チューナブルバンドパスフィルタが前記同調処理モードである場合に、同調用積分器を形成するように、前記複数のトランスコンダクタの中から少なくとも1つのトランスコンダクタを選択すると共に、前記複数のコンデンサの中からコンデンサを選択する段階を更に含み、
前記少なくとも1つのトランスコンダクタと前記コンデンサとが、前記チューナブルバンドパスフィルタの前記中心周波数を決定する
ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
所定の中心周波数を表す基準信号を前記同調用積分器に提供する段階と、
前記同調用積分器において出力信号を生成する段階と、
前記中心周波数が前記所定の中心周波数に等しい場合に、前記出力信号の振幅が前記基準信号の振幅に等しい前記同調用積分器の出力−入力関係を提供する段階とを更に含む
ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記同調用積分器の前記出力信号を前記基準信号と比較する段階と、
前記基準信号と前記出力信号との間の差異を表しているフィードバック信号を、前記チューナブルバンドパスフィルタに提供する段階とを更に含む
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のコンデンサを前記フィードバック信号に従って調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させる段階を更に含む
ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複数のトランスコンダクタを前記フィードバック信号に従って調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させる段階を更に含む
ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記複数のトランスコンダクタ及び前記複数のコンデンサを前記フィードバック信号に従って調整することによって、前記中心周波数を前記所定の中心周波数に同調させる段階を更に含む
ことを特徴とする請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−131639(P2008−131639A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187466(P2007−187466)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(500521843)オーツー マイクロ, インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】