説明

バーコード読み取り装置

【課題】走査ミラーを揺動して走査されるレーザー光で情報を読み取る小型のバーコード読み取り装置は、外部環境の影響により揺動幅を常に一定に保つことは難しく、走査ミラーが隣接部品と衝突して、異音等の原因や走査ミラーの走査に影響を受けている。
【解決手段】バーコード読み取り装置は、走査ミラーが他の部品と衝突した時に、駆動信号の印加を一時的に停止又は印加する駆動信号を小さくして印加し、走査ミラーの揺動角(レーザ光のスキャン幅)を狭め衝突を解消させた後、通常時の駆動信号に一気に、段階的に又は線形的に増加調整を行い、早い時間で正常な揺動状態に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコード等のシンボルにレーザ光を照射し、反射した戻り光を受光して、シンボルから情報を読み取るバーコード読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バーコード記号は、物品に貼付又は印刷されて、商品販売、物流、生産工程等における物品の管理情報を表記する手段として幅広く活用されている。正確なバーコード記号の情報を得るためには、適正な読み取り動作が重要である。
【0003】
このバーコード記号の読み取り方法としては、光源から出射された光束(レーザ光)を揺動する走査ミラーに導き、さらに走査ミラーからバーコード記号の各バーを横切る方向に繰り返し走査するように照射される。そのバーコード記号からの反射光(戻り光)は、センサで受光される。この受光した反射光を光電変換により電気信号に変換し、付与されたバーコード記号の情報を読み取りっている。
【0004】
公知なバーコード読み取り装置は、走査機構により揺動される走査ミラーにレーザ光を入射して、走査ミラーで屈曲させたレーザ光をバーコード上で走査するように照射している。この走査機構において、モータ又はアクチュエータが駆動源として用いられている。特に、携帯型の電子機器に組み込まれる1モジュールとなる小型バーコード読み取り装置は、電磁方式のアクチュエータが多用されている。この電磁アクチュエータは、コイルと磁石を組み合わせて、コイルに交流電流を流して磁界を形成して、その磁界内に配置した磁石が揺動する力を発生させ、アクチュエータを駆動している。
【0005】
走査ミラーは、一定に揺動するようにフィードバック制御が行われる。走査ミラーに設けられた磁石の近傍には、センサコイルが配置され、磁石の動きに従うセンサ出力信号を取得している。このセンサ出力信号が一定の周期及び振幅になるように、センサコイル出力のピーク値に基づきスキャン幅が調整された駆動用交流信号がコイルに印加される。
【特許文献1】特開2001−311901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したセンサコイルにおける出力の精度は、周囲温度等の外部環境が影響して、共振周波数が変化したり、コイルの抵抗値が変化したりする場合があり、小型のタイプであるほど、変化量やばらつきが大きくなる。
【0007】
従って、その外部環境の変化の影響を受けて、走査ミラーの揺動幅を常に一定に保つことは難しく、走査ミラーと他に隣接して設けられた部品と衝突した場合には、それらの部品が破損しなくとも、異音等の原因やスムーズな走査ミラーの走査に影響を受けることとなる。そこで、予め走査ミラーに隣接して設けられた部品とのクリアランスを十分に取った構成となり、走査ミラーと他の部品との衝突を防止している。しかし、携帯型の電子機器に搭載するためにも更なる小型化が要求されている。
【0008】
そこで本発明は、走査機構の動作の精度を高めると共に、揺動を確保するためのクリアランスを少なくして、小型化を実現するバーコード読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の従う実施形態は、光源と、揺動する走査ミラーを備え、前記光源が出射した光を前記走査ミラーが走査させて、バーコード記号に向かって照射する光走査手段と、前記バーコード記号で反射した前記光からなる戻り光を受光して、前記バーコード記号が示す情報を読み取る読み取り手段と、を備えたバーコード読み取り装置であって、前記走査ミラーに搭載され、前記揺動の状態を検出するセンサコイルと、前記センサコイルが検出した前記揺動の状態を示すセンサ出力を微分処理する微分処理手段と、前記微分処理手段が出力した微分信号を予め定めた正常時の信号と比較して、前記走査ミラーと、該走査ミラーの近傍に配置された部材との衝突の有無を検出して、該衝突を解消するように前記光走査手段を制御する制御部とを具備するバーコード読み取り装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、走査機構の動作の精度を高めると共に、揺動を確保するためのクリアランスを少なくして、小型化を実現するバーコード読み取り装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係るバーコード読み取り装置の構成を模式的に示し、説明する。
【0012】
このバーコード読み取り装置1は、大別すると、例えばレーザ光からなる光束を出射する光源部2と、レーザ光を走査しつつバーコード記号3に向かって照射するアクチュエータ4と、入射したバーコード記号3で反射した反射光(戻り光)を受光して光電変換により検出信号(バーコード信号)を生成する受光部5と、得られた検出信号に2値化処理を施す信号処理部6と、アクチュエータ4を駆動制御する駆動制御部7と、アクチュエータ4の駆動状態を検出する動作検出部8と、装置全体を制御する制御部9と、で構成される。
【0013】
光源部2は、レーザダイオードからなる光源11と、光源11を駆動制御する光源制御部12と、アクチュエータ4にレーザ光を導く反射ミラー13とで構成される。
【0014】
アクチュエータ4は、レーザ光を走査するように出射する走査ミラー部14と、走査ミラー部14に設けられた後述する駆動コイル15の少なくとも両側に近接して配置された磁石16と、駆動コイル15に組み付けるように設けられたセンサコイル17と、で構成される。
【0015】
走査ミラー部14は、正面側に反射ミラー面14aが設けられた走査ミラー14bと、裏面側に設けられ、走査ミラー14bの揺動の中心となる軸14cと、軸14cから延出するように設けられる板状の弾性部材(板バネ)18と、板バネ18の先端に設けられる駆動コイル15と、センサコイル17とで構成される。
【0016】
駆動コイル15は、駆動制御部7により印加された駆動信号により交番磁界を発生させる。この交番磁界内に配置された磁石16の磁界が作用して、駆動コイル15を反復するように揺動させる力が働く。この駆動コイル15の反復動作に対して、軸14cを中心として走査ミラー14bが揺動(走査)される。
【0017】
受光部5は、走査ミラー部14からの反射光(戻り光)を凹面鏡で集光する集光ミラー21と、集光ミラー21により集光された戻り光を受光して、光電変換による電流信号を生成する受光素子(フォトディテクタ)22と、受光素子22の受光面の前方に配置される受光絞り部(図示せず)及びバンドパスフィルタ23と、電流信号を電圧信号に変換する信号変換部24と、で構成される。
信号処理部6は、予め設定された閾値に基づき、信号変換部24からの電圧信号に対して2値化処理を行う。動作検出部8は、微分回路25を備えている。動作検出部8は、センサコイル17に接続され、センサコイル17からの検出信号に対して、図示しない増幅回路及びフィルタにより増幅及びフィルタリング等の処理を施し、その後、微分回路25により微分処理を行う。
【0018】
このように構成されたバーコード読み取り装置は、光源11から発生させたレーザ光を反射ミラー13によって、走査ミラー部14へ偏向する。揺動する走査ミラー部14は、走査ミラー14bでレーザ光を反射して、左右両方向にレーザ光を走査させつつバーコード記号に向かって照射する。照射されたレーザ光は、バーコード記号3のバー上を横切るように予め定められたスキャン幅で走査し、その時に反射された反射光(戻り光)を受光素子22で受光し、その反射光から光電変換により電流信号を生成する。さらに信号変換部24は、その電流信号を電圧信号に変換して、信号処理部6で2値化処理が行われる。
【0019】
制御部9は、駆動コイル15に印加される駆動信号を制御するため、動作検出部8からの検出信号に基づく駆動制御信号を駆動制御部7に出力する。駆動制御部7は、この駆動制御信号の指示に従って生成した駆動信号を駆動コイル15に印加する。また、制御部9は、信号処理部6における制御、例えばゲイン調整及び、光源11を駆動する光源制御部12における制御をも担っている。
【0020】
本実施形態では、アクチュエータ部4は、駆動コイルが動作部、磁石が固定部に配置されているムービングコイル方式の強制加振型のアクチュエータを採用している。これは、ムービングコイル型のアクチュエータは、効率がよく、少ない駆動電流で駆動することが可能である。また、軸摺動方式を用いているため、バネのみで走査ミラーを保持する構造よりも落下耐性等に優れている。
【0021】
次に、図2(a)乃至図2(c)及び、図3(a)及び図3(b)を参照して、本実施形態のアクチュエータ部4に対する走査制御について説明する。ここで、図2(a)は、駆動コイル15に印加する強制加振するための駆動信号(駆動パルス)の波形を示し、図2(b)は、センサコイル17のセンサ出力信号の波形を示し、図2(c)は、その正常時のセンサ出力信号を微分処理した微分信号の波形を示している。また、図3(a)は、走査ミラーが他の部品と衝突している時のセンサコイル17のセンサ出力信号の波形を示し、図3(b)は、その衝突時のセンサ出力信号を微分処理した微分信号の波形を示している。
【0022】
図2(a)に示すように、走査ミラー部14を左右方向に揺動動作させるためには、駆動コイル15に印加する駆動電流(電圧)における正負の向きを交互に変える必要がある。そのため、例えば、FETブリッジ(図示せず)を用いて、駆動コイル15に流れる電流の向きを交互になるように制御している。また、駆動パルスを用いた駆動信号に場合には、パルス幅を可変することによって、走査ミラー部14の揺動角(即ち、レーザ光のスキャン幅)の制御を行っている。この駆動制御によって、走査ミラー部14が揺動されることで、一体的に動作するセンサコイル17から、図2(b)に示すような正弦波状のセンサ出力信号が発生する。尚、駆動パルスの高さ(電圧値又は電流値)は、揺動の速さに関わる。
【0023】
図2(b)に示すセンサ出力信号の波形は、駆動コイル15から伝搬されるノイズの影響が大きいため、ローパスフィルタ(図示せず)で、そのノイズを除去した波形である。このセンサ出力信号は、走査ミラー部14の揺動角によって振幅が変化するが、バラツキが多く、大概的にしか揺動角は把握できない。但し、強制加振型のアクチュエータは、駆動周波数のばらつきは少ないため、周波数ばらつきは考慮する必要はない。また、図2(c)は、正常に走査ミラー部14が揺動動作する時のセンサコイル17から出力されたセンサ出力信号を微分処理した微分信号である。
【0024】
また、走査ミラー部14が隣接する部品と衝突する状態で駆動された場合には、図3(a)に示すように、その衝撃によりセンサコイル17から出力されるセンサ出力信号の波形が乱れる。この例では、信号波形の上側(正側)において、衝突が発生して走査ミラー部14のセンタ位置までの戻りが遅くなる分、センサ出力信号も正側、負側でバランスが崩れる。本実施形態では、正側の出力量が多くなっている。そのため、そのセンサ出力信号を微分処理した場合には、図2(c)に示した正負に均等に振幅する信号波形が図3(b)に示すように、正側の信号に偏りが生じた微分信号の波形となる。このように、センサ出力信号に対して微分処理を行うことにより、衝突時による変化を顕著に示すことができ、正確に判断できる。
【0025】
従って、動作検出部8に設けられた微分回路25から出力される微分信号の波形を判断に用いて、その波形が変化した場合に、偏りの大きい(ピーク値又は信号量が大きい)方の走査ミラーの端部が他の部品と衝突していると判断することができる。
【0026】
衝突が検出された場合には、後述するように制御部9は、駆動制御部7が出力する駆動信号を停止又は予め定めた値まで減少させて、微分回路25から出力された微分信号の波形が正常に戻った、即ち衝突が解消された際に、再度、通常の駆動信号に復帰させて印加する。尚、以下の説明において、駆動制御部7が駆動コイル15に印加する駆動信号において、通常の駆動信号(又は、正常な駆動信号)とは、走査ミラーの揺動が正常に行われ、適正な走査レーザー光が照射される時の信号を示唆する。
【0027】
また、微分信号の波形に対して、揺動(走査動作)が正常時か衝突発生時かの判断は、制御部9により行われる。例えば、予め正常な波形をパラメータとして保持し、センサコイルから入力された微分信号と比較してもよい。また他にも、微分信号における波形の傾きやピーク/ボトム値等を閾値として予め設定しておき、その閾値を越えた際に、衝突が発生していると判断してもよい。また、反対に、衝突が発生していると判断される微分信号が元の正常(通常)の微分信号に復帰した場合には、その衝突が解消されたものと判断する。以下に説明する衝突判断も本実施形態と同様である。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、揺動する走査ミラーが近接して設けられた他の部品に衝突した際に、その衝突を感知し、それまでの駆動信号の印加を停止又は減少させて衝突を解消させた後、再度、駆動信号の印加を復帰させて、バーコードの読み取りの再開を極短時間で実現させることができる。従って、本実施形態によれば、走査ミラー部と他の部品のクリアランスを少なくしても、走査ミラー部の動作不良を正確に検出し、且つ短時間で衝突を解消できるため、小型のバーコード読み取り装置が実現できる。
【0029】
次に図4を参照して、第2の実施形態について説明する。
図4(a)は、第2の実施形態に係るバーコード読み取り装置の構成を模式的に示し、図4(b)は、磁石とホールセンサ素子の配置構成を示す図である。本実施形態は、前述した第1の実施形態では、センサコイルを用いて検出する構成であったが、これに替わって、磁石とホールセンサ素子の組み合わせを用いた構成例である。これ以外の構成部位は、第1の実施形態と同等であり、同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本実施形態は、走査ミラー部14の走査ミラー14bの一端の下面に小片の磁石31を設けて、シャーシ上で走査ミラー14bの揺動範囲のセンタ位置(停止位置)と対向する位置にホールセンサ素子32を設ける。磁石31とホールセンサ素子32は、非接触である。尚、磁石31を走査ミラー14bの一端に配置することにより、走査ミラー14bの重量的なバランスが偏る場合には、走査ミラー14bの他端に、磁石31と同等の重量をもつ部材(勿論、同じ磁石31であってもよい)を設けてもよいし、軸14cを移動させてバランスを取ってもよい。揺動(走査)が左右均等になれば、さらに他の手段であってもよい。また、本実施形態では、磁石31を走査ミラー14bの一端の下面に設けているが、他にも、走査ミラー14bの側面や上面でもよく、走査ミラー部14のうち揺動する部材又は箇所であれば同様にセンサ出力信号を得ることができる。
【0031】
また他にも、駆動コイルの下方又は側方又は後方のシャーシ上にコイル等を配置して、揺動する駆動コイルによる誘導電流を検出してセンサ出力信号として用いることも可能である。
【0032】
本実施形態においては、走査ミラー14bの正常な揺動時には、ホールセンサ素子32の上方を通過するように磁石31が均等で定期的に往復移動するため、ホールセンサ素子32と磁石31との距離が均一的に振幅変化する。即ち、図2(b)におけるセンサコイルの出力信号と同様な出力信号をホールセンサ素子32から得ることができる。よって、動作検出部8の微分回路25においても、図2(c)に示す微分信号と同等な微分信号を得ることができる。
【0033】
以上のような構成により、走査ミラー14bが他の構成部品と衝突した場合には、図3(a)に示すと同様に、ホールセンサ素子32からの検出信号が正側又負側に偏った波形となる。その検出信号を微分回路25により微分処理を行うと、図3(b)に示すような顕著な偏りを持った波形の検出信号を得ることができる。
従って、本実施形態においても、微分回路25から出力された微分信号の波形が正常状態から変化するため、予め設定した電圧の閾値と比較して検出することは極めて容易である。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、走査ミラー部と他の部品のクリアランスを少なくしても、走査ミラー部の動作不良が正確に検出できるため、小型のバーコード読み取り装置が実現できる。また、センサコイルを用いていないため、駆動コイル部分が軽量化され、省消費電力化及び動作の軽敏化が図れる。
【0035】
次に、図5を参照して、第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。本実施形態は、制御部が有する、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態に適用でき、微分回路から出力された微分信号を用いた衝突制御工程である。本実施形態は、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態に適用できるが、第1の実施形態のバーコード読み取り装置を例に用いて説明する。
【0036】
まず、バーコード記号3の読み取りを行うために、バーコード読み取り装置を起動し、読み取り開始状態にスタンバイさせる。走査ミラー14bの揺動が開始されると共に、センサコイル17からセンサ出力信号が動作検出部8に出力される。動作検出部8内の微分回路25では、入力されたセンサ出力信号に対して、微分処理を実施して微分信号を得て(ステップS1)、得られた微分信号は、制御部9に出力される。
【0037】
制御部9では、その微分信号に基づき、予め定めた閾値と比較して、衝突が有るか否かを判断する(ステップS2)。衝突があると判断された場合(YES)、制御部9は、駆動制御部7に駆動信号の印加を停止するように指示し(ステップS3)、走査ミラー14bの揺動幅(ミラーの振り幅)を小さくするように制御する。このミラー制御の後、ステップS1に戻り、再度、センサ出力信号の微分信号の判断を行う。一方、衝突がないと判断された場合(NO)、制御部9は、駆動制御部7に引き続き、同じ駆動信号の印加を継続する又は、駆動信号の印加を停止していたならば印加を開始するように指示する(ステップS4)。尚、走査ミラー14bのスキャン幅が正常時よりも狭い場合には、異なる判断方法により動作不良を検出する。ここでは、衝突による不良について説明を行い、その他の動作不良の説明については省略する。
【0038】
制御部9は、走査ミラー14bが正常な揺動動作を行っている間に、バーコード記号3の読み取りを行う。その後、バーコード記号3の読み取りが終了した否かを判断する(ステップS5)。読み取りが終了したならば(YES)、走査ミラー部の駆動を停止して、一連の読み取り動作を終了し、後の情報処理に移行する。一方、読み取りが終了していなければ(NO)、ステップS1に戻り、再度、読み取り動作を行う。
【0039】
本実施形態では、走査ミラー14bが他の部品と衝突したことを検出したならば、駆動制御部に駆動信号の印加を一旦停止するように指示して、走査ミラー14bの振り幅を減少させる。走査ミラーと部品との衝突が解消した後、再度、制御部9は駆動制御部7から走査ミラー部に駆動信号を印加するように制御を行う。本実施形態では、駆動信号の印加を検出した微分信号の比較結果に基づき、駆動信号の停止と印加を決定しているが、これに限定されない。例えば、走査ミラーと部品との衝突が検出された際に、予め定めた駆動信号の停止期間又は走査ミラーの揺動回数(スキャン動作回数)として固定値を設定してもよい。尚、このような走査ミラーの衝突検出時から解消までの制御期間中に得られた読み取りデータは、データ処理前に破棄するように制御してもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、揺動する走査ミラーが近接して設けられた他の部品に衝突した際に、走査ミラーの揺動により発生させたセンサコイルの微分信号に基づき、その衝突を感知し、それまでの駆動信号の印加を停止させて、衝突を解消させた後、再度、駆動信号の印加を復帰させて、バーコードの読み取りの再開を極短時間で実現させることができる。
【0041】
次に図6を参照して、第4の実施形態について説明する。
図6は、第4の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。前述した第3の実施形態では、走査ミラーの衝突発生時に駆動信号の印加を停止した衝突制御工程であった。これに対して、本実施形態は、制御部が有する、走査ミラーの衝突発生時に駆動信号を小さく(低電圧化又は小電流化)して印加を継続する衝突制御工程である。この制御以外は、前述した第3の実施形態と同様な動作を行う。本実施形態は、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態に適用できるが、第1の実施形態のバーコード読み取り装置を例に用いて説明する。
【0042】
まず、バーコード読み取り装置を起動し、走査ミラー14bの揺動が開始されると共に、センサコイル17からセンサ出力信号が動作検出部8に出力される。動作検出部8内の微分回路25では、入力されたセンサ出力信号に対して、微分処理を実施して微分信号を得て(ステップS11)、得られた微分信号は、制御部9に出力される。
【0043】
制御部9では、その微分信号に基づき、予め定めた閾値と比較して、衝突が有るか否かを判断する(ステップS12)。衝突があると判断された場合(YES)、制御部9は、駆動制御部7に駆動信号の電圧値を低くして印加を継続するように指示し(ステップS13)、走査ミラー14bの揺動角が小さくなるように制限する。このミラー制御の後、ステップS11に戻り、再度、センサ出力信号の微分信号の判断を行う。一方、衝突がないと判断された場合(NO)、制御部9は、駆動制御部7に引き続き、同じ駆動信号の印加を継続する、又は駆動信号の電圧値が低くされていたならば、正常時の駆動信号になるように指示する(ステップS14)。
【0044】
制御部9は、走査ミラー14bが正常な揺動動作を行っている間に、バーコード記号3の読み取りを行い、その読み取りが終了した否かを判断する(ステップS15)。読み取りが終了したならば(YES)、走査ミラー部の駆動を停止して、一連の読み取り動作を終了し、後の情報処理に移行する。一方、読み取りが終了していなければ(NO)、ステップS1に戻り、再度、読み取り動作を行う。
【0045】
尚、正常状態の駆動信号から衝突解消状態の駆動信号時の電圧降下は、微分信号の比較結果により、差の大きさに応じて段階的に下げ幅を設定してもよいし、アクチュエータ部の仕様に応じて、1つの設定値に例えば、正常時の60%程度に予め設定してもよい。
【0046】
本実施形態では、走査ミラー14bが他の部品と衝突したことを検出したならば、駆動制御部に駆動信号の電圧値を低くして印加を継続するように指示して、走査ミラー14bの振り幅を減少させる。走査ミラーと部品との衝突が解消した後、再度、駆動制御部から走査ミラー部に正常な時の通常の駆動信号を印加する制御を行う。
【0047】
本実施形態では、駆動信号の印加を検出した微分信号の比較結果に基づき、一時的に駆動信号の値を小さく(電圧値を低く又は電流値を小さく)して、衝突が解消した後に通常の駆動信号を印加しているが、必ずしも、これには限定されない。例えば、走査ミラーと部品との衝突が検出された際に、衝突が解消されたことを示唆するセンサ信号を待機するのではなく、予め定めた駆動信号の減少期間又は走査ミラーの揺動回数(スキャン動作回数)を固定値として設定し、印加停止後にその期間又は回数を超えた場合には、衝突が解消されたものと見込み、通常時の走査ミラーの駆動状態に戻す制御も可能である。
【0048】
本実施形態は、前述した第3の実施形態に比べて、駆動信号の停止を行っていないため、走査ミラーの衝突が解消されてから通常の揺動状態に戻るのに早い時間で復帰することができる。
【0049】
次に図7を参照して、第5の実施形態について説明する。
図7は、第5の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。前述した第3の実施形態では、走査ミラーの衝突発生時に駆動信号の印加を停止し、衝突が解消し次第、正常時の駆動信号に印加に復帰した衝突制御工程であった。これに対して、本実施形態は、制御部が有する、衝突発生時に駆動信号の印加を停止し、衝突が解消した後に、正常時の駆動信号を印加する際に、センサコイルからのセンサ出力信号の振幅のタイミングに合わせて、駆動信号の印加を再開する衝突制御工程である。この衝突制御工程以外は、前述した第3の実施形態と同様な動作を行う。本実施形態は、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態に適用できるが、第1の実施形態のバーコード読み取り装置を例に用いて説明する。
【0050】
まず、バーコード読み取り装置を起動し、衝突フラグNに初期値の0を立てる(ステップS21)。次に、走査ミラー14bの揺動が開始されると共に、センサコイル17からセンサ出力信号が動作検出部8に出力される。動作検出部8内の微分回路25では、入力されたセンサ出力信号に対して、微分処理を実施して微分信号を得て(ステップS22)、得られた微分信号は、制御部9に出力される。
【0051】
制御部9では、その微分信号に基づき、予め定めた閾値と比較して、衝突が有るか否かを判断する(ステップS23)。衝突があると判断された場合(YES)、制御部9は、駆動制御部7に駆動信号の印加を停止するように指示し(ステップS24)、走査ミラー14bの揺動幅(ミラーの振り幅)を小さくなるように制御する。その後、衝突フラグNに衝突が発生したことを示す1を立てて(ステップS25)、ステップS22へ戻り、再度、センサ出力信号の微分信号の判断を行う。
【0052】
一方、ステップS23において、衝突が発生していないと判断された場合には(NO)、制御部9は、すでに衝突フラグNに1が立てられているか否かを判断する(ステップS26)。この判断で、衝突フラグNに1が立てられていたならば(YES)、衝突フラグNを0に書き換える(ステップS27)。引き続き、制御部9は、走査ミラー14bの揺動状態(センサ出力信号の振幅)を検知して、スムーズに揺動が引き継がれるように、再度、駆動制御部7に対して、駆動信号を印加するタイミングを調整して(ステップS28)、駆動信号を印加させる(ステップS29)。一方、この判断で、衝突フラグNが0であれば(NO)、ステップS29に移行して、引き続き、同じ駆動信号を印加する。
【0053】
次に、制御部9は、バーコード記号の読み取りが終了した否かを判断する(ステップS30)。読み取りが終了したならば(YES)、走査ミラー部の駆動を停止して、一連の読み取り動作を終了し、後の情報処理に移行する。一方、読み取りが終了していなければ(NO)、ステップS22に戻り、引き続き、読み取り動作を行う。
【0054】
また前述したように、衝突を解消するために、予め定めた期間(時間)又は走査ミラーの揺動回数(スキャン動作回数)を固定値として設定する。走査ミラー14bと他の部品との衝突が検出された際に、微分信号による衝突解消の判断をせずに、衝突の検出後、設定された期間又は揺動回数を超えた場合には、通常時の走査ミラーの駆動信号を印加する制御工程でもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、走査ミラーが他の部品と衝突したことを検出した後、その衝突を解消するため、一旦、駆動信号の印加を停止する。制御部9は、その後に、微分信号の波形又は数値が予め定めた状態に戻り、再度、駆動信号を与える際に、走査ミラー14bにおける残振動によるセンサ信号の出力変化(信号波形)に基づき、タイミングを調整し、駆動信号を印加することで、よりスムーズに走査ミラーの駆動を復帰させることができる。
【0056】
次に図8を参照して、第6の実施形態について説明する。
本実施形態は、走査ミラーが他の部品と衝突したことを検出した時に衝突を解消するため、一旦、駆動制御信号の指示値又は駆動信号を予め設定した値まで下げる。その衝突が解消された後、再度、駆動コイルに印加する駆動信号を通常値(正常値)に戻す際に、ステップ又はリニアで徐々に駆動信号を戻すものである。本実施形態は、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態に適用できるが、第1の実施形態のバーコード読み取り装置を例に用いて説明する。
【0057】
以下に説明する本実施形態では、例えば、一旦、通常の駆動制御部7から出力される駆動信号のパルス幅が70%まで小さくする。衝突が解消された後、制御部1が1スキャン毎に、駆動信号のパルス幅が70%から5%単位で6回の増加調整により通常値に戻るように、駆動信号の値を上げた例である。
【0058】
まず、バーコード読み取り装置を起動し、増加回数Tに初期値に0を設定する(ステップS31)。次に、走査ミラー14bの揺動が開始されると共に、センサコイル17からセンサ出力信号が動作検出部8に出力される。動作検出部8内の微分回路25では、入力されたセンサ出力信号に対して、微分処理を実施して微分信号を得て(ステップS32)、得られた微分信号は、制御部9に出力される。
【0059】
制御部9では、その微分信号に基づき、予め定めた閾値と比較して、衝突が有るか否かを判断する(ステップS23)。衝突があると判断された場合(YES)、制御部9は、駆動制御部7に印加する駆動信号を予め設定された値まで小さくするように指示し(ステップS34)、走査ミラー14bの揺動幅(ミラーの振り幅)を小さくなるように制御する。その後、増加回数Tに予め定めた回数、本実施形態では6回(6ステップアップ)を設定して(ステップS35)、再度、ステップS32へ戻り、センサ出力信号の微分信号の判断を行う。
【0060】
一方、ステップS32において、衝突がない又は衝突が無くなったと判断された場合には(NO)、制御部9は、増加回数Tから1を差し引き、増加回数Tを再設定する(ステップS36)。次に、再設定された増加回数が0以上か否かを判断する(ステップS37)。この判断で、増加回数が0以上であれば(NO)、制御部9は、予め定めた値だけ増加するように指示する駆動制御信号を駆動制御部に印加する(ステップS38)。
【0061】
本実施形態では、ステップS35において、増加回数Tを6と設定しているのは、衝突により通常時の70%まで小さくされた駆動信号に対して、衝突解消後に1回につき5%ずつの割合で、6回繰り返して増加させることにより、100%の通常時の駆動信号に戻すことを意図している。
次に、駆動制御部7から駆動コイル15に、通常値の駆動信号又は、減少されてステップS38により調整された通常値に戻る前の駆動信号を印加してスキャンが行われ、そのスキャンにより適正なバーコード記号3の情報が得られて、読み取りを終了するか否かを判断する(ステップS40)。制御部9は、読み取りを終了すると判断したならば(YES)、走査ミラー部の駆動を停止して、一連の読み取り動作を終了し、後の情報処理に移行する。一方、読み取りが終了していなければ(NO)、ステップS32に戻り、引き続き、読み取り動作を行う。尚、本実施形態では、走査ミラーの衝突発生時に、通常の駆動信号の70%まで小さくした後、6回の駆動信号の増加を行うが、6回の信号増加のルーチンを行わなくとも、適正にバーコード記号3が読み取れた場合には、読み取りを終了している。
【0062】
また、本実施形態では、矩形波の駆動信号のパルス幅を一旦、70%まで小さくして、走査ミラーの6スキャンに亘って、設定値(ここでは、通常値の5%)で段階的に増加調整(ステップアップ)する例について説明したが、これに限定されるものではない。走査ミラーが6スキャンにかかる時間に対して、駆動信号が70%から100%までリニアに上昇するように増加調整してもよい。勿論、増加調整期間を走査ミラーの6スキャンに掛かる時間に限定されるものではない。
【0063】
また、走査ミラー14bと他の部品との衝突が検出された際に、減少された動信号に対して、予め定めた減少期間又は走査ミラーの揺動回数(スキャン動作回数)として固定値を設定し、その期間又は回数を超えた場合には、通常時の走査ミラーの駆動に戻してもよい。
【0064】
また、通常時の駆動信号から衝突発生時の駆動信号までの減少(パルス幅を狭める又は、電圧(電流)降下等)は、検出された微分信号の大きさに応じて段階的に下げ幅を設定してもよいし、アクチュエータ部の仕様に応じて、予め定めた1つの設定値に例えば、通常時の60%程度に予め設定してもよい。さらに、本実施形態では、駆動信号の減少値を0%、即ち、前述した第3,5の実施形態と同様に、駆動信号の印加を一時的に停止した後、本実施形態を適用して、駆動信号を0%から100%まで、複数の段階的又は線形的に相加調整を行って、駆動コイルに印加することも容易に実現できる。尚、このような一時的に駆動信号の印加を停止する場合には、前述した第5の実施形態と同様に、再度、駆動信号を与える際に、走査ミラー14bにおける残振動によるセンサ信号の出力変化(信号波形)に基づき、タイミングを調整し、駆動信号を印加することで、よりスムーズな駆動の復帰が可能となる。
【0065】
さらに、駆動信号が正弦波などのアナログ値であっても同様であり、周期や振幅(ピーク・ボトム値)を同様に、一旦、予設定した値まで下げて、衝突が解消した後、複数回に亘って信号値を段階的又は線形的に増加調整することにより、通常の駆動信号に復帰させることも容易に適用できる。
【0066】
以上説明したように本実施形態は、走査ミラーが他の部品と衝突した時に、駆動信号の印加を停止せずに、予め定めた設定値に減少させた状態で印加し、走査ミラーの揺動角(即ち、レーザ光のスキャン幅)を狭めて、衝突を解消させて、正常に動作する通常時の駆動信号に段階的に増加調整を行うため、正常な揺動状態に戻るのに、早い時間で復帰することができる。尚、前述した各実施形態では、センサコイルのセンサ出力信号に対する微分処理を行うために、微分回路を動作検出部8内に実装させた例について説明したが、勿論、これに限定されるものではなく、微分回路に換わって、例えば、電圧値を変換するプログラム(ソフトウエア)を制御部に記憶させておき、演算処理により微分信号を生成してもよい。また、各実施形態では、走査ミラー部における衝突以外にも、走査ミラー部が正常な揺動を行っていない場合、例えば、規定される揺動角に達せずに反復していたならば、微分回路25から出力された微分信号の波形が正常状態から変化するため、予め設定した電圧の閾値と比較することにより、容易に検出するも可能である。
【0067】
本発明は、以下の要旨を備えている。
【0068】
(1)光源と、前記光源から発生した光をバーコード記号に対して走査するための光走査手段と、走査状態を検出するためのセンサコイルとを備えたバーコード読み取り装置において、走査状態を検出するためコイルの出力を微分することを特徴とするバーコード読み取り装置。
【0069】
(2)前記コイルの出力を微分した信号を基に、ミラー又はその周辺部の衝突を検出し、走査手段の駆動信号を一時停止することを特徴とする(1)項のバーコード読み取り装置。
【0070】
(3)前記コイルの出力を微分した信号を基に、ミラー又はその周辺部の衝突を検出し、走査手段の駆動信号の大きさを一時、小さくすることを特徴とする(1)項のバーコード読み取り装置。
【0071】
(4)前記コイルの出力を微分した信号を基に、ミラー又はその周辺部の衝突を検出し、走査手段の駆動信号を一時停止した後、駆動信号を再開する際に、センサの出力を元に駆動信号の出力タイミングを調整することを特徴とする(2),(3)項のバーコード読み取り装置。
【0072】
(5)前記コイルの出力を微分した信号を基に、ミラー又はその周辺部の衝突を検出し、走査手段の駆動信号を一時停止し、又は小さくした後、駆動信号を再開する際に、徐々に駆動信号の値を初期値まで戻していくことを特徴とする(3),(4)項のバーコード読み取り装置。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るバーコード読み取り装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】図2(a)は、駆動コイルの駆動信号を示す図、図2(b)は、センサコイルのセンサ出力信号の波形を示す図、図2(c)は、正常時のセンサ出力信号を微分処理した微分信号の波形を示す図である。
【図3】図3(a)は、走査ミラーの衝突時のセンサコイルのセンサ出力信号の波形を示す図、図3(b)は、衝突時のセンサ出力信号を微分処理した微分信号の波形を示す図である。
【図4】図4(a)は、第2の実施形態に係るバーコード読み取り装置の構成を模式的に示す図、図4(b)は、磁石とホールセンサ素子の配置構成を示す図である。
【図5】図5は、第3の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第4の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第5の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第6の実施形態に係るバーコード読み取り装置における走査ミラー部の制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1…バーコード読み取り装置、2…光源部、3…バーコード記号、4…アクチュエータ、5…受光部、6…信号処理部、7…駆動制御部、8…動作検出部、9…制御部、11…光源、12…光源制御部、13…反射ミラー、14…走査ミラー部、14a…反射ミラー面、14b…走査ミラー、14c…軸、15…駆動コイル、16,31…磁石、17…センサコイル、18…弾性部材、21…集光ミラー、22…受光素子、23…バンドパスフィルタ、24…信号変換部、25…微分回路、32…ホールセンサ素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
揺動する走査ミラーを備え、前記光源が出射した光を前記走査ミラーが走査させて、バーコード記号に向かって照射する光走査手段と、
前記バーコード記号で反射した前記光からなる戻り光を受光して、前記バーコード記号が示す情報を読み取る読み取り手段と、を備えたバーコード読み取り装置であって、
前記走査ミラーに搭載され、前記揺動の状態を検出するセンサコイルと、
前記センサコイルが検出した前記揺動の状態を示すセンサ出力を微分処理する微分処理手段と、
前記微分処理手段が出力した微分信号を予め定めた正常時の信号と比較して、前記走査ミラーと、該走査ミラーの近傍に配置された部材との衝突の有無を検出して、該衝突を解消するように前記光走査手段を制御する制御部と、
を具備することを特徴とするバーコード読み取り装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記センサコイルから出力され微分処理された微分信号により前記走査ミラーが衝突状態であると判断した際に、
前記走査ミラーを揺動させる駆動信号の印加を一時的に停止させて、前記走査ミラーの揺動を減少させる第1の衝突制御工程を、具備することを特徴とする請求項1に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記センサコイルから出力され微分処理された微分信号により前記走査ミラーが衝突状態であると判断した際に、
前記走査ミラーを揺動させる駆動信号を予め定めた値まで一時的に小さくして、前記走査ミラーの揺動を減少させる第2の衝突制御工程を、具備することを特徴とする請求項1に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記センサコイルから出力され微分処理された微分信号により前記走査ミラーが衝突状態であると判断した際に、
前記走査ミラーを揺動させる駆動信号の印加を一時的に停止させて、前記走査ミラーの揺動を減少させた後、前記駆動信号の印加を再開する際に、前記センサコイルからのセンサ出力から揺動の状態に合わせるように、前記駆動信号の出力タイミングを調整する第3の衝突制御工程を、具備することを特徴とする請求項2に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記センサコイルから出力され微分処理された微分信号により前記走査ミラーが衝突状態であると判断した際に、
前記走査ミラーを揺動させる駆動信号を予め定めた値まで減少させて印加し、前記走査ミラーの揺動を減少させて前記衝突を解消した後、前記駆動信号の印加を再開する際に、前記予め定めた値から徐々に前記駆動信号の値を通常状態まで復帰させる第4の衝突制御工程を、具備することを特徴とする請求項3に記載のバーコード読み取り装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記センサコイルから出力され微分処理された微分信号により前記走査ミラーが衝突状態であると判断した際に、
前記走査ミラーを揺動させる駆動信号の印加を一時的に停止させて、前記走査ミラーの揺動を減少させて前記衝突を解消した後、前記駆動信号の印加を再開する際に、前記予め定めた値から徐々に前記駆動信号の値を通常状態まで復帰させる第5の衝突制御工程を、具備することを特徴とする請求項2又は請求項4に記載のバーコード読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−102121(P2010−102121A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273499(P2008−273499)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】