説明

パターン形成方法およびパターン形成装置

【課題】基板表面に対して相対移動するノズルからパターン形成材料を含む塗布液を塗布して、基板上に所定のパターンを形成するパターン形成技術において、パターン幅および端部位置の安定したパターンを形成する。
【解決手段】基板上に塗布液を塗布してライン状パターンを形成するのに際して、本来の始端位置X1よりも内側の位置X0から、しかもノズルと基板とのギャップ量をパターン高さよりも小さな値G0にして塗布液の吐出を開始する。その後、ノズルを基板から離間させながら基板外側に向けて移動させ、パターン始端位置X1で移動方向を反転させる。終端近傍においても、塗布液の吐出量を低下させながらノズルを基板に近接させてゆき、パターン終端位置X3においてノズルを離間させるとともに移動方向を反転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板表面に対して相対移動するノズルからパターン形成材料を含む塗布液を塗布して、基板上に所定のパターンを形成するパターン形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板表面に対して相対移動するノズルからパターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出させて基板に塗布することで基板上に所定のパターンを形成する技術においては、塗布液の吐出開始直後や吐出終了直前において塗布液の吐出量が変動することから、パターンの始端および/または終端において塗布量が安定しないという問題がある。
【0003】
この問題に対応するため、例えば特許文献1に記載の技術では、スロット式の塗布ヘッドから塗布対象物に塗布液を塗布することで塗膜を形成する技術において、基板表面に沿って移動する塗布ヘッドがパターン終端部に達するよりも前に塗布液の吐出を停止させるようにしている。より具体的には、塗布ヘッドがパターン終端部に到達する前に塗布液を供給するバルブを閉じるとともに塗布ヘッドを塗布対象物から離間させ、さらにサックバックを実施することにより、塗布液供給停止後の液垂れに起因する塗膜の膜厚変動の抑制が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−339656号公報(例えば、図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術においても、塗布液の粘度によってはパターン終端部が膨らんだり逆に先細りの状態となったり、また塗布液の表面張力のために塗布対象物から離間する塗布ヘッドにより塗布液が細く引き延ばされて糸状の尾引きを生じることがあった。また、塗布液の吐出開始および終了のタイミングは塗布液の粘度や周囲温度等の状況により変化し一定しないが、このことに起因するパターン端部(始端部または終端部)の位置の変動に対しては、上記従来技術では対応することが困難であった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板表面に対して相対移動するノズルからパターン形成材料を含む塗布液を塗布して、基板上に所定のパターンを形成するパターン形成技術において、パターン幅および端部位置の安定したパターンを形成することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかるパターン形成方法の一の態様は、上記目的を達成するため、基板の表面に沿ってノズルを所定の走査移動方向に相対移動させながら、前記ノズルの吐出口からパターンを形成するための材料を含む塗布液を連続的に吐出させて、前記基板表面にライン状パターンを形成し、前記基板表面に対する前記ノズルの相対位置が所定のパターン終端位置に達した後、前記基板の表面に沿って前記ノズルを前記走査移動方向とは反対方向に移動させながら、前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止させることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、基板表面に対し走査移動方向に相対移動して塗布液を塗布するノズルがパターン終端位置まで移動した後、それまでと反対方向への移動、すなわち折り返しを行いながら塗布液の吐出が停止される。つまり、塗布液が比較的安定して吐出された状態でノズルがパターン終端位置まで到達しており、吐出終了直前の吐出量の不安定な塗布液は、ノズルの折り返しによって、先に形成済みのパターンに重ねて塗布されることになる。このため、パターン終端部における膨らみや先細り、尾引き等のパターン幅の変動の問題が解消されており、特にパターン終端部の位置がばらつかず安定したものとなる。すなわち、この発明によれば、パターン幅および端部位置の安定したパターンを形成することができる。
【0009】
この発明において、例えば、基板表面に対するノズルの相対位置がパターン終端位置に達する前に、塗布液の吐出量を次第に低減させるようにしてもよい。パターン終端位置の近傍ではノズルの折り返しによって塗布液が塗り重ねられることとなるので、塗布液の量を次第に減少させることで、塗り重ねに起因するパターンの厚みの増大を防止することができる。
【0010】
ここで、ノズル内の塗布液を加圧することで塗布液を吐出口から吐出させている場合には、例えば、塗布液に対する加圧を停止することにより吐出量を低減させるようにしてもよい。塗布液への加圧を停止したときに直ちに吐出が停止されるわけではなく、圧力の残存(残圧)によって、しばらくの間は吐出量が減少しながらも吐出は継続される。このことを利用して、ノズルがパターン終端位置に到達する前に塗布液への加圧を停止し、残圧による吐出によって残りのパターンを形成することが可能である。
【0011】
また、例えば、吐出量の低減を開始すると同時に、または開始後に、基板に対するノズルの移動速度を漸減させながらノズルをパターン終端位置まで移動させるようにしてもよい。塗布液の吐出量が次第に少なくなってくると、ノズルの移動速度が速いとパターンが途切れてしまうおそれがある。ノズルの移動速度を次第に低下させることにより、このような問題を回避することができる。
【0012】
また、例えば、吐出量の低減を開始すると同時に、または開始後に、吐出口と基板表面との間隔を漸減させながらノズルをパターン終端位置まで移動させ、ノズルがパターン終端位置に到達すると、吐出口と基板表面との間隔を増大させてノズルを走査移動方向とは反対方向に移動させるようにしてもよい。塗布液の吐出量が少なくなったときに吐出口と基板表面とを近付けることによっても、パターンが途切れるのを防止することが可能である。また、折り返し時には吐出口と基板とを離間させるので、形成済みのパターンにノズルが接触することが防止される。
【0013】
また、例えば、吐出量の低減を開始する時の走査移動方向における基板表面に対するノズルの相対位置が、吐出量がゼロとなる時の走査移動方向における基板表面に対するノズルの相対位置と同じであるようにしてもよい。このようにすると、吐出量の減少に起因するパターン幅または高さの減少が折り返し時の塗布によって補われるので、幅や高さがより安定したパターンを形成することができる。
【0014】
また、この発明にかかるパターン形成方法の他の態様は、基板の表面に沿ってノズルを所定の走査移動方向に相対移動させながら、前記ノズルの吐出口からパターンを形成するための材料を含む塗布液を連続的に吐出させて前記基板表面にライン状パターンを形成するパターン形成方法であって、上記目的を達成するため、前記塗布液の吐出を開始する際、前記基板表面に対向させた前記吐出口から塗布液の吐出を開始するとともに、該開始から所定の期間、前記ノズルを前記基板の表面に沿って前記走査移動方向とは反対方向に移動させ、その後に、前記ノズルを前記基板の表面に沿って前記走査移動方向に移動させることを特徴としている。
【0015】
このように構成された発明では、吐出開始直後で吐出量の安定しない塗布液によってパターンの始端部が形成されることが防止される。すなわち、吐出開始直後は走査移動方向とは反対方向にノズルが移動し、然る後にノズルが折り返されて走査移動方向に移動することによってパターンが形成されるので、ノズルが折り返される位置がパターンの始端位置となる。このため、吐出開始直後に基板に塗布された塗布液には折り返し後のノズルから吐出される塗布液が塗り重ねられ、吐出量の不安定さがパターンに影響することがない。特に、パターンの始端位置のばらつきが防止される。このように、この発明によれば、パターン幅および端部位置の安定したパターンを形成することができる。
【0016】
ここで、例えば、吐出口から塗布液を吐出開始した直後に、ノズルを走査移動方向とは反対方向に移動させながら、吐出口と基板表面との間隔を漸増させるようにしてもよい。吐出量の不安定な塗布液によりパターンが途切れるという問題は、吐出開始直後においても吐出終了時と同様、あるいはより顕著である。吐出開始直後には吐出口を基板に近接させておき、次第に間隔を大きくすることは、パターンの途切れを防止するために有効である。
【0017】
上記の各発明においては、塗布液として光硬化性材料を含む塗布液を使用し、基板表面に吐出された塗布液に対して光を照射するようにしてもよい。このようにすると、基板に塗布された塗布液が周囲に広がる前に硬化させることができるので、パターンの断面形状の制御が容易であり、特にパターンの幅に対する高さの比、すなわちアスペクト比の高いパターンを形成する場合に好適である。
【0018】
また、この発明にかかるパターン形成装置は、上記目的を達成するため、基板を保持する保持手段と、パターンを形成するための材料を含む塗布液を連続的に吐出する吐出口を有するノズルと、前記保持手段に保持された前記基板の表面に沿って前記ノズルを所定の走査移動方向に相対移動させる移動手段とを備え、前記移動手段は、前記吐出口からの前記塗布液の吐出開始直後および吐出停止直前の少なくとも一方において、前記ノズルを所定期間、前記基板の表面に沿って前記走査移動方向とは反対方向に移動させることを特徴としている。
【0019】
このように構成された発明では、パターンの始端部および終端部の一方または両方において、上記したノズルの折り返しが行われる。このため、パターンの始端部または終端部に生じる幅や高さのばらつきや、パターン形成位置のばらつきなどを抑えて、安定したパターン形成をおこなうことができる。
【0020】
この発明において、例えば、吐出口と基板表面との間隔を制御する間隔制御手段を備えるようにしてもよい。このように吐出口と基板表面との間隔を制御可能とすることで、塗布液の吐出開始時および終了時におけるパターン途切れの防止を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
この発明にかかるパターン形成方法およびパターン形成装置では、塗布液の吐出開始直後および/または吐出終了時にノズルを本来の走査移動方向とは反対方向に移動させる。このように塗布液を吐出させながらノズルを折り返して移動させることにより、パターンの始端位置および/または終端位置を安定させることができ、パターン幅のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】シリンジポンプの構造を示す図である。
【図3】図1の装置によるフィンガー電極形成処理を示すフローチャートである。
【図4】フィンガー電極形成処理におけるノズル移動の態様を模式的に示す図である。
【図5】このフィンガー電極形成処理における吐出ノズル先端の軌跡を示す図である。
【図6】フィンガー電極形成処理における各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】ライン状パターンの始端および終端の形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1はこの発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図である。このパターン形成装置1は、例えば表面に光電変換層を形成された単結晶シリコンウエハなどの基板W上に導電性を有する電極配線パターンを形成し、例えば太陽電池として利用される光電変換デバイスを製造するのに使用可能な装置である。
【0024】
このパターン形成装置1では、基台101上にステージ移動機構2が設けられ、基板Wを保持するステージ3がステージ移動機構2により図1に示すX−Y平面内で移動可能となっている。基台101にはステージ3を跨ぐようにしてフレーム102が固定され、フレーム102にはヘッド部5が取り付けられる。ヘッド部5のベース51には、内部空間に液状(ペースト状)の塗布液を貯留するとともに該塗布液を基板W上に吐出するシリンジポンプ52と、基板Wに向けてUV光(紫外線)を照射する光照射部53とが取り付けられている。
【0025】
詳しくは後述するが、シリンジポンプ52は電極パターンの材料を含む塗布液を内部に貯留し、制御部6からの制御指令に応じて該塗布液を吐出ノズル523から基板W上に吐出する。塗布液としては、導電性および光硬化性を有し、例えば導電性粒子、有機ビヒクル(溶剤、樹脂、増粘剤等の混合物)および光重合開始剤を含むペースト状の混合液を用いることができる。導電性粒子は電極の材料たる例えば銀粉末であり、有機ビヒクルは樹脂材料としてのエチルセルロースと有機溶剤を含む。
【0026】
光照射部53は、光ファイバ531を介して紫外線を発生する光源ユニット532に接続される。図示を省略しているが、光源ユニット532はその光出射部に開閉自在のシャッターを有しており、その開閉および開度によって出射光のオン・オフおよび光量を制御することができる。光源ユニット532は制御部6により制御されている。基板Wに塗布された塗布液に対して光照射部53からUV光を照射することにより、塗布直後の断面形状が維持された状態で塗布液が硬化する。
【0027】
ステージ移動機構2は、下段からステージ3をX方向に移動させるX方向移動機構21、Y方向に移動させるY方向移動機構22、およびZ方向を向く軸を中心に回転させるθ回転機構23を有する。X方向移動機構21は、モータ211にボールねじ212が接続され、さらに、Y方向移動機構22に固定されたナット213がボールねじ212に取り付けられた構造となっている。ボールねじ212の上方にはガイドレール214が固定され、モータ211が回転すると、ナット213とともにY方向移動機構22がガイドレール214に沿ってX方向に滑らかに移動する。
【0028】
Y方向移動機構22もモータ221、ボールねじ機構およびガイドレール224を有し、モータ221が回転するとボールねじ機構によりθ回転機構23がガイドレール224に沿ってY方向に移動する。θ回転機構23はモータ231によりステージ3をZ方向を向く軸を中心に回転させる。以上の構成により、ヘッド部5の基板Wに対する相対的な移動方向および向きが変更可能とされる。ステージ移動機構2の各モータは、装置各部の動作を制御する制御部6により制御される。
【0029】
さらに、θ回転機構23とステージ3との間には、ステージ昇降機構24が設けられている。ステージ昇降機構24は、制御部6からの制御指令に応じてステージ3を昇降させ、基板Wを指定された高さ(Z方向位置)に位置決めする。ステージ昇降機構24としては、例えばソレノイドや圧電素子などのアクチュエータによるもの、ギヤによるもの、楔の噛み合わせによるものなどを用いることができる。
【0030】
図2はシリンジポンプの構造を示す図である。より具体的には、図2(a)はヘッド部5に設けられたシリンジポンプ52の内部構造を示す側面図であり、図2(b)はシリンジポンプ52下面に設けられた吐出ノズルの構造を示す図である。また、図2(c)はシリンジポンプ52による材料塗布の様子を模式的に示す図である。シリンジポンプ52の筐体521の内部は、上端が上方に向かって開口し、下端が筐体521の下面522に設けられた吐出ノズル523に連通する空洞となっている。該空洞の上端の開口部から、制御部6からの制御指令に応じて上下動するプランジャ524が挿入されている。
【0031】
こうして筐体521の内壁とプランジャ524とで形成される筐体521の内部空間SPに、所定の組成を有する塗布液が貯留されており、制御部6からの制御指令によってプランジャ524が押し下げられると、内部空間SPに連通する吐出ノズル523の下端で下向きに開口する吐出口525から塗布液が連続的に吐出される。
【0032】
図2(b)に示すように、シリンジポンプ52の下面522には、Y方向に所定の距離だけ離隔して複数の吐出ノズル523が設けられている。各吐出ノズル523の吐出口525の開口形状は略長方形で、その1辺の長さは塗布すべき塗布液の線幅とほぼ同じとされる。図2(c)に示すように、この塗布装置1では、制御部6が予め作成された制御プログラムに従い、ステージ3に載置した基板WをXY平面内で水平移動させながら各吐出ノズル523の吐出口525から塗布液52pを吐出させることで、基板W上に所定の線状パターンを形成することができる。複数の吐出口525をY方向に並べて設けることにより、Y方向に互いに離隔した互いに平行な複数本の線状パターンを1度の走査移動で形成することができる。ここで、ステージ3を(+X)方向に移動させたときのステージ3に対する吐出ノズル523の相対移動方向、すなわち(−X)方向を、吐出ノズル523の走査移動方向Dsとする。
【0033】
このように構成されたパターン形成装置1では、基板W上に吐出した塗布液による互いに平行な細いライン状のパターンを多数形成することができる。また、塗布直後の塗布液を光照射により硬化させるので、塗布直後の断面形状が維持され、吐出口525の開口形状を適宜に選択することで、幅に対する高さの比、すなわちアスペクト比の高いパターンを形成することが可能である。このため、例えば以下に例示するような、光電変換デバイスの光入射面にフィンガー電極パターンを形成するという用途に好適に使用することができる。
【0034】
図3は図1の装置によるフィンガー電極形成処理を示すフローチャートである。また、図4は図3のフィンガー電極形成処理におけるノズル移動の態様を模式的に示す図である。なお、上記したように、図1の電極形成装置1ではステージ3が吐出ノズル523に対して移動する構成となっているが、相対的にはステージ3に対して吐出ノズル523を走査移動させるものと考えても等価であり、そのように考えた方が動作を理解しやすいため、以下ではステージ3に対して吐出ノズル523が移動するものとして説明する。
【0035】
まず最初に、例えば太陽電池用シリコン基板のように光電変換面を有する基板Wをパターン形成装置1に搬入し、該光電変換面を上向きにしてステージ3に載置する(ステップS101)。続いて、吐出ノズル523の水平位置が所定の塗布開始位置となるように、(ステージ3を移動させることにより)吐出ノズル523を位置決めする(ステップS102)。塗布開始位置は、図4(a)において符号X0により示すように、基板W表面のうち端部から少し内側に入った位置の直上位置である。また、このとき吐出ノズル523の下端と基板W表面とのギャップG0は比較的小さく、例えば形成すべきパターンの高さよりも小さな値とする。
【0036】
続いて、この状態でシリンジポンプ52を作動させて、内部に貯留された塗布液への加圧を開始する(ステップS103)。これにより、吐出ノズル523先端の吐出口525からの塗布液の吐出が開始される。また、吐出ノズル523を上昇、つまり基板W表面から離間する方向に移動させながら、(−Ds)方向、つまり基板Wの端部へ向かう方向に移動させる(ステップS104)。
【0037】
そして、吐出ノズル523の水平位置が塗布開始位置X0よりも基板端部に近い所定のパターン始端位置X1に到達し(ステップS105)、基板W表面からのノズル高さがG1(>G0)に達すると、吐出ノズル523の水平移動方向を反転させる。具体的には、ノズル高さを形成すべきパターンの高さとほぼ同じまたはこれより少し大きな一定値G1に維持しながら、吐出ノズル523を基板W表面に沿って走査移動方向Dsに移動させる(ステップS106)。この明細書では、このように吐出ノズル523の水平移動方向を反転させることを「折り返し」と称する。
【0038】
吐出口525から吐出されて基板Wにライン状に塗布される塗布液はこの位置X1において折り返されて塗り重ねられることとなり、パターン完成後の基板W上ではこの位置X1がライン状パターンの端点となる。この意味において、この位置X1が実際上のパターン始端位置となる。すなわち、このパターン形成方法では、最初に塗布液が塗布される塗布開始位置と、完成後のパターン始端位置とが異なっている。
【0039】
吐出が開始されてから吐出量が所定値に達するまでには時間がかかり、塗布開始直後の吐出量は安定しない。このため吐出開始直後の塗布液により形成されるパターンが細くなったり途切れたりするなどの乱れを生じる可能性があるが、この実施形態では、吐出開始直後に吐出ノズル523の折り返し動作によって塗布液を塗り重ねているので、このようなパターンの乱れが抑制される。特に、パターン始端位置を予め設定された位置に精度よく揃えることができる。
【0040】
その後、図4(b)に示すように、吐出ノズル523が所定の加圧終了位置X2に到達するまで走査移動方向Dsへの吐出ノズル523の水平移動を継続する(ステップS107)。これにより、基板W上にはライン状に塗布液が塗布されてゆく。塗布液には光照射部53からUV光が照射され、これにより塗布液が硬化して電極パターンが形成される。
【0041】
吐出ノズル523が加圧終了位置X2に達すると、シリンジポンプ52による塗布液への加圧を停止するとともに、図4(c)に示すように、吐出ノズル523の下降を開始し吐出口525を基板Wに近接させてゆく(ステップS108)。この加圧終了位置X2は、基板W表面においてパターン始端位置X1とは反対側の端部近傍に設定されたパターン終端位置X3よりも少し内側の位置である。
【0042】
そして、吐出ノズル523の水平位置がパターン終端位置X3に到達すると(ステップS109)、吐出ノズル523を基板Wから離間させるとともに(図4(d))、再び走査移動方向とは反対の(−Ds)方向に水平移動させ、所定の塗布終了位置に達すると移動を終了する(図4(e)、ステップS111)。ステップS108で塗布液への加圧を停止した後も、内部空間SP内の残圧によりしばらくの間は吐出口525から塗布液が吐出されている。ただし、このときの吐出量は次第に減少してゆき、しかも、特に停止直前における吐出量の変化率は必ずしも一定ではない。
【0043】
上記した塗布終了位置は、吐出ノズル523が該塗布終了位置に到達した時には吐出口525からの塗布液の吐出が確実に停止しているような位置であり、予め実験的に設定することができる。このように、パターン終端位置X3においても吐出ノズル523を折り返し動作させ、次第に減少してゆく塗布液を塗り重ねることによって、吐出量の安定しない停止直前の塗布液によるパターンの乱れを防止することができる。特に、パターン終端位置を予め設定された位置に精度よく揃えることができる。すなわち、このパターン形成方法では、塗布液の塗布が終了する位置と、完成後のパターン終端位置とが異なる。
【0044】
なお、制御を容易にするために、この例では加圧終了位置と塗布終了位置とを同一位置X2に設定しているが、これらは必ずしも同一位置である必要はなく、それぞれ個別に設定されてもよい。同様に、この例ではパターン終端位置X3における吐出ノズル523と基板W表面とのギャップを塗布開始位置X0におけるギャップG0と同じ値とする一方、その後のノズル離間時のギャップをパターン始端位置X1におけるギャップG1と同じ値としているが、これらも互いに独立に設定することができる。
【0045】
ところで、この種のペースト状の塗布液は、加圧されずせん断力を受けない状態では高粘度である一方、せん断力を受ける(加圧される)と粘度が大きく低下する性質、すなわちチキソトロピー性(チクソ性)を有する。本実施形態における塗布液の粘度の数値例は以下の通りである。
【0046】
塗布が開始される前の塗布液が加圧されていない状態、例えばシリンジポンプ52が図4(a)の破線で示す位置にあるときの塗布液の粘度は、例えば1000Pa・s(パスカル秒)であり、一方、例えば図4(b)に示すように、シリンジポンプ52内で塗布液が加圧されて吐出ノズル523から定常的に吐出されているときの塗布液の粘度は例えば5Pa・s程度である。つまりせん断力を伴う加圧により塗布液の粘度が約200分の1まで低下する。基板Wに塗布された塗布液には光照射が行われて、その粘度は例えば1×105 Pa・s程度まで上昇しほぼ固化した状態となる。
【0047】
また、例えば図4(e)に実線で示すように塗布液への加圧が停止され塗布が終了した時点における、塗布液の粘度は300Pa・s程度である。つまり、シリンジポンプ52が加圧終了位置X2に到達し塗布液への加圧が停止された時点で5Pa・sであった塗布液の粘度は、その後吐出ノズル523からの吐出が停止する時には300Pa・sまで約60倍に増加する。
【0048】
ここで、特許文献1に記載されたフォトレジスト液のようなチクソ性を有しないあるいは極めて小さい流体を塗布する場合にも、塗布開始時および終了時に吐出量が安定しないことがあるが、例えばノズルの移動速度を遅くすることによって対応することが可能である。これに対し、本実施形態のように、より明確なチクソ性を示すペースト状塗布液を塗布する場合においては、塗布開始時や終了時などの過渡状態において塗布液の大きな粘度変化(2乗変化や3乗変化などの非線形変化)が生じるため、特許文献1に記載されているようなノズルの移動速度制御やギャップ制御のみで塗布量を安定化させることは困難である。このような場合にパターンの始端、終端の形状を整えるためには、本実施形態のようにノズルの折り返し動作を行うことが効果的である。
【0049】
上記した数値例以外のペースト状塗布液の他の例としては、非加圧時の粘度が1000Pa・s、定常的に加圧された状態での粘度が5Pa・s(非加圧時の100分の1)、塗布終了時の粘度が300Pa・s(定常加圧時の30倍)である第2の例、非加圧時の粘度が1000Pa・s、定常的に加圧された状態での粘度が400Pa・s(非加圧時の2.5分の1)、塗布終了時の粘度が1000Pa・s(定常加圧時の2.5倍)である第3の例などがある。本願発明者らの知見では、上記各例の塗布液のように、塗布開始後の粘度が加圧前の粘度の2.5分の1以下まで低下するような塗布液、および、塗布終了時の粘度が加圧中の粘度の2.5倍以上にまで上昇するような塗布液を用いてパターン形成を行う場合に、本発明は特に有効である。
【0050】
図5はこのフィンガー電極形成処理における吐出ノズル先端の軌跡を示す図である。また、図6はフィンガー電極形成処理における各部の動作を示すタイミングチャートである。なお、図6は各部の位置や速度等の変化の態様を模式的かつ定性的に示すためのものである。したがって縦軸は任意単位で表されており、折れ線や曲線の長さや勾配が直ちに各部の定量的な位置や速度等を意味するものではない。また、「移動速度」は吐出ノズル523の水平移動速度を示しており、走査移動方向Dsと同方向への移動速度を正(+)の速度、逆方向への移動速度を負(−)の速度としている。また、番号(1)〜(5)は図5のものと対応している。
【0051】
塗布開始位置X0においては、吐出ノズル523の先端はギャップG0を隔てて基板W表面と対向している。塗布液の吐出が開始されると、吐出ノズル523は、
(1)基板Wから離間しつつ、走査移動方向Dsとは反対方向に移動、
(2)パターン始端位置X0で折り返し、基板WとのギャップG1を維持しながら走査移動方向Dsに移動、
(3)加圧終了位置X2に達すると、基板Wに対して近接しながら走査移動方向Dsに移動、
(4)パターン終端位置X3に達すると(このときのギャップG0)、基板Wから離間し(このときのギャップG1)、
(5)塗布終了位置X2まで折り返す、
という動きをする。
【0052】
吐出ノズル523が塗布開始位置X0に位置決めされた後、時刻T0において塗布液への加圧が開始され(ステップS103)、シリンジポンプ52内の液圧が次第に増大して吐出口525から塗布液が吐出され始める。加圧の開始とともに、吐出ノズル523と基板W表面とのギャップ量が拡大され、吐出ノズル523は(−Ds)方向へ移動する(ステップS104)。この時点では光照射部53からの光照射は行われていない。また、塗布開始位置X0から動き出した吐出ノズル523がパターン始端位置X1で停止するように、吐出ノズル523の(−)方向への加速および減速が制御される。
【0053】
吐出ノズル523がパターン始端位置X1に到達する時刻T1(このときのギャップG1)では、吐出ノズル523の移動方向が反転され、移動速度は(−)から(+)に転じる(ステップS106)。これとともに、光照射部523からの光照射が開始される。これにより、折り返し前に基板Wに塗布された塗布液と、折り返し後に該折り返し前の塗布液に重ねるように塗布された塗布液とに一括してUV光が照射され、これらが一体的に硬化してライン状の電極パターンとなる。また、塗布液を塗り重ねることにより、吐出開始直後の吐出量の変動が相殺されてパターンの乱れが抑えられる。
【0054】
その後、吐出口525から一定量の塗布液を吐出しながら吐出ノズル523は走査移動方向Dsに水平移動する。吐出ノズル523が加圧終了位置X2に到達する時刻T2では、シリンジポンプ52による塗布液の加圧が停止され(ステップS108)、これによりポンプ内の液圧が低下し始める。液圧がゼロになるまでの間、ポンプ内の残圧により吐出口525からは吐出量を減じながらも吐出が継続される。加圧の停止とともに、吐出ノズル523と基板Wとのギャップを小さくしてゆき、またパターン始端位置X3で移動を停止させるために、吐出ノズル523の移動速度を低下させてゆく。
【0055】
好ましくは、吐出ノズル523が加圧停止位置X2からパターン終端位置X3まで移動する際の所要時間が、塗布液への加圧を停止してから塗布液の吐出が完全に停止するまでの時間の約半分となるようにするのがよい。このようにすると、折り返し前の加圧停止位置P2から塗布液の吐出量が減少し始め、折り返し後の塗布終了位置(=加圧停止位置P2)で吐出量がゼロとなるので、折り返し前後の塗布液が重ねられて形成されるパターンの端部形状の乱れが最小限に抑えられる。すなわち、加圧停止位置と塗布終了位置とを同一位置とした効果を最大化することができる。
【0056】
加圧の停止後は塗布液の吐出量が次第に低下し、特に吐出終了直前では吐出量が不安定となって、塗布液の塊が基板Wに落下したりパターンが途切れるなどの問題が生じうるが、吐出ノズル523の移動速度を落とすこと、および基板Wとのギャップを小さくすることで、このような問題の解消を図ることができる。吐出ノズル523がパターン終端位置X3に到達する時刻T3(このときのギャップG0)では、ギャップをG1に戻すとともに、吐出ノズル523の折り返しを行い、移動方向を走査移動方向とは反対方向(−Ds)に切り替える。これにより、ポンプ残圧により吐出される塗布液は、既に形成済みのパターンに塗り重ねられる。
【0057】
時刻T3の時点で光照射53からの光照射を停止し、折り返し動作中には光照射を行わない。したがって、この間に塗布される塗布液は直ちに硬化せず、周囲に流れ広がる。前記したように吐出終了直前の塗布液は吐出量の変動が大きいので、塗布直後の塗布液を直ちに硬化させるとパターン形状が不規則となるが、光照射を行わないことでこれを防止することができる。この時点での吐出量は既に十分小さくなっているので、未硬化の塗布液が流れ広がることによるパターン形状の乱れは小さい。溶剤成分が揮発することにより未硬化の塗布液もしばらくすると流動性を失うので、塗布液の広がりは一時的である。
【0058】
時刻T3において吐出ノズル523を基板Wから離間させるのは、折り返し動作において吐出ノズル523の下端が形成済みのパターンに接触するのを防止するためである。一方、この時点でも塗布液の吐出は完全には終了していないので、ギャップを大きくしすぎると塗布液が液滴となって基板Wに落下したり、表面張力によって吐出ノズル523に引き延ばされて尾引きを生じたりする。そこで、このときのギャップについては水平移動時のギャップG1と同程度とするが、これに限定されるものではない。
【0059】
吐出ノズル523が塗布終了位置X2(=加圧終了位置)に到達する時刻T4までには、吐出ノズル523からの塗布液の吐出は完全に停止している。すなわちパターン形成が完了している。したがって、吐出ノズル523の移動を停止させ、基板Wの搬出に干渉しないように、吐出ノズル523をさらに離間させる。このとき吐出ノズル523を所定の退避位置に退避させてもよい。
【0060】
図7はライン状パターンの始端および終端の形状の例を示す図である。理想的なパターン形状は、図7(a)に示すPiのように、始端部Psi、終端部Peiとも中央部Pmとほぼ同じ幅および高さを有しているものである。しかしながら、塗布開始位置とパターン始端位置とが同じである従来技術においては、吐出開始直後の吐出量の不安定さに起因して、図7(b)に示すパターンP1のように始端部Ps1が薄くまたは細くなったり、図7(c)に示すパターンP2のように始端部Ps2が断続的に形成されてしまうことがある。これらの場合、パターンの形状が乱れることに加えて、パターンの端部位置が塗布液の粘度等によって変動することになる。
【0061】
また、塗布終了位置とパターン終端位置とが同じである従来技術においても、吐出終了直前の吐出量の不安定さに起因してパターンが乱れることがあるほか、吐出口周辺に塗布液が一時的に滞留した後落下することにより、図7(d)に示すパターンP3のように終端部Pe3が盛り上がることがある。また、塗布液の表面張力に起因して、離間される吐出ノズルに塗布液が追従し、図7(e)に示すパターンP4のように、終端部Pe4の近傍で塗布液が細く引き延ばされて糸状の尾引きを生じることがある。
【0062】
これに対して、図7(f)に示す、この実施形態において形成されるパターンP0では、パターン始端位置P1よりも基板中央部に近い塗布開始位置X0で塗布液の吐出を開始するとともに、吐出ノズル523をいったん基板Wの端部側に向けて移動させパターン始端位置X1で折り返すようにしているので、パターン始端部Ps0における形状の乱れが少なく、また吐出の不安定さに関わらずパターンの端部位置X1が一定である。パターン始端部Ps0において斜線を付した部分は、折り返し前に吐出された塗布液を示している。
【0063】
また、この実施形態では、パターンP0の終端部Pe0近傍でも吐出ノズル523の折り返しを行っているので、パターン終端位置X3が一定しており、またパターン終端部Pe0の膨らみや尾引きを防止して理想的な端部形状を得ることができる。図7(f)において、パターン終端部Pe0において斜線を付した部分は、折り返し後に吐出された塗布液を示している。
【0064】
また、パターン始端部の近傍おいては折り返し前に吐出ノズル523と基板Wとのギャップを小さな値から次第に増大させる一方、パターン終端部近傍においては塗布液への加圧を停止するとともに吐出ノズル523と基板Wとのギャップを減少させているので、吐出開始直後および加圧停止後の吐出量の不安定な期間におけるパターンの乱れを防止することができる。これは、吐出口525を基板Wに近接させることで吐出口525と基板W表面との間に表面張力により塗布液を滞留させ、この状態で吐出ノズル523を移動させることで、塗布液が断続的に基板Wに落下するのを防止することを意図したものである。このようにすることで、吐出量が少ない吐出開始直後および加圧停止後においても連続的なパターンを安定して形成することができる。
【0065】
こうしてフィンガー電極となるライン状パターンを形成された基板Wについては、続いて焼成処理を行ってパターンをより確実に硬化させておくことが望ましい。こうすることで、光照射を受けなかった終端部近傍の塗布液についても確実に硬化させることができる。そして、さらにフィンガー電極と交わるバス電極を形成することで、太陽電池モジュールとして機能させることができる。なお、バス電極が予め形成された基板に対して、上記のようにしてフィンガー電極形成を行うようにしてもよい。
【0066】
以上説明したように、この実施形態では、ステージ3および吐出ノズル523がそれぞれ本発明の「保持手段」および「ノズル」として機能する一方、ステージ移動機構2が本発明の「移動手段」および「間隔制御手段」として機能している。
【0067】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、ノズルの折り返しによる端部形状の維持という共通した技術思想の下、パターン始端部および終端部のそれぞれについて、ノズルの折り返し動作およびギャップ制御を行っているが、パターン始端部および終端部のそれぞれにおける本実施形態の効果は互いに独立したものであり、塗布液の粘度やパターン形状に応じて始端部のみ、または終端部のみに上記のような処理を適用するようにしてもよい。
【0068】
また、折り返し前後におけるギャップの制御は折り返し動作による効果をより高める点で有効であるが、このことは本発明において必須の要件というわけではない。したがって、ギャップの制御、すなわち基板に対するノズルの接近・離間の態様が上記実施形態とは異なるものであっても、パターン始端部および終端部の少なくとも一方でノズルの折り返し動作を行う技術は本発明の範疇に包含されるというべきものである。例えば図6に破線で示したように、吐出開始時点で吐出ノズル523と基板Wとのギャップ量をG1としておき、吐出ノズルの折り返し動作のみを行うようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では吐出ノズル523を固定した状態で基板Wを載置するステージ3を移動させることで、水平方向および上下方向における吐出ノズル523と基板Wとの相対移動を実現しているが、吐出ノズル523を移動させるようにしてもよい。ただし、ノズルを固定した状態でも上記のようにパターン端部近傍において吐出量が変動することから、ノズルを動かしたり振動を与えることは好ましくなく、この意味においては、上記実施形態のように基板Wを移動させる構成がより好ましい。
【0070】
また、上記実施形態では塗布液に光硬化性材料を含有させるとともに塗布後の塗布液に光照射を行って硬化を促進させているが、光硬化を伴わない塗布技術にも本発明を適用することが可能である。
【0071】
また、上記各実施形態では基板Wの片面にのみ配線を形成しているが、基板Wの両面に配線を形成する場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0072】
また、上記各実施形態ではシリコン基板上にフィンガー電極配線パターンを形成して太陽電池としての光電変換デバイスを製造しているが、基板はシリコンに限定されるものではない。例えば、ガラス基板上に形成された薄膜太陽電池や、太陽電池以外のデバイスにパターンを形成する際にも、本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
この発明は、基板上に所定のパターン、例えば太陽電池基板上のフィンガー電極配線パターンのような細いパターンを安定して形成するための技術に対して特に好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
2 ステージ移動機構(移動手段、間隔制御手段)
3 ステージ(保持手段)
52 シリンジポンプ
53 光照射部
523 吐出ノズル(ノズル)
525 吐出口
Ds 走査移動方向
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に沿ってノズルを所定の走査移動方向に相対移動させながら、前記ノズルの吐出口からパターンを形成するための材料を含む塗布液を連続的に吐出させて、前記基板表面にライン状パターンを形成し、
前記基板表面に対する前記ノズルの相対位置が所定のパターン終端位置に達した後、前記基板の表面に沿って前記ノズルを前記走査移動方向とは反対方向に移動させながら、前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止させる
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記基板表面に対する前記ノズルの相対位置が前記パターン終端位置に達する前に、前記塗布液の吐出量を次第に低減させる請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記ノズル内の前記塗布液を加圧することで前記塗布液を前記吐出口から吐出させ、しかも、前記塗布液に対する加圧を停止することにより前記吐出量を低減させる請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記吐出量の低減を開始すると同時に、または開始後に、前記基板に対する前記ノズルの移動速度を漸減させながら前記ノズルを前記パターン終端位置まで移動させる請求項2または3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記吐出量の低減を開始すると同時に、または開始後に、前記吐出口と前記基板表面との間隔を漸減させながら前記ノズルを前記パターン終端位置まで移動させ、前記ノズルが前記パターン終端位置に到達すると、前記吐出口と前記基板表面との間隔を増大させて前記ノズルを前記走査移動方向とは反対方向に移動させる請求項1ないし4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記吐出量の低減を開始する時の前記走査移動方向における前記基板表面に対する前記ノズルの相対位置が、前記吐出量がゼロとなる時の前記走査移動方向における前記基板表面に対する前記ノズルの相対位置と同じである請求項1ないし5のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項7】
基板の表面に沿ってノズルを所定の走査移動方向に相対移動させながら、前記ノズルの吐出口からパターンを形成するための材料を含む塗布液を連続的に吐出させて前記基板表面にライン状パターンを形成するパターン形成方法において、
前記塗布液の吐出を開始する際、前記基板表面に対向させた前記吐出口から塗布液の吐出を開始するとともに、該開始から所定の期間、前記ノズルを前記基板の表面に沿って前記走査移動方向とは反対方向に移動させ、その後に、前記ノズルを前記基板の表面に沿って前記走査移動方向に移動させる
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項8】
前記吐出口から前記塗布液を吐出開始した直後に、前記ノズルを前記走査移動方向とは反対方向に移動させながら、前記吐出口と前記基板表面との間隔を漸増させる請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
前記塗布液として光硬化性材料を含む塗布液を使用し、前記基板表面に吐出された前記塗布液に対して光を照射する請求項1ないし8のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項10】
基板を保持する保持手段と、
パターンを形成するための材料を含む塗布液を連続的に吐出する吐出口を有するノズルと、
前記保持手段に保持された前記基板の表面に沿って前記ノズルを所定の走査移動方向に相対移動させる移動手段と
を備え、
前記移動手段は、前記吐出口からの前記塗布液の吐出開始直後および吐出停止直前の少なくとも一方において、前記ノズルを所定期間、前記基板の表面に沿って前記走査移動方向とは反対方向に移動させる
ことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項11】
前記吐出口と前記基板表面との間隔を制御する間隔制御手段を備える請求項10に記載のパターン形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71244(P2012−71244A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217311(P2010−217311)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】