説明

パターン形成方法

【課題】ダブルパターニング法を用いる場合にパターンの疎密に拘わらず、所望のパターンを形成できるようにする。
【解決手段】第1のレジスト膜に第1の露光光を照射し第1の現像を行なうことにより、配線溝パターンを含む第1の領域Aに第1パターン5aを形成すると共に、第1の領域Aと接続され且つ配線溝パターンと比べてパターン密度が疎である第2の領域Bにダミーパターン5bを形成する。その後、第1のレジスト膜を硬化し、硬化した第1のレジスト膜の上に、第2のレジスト膜9を形成する。その後、第2のレジスト膜9に第2の露光光を照射し第2の現像を行なうことにより、第1の領域Aに第2パターン9aを形成する。該第2パターン9aを形成する際に、第1の領域Aには、第1パターン5a及び第2パターン9aにより配線溝パターン2aが形成される一方、第2の領域Bは、ダミーパターン5bの開口部が第2のレジスト膜9によって埋められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の基板に2回以上の露光を行うことによりパターンを形成するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化が極限にまで進むなか、光リソグラフィの解像度の限界を超える寸法のパターンを形成する必要が出てきている。光で解像できる最小ピッチは、光学理論により限界点が示されている。ここで、解像度はレーリー(Rayleigh)の式で示され、R=k1・λ/NA(但し、R:解像寸法、λ:光源波長、NA:レンズ開口数、k1:プロセスファクタ)である。例えば、光源波長λ=193nm、NA=1.35の水による液浸露光の条件において、最小k1=0.25であることから、解像寸法Rは35.7nmとなり、限界ピッチはその2倍の71.4nmとなる。ところが、22nm世代のデバイスでは、配線ピッチに64nmを要求されることから、従来の露光技術では不可能となる。このような状況のなか、2回の露光でパターンを別々に形成してこれらを合成することにより、パターンピッチを2倍にまで緩和する、いわゆるダブルパターニング法が提案されている。
【0003】
ダブルパターニング法には、露光とエッチングとを2回ずつ繰り返すリソ・エッチ・リソ・エッチ(Litho-Etch-Litho-Etch:LELE)法がある(例えば、非特許文献1を参照。)。さらに、エッチング工程を削減して工程の簡略化を図った、リソ・プロセス・リソ・エッチ(Litho-Process-Litho-Etch:LPLE)法も提案されている(例えば、非特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】M. Maenhoudt et al. "Double Patterning scheme for sub-0.25 k1 single damascene structures at NA=0.75, λ=193nm", Proceedings of SPIE, Vol. 5754 (2005), pp.1508-1518
【非特許文献2】A. Vanleenhove et al. "A litho-only approach to double Patterning", Proceedings of SPIE, Vol. 6520, (2007), pp.65202F-1 - 65202F-10
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−303824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のダブルパターンニング法は、LELE法においても、LPLE法においても、1回目のパターンの上に2回目のパターンを形成する際に、1回目のパターンの疎密から生じる段差によって不具合が生じる。具体的には、2回目に塗布するレジスト膜の膜厚が上記の段差によって不均一となることにより、パターン寸法に所望の値を得られないという問題が生じる。特に、配線形成工程のようにパターンに密な部と疎な部とが存在する場合には、特に顕著となる。
【0007】
以下、図5(a)〜図5(e)を用いて、従来のLPLE法によるダブルパターニングによるパターン形成方法及び配線形成方法を説明する。
【0008】
まず、図5(a)に示すように、基板100の上に層間絶縁膜101を堆積し、堆積した層間絶縁膜101の上にハードマスク形成膜102と反射防止膜103とを成膜する。その後、反射防止膜103の上に第1のレジスト膜を塗布して成膜し、第1の露光及び第1の現像を行って、第1のレジスト膜から第1のレジストパターン104Aを形成する。第1のレジストパターン104Aは、パターンが比較的に密な第1の領域Aと、パターンが第1の領域Aと比べて疎な第2の領域Bとに形成される。その後、第1のレジストパターン104Aに対して熱処理を行って、第1のレジストパターン104Aを硬化する。
【0009】
次に、図5(b)に示すように、硬化した第1のレジストパターン104Aの上に、第2のレジスト膜105を塗布して成膜する。ここで、第2の領域Bにおいて、第2のレジスト膜105は下地層として第1のレジストパターン104Aが存在するため、反射防止膜103の表面を基準として第2のレジスト膜105の表面までの高さが高くなる一方、膜厚が薄くなる。これに対し、第1の領域Aにおいては、第2のレジスト膜105は、下地層の第1のレジストパターン104Aにおける開口部によって、反射防止膜103の表面を基準として第2のレジスト膜105の表面までの高さが低くなる一方、第1のレジストパターン104Aのスペース部において、第2の領域Bの境界付近では膜厚が厚くなる。このようにして、第1のレジストパターン104Aの疎密に依存して、第2のレジスト膜105の膜厚に不均一が生じる。
【0010】
次に、図5(c)に示すように、第2のレジスト膜105に対して第2の露光と第2の現像とを行って、第2のレジストパターン105Aを得る。このとき、第1の領域Aにおいては、パターン105aは所望の寸法に仕上がっているのに対し、第1の領域Aにおける第2の領域Bとの境界部に形成されたパターン105bは膜厚が厚いため、所望の寸法よりも太く仕上がってしまう。
【0011】
次に、第1のレジストパターン104Aと第2のレジストパターン105Aとをマスクとして、反射防止膜103及びハードマスク形成膜102をエッチングして、ハードマスクを形成する。続いて、形成されたハードマスクを用いて、層間絶縁膜101をエッチングして、該層間絶縁膜101に配線溝パターンを形成する。その後、ハードマスクを除去すると、図5(d)に示す状態を得る。ここで、第1の領域Aの中央部において、層間絶縁膜101に形成された配線溝パターン101aは所望の寸法に仕上がる。一方、第1の領域Aの第2の領域Bとの境界部に位置する配線溝パターン101bは所望の寸法と比べてより細く形成される。
【0012】
次に、図5(e)に示すように、配線溝パターンが形成された層間絶縁膜101の上に、配線形成用の金属膜を成膜し、該金属膜の不要部分を除去することにより、層間絶縁膜101に埋め込まれた複数の金属配線106が形成される。ここでも、第1の領域Aの中央部においては、金属配線106は所望の寸法に仕上がり、第2の領域Bとの境界部においては、金属配線106は細く形成されてしまう。このように、金属配線106の寸法ばらつきは、第2のレジスト膜105を塗布する際の膜厚の不均一性に由来する。
【0013】
なお、図5(c)において、第2のレジストパターン105a、105bのように、パターンの疎密によってパターン幅が異なるのは、第2のレジスト膜105がポジ型の場合、第2のレジスト膜105の膜厚が厚い領域では、その膜厚が薄い領域と比べて露光量が不足するからである。
【0014】
本発明は、前記の問題に鑑み、パターン形成にダブルパターニング法を用いる場合に、パターンの疎密に拘わらず、所望のパターンを形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するため、本発明は、パターン形成方法を、パターンが密な領域と接する該パターンが疎な領域に第1のレジスト膜からダミーパターンを形成し、その後形成する第2のレジスト膜により、ダミーパターンを埋め込む構成とする。
【0016】
具体的に、本発明に係るパターン形成方法は、基板の上に、第1のレジスト膜を形成する工程(a)と、第1のレジスト膜に第1の露光光を選択的に照射し、第1の現像を行なうことにより、配線溝パターンを含む第1の領域に第1のパターンを形成すると共に、第1の領域と接続され且つ配線溝パターンと比べてパターン密度が疎である第2の領域に第1のダミーパターンを形成する工程(b)と、第1のパターン及び第1のダミーパターンが形成された第1のレジスト膜を硬化する工程(c)と、工程(c)よりも後に、硬化された第1のレジスト膜の上に、第2のレジスト膜を形成する工程(d)と、第2のレジスト膜に第2の露光光を選択的に照射し、第2の現像を行なうことにより、第1の領域に第2のパターンを形成する工程(e)とを備え、工程(e)において、第1の領域には、第1のパターン及び第2のパターンにより配線溝パターンを含む開口部が形成される一方、第2の領域は、第1のダミーパターンの開口部が第2のレジスト膜によって埋められる。
【0017】
本発明のパターン形成方法によると、工程(e)において、第1の領域には、第1のパターン及び第2のパターンにより配線溝パターンを含む開口部が形成される一方、第2の領域は、第1のダミーパターンの開口部が第2のレジスト膜によって埋められる。このため、第2の領域に形成される第2のレジスト膜は、第1のダミーパターンが埋められるので、第1の領域の第2の領域との境界部分において、膜厚が第1の領域よりも厚くなることがない。従って、第1の領域において、第2のパターンを所望の寸法に仕上げることができる。
【0018】
本発明のパターン形成方法は、工程(e)において、第2の領域における第1のレジスト膜の上に、該第1のレジスト膜を露出する開口部を有する第2のダミーパターンを形成してもよい。
【0019】
このように、第2のダミーパターンに開口部を形成しても、該開口部が第1のレジスト膜の上に開口されている限りは、基板が露出しないことから、不要なパターン(ダミーパターン)が基板に形成されることがない。
【0020】
本発明のパターン形成方法は、工程(b)において、第2の領域における第1のダミーパターンとして、第1の領域の外周部に開口部を形成してもよい。
【0021】
本発明のパターン形成方法において、第1のダミーパターンの開口部は、第1のパターンの開口部と接続していてもよい。
【0022】
本発明のパターン形成方法において、第2の領域は、第2のレジスト膜の塗布膜厚をTとした場合に、第1の領域との境界から2Tの距離よりも内側の領域であってもよい。
【0023】
この場合に、工程(e)において、第2のダミーパターンは、第2の領域の全体に形成してもよい。
【0024】
また、この場合に、工程(b)において、第1のダミーパターンの開口率は、第1のパターンの開口率の±20%以内であってよい。
【0025】
また、この場合に、第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンの少なくとも一方は、第2の領域の外側の第3の領域に形成されていてもよい。
【0026】
なお、ダミーパターンとは、回路設計時には存在せず、電気特性的に電流を流す配線として機能しないパターンであり、その形状については、特に問われない。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るパターン形成方法によると、ダブルパターニングを行う際に、最初に形成されるレジストパターンの疎密に拘わらず、2回目以降の露光に際して所望の寸法のレジストパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1(a)〜図1(e)は本発明の第1の実施形態に係るパターン形成方法を示す工程順の断面図であり、図1(a)は図2(a)のIa−Ia線における断面図であり、図1(c)は図2(c)のIc−Ic線における断面図である。
【図2】図2(a)〜図2(c)は本発明の第1の実施形態に係るパターン形成方法を示す工程順の平面図であり、図2(a)は第1の露光後の第1のレジストパターンの平面図であり、図2(b)は第2の露光後の第2のレジストパターンの平面図であり、図2(c)は第2の露光後の第1のレジストパターンと第2のレジストパターンとを重ね合わせた平面図である。
【図3】図3は2回の露光により形成された金属配線パターンの理想状態を示す平面図である。
【図4】図4(a)〜図4(c)は本発明の第2の実施形態に係るパターン形成方法を示す工程順の平面図であり、図4(a)は第1の露光後の第1のレジストパターンの平面図であり、図4(b)は第2の露光後の第2のレジストパターンの平面図であり、図4(c)は第2の露光後の第1のレジストパターンと第2のレジストパターンとを重ね合わせた平面図である。図4(d)は図4(a)のIVd−IVd線における断面図であり、図4(e)は図4(c)のIVe−IVe線における断面図である。
【図5】図5(a)〜図5(e)は従来のパターン形成方法を示す工程順の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るパターン形成方法について図1(a)〜図1(e)及び図2(a)〜図2(c)を参照しながら説明する。
【0030】
第1の実施形態においては、ダブルパターニング法のうち、リソ・プロセス・リソ・エッチ(LPLE)法を用いたパターン形成方法を行う。
【0031】
まず、図1(a)に示すように、例えばシリコン(Si)からなる基板1の上に、酸化シリコン(SiO)を主成分とする層間絶縁膜2を堆積し、堆積した層間絶縁膜2の上に、公知のハードマスク形成膜3と反射防止膜4とを成膜する。その後、反射防止膜4の上に第1のレジスト膜を塗布して成膜し、第1の露光及び第1の現像を行って、第1のレジスト膜から第1のレジストパターン5Aを形成する。第1のレジストパターン5Aは、パターンが比較的に密な第1の領域Aに形成される第1パターン5aと、第1の領域Aと接続され且つ該第1の領域Aと比べてパターンが疎な第2の領域Bに形成されるダミーパターン5bとから構成される。ここで、パターンが比較的に密な第1の領域Aは配線パターン形成領域であり、第1の領域Aよりもパターンが疎な第2の領域Bとは、第1の領域Aを囲む領域であって、且つレジスト膜の塗布膜厚をTとしたときに、第1の領域Aの境界から2Tの距離の内側に位置する領域をいう。さらに、ここでは、第2の領域Bの外側に、第3の領域Cを設けている。
【0032】
第1の実施形態においては、第1のレジストパターン5Aにおける最小寸法が32nmであり、第2のレジスト膜の塗布膜厚は100nmとしている。従って、第2の領域Bは、第1の領域Aとの境界から2Tnm、すなわち膜厚の2倍の200nmまでの範囲である。第2の領域Bには配線パターンは存在せず、この第2の領域Bに新たにダミーパターン5bを形成する。なお、ダミーパターン5bの平面形状は任意である。
【0033】
図1(a)と対応する図2(a)に示すように、例えば、ダミーパターン5bは、第1の領域A内の第1パターン5aと同様の方向に延びる直線状のラインパターンを、上下に2本、左右に2本配置し、残りの部分をスペースとしている。第1の露光で形成するダミーパターン5bの開口率は、第1の露光時における第1の領域Aの開口パターンの開口率に対して±20%以内に設定するのが望ましい。このように、第2の領域Bの開口率を第1の領域Aの開口率に近づけることにより、第2の露光前に塗布する第2のレジスト膜の膜厚が厚くなりすぎたり、薄くなりすぎたりすることを防ぐことができる。
【0034】
その後、第1のレジストパターン5Aを所定の熱処理により硬化する。
【0035】
次に、図1(b)に示すように、硬化した第1のレジストパターン5Aの上に、第2のレジスト膜9を塗布して成膜する。このとき、第2の領域Bに形成された第2のレジスト膜9は、下地層である第1のレジストパターン5Aの各開口部にその一部が入り込む。これにより、第2のレジスト膜9の膜厚は、第3の領域Cとの境界部分で変化するため、第1の領域Aにおいては、その全体にわたって、反射防止膜4の表面を基準として第2のレジスト膜5の表面までの高さがほぼ均一となる。すなわち、第1の領域A内においては、第1のレジストパターン5Aのスペース部において、第2のレジスト膜9の膜厚がほぼ同一となる。
【0036】
次に、図1(c)に示すように、第2のレジスト膜9に対して第2の露光及び第2の現像を行って、第2のレジスト膜9から第2のレジストパターン9Aを形成する。このとき、第1の領域Aの中央部には、第2のレジストパターン9Aの第2パターン9aと第1のレジストパターン5Aの第1パターン5aとから第1の開口パターン10が形成される。これと同時に、第1の領域Aの第2の領域Bとの境界部には、第2のレジストパターン9Aの第2パターン9aと第1のレジストパターン5Aの第1パターン5aとから第2の開口パターン11が形成される。さらに、第1の領域Aの中央部に形成された第1の開口パターン10とその境界部に形成された第2の開口パターン11とは、いずれも所望の寸法に仕上がっている。また、本実施形態の特徴として、第2のレジストパターン9Aに対して、第1のレジストパターン5Aに形成されていたダミーパターン5bの開口部には、ダミーの開口パターンを形成しない。
【0037】
次に、第1のレジストパターン5Aと第2のレジストパターン9Aとをマスクとして、反射防止膜4及びハードマスク形成膜3をエッチングして、ハードマスク形成膜3からハードマスク(図示せず)を形成する。続いて、形成されたハードマスクを用いて、層間絶縁膜2をエッチングして、該層間絶縁膜2の上部に複数の配線溝パターン2aを形成する。その後、ハードマスクを除去すると、図1(d)に示す状態を得る。このとき、第1の領域Aに形成された配線溝パターン2aは、中央部でも境界部でも所望の寸法に仕上がる。
【0038】
次に、図1(e)に示すように、配線溝パターン2aが形成された層間絶縁膜2の上に、めっき法、物理的気相堆積(PVD)法又は化学的気相堆積(CVD)法等により、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等からなる配線形成用の金属膜を成膜して、各配線溝パターン2aを埋め込む。その後、金属膜の不要部分を化学機械研磨(CMP)法等により除去することにより、層間絶縁膜2に埋め込まれた複数の金属配線14a、14bを形成する。
【0039】
第1の実施形態においては、第1の領域Aの中央部に形成された第1の金属配線14aと、第1の領域Aの境界から外側に200nmの範囲にある第2の領域Bの境界部の近傍に形成された第2の金属配線14bとは、共に所望の寸法に仕上がる。さらに、図1(c)に示すように、本実施形態においては、第1のレジストパターン5Aに形成したダミーパターン5bを第2のレジスト膜9によって埋め込むため、層間絶縁膜2に不要なダミー配線が形成されることがない。
【0040】
次に、第1の実施形態に係るパターン形成方法を、図2(a)〜図2(c)及び図3を参照しながら説明する。
【0041】
図3は2回の露光により形成された金属配線パターン50の理想状態の平面構成を示している。図3に示すように、金属配線パターン50は配線が比較的に密に形成されており、また、配線パターンの周囲には他の配線が配置されていない。このような配線パターンをリソ・プロセス・リソ・エッチ法によるダブルパターニング法で形成する場合、レジストパターンを2つに分割して2回の露光により形成する必要がある。
【0042】
第1の実施形態においては、図2(a)に示す第1のレジストパターン5Aと、図2(b)に示す第2のレジストパターン9Aとから、両パターン5A、9Aを合成した図2(c)に示す第2の露光後のレジストパターンを形成する。
【0043】
図2(a)に示すように、第1の露光後に形成された、第1の領域Aの第1のレジストパターン5Aを構成する第1パターン5aは所望の寸法に形成されている。また、第2の領域Bには、第1のレジストパターン5Aを構成するダミーパターン5bが形成されている。
【0044】
さらに、図2(a)に示すように、第2の領域Bに形成されるダミーパターン5bの開口部と、第1の領域Aに形成される第1パターン5aの開口部とは互いに繋がっていてもよい。このようにすると、第1の領域Aと第2の領域Bとの境界部分にレジストが存在しないため、後工程の第2のレジスト膜9の塗布時の第1の領域A内における膜厚の均一性が向上するという効果を得る。
【0045】
なお、第2の領域Bに形成したダミーパターン5bのさらに外周部に位置する第3の領域Cにおいても、第1のレジストパターン5Aが形成されている。
【0046】
次に、図2(b)に、第2の露光及び第2の現像後の第2のレジストパターン9Aの平面構成を示す。ここでは、説明の便宜上、第1のレジストパターン5Aを図示しておらず、図2(c)に第1のレジストパターン5Aと第2のレジストパターン9Aとを重ね合わせた状態を示す。図2(b)に示すように、第1の領域Aにおける第2のレジストパターン9Aの第2パターン9aは境界部付近も含め全て所望の寸法に形成されている。これは、図1(b)及び図2(a)に示すように、第2の領域Bに形成した第1のレジストパターン5Aのダミーパターン5bの開口部に第2のレジスト膜9が入り込むことにより、第1の領域Aにおいて、第2のレジスト膜9の膜厚がほぼ等しくなるためである。
【0047】
図2(c)に示すように、第1の領域Aにおいて、第1のレジストパターン5Aの第1パターン5aと、第2のレジストパターン9Aの第2パターン9aとから形成される各開口部が最終的に金属配線パターンとなる。第1パターン5a及び第2パターン9aにおける各開口部の寸法は、前述したように所望の寸法に仕上がっている。また、第1の露光及び第1の現像により第2の領域Bに形成された第1のレジストパターン5Aのダミーパターン5bは、その後に、第2の領域Bに形成される第2のレジストパターン9Aによって覆われる。すなわち、第1のレジストパターン5Aのダミーパターン5bの開口部は、第2のレジストパターン9Aによって埋め込まれる。これにより、第2の領域Bに形成されたダミーパターン5bには開口部がなくなる。
【0048】
この後、図1で説明したように、金属配線パターンを転写したハードマスクを用いて、層間絶縁膜2をエッチングして配線溝パターン2aを形成し、形成した配線溝パターン2aに金属膜を埋め込み、さらに、余剰の金属膜を除去すると、図3に示す金属配線パターン50と同等の金属配線パターンを得る。このとき、得られた金属配線パターンは設計通りに仕上がっており、不要なダミー金属配線が形成されることもない。従って、不要なダミー金属配線による配線間の寄生容量の増大を防止することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るパターン形成方法について図4(a)〜図4(e)を参照しながら説明する。図4において、図1及び図2に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0050】
図4(a)及び図4(d)に示すように、第2の実施形態においては、第1のレジストパターン5Aにおける第2の領域B及びその外側の第3の領域Cの全面にわたって、いわゆる市松模様状に、上下左右に交互に開口部を有するダミーパターン5bを形成する。
【0051】
このように、第1のレジストパターン5Aに形成するダミーパターン5bを、第2の領域B及び第3の領域Cの全面に形成することにより、後述するように、ダミーパターン5bによる露光時のフレア及び現像時に生じる影響を、第1の領域Aに形成される第1パターン5aと同程度に近づけることができる。このとき、第2の領域Bに形成されたダミーパターン5bの開口率は第1の領域Aの第1パターン5aの開口率と同一か又は±20%以内に設定することが望ましい。このように、第2の領域Bにおけるダミーパターン5bの開口率を第1の領域Aの第1パターン5aの開口率に近づけることにより、第2の露光前に塗布する第2のレジスト膜9の膜厚が厚くなり過ぎたり、薄くなり過ぎたりすることを防止できる。
【0052】
さらに、第1のレジストパターン5Aにおいて、第2の領域Bに形成されたダミーパターン5bの開口部と、第1の領域Aに形成された第1パターン5aの開口部とは互いに繋がっていてもよい。このようにすると、第1の領域Aと第2の領域Bとの境界部分にレジストパターンが存在しないことにより、後工程で成膜される第2のレジスト膜9における塗布時の膜厚の均一性が向上する。
【0053】
次に、図4(b)に、第2の露光及び第2の現像後における第2のレジストパターン9Aの平面構成を示す。ここでは、説明の便宜上、第1のレジストパターン5Aを図示しておらず、図4(c)に第1のレジストパターン5Aと第2のレジストパターン9Aとを重ね合わせた状態を示す。図4(b)に示すように、第2の領域B及び第3の領域Cに形成された第2のレジストパターン9Aが、第2の領域B及び第3の領域Cに形成された第1のレジストパターン5Aにおける市松模様を持つダミーパターン5bの各開口部をそれぞれ埋めている。具体的には、第2の領域B及び第3の領域Cに形成された第2のレジストパターン9Aは、ダミーパターンとして、第1のレジストパターン5Aのダミーパターン5bを反転した市松模様を持つ。すなわち、第2のレジストパターン9Aは、複数の開口部を有するものの、各開口部は第1のレジスト膜の上にのみ形成されている。従って、反射防止膜4は第1のレジストパターン5A及び第2のレジストパターン9Aのいずれかで必ず覆われているため、反射防止膜4が露出することはない。従って、層間絶縁膜2にはエッチングによる不要な溝(ダミー溝)が形成されることはない。また、このとき、第1の実施形態と同様に、第1の領域Aにおける第2のレジストパターン9Aからなる第2パターン9aは、第2の領域Bとの境界部付近をも含めて所望の寸法に形成されている。これは、第2の領域Bに形成した第1のレジストパターン5Aからなるダミーパターン5bの開口部によって、第1の領域Aと第2の領域Bとで第1のレジストパターン5Aと第2のレジストパターン9Aとの膜厚が等しくなるためである。
【0054】
なお、第2の実施形態に係る第2のレジストパターン9Aは、必ずしも第2の領域B及び第3の領域Cにおける第1のレジストパターン5Aの反転パターンである必要はない。必要なことは、第1のレジストパターン5Aのダミーパターン5bの各開口部が埋められることである。従って、第2の領域B及び第3の領域Cの第2のレジストパターン9Aに開口部を設けるのであれば、第1のレジストパターン5Aのレジスト膜上に限られる。
【0055】
また、第2のレジストパターン9Aに複数の開口部、ここでは市松模様の開口部を設けることにより、第2のレジストパターン9Aの第2の領域B及び第3の領域Cにおける開口率を第1の領域Aの各レジストパターン5A、9Aの開口率に近づけることができる。これにより、露光時に発生するフレアの影響による寸法変動の影響を第1の露光工程と同一のレベルに近づけることが可能となる。その結果、第2の露光工程においても、第1の露光工程と同程度の設計寸法に近づけることができる。
【0056】
さらに、第2のレジストパターン9Aに複数の開口部を設けていることにより、現像時の溶解均一性を向上することができる。これにより、現像時にレジスト膜が溶解する部分、すなわちレジスト膜の開口部分が多い領域と少ない領域とにおいて、現像液の濃度変化が異なることに起因する寸法変化を均一化することができる。その結果、第1の領域Aに形成される第1パターン5a及び第2パターン9aをより一層所定の寸法に近づけることができる。
【0057】
図4(c)に示すように、第1の領域Aにおいて、第1のレジストパターン5Aの第1パターン5aと、第2のレジストパターン9Aの第2パターン9aとから形成される各開口部が最終的に金属配線パターンとなる。第1パターン5a及び第2パターン9aにおける各開口部の寸法は、前述したように所望の寸法に仕上がっている。また、第1の露光及び第1の現像工程により第2の領域B及び第3の領域Cに形成された第1のレジストパターン5Aのダミーパターン5bは、その後に、第2の領域B及び第3の領域Cに形成される第2のレジストパターン9Aによって各開口部が埋め込まれる。すなわち、第2のレジストパターン9Aで覆われる第2の領域B及び第3の領域Cのダミーパターン5bには開口部が存在しない。
【0058】
この後は、前述したように、金属配線パターンを転写したハードマスクを用いて、層間絶縁膜2をエッチングして配線溝パターン2aを形成し、形成した配線溝パターン2aに金属膜を埋め込み、さらに、余剰の金属膜を除去すると、図3に示す金属配線パターン50と同等の金属配線パターンを得ることができる。このとき、得られた金属配線パターンは設計通りに仕上がっており、不要なダミー金属配線が形成されることもない。従って、不要なダミー金属配線により、配線間の寄生容量が増大することを防止できる。
【0059】
なお、第2の実施形態において、第2の領域B及び第3の領域Cに形成された市松模様状のダミーパターン5b及び第2のレジストパターン9Aは、第2の領域Bにのみ形成してもよい。なお、市松模様状のパターンを第2の領域Bとその外側の第3の領域Cにわたって形成すると、現像時の溶解均一性を向上することができるので、所望のパターンの寸法均一性を向上することが可能となる。
【0060】
また、第3の領域Cに形成されるパターンは、ダミーパターン5b及び第2のレジストパターン9Aの両方であってもよく、いずれか一方でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るパターン形成方法は、ダブルパターニングを行う際に、パターンの疎密に拘わらず所望のパターンを形成することができ、特に22nm世代以降の微細デバイス製造に用いるパターン形成方法等に有用である。
【符号の説明】
【0062】
A 第1の領域(密な領域)
B 第2の領域(疎な領域)
C 第3の領域(外側領域)
1 基板
2 層間絶縁膜
2a 配線溝パターン
3 ハードマスク形成膜
4 反射防止膜
5A 第1のレジストパターン
5a 第1パターン
5b ダミーパターン
9 第2のレジスト膜
9a 第2パターン
10 第1の開口パターン
11 第2の開口パターン
14a 金属配線
14b 金属配線
50 金属配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に、第1のレジスト膜を形成する工程(a)と、
前記第1のレジスト膜に第1の露光光を選択的に照射し、第1の現像を行なうことにより、配線溝パターンを含む第1の領域に第1のパターンを形成すると共に、前記第1の領域と接続され且つ前記配線溝パターンと比べてパターン密度が疎である第2の領域に第1のダミーパターンを形成する工程(b)と、
前記第1のパターン及び第1のダミーパターンが形成された前記第1のレジスト膜を硬化する工程(c)と、
前記工程(c)よりも後に、硬化された前記第1のレジスト膜の上に、第2のレジスト膜を形成する工程(d)と、
前記第2のレジスト膜に第2の露光光を選択的に照射し、第2の現像を行なうことにより、前記第1の領域に第2のパターンを形成する工程(e)とを備え、
前記工程(e)において、前記第1の領域には、前記第1のパターン及び第2のパターンにより前記配線溝パターンを含む開口部が形成される一方、前記第2の領域は、前記第1のダミーパターンの開口部が前記第2のレジスト膜によって埋められることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記工程(e)において、前記第2の領域における前記第1のレジスト膜の上に、該第1のレジスト膜を露出する開口部を有する第2のダミーパターンを形成することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記工程(b)において、前記第2の領域における前記第1のダミーパターンとして、前記第1の領域の外周部に開口部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記第1のダミーパターンの開口部は、前記第1のパターンの開口部と接続していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記第2の領域は、前記第2のレジスト膜の塗布膜厚をTとした場合に、前記第1の領域との境界から2Tの距離よりも内側の領域であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記工程(e)において、前記第2のダミーパターンは、前記第2の領域の全体に形成することを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記工程(b)において、前記第1のダミーパターンの開口率は、前記第1のパターンの開口率の±20%以内であることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記第1のダミーパターン及び第2のダミーパターンの少なくとも一方は、前記第2の領域の外側の第3の領域に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−238782(P2011−238782A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109193(P2010−109193)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】