説明

パッド付きインストルメントパネル及びその製造方法

【課題】発泡樹脂原料をキャビティ内の基材と表皮材との間の隅々にまで行き渡らせる。
【解決手段】基材3の車体後方端縁の中途部にパネル嵌合箇所に対応して形成された凹状湾曲部に、成形時に発泡樹脂原料を注入する注入口29dを有する原料注入枠部29を一体に延設し、原料注入枠部29を表皮材19と当接させて当接箇所をシールするとともに、表皮材19との間に原料注入通路35を形成する。原料注入枠部29対応箇所を除く凹状湾曲部に、原料注入枠部29対応箇所が切欠き状となるように庇状突起部を車体後方に一体に突設する。庇状突起部の基端に、表皮材19の端末が当接して当接箇所をシールする縦壁部を下方に連続して一体に形成する。基材3と表皮材19との間に、注入口29dから原料注入通路35を経て注入された発泡樹脂原料により発泡体21を一体に成形し、表皮材19と発泡体21とからなるパッド5を基材3の表面に一体に成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パッド付きインストルメントパネル及びその製造方法の改良に関し、特にパッドの品質向上対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネルとして、表皮材と発泡体とからなるパッドが基材の表面に一体に成形されたパッド付きインストルメントパネルがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、表皮材を下型にセットするとともに基材を上型にセットして成形型を型閉じし、上記基材に形成された注入口からキャビティ内の基材と表皮材との間に発泡樹脂原料を直接に注入して発泡体を一体に成形することにより、表皮材と発泡体とからなるパッドが基材の表面に一体に成形されたインストルメントパネルを得るようにしている。この際、注入口を基材の車幅方向中程に形成し、発泡樹脂原料がキャビティ内の基材と表皮材との間の隅々にまで行き渡るようにして、欠肉等の成形欠陥のない品質の良好なパッドを成形するようにしている。
【特許文献1】特開2006−123601号公報(段落0030欄、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、インストルメントパネルのパッド部分において、基材の車体後方端縁の中途部に凹状湾曲部が形成され、該凹状湾曲部で囲まれる空所(パネル嵌合箇所)に別物のパネルが嵌合されて組み付けられたインストルメントパネルがある。
【0004】
このようなインストルメントパネルでは、基材の凹状湾曲部の車体前方端縁側において、基材の車体前後方向の幅が他の箇所に比べて大幅に狭くて発泡樹脂原料の通路断面積が極端に小さくなっているため、当該箇所近傍に注入口を形成すると、凹状湾曲部側で発泡樹脂原料の流動が悪くなり、発泡樹脂原料をキャビティ内の基材と表皮材との間の隅々にまで行き渡らせることができず、パッドに欠肉等の成形欠陥が生ずるおそれがある。さりとて、基材に注入口を大きく形成するにも自ずと限界がある。
【0005】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、発泡樹脂原料をキャビティ内の基材と表皮材との間の隅々にまで行き渡らせるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明は、発泡樹脂原料の注入箇所とその形状とを工夫したことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、パネル嵌合箇所に対応して凹状湾曲部が基材の車体後方端縁の中途部に形成され、表皮材と発泡体とからなるパッドが上記基材の表面に一体に成形されたパッド付きインストルメントパネル及びその製造方法を前提とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、請求項1〜3に記載の発明は、前者のパッド付きインストルメントパネルに関するものであり、そのうち、請求項1に記載の発明は、上記基材の凹状湾曲部には、成形時に発泡樹脂原料を注入する注入口を有する原料注入枠部が上記表皮材と当接して当該当接箇所をシールするとともに、表皮材との間に原料注入通路を形成するように一体に延設され、上記基材の原料注入枠部対応箇所を除く凹状湾曲部には、原料注入枠部対応箇所が切欠き状となるように庇状突起部が車体後方に一体に突設され、該庇状突起部の基端には、上記表皮材の端末が当接して当該当接箇所をシールする縦壁部が下方に連続して一体に形成され、上記基材と表皮材との間には、上記注入口から原料注入通路を経て注入された発泡樹脂原料により発泡体が一体に成形され、表皮材と発泡体とからなるパッドが基材の表面に一体に成形されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記原料注入枠部の原料注入通路下流端には、複数個のリブが原料注入通路の発泡樹脂原料流れ方向と交差する方向に間隔をあけて原料注入通路側に向かって一体に突設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、上記リブは、発泡樹脂原料を上記原料注入通路下流端の両側から基材及び表皮材の端末に向かって導出するように原料注入通路の発泡樹脂原料流れ方向に対して傾斜していることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、後者のパッド付きインストルメントパネルの製造方法に関するものであり、上記の前提において、成形時に発泡樹脂原料を注入する注入口を有する原料注入枠部が上記凹状湾曲部に一体に延設されているとともに、該原料注入枠部対応箇所を除く凹状湾曲部に原料注入枠部対応箇所が切欠き状となるように庇状突起部が車体後方に一体に突設され、かつ該庇状突起部の基端に縦壁部が下方に連続して一体に形成された基材と、インストルメントパネルの表面形状に成形された表皮材とを用意し、上記表皮材を第1型にセットするとともに上記基材を第2型にセットして成形型を型閉じして、上記原料注入枠部と表皮材とを当接させて当該当接箇所をシールするとともに、表皮材との間に原料注入通路を形成し、かつ上記縦壁部と表皮材の端末とを当接させて当該当接箇所をシールし、次いで、上記注入口から上記原料注入通路を経てキャビティ内の基材と表皮材との間に発泡樹脂原料を注入して発泡体を一体に成形することにより、表皮材と発泡体とからなるパッドが基材の表面に一体に成形されたインストルメントパネルを得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜4に係る発明によれば、基材の原料注入枠部対応箇所は、庇状突起部がなく切欠き状となっていて発泡樹脂原料の流動を阻害せず、しかも、上記庇状突起部がない分だけ原料注入通路の通路断面積が大きくて原料注入通路が基材と表皮材との間に大きく開口している。したがって、発泡樹脂原料を注入口から原料注入通路を経て基材の凹状湾曲部に沿って車幅方向全体に満遍なく均等に流動させて基材と表皮材との間の隅々にまで行き渡らせ、欠肉等の成形欠陥のない品質の良好なパッドを備えたインストルメントパネルを提供することができる。また、原料注入枠部(原料注入通路)は、基材の車体後方端縁の中途部に形成された凹条湾曲部に設けられているため、基材の凹状湾曲部の車体前方端縁側において、基材の車体前後方向の幅が他の箇所に比べて大幅に狭くても、このことに影響されることなく上述の如く発泡樹脂原料を基材と表皮材との間の隅々にまで行き渡らせることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、基材の原料注入枠部対応箇所は、庇状突起部がなく切欠き状となっていても、原料注入枠部の原料注入通路下流端に一体に突設されている複数個のリブにより、当該箇所(車体後方端縁)のパッドの型崩れを防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、発泡樹脂原料を原料注入通路から基材と表皮材との間の隅々にまでスムーズに誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0016】
図6はこの発明の一実施形態に係るインストルメントパネル1を示す。このインストルメントパネル1は、図5に示すような樹脂製基材3の表面に部分的に樹脂製パッド5が一体に成形されてなるものであり、本例では、上記パッド5は、インストルメントパネル1のアッパー部分において車幅方向に延びる車体前方端縁部分を除くほぼ全体に亘って設けられている。パッド5が設けられている領域を図6に網目を付して表し、網目を付していない車体前端部分にはフロントデフロスターエア吹出口7が形成され、当該領域では基材3がむき出しになっている。8は車幅方向両端に形成されたサイドデフロスターエア吹出口、9は該サイドデフロスターエア吹出口8の下方に接近して形成されたサイドベントエア吹出口、11はエアバッグ装置装着用の矩形エアバッグドアである。このようなインストルメントパネル1には、図7に示すように、ディスプレイパネル13、センターパネル15及びメーターパネル17等の組付部品が組み付けられる。なお、上記パッド5は基材3の表面全体に一体に成形されていてもよい。
【0017】
上記パッド5は、図1及び図2に示すように、スラッシュ成形や真空成形等により成形された樹脂製表皮材19と、該表皮材19と上記基材3との間に発泡樹脂原料が硬化して成形された発泡体21とからなる。基材3はインジェクション成形等により成形されたものである。
【0018】
上記基材3の車体後方端縁の中途部(車幅方向略左側半分)の領域には、図5に示すように、上記ディスプレイパネル13が嵌合して組み付けられるパネル嵌合箇所23が形成され、該パネル嵌合箇所23に対応して凹状湾曲部25が車体後方端縁の中途部(車幅方向略左側半分)に形成されている。これにより、基材3の凹状湾曲部25の車体前方端縁側において、基材3の車体前後方向の幅が他の箇所に比べて大幅に狭くなっている。
【0019】
上記基材3の凹状湾曲部25の車幅方向右端寄り(車幅方向ほぼ中程)には、原料注入枠部29が一体に延設されている。該原料注入枠部29は、図3及び図4に拡大して示すように、正面壁部29a、左右の両側壁部29b及び底壁部29cからなり、該底壁部29cには、成形時に発泡樹脂原料を注入する円形の注入口29dが形成されている。
【0020】
上記基材3の原料注入枠部29対応箇所を除く凹状湾曲部25には、原料注入枠部29対応箇所が切欠き状(図3参照)となるように庇状突起部31が車体後方に一体に突設され、上記原料注入枠部29の正面壁部29aが庇状突起部31先端よりも車体前方に位置している。また、上記庇状突起部31の基端には、縦壁部33が下方に連続して一体に形成され、該縦壁部33には突条シール部33aが一体に突設され、該突条シール部33aに上記表皮材19の端末が当接して当該当接箇所をシールするようにしている。この状態で、突条シール部33aは表皮材19に食い込んでいる(図1参照)。
【0021】
一方、上記原料注入枠部29の両側壁部29bの車体後方端縁及び底壁部29cの注入口29d車体後方にも、突条シール部29eが連続して一体に突設され、該突条シール部29eは上記縦壁部33の突条シール部33aと連続している。そして、この突条シール部29eに上記表皮材19が当接して当該当接箇所をシールするとともに、表皮材19との間に原料注入通路35を形成するようになっている。この状態で、突条シール部29eは表皮材19に食い込んでいる(図2参照)。
【0022】
なお、表皮材19の車体前方端縁は、図1及び図2に示すように、基材3に形成された車幅方向に延びる凹溝部37における車体前方側の側壁部37aに発泡樹脂原料の発泡圧で圧接することによりシールされ、上記側壁部37aには突条シール部はない。同様に、表皮材19の車幅方向両端縁も、図示しないが、基材3側に発泡樹脂原料の発泡圧で圧接することによりシールされ、基材3側の突条シール部29eによるシールではない。
【0023】
上記原料注入枠部29における正面壁部29aの原料注入通路35下流端には、図3及び図4に拡大して示すように、複数個(5個)の略三角形状のリブ39が原料注入通路35の発泡樹脂原料流れ方向と交差する方向に間隔をあけて原料注入通路35側に向かって一体に突設され、これらリブ39の側面は発泡樹脂原料流れ方向と平行になっている(図4参照)。
【0024】
そして、上記基材3と表皮材19との間には、上記注入口29dから原料注入通路35を経て注入された発泡樹脂原料により発泡体21が一体に成形され、表皮材19と発泡体21とからなるパッド5が基材3の表面に一体に成形されている。
【0025】
上記原料注入枠部29の底壁部29cは、基材3を構成する部品取付用の下側枠部41に連続しており(図5参照)、パッド5成形後に、図3の一点鎖線の位置で上記下側枠部41から切り離されるようになっている。図3中、29fは切り離し易いように形成された開口であり、図3ではその一部が表れている。正面壁部29aのリブ39寄りにも、図2に示すように、切離し用の凹部29gが形成されていて、ディスプレイパネル13をパネル嵌合箇所23に嵌合して組み付ける際に、図2及び図3の一点鎖線の位置で上記凹部29gを切断することで原料注入枠部29が基材3から切り離されるようになっている。
【0026】
上述の如く構成されたインストルメントパネル1は、図8及び図9に示す成形型101を用いて成形される。
【0027】
上記成形型101は下型である第1型103と上型である第2型105とを備え、上記該第2型105には注入ヘッド107が設けられているとともに、上記第1型103には、スライドコア109が流体圧シリンダ111の伸縮作動によりスライド可能に設けられている。図8及び図9中、105aは上記注入ヘッド107が挿着される挿着孔、113はキャビティである。
【0028】
また、製造に先立ち、予め所定形状に成形された基材3と、インストルメントパネル1の表面形状に成形された表皮材19とを用意する。上記基材3には、パネル嵌合箇所23に対応して凹状湾曲部25が車体後方端縁の中途部に形成され、成形時に発泡樹脂原料を注入する注入口29dを有する原料注入枠部29が上記凹状湾曲部25に一体に延設されているとともに、該原料注入枠部29対応箇所を除く凹状湾曲部25に原料注入枠部29対応箇所が切欠き状となるように庇状突起部31が車体後方に一体に突設され、かつ該庇状突起部31の基端に縦壁部33が下方に連続して一体に形成されている(図5参照)。
【0029】
インストルメントパネル1を製造する要領は以下の如くである。
【0030】
まず、図8に示すように、第2型105を上昇させて成形型101を型開きした状態で、流体圧シリンダ111を伸長作動させてスライドコア109を前進させた後、表皮材19を第1型103にセットする。これにより、表皮材19の車体前方側の端末がスライドコア109先端に当接し、当該表皮材端末をスライドコア109先端により外方へ倒れないように保持するとともに、表皮材19を第1型103に位置決めする。この状態で、真空吸引孔(図示せず)からの負圧により表皮材19を第1型103に密着させる。一方、第2型105に基材3をセットする。その際、基材保持装置(図示せず)で基材3が第2型105から落下しないように保持する。この状態で、基材3の注入口29dが注入ヘッド107に連通している。
【0031】
次いで、図9に示すように、流体圧シリンダ111を収縮作動させてスライドコア109を後退させるとともに、第2型105を斜め上方から下降させて成形型101を型閉めする。これにより、表皮材19の車体前方側の端末が基材3の凹溝部37における車体前方側の側壁部37aに当接している。また、基材3の原料注入枠部29対応箇所を除く凹状湾曲部25では、縦壁部33の突条シール部33aに表皮材19の端末が当接して突条シール部33aが表皮材19に食い込み、当該当接箇所をシールしている。上記原料注入枠部29側でも、突条シール部29eに表皮材19が当接して突条シール部29eが表皮材19に食い込み、当該当接箇所をシールしているとともに、表皮材19との間に原料注入通路35を形成している。さらに、表皮材19の車幅方向両端縁も基材3に当接している。
【0032】
その後、上記型閉め状態で、発泡樹脂原料(図示せず)を注入ヘッド107から基材3の注入口29dから原料注入通路35を経てキャビティ113内の基材3と表皮材19との間に注入する。発泡樹脂原料が発泡してその発泡圧により、表皮材19の車体前方端縁が凹溝部37における車体前方側の側壁部37aに圧接して当該圧接箇所がシールされる。また、表皮材19の車幅方向両端縁も、基材3側に発泡樹脂原料の発泡圧で圧接して当該圧接箇所がシールされる。
【0033】
この際、基材3の原料注入枠部29対応箇所には庇状突起部31がなく、当該箇所が切欠き状となっている。しかも、原料注入通路35の通路断面積は庇状突起部31がない分だけ大きくなっているので、原料注入通路35が基材3と表皮材19との間に大きく開口している。これにより、発泡樹脂原料を注入口29dから原料注入通路35を経て基材3の凹状湾曲部25に沿って流動阻害されることなくスムーズに、かつ車幅方向全体に満遍なく均等に流動させて基材3と表皮材19との間の隅々にまで行き渡らせることができる。
【0034】
また、原料注入枠部29(原料注入通路35)は、基材3の車体後方端縁の中途部に形成された凹状湾曲部25に設けられているので、基材3の凹状湾曲部25の車体前方端縁側において、基材3の車体前後方向の幅が他の箇所に比べて大幅に狭くても、このことに影響されることなく上述の如く発泡樹脂原料を基材3と表皮材19との間の隅々にまで行き渡らせることができる。
【0035】
しかる後、発泡樹脂原料が発泡硬化して、表皮材19と発泡体21とからなるパッド5が基材3の表面に一体に成形されたインストルメントパネル1が得られる(図9及び図6参照)。
【0036】
このように、発泡樹脂原料が基材3と表皮材19との間の隅々にまで行き渡るので、欠肉等の成形欠陥のない品質の良好なパッドを備えたインストルメントパネルを提供することができる。また、成形されたパッド5の基材3の原料注入枠部29対応箇所には、庇状突起部31がなく当該箇所(車体後方端縁)が切欠き状となっているが、原料注入枠部29の原料注入通路下流端に複数個のリブ39が一体に突設されているので、パッド5の当該箇所における型崩れを防止することができる。
【0037】
しかる後、基材保持装置による基材3の保持状態を解除した後、第2型105を上昇させて成形型101を型開きし、上記成形されたインストルメントパネル1を第1型103から脱型する。
【0038】
その後、原料注入枠部29を上下2箇所の開口29f及び凹部29gのところから切断してインストルメントパネル1から切り離し、パネル嵌合箇所23にディスプレイパネル13を嵌合して組み付けるとともに、その下方にセンターパネル15やメーターパネル17を組み付ける(図7参照)。この組付け状態で、ディスプレイパネル13の外端縁が庇状突起部31で見えないように覆われて外観見栄えが向上している。
【0039】
図10は原料注入枠部29の変形例を示す。この変形例では、中央のリブ39は原料注入通路35の発泡樹脂原料流れ方向に沿っているが、その両側のリブ39は、原料注入通路35の発泡樹脂原料流れ方向に対して外側に向かって傾斜していて、発泡樹脂原料を原料注入通路35下流端の両側から基材3及び表皮材19の端末に向かって誘導するようになっているこれにより、発泡樹脂原料を原料注入通路35から基材3と表皮材19との間の隅々にまでスムーズに誘導することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、品質の優れたパッドを有するインストルメントパネル及びその製造方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図6のI−I線における断面図である。
【図2】図6のII−II線における断面図である。
【図3】基材の原料注入枠部箇所を拡大して示す斜視図である。
【図4】図3において注入口部分を除く正面図である。
【図5】基材の斜視図である。
【図6】インストルメントパネルの斜視図である。
【図7】インストルメントパネルに組付部品が組み付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】表皮材を下型にセットするとともに基材を上型にセットした型開き状態の成形型の断面図である。
【図9】型閉め状態でかつインストルメントパネルが成形された状態を示す成形型の断面図である。
【図10】変形例の図4相当図である。
【符号の説明】
【0042】
1 インストルメントパネル
3 基材
5 パッド
19 表皮材
21 発泡体
23 パネル嵌合箇所
25 凹状湾曲部
29 原料注入枠部
29d 注入口
31 庇状突起部
33 縦壁部
35 原料注入通路
39 リブ
101 成形型
103 第1型
105 第2型
113 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル嵌合箇所に対応して凹状湾曲部が基材の車体後方端縁の中途部に形成され、表皮材と発泡体とからなるパッドが上記基材の表面に一体に成形されたパッド付きインストルメントパネルであって、
上記基材の凹状湾曲部には、成形時に発泡樹脂原料を注入する注入口を有する原料注入枠部が上記表皮材と当接して当該当接箇所をシールするとともに、表皮材との間に原料注入通路を形成するように一体に延設され、
上記基材の原料注入枠部対応箇所を除く凹状湾曲部には、原料注入枠部対応箇所が切欠き状となるように庇状突起部が車体後方に一体に突設され、
該庇状突起部の基端には、上記表皮材の端末が当接して当該当接箇所をシールする縦壁部が下方に連続して一体に形成され、
上記基材と表皮材との間には、上記注入口から原料注入通路を経て注入された発泡樹脂原料により発泡体が一体に成形され、表皮材と発泡体とからなるパッドが基材の表面に一体に成形されていることを特徴とするパッド付きインストルメントパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のパッド付きインストルメントパネルにおいて、
上記原料注入枠部の原料注入通路下流端には、複数個のリブが原料注入通路の発泡樹脂原料流れ方向と交差する方向に間隔をあけて原料注入通路側に向かって一体に突設されていることを特徴とするパッド付きインストルメントパネル。
【請求項3】
請求項2に記載のパッド付きインストルメントパネルにおいて、
上記リブは、発泡樹脂原料を上記原料注入通路下流端の両側から基材及び表皮材の端末に向かって導出するように原料注入通路の発泡樹脂原料流れ方向に対して傾斜していることを特徴とするパッド付きインストルメントパネル。
【請求項4】
パネル嵌合箇所に対応して凹状湾曲部が基材の車体後方端縁の中途部に形成され、表皮材と発泡体とからなるパッドが上記基材の表面に一体に成形されたパッド付きインストルメントパネルの製造方法であって、
成形時に発泡樹脂原料を注入する注入口を有する原料注入枠部が上記凹状湾曲部に一体に延設されているとともに、該原料注入枠部対応箇所を除く凹状湾曲部に原料注入枠部対応箇所が切欠き状となるように庇状突起部が車体後方に一体に突設され、かつ該庇状突起部の基端に縦壁部が下方に連続して一体に形成された基材と、インストルメントパネルの表面形状に成形された表皮材とを用意し、
上記表皮材を第1型にセットするとともに上記基材を第2型にセットして成形型を型閉じして、上記原料注入枠部と表皮材とを当接させて当該当接箇所をシールするとともに、表皮材との間に原料注入通路を形成し、かつ上記縦壁部と表皮材の端末とを当接させて当該当接箇所をシールし、
次いで、上記注入口から原料注入通路を経てキャビティ内の基材と表皮材との間に発泡樹脂原料を注入して発泡体を一体に成形することにより、表皮材と発泡体とからなるパッドが基材の表面に一体に成形されたインストルメントパネルを得ることを特徴とするパッド付きインストルメントパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−76111(P2010−76111A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243715(P2008−243715)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】