説明

パネル状の操作装置

【課題】操作面上に設定してある入力部位の何れの入力部位を操作したかが分り易く、また操作面をデザイン的にシンプルとなし得る操作装置を提供する。
【解決手段】操作面と、操作面の裏側に重ねて面状に配置され、操作面に設定された入力部位を光表示する表示部とを備えた操作装置22を、操作面の目的とする入力部位に入力し操作すると、表示部が操作した入力部位周りに位置する入力部位を表示し、所定時間後に周りの入力部位の表示を消す一方、実際に操作した入力部位については表示状態に維持するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパネル状の操作装置に関し、特に操作性を良好とするための技術手段に特徴を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湯水混合水栓として単一のレバーハンドルの操作で給水の流量調節と温度調節とを行うシングルレバー水栓が広く用いられている。
このシングルレバー水栓では、レバーハンドルを使用者から見て左右の横方向に回動操作することで給水の温度調節が、また上下の縦方向に操作することで給水の流量調節がなされる。
【0003】
このシングルレバー水栓は、レバーハンドルの操作1つで給水の流量調節と温度調節とを行うことができ、利便性の高いものであるが、従来のシングルレバー水栓の場合、レバーハンドルを操作する際の操作が重く、また給水が好みの流量,温度となるようにレバーハンドルを目的の位置に持ち来す際の微妙な調整が難しい問題があった。
そこで近年、給水の流量調節,温度調節を電気駆動で行うようになした電子水栓が提案されている。
【0004】
例えば下記特許文献1にその一例が開示されている。
この電子水栓では、給水の流量調節,温度調節を行うに際して、操作部に対する操作を電気的に検知し、操作信号をコントローラ(制御部)に送ることで所望の流量,温度に調節操作を行うことができ、軽い操作で目的とする調節を行うことが可能である。
【0005】
ところで、このような電子水栓において給水の流量調節と温度調節とを行うに際し、流量調節のための操作部及び温度調節のための操作部を、それぞれ別々に軸状に1次元配置で設けておき、流量調節を行う場合には1軸に配置した操作部に沿って操作位置を変えることで流量を段階的に変化させ調節し、また温度調節を行う場合には、温度調節用に別に1次元配置した操作部に沿って操作位置を変化させることで温度を段階的に変化させ調節を行うようになすことが考えられる。
しかしながらこの場合、流量調節と温度調節とが別々の操作となって、それぞれを格別に行わなければならず、操作を2回行うことが必要となって操作に面倒を伴うことがある。
【0006】
そこで操作面を2次元の座標面となし、一方の座標軸を流量調節用の軸として、他方の座標軸を温度調節用の軸としてそれぞれ設定し、操作面の即ち座標面の何れかの入力部位を操作することで、その入力部位の座標値に応じて流量調節と温度調節との2つの調節を同時に行うようになすことが考えられる。
【0007】
しかしながらこのようにすると、目的とする入力部位に入力し操作しようとしたとき、目的とする入力部位が使用者の指で覆い隠されてしまうため正確な操作が行いづらく、場合によって誤った操作が行われてしまう恐れがある。
こうしたことは操作面に流量調節用の軸と、温度調節用の軸とを2次元配置したときに特に問題となるが、何れか1種類の調節のための操作軸を1軸配置した場合においても同様に生じ得る。
【0008】
また以上は水栓における流量調節と温度調節のための操作の例であるが、水栓以外の装置の各種調節のための操作を行う場合であっても、操作面に複数の入力部位を設定しておいて、何れかの入力部位を操作する際に同様の問題が生じ得る。
【0009】
尚、下記特許文献1には「表示入力装置」についての発明が示され、そこにおいて上記と同様の問題点が指摘されている。
但しこの特許文献1に開示のものは解決手段が本発明と異なっており、本発明とは別異のものである。
【0010】
また下記特許文献2には、「ライトペンによるディスプレイ画面上の座標入力装置」についての発明が示され、そこにおいても上記と同様の問題点の指摘がなされている。
但しこの特許文献2に開示のものも解決手段が本発明と異なっており、本発明とは別異のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−283115号公報
【特許文献2】特開昭62−73323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上のような事情を背景とし、操作面に設定してある入力部位のうち、何れの入力部位を操作したかが分り易く、また操作面をデザイン的にシンプルとなし得る操作装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、操作面と、該操作面の裏側に重ねて面状に配置され、該操作面に設定されている入力部位を光表示する表示部とを備えた操作装置であって、前記操作面の目的とする入力部位に入力し操作すると検知部で該入力部位に対する操作を検知し、前記表示部が該操作した入力部位周りに位置する入力部位を表示し、操作後の所定時間後に該周りの入力部位の表示を消す一方、実際に操作した入力部位については表示状態に維持することを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記入力部位が前記操作面に軸状に配置してあり、前記操作により前記表示部が前記操作した入力部位を含む、該軸状に配置した入力部位の全体を表示し、前記所定時間後に該操作した入力部位についての表示を残す一方、他の入力部位の表示を消すことを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記操作装置が水栓の操作装置であり、前記操作面を2次元の座標面となして、使用者から見て左右の横方向の座標軸を温度設定用の軸とし、縦方向の座標軸を流量調節用の軸としてそれぞれ設定してあることを特徴とする。
【0016】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記操作面がタッチパネルのパネル面であることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0017】
以上のように本発明は、操作面の目的とする入力部位に入力し操作すると、検知部が入力部位に対する操作を検知し、表示部が操作した入力部位周りに位置する入力部位を表示し、操作後の所定時間後にその周りの入力部位の表示を消す一方、実際に操作した入力部位については表示状態に維持するようになしたものである。
【0018】
本発明によれば、実際に操作した入力部位が指で覆い隠されて見えない場合であっても、その周りに位置する入力部位が表示部にて表示されることで、使用者は何れの入力部位を操作したかを直ちに認識することができる。
従ってもしこのとき誤った入力部位を操作したとしても直ちにこれを知ることができるため、正しい入力部位を操作し直すことができる。
これにより誤った入力部位の操作に基づいて誤った調節がされてしまうのを防ぐことができる。
【0019】
一方、実際に操作した入力部位周りの入力部位に対する表示は所定時間経過すると消えるため、周りの入力部位の表示がその後も長時間続くことによって、操作面がデザイン的に煩雑化してしまうのを防ぐことができ、操作面を常に煩雑感の無いスッキリとした状態に維持することができるとともに、操作時以外は余分な表示が無いため、次に操作を行う際に操作が分り易い利点が得られる。
【0020】
また実際に操作した入力部位については、その後も表示状態を維持するため、所定時間経過後においても現在どの入力部位が操作されているかを操作面上に明らかにしておくことができ、現在の調節量がどの調節量にあるのかを使用者に認識させることができる。
従って使用者は現在の調節量と操作面上に表示されている入力部位とから、使用者の求める調節量とするために次にどの入力部位を操作すれば良いかを容易に知ることができる。
【0021】
この場合において操作面に入力部位を軸状に配置しておき、操作した入力部位を含む軸状配置した入力部位の全体を表示するようにし、そして所定時間後に操作した入力部位についての表示を残す一方、他の入力部位の表示を消すようになしておくことができる(請求項2)。
この請求項2によれば、操作した入力部位を含む軸状配置した入力部位の全体が表示されるため、使用者がどの入力部位を操作したのかをより分り易く表すことができる。
【0022】
請求項3は本発明の操作装置を水栓の操作装置に適用し、そして操作面を2次元の座標面となして、使用者から見て左右の横方向の座標軸を温度設定用の軸とし、縦方向の座標軸を流量調節用の軸としてそれぞれ設定したものである。
【0023】
上記のようにシングルレバー水栓は使用者にとって身近な水栓として広く使用され慣れ親しんでいるものであり、その操作に関しても使用者に熟知されている。
従って温度調節用の軸を左右の横方向の軸とし、流量調節用の軸を縦方向の軸として設定しておくことで、使用者はシングルレバー水栓を操作するのと同じような感覚で水栓の操作部を操作することができ、操作性を良好となすことができる。
また初めて水栓を使う人にも操作方法が分り易い利点が得られる。
【0024】
この場合において上記の操作時に操作した入力部位を含む横方向の座標軸の入力部位の全体及び縦方向の座標軸の入力部位の全体を表示し、所定時間後に操作した入力部位以外を除いた各入力部位の表示を消すようになしておくことができる。
このようにすれば、使用者が実際にどの入力部位を操作したのかをより一層分り易くすることができる。
【0025】
本発明では、タッチパネルにおけるパネル面を操作面となしておくことができる(請求項4)。
この請求項4によれば、操作面を平らにすることができ、掃除がし易い利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態の操作装置を備えた水栓を示す斜視図である。
【図2】図1の水栓の全体の構成を示した図である。
【図3】図1の操作装置を示した図である。
【図4】図3の操作装置の断面構成を示した図である。
【図5】同実施形態の作用説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態の図である。
【図7】図2とは異なった水栓の全体構成を示した図である。
【図8】図2及び図7とは異なった水栓の図である。
【図9】図8の水栓の全体構成図である。
【図10】図8の水栓の操作装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1及び図2において、10は混合水栓(以下単に水栓とする)で、ここでは電気駆動で吐水の流量調節と温度調節とを行う電子水栓として構成してある。
水栓10は、本体部分が図2に示すようにカウンタ上面等横設された取付面12から起立する状態で設けられている。
14は水栓10における吐水管で、ここでは全体として逆U字状のグースネック形状をなしており、その先端に吐水口16が備えられている。
【0028】
また吐水管14には、最上位から先端にかけて下向きに下がった形状の先端側部分14Aに且つその上面に、原水(水道水)の吐水と止水とを行わせるための吐止水スイッチ18が設けられている。
吐止水スイッチ18は非接触式のスイッチ、即ち使用者がそこに手をかざすとこれを検知して動作し、吐水口16から吐水を行わせ又は吐水を停止させる手かざし式の交互スイッチとして構成してある。
【0029】
詳しくは、使用者が吐止水スイッチ18の上方に手かざし操作すると、吐止水スイッチ18が非接触でこれを検知して吐水口16から吐水を行わせる。
また吐水状態で使用者が吐止水スイッチ18の上方に手かざし操作すると、そこで吐水口16からの吐水を停止(止水)させる。
【0030】
図1に示しているように、水栓10はベースプレート20を有しており、このベースプレート20を図2の取付面12に着座させる状態に取り付けられている。
このベースプレート20には、吐水の流量調節と温度調節とを行うための操作装置22が設けてある。
【0031】
図2において、24は冷水を供給する給水路、26は熱湯を供給する給湯路で、それぞれの流路上に流量センサ28,30が設けられている。
32は、それら給水路24,給湯路26を通じて送られて来た水と湯とを混合し且つその混合比率を調節する混合弁で、弁部34とその開度調節を行うモータ(ここではステッピングモータ)36とを有している。
この混合弁32は、水と湯との混合比率を変化させることで吐水口16から吐水される混合水の温度を変化させる。
【0032】
38は、混合弁32からの混合水を吐水口16に導く混合水路で、この混合水路38上に流量調節弁40と温度センサ42とが設けられている。
流量調節弁40は、モータ(ここではステッピングモータ)46にて弁部44の開度(開度ゼロを含む)を変化させ、混合水路38を通じて吐水口16に送られる混合水の流量(流量ゼロを含む)を変化させる。即ち吐水口16からの吐水の流量を変化させる。
【0033】
48はコントローラで、このコントローラ48に対し上記の吐止水スイッチ18及び操作装置22が電気的に接続され、更にこのコントローラ48に対しモータ36,46、更に流量センサ28,30、温度センサ42が電気的に接続されている。
【0034】
この実施形態では、コントローラ48に入力される吐止水スイッチ18,操作装置22,流量センサ28,30、温度センサ42からの信号に基づいて、混合弁32,流量調節弁40をコントローラ48が作動制御する。
詳しくは、吐止水スイッチ18からの検知信号に基づいて流量調節弁40を開閉させて、吐水口16からの吐水と止水とを行わせる。
【0035】
また操作装置22からの操作信号に基づいて混合弁32による水と湯との混合比率を変化させ、即ち混合水温度を変化させ、また流量調節弁40の開度を変化させて、吐水口16からの吐水の温度調節と流量調節とを行わせる。
尚その際、コントローラ48は流量センサ28,30、温度センサ42からの流量検出信号に基づいて、混合弁32,流量調節弁40をフィードバック制御する。
【0036】
図3に、上記の操作装置22の平面構成が具体的に示してある。
図中23は操作装置22における操作部で、ここでは操作部23はタッチパネルから成っている。
タッチパネルのバネル面は2次元座標面を成しており、一方の座標軸である横方向のX軸が吐水(給水)の温度調節を行うための軸として設定してあり、またこれと直交する他方の座標軸である縦方向のY軸が吐水の流量を調節するための軸として設定してある。
【0037】
ここではX軸に沿って操作位置を図中左側から右方向に変化させることで吐水の温度が段階的に低く調節され、また逆に図中右側から左方向に操作位置を変化させることで吐水の温度が段階的に高く調節される。
またY軸に沿って操作位置を図中下側から上方向に変化させることで吐水の流量が小流量側から大流量側に段階的に調節され、逆にY軸に沿って図中上側から下方向に操作位置を変化させることで吐水の流量が大流量側から小流量側に段階的に調節される。
このように設定することで従来のシングルレバー水栓の操作の流量・温度の調整方向と一致し、初めて水栓10を使う人でも調節し易い。
【0038】
操作部23を成すタッチパネルは、パネル面即ち操作面70(図4参照)がX軸とY軸とに沿った格子状の区画線にて複数、ここではX軸に沿った4つの区画線とY軸に沿った4つの区画線からなる格子状の区画線にて、座標1-1〜5-5で表される合計25の分画域に分画されている。
ここでは分画域のそれぞれが操作面70(図3参照)に対する操作の入力部位となる。
そしてそれら複数の入力部位の何れかに入力し操作を行うと、その入力部位に対する操作が検知部にて検知される。
【0039】
操作部23は、図4に示しているように最表面に可撓性の透明な防水シート72を有しており、その下側に同じく透明なパネルセンサ(検知部)74を、更にその下側に操作面70に設定された上記の分画域即ち入力部位を光表示するための表示部76を有している。
ここで表示部76はパネルセンサ74に重なる状態に面状に配置されている。
【0040】
パネルセンサ74は様々なものを用い得るが、ここではパネルセンサ74として抵抗膜式センサが用いられている。
抵抗膜式センサは、図4(B)に示しているように透明且つ可撓性を有する一対の導電膜50-1,50-2と、それぞれに設けられた電極52-1,52-2を有しており、何れかの入力部位をタッチ操作すると、タッチ操作した入力部位において導電膜50-1が撓み、これによって導電膜50-1に設けた電極52-1と、導電膜50-2に設けた電極52-2とが接触して導通し、何れかの入力部位がタッチ操作されたことを検知する。
【0041】
一方表示部76は、基板78と基板78上に設けられ、上記分画域即ち入力部位に対応してその直下の位置に配置されたLED(光源)80と、導電膜50-2及び基板78間にLED80のためのスペースを形成し且つ隣接するLED80と80との間で光を遮断するスペーサ82とを有している。
【0042】
この実施形態において、操作部23は図5(I)に示すように使用者が何れかの分画域即ち入力部位に入力し操作を行うと、パネルセンサ74における一方の導電膜50-1が撓んで、その入力部位に対応する電極52-1と52-2とが接触して導通し、その入力部位に対する操作が検知される。その検知信号は操作信号となって図2のコントローラ48へと送られる。
【0043】
コントローラ48は、何れの座標の分画域即ち入力部位から検知信号即ち操作信号が送られたのかを識別し、その入力部位の座標に対応した調節量で吐水の流量調節,温度調節を行うべく流量調節弁40,混合弁32を作動させる。
【0044】
またこれとともに、図5(II)に示しているように操作された入力部位に対応するLED80、及びその入力部位を含む横方向の軸上の入力部位の全体、及び縦方向の軸上の入力部位の全体をそれぞれLED80の点灯によって表示する。
【0045】
そして入力部位から手を離す動作をした後、所定時間(例えばここでは1.5秒後)経過すると、図5(III)に示しているように実際に操作された入力部位に対応した、即ちその直下に位置するLED80のみを点灯状態に維持し、他のLED80については消灯させる。
即ち実際に操作された入力部位については表示をそのまま残す一方、他の入力部位については表示を消すように動作する。
尚ここでは入力部位から手を離す動作をした後に、所定時間経過すると他のLEDを消灯するとしたが、入力動作をした後の所定時間経過後に消灯させるようにしても良い。
【0046】
この実施形態では、図3に示す操作面(パネル面)70に対する操作位置(タッチ位置)を座標1-1の分画域即ち入力部位から1-2の入力部位、更に1-3の入力部位から1-4,1-5の入力部位へと変化させると、これに応じて吐水の流量が小流量から大流量へと段階的に変化して行く。即ち吐水の流量が小流量から大流量へと段階的に調節される。
【0047】
また操作位置(タッチ位置)を座標1-1の入力部位から座標2-1の入力部位へ、更に座標3-1,4-1,5-1の入力部位に変化させると、これに応じて吐水の温度が高温側から低温側に段階的に変化して行く。即ち吐水温度が高温側から低温側へと段階的に調節される。
そして25に区画された入力部位の何れかを操作すると、その入力部位の座標に対応した調節量で、吐水の流量と温度との2種類の調節が同時に1回の操作で行われる。
【0048】
タッチパネルから成る操作部23の外周側には、流量の大小を表す記号54A,54Bが、また温度の高低を表す記号56A,56Bがそれぞれ記してある。
ここで記号54Aは流量が大となることを表示するものであり、また記号54Bは流量が小となることを表示するものである。
一方記号56Aは温度が高温側となることを表示するものであり、また記号56Bは温度が低温側となることを表示するものである。
【0049】
更にタッチパネルから成る操作部23の操作面70には各入力部位ごとに突起58が設けてある。
この突起58は、入力部位を触感で感知させるために設けてある。
記号54A,54B,56A,56Bについてもまた、突起にて表しておくこともできる(視覚記号と併せて)。
【0050】
本実施形態では、給水に関する相異なった2種類の調節として給水の流量調節と温度調節のための操作を1回の操作で済ませることができ、操作が簡単となって水栓10の使い勝手が良好である。
【0051】
水栓10において吐水口16から吐水させる際には、通常吐水の流量調節と温度調節とが必要となる。
この場合においてそれら吐水の流量調節と温度調節とを1つの操作で行えるため、水栓10使用に際しての操作が極めて簡単となり、所望の吐水状態を速やかに実現することができる。
また本実施形態では何れかの入力部位を操作すると検知部がこれを検知して操作に対応した調節を行うため、軽操作で2種類の調節を簡単に行うことができる。
【0052】
以上のように本実施形態によれば、実際に操作した入力部位が指で覆い隠されて見えない場合であっても、その周りに位置する入力部位が表示部76にて表示されることで、使用者は何れの入力部位を操作したかを直ちに認識することができる。
従ってもしこのとき誤った入力部位を操作したとしても直ちにこれを知ることができるため、正しい入力部位を操作し直すことができる。
これにより誤った入力部位の操作に基づいて誤った調節がされてしまうのを防ぐことができるとともに、操作時以外は余分な表示が無いため、以下のような利点及び次に操作を行う際に操作が分り易い等の利点が得られる。
【0053】
即ち実際に操作した入力部位周りの入力部位に対する表示は所定時間経過すると消えるため、周りの入力部位の表示がその後も長時間続くことによって、操作面70がデザイン的に煩雑化してしまうのを防ぐことができ、操作面70を常に煩雑感の無いスッキリとした状態に維持することができる。
【0054】
また実際に操作した入力部位については、その後も表示状態を維持するため、所定時間経過後においても現在どの入力部位が操作されているかを操作面70上で明らかにしておくことができ、現在の調節量がどの調節量にあるのかを使用者に認識させることができる。
従って使用者は現在の調節量(調節状況)と操作面70上に表示されている入力部位とから、使用者の求める調節量とするために次にどの入力部位を操作すれば良いかを容易に知ることができる。
【0055】
また実施形態では、操作した入力部位を含む横方向及び縦方向の2つの軸に沿って配置した入力部位の全体が表示されるため、使用者がどの入力部位を操作したのかをより分り易く表すことができる。
【0056】
更に本実施形態の操作装置では操作面70を2次元の座標面となして、使用者から見て左右の横方向の座標軸を温度設定用の軸とし、縦方向の座標軸を流量調節用の軸としてそれぞれ設定していることから、使用者はシングルレバー水栓を操作するのと同じような感覚で水栓10の操作部23を操作することができ、操作性を良好となすことができる。
また初めて水栓10を使う人にも操作方法が分り易い利点が得られる。
【0057】
更に本実施形態ではタッチパネルにおけるパネル面を操作面70となしていることから操作面70を平らにすることができ、掃除がし易い利点が得られる。
【0058】
図6は本発明の他の実施形態を示している。
図6(A)は、表示部76を液晶表示部となした例である。
この場合、例えば図6(A)(ロ)に示しているように流量が多くなる側の入力部位についてはその程度に応じて表示面積を大とし、また温度が高くなる側についてはその程度に応じて発色をより赤味がかった発色としたり或いは発色の濃さを濃くするなど、各入力部位に対する表示を調節量の大小に応じて表示を行うようになすことができる。
【0059】
一方、図6(B)はパネルセンサ74を静電容量式センサとなし、基板78表面に電極84を上記の各入力部位に対応して位置するように形成した例である。
尚ここでは表示部76におけるLED80が共通の基板78に実装されている。即ちパネルセンサ74と表示部76の基板とが共通の基板とされている。
【0060】
図7は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、図2における混合弁32を省略し、給水路24,給湯路26のそれぞれに流量調節弁40を設けている。
この例では、給水路24上の流量調節弁40と給湯路26上の流量調節弁40とのそれぞれの開度を変化させることで、水と湯との混合比率を変化させ、また混合水路38を流れる全体の混合水の温度を調節する。
【0061】
図8〜図10は、本発明の更に他の実施形態を示している。
図8に示しているように、この例では原水用の吐止水スイッチ18に加えて浄水用の吐止水スイッチ86が、原水用の吐止水スイッチ18と管軸方向に並べて設けてある。
ここで浄水用の吐止水スイッチ86もまた、非接触式の交互スイッチとして構成してある。
即ち、止水状態でこの吐止水スイッチ86上に手かざし操作すると、吐止水スイッチ86がこれを検知して吐水口16から浄水を吐水させる。
また浄水吐水状態で再び吐止水スイッチ86上に手かざし操作すると、吐水水スイッチ86がこれを検知して、浄水の吐水を停止させる。
【0062】
図9に示しているように、この例では給水路24から分岐して混合水路38における流量調節弁40の下流部に到る浄水路88が設けてあり、その浄水路88上に原水(水道水)を通過させてこれを浄化する浄化カートリッジ90及び流量調節弁40が設けてある。
浄水路88上の流量調節弁40は、浄化カートリッジ90に供給する原水の流量を増減調節し、吐水口16からの浄水の吐水量を増減変化させる。
【0063】
この例では、図10に示しているように操作部23に浄水の吐水調節のための操作エリア92が、原水の吐水調節のための操作エリアと隣接して付設してある。
浄水の操作エリア92においては、その流量を調節するための分画域即ち入力部位が複数設けてあり、座標6-1〜6-5に向けて入力部位に対する操作位置を変化させて行くと、浄水の吐水流量が段階的に増大変化する。また逆に座標6-5から6-1に向けて入力部位に対する操作位置を変化させて行くと、これに応じて浄水の吐水流量が段階的に減少側に調節される。
【0064】
この例では、座標6-1〜6-5の何れかの座標の分画域即ち入力部位に入力し、操作を行って浄水の吐水流量を設定しておき、その状態で浄水の吐止水スイッチ86を手かざし操作すると、予め調節済の流量で吐水口16から浄水が吐水せしめられる。
また一方、原水用の吐止水スイッチ18を手かざし操作すると、座標1-1〜5-5の何れかの入力部位に対する操作によって予め調節済の流量で、原水が吐水口16から吐水せしめられる。
【0065】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明においては目的とする入力部位に入力し操作を行ったときに、その目的とする入力部位即ち検知部にて検知された入力部位を取り巻いている入力部位を表示部で表示するようになしたり、或いはその他様々なパターンで実際に操作した入力部位周りに位置している入力部位を表示部にて表示するようになすことも可能である。
また操作部23を非接触式の操作部となしたり、或いは吐水管を洗面化粧台のカウンタから前方に突出させる状態に設ける一方、操作部を吐水管とは独立して離れた個所、例えば洗面化粧台の縦向きのパネル全面に配置しておくといったことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 水栓
22 操作装置
70 操作面
74 パネルセンサ(検知部)
76 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面と、該操作面の裏側に重ねて面状に配置され、該操作面に設定されている入力部位を光表示する表示部とを備えた操作装置であって、
前記操作面の目的とする入力部位に入力し操作すると検知部で該入力部位に対する操作を検知し、前記表示部が該操作した入力部位周りに位置する入力部位を表示し、操作後の所定時間後に該周りの入力部位の表示を消す一方、実際に操作した入力部位については表示状態に維持することを特徴とするパネル状の操作装置。
【請求項2】
請求項1において、前記入力部位が前記操作面に軸状に配置してあり、前記操作により前記表示部が前記操作した入力部位を含む、該軸状に配置した入力部位の全体を表示し、前記所定時間後に該操作した入力部位についての表示を残す一方、他の入力部位の表示を消すことを特徴とするパネル状の操作装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記操作装置が水栓の操作装置であり、前記操作面を2次元の座標面となして、使用者から見て左右の横方向の座標軸を温度設定用の軸とし、縦方向の座標軸を流量調節用の軸としてそれぞれ設定してあることを特徴とするパネル状の操作装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記操作面がタッチパネルのパネル面であることを特徴とするパネル状の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−22465(P2012−22465A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159068(P2010−159068)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】