説明

パルス信号遅延回路及びLED駆動回路

【課題】 LED回路を精度良く時差駆動できるように、デューティー比を維持して入力パルス信号を一定の遅延時間で正確に遅延可能なパルス信号遅延回路を提供する。
【解決手段】 入力パルス信号Sinの立ち上がりエッジを検出し、該検出タイミングを一定の遅延時間ずつ所定の遅延回数遅延させた第1エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第1遅延タイミング信号Sdt1を生成する第1パルスエッジ遅延回路10、入力パルス信号Sinの立下りエッジを検出し、該検出タイミングを一定の遅延時間ずつ所定の遅延回数遅延させた第2エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第2遅延タイミング信号Sdt2を生成する第2パルスエッジ遅延回路20、第1及び第2遅延タイミング信号から、夫々同じ回数遅延した第1及び第2エッジ検出遅延タイミングで立ち上がり、立ち下がる遅延パルス信号を各別に出力する遅延パルス信号生成回路30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED駆動回路等に応用可能な、入力パルス信号を所定の遅延時間ずつ遅延して複製した遅延パルス信号を生成するパルス信号遅延回路、及び、それを使用したLED駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
DC/DCコンバータ技術を用いたLED駆動回路等では、昇圧回路からショットキーダイオードを通じて、平滑コンデンサに電荷がチャージされ、一定電圧値に設定される。平滑コンデンサと並列に接続された負荷には、昇圧回路とその平滑コンデンサから電流が供給される。最近、機器の小型化に伴い、平滑コンデンサにセラミックコンデンサを用いることが増えている。平滑コンデンサに用いられる容量の比較的大きなセラミックコンデンサは、電圧印加に伴いコンデンサに使用される誘電体材料の圧電性に起因する振動により異音を発することがあった。従来は回路定数やコンデンサの実装する向きを変えたりすることにより、当該異音を抑制していた。
【0003】
一方、携帯電話のような携帯機器のディスプレイのバックライトとしてLED化が進んでいる。取り分け、耳に近付けて使用する携帯電話のような機器では、前述した昇圧回路を有するLEDドライバ用ICとセラミックを用いた平滑コンデンサを組み合わせた場合、発生する上記異音は無視できなくなってきた。取り分け携帯電話では、音質に対しても重要視されつつあり、機器から発する当該異音の抑制が不可避となりつつある。斯かる背景の中、異音を抑制するための一対策として、例えば下記の特許文献1に開示されているように、LED回路を駆動するパルス幅変調信号(PWM信号)を20kHz以上にすることが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−114324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1で開示されているようなPWM信号の周波数を高く設定する方法では、以下のような問題がある。第1に、PWM信号の周波数範囲に制限が掛かるため、周波数設定の自由度が下がり、設計の自由度が低下する。第2に、複数のLEDを同方向に直列に接続したLED直列回路を複数並列にしてLEDをアレイ状に配列したLED回路を駆動する場合、全てのLED直列回路を高い周波数で同時にオンオフするため、急激な負荷変動が起こり、定電圧電源に用いられたセラミックコンデンサが圧電現象により振動して音が発生する。つまり、LEDをアレイ状に配列したLED回路において、異音の発生を抑制するには、更なる対策が必要である。
【0006】
ここで、上記第2の問題について、図8及び図9を参照して説明する。図8に、LED回路60と、当該LED回路60の各LEDを駆動する電流を供給する昇圧回路70の一回路構成例を示す。LED回路60は、複数のLED61を同方向に直列に接続したLED直列回路62と駆動トランジスタ63を直列に接続してなる回路ユニット64(64〜64)を複数(n個)並列に接続して構成される。昇圧回路70は、外部の電源電圧Vccからコイル71を介して供給される入力電流を、Nチャネル型MOSFETからなるスイッチングトランジスタ72と抵抗73を通してスイッチングすることで、電源電圧Vccを昇圧し、昇圧された電圧を、ショットキーバリアダイオード74を介して平滑コンデンサ75に充電して平滑するDC/DCコンバータ回路である。スイッチングトランジスタ72のオンオフは、スイッチング制御回路78が、平滑コンデンサ75で平滑された出力電圧Voutを抵抗76,77で分圧した電圧をモニターして、出力電圧Voutが所望の電圧値となるように制御される。図8の回路構成例では、昇圧回路70からの出力電圧Voutは、LED回路60の各LED直列回路62のアノード側に供給される。各回路ユニット64の駆動トランジスタ63のゲートには、全てに共通して入力されるゲート信号として、LED回路60を駆動するパルス幅変調信号(PWM信号)Sinが外部から供給される。
【0007】
ここで、PWM信号Sinの周波数を一定周波数以上(例えば200Hz以上)にすると、人間の目には輝度が平準化される。そのため、同一電流量がLED61に流れるように、各回路ユニット64に対する制御を行い、且つ、PWM信号Sinのデューティー比を変化させることでLED回路60全体の輝度調整が可能となる。
【0008】
しかし、各回路ユニット64の駆動トランジスタ63を同一タイミングでオンオフ制御すると、オンオフのスイッチング時のタイミングで、各回路ユニット64を流れるLED駆動電流が大きく変化するため、図9に示すように、出力電圧Voutは数V程度変動する。このスイッチング時の出力電圧Voutの変動について、図9を参照して説明する。
【0009】
PWM信号Sinが立ち下がると、駆動トランジスタ63がオフする。その結果、各LED直列回路62への電流供給が停止し、昇圧回路70の電流負荷が軽減され、昇圧回路70の出力電圧Voutが設定電圧以上に上昇する。また、LED回路60側で電流出力が遮断されるため、昇圧回路70は、負荷回路であるLED回路60へ電流を供給する必要がなくなり、平滑コンデンサ75の電圧が設定値に戻ると、動作を停止する。
【0010】
次に、PWM信号Sinが立ち上がると、駆動トランジスタ63がオンし、各LED直列回路62への電流供給が急激に開始するため、昇圧回路70の電流負荷が重くなる。その結果、当該電流負荷の急激な増加に対して、平滑コンデンサ75から電流が補給されるため、平滑コンデンサ75の出力電圧Voutが低下する。出力電圧Voutの低下に伴い、昇圧回路70は昇圧動作に入るが、昇圧動作に入るまでの間、平滑コンデンサ75の電圧は低下する。昇圧回路70が昇圧動作に入った後、平滑コンデンサ75の電圧が回復し、設定値になるよう昇圧動作を制御し、設定値に復帰する。
【0011】
しかし、PWM信号Sinの立ち上がり及び立ち下がり時の出力電圧Voutの急激な変動により、平滑コンデンサ75の圧電性により、振動が発生し、不要な音が発生する。
【0012】
ここで、平滑コンデンサ75の振動を抑制すべく、出力電圧Voutの急激な変動の振幅を抑制することが考えられる。この場合の一方策として、複数の回路ユニット64の駆動トランジスタ63の駆動タイミングをずらして時差駆動することが考えられる。例えば、図10に示すように、1つの回路ユニット64の駆動トランジスタ63のゲートにPWM信号Sinを直接入力し、他の回路ユニット64〜64の個数分(n−1個)の遅延回路79(例えば、複数段のインバータ縦列回路)を設けて、PWM信号Sinを順番に遅延させた遅延信号Sd〜Sdを生成して、夫々、各回路ユニット64〜64の駆動トランジスタ63のゲートに夫々入力することが考えられる。
【0013】
しかし、掛かる対処法では、以下のような問題が生じる。つまり、遅延回路79の入力パルス信号に対する立ち上がりエッジ遅延時間と、立下りエッジ遅延時間が必ずしも等しくないため、PWM信号Sinのデューティー比が、遅延回路79を通過する毎に変化することになる。この結果、回路ユニット64間で輝度のバラツキが生じ、LED回路60全体のちらつき原因となる。
【0014】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、LED回路を精度良く時差駆動できるように、デューティー比を維持したまま入力パルス信号を一定の遅延時間で正確に遅延可能なパルス信号遅延回路を提供する点にある。また、本発明の第2の目的は、LED駆動用のPWM信号の周波数設定の自由度を制限することなく、輝度のバラツキやちらつき、及び、コンデンサの音鳴りを抑制してLED回路を駆動可能なLED駆動回路を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記第1の目的を達成するための本発明に係るパルス信号遅延回路は、入力パルス信号の立ち上がりエッジを検出して、前記入力パルス信号の1周期内に、前記立ち上がりエッジの検出タイミングを予め設定された遅延時間ずつ所定の遅延回数遅延させた第1エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第1遅延タイミング信号を生成する第1パルスエッジ遅延回路と、前記入力パルス信号の立下りエッジを検出して、前記入力パルス信号の1周期内に、前記立下りエッジの検出タイミングを前記遅延時間ずつ前記遅延回数遅延させた第2エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第2遅延タイミング信号を生成する第2パルスエッジ遅延回路と、前記第1遅延タイミング信号と前記第2遅延タイミング信号から、同じ回数遅延した前記第1エッジ検出遅延タイミングと前記第2エッジ検出遅延タイミングの組み合わせ毎に、前記第1エッジ検出遅延タイミングで立ち上がり、前記第2エッジ検出遅延タイミングで立ち下がる遅延パルス信号を、前記所定の遅延回数と同数、各別に生成して出力する遅延パルス信号生成回路と、を備えることを第1の特徴とする。
【0016】
上記第1の特徴のパルス信号遅延回路によれば、第1パルスエッジ遅延回路で生成される第1エッジ検出遅延タイミングは、入力パルス信号の立ち上がりエッジの検出タイミングを一定の遅延時間ずつ所定の遅延回数遅延させたものであり、第2パルスエッジ遅延回路で生成される第2エッジ検出遅延タイミングは、入力パルス信号の立下りエッジの検出タイミングを第1エッジ検出遅延タイミングと同じ遅延時間ずつ所定の遅延回数遅延させたものであるため、遅延パルス信号生成回路で生成されるM回(Mは自然数)遅延した第1エッジ検出遅延タイミングで立ち上がり、M回遅延した第2エッジ検出遅延タイミングで立ち下がるM番目の遅延パルス信号と、N回(NはM以外の自然数)遅延した第1エッジ検出遅延タイミングで立ち上がり、N回遅延した第2エッジ検出遅延タイミングで立ち下がるN番目の遅延パルス信号は、夫々の立ち上がりエッジから立下りエッジまでのパルス幅が等しいため、全ての遅延パルス信号の相互間で、遅延パルス信号のデューティー比を等しく維持できる。また、相前後する2つの遅延パルス信号間の遅延時間も等しくできる。この結果、LED回路を精度良く時差駆動できる、デューティー比を維持したまま入力パルス信号を一定の遅延時間で正確に遅延可能なパルス信号遅延回路を提供することができる。
【0017】
更に、上記第1の特徴のパルス信号遅延回路は、前記第1パルスエッジ遅延回路が、前記立ち上がりエッジの検出後にシステムクロックのクロック周期でカウント動作を開始する第1カウンタを備え、前記遅延時間を前記システムクロックの1周期を単位時間とする複数ビットの遅延カウンタ値として受け付け、前記第1カウンタの第1カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎に、前記第1エッジ検出遅延タイミングを発生するとともに、前記第1カウンタのカウント動作をリセットして、当該カウント動作を前記所定の遅延回数分繰り返し、前記第2パルスエッジ遅延回路が、前記立下りエッジの検出後に前記システムクロックのクロック周期でカウント動作を開始する第2カウンタを備え、前記遅延時間を前記遅延カウンタ値として受け付け、前記第2カウンタの第2カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎に、前記第2エッジ検出遅延タイミングを発生するとともに、前記第2カウンタのカウント動作をリセットして、当該カウント動作を前記所定の遅延回数分繰り返すことを第2の特徴とする。
【0018】
上記第2の特徴のパルス信号遅延回路によれば、第1パルスエッジ遅延回路と第2パルスエッジ遅延回路が、カウンタ回路を用いて実現できる。従って、遅延時間の設定及び変更が遅延カウンタ値を変更するだけの簡単な操作で容易に実現できる。
【0019】
また、上記第2の特徴のパルス信号遅延回路では、第1パルスエッジ遅延回路と第2パルスエッジ遅延回路に分離して、夫々が、夫々のエッジ検出タイミングを所定の遅延時間Δtずつ所定の遅延回数(n回)遅延させた第1及び第2エッジ検出遅延タイミングを順次出力する構成としているので、所定の遅延回数(n回)通りの遅延パルス信号毎に、元の入力パルス信号を個別に遅延させるために夫々カウンタ回路を設ける回路構成に比べて、回路規模を小さくできる。
【0020】
更に、上記第2の特徴のパルス信号遅延回路は、前記第1パルスエッジ遅延回路が、前記第1カウンタの第1カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎にカウントする第3カウンタを備え、前記第3カウンタのカウンタ値の変化タイミングを前記第1エッジ検出遅延タイミングとし、前記第3カウンタのカウンタ出力を前記第1遅延タイミング信号として出力し、前記第2パルスエッジ遅延回路が、前記第2カウンタの第2カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎にカウントする第4カウンタを備え、前記第4カウンタのカウンタ値の変化タイミングを前記第2エッジ検出遅延タイミングとし、前記第4カウンタのカウンタ出力を前記第2遅延タイミング信号として出力することを第3の特徴とする。
【0021】
上記第3の特徴のパルス信号遅延回路によれば、第3カウンタのカウンタ値の変化タイミングが第1エッジ検出遅延タイミングとなり、第4カウンタのカウンタ値の変化タイミングが第2エッジ検出遅延タイミングとなるので、第1及び第2エッジ検出遅延タイミングの発生順序(つまり、何番目の発生か)が、夫々第3カウンタ及び第4カウンタのカウンタ値として識別可能であるので、第1及び第2エッジ検出遅延タイミングを使用して遅延パルス信号を生成する遅延パルス信号生成回路において、同じ遅延回数の第1及び第2エッジ検出遅延タイミングの取得が容易となる。
【0022】
更に、上記第3の特徴のパルス信号遅延回路は、前記遅延パルス信号生成回路は、1つの前記遅延パルス信号を生成する遅延パルス信号生成ユニットを前記所定の遅延回数と同数備え、前記各遅延パルス信号生成ユニットは、夫々、1から前記所定の遅延回数までの自然数に各別に対応する個別カウンタ値を備え、前記第3カウンタのカウンタ値が前記個別カウンタ値に一致したタイミングでセットし、前記第4カウンタのカウンタ値が前記個別カウンタ値に一致したタイミングでリセットするフリップフロップを備え、前記フリップフロップの出力を、前記個別カウンタ値に対応する1つの前記遅延パルス信号として出力することを第4の特徴とする。
【0023】
上記第4の特徴のパルス信号遅延回路によれば、上記第3の特徴のパルス信号遅延回路の第1遅延タイミング信号と第2遅延タイミング信号を認識して、所定の遅延回数と同数の遅延パルス信号を生成可能な遅延パルス信号生成回路を、具体的に実現することができる。
【0024】
更に、上記第2乃至第4の特徴のパルス信号遅延回路は、前記遅延カウンタ値を生成し、少なくとも前記第1パルスエッジ遅延回路と前記第2パルスエッジ遅延回路の動作中、前記遅延カウンタ値を保持する遅延カウンタ値生成回路を備えることを第5の特徴とする。
【0025】
上記第5の特徴のパルス信号遅延回路によれば、マイクロプロセッサ等の外部装置から遅延カウンタ値を設定する場合等では、外部装置のシステム規模が大きくなるところ、遅延カウンタ値生成回路を備えることで、外部装置のシステム負担を軽減することが可能となる。
【0026】
更に、上記第5の特徴のパルス信号遅延回路は、前記遅延カウンタ値生成回路は、前記システムクロックのクロック周期でカウント動作する第5カウンタと、前記システムクロックとは異なる別クロック周期でカウント動作する第6カウンタを備え、前記第6カウンタは、パワーオンリセット解除後に、前記別クロック周期でのカウント動作を開始し、前記第5カウンタのカウンタ値が所定値となったタイミングで当該カウント動作を停止して、停止時のカウンタ値を前記遅延カウンタ値として、パワーオン期間中保持することを第6の特徴とする。
【0027】
上記第6の特徴のパルス信号遅延回路によれば、第6カウンタのクロック周期を調整することで、遅延カウンタ値を設定可能な遅延カウンタ値生成回路が実現できる。
【0028】
上記第2の目的を達成するための本発明に係るLED駆動回路は、複数のLEDを同方向に直列に接続したLED直列回路と前記LED直列回路を駆動する駆動トランジスタを直列に接続してなる回路ユニットを複数並列に接続し、前記各回路ユニットの一端が所定の駆動電圧に接続されたLED回路を駆動するLED駆動回路であって、上記何れかの特徴のパルス信号遅延回路を備え、前記パルス信号遅延回路の前記第1パルスエッジ遅延回路と前記第2パルスエッジ遅延回路が、前記入力パルス信号として、前記LED回路を駆動制御するパルス幅変調信号を受け付け、前記パルス信号遅延回路の前記遅延パルス信号生成回路から出力される前記所定の遅延回数と同数の前記遅延パルス信号が、前記LED回路の前記各回路ユニットの前記駆動トランジスタのゲートに各別に入力し、前記パルス信号遅延回路の前記所定の遅延回数が、前記LED回路の前記回路ユニットの数と同数または同数より1小さい数に設定されていることを特徴とする。
【0029】
上記特徴のLED駆動回路によれば、上記何れかの特徴のパルス信号遅延回路の前記遅延パルス信号生成回路から出力される前記所定の遅延回数と同数の前記遅延パルス信号が、前記LED回路の前記各回路ユニットの前記駆動トランジスタのゲートに各別に入力して前記LED回路を時差駆動できる。この結果、LED駆動用のPWM信号の周波数設定の自由度を制限することなく、輝度のバラツキやちらつき、及び、コンデンサの音鳴りを抑制してLED回路を駆動可能なLED駆動回路を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係るパルス信号遅延回路及びLED駆動回路の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
〈第1実施形態〉
図1は、本発明に係るパルス信号遅延回路の一実施形態における回路構成を示す論理回路ブロック図である。本実施形態に係るパルス信号遅延回路(以下、適宜「本遅延回路」と略称する)は、5つの回路ブロックに区分され構成されている。具体的には、図1に示すように、本遅延回路1は、第1パルスエッジ遅延回路10、第2パルスエッジ遅延回路20、遅延パルス信号生成回路30、遅延カウンタ値生成回路40、及び、クロック発生回路50の5つの回路ブロックで構成される。
【0032】
第1パルスエッジ遅延回路10は、入力パルス信号であるPWM信号Sinの立ち上がりエッジを検出して、PWM信号Sinの1周期内に、立ち上がりエッジの検出タイミングを予め設定された遅延時間Δtずつ所定の遅延回数(n回)遅延させた第1エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第1遅延タイミング信号Sdt1を生成する。第1パルスエッジ遅延回路10は、具体的には、立ち上がりエッジ検出回路11、SRフリップフロップ12、第1カウンタ13、第1一致検出回路14、第3カウンタ15、2入力NAND(否定論理積)回路16、3つの2入力OR(論理和)回路17〜19を備えて構成される。立ち上がりエッジ検出回路11は、PWM信号Sinを入力とし、PWM信号Sinの立ち上がりエッジを検出すると一定期間高レベルに遷移する正パルスを出力する。SRフリップフロップ12のセット入力端子は、立ち上がりエッジ検出回路11の出力と接続し、リセット入力端子は、OR回路17の出力と接続している。OR回路17の一方入力には、パワーオンリセット信号Sporが入力する。NAND回路16の一方入力は、システムクロックCL0と接続し、他方入力は、SRフリップフロップ12の非反転出力と接続し、出力は第1カウンタ13のカウントアップ入力端子と接続する。OR回路17の一方入力は、SRフリップフロップ12の反転出力と接続し、他方入力は、第1一致検出回路14の出力と接続し、出力は、第1カウンタ13のリセット端子と接続する。第1一致検出回路14は、遅延時間Δtを表す遅延カウンタ値DLCと第1カウンタ13の出力カウンタ値(第1カウンタ値)を比較し、一致した場合にシステムクロックCL0の1周期幅の正パルス(第1一致検出パルス)を出力する。第3カウンタ15の入力は、第1一致検出回路14のカウントアップ入力端子と接続し、出力カウンタ値(第3カウンタ値)は、第1遅延タイミング信号Sdt1として、遅延パルス信号生成回路30に出力される。ここで、第3カウンタ15の第3カウンタ値の変化タイミングが第1エッジ検出遅延タイミングとして、遅延パルス信号生成回路30に伝達される。尚、OR回路17、18の各他方入力は、後述する遅延パルス信号生成回路30の(n+1)番目の第3一致検出回路32n+1の出力と接続している。
【0033】
第1カウンタ13の第1カウンタ値と遅延カウンタ値DLCは、同じビット幅(mビット)であり、後述するように、そのビット幅は本遅延回路1の用途に応じて設定される。また、第3カウンタ15の第3カウンタ値のビット幅(kビット)は、第3カウンタ値の最大値2が所定の遅延回数(n回)以上となる最小の値に設定される。
【0034】
パワーオンリセット信号Sporはパワーオンリセット期間中に高レベルとなる信号で、パワーオンリセット信号Sporが入力する各回路では、パワーオンリセット信号Sporが高レベルから低レベルに遷移するとパワーオンリセットが解除され、夫々の正規の動作が開始する。
【0035】
第2パルスエッジ遅延回路20は、入力パルス信号であるPWM信号Sinの立下りエッジを検出して、PWM信号Sinの1周期内に、立下りエッジの検出タイミングを予め設定された遅延時間Δtずつ所定の遅延回数(n回)遅延させた第2エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第2遅延タイミング信号Sdt2を生成する。第2パルスエッジ遅延回路20は、具体的には、立下りエッジ検出回路21、SRフリップフロップ22、第2カウンタ23、第2一致検出回路24、第4カウンタ25、2入力NAND回路26、3つの2入力OR回路27〜29を備えて構成される。図1に示すように、第2パルスエッジ遅延回路20の回路構成は、立ち上がりエッジ検出回路11が立下りエッジ検出回路21に代っているだけで、基本的には、第1パルスエッジ遅延回路10の回路構成と同じである。立下りエッジ検出回路21は、PWM信号Sinを入力とし、PWM信号Sinの立下りエッジを検出すると一定期間高レベルに遷移する正パルスを出力する。SRフリップフロップ22のセット入力端子は、立下りエッジ検出回路21の出力と接続し、リセット入力端子は、OR回路27の出力と接続している。OR回路27の一方入力には、パワーオンリセット信号Sporが入力する。NAND回路26の一方入力は、システムクロックCL0と接続し、他方入力は、SRフリップフロップ22の非反転出力と接続し、出力は第2カウンタ23のカウントアップ入力端子と接続する。OR回路27の一方入力は、SRフリップフロップ22の反転出力と接続し、他方入力は、第2一致検出回路24の出力と接続し、出力は、第2カウンタ23のリセット端子と接続する。第2一致検出回路24は、遅延カウンタ値DLCと第2カウンタ23の出力カウンタ値(第2カウンタ値)を比較し、一致した場合にシステムクロックCL0の1周期幅の正パルス(第2一致検出パルス)を出力する。第4カウンタ25の入力は、第2一致検出回路24のカウントアップ入力端子と接続し、出力カウンタ値(第4カウンタ値)は、第2遅延タイミング信号Sdt2として、遅延パルス信号生成回路30に出力される。ここで、第4カウンタ25の第4カウンタ値の変化タイミングが第2エッジ検出遅延タイミングとして、遅延パルス信号生成回路30に伝達される。尚、OR回路27、28の各他方入力は、後述する遅延パルス信号生成回路30の(n+1)番目の第4一致検出回路33n+1の出力と接続している。
【0036】
第2カウンタ23の第2カウンタ値と遅延カウンタ値DLCは、同じビット幅(mビット)であり、後述するように、そのビット幅は本遅延回路1の用途に応じて設定される。また、第4カウンタ25の第4カウンタ値のビット幅(kビット)は、第3カウンタ15の第3カウンタ値と同じく、第4カウンタ値の最大値2が所定の遅延回数(n回)以上となる最小の値に設定される。
【0037】
第1パルスエッジ遅延回路10の立ち上がりエッジ検出回路11と、第2パルスエッジ遅延回路20の立下りエッジ検出回路21は、一部の回路を共通化して構成することができ、例えば、図2に示すような、遅延回路11aを共用する回路構成が可能である。ここで、遅延回路11aは、例えば、インバータの縦列回路やRC遅延回路等の既知の回路構成が利用できる。
【0038】
遅延パルス信号生成回路30は、第1遅延タイミング信号Sdt1と第2遅延タイミング信号Sdt2から、同じ回数遅延した第1エッジ検出遅延タイミングと第2エッジ検出遅延タイミングの組み合わせ毎に、第1エッジ検出遅延タイミングで立ち上がり、第2エッジ検出遅延タイミングで立ち下がるn通りの遅延パルス信号Sdp1〜Sdpnを、各別に生成して出力する。遅延パルス信号生成回路30は、具体的には、1つの遅延パルス信号Sdpi(i=1〜n)を生成する遅延パルス信号生成ユニット31i(i=1〜n)を所定の遅延回数(n)と同数備えて構成される。
【0039】
各遅延パルス信号生成ユニット31iは、夫々の順序(i)に対応する2進化コードである個別カウンタ値NCiを有し、第1遅延タイミング信号Sdt1である第3カウンタ15の第3カウンタ値と個別カウンタ値NCiを比較して、両カウンタ値が一致している期間中、正パルスを出力する第3一致検出回路32iと、第2遅延タイミング信号Sdt2である第4カウンタ25の第4カウンタ値と個別カウンタ値NCiを比較して、両カウンタ値が一致している期間中、正パルスを出力する第4一致検出回路33iと、一方入力にパワーオンリセット信号Sporが入力し、他方入力に第4一致検出回路33iの出力が接続するOR回路34iと、セット入力端子に第3一致検出回路32iの出力が接続し、リセット入力端子にOR回路34iの出力が接続するSRフリップフロップ35iを備えて構成される。
【0040】
遅延パルス信号生成回路30は、各遅延パルス信号生成ユニット31i(i=1〜n)の他に、(n+1)番目の第3一致検出回路32n+1と、(n+1)番目の第4一致検出回路33n+1を備えている。
【0041】
遅延カウンタ値生成回路40は、遅延カウンタ値DLCを生成し、少なくとも第1パルスエッジ遅延回路10と第2パルスエッジ遅延回路20の動作中、遅延カウンタ値DLCを保持するとともに、第1パルスエッジ遅延回路10と第2パルスエッジ遅延回路20に対して安定的に出力する。遅延カウンタ値DLCは、遅延カウンタ値生成回路40において、遅延時間Δtを、システムクロックCL0の1周期を単位時間として量子化した2進化コードとして生成される。遅延カウンタ値生成回路40は、図1に示すように、システムクロックCL0のクロック周期でカウント動作する第5カウンタ41、システムクロックCL0とは別周期で発振する第2クロックCL1のクロック周期でカウント動作する第6カウンタ42、SRラッチ回路43、及び、2入力NAND回路44を備えて構成される。
【0042】
第5カウンタ41のカウントアップ入力端子には、システムクロックCL0が入力し、リセット端子には、パワーオンリセット信号Sporが入力する。第5カウンタ41のカウンタ出力の内のMSB出力(最上位ビット)が、SRラッチ回路43のセット入力端子と接続し、SRラッチ回路43のリセット入力端子には、パワーオンリセット信号Sporが入力する。NAND回路44の一方入力には、SRラッチ回路43の反転出力端子が接続し、他方入力には、第2クロックCL1が入力する。第6カウンタ42のカウントアップ入力端子には、NAND回路44の出力が接続し、リセット端子には、パワーオンリセット信号Sporが入力し、カウント動作の停止したカウンタ出力から、遅延カウンタ値DLCが出力される。
【0043】
以上の回路構成によって、パワーオンリセット解除後より、第5カウンタ41が、システムクロックCL0のクロック周期でカウントアップ動作を開始する。NAND回路44の一方入力がパワーオンリセット解除直後は高レベルであるので、NAND回路44の出力が、第2クロックCL1のクロック周期でクロック動作するため、第6カウンタ42も、第2クロックCL1のクロック周期でカウントアップ動作を開始する。第5カウンタ41のMSB出力が“0”から“1”に遷移すると、SRラッチ回路43がセットされ、SRラッチ回路43の反転出力が“1”から“0”に遷移する。これにより、NAND回路44の出力は、第2クロックCL1のクロック周期でのクロック動作を停止するため、第6カウンタ42のカウントアップ動作が停止し、その時点でのカウンタ値が、遅延カウンタ値DLCとして第6カウンタ42内で保持され、第6カウンタ42から出力される。第6カウンタ42から出力される遅延カウンタ値DLCは、パワーオン状態が維持されている期間(システムリセットされるまでの期間)を通して保持され、次のパワーオンリセット解除後またはシステムリセット解除後に再度同じ動作が繰り返される。尚、第6カウンタ42がカウントアップ動作を開始して停止するまでの期間は、遅延時間Δtではない。
【0044】
クロック発生回路50は、システムクロックCL0を発生するシステムクロック発生回路51と、第2クロックCL1を発生する第2クロック発生回路52を備えて構成される。本実施形態では、システムクロック発生回路51と第2クロック発生回路52は、夫々、発振周波数調整用の外付けの抵抗53、54を備える。尚、システムクロック発生回路51と第2クロック発生回路52は、既知の種々の回路構成を採用することができるので、ここでは、詳細な回路構成の説明は、本発明の本旨ではないので省略する。
【0045】
遅延カウンタ値生成回路40の第6カウンタ42から出力される遅延カウンタ値DLCは、システムクロックCL0と第2クロックCL1の周波数の差(或いは比)で決定されるので、システムクロックCL0に対して、第2クロックCL1の周波数(または周期)を調整することで、遅延カウンタ値DLCを外部から変更することが可能となる。本実施形態では、外付けの抵抗54の抵抗値を調整或いは適正に設定することで、システムクロックCL0に対して、第2クロックCL1の周波数(または周期)を調整できる。
【0046】
本実施形態では、本遅延回路1内に遅延カウンタ値生成回路40とクロック発生回路50を備える構成としたが、当該回路40、50は、必ずしも、本遅延回路1内に設ける必要はなく、システムクロックCL0と遅延カウンタ値DLCを、マイクロプロセッサ等の外部装置から本遅延回路1に供給するようにしても良い。尚、遅延カウンタ値DLCを外部装置から本遅延回路1に供給する場合は、システム起動中において、遅延カウンタ値DLCを途中で変更することも可能であり、斯かる変更が必要な用途には好適である。
【0047】
次に、本遅延回路1の主要部である第1パルスエッジ遅延回路10、第2パルスエッジ遅延回路20、及び、遅延パルス信号生成回路30のパワーオンリセット解除後の動作について、図1、図3、及び、図4を参照して説明する。図3は、第1パルスエッジ遅延回路10の動作に関連する各種入力信号及び内部ノードの信号波形を示すタイミング図である。図4は、第1パルスエッジ遅延回路10と遅延パルス信号生成回路30の動作に関連する各種入力信号及び内部ノードの信号波形を示すタイミング図である。遅延パルス信号生成回路30尚、入力パルス信号であるPWM信号Sinは、遅延カウンタ値DLCが第6カウンタ42に保持され出力された状態において、本遅延回路1に入力される場合を想定する。
【0048】
先ず、第1パルスエッジ遅延回路10の回路動作について説明する。後述するように、PWM信号Sinの1周期前の動作では、遅延パルス信号生成回路30の(n+1)番目の第3一致検出回路32n+1の出力は、前回の動作終了直前に正パルスを出力した後に低レベルに復帰しているので、パワーオンリセット解除後のOR回路17の出力は、正パルスが出力された後、低レベルとなっている。つまり、SRフリップフロップ12はリセット状態で待機している。図3に示すように、この状態で、PWM信号Sinが立ち上がると(時刻t1)、立ち上がりエッジ検出回路11が立ち上がりエッジ検出パルスPREDを出力し、SRフリップフロップ12がセットされ、SRフリップフロップ12の非反転出力であるSRラッチ出力PSRが高レベルに遷移し、反転出力(不図示)が低レベルに遷移する。この結果、第1カウンタ13のリセットが解除され、NAND回路16の出力PNANDが、システムクロックCL0の反転クロックを出力し、第1カウンタ13がカウントアップ動作を開始する。第1カウンタ13の第1カウンタ値(図3中のCA1〜CAm)と遅延カウンタ値DLC(mビット)が一致すると(時刻t2)、第1一致検出回路14が第1一致検出パルスP1MATCHを出力する。第1一致検出パルスP1MATCHが出力されると、第1カウンタ13が一端リセットされ、引き続き、システムクロックCL0の反転クロックでカウントアップ動作を繰り返す。従って、第1一致検出回路14は、図4に示すように、第1カウンタ13のカウントアップ動作開始から第1カウンタ値が遅延カウンタ値DLCと一致するまでの遅延時間Δtの周期で、第1一致検出パルスP1MATCHを繰り返し出力する。第1一致検出パルスP1MATCHの出力タイミングは、第1エッジ検出遅延タイミングに相当する。
【0049】
第2パルスエッジ遅延回路20の動作も、第1パルスエッジ遅延回路10と同じ回路構成であるので、第2一致検出回路24は、図4に示すように、第2カウンタ23のカウントアップ動作開始から第2カウンタ値が遅延カウンタ値DLCと一致するまでの遅延時間Δtの周期で、第2一致検出パルスP2MATCHを繰り返し出力する。第2一致検出パルスP2MATCHの出力タイミングは、第2エッジ検出遅延タイミングに相当する。
【0050】
PWM信号Sinの1周期前の動作終了後またはパワーオンリセット解除後は、第3カウンタ15は、SRフリップフロップ12と同様にリセット状態で待機している。この状態で、図4に示すように、第1一致検出パルスP1MATCHが、遅延時間Δtの周期で、第3カウンタ15のカウントアップ入力端子に入力すると、第3カウンタ15は第3カウンタ値(図4中のCB1〜CBk)を1ずつカウントアップする。
【0051】
第2パルスエッジ遅延回路20の第4カウンタ25についても、第1パルスエッジ遅延回路10の第3カウンタ15と同様に、PWM信号Sinの1周期前の動作終了後またはパワーオンリセット解除後は、リセット状態で待機している。この状態で、図4に示すように、第2一致検出パルスP2MATCHが、遅延時間Δtの周期で、第4カウンタ25のカウントアップ入力端子に入力すると、第4カウンタ25は第4カウンタ値(図4中のCD1〜CDk)を1ずつカウントアップする。
【0052】
遅延パルス信号生成回路30は、図4に示すように、各遅延パルス信号生成ユニット31iが、第3カウンタ15の第3カウンタ値(CB1〜CBk)と第4カウンタ25は第4カウンタ値(CD1〜CDk)に応じて、遅延パルス信号Sdp1〜Sdpnを、各別に生成して出力する。具体的には、各遅延パルス信号生成ユニット31iが、第3カウンタ値(CB1〜CBk)が自己の個別カウンタ値NCi(i=1〜n)と一致すると、遅延パルス信号Sdpiの信号レベルを立ち上げ、第4カウンタ値(CD1〜CDk)が自己の個別カウンタ値NCiと一致すると、遅延パルス信号Sdpiの信号レベルを立ち下げる。これにより、各遅延パルス信号生成ユニット31iは、立ち上がりエッジから立下りエッジまでのパルス幅(Wp)が相互に等しく、同じ遅延時間Δtで遅延するn個の遅延パルス信号Sdp1〜Sdpnを出力することになる。
【0053】
第3カウンタ値(CB1〜CBk)がn番目の個別カウンタ値NCnより1大きい値(10進数では(n+1))になると、(n+1)番目の第3一致検出回路32n+1が、第1リセットパルスP1RSTを出力し、第1パルスエッジ遅延回路10のSRフリップフロップ12と第3カウンタ15がリセットされ、これに応じて、第1カウンタ13もリセットされ、第1パルスエッジ遅延回路10は、次の周期のPWM信号Sinの立ち上がりエッジの検出に備える。また、第4カウンタ値(CD1〜CDk)がn番目の個別カウンタ値NCnより1大きい値(10進数では(n+1))になると、(n+1)番目の第4一致検出回路33n+1が、第2リセットパルスP2RSTを出力し、第2パルスエッジ遅延回路20のSRフリップフロップ22と第4カウンタ25がリセットされ、これに応じて、第2カウンタ23もリセットされ、第2パルスエッジ遅延回路20は、次の周期のPWM信号Sinの立下りエッジの検出に備える。
【0054】
〈第2実施形態〉
次に、本発明に係るLED駆動回路の一実施形態について説明する。本実施形態に係るLED駆動回路(以下、適宜「本駆動回路」と略称する)は、第1実施形態に係る本遅延回路1を用いて構成される。従って、その回路構成は、図1に示す本遅延回路1と同じであり、第1パルスエッジ遅延回路10、第2パルスエッジ遅延回路20、遅延パルス信号生成回路30、遅延カウンタ値生成回路40、及び、クロック発生回路50の5つの回路ブロックで構成される。但し、本駆動回路2は、図5に示すように、複数のLED61を同方向に直列に接続したLED直列回路62と駆動トランジスタ63を直列に接続してなる回路ユニット64(64〜64)を複数(n個)並列に接続して構成されるLED回路60を駆動するためのLED駆動回路であるので、LED回路60の具体的な回路構成(回路ユニット64の個数等)、駆動用のPWM信号Sinの特性、システムクロックCL0の周波数等に応じて、第1パルスエッジ遅延回路10の第1カウンタ13の第1カウンタ値、第2パルスエッジ遅延回路20の第2カウンタ23の第2カウンタ値、及び、遅延カウンタ値DLCの各ビット幅(mビット)が決定される。また、第1パルスエッジ遅延回路10の第3カウンタ15の第3カウンタ値、及び、第2パルスエッジ遅延回路20の第4カウンタ25の第4カウンタ値の各ビット幅(kビット)は、回路ユニット64の個数(n)に基づいて決定される。尚、本実施形態では、回路ユニット64の個数と所定の遅延回数(n回)は同数に設定されている。
【0055】
LED回路60は、図8に示すLED回路60と同じであり、同図の構成と同様に、昇圧回路70からの出力電圧Vout(駆動電圧に相当)は、LED回路60の各LED直列回路62のアノード側に供給される。昇圧回路70は、外部の電源電圧Vccからコイル71を介して供給される入力電流を、Nチャネル型MOSFETからなるスイッチングトランジスタ72と抵抗73を通してスイッチングすることで、電源電圧Vccを昇圧し、昇圧された電圧を、ショットキーバリアダイオード74を介して平滑コンデンサ75に充電して平滑するDC/DCコンバータ回路である。スイッチングトランジスタ72のオンオフは、スイッチング制御回路78が、平滑コンデンサ75で平滑された出力電圧Voutを抵抗76,77で分圧した電圧をモニターして、出力電圧Voutが所望の電圧値となるように制御される。
【0056】
ここで、回路ユニット64の個数を6(n=6)、PWM信号Sinの周波数を200Hz〜400Hz(周期は2.5ms〜5.0ms)の範囲内、システムクロックCL0の周波数を200kHz〜2MHz(周期は0.5μs〜5μs)の範囲内を想定すると、遅延カウンタ値DLC等の各ビット幅(mビット)は、PWM信号Sinの最大周期(5.0ms)を、最高周波数のシステムクロックCL0の最小周期(0.5μs)で除した値を、更に、回路ユニット64の個数(n=6)で除した値以上のビット数が必要である。従って、遅延カウンタ値DLC等の各ビット幅は11ビットとする。また、第3カウンタ値及び第4カウンタ値の各ビット幅(kビット)は、3ビットで十分である。
【0057】
従って、上記実施例の場合、遅延パルス信号生成回路30からは6つの遅延パルス信号Sdp1〜Sdp6を出力する。各遅延パルス信号Sdp1〜Sdp6は、夫々、LED回路60の対応する各回路ユニット64〜64の駆動トランジスタ63のゲートに入力される。
【0058】
図6に、本駆動回路2で、LED回路60を時差駆動した場合の、昇圧回路70から出力される出力電圧Voutの変動の様子を、図6に模式的に示す。
【0059】
〈別実施形態〉
次に、本遅延回路1及び本駆動回路2の別実施形態について説明する。
【0060】
〈1〉上記第1実施形態では、本遅延回路1は、図1に示すような、第1パルスエッジ遅延回路10、第2パルスエッジ遅延回路20、遅延パルス信号生成回路30、遅延カウンタ値生成回路40、及び、クロック発生回路50の5つの回路ブロックを備えて構成されていたが、各回路10、20、30、40、50の回路構成は、図1に具体的に例示した回路構成に限定されるものではない。
【0061】
第1及第2パルスエッジ遅延回路10、20については、例えば、第3カウンタ15と第4カウンタ25を設けずに、第1一致検出回路14の第1一致検出パルスP1MATCHを第1遅延タイミング信号Sdt1として出力し、第2一致検出回路24の第2一致検出パルスP2MATCHを第2遅延タイミング信号Sdt2として出力しても構わない。但し、この場合は、遅延パルス信号生成回路30の各遅延パルス信号生成ユニット31iの回路構成を変更して、i番目の遅延パルス信号生成ユニット31iが、第1一致検出パルスP1MATCHと第2一致検出パルスP2MATCHのi番目の正パルスだけを選択的に検出可能な回路構成とする必要がある。例えば、第3一致検出回路32iに代えて、第1一致検出パルスP1MATCHのi番目のパルスを選択的に転送する転送ゲートを設けて、当該転送ゲートを通過したi番目のパルスでSRフリップフロップ35iをセットするとともに、当該i番目のパルスが低レベルに遷移した後、当該転送ゲートをオフして、SRフリップフロップ35iのセット入力端子レベルを低レベルに保持し、次段の第3一致検出回路32i+1に代わる転送ゲートをオンする構成とし、同様に、第4一致検出回路33iに代えて、第2一致検出パルスP2MATCHのi番目のパルスを選択的に転送する転送ゲートを設けて、当該転送ゲートを通過したi番目のパルスをOR回路34iに入力してSRフリップフロップ35iをリセットするとともに、当該i番目のパルスが低レベルに遷移した後、当該低レベルを保持し、次段の第4一致検出回路33i+1に代わる転送ゲートをオンする構成とすることで、斯かる回路構成が実現できる。
【0062】
また、遅延カウンタ値生成回路40については、上記第1実施形態では、第5カウンタ41のカウンタ出力の内のMSB出力をSRラッチ回路43のセット入力端子に接続したが、MSB出力だけでなく、カウンタ出力のMSB以外のビットとMSBとの論理積出力を、SRラッチ回路43のセット入力端子に接続するようにしても構わない。
【0063】
更に、遅延カウンタ値生成回路40に、例えば、SRラッチ回路43を設けず、2入力NAND回路44を2入力OR回路に代えて、第5カウンタ41のカウンタ出力の内のMSB出力(最上位ビット)を2入力OR回路の一方入力に接続し、第2クロックCL1を2入力OR回路の他方入力に入力し、2入力OR回路の出力を第6カウンタ42のカウントアップ入力端子に接続するようにしても良い。
【0064】
更に、遅延カウンタ値生成回路40を、第5カウンタ41及び第6カウンタ42を使用せずに、遅延カウンタ値DLCを、例えば、mビットの不揮発性レジスタ等に直接記憶するようにしても構わない。尚、不揮発性レジスタは、例えば、フューズ回路等で構成し、本遅延回路1の製造時に、当該フューズを選択的に切断して、遅延カウンタ値DLCをプログラムするようにしても構わない。
【0065】
〈2〉上記第2実施形態では、LED回路60の回路ユニット64の個数と本駆動回路2の所定の遅延回数とを同数に設定したが、本駆動回路2の所定の遅延回数を、回路ユニット64の個数より1少ない値としても構わない。この場合、上記第2実施形態の実施例と同じく、回路ユニット64の個数を6(n=6)、PWM信号Sinの周波数を200Hz〜400Hz(周期は2.5ms〜5.0ms)の範囲内、システムクロックCL0の周波数を200kHz〜2MHz(周期は0.5μs〜5μs)の範囲内を想定した場合、図7に示すように、所定の遅延回数を5回とし、遅延パルス信号生成回路30からは5つの遅延パルス信号Sdp1〜Sdp5を出力する。そして、各遅延パルス信号Sdp1〜Sdp5を、夫々、LED回路60の各回路ユニット64〜64の駆動トランジスタ63のゲートに入力し、PWM信号Sinを、回路ユニット64の駆動トランジスタ63のゲートに入力する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、LED駆動回路等に応用可能な、入力パルス信号を所定の遅延時間ずつ遅延して複製した遅延パルス信号を生成するパルス信号遅延回路、及び、それを使用したLED駆動回路に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るパルス信号遅延回路の一実施形態における回路構成を示す論理回路ブロック図
【図2】図1に示すパルス信号遅延回路の立ち上がりエッジ検出回路と立下りエッジ検出回路の一回路構成例を示す論理回路ブロック図
【図3】図1に示すパルス信号遅延回路の第1パルスエッジ遅延回路の動作に関連する各種入力信号及び内部ノードの信号波形を示すタイミング図
【図4】図1に示すパルス信号遅延回路の第1パルスエッジ遅延回路と遅延パルス信号生成回路の動作に関連する各種入力信号及び内部ノードの信号波形を示すタイミング図
【図5】本発明に係るLED駆動回路をLED回路の時差駆動に適用する場合のシステム構成例を示す回路ブロック図
【図6】本発明に係るLED駆動回路でLED回路を時差駆動した場合の昇圧回路の出力電圧変動を示す電圧波形図
【図7】本発明に係るLED駆動回路をLED回路の時差駆動に適用する場合の他のシステム構成例を示す回路ブロック図
【図8】LED回路を単一の駆動信号で駆動する従来の回路構成例を示す回路図
【図9】図8に示す回路構成における昇圧回路の出力電圧変動を示す電圧波形図
【図10】図8に示すLED回路を時差駆動する他の回路構成例を示す回路図
【符号の説明】
【0068】
1: 本発明に係るパルス信号遅延回路
2: 本発明に係るLED駆動回路
10: 第1パルスエッジ遅延回路
11: 立ち上がりエッジ検出回路
11a: 遅延回路
12: SRフリップフロップ
13: 第1カウンタ
14: 第1一致検出回路
15: 第3カウンタ
16: 2入力NAND回路
17〜19: 2入力OR回路
20: 第2パルスエッジ遅延回路
21: 立下りエッジ検出回路
22: SRフリップフロップ
23: 第2カウンタ
24: 第2一致検出回路
25: 第4カウンタ
26: 2入力NAND回路
27〜29: 2入力OR回路
30: 遅延パルス信号生成回路
31〜31: 遅延パルス信号生成ユニット
32〜32n+1: 第3一致検出回路
33〜33n+1: 第4一致検出回路
34〜34: OR回路
35〜35: SRフリップフロップ
40: 遅延カウンタ値生成回路
41: 第5カウンタ
42: 第6カウンタ
43: SRラッチ回路
44: 2入力NAND
50: クロック発生回路
51: システムクロック発生回路
52: 第2クロック発生回路
53、54: 抵抗
60: LED回路
61: LED
62: LED直列回路
63: 駆動トランジスタ
64: 回路ユニット
70: 昇圧回路
71: コイル
72: スイッチングトランジスタ
73、76、77: 抵抗
74: ショットキーバリアダイオード
75: 平滑コンデンサ
78: スイッチング制御回路
79: 遅延回路
CA1〜CAm: 第1カウンタの第1カウンタ値
CB1〜CBk: 第3カウンタの第3カウンタ値
CD1〜CDk: 第4カウンタの第4カウンタ値
CL0: システムクロック
CL1: 第2クロック
DLC: 遅延カウンタ値
P1MATCH: 第1一致検出パルス
P2MATCH: 第2一致検出パルス
P1RST: 第1リセットパルス
P2RST: 第2リセットパルス
RED: 立ち上がりエッジ検出パルス
FED: 立下りエッジ検出パルス
NAND: 第1カウンタのカウントアップ入力
SR: SRラッチ出力
Sdp1〜Sdpn: 遅延パルス信号
Sdt1: 第1遅延タイミング信号
Sdt2: 第2遅延タイミング信号
Sin: PWM信号
Spor: パワーオンリセット信号
Vcc: 電源電圧
Vout: 昇圧回路の出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パルス信号の立ち上がりエッジを検出して、前記入力パルス信号の1周期内に、前記立ち上がりエッジの検出タイミングを予め設定された遅延時間ずつ所定の遅延回数遅延させた第1エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第1遅延タイミング信号を生成する第1パルスエッジ遅延回路と、
前記入力パルス信号の立下りエッジを検出して、前記入力パルス信号の1周期内に、前記立下りエッジの検出タイミングを前記遅延時間ずつ前記遅延回数遅延させた第2エッジ検出遅延タイミングを順次出力する第2遅延タイミング信号を生成する第2パルスエッジ遅延回路と、
前記第1遅延タイミング信号と前記第2遅延タイミング信号から、同じ回数遅延した前記第1エッジ検出遅延タイミングと前記第2エッジ検出遅延タイミングの組み合わせ毎に、前記第1エッジ検出遅延タイミングで立ち上がり、前記第2エッジ検出遅延タイミングで立ち下がる遅延パルス信号を、前記所定の遅延回数と同数、各別に生成して出力する遅延パルス信号生成回路と、
を備えることを特徴とするパルス信号遅延回路。
【請求項2】
前記第1パルスエッジ遅延回路は、前記立ち上がりエッジの検出後にシステムクロックのクロック周期でカウント動作を開始する第1カウンタを備え、前記遅延時間を前記システムクロックの1周期を単位時間とする複数ビットの遅延カウンタ値として受け付け、前記第1カウンタの第1カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎に、前記第1エッジ検出遅延タイミングを発生するとともに、前記第1カウンタのカウント動作をリセットして、当該カウント動作を前記所定の遅延回数分繰り返し、
前記第2パルスエッジ遅延回路は、前記立下りエッジの検出後に前記システムクロックのクロック周期でカウント動作を開始する第2カウンタを備え、前記遅延時間を前記遅延カウンタ値として受け付け、前記第2カウンタの第2カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎に、前記第2エッジ検出遅延タイミングを発生するとともに、前記第2カウンタのカウント動作をリセットして、当該カウント動作を前記所定の遅延回数分繰り返すことを特徴とする請求項1に記載のパルス信号遅延回路。
【請求項3】
前記第1パルスエッジ遅延回路は、前記第1カウンタの第1カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎にカウントする第3カウンタを備え、前記第3カウンタのカウンタ値の変化タイミングを前記第1エッジ検出遅延タイミングとし、前記第3カウンタのカウンタ出力を前記第1遅延タイミング信号として出力し、
前記第2パルスエッジ遅延回路は、前記第2カウンタの第2カウンタ値が前記遅延カウンタ値と一致する毎にカウントする第4カウンタを備え、前記第4カウンタのカウンタ値の変化タイミングを前記第2エッジ検出遅延タイミングとし、前記第4カウンタのカウンタ出力を前記第2遅延タイミング信号として出力することを特徴とする請求項2に記載のパルス信号遅延回路。
【請求項4】
前記遅延パルス信号生成回路は、1つの前記遅延パルス信号を生成する遅延パルス信号生成ユニットを前記所定の遅延回数と同数備え、
前記各遅延パルス信号生成ユニットは、夫々、1から前記所定の遅延回数までの自然数に各別に対応する個別カウンタ値を備え、前記第3カウンタのカウンタ値が前記個別カウンタ値に一致したタイミングでセットし、前記第4カウンタのカウンタ値が前記個別カウンタ値に一致したタイミングでリセットするフリップフロップを備え、前記フリップフロップの出力を、前記個別カウンタ値に対応する1つの前記遅延パルス信号として出力することを特徴とする請求項3に記載のパルス信号遅延回路。
【請求項5】
前記遅延カウンタ値を生成し、少なくとも前記第1パルスエッジ遅延回路と前記第2パルスエッジ遅延回路の動作中、前記遅延カウンタ値を保持する遅延カウンタ値生成回路を備えることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のパルス信号遅延回路。
【請求項6】
前記遅延カウンタ値生成回路は、前記システムクロックのクロック周期でカウント動作する第5カウンタと、前記システムクロックとは異なる別クロック周期でカウント動作する第6カウンタを備え、
前記第6カウンタは、パワーオンリセット解除後に、前記別クロック周期でのカウント動作を開始し、前記第5カウンタのカウンタ値が所定値となったタイミングで当該カウント動作を停止して、停止時のカウンタ値を前記遅延カウンタ値として、パワーオン期間中保持することを特徴とする請求項5に記載のパルス信号遅延回路。
【請求項7】
複数のLEDを同方向に直列に接続したLED直列回路と前記LED直列回路を駆動する駆動トランジスタを直列に接続してなる回路ユニットを複数並列に接続し、前記各回路ユニットの一端が所定の駆動電圧に接続されたLED回路を駆動するLED駆動回路であって、
請求項1〜6の何れか1項に記載のパルス信号遅延回路を備え、
前記パルス信号遅延回路の前記第1パルスエッジ遅延回路と前記第2パルスエッジ遅延回路が、前記入力パルス信号として、前記LED回路を駆動制御するパルス幅変調信号を受け付け、
前記パルス信号遅延回路の前記遅延パルス信号生成回路から出力される前記所定の遅延回数と同数の前記遅延パルス信号が、前記LED回路の前記各回路ユニットの前記駆動トランジスタのゲートに各別に入力し、
前記パルス信号遅延回路の前記所定の遅延回数が、前記LED回路の前記回路ユニットの数と同数または同数より1小さい数に設定されていることを特徴とするLED駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−159265(P2009−159265A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334623(P2007−334623)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】