説明

パーキングブレーキ作動報知装置、及びパーキングブレーキの調整方法

【課題】パーキングブレーキレバー14の操作力を制御ケーブル13を介して伝達することでブレーキディスク4・4・・・同士を圧接させて制動するパーキングブレーキの作動報知装置において、ブレーキ解除状態におけるブレーキディスク4・4・・・間の隙間量の過小を報知できる構成を提供する。
【解決手段】パーキングブレーキ3のブレーキディスク4・4・・・を圧接させるために当該ブレーキディスク4・4・・・を押圧するフォーク11を備えたレバー8と、このレバー8を引っ張ることが可能な制御ケーブル13と、このケーブル制御ケーブル13に連結されるパーキングブレーキレバー14と、前記レバー8の位置を検出するスイッチ15と、このスイッチ15の状態に基づいてパーキングブレーキ3の作動を報知するメーターディスプレイ22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキ操作具の操作をケーブルを介して伝達してパーキングブレーキを制動させるパーキングブレーキ作動報知装置の構成に関する。また、そのような作動報知装置を有する車両におけるパーキングブレーキの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作動報知装置に関し、特許文献1は、駐車ブレーキの操作力を駐車ブレーキの制動部へ制御ケーブルによって伝達する構成において、駐車ブレーキの制動力の信号と車の傾斜の信号とを比較して表示器を駆動する信号を出力する構成を開示する。こうすることで、坂道に車が駐車される場合等でも、車の傾斜の程度に応じた制動力で駐車ブレーキが作動していることを確認できるとする。
【0003】
また特許文献1は、駐車ブレーキの制動力を検出する制動力センサとして、ブレーキシュー又はパッドに取り付けられて歪を検出する歪センサや、制御ケーブルの張力を検出する張力センサ、パーキングレバー(ブレーキ操作具)に設けられる位置センサ等を採用し得る旨を開示する。
【特許文献1】特開昭60−25841号公報(特許請求の範囲等)
【0004】
また、特許文献2は、操作されるパーキングブレーキハンドルに連結されてブレーキディスクを加圧するブレーキパッドのピストン部にストレインゲージを貼り付け、ブレーキディスクに対するブレーキパッドの圧力による歪を検出できるようにした構成を開示する。
【0005】
そして、特許文献2の構成では、前記ストレインゲージの抵抗変化に基づいてブレーキ圧に比例した増幅電圧を出力する増幅器と、この出力電圧が基準値以下になるとONとなる比較器とを備える。そして特許文献2では、この構成により、完全にロック解除の状態にならなければ作動ランプを消灯させない構成とすることができ、運転者にパーキングブレーキが完全に解除されたかどうかを作動ランプによって知らせることができるとする。
【特許文献2】実開昭61−85565号公報(第1図、第2図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなパーキングブレーキにおいて、ブレーキの効きの調整のため、或いはブレーキ操作具の操作力の調整のため、ブレーキ操作具とパーキングブレーキ(制動部)とを連結するケーブルの張りを調節することがある。
【0007】
しかしながら、このケーブルの張りの調節の仕方によっては、ケーブルを締め上げ過ぎて、パーキングブレーキのブレーキディスク間の隙間量が小さくなってしまうことがある。特に、ケーブルの張り調節のための機構はブレーキディスクから離れて配置されていることが多いため、上記の過剰な締上げが起こり易い。ブレーキディスク同士が圧接していなくてもその隙間量が過小になると、特に湿式・多板式のブレーキでは、油の粘性によってブレーキの引き摺りトルクが大きくなる問題がある。
【0008】
この点、前記の特許文献1の制動力センサも、特許文献2のストレインゲージも、パーキングブレーキの隙間量が過小になっていることを検出することはできない。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下のように構成する、パーキングブレーキ作動報知装置が提供される。パーキングブレーキのブレーキディスクを圧接させるために当該ブレーキディスクを押圧する押圧部を備えたレバーと、このレバーを引っ張ることが可能なケーブルと、このケーブルに連結されるブレーキ操作具と、前記レバーの位置を検出するスイッチと、このスイッチの状態に基づいてパーキングブレーキの作動を報知する報知手段と、を備える。
【0011】
この構成により、パーキングブレーキの解除し忘れを報知できるとともに、ブレーキ解除状態におけるブレーキディスク間の隙間量の過小も報知することができる。
【0012】
前記のパーキングブレーキ作動報知装置においては、以下のように構成することが好ましい。前記レバーをブレーキ解除方向に付勢する付勢バネを備える。前記スイッチは、前記レバーに接触した状態で当該レバーのブレーキ解除方向の移動を規制することが可能に構成されている。
【0013】
この構成により、スイッチによってレバーの移動ストロークの一側を規制することができるので、構成を簡素化することができる。また、レバーの移動ストロークの一端(即ち、ブレーキ解除位置)をスイッチで確実に検出することができる。
【0014】
前記のパーキングブレーキ作動報知装置においては、前記スイッチはその位置を調整可能に構成されており、これによって前記レバーのブレーキ解除位置を調整可能に構成されていることが好ましい。
【0015】
この構成により、例えばブレーキディスクの摩耗に応じたレバーのブレーキ解除位置の調整を、簡素な構成で行うことができる。
【0016】
前記のパーキングブレーキ作動報知装置においては、前記スイッチが、車両走行を制御するコントローラへ信号を出力可能に構成されていることが好ましい。
【0017】
この構成により、単にオペレータに報知するだけでなく、例えば車両を停止制御できるので、パーキングブレーキの引摺り等を確実に防止することができる。
【0018】
本発明の第2の観点によれば、以下のようなパーキングブレーキの調整方法が提供される。パーキングブレーキのブレーキディスクを圧接させるために当該ブレーキディスクを押圧する押圧部を備えたレバーと、このレバーをブレーキ解除方向に付勢する付勢バネと、このレバーを引っ張ることが可能なケーブルと、このケーブルに連結されるブレーキ操作具と、を備える車両における、パーキングブレーキの調整方法である。前記車両には、前記レバーがブレーキ解除位置にあることを検出するスイッチと、このスイッチの状態を報知する報知手段と、が備えられている。当該調整方法は、前記ブレーキ操作具をブレーキ位置に操作した状態で前記ケーブルの張りを調整する工程と、前記ブレーキ操作具をブレーキ解除位置に操作して、前記レバーが前記ブレーキ解除位置にあることを前記報知手段によって確認する工程と、を含む。
【0019】
この構成により、ブレーキ操作具をブレーキ位置に操作した状態でケーブルの張りを調整してブレーキディスクの圧接具合を適切に調整できる。その一方で、ブレーキ操作具をブレーキ解除位置に操作して報知手段を確認することで、ケーブルの張り過ぎによるブレーキディスクの隙間量の過小を容易かつ確実に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るパーキングブレーキ作動報知装置の全体的な構成を示す模式図である。
【0021】
図1にはパーキングブレーキ作動報知装置1が車両としてのフォークリフトに備えられた例が示され、このフォークリフトは、図略のエンジンから車輪に至る駆動伝達経路を構成する部材(本実施形態では、ドライブシャフト2)を制動するためのパーキングブレーキ3を備えている。
【0022】
パーキングブレーキ3はブレーキハウジング5を備え、このブレーキハウジング5は、フォークリフトの底面(腹部)に回転自在に支持された前記ドライブシャフト2を一部覆うように設けられている。ブレーキハウジング5の内部には、ドライブシャフト2に対し軸方向移動自在かつ相対回転不能に係合するブレーキディスク4と、ブレーキハウジング5に対し軸方向移動自在かつ相対回転不能に係合するブレーキディスク4とが、交互に配置されている。ブレーキハウジング5内には潤滑油が充填され、いわゆる湿式のブレーキに構成されている。
【0023】
上記のように重ねて配置された複数枚のブレーキディスク4・4・・・の一側には押圧板6が配置され、この押圧板6の近傍位置には、レバー8を揺動自在に支持するための支持体7が設けられている。この支持体7は板状部材で構成されており、適宜の部位に折曲げ部が形成されている。前記レバー8は、前記支持体7によって回転自在に支持される基部9と、この基部9から突設されるレバー本体10と、同じく前記基部9から突設されてその先端を前記押圧板6に近接させるフォーク(押圧部)11と、を備えている。
【0024】
前記基部9の近傍にはリターンスプリング(付勢バネ)12が設置され、このリターンスプリング12は典型的には捩りコイルバネとされて、そのバネ線の一端を前記レバー本体10に、他端を前記支持体7の折曲げ部に、それぞれ係止している。これにより、前記レバー本体10(レバー8)には、フォーク11によるブレーキディスク4・4・・・の押圧を解除する方向の付勢力が常時作用している。
【0025】
前記レバー本体10の先端部には制御ケーブル(ケーブル)13の一端が連結される。この制御ケーブル13は、フォークリフトの備える運転座席の前方のインストルメントパネル部25の内部空間を通り、その他端部が、運転座席近傍に配置されたパーキングブレーキレバー(ブレーキ操作具)14に連結されている。
【0026】
このパーキングブレーキレバー14は、ブレーキ解除位置とブレーキ位置との間で切換可能な、いわゆるトグル式の操作レバーとして構成されている。また、制御ケーブル13のインストルメントパネル部25の内側の部分(パーキングブレーキレバー14に対する連結位置の近傍)には長さ調整部24が設けられており、この長さ調整部24によって制御ケーブル13の長さを調整できるようになっている。長さ調整部24の構成としては種々考えられるが、例えばボルト・ナットを用いるものが考えられる。
【0027】
そして本実施形態では、前記レバー8のレバー本体10が図1の実線位置(ブレーキ解除位置)にあることを検出するセンサとしてのスイッチ15が設けられている。このスイッチ15は、レバー本体10に接触可能な接触子16と、この接触子を小さな所定のストロークだけ移動自在に支持する円筒状の接触子支持体17と、接触子16の位置に応じてON/OFFを切り換えるスイッチ回路を収納するスイッチハウジング18と、を備えている。
【0028】
前記接触子支持体17の外周面にはオネジが刻設されており、このオネジに2つの皿ナット19・19が螺合されている。この2つの皿ナット19・19のフランジ部の間に前記支持体7の折曲げ部を挟み込むことで、接触子支持体17が支持体7に固定される。また、皿ナット19を適宜回転させることで、接触子支持体17の支持体7に対する取付位置(スイッチ15の位置)を軸方向に調整可能になっている。
【0029】
前記スイッチ15のスイッチハウジング18からは出力信号線20が引き出され、この出力信号線20が報知コントローラ21に電気的に接続される。この報知コントローラ21は図示しないCPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ式に構成され、運転座席近傍に配置したメーターディスプレイ(報知手段)22に信号線23を介して接続されている。
【0030】
報知コントローラ21は、レバー8が図1の実線位置にあることをスイッチ15が検出してOFFになると、メーターディスプレイ22の「P」のランプ(警告灯)を消灯させるように制御する。一方、レバー8が図1の実線位置から図中反時計回りに回動し、それをスイッチ15が検出してONになると、報知コントローラ21はメーターディスプレイ22の「P」のランプを点灯させるように制御する。
【0031】
以上の構成で、前記パーキングブレーキレバー14がブレーキ解除位置(図1の実線の位置)にあるとき、前記レバー8はリターンスプリング12の付勢力によってブレーキ解除方向(図1の時計方向)に回動して、レバー本体10がスイッチ15の接触子16に接触して押し込み、この結果、接触子16はそのストローク端部まで押し込まれた状態にある。即ち、接触子16は、所定のストロークだけ押し込まれた図1の実線位置では、前記レバー8のそれ以上のブレーキ解除方向の回動を規制するストッパとしての役割を果たす。
【0032】
このブレーキ解除状態では、前記レバー8のフォーク11は押圧板6を介してブレーキディスク4・4・・・を押圧しないので、それぞれのブレーキディスク4・4・・・の間には適宜の量の隙間が形成されている。これにより、ドライブシャフト2は引き摺られることなくスムーズに回転することができる。また、スイッチ15は接触子16の押込みを感知してOFFになっており、これを検知した報知コントローラ21はメーターディスプレイ22のランプを消灯させる。従って、運転座席のオペレータは、「P」のランプが消えていることをもって、パーキングブレーキ3が非作動であることを知ることができる。
【0033】
そして、車両停止時にオペレータがパーキングブレーキレバー14に手を掛けて矢印の如く手前に引くと、レバー8のレバー本体10の先端部が制御ケーブル13を介して引っ張られるため、レバー8が基部9を中心に図1の反時計回りに回動する。この結果、レバー本体10がスイッチ15の接触子16から離間するとともに、フォーク11が押圧板6を介してブレーキディスク4・4・・・を押し付け、上記の隙間を消失させてブレーキディスク4・4・・・を相互に圧接させ、ドライブシャフト2に摩擦制動力を付与する。この状態でパーキングブレーキレバー14を適宜のロック機構でロックすることで、車両がオペレータの意に反して動き出さないようにブレーキすることができる。
【0034】
このブレーキ状態においては、接触子16の押込みが接触子支持体17内の図示しない戻しバネによって解除されるので、スイッチ15はONに切り換わり、これを検知した報知コントローラ21はメーターディスプレイ22のランプを点灯させる。従って、運転座席のオペレータに対しパーキングブレーキ3が作動していることを報知することができる。
【0035】
次に、上記の構成において、パーキングブレーキレバー14の操作力やパーキングブレーキ3の効き具合を調整するための調整作業を説明する。上記の調整は、インストルメントパネル部25の内部にアクセスして、制御ケーブル13の長さ調整部24をねじ込むことにより行う。
【0036】
具体的には、先ず、図1のパーキングブレーキレバー14を手前に倒して鎖線のブレーキ位置とし、この状態で長さ調整部24をねじ込んで制御ケーブル13の張りを調整し、ブレーキディスク4・4・・・の部分で所望の制動力が得られるように調整する。
【0037】
ここで、車両を坂道で使用することが多い等、パーキングブレーキ3の効きを強めたい事情があった場合、上記のねじ込み作業を必要以上に行うことがある。そして、制御ケーブル13の張りを強め過ぎた場合、パーキングブレーキレバー14をブレーキ解除位置に戻した状態でも制御ケーブル13がレバー8をブレーキ方向へ引っ張ってしまい、ブレーキディスク4・4・・・間の隙間量が過小になって引き摺りトルクが大きくなってしまう。
【0038】
この点、本調整方法では、上記のようにねじ込み作業を行った後は、パーキングブレーキレバー14をブレーキ解除位置に戻し、メーターディスプレイ22の「P」のランプが消灯することを確認する。もしパーキングブレーキレバー14をブレーキ解除位置に操作しても「P」のランプが消えない場合、これは、制御ケーブル13を張り過ぎてレバー本体10がスイッチ15から離間してしまったこと、即ち、レバー8がブレーキ解除位置に戻り切れずにブレーキディスク4・4・・・間の隙間量が小さくなっていることを意味する。このときは、制御ケーブル13の張り過ぎを緩める方向で長さ調整部24を再調整して、再度「P」のランプが消えることを確認する。こうすることで、パーキングブレーキの解除時におけるブレーキディスク4・4・・・間の適度な隙間量を確保しつつ、パーキングブレーキの制動力の調整を適切に行うことができる。
【0039】
以上のように、本実施形態のパーキングブレーキ作動報知装置1は、パーキングブレーキ3のブレーキディスク4・4・・・を圧接させるために当該ブレーキディスク4・4・・・を押圧するフォーク11を備えたレバー8と、このレバー8を引っ張ることが可能な制御ケーブル13と、この制御ケーブル13に連結されるパーキングブレーキレバー14と、前記レバー8の位置を検出するスイッチ15と、このスイッチ15の状態に基づいてパーキングブレーキ3の作動を報知するメーターディスプレイ22と、を備える。
【0040】
従って、パーキングブレーキ3の解除し忘れを報知できるとともに、ブレーキ解除状態におけるブレーキディスク4・4・・・間の隙間量の過小も報知することができる。従って、上記の隙間量の過小を知らずに運転してしまうことによる引摺りトルクの増大を回避できる。
【0041】
また本実施形態のパーキングブレーキ作動報知装置1は、レバー8をブレーキ解除方向に付勢するリターンスプリング12を備えるとともに、スイッチ15は、接触子16が前記レバー8に接触した状態で当該レバー8のブレーキ解除方向の移動を規制可能に構成されている。
【0042】
従って、スイッチ15によってレバー8の回動ストロークの一側を規制することができるので、特別な規制部材を設ける必要がなくなり、構成を簡素化することができる。また、レバー8の回動ストロークの一端(即ち、図1の実線に示すブレーキ解除位置)をスイッチ15で確実に検出することができる。
【0043】
また本実施形態では、接触子16の位置(スイッチ15の位置)を皿ナット19・19を回転させることで調整可能に構成されており、これによって前記レバー8のブレーキ解除位置が調整可能に構成されている。
【0044】
従って、レバー8のブレーキ解除位置の調整を簡素な構成で行うことができる。なお、このブレーキ解除位置の調整は、製造出荷時に行ったり、ブレーキディスク4・4・・・の摩耗に対応して行うことが考えられる。
【0045】
また、本実施形態では、以下の方法でパーキングブレーキの調整が行われる。即ち、パーキングブレーキレバー14をブレーキ位置(図1の鎖線)に操作した状態で前記制御ケーブル13の張りを調整し、その後、パーキングブレーキレバー14をブレーキ解除位置(図1の実線)に操作して、前記レバー8がブレーキ解除位置(図1の実線位置)にあることを、メーターディスプレイ22の「P」のランプが消えていることで確認する。
【0046】
従って、パーキングブレーキレバー14をブレーキ位置に操作した状態で制御ケーブル13の張りを調節することで、ブレーキディスク4・4・・・の圧接具合(即ち、パーキングブレーキ3の効き具合)を適切に調整できる。その一方で、パーキングブレーキレバー14をブレーキ解除位置に操作してメーターディスプレイ22の「P」のランプを確認することで、制御ケーブル13の張り過ぎによるブレーキディスク4・4・・・の隙間量の過小を確実に回避することができる。なお、本実施形態のメーターディスプレイ22はインストルメントパネル部25の近傍に設けられているので、実際にフォークリフトの底面側の前記ブレーキハウジング5内部を覗いて行う方法に比べ、ブレーキディスク4・4・・・の隙間量の確認は極めて容易である。
【0047】
以上に実施形態を説明したが、上記は一例であって、例えば以下のように変更することができる。
【0048】
報知手段としては、メーターディスプレイ22の警告灯の形状は、図示するものに限らず、任意の形状を採用することができる。また、光により報知するメーターディスプレイ22(警告灯)に代えて、又はそれに加えて、例えば音によりパーキングブレーキ3の作動を報知するブザー等を採用することができる。またブレーキ操作具としては、パーキングブレーキレバー14に限らず、例えばペダル形式の操作具を採用することができる。
【0049】
また、スイッチ15のON/OFF信号を、報知コントローラ21のみならず、車両の走行制御を行うコントローラに対しても出力する構成に変更することができる。この場合、例えば、スイッチ15がONのとき(パーキングブレーキ3の制動時や、ブレーキディスク4・4・・・の隙間量の過小時)にはアクセル操作具が操作されていても車両の駆動を停止したり、車速を制限するなどの制御を走行制御コントローラによって行うことができ、パーキングブレーキ3の焼付き等のトラブルを未然に防止することができる。スイッチ15の状態を表す信号は、走行制御コントローラへ直接出力されても良いし、例えば報知コントローラ21を介して間接的に出力されても良い。
【0050】
前記スイッチ15は、接触子16がレバー本体10によって押し込まれているときにOFFになり、押込み解除時にONとなるタイプに限定されず、逆の動作(押込み時ON−押込み解除時OFF)となるように構成することができる。また、レバー本体10以外の他の部分にスイッチ15の接触子16を接触させて切り換わるように構成することができる。
【0051】
また、スイッチ15は、接触子16が所定のストロークで押し込まれることで切り換わるタイプに限定されず、例えば接触子を移動不能に固定するとともに当該接触子及び前記レバー本体10を導電体で構成し、両者が接触したときの通電信号を報知コントローラ21に出力する構成に変更することができる。
【0052】
スイッチ15の位置調整機構は、接触子支持体17のネジと皿ナット19・19によるものに限らず、例えばウォームギアとラックによる機構を採用することができる。また、接触子支持体17ではなくスイッチハウジング18の取付位置を調整することで接触子16の位置を調整する構成に変更することができる。
【0053】
パーキングブレーキ3は、湿式かつ多板式のものに代えて、乾式や単板式のものに変更することができる。また、フォークリフト以外の作業車両を含む一般的な車両にも、上記のパーキングブレーキ作動報知装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るパーキングブレーキ作動報知装置の全体的な構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0055】
1 パーキングブレーキ作動報知装置
2 ドライブシャフト
3 パーキングブレーキ
4・4・・・ ブレーキディスク
5 ブレーキハウジング
6 押圧板
7 支持体
8 レバー
9 基部
10 レバー本体
11 フォーク(押圧部)
12 リターンスプリング(付勢バネ)
13 制御ケーブル(ケーブル)
14 パーキングブレーキレバー(ブレーキ操作具)
15 スイッチ
16 接触子
19・19 皿ナット
21 報知コントローラ
22 メーターディスプレイ(報知手段)
24 長さ調整部
25 インストルメントパネル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーキングブレーキのブレーキディスクを圧接させるために当該ブレーキディスクを押圧する押圧部を備えたレバーと、
このレバーを引っ張ることが可能なケーブルと、
このケーブルに連結されるブレーキ操作具と、
前記レバーの位置を検出するスイッチと、
このスイッチの状態に基づいてパーキングブレーキの作動を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする、パーキングブレーキ作動報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパーキングブレーキ作動報知装置であって、
前記レバーをブレーキ解除方向に付勢する付勢バネを備えるとともに、
前記スイッチは、前記レバーに接触した状態で当該レバーのブレーキ解除方向の移動を規制することが可能に構成されていることを特徴とする、パーキングブレーキ作動報知装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパーキングブレーキ作動報知装置であって、
前記スイッチはその位置を調整可能に構成されており、これによって前記レバーのブレーキ解除位置を調整可能に構成されていることを特徴とする、パーキングブレーキ作動報知装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のパーキングブレーキ作動報知装置であって、
前記スイッチが、車両走行を制御するコントローラへ信号を出力可能に構成されていることを特徴とする、パーキングブレーキ作動報知装置。
【請求項5】
パーキングブレーキのブレーキディスクを圧接させるために当該ブレーキディスクを押圧する押圧部を備えたレバーと、
このレバーをブレーキ解除方向に付勢する付勢バネと、
このレバーを引っ張ることが可能なケーブルと、
このケーブルに連結されるブレーキ操作具と、
を備える車両における、前記パーキングブレーキの調整方法において、
前記車両には、前記レバーがブレーキ解除位置にあることを検出するスイッチと、このスイッチの状態を報知する報知手段と、が備えられており、
当該調整方法は、
前記ブレーキ操作具をブレーキ位置に操作した状態で前記ケーブルの張りを調整する工程と、
前記ブレーキ操作具をブレーキ解除位置に操作して、前記レバーが前記ブレーキ解除位置にあることを前記報知手段によって確認する工程と、
を含むことを特徴とする、パーキングブレーキの調整方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−145202(P2007−145202A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343018(P2005−343018)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】