説明

ヒアルロン酸官能基化誘導体の製造方法及びそのヒドロゲル形成

本発明においては、有機溶媒中における、ヒアルロン酸(HA)のヒドロキシル基上での特定の活性基の形成と、挿入された活性基上での、少なくともその末端部分に求核官能基、NH−Rを含有するペンダント部分によるその後の置換とを介して、HAに官能基を挿入するのに有用な二工程手順が記載されている。求核置換により挿入された基は、もう一方の末端部分に更なる求核官能基を、更なる化学的官能基化に容易に利用できるように、例としては、HA官能基のメタクリル化が得られるように又は光架橋性誘導体が得られるように、含有することができる。提案された方法の直接の誘導体と更なる官能基化によって得られるものの両方は、ヒドロゲルを形成させるのに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官能基化ヒアルロン酸誘導体及び関連ヒドロゲルの製造手順に関する。更に詳細には、本発明は、ヒアルロン酸のヒドロキシル基上での特定の活性基の形成と、その挿入された活性基の、少なくとも求核官能基を末端部分として含有するペンダント部分によるその後の置換とを介して、ヒアルロン酸上に官能基を挿入するのに有用な二段階方法論に関する。求核置換により挿入された基は、特にはヒドロゲルを作るヒアルロン酸鎖の架橋を助けるために、他の末端部分として、更なる化学的官能基化に利用できる他の求核官能基を含有することができる。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸(HA)は、全ての組織の細胞外マトリックスに最も豊富に存在する非硫酸化グリコサミノグリカンであり;HAは、D−グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチル−D−グルコサミン(GlcNAc)の繰り返し単位によって構成された多糖であり、その化学構造を、連続した2つの繰り返し単位を示す以下の式によって表すことができる(繰り返し単位の数nは、50000〜数百万ダルトンの間に含まれる分子量を決定するようなものであろう)。
【0003】
【化1】

【0004】
ヒアルロン酸は、細胞移動、細胞分化、創傷治癒等の多くの重要な生物学的過程に積極的に関与する。特に、HAは、より豊富なプロテオグリカン、即ちアグリカンの形成のために起こる軟骨細胞外マトリックスの組織化において構造上重要な役割を果たす。
【0005】
高分子量のヒアルロン酸は、粘弾性外科手術(viscosurgery)及び関節内補充療法に使用され、また、それは、眼科分野で使用され、関節内注射によって適用できる潤滑剤として変形性関節症の痛みを軽減するために使用される。
【0006】
近年、幾つかの官能性又は架橋HA誘導体が、創傷上に適用されるフィルム又はスポンジとして製造されており、ここで、その製品は、治癒組織特性を有している。
【0007】
組織工学の分野では−損傷したヒト組織の再生又は完全置換を得るのに有用な技術の発展に関する新たなテーマであるが−HAは、スカフォールドとして知られる3次元多孔質構造の製造に広く用いられてきた。そのマトリックスは、組織細胞の成長及び分化を改善し、組織の再生及び再構築を助ける。
【0008】
このような適用に対し、HAは、ヒドロゲルを得るために適切に置換する場合に有用である。ヒドロゲルは、知られているように、天然若しくは合成ポリマー若しくはその誘導体によって構成されるか又は天然及び合成ポリマーの組み合わせによって構成されており、それら分子は、ファンデルワールス相互作用、水素結合、又は静電的若しくは化学的結合の結果として相互作用しており、それ故に、ヒドロゲルは、その乾燥重量の数百倍まで水を吸収することができる親水性ポリマーのネットワークである。それらの親水性特性及び生体適合性の可能性を考えると、ヒドロゲルは、薬学的応用及び薬学的−生物医学的応用について強くなっている関心を受ける。
【0009】
ペンダント官能基の挿入による多糖HA構造の化学的官能基化は、薬物放出を延長する薬学的デバイス(薬物送達システム)を得る目的があり;かかるシステムでは、多糖キャリヤーにその薬物が物理的又は化学的に結合し、それは、薬物の生物学的利用能を向上できる方法及び時間に従って放出される。
【0010】
上述したヒアルロン酸の薬学的、生物医学的、及び化粧的応用に対する大きな関心を考えると、より単純な新規のHA修飾を可能にする新しい化学的戦略の要求が高いことは明らかである。次いで、それらの新規誘導体は、可能性のある様々な応用に適合させるために使用できる。
【0011】
従来、ヒアルロン酸のヒドロキシル及びカルボキシル官能基化に関する幾つかの化学的修飾と、生物医学的分野又は薬学的分野における用途のための幾つかのHA誘導体が、記載されてきた。
【0012】
例として、米国特許第4582865号(Balasz et.al,Biomatrix Inc.)は、塩基性の高い条件でのジビニルスルホンとの反応によるHA架橋を記載する。欧州特許出願EP0216453(Fidia S.p.A.)は、極性非プロトン性溶媒中でのハロゲン化アルキルによるヒアルロン酸塩のエステル化を記載する。かかる誘導体は、薬学的分野において、組織工学用スカフォールド及び薬物の放出を制御するデバイス等の、多数の応用が見出された。それらエステルHA誘導体は、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中における増大した溶解度等の修正された物理化学的特性を有しており、繊維、多孔質スカフォールド及びフィルムを得るための工業パフォーマンスを向上させる。
【0013】
近年、グルクロン酸部分のカルボキシル基と繰り返し単位のヒドロキシル基の両方での反応を用いて、官能性ペンダント鎖によるヒアルロン酸官能基化を得るため、他の異なる化学的戦略が提案されてきた。特に、幾つかの論文は、HAのD−グルクロン酸部分の化学的官能基化を得るためのカルボジイミドケミストリー(式R−N=C=N−Rを有する化合物を使用する)を記載する。
【0014】
例として、Prestwich,Poyani et al.は、水溶性カルボジイミドを用い、ヒアルロン酸骨格にヒドラジドペンダント鎖を挿入した[特許US5502081(Prestwich et al.,The Research Foundation of State University of New York);特許US5616568(T.Pouyany et al.);非特許文献1]。それらの例では、ヒアルロン酸カルボキシル基が、一般式HN−NH−CO−A−CO−NHNH(ここで、Aは、一般的なスペーサー基である)を有する二官能性分子と反応し、式HA−CONH−NH−CO−A−CO−NH−NHを有するペンダントヒドラジド基を持つ官能基化ヒアルロン酸誘導体を生成する。同じ研究ラインを受けて、Vercruysse et al.(非特許文献2)は、2個より多いヒドラジド末端基を持つ分子を用いてヒアルロン酸を官能基化する方法を記載しており、出発多糖の架橋と、次のヒドロゲルの生成を可能にした。
【0015】
Aeschlimann et al.[欧州特許第EP1757314号に対応する特許US6630457(Aeschlimann et al.,Othogene LLC)]は、Pouyaniが提案したHAのカルボキシル基の活性化方法を、水溶性カルボジイミドの使用にヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシトリアゾール等の求核活性剤の使用を組み合わせることによって改良した。詳細には、開示の方法は、HA骨格上への新しい官能基の導入を扱っており、それは、最初に、中間エステル基を生成するカルボキシル基を活性化し、次いで、片側に良好な求核基と他の側に化学的に保護された官能基とを含有する分子を用いてそのエステル脱離基を置換することによるものである。このような方法で、HA活性化中間体は、より安定なものとなり、次いで、以下に示す二官能性求核分子による官能基化が、より選択的になる。かかる方法においては、アミン及びアルデヒドHA誘導体が、その後の架橋に適したものとして生成されており、それ故に、生体適合性のあるHA系ヒドロゲルが得られた。
【0016】
更に、Eurand Pharmaceuticals Ltdの発明者Mariottiらが提案した特許出願WO02/098923は、官能基化HA誘導体の製造方法を示し、ここで、そのヒドロキシル基は、エステル化又はカルバモイル化(HA−O−CONH−)され、カルボキシル基は、アルコールによって完全又は部分的にエステル化される。このようにカルバモイル化されたヒドロキシル基は、多糖をアルキル、アリール又はアリールアルキルイソシアナート(R−N=C=O)と反応させて得られる。そのようにして、カルバモイル化及びエステル化されたHA誘導体が得られ、クロマトグラフ分析の固定相として適用された。
【0017】
同様に、特許EP1538166(Industrial Technology Research Instituteによって提案された)においてMariotti et al.,Chen Jui−hsiang et al.によって説明された方法は、ペンダント鎖として疎水性、親水性及び両親媒性ポリマーを持つHA誘導体の生成を記載しており、それは、多糖と同一ポリマーのイソシアナート誘導体間の反応によって得られる。
【0018】
最後の2つの特許は、二糖繰り返し単位の第一級ヒドロキシル基上でのカルバミン酸HA誘導体の形成を記載しており、それは、極性非プロトン性溶媒に溶解できるHA塩と反応性イソシアナートとを用いた反応を行うことによるものである。この場合、ヒアルロン酸のヒドロキシル基は、単一段階反応において官能基化され、そのとき、ヒアルロン酸と新しいペンダント官能性の間にカルバミン酸結合(−O−CO−NH−,ウレタン結合としても知られる)を生成した。そして、かかる官能基化は、一般式(HA−O−CO−NH−R)を用いて記載でき、ここで、Rは、親水性、親油性又は両親媒性の鎖であってもよい。しかしながら、前述の方法論は、開始反応物質として用いる必要があるイソシアナート誘導体のみに官能基化が制限されるという不都合を被る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第4582865号
【特許文献2】欧州特許出願EP0216453
【特許文献3】特許US5502081
【特許文献4】特許US5616568
【特許文献5】特許US6630457
【特許文献6】欧州特許第EP1757314号
【特許文献7】特許出願WO02/098923
【特許文献8】特許EP1538166
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】T. Pouyany, G. D. Prestwich Functionalized Derivatives of Hyaluronic Acid Oligosaccharides: Drug Carriers and Novel Biomaterials, Bioconjugate Chem., 1994, 5, 339-347
【非特許文献2】Vercruysse et al.,“Synthesis and in Vitro Degradation of New Polyvalent Hydrazide Cross-Linked Hydrogels of Hyalyronic Acid, Bioconjugate Chem., 1997, 8, 686-694
【発明の概要】
【0021】
上述の方法論を考慮すれば、本発明の目的は、架橋ヒドロゲルの生成に利用でき又は更なる官能基化を得るための中間体として有用な官能基化HA誘導体を、水性溶媒及び有機溶媒の両方において生成する新規な方法を開示することにある。更に、本発明の目的は、官能性HA誘導体が新規なヒドロゲルの生成に容易に利用できる方法論を開示することにある。
【0022】
この目的を受けて、本発明によれば、その化学反応においてヒアルロン酸グルクロン酸部分のカルボキシル基に関与しないようにHA官能性誘導体を得る汎用的な化学的手法を見出した。この方法は、二工程手順を含むものであり、ここで、第一工程は、活性中間体を与えるため、ヒアルロン酸の少なくとも一つのヒドロキシル基に化学的活性部分を導入するものであり、また、第二工程では、前記活性中間体が反応性求核試薬と反応し;前記反応性求核試薬は、少なくとも一つの第一級アミノ基を持つ。その二工程手順の連続的な適用は、ヒドロキシル基の少なくとも一つを介して、HA骨格に結合した少なくとも一つのカルバミン酸基(−O−CO−NH−)の形成をもたらす。
【0023】
詳細には、上記方法の第一工程において、周知で且つ商業化が可能なビス(4−ニトロフェニルカーボナート)又はクロロニトロフェニルカーボナート等の特定の活性化分子を用い、HAヒドロキシル基(第一級及び/又は第二級)にニトロフェノキシカルボニル基(NO−Ph−O−CO−)を挿入し;第二工程では、挿入した良好な脱離基(ニトロフェノキシル)が、一般式NH−Rを有する求核分子によって置換される。かかる求核分子は、少なくとも一つの第一級アミン基を含有すべきであり、Rは、NH、アルキルアミノ基、アルキル鎖、アリールアルキル鎖、ポリアクリル鎖若しくはポリオキシエチレン鎖を表し、又は更に一般的には低分子量分子(例として薬物)若しくは高分子量分子(例としてポリマー、タンパク質等)を表し;好ましくは、前記低分子量分子又は高分子量分子が、生体適合性があり、且つ、有機溶媒又は水性媒体に可溶である。
【0024】
本発明によれば、二段階反応によって、HAの第一級及び/又は第二級ヒドロキシル基に、適切な活性化の中間体を用いて、新しいカルバミン酸結合を得ることが可能である。詳細には、反応性ビス(4−ニトロフェニルカーボナート)を用いて、好ましくはアミノ又はヒドラジド官能性を持つ、求核分子に対し容易に反応する、反応性ニトロフェニルカーボナート誘導体をHAに生成させた。
【0025】
上記手順の第二工程で挿入されたペンダント鎖は、必要な場合、他の官能基、特には架橋反応が可能な化学基を持つ分子との反応によって、有機媒体又は水性媒体で行う更なる化学的官能基化に依然として利用できる他の官能基を少なくとも持つことができる。
【0026】
開示した方法は、新しいアミン若しくはヒドラジド化学的官能性を持つHA誘導体を生成するために、又は親水性若しくは親油性ペンダント鎖を持つHA誘導体を生成するために使用できる。
【0027】
かかる方法では、商業化が可能な多種多様の化学的官能基を、HAに、そのヒドロキシル基(第一級及び/又は第二級)を介して結合できる。更に、この手順に続き、有機的環境下において、かかるアミノ及びヒドラジド誘導体をも更に官能基化することが可能である:詳細には、かかるアミノ又はヒドラジドHA誘導体のテトラブチルアンモニウム塩(TBA)を更なる官能基化に用いることができる。一般的に、水性及び有機媒体の両方で、特にはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等の極性非プロトン性溶媒並びにそれらの混合物中で、このような更なる官能基化を行うことができる。
【0028】
一部の実験的な結果を図面において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の手順に従って得た、エチレンジアミン基における官能基化が50%mol/molのHA−EDA誘導体のH−NMRスペクトル(DO)を示す。
【図2】本発明の手順に従って得た、ブチル基における官能基化が52%mol/molのHA−BTA誘導体のH−NMRスペクトル(DO)を示す。
【図3】本発明の手順に従って得た、ポリオキシエチレン−モノメチル−モノアミノ鎖における官能基化が33%mol/molのHA−NH−PEG誘導体のH−NMRスペクトル(DO)を示す。
【図4】本発明の手順に従って得た、エチレンジアミン基における官能基化が50%mol/molで、メタクリル基における官能基化が50%mol/molであるHA−EDA−MA誘導体のH−NMRスペクトル(DO)を示す。
【図5】0.5%w/vの凍結乾燥したHA−EDA−BCヒドロゲルのSEM画像を示す。
【図6】HA−EDA−BCヒドロゲル中に封入したヒト軟骨細胞の増殖を示す。値は、吸光度±標準偏差(n=9)として表される。
【図7】3日間の培養後におけるHA−EDA−BCヒドロゲル中に3−D封入した軟骨細胞の生/死の染色を示す。死細胞は、枠で示される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の特定の目的は、以下に示す連続した工程からなるヒアルロン酸官能性誘導体の生成手順にある。
(a)ヒアルロン酸(HA)の少なくとも一つのヒドロキシル基の活性化(このHAは、有機溶媒に溶解できる塩である);このHA塩を、極性非プロトン性溶媒中で、炭酸フェニルエステル又はハロギ酸フェニルエステル間で選択された炭酸化剤と反応させる;
(b)工程(a)から得られた活性化HA塩の、求核置換による、一般式HN-Rを有する化合物との反応であり、ここで、Rは、NH、アミノアルキル基、アルキル鎖、アリールアルキル鎖、ポリアクリル鎖、ポリオキシエチレン鎖、又は低分子量分子(例として薬物)若しくは高分子量分子(例としてポリマー、タンパク質等)とすることができ;好ましくは、前記低分子量分子又は高分子量分子は、生体適合性があり、有機溶媒又は水性媒体に可溶である。
【0031】
特に、第一工程に用いる炭酸化反応物質をビス(4−ニトロフェニルカーボナート)(カルボニルフェニルエステル)及び/又はクロロニトロフェニルカーボナートとすることができる。
【0032】
有機溶媒に溶解するヒアルロン酸塩は、好ましくは、テトラブチルアンモニウム塩(TBAで示される)又はセチルトリメチルアンモニウム塩(CTAで示される)間で選択されるべきである。
【0033】
本発明の一部の実現された好適な態様によれば、官能基化反応に用いる有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物間で選択され、活性化(a)及び求核置換(b)の両方の工程は、10〜60℃の温度で行われる。
【0034】
得られたHA誘導体の官能基化度は、HAのただ一つのヒドロキシル基から全部のヒドロキシル基までに及ぶことができ、それは、上述の方法に用いた反応性炭酸化剤の量に(正比例して)依存する。好ましくは、官能基化度は、5〜95%の範囲であり、より好ましくは20〜80%の範囲である(これをより理解するためには、例1を参照されたい)。
【0035】
他の特定の実施態様によれば、一般式NH−Rを有する化合物を、ヒドラジン(NH−NH)と式NH−(CH)−NHを有するビス−アミノアルキル基間で選択することができ、ここで、nは1〜30の数字であり、好ましくは1〜10である。以下の実験セクションに示す他の特定の実施態様においては、エチレンジアミン(NH−CH−CH−NH,EDAと名付ける)及びヒドラジン(NH−NH,Hyと名付ける)等の二官能性分子をHA骨格に結合させ、それぞれから誘導体HA−EDA及びHA−Hyを得た。
【0036】
本発明によれば、HA−EDA又はHA−Hy等のヒアルロン酸誘導体は、活性剤としてカルボジイミドを用いた自動架橋手順又は例としてグルタルアルデヒド等の二官能性架橋分子若しくは他の多官能性分子を用いることによる化学的架橋を介して、ヒドロゲルを生成するのに利用できる。上述の実施態様の具体的な詳細は、以下の実験パートに示す。
【0037】
本発明は、本発明において示した上記手順によって得られるアミノ若しくはヒドラジンのヒアルロン酸誘導体の有機溶媒可溶性塩、特にはテトラブチルアンモニウム塩又は水溶性ヒアルロン酸塩を用い、更なる誘導体化を行う方法を開示する。かかる誘導体化を有機溶媒又は水性媒体で行うことができる。本発明の他の好適な態様によれば、上記手順の工程(b)のようにして得たヒアルロン酸塩誘導体が、一般式Y−R'を有する分子との求核置換による更なる官能基化手順に続くものであり、ここで、Yは、ハロゲン、N−オキシスクシンイミド、炭素原子が1〜6個のアルコキシル等の良好な脱離基であるか、又はYは、無水物若しくはエポキシドの求電子性部分であり、R'は、アクリロイル若しくはメタクリロイル基(両方の基は適切に置換される)等の部分;又は有機溶媒若しくは水性溶媒に溶解できる分子の一部である。
【0038】
好ましくは、更なる官能基化を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はそれらの混合物から選択される極性非プロトン性溶媒中、5〜60℃の範囲の温度で行い;本発明の他の好適な態様を受けて、その反応は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン及びそれらの混合物間で選択される触媒の存在下で行われる。
【0039】
アクリル又はメタクリルヒアルロン酸誘導体の生成について、このような式Y−R'を有する化合物は、メタクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、塩化アクリロイル、アクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルであるのが好ましく;以下の実験パートで示される他の特定の誘導体、ヒアルロン酸のベンゾイルシステイン誘導体の生成では、一般式Y−R'の化合物が、N,N'−ジベンゾイル−L−システイン又はその類似誘導体のN−オキシスクシンイミドモノエステル又はジエステルである。
【0040】
この最後の例では、次いで、ヒアルロン酸に結合したベンゾイルシステイン部分を得るため、この更なる官能基化から得られた誘導体を還元手順により処理する。
【0041】
更なる態様によれば、本発明は、上述の過程から得られる50000〜1500000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸の官能基化誘導体で構成された新しい生成物を扱うことである。
【0042】
以下、上述の過程を受けた場合にHAヒドロキシル基に起こる官能基化の種類の単なる代表(共有結合)として意図された構造式を示す。以下に報告される構造は、上述の通り、代わりに、上記過程で用いた反応性炭酸化剤の量に正比例する官能基化度の代表として意図するものではない。
【0043】
好適な実施態様によれば、本発明は、上述の過程から得られる50000〜1500000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸アクリル又はメタクリル誘導体について言及する。
【0044】
かかるメタクリル誘導体の官能基化の種類は、出発ヒアルロン酸の2つの連続した二糖単位を記載する以下の構造によって表される場合があり、ここでは、少なくとも一つのヒドロキシル基が官能基化されている。
【0045】
【化2】


HA−EDA−MA
【0046】
アクリル誘導体は、メタクリロイルの代わりにアクリロイル基が存在する上記の式によって表され得る。
【0047】
かかるアクリル又はメタクリル誘導体は、先に報告したように、本発明によって開示される「二工程」に従い、その後の更なる官能基化から生成できる。
【0048】
更に、5〜95%の範囲の遊離アミノ基を有する誘導体を得るため、アクリル又はメタクリル基における第三工程官能基化の量を制御することが可能である。
【0049】
架橋ヒドロゲルは、光架橋手順を用いて上述の生成物から得ることができ、ここで、水性又は有機溶液中での上述の官能基化誘導体の濃度は、1%w/v〜20%w/vの範囲である。好ましくは、ヒドロゲルは、ラジカル光開始剤の有無にかかわらず、5分〜10時間の照射時間で、180〜800nmの波長を照射することによって得られる。かかるヒドロゲルは、γ若しくはマイクロ波照射、又は他の電離放射線によっても得ることができる。
【0050】
かかる光架橋は、アクリル及びメタクリルモノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート及びアクリレート等、モノ及び多官能性の、適当な添加剤の存在下、又は可塑性、硬度、親水性及び親油性の特徴を変更又は向上させるのに用いる他の添加剤の存在下においても行うことができる。
【0051】
本発明の更なる態様によれば、これは、特定の目的として、提案された二工程手順に従って得られた新規の誘導体、上述の過程から得られる50000〜1500000ダルトンの分子量を有するヒアルロン酸ベンゾイルシステイン誘導体、又はその類似誘導体がある。かかるヒアルロン酸ベンゾイルシステイン誘導体は、出発ヒアルロン酸の2つの連続した二糖単位について言及される以下の構造によって表される場合があり、ここでは、少なくとも一つのヒドロキシル基が官能基化されている。
【0052】
【化3】


HA−EDA−BC
【0053】
かかるアミノ酸誘導体は、本発明に従う二工程手順に従い、次いで、上述の更なる官能基化に従い、そして、その後のヒアルロン酸誘導体ジスルフィド架橋還元によって得ることができる。
【0054】
この場合、空気酸化でさえ、架橋ヒドロゲルを得ることができる。
【0055】
一般的に、本発明は、その範囲に、上述の方法によって得られるヒドロゲルを含んでおり、かかるヒドロゲルは、適当な技術的手順を適用して、ナノ粒子又はマイクロ粒子、フィルム、膜、繊維及びスカフォールドとして製造できる。
【0056】
最後に、本発明は、薬物又は遺伝子送達システムの製造、化粧品及び農業食物用途、創傷、器官若しくは組織被覆システムの製造、組織再生用の埋め込み型材料及びスカフォールドのための、上記ヒドロゲルの使用に関する。
【0057】
本発明の特定の特徴は、その利点及びその方法論並びに誘導体の更なる官能基化及びヒドロゲルの調製について言及される特定の応用例として、以下の詳細に例示された説明で更に明らかになる。
【実施例】
【0058】
実験パート
例1
ヒアルロン酸−エチレンジアミン誘導体(HA−EDA)の合成
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液を用いたヒアルロン酸溶液の中和によって調製されたヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)3gを、無水ジメチルスルホキシド270mlに溶解した(ヒアルロン酸の重量平均分子量270kDa)。
【0059】
HA−TBAのモル当たりの4−NPBCのモルの割合がそれぞれ0.75、0.5及び0.25で得られるように選択された適切な量のビス(4−ニトロフェニル)カーボナート(4−NPBC)を無水ジメチルスルホキシド30mlに溶解した;この溶液を、40℃で攪拌下のHA−TBA溶液に、滴下しながら加えた。4時間後、エチレンジアミン(EDA)3mlを滴下しながら加え、その溶液を40℃にて更に3時間放置した。次いで、反応の後処理を、まずヒアルロン酸誘導体をアセトン中に沈殿させ、次いで反応中間体の無い生成物が得られるまで同一溶媒で洗浄することによって、達成した。
【0060】
得られた固体は、HA−TBA−EDAコポリマーによって形成されており、それを細かくした。
【0061】
HAのエチレンジアミノ誘導体、HA−EDA誘導体のナトリウム塩は、ナトリウム形態で活性化されたDOWEX 50 W×8樹脂が詰めてあるカラムを通して、HA−TBA−EDAのジメチルスルホキシド中の溶液を流すことによって得られた。その生成物は、透析手順によりDMSO溶液を水に交換し、次いで、水溶液を凍結乾燥することによって回収された。
【0062】
スキーム1は、官能基化の手順を示す。
【0063】
スキーム1−ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)のエチレンジアミンによる官能基化の反応であって、HA−EDA誘導体を得るための反応である。
【0064】
【化4】

【0065】
HA−EDA誘導体は、図1に報告されたスペクトルに示されるように、H−NMR分析によって特徴付けられた(図面参照)。詳細には、H−NMR(DO)は、δ1.9(m,−NH−CO−C);δ3.1(m,CO−NH−C−C−NH)を示した。
【0066】
HAのN−アセチルグルコサミンのCHに帰するδ1.9のピーク面積を、HAに結合したエチレンジアミン部分に帰するδ3.1のピーク面積と比較することにより、官能基化の度合いを計算した。官能基化度は、HAの繰り返し単位のモル当たりの挿入されたエチレンジアミン部分の%モルとして表される。
【0067】
以下に示す表1は、例として、4−NPBCモル/HA−TBA繰り返し単位モルの3つの異なる割合を用いて得られた、HAに結合したエチレンジアミン基におけるモル官能基化を示す。
【0068】
【表1】

【0069】
例2
ヒアルロン酸−ヒドラジン誘導体(HA−Hy)の合成
ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)3gを無水ジメチルスルホキシド270mlに溶解した(ヒアルロン酸の重量平均分子量270kDa)。ビス(4−ニトロフェニル)カーボナート(4−NPBC)0.73gを含有する無水ジメチルスルホキシド溶液30mlを、HA−TBA溶液に滴下しながら加え、反応させるために攪拌しながら40℃にて4時間放置した。この時間の後、ヒドラジン一水和物2.7mlを滴下しながら加え、その溶液を40℃にて更に1時間放置した。次いで、反応の後処理を、まずヒアルロン酸誘導体をジエチルエーテル中に沈殿させ、次いでアセトンで洗浄することによって、達成した。HA−Hyのナトリウム塩を得るため、反応溶液は、ナトリウム形態で活性化されたDOWEX 50 W×8樹脂が詰めてあるカラムを通して流され、次いで、アセトン中に沈殿させ、同一溶媒で洗浄した。次いで、得られた固体を水に溶解し、水に対して透析し、その後、凍結乾燥した。官能基化度は、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNSB)を用いた比色分析によって検出したところ、50%mol/molに等しかった。
【0070】
スキーム2は、反応手順を示す。
【0071】
スキーム2−ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)のヒドラジン一水和物による官能基化の反応であって、HA−Hy誘導体を得るための反応である。
【0072】
【化5】

【0073】
例3
ブチルアミンで官能基化したヒアルロン酸誘導体(HA−BTA)の合成
ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)3gを無水ジメチルスルホキシド270mlに溶解した(ヒアルロン酸の重量平均分子量270kDa)。ビス(4−ニトロフェニル)カーボナート(4−NPBC)0.73gを含有する無水ジメチルスルホキシド溶液30mlを、HA−TBA溶液に滴下しながら加え、反応させるために攪拌しながら40℃にて4時間放置した。この時間の後、ブチルアミン4.7mlを滴下しながら加え、その反応混合物を40℃にて24時間放置した。次いで、その反応溶液は、ナトリウム形態で活性化されたDOWEX 50 W×8樹脂が詰めてあるカラムを通して流され、次いで、アセトン中に沈殿させ、同一溶媒で洗浄し、最後に、水に対して透析し、凍結乾燥した。得られた誘導体(HA−BTAと名付けた)に関しては、トリニトロベンゼンスルホン酸アッセイ(TNSB)によって、未反応ブチルアミンがないことを確認した。
【0074】
スキーム3は、官能基化手順を示す。
【0075】
スキーム3−ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)のブチルアミン(BTA)による官能基化の反応であって、HA−BTA誘導体を得るための反応である。
【0076】
【化6】

【0077】
HA−BTA誘導体は、図2に示されるようにH−NMRによって特徴付けられ、以下のシグナルを示す(DO):δ0.8(−NH−CH−CH−CH−C);δ1.3(−NHCH−CH−C−CH);δ1.4(−NH−CH−C−CH−CH);δ2.0(s,−NH−COC);δ3.1(−NH−C−CH−CH−CH)。ブチルアミン鎖のメチレンに帰するδ0.8,1.3,1.4及び3.1でのピーク面積をHAのN−アセチルグルコサミンのメチル基に帰するδ2.0のピーク面積と比較することにより、官能基化の度合いを計算した。官能基化度は、52%mol/molに等しかった。
【0078】
例4
ヒアルロン酸−アミノポリエチレングリコール誘導体(HA−NH−PEG)の合成
HAのテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)(出発ヒアルロン酸の重量平均分子量は230kDaに等しい)1gを無水ジメチルスルホキシド90mlに溶解した。ビス(4−ニトロフェニル)カーボナート(4−NPBC)0.4gを無水ジメチルスルホキシド10mlに溶解した。4−NPBCの溶液を、40℃で攪拌下のHA−TBA溶液に滴下しながら加え、次いで、同一温度で4時間、その反応を放置した。
【0079】
その時間の後、ジメチルスルホキシド5mlに溶解したO−(2−アミノエチル)−O−メチル−ポリエチレングリコール(PEG−NH)(分子量750kDa)6gを滴下しながら加え、その溶液を40℃にて24時間放置した。次いで、その反応溶液は、ナトリウム形態で活性化されたDOWEX 50 W×8樹脂が詰めてあるカラムを通して流され、次いで、アセトン中に沈殿させ、同一溶媒で洗浄した。凍結乾燥後、得られた生成物(HA−NH−PEGと名付けた)を水に溶解し、分子カットオフが12000〜14000に等しい透析膜Spectraporを用いて5日間水に対して透析した。
【0080】
以下のスキーム4は、官能基化の手順を示す。
【0081】
スキーム4−ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)のO−(2−アミノエチル)−O−メチル−ポリエチレングリコール(PEG−NH)による官能基化の反応であって、HA−NH−PEG誘導体を得るための反応である。
【0082】
【化7】

【0083】
遊離アミノ基のNTSB比色分析によって、未反応PEG−NHがないことを確認した。
【0084】
HA−NH−PEG誘導体は、図3に示されるようにH−NMRによって特徴付けられ、以下のピークが存在する(DO):δ1.4(s,−CO−NH−(O−CH−CH)n−O−C)δ2.0(s,−NH−CO−C);δ3.7(s,−CO−NH−(O−C−C)n−O−CH)。官能基化度は、33%mol/molに等しかった。
【0085】
ヒアルロン酸−エチレンジアミンのメタクリル誘導体(HA−EDA−MA)の調製
組織工学、薬物送達分野、組織増大等において与えられる、光架橋性ヒアルロン酸誘導体を生成するための関心を考えると、ここで提案される方法のより有利な応用の一つは、ヒアルロン酸アミノコポリマーのメタクリル部分による官能基化である。
【0086】
科学論文では、メタクリルヒアルロン酸誘導体の幾つかの例が報告されている。de Smeds et al.(J.Biomed.Mat.Res.2001;54(1):115−121)によって最初に説明された手順においては、HA−メタクリル誘導体(HA−MA)が、HAの第一級ヒドロキシル基に対して20倍モル過剰のメタクリル酸無水物を用いることによって、水性環境下において生成された。それにもかかわらず、この手順を用いると、二相系を形成するため、その官能基化の効率が低下する。
【0087】
近年、Oudshoorn et al.(Polymer 48(2007)1915−1920)は、極性非プロトン性有機溶媒(ジメチルスルホキシド)中でのHAのテトラブチルアンモニウム塩とメタクリル酸グリシジル(GMA)間の反応を用いることによる、HA−MAコポリマーの形成を説明した。この場合、200に等しいGMAモルとHAヒドロキシル基モルの割合を用いて、たった30%mol/molの官能基化が得られただけであった。
【0088】
ここに開示の方法では、ヒアルロン酸側鎖における求核性のより高い基の存在(例として、ヒアルロン酸のエチレンジアミン誘導体のアミノ基)が、例えば反応物質としてメタクリル酸無水物(AMA)を用いたより効率の良い官能基化を得るために都合良く利用され得る。
【0089】
上記方法の可能性を研究するため、また、HA上の遊離アミノ基の選択的官能基化を実証するため、(例1から得られるように)モル官能基化度がそれぞれ70、50及び25%mol/molに等しいヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩のアミノ誘導体(HA−TBA−EDA)の3つの異なるバッチを、以下の例5に記載の手順を用いてそれぞれ調製した。特に、この例では、HA−TBA−EDA遊離アミノ基と比べてちょうど2倍モル過剰のAMAが、HA−エチレンジアミン誘導体上に存在する全てのアミノ基の完全官能基化を得るのに十分であり、HA−EDA−MAと名付けたコポリマーを得た。トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いた比色分析によって、HA−EDA−MAコポリマーに未反応アミノ基がないことを評価した。更に、5〜95%の範囲の遊離アミノ基を有するHA−EDA−MA誘導体を得るため、メタクリル基における官能基化の量を制御することができる。
【0090】
例5
ヒアルロン酸−エチレンジアミンメタクリル誘導体(HA−EDA−MA)の合成
例1に報告されたようにして得た、エチレンジアミン基の官能基化度が50%mol/molに等しいHA−TBA−EDA1gを無水ジメチルスルホキシド(DMSO)100mlに溶解した。次いで、HA−TBA−EDAのアミノ基のモルと比べて2倍モル過剰に得るのに適当な量のメタクリル酸無水物(AMA)を加えた。触媒ジエチルアミンを、HA−EDA−TBAのアミノ基のモルに対し等モル比で加え、最終溶液を40℃で24時間放置した。
【0091】
この時間の後、その有機溶液を、ナトリウム活性化DOWEX 50 W×8樹脂を含有するカラムに流した。次いで、溶出した溶液をアセトン中に沈殿させ、得られた固体(HA−EDA−MAと名付けた)を同一溶媒で数回洗浄し、次いで乾燥させ、水中に溶解し、蒸留水に対して透析した。その溶液をろ過し、次いで、凍結乾燥した。スキーム5は、反応手順を示す。
【0092】
スキーム5−ヒアルロン酸−エチレンジアミンテトラブチルアンモニウム塩(HA−EDA−TBA)のメタクリル酸無水物(AMA)による官能基化の反応であって、HA−EDA−MA誘導体を得るための反応である。
【0093】
【化8】

【0094】
HA−EDA−MA誘導体は、H−NMRによって特徴付けられ(図4参照)、以下のピークを示す(DO):δ1.9(s,−CO−CH=CH−C);δ2.0(s,−NH−CO−C);δ5.5e5.8(m,−CO−C=C−CH)。
【0095】
メタクリル基のビニルプロトンに帰するδ5.5及び5.8でのピーク面積をHA繰り返し単位のN−アセチルグルコサミン部分のメチル基に帰するδ1.9のピーク面積と比較することによって、官能基化度を評価した。HA−EDAの繰り返し単位に結合したメタクリル基における官能基化度は、50%mol/molに等しい結果をもたらし、即ち、全てのアミノ基がメタクリル酸無水物を用いて誘導体化された。
【0096】
ヒアルロン酸−エチレンジアミン−ベンゾイルシステイン誘導体(HA−EDA−BC)の調製
細胞外マトリックスの最も重要な構造上の特性の一つは、コラーゲン及び他のタンパク質の存在によるフィブリル構造である。このフィブリル構造は、細胞の環境とのつながりの基礎であり、また、体液性因子及び栄養分の最適な拡散の基礎である。近年、フィブリル構造を持つ人工スカフォールドを作る可能性への努力がなされている(Biomaterials 29(2008)1989−2006)。
【0097】
これに関連して、ある可能性が、精密な階層構造で自然に会合することができるハイブリッドコポリマーの生成に関係する。例えば、Zhang et al.は、水性緩衝液に溶解させる場合にフィブリルスカフォールドを自然に形成することのできる自己相補的オリゴペプチドを作っており;それらのマトリックスは、組織工学分野において様々な応用を見出した(Chemical Biology 2002,6:865−871)。
【0098】
体内に注入した後に自動架橋が可能なスカフォールドを作る関心は、器官又は組織損傷へのそれらの直接堆積(即ち、関節軟骨の再構築のために)が外科的移植の必要性を回避でき、次いで形成された新しい細胞外マトリックスの宿主組織との統合を容易にするという事実によって正当化される。
【0099】
この観点から、架橋が組織に対して潜在的に毒性がある反応とかかわるべきでなく、更に、その反応は、マトリックス再生細胞の封入をその生存率に干渉せずに可能にすべきであることを基本とする(Advanced Drug Delivery Reviews 59(2007)263−273)。例えば、Shu et al.は、近年、空気酸化によってゆっくり架橋したり又は架橋剤としてPEG−ジアクリレート誘導体を用いた場合には迅速に架橋したりすることができるチオールヒアルロン酸誘導体を開発した(Biomaterials 25(2004)1339−1348;Biomaterials 24(2003)3825−3834;WO 2005/056608)。
【0100】
一部の非重合体の化合物は、ヒドロゲルを形成するために、有機媒体及び水性媒体の両方で自然に会合することができる。例えば、アミノ酸N−N'ジベンゾイル−L−システイン(DBC)及びその誘導体(J.Med.Chem.1967,10,1172)は、非常に低い濃度であっても自然な自己会合によってヒドロゲルを形成する。この自然な凝集の原動力は、アリール基によって促進されるπ−πスタッキング相互作用の形成である(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1995,34,584;J.Am.Chem.Soc 2000,122,11679−11691)。
【0101】
自然な自己会合によってフィブリルヒドロゲルを生成するDBC及びその誘導体の特性を考慮すると、ジスルフィド架橋の存在は、必要な場合、単純な酸化還元反応によって可逆的に壊される場合があり、遊離チオール基を形成させ、次いで、再度の酸化によりS−S架橋を形成させるため、本発明に報告される方法は、酸化的特性及び自己会合特性の両方を利用してフィブリル構造を作ることができる誘導体ヒアルロン酸−エチレンジアミン−ベンゾイルシステイン(HA−EDA−BC)を合成するのに用いることができる。
【0102】
例6
ヒアルロン酸−エチレンジアミン−ベンゾイルシステイン誘導体(HA−EDA−BC)の合成
N,N'−ジベンゾイル−L−システイン(DBC)1.3gをジクロロメタン28ml及び無水ジメチルスルホキシド20mlに溶解させる。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)0.6g及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)0.34gを加えた。活性化反応を室温にて24時間行った。この時間の後、その溶液をろ過し、過剰のジクロロメタンを真空下で除去した。
【0103】
このN,N'−ジベンゾイル−L−システインのN−オキシスクシンイミド誘導体(DBC−NOS)を含有する溶液を、アミノ基の官能基化度が30%mol/molのHA−TBA−EDA1gを含有するジメチルスルホキシド80mlに滴下しながら加えた。触媒としてのジエチルアミン(960μl)を用いてその反応を行った。
【0104】
40℃にて28時間後、その溶液を、ナトリウム形態で活性化した樹脂DOWEX 50 W×8が詰めてあるカラムに溶出し、次いで、そのコポリマーをジエチルエーテル中に沈殿させ、エタノール及びアセトンで洗浄した。このようにして得られたHA−EDA−DBCを細かくして、次いで、均質なヒドロゲルが得られるまで水中に分散させた。次いで、得られたヒドロゲルのpHを1NのNaOHを加えて8に調整し、その後、ジチオスレイトール1.2gを加えて、ジスルフィド架橋を還元し、誘導体ヒアルロン酸−エチレンジアミン−ベンゾイルシステイン(HA−EDA−BC)を得た。
【0105】
その溶液を室温にて24時間放置し、pHを3.5に調整した後、それを酸性水に対して5日間透析した。次いで、その溶液をろ過し、凍結乾燥させた。以下のスキーム6は、上述の官能基化手順を示す。
【0106】
スキーム6−ヒアルロン酸−エチレンジアミンテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA−EDA)のN,N'−ジベンゾイル−L−システインのN−オキシスクシンイミド誘導体(DBC−NOS)による官能基化反応と、その後のジスルフィド架橋還元との反応であって、誘導体ヒアルロン酸−エチレンジアミン−ベンゾイルシステイン(HA−EDA−BC)を得るための反応である。
【0107】
【化9】

【0108】
H−NMR及び比色分析は、HAのベンゾイルシステインによる官能基化度が30%mol/molに等しいことを示した。TNSBによる比色分析は、HA−EDA−BC誘導体に未反応のアミノ基がないことを実証した。
【0109】
架橋ヒアルロン酸誘導体ヒドロゲル
水性媒体又は有機媒体中、光開始剤の有無にかかわらず、γ線、紫外線、可視照射、マイクロ波を照射して、HA−EDA−MAシリーズのメタクリルヒアルロン酸誘導体の架橋を行った。本発明の手順に従って得られた、ヒアルロン酸に結合したエチレンジアミン又はメタクリル基における様々なモル官能基化度を有するHA−EDA−MAコポリマーの水溶液(濃度は1〜20%w/vの範囲である)は、180〜800nmの範囲の波長を有する放射線への暴露の後、又はγ線源若しくは他の電離源を用いるように、マイクロ波源を用いた後、ヒドロゲルを生成する。
【0110】
HA−ヒドラジン誘導体(HA−Hy)の架橋を、水性環境下、好ましくはpH4.75にて水溶性カルボジイミド、例えば(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(EDCI)の存在下において、行った。
【0111】
エチレンジアミンヒアルロン酸誘導体(HA−EDA)の架橋を、pH7〜8のリン酸緩衝液中で、二官能性又は多官能性架橋剤、好ましくはグルタルアルデヒドを用いることによって行った。
【0112】
HA−EDA−BC誘導体の架橋を、好ましくはpH7.4の、リン酸緩衝液中で、空気酸化法によって行った。
【0113】
例7
HA−EDA−MA系ヒドロゲルの生成
例5に従って得られ、HAに結合したエチレンジアミン基のモル官能基化度が50%mol/molで且つメタクリル基のモル官能基化度が50%mol/molであり、濃度が1〜20%w/vのHA−EDA−MAコポリマーの水溶液を、ペトリ皿で層状にし、それ故に、数ミリメートルの厚みを得た。
【0114】
上記ペトリ皿を12℃にて冷蔵ボックスに割り当て、250〜370nmの放射範囲で且つ最大強度のピークが310nmである125ワットのPolymer(Italquartz,ミラノ)ランプを用いて光をあてた。ランプとペトリ皿間の距離は約30cmであった。かかる照射サイクルの時間は、15〜90分の範囲であった。それぞれのポリマー濃度について、上記皿から容易に取り外し可能なヒドロゲルフィルムが得られる時間を決定した。
【0115】
以下の表2は、例として、ヒドロゲルフィルムを得るのに必要な照射時間を示しており、3つの異なる濃度について検討している。
【0116】
【表2】

【0117】
例8
ヒアルロン酸−ヒドラジン(HA−Hy)の自動架橋
例2の場合と同様に得られた、ヒドラジン基におけるモル官能基化度が50%mol/molに等しいHA−Hy誘導体を蒸留水に溶解し、1%w/vに等しい濃度を得た。その溶液のpHを、0.1NのHClを数滴用いて4.75に調整した。
【0118】
HAに結合したヒドラジン基の量に等しいモル量の(1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)(EDCI)を加え、0.1NのHClを加えながら、ヒドロゲルの形成が起こるまで、そのpHを一定に維持した。ヒドロゲルを回収し、蒸留水で洗浄し、凍結乾燥した。
【0119】
ヒドロゲルの重量収率は、出発ポリマーと比べて80%であり、次いで、その固体をFT−IR分析によって特徴付けた。
【0120】
例9
HA−EDA−BCヒドロゲルの生成
適当な量のポリマーをpH7.4のDulbeccoリン酸緩衝溶液に分散させ、次いで、完全可溶化が得られるまで5分間ボルテックスすることにより、ゲル形成溶液を得た。HA−EDA−BCに基づいた0.5w/v%のヒドロゲルサンプルを空気酸化によって調製した。ゲル形成後、サンプルを蒸留水で洗浄し、液体窒素中で凍結させ、凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。図5a及び5bに示されるように、HA−EDA−BCヒドロゲルは、直径が500nm〜1μmの範囲の相互接続したフィブリルを備えるフィブリル構造を示す。
【0121】
例10
軟骨細胞封入及び生死判別試験
ヒト関節軟骨から新鮮に単離したヒト関節軟骨細胞について、完全DMEM中で2週間2回の継代培養を行った。凍結乾燥したHA−EDA−BCをUV照射(125WのUVランプの使用)によって2時間殺菌した。次いで、HA−EDA−BC150mgを、約10分間静かにボルテックスしてDMEM9.4mlに溶解し、次いで、形成した泡を3分間の超音波処理により除去した。5×10細胞を含有するDMEM0.6mlを加え、均一の細胞分布を確保するために数分間静かに振盪することによって、軟骨細胞の封入を達成した。ゲル形成懸濁液150μlをNUNC CC−Inserts(ポリカーボナート膜)Multidish24ウェル中に注いだ。次いで、ゲル形成ヒドロゲルを2時間放置し、その後、DMEM1.1mlを加え、37℃及びCO5%にてインキュベートした。封入した軟骨細胞の生死を、2時間後、3日後、7日後、14日後及び21日後のMTSアッセイによって評価した。それぞれの日について、HA−EDA−BC封入ヒドロゲルを含有する3つの挿入物をMTS溶液100mlで処理し、反応させるために4時間放置した。次いで、96ウェルプレート中、550nm(n=9)での吸光度を読んだ。なお、ブランクとして、軟骨細胞を備えるヒドロゲルとして扱った空のHA−EDA−BCヒドロゲルを用いた。カルセインAM及びエチジウムホモ二量体−III(EthDIII)を用いた二重染色手順によって、HA−EDA−BCに軟骨細胞を詰めたヒドロゲルについての生死細胞適合性アッセイを行った。カルセインAMは、非蛍光性の細胞浸透分子であり、細胞内部で細胞内エステラーゼにより切断され、その蛍光性対応物(緑色蛍光)を生じる。EthD−IIIは、核酸染色剤であり、生存細胞を通って浸透できないが、DNAに結合して赤色蛍光を与える場合、死細胞の膜を通って拡散できる。3日間の培養後、ゲルを含有する挿入物をpH7.4のPBSで3回洗浄し、次いで、染色溶液と共に1時間インキュベートし、次いで、過剰の染色溶液を除去するために再度洗浄した。
【0122】
ゲルをカバースリップ上に取り付け、Axioscop2蛍光顕微鏡(Zeiss)を用いて分析し、コンピューターと適合したAxiocamデジタルカメラ(Zeiss)でとらえた。
【0123】
図6に示されるように、MTS分析によって得た吸光度は、21日間のインキュベーションの間ずっと増加しており、HA−EDA−BCに基づいた三次元ヒドロゲルスカフォールド内部の細胞の良好な生存率と増殖を実証する。
【0124】
3日間の培養後の、生死判別蛍光写真(図7参照)は、幾つかの生細胞と、数少ない死細胞(写真の枠参照)とを示し、それ故、封入手順の良好な生体適合性を示す。元のカラー写真では、生細胞が緑色で、死細胞が赤色である。
【0125】
本発明は、一部の特定の実施態様に関して記載されているが、当該技術分野の専門家によれば、保護の範囲から逸脱することなく、明らかな変化及び修正を操作でることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸の官能基化誘導体の製造方法であって、
a)ヒアルロン酸の塩を極性非プロトン性溶媒中で炭酸フェニルエステル及びハロギ酸フェニルエステルから選択されるカルボニル化剤と反応させることにより、有機溶媒に溶解する塩の形態でヒアルロン酸の少なくとも一つのヒドロキシル基を活性化する工程と;
b)工程a)によって得られた活性化ヒアルロン酸塩を、一般式NH−R[ここで、Rは、NH、アミノアルキル基、アルキル若しくはアリールアルキル鎖、ポリアクリル鎖、ポリオキシエチレン鎖、又は低分子量分子(例として薬物)若しくは高分子量分子からなる群から選択される]の化合物との求核置換反応を介して反応させる工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記カルボニル化剤が、ビス(4ニトロフェニルカーボナート)及びクロロフェニルカーボナートから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一般式NH−Rの前記化合物が、ヒドラジン及び式NH−(CH)n−NH[ここで、nは、1〜30の間の数字であり、好ましくは1〜10の間の数字である]のジアミノアルキル基から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒアルロン酸の塩が、テトラブチルアンモニウム塩及びセチルトリメチルアンモニウム塩から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記極性非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド、ジ−メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
活性化の工程(a)及び求核置換の工程(b)の両方が、10℃〜60℃の間の温度で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法に従って得たヒアルロン酸の官能基化誘導体に、活性化剤としてのカルボジイミドの存在下における自己架橋、又は二官能性若しくは多官能性架橋剤の使用による化学的架橋を受けさせることにあるヒドロゲルの製造方法。
【請求項8】
前記工程b)から得られた塩形態としてのヒアルロン酸の官能基化誘導体が、式Y−R’[ここで、Yは、ハロゲン、N−オキシスクシンイミド、及び炭素原子が1〜6個のアルコキシルから選択される良好な脱離基であるか、又はYは、無水物若しくはエポキシドの求電子性部分であり、R’は、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基(両方の基は任意に置換される)又は有機溶媒若しくは水性溶媒に溶解する分子に属する基からなる群から選択される]の化合物との反応による求核置換によって更なる官能基化を受けること特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記更なる官能基化が、水性媒体又は有機溶媒、好ましくはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物から選択される極性非プロトン性溶媒中で行われることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記更なる官能基化が、5℃〜60℃の間の温度で行われることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記更なる官能基化が、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン及びそれらの混合物からなる群から選択される触媒の存在下で行われることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
式Y−R’の前記化合物が、メタクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、塩化アクリロイル、アクリル酸グリシジル又はメタクリル酸グリシジルであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
式Y−R’の前記化合物が、N,N'−ジベンゾイル−L−システイン又はその類似誘導体のN−オキシスクシンイミドエステル又はジエステルであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記更なる官能基化から得られた誘導体が、ベンゾイル−システイン部分又はその類似誘導体を得るための還元過程を受けることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法から得られる、分子量が50000〜1500000ダルトンの範囲にあるヒアルロン酸の官能基化誘導体。
【請求項16】
官能基化の程度が、ヒアルロン酸の少なくとも一つのヒドロキシル基と全部のヒドロキシル基の間であることを特徴とする請求項15に記載の官能基化誘導体。
【請求項17】
請求項12に記載の方法から得られる、請求項15又は16に記載の官能基化誘導体。
【請求項18】
光架橋過程から得られる請求項17に記載のヒアルロン酸の官能基化誘導体を含んでなり、前記官能基化誘導体の水溶液又は有機溶液中における濃度が1%w/v〜20%w/vの間であることを特徴とするヒドロゲル。
【請求項19】
ラジカル開始剤の存在又は不在下における、5分〜10時間の照射時間での、最大波長が180〜800nmの範囲にある照射によって得られる請求項18に記載のヒドロゲル。
【請求項20】
γ線、マイクロ波又は他の電離放射線による照射過程から得られる、請求項17に記載のヒアルロン酸の官能基化誘導体を含むヒドロゲル。
【請求項21】
請求項13又は14に記載の方法から得られる、請求項15又は16に記載の官能基化誘導体。
【請求項22】
空気中での自動酸化の過程から得られる、請求項21に記載のヒアルロン酸の官能基化誘導体を含むヒドロゲル。
【請求項23】
請求項7に記載の方法から得られるか又は請求項18〜20及び22のいずれかに記載のヒドロゲルであって、ナノ粒子又はマイクロ粒子、フィルム、膜、繊維及びスカフォールドの形態で作られることを特徴とするヒドロゲル。
【請求項24】
薬物若しくは遺伝子材料の徐放システム、又は創傷、器官若しくは組織の被覆システム、又は組織再生用の埋め込み型材料若しくはスカフォールドを製造するための、請求項23に記載のヒドロゲルの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−510535(P2012−510535A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537999(P2011−537999)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066060
【国際公開番号】WO2010/061005
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511128387)ユニヴァーシタ’デグリ ステュディ ディ パレルモ (1)
【Fターム(参考)】