説明

ヒト固形腫瘍における遺伝子欠失及び突然変異ALKキナーゼ

本発明によると、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)のキナーゼ部分を第2タンパク質の部分と結合する融合タンパク質をもたらす、染色体2を含む新規な遺伝子欠失及び転座が、ヒト固形腫瘍、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)中で同定された。第2タンパク質は微小管関連タンパク質様4(Echinoderm Microtubule-Associated Protein-Like 4;EML−4)及びTRK−融合遺伝子(TFG)を含有している。ALKチロシンキナーゼ活性を保持しているEML4−ALK融合タンパク質は、この突然変異によって特徴付けられるNSCLCの増殖及び生存を促進することが確認された。従って、本発明は、ある側面で、開示される突然変異ALKキナーゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド及びベクター、それを検出するプローブ、単離された突然変異ポリペプチド、組み換えポリペプチド、及び融合及び切断されたポリペプチドを検出する試薬を提供する。開示される、この新規な融合タンパク質の同定は、生体試料におけるこれら突然変異ALKキナーゼポリペプチドの存在を判定する新規な方法、このタンパク質を阻害する化合物をスクリーニングする方法、及び突然変異ポリヌクレオチド又はポリペプチドによって特徴付けられる癌の進行を阻害する方法を可能にして、これらもまた本発明により提供される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1又は配列番号18のアミノ酸配列を含有している微小管結合タンパク質様4/未分化リンパ腫キナーゼ(Echinoderm Microtubule-Associated Protein-Like 4/Anaplastic Lymphoma Kinase; EML4−ALK)融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)EML4−ALK融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、そのヌクレオチド配列は配列番号2又は配列番号19のヌクレオチド配列を含有している;
(c)EML−4のN−末端アミノ酸配列(配列番号3の残基1−233又は配列番号3の残基1−495)及びALKのキナーゼドメイン(配列番号5の残基1116−1383)を含有しているEML4−ALK融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)EML−4のN−末端ヌクレオチド配列(配列番号4の1−700ヌクレオチド又は配列番号4の1−1486ヌクレオチド)及びALKのキナーゼドメインヌクレオチド配列(配列番号6の3348−4149ヌクレオチド)を含有しているヌクレオチド配列;
(e)EML4−ALK融合ポリヌクレオチドの融合接合部(配列番号2の700−701ヌクレオチド又は配列番号19の1486−1487ヌクレオチド)を包含するする少なくとも6つの隣接ヌクレオチドを含有しているヌクレオチド配列;
(f)EML4−ALK融合ポリペプチドの融合接合部(配列番号1の残基233−234又は配列番号18の残基495−496)を包含する少なくとも6つの隣接アミノ酸を含有しているポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;及び
(g)(a)〜(f)のヌクレオチド配列の何れかと相同性があるヌクレオチド配列:
よりなる群から選ばれる配列と少なくとも95%の相同性を有するヌクレオチド配列を含有している、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で請求項1に記載のポリヌクレオチドにハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドであって、当該ハイブリダイズする単離されたポリヌクレオチドがストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でA残基のみ又はT残基のみを含有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズしない、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
当該ポリヌクレオチドが更に検出可能な標識を含有している、請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1に記載の単離された核酸分子をベクターに挿入することを含有してなる、組み換えベクターを形成する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法で作成された組み換えベクター。
【請求項6】
請求項5に記載の組み換えベクターを宿主細胞に導入することを含有してなる、組み換え宿主細胞を作成する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法で形成された組み換え宿主細胞。
【請求項8】
当該方法がEML4−ALK融合ポリペプチドの発現に適している条件下で、請求項7に記載の組み換え宿主細胞を培養し、そして当該ポリペプチドを回収することを含有してなる、組み換えEML4−ALK融合ポリペプチド又は切断された活性ALKポリペプチドを作成する方法。
【請求項9】
(a)配列番号1又は配列番号18のアミノ酸配列を含有している、EML4−ALK融合ポリペプチドをコードするアミノ酸配列;
(b)EML−4のN−末端アミノ酸配列(配列番号3の残基1−233又は配列番号3の残基1−495)及びALKのキナーゼドメイン(配列番号5の残基1116−1383)を含有している、EML4−ALK融合ポリペプチドをコードするアミノ酸配列;及び
(c)EML4−ALK融合ポリペプチドの融合接合部(配列番号1の残基233−234又は配列番号18の残基495−496)を包含する少なくとも6つの隣接アミノ酸を含有しているポリペプチドをコードするアミノ酸配列:
よりなる群から選ばれる配列に少なくとも95%の相同性を有するアミノ酸配列を含有している、単離されたポリペプチド。
【請求項10】
請求項5に記載の組み換えベクター又は請求項7に記載の組み換え宿主細胞を用いて作成された組み換えEML4−ALK融合ポリペプチド又は切断された活性ALKポリペプチド。
【請求項11】
請求項9に記載のEML4−ALK融合ポリペプチドに特異的に結合するか又はこれを検出するが、野生型のEML−4又は野生型のALKの何れとも結合しないか又はこれを検出しない、単離された試薬。
【請求項12】
当該試薬が抗体又は重同位体標識化(AQUA)ペプチドである、請求項11に記載の単離された試薬。
【請求項13】
当該試薬がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プローブ又は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)プローブである、請求項11に記載の単離された試薬。
【請求項14】
当該ペプチドがEML4−ALK融合ポリペプチドの融合接合部又は野生型ALKの切断点のアミノ酸配列を含有している、請求項12に記載の重同位体標識化(AQUA)ペプチド。
【請求項15】
当該方法が工程:
(a)哺乳類の癌から生体試料を得ること;及び
(b)融合ポリヌクレオチド、又はALKの部分と二次タンパク質の部分を含有している、そのコードされた融合ポリペプチドを検出する少なくとも1つの試薬を用いて、ALK突然変異ポリヌクレオチド及び/又はそのコードされた突然変異ALKポリペプチドが当該生体試料中に存在するか否かを判定すること:
を含有してなる、哺乳類の癌から得られる生体試料における、突然変異ALKポリヌクレオチド又はそれがコードする突然変異ALKポリペプチドの存在を検出する方法。
【請求項16】
当該癌が固形腫瘍、肉腫又は癌腫である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
当該癌腫が肺癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
当該肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
当該突然変異ALKポリペプチドが、ALK(配列番号5)の残基1116−1383と当該二次タンパク質の部分を含有している融合ポリペプチドである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
当該二次タンパク質が、EML−4(配列番号3)及びTRK−融合遺伝子(TFG)タンパク質(配列番号22)よりなる群から選ばれる、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項21】
当該融合ポリペプチドがEML−4(配列番号3)の残基1−233又は残基1−495、又はTFG(配列番号22)の残基1−138を含有している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
当該融合ポリヌクレオチドが、EML4−ALK融合ポリヌクレオチド(配列番号2又は19)又はTFG−ALK融合ポリヌクレオチド(配列番号21)を含有している、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
当該融合ポリペプチドが、EML4−ALK融合ポリペプチド(配列番号1又は18)又はTFG−ALK融合ポリペプチド(配列番号20)を含有している、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
当該融合ポリヌクレオチドが、請求項1に記載の融合ポリヌクレオチドである、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
当該融合ポリペプドが、請求項9に記載の融合ポリペプドである、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
当該試薬が、請求項1に記載のポリヌクレオチド及び/又は請求項11に記載の少なくとも1つの試薬を含有している、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
当該試薬が、TFG−ALK融合ポリペプチド(配列番号20)又はTFG−ALK融合ポリヌクレオチド(配列番号21)と特異的に結合するか又はこれを検出するが、野生型のTFG又は野生型のALKの何れとも結合しないか又は検出しない単離された試薬を含有している、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
当該試薬が抗体又は重同位体標識化(AQUA)ペプチドである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
当該試薬がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プローブ又は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)プローブである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
当該重同位体標識化(AQUA)ペプチドがTGF−ALK融合ポリペプチドの融合接合部又は野生型ALKの切断点のアミノ酸配列を含有している、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
当該方法が、フローサイトメトリー(FC)、免疫組織化学的検査(IHC)、又は免疫蛍光法(IF)のアッセイ形式で実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
当該方法が、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のアッセイ形式で実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項33】
当該ALK融合ポリペプチドの活性を検出する、請求項15に記載の方法。
【請求項34】
当該方法が、当該癌におけるALK融合ポリペプチドの発現及び/又は活性を当該化合物が阻害するか否かを判定する工程を含有してなる、化合物がALK融合ポリペプチドの発現を特徴としている哺乳類の固形腫瘍の進展を阻害するか否かを判定する方法。
【請求項35】
当該ALK融合ポリペプチドが、ALK(配列番号5)の残基1116−1383と当該二次タンパク質の部分を含有している、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
当該二次タンパク質が、EML−4(配列番号3)及びTRK−融合遺伝子(TFG)タンパク質(配列番号22)よりなる群から選ばれる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
当該融合ポリペプチドがEML−4(配列番号3)の残基1−233又は残基1−495、又はTFG(配列番号22)の残基1−138を含有している、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
当該ALK融合ポリペプチドの発現及び/又は活性の阻害が、請求項1に記載のポリヌクレオチドを検出する少なくとも1つの試薬及び/又は請求項11に記載の少なくとも1つの試薬及び/又はTFG−ALK融合ポリヌクレオチド又はポリペプチドを検出する少なくとも1つの試薬を用いて判定される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
当該方法が、当該癌における当該EML4−ALK融合ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害する工程を含有してなる、EML4−ALK融合ポリペプチドを発現する癌の進展を阻害する方法。
【請求項40】
当該方法が、当該癌における当該TFG−ALK融合ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害する工程を含有してなる、TFG−ALK融合ポリペプチドを発現する固形腫瘍の進展を阻害する方法。
【請求項41】
当該癌又は当該固形腫瘍が肺癌である、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
当該肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
当該EML4−ALK融合ポリペプチド又は当該TFG−ALK融合ポリペプチドの発現及び/又は活性が、WHI−131及び/又はWHI−154、又はその類縁体を含有している組成物で阻害される、請求項39又は40に記載の方法。

【図2A】
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【図2B(1)】
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【図2B(2)】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B(1)】
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【図3B(2)】
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【図4A】
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【図4B(1)】
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【図4B(2)】
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【図4C】
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【図4D】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図5A−B】
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【図5C−D】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−501175(P2010−501175A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525538(P2009−525538)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/009273
【国際公開番号】WO2008/127248
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(501087490)セル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレイテツド (11)
【Fターム(参考)】