説明

ヒドロキシル化アミドの皮膚保湿剤

本発明は、式(I)[式中、(i)R1およびR2は水素原子もしくはC1〜C6のアルキル基を表し、または、(ii)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって5から7個の環員を有する飽和複素環を形成することができ(R5は水素原子もしくは(C1〜C3)のアルキル基を表し、R6は水素原子もしくは(C1〜C4)のアルキル基を表す)、R3は水素原子もしくは(C1〜C6)のアルキル基を表し、または-OR3はリン酸基を表し、2個のR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]の化合物ならびにその塩、その溶媒和物およびその異性体の、皮膚保湿剤としての化粧品使用に関する。また、本発明は、化合物(I)およびそれに相当する新たな化合物を含む化粧品組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア分野における、詳細には皮膚保湿剤としての、特定のアミドの使用と、新規の尿素誘導体と、さらにはそれらを含む化粧品組成物または皮膚用組成物とに関する。
【背景技術】
【0002】
角質層は、水分を奪う外部環境との境界を形成し、特に表皮の深層からの過剰な水分損失を妨げる働きをする。また、角質層は、機械的な攻撃および化学製品や外来性微生物の通過を防ぐ。さらに角質層は、紫外線に対する防御の最前線を構成してもいる。
【0003】
角質層は厚さが10μmで、脂質に富む膜である基質で囲まれ垂直に積み重なった角質細胞から成る。したがって角質層は、無核細胞(「レンガ」)および細胞間の層状膜(「セメント」)から成るレンガの壁に例え得る、2区画の系である。
【0004】
尿素は、保湿製剤中に広く使用されている成分の1つである。しかしながら尿素は、角質層のバリア機能を著しく低下させる経皮水分損失(TWL)を増加させることにより、皮膚バリアを大きく変質させるおそれがある。
【0005】
この分野における別の関連活性剤であるグリセロールは、高濃度で使用されると製剤がべたつくという欠点を有する。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0111326号
【特許文献2】米国特許第5352386号
【特許文献3】特開平2-295912号
【特許文献4】米国特許第5412004号
【特許文献5】米国特許第5811487号
【特許文献6】欧州特許第0852949号
【非特許文献1】C Dardonvilleら、「Selective inhibition of Trypanosoma brucei 6-phosphogluconate dehydrogenase by high-energy intermediate and transition-state analogues」、Journal of Medicinal Chemistry、2004、47、13、3427〜3437頁
【非特許文献2】T Woodhallら、「Synthesis of screening substrates for the directed evolution of sialic acid aldolase:towards tailored enzymes for the preparation of influenza A sialidase analogues」、Organic and Biomolecular Chemistry、2005、3、9、1795〜1800頁
【非特許文献3】Carreira Eら、「Synthesis of (+)-zaragozic acid C」、Journal of the American Chemical Society、1994、116、23、10825〜10826頁
【非特許文献4】MacDonaldら、「The synthesis of D-erythro-pentulose tetrabenzoate」、Journal of the American Chemical Society、1958、80、3379〜3381頁
【非特許文献5】Vertiev,Yuら、「Characteristics of the enzymic properties of neuraminidase from diphtheria microbes」、Rasskazov、V.A.Tezisy Dokl.編、Vses.Simp.Bioorg.Khim.、(1975)、49頁
【非特許文献6】Burgos,Emmanuelら、「Synthesis and evaluation of new 4-phospho-D-erythronic acid derivatives as competitive inhibitors of spinach ribose-5-phosphate isomerase」、Tetrahedron Letters(2004)、45(4)、753〜756頁
【非特許文献7】Wei,Chung Chenら、「Synthesis of chiral β-lactams using L-ascorbic acid」、Journal of Organic Chemistry(1985)、50(19)、3462〜3467頁
【非特許文献8】Phaosiri,Chanokpornら、「Substrate analogs for the investigation of deoxyxylulose 5-phosphate reductoisomerase inhibition;synthesis and evaluation」、J.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2004)、14(21)、5309〜5312頁
【非特許文献9】Walker,Joel R.ら、「Synthesis and Evaluation of 1-Deoxy-D-xylulose 5-Phosphate Analogs as Chelation-Based Inhibitors of Methylerythritol Phosphate Synthase」、Journal of Organic Chemistry(2005)、70(24)、9955〜9959頁
【非特許文献10】Glattfeld,J.W.E.ら、「Preparation of aldonic and saccharinic acid amides in liquid ammonia」、Journal of the American Chemical Society(1934)、56、2481〜2頁
【非特許文献11】J de Rigal、J-L.Leveque、「Dermometre,mechanical measurement of the plasticizing effect」、International Journal of Cosmetic Science、1982、247〜260頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、皮膚保湿の分野における代替的な解決策を見出す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、以下に記載の一般式(I)の特定のアミドが良好な保湿剤であり、角質層の弾力性の点で有益な効果を有することを見出している。
【0008】
したがって、本発明の主題は、一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
- (i)R1およびR2は、互いに独立に、水素原子、あるいは、-OR5、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、または、
(ii)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成することができ(この複素環は、特に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンおよびシクロヘキサメチレンイミン(またはホモピペリジン)から選択され、好ましくはピロリドンである)、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R5は、水素原子、または(C1〜C3)の直鎖もしくはC3の分枝鎖飽和アルキル基、または(C2〜C3)の不飽和アルキル基を表し、
R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3は水素原子もしくは(C1〜C6)の直鎖飽和アルキル基を表し、または-OR3はリン酸基を表し、2つのR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、
- R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]
の化合物ならびにその塩、その異性体およびその溶媒和物の、皮膚保湿剤としての化粧品使用である。
【0011】
式(I)の化合物は、いくつか公知のものがある。
(2R,3R)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二水素ホスフェート(以下、化合物1という)は、C Dardonvilleらの論文「Selective inhibition of Trypanosoma brucei 6-phosphogluconate dehydrogenase by high-energy intermediate and transition-state analogues」、Journal of Medicinal Chemistry、2004、47、13、3427〜3437頁に記載されている。
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ジメチルブタンアミド(以下、化合物2という)は、T Woodhallらの論文「Synthesis of screening substrates for the directed evolution of sialic acid aldolase:towards tailored enzymes for the preparation of influenza A sialidase analogues」、Organic and Biomolecular Chemistry、2005、3、9、1795〜1800頁、
および
Carreira Eらの論文「Synthesis of (+)-zaragozic acid C」、Journal of the American Chemical Society、1994、116、23、10825〜10826頁に記載されている。
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ジプロピルブタンアミドおよび(4R,5R)-5-(ヒドロキシメチル)-2,2-ジメチル-N,N-ジプロピル-1,3-ジオキソラン-4-カルボキサミドは、Woodhall Tらによる論文「Synthesis of screening substrates for the directed evolution of sialic acid aldolase:towards tailored enzymes for the preparation of influenza A sialidase analogues」、Organic and Biomolecular Chemistry、2005、3、9、1795〜1800頁に記載されている。
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド(以下、化合物3という)は、MacDonaldらの論文「The synthesis of D-erythro-pentulose tetrabenzoate」、Journal of the American Chemical Society、1958、80、3379〜3381頁に記載されている。
メチル[(2,3,4-トリヒドロキシブタノイル)アミノ]アセテート(以下、化合物16という)は、Vertiev,Yuらの論文「Characteristics of the enzymic properties of neuraminidase from diphtheria microbes」、Rasskazov、V.A.Tezisy Dokl.編、Vses.Simp.Bioorg.Khim.、(1975)、49頁に記載されている。
(2R,3R)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二ナトリウムホスフェート(以下、化合物17という)は、Burgos,Emmanuelらの論文「Synthesis and evaluation of new 4-phospho-D-erythronic acid derivatives as competitive inhibitors of spinach ribose-5-phosphate isomerase」、Tetrahedron Letters(2004)、45(4)、753〜756頁(化合物3)に記載されている。
(2R,3S)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド(以下、化合物18という)は、Wei,Chung Chenらの論文「Synthesis of chiral β-lactams using L-ascorbic acid」、Journal of Organic Chemistry(1985)、50(19)、3462〜3467頁(化合物12)、
および欧州特許出願公開第0111326号明細書(化合物XXVIII、実施例4)に記載されている。
(2S,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド(以下、化合物19という)は、CAS番号74464-43-0号として掲載されている。
(2R,3S)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二ナトリウムホスフェート(以下、化合物20という)は、Phaosiri,Chanokpornらの論文「Substrate analogs for the investigation of deoxyxylulose 5-phosphate reductoisomerase inhibition;synthesis and evaluation」、J.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2004)、14(21)、5309〜5312頁(化合物12)に記載されている。
(2R,3S)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二水素ホスフェート(以下、化合物21という)は、Walker,Joel R.らの論文「Synthesis and Evaluation of 1-Deoxy-D-xylulose 5-Phosphate Analogs as Chelation-Based Inhibitors of Methylerythritol Phosphate Synthase」、Journal of Organic Chemistry(2005)、70(24)、9955〜9959頁(化合物4)に記載されている。
(2S,3S)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド(以下、化合物22という)は、Glattfeld,J.W.E.らの論文「Preparation of aldonic and saccharinic acid amides in liquid ammonia」、Journal of the American Chemical Society(1934)、56、2481〜2頁に記載されているI-エリトレオンアミド(I-erythreonamide)化合物である。
【0012】
R1=R3=R4=HでありR2がC8〜C24アルキル基を表す式(I)の化合物は、洗浄用の化粧品組成物中の界面活性剤として米国特許第5352386号に記載されている。
【0013】
本発明の別の主題は、以下の式(II)
【0014】
【化2】

【0015】
[式中、
- (i)R1およびR2は水素原子を表し、または
(ii)R1は水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、
または
(iii)R1およびR2は、-OR5、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R5は、水素原子、または(C1〜C3)の直鎖もしくはC3の分枝鎖飽和アルキル基、または(C2〜C3)の不飽和アルキル基を表し、
R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3は水素原子もしくは(C1〜C6)の直鎖飽和アルキル基を表し、または-OR3はリン酸基を表し、2つのR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、
- R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]
の化合物ならびにその塩、その異性体およびその溶媒和物を、生理学的に許容可能な媒体中に含む組成物、特に化粧品組成物または皮膚用組成物である。
【0016】
本発明による組成物は、好ましくは、油、蝋、増粘剤、皮膜形成ポリマー、保存剤、香料、充填剤、紫外線遮断剤、殺菌剤、吸臭剤、色素、化粧品活性剤、植物エキス、抗酸化剤および界面活性剤から選択される化粧品成分を含有する。
【0017】
また、本発明の主題は、上に定義したとおりの式(II)の化合物を生理学的に許容可能な媒体中に含む化粧品組成物の皮膚への施用を含むことを特徴とする、非治療的スキンケアのための、および/または皮膚をメーキャップするための、美容トリートメント方法でもある。
【0018】
また、本発明の主題は、式(III)
【0019】
【化3】

【0020】
[式中、
- (i)R1は水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表すが、R2は-CH2-CO-O-CH3基を表さず、
または
(ii)R1およびR2は、C2もしくはC4〜C6の飽和またはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基、あるいはC3〜C6の飽和または不飽和分枝鎖アルキル基を表し、この基は置換されておらず、
または
(iii)R1およびR2は、-OR5、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R5は、水素原子、または(C1〜C3)の直鎖もしくはC3の分枝鎖飽和アルキル基、または(C2〜C3)の不飽和アルキル基を表し、
R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3は水素原子もしくは(C1〜C6)の直鎖飽和アルキル基を表し、または-OR3はリン酸基を表し、2つのR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、
- R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]
の新たな化合物ならびにその塩、その異性体およびその溶媒和物でもある。
【0021】
有利には、上述の式(I)、(II)および(III)の化合物は、以下の立体化学
【0022】
【化4】

【0023】
を有する。
【0024】
本発明の文脈においては、「アルキル」という用語は、直線状または分枝状の、飽和または不飽和の、環状または非環状の、炭化水素系の鎖を表す。本発明の実施に適したアルキル基の中では、特に、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、-CH2-t-ブチル、ペンチル、n-ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ノルボルニルおよびアダマンチル基を挙げ得る。
【0025】
本発明に記載の化合物の非治療的使用のために許容可能な塩としては、有機酸または無機酸から形成された塩など、該化合物の従来の無毒塩が挙げられる。例として、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸またはホウ酸などの無機酸の塩を挙げ得る。また、1つまたは複数のカルボン酸基、スルホン酸基もしくはホスホン酸基を含み得る有機酸の塩を挙げることもできる。そのような酸は、直鎖、分枝鎖もしくは環状の脂肪族酸または代替的に芳香族酸であってよい。また、このような酸は、OおよびNから選択された1つまたは複数のヘテロ原子を、例えばヒドロキシル基の形態で含んでもよい。特に、プロピオン酸、酢酸、テレフタル酸、クエン酸および酒石酸を挙げ得る。
【0026】
式(I)、(II)または(III)の化合物が酸性基を含むとき、その酸性基(複数可)の中和は、LiOH、NaOH、KOH、Ca(OH)2、NH4OH、Mg(OH)2もしくはZn(OH)2などの無機塩基を用いて、または1級、2級もしくは3級のアルキルアミン、例えばトリエチルアミンもしくはブチルアミンなどの有機塩基を用いて実施できる。この1級、2級または3級のアルキルアミンは、1つまたは複数の窒素原子および/または酸素原子を含んでよく、したがって、例えば、1つまたは複数のアルコール官能基を含んでよく、特に2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノプロパノールおよび2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールを挙げ得る。また、リジンまたは3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンを挙げることもできる。
【0027】
本発明に記載の化合物の非治療的使用のために許容可能な溶媒和物としては、溶媒の存在による該化合物の調製の最終ステップで形成される化合物など、従来の溶媒和物が挙げられる。例として、水、またはエタノールもしくはイソプロパノールなどの直鎖もしくは分枝鎖アルコールの存在による溶媒和物を挙げ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
式(I)の好ましい化合物は、
- (i)R1およびR2が、互いに独立に、水素原子、または、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つもしくは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C6の直鎖もしくはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、または
(ii)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成することができ(この複素環は、特に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンおよびシクロヘキサメチレンイミン(またはホモピペリジン)から選択され、好ましくはピロリジンである)、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3が水素原子を表し、
- R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表す
化合物である。
【0029】
好ましくは、
- (i)R1およびR2が、互いに独立に、水素原子、または、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つもしくは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C4の直鎖もしくはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、または
(ii)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つで場合により置換されているピロリジン複素環を形成することができ、好ましくは、ピロリジン複素環はヒドロキシメチル基で置換されており
(R6は、水素原子、または、(C1〜C4)、好ましくは(C1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3が水素原子を表し、
- R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表すが、好ましくは、R4は水素原子を表す
式(I)の化合物が使用される。
【0030】
式(II)の好ましい化合物は、
- (i)R1およびR2が水素原子を表し、または
R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(ii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iii)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3が水素原子を表し、
- R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表す
化合物である。
【0031】
好ましくは、
- (i)R1およびR2が水素原子を表し、または
(ii)R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つで場合により置換されているピロリジン複素環を形成することができ、好ましくは、ピロリジン複素環はヒドロキシメチル基で置換されており
(R6は、水素原子、または、(C1〜C4)、好ましくは(C1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3が水素原子を表し、
- R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表すが、好ましくは、R4は水素原子を表す
式(II)の化合物が使用される。
【0032】
式(III)の好ましい化合物は、
- (i)R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表すが、R2は-CH2-CO-O-CH3基を表さず、
または
(ii)R1およびR2が、C2もしくはC4〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、この基は置換されておらず、
または
(iii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3が水素原子を表し、
- R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表す
化合物である。
【0033】
好ましくは、
- (i)R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表すが、R2は-CH2-CO-O-CH3基を表さず、
または
(ii)R1およびR2が、C2もしくはC4の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、この基は置換されておらず、
または
(iii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つで場合により置換されているピロリジン複素環を形成することができ、好ましくは、ピロリジン複素環はヒドロキシメチル基で置換されており
(R6は、水素原子、または、(C1〜C4)、好ましくは(C1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表す)、
- R3が水素原子を表し、
- R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表すが、好ましくは、R4は水素原子を表す
式(III)の化合物が使用される。
【0034】
より好ましくは、
- R1が、水素原子、または、-OHおよび-SiMe3から選択される基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
- R2が、-OHおよび-SiMe3から選択される基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
- R3およびR4が水素原子を表す
式(I)、(II)または(III)の化合物が使用される。
【0035】
有利には、
- R1が、-OH基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
- R2が、-OH基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
- R3およびR4が水素原子を表す
式(I)、(II)または(III)の化合物が使用される。
【0036】
式(I)の好ましい化合物として、以下の化合物
【0037】
【表1A】

【0038】
【表1B】

【0039】
【表1C】

【0040】
を挙げ得る。
【0041】
式(II)の好ましい化合物は、上述の化合物2〜15から選択される。
【0042】
式(III)の好ましい化合物は、上述の化合物4〜15から選択される。
【0043】
化合物3、5、9、14および15は特に好ましく、化合物14および15はより一層好ましい。
【0044】
R3=R4=Hである式(I)の化合物(化合物Ia)は、トレオン酸またはエリトロン酸(A)(これらの2つの化合物は、不斉炭素の立体配置により互いに区別される)のメチルエステルを、具体的にはエタノールまたはアセトニトリル中で、およそ60℃の温度でアミンHN(R1)(R2)と反応させることにより得ることができる。
【0045】
-OR3および-OR4がリン酸基を表す式(I)の化合物(化合物Ib)は、水酸化ナトリウムまたはトリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下でトレオン酸またはエリトロン酸(A)のメチルエステルを脱プロトン化し、次いでジアルキルリン酸クロリド(例えば、クロロリン酸ジメチルもしくはクロロリン酸ジフェニル)または亜リン酸トリアルキル(例えば、亜リン酸トリメチルもしくは亜リン酸トリベンジル)または代替的にピロリン酸(例えば、ピロリン酸テトラベンジル)などのリン酸化剤との反応による求核置換を行うことにより調製できる。このようにして得られるリン酸エステルを、続いて、酸性もしくは塩基性の媒体中での加水分解、または臭化物イオン(例えば、臭化リチウムもしくは臭化トリメチルシリル)を用いた処理、または触媒(例えば、パラジウム系もしくはプラチナ系)の存在下での水素分子を用いた水素化分解のいずれかにより、リン酸またはその塩に変換する。
【0046】
このような反応は、以下の論文から公知である。
- Dardonville Cら、「Selective inhibition of Trypanosoma brucei 6-phosphogluconate dehydrogenase by high-energy intermediate and transition-state analogues」、Journal of Medicinal Chemistry、2004、47、13、3427〜3437頁、
- Burgos,Emmanuelら、「Synthesis and evaluation of new 4-phospho-D-erythronic acid derivatives as competitive inhibitors of spinach ribose-5-phosphate isomerase」、Tetrahedron Letters(2004)、45(4)、753〜756頁、
- Phaosiri,Chanokpornら、「Substrate analogs for the investigation of deoxyxylulose 5-phosphate reductoisomerase inhibition:synthesis and evaluation」、J.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters(2004)、14(21)、5309〜5312頁、
- Walker,Joel R.ら、「Synthesis and Evaluation of 1-Deoxy-D-xylulose 5-Phosphate Analogs as Chelation-Based Inhibitors of Methylerythritol Phosphate Synthase」、Journal of Organic Chemistry(2005)、70(24)、9955〜9959頁。
【0047】
一緒にされた2つのR3基がイソプロピリデン基を形成しR4=Hである式(I)の化合物(化合物Ic)は、イソプロピリデン誘導体(B)を形成するためにトレオン酸またはエリトロン酸(A)のメチルエステルをアセトンと反応させることにより調製でき、この誘導体(B)を、具体的にはエタノールまたはアセトニトリル中で、およそ60℃の温度でアミンHN(R1)(R2)と反応させることにより、化合物(Ic)が得られる。
【0048】
一緒にされた2つのR3基がイソプロピリデン基を形成し-OR4がリン酸基を表す式(I)の化合物(化合物Id)は、水酸化ナトリウムまたはトリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下でイソプロピリデン誘導体(B)を脱プロトン化し、次いでアルキルリン酸クロリド(例えば、クロロリン酸ジメチルもしくはクロロリン酸ジフェニル)または亜リン酸トリアルキル(例えば、亜リン酸トリベンジル)または代替的にピロリン酸(例えば、ピロリン酸テトラベンジル)などのリン酸化剤との反応による求核置換を行うことにより調製できる。このようにして得られるリン酸エステルを、続いて、上述のようにしてリン酸またはその塩に変換する。次いでこの化合物を、具体的にはエタノールまたはアセトニトリル中で、およそ60℃の温度でアミンHN(R1)(R2)と反応させると、化合物(Id)が得られる。
【0049】
R3=Hであり-OR4がリン酸基を表す式(I)の化合物(化合物Ie)は、化合物(Id)を、水、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中で、具体的には20℃〜60℃の範囲の温度で、具体的には希塩酸または酸性樹脂(例えば、Dowex(登録商標)50WX8・水素型100〜200メッシュの商品名でDow Chemicalから、具体的にはSigma-Aldrich社により販売されている、スルホン酸官能基を含むスチレンジビニルベンゼン樹脂)で脱保護することにより、調製できる。
【0050】
【化5】

【0051】
別の合成法(スキームII)に従えば、R3=R4=Hである式(I)の化合物(化合物Ia)は、溶媒を用いずに、または極性のプロトン性もしくは非プロトン性の溶媒中、例えば水、エタノール、メタノールもしくはアセトニトリル中で、具体的には0〜100℃の間の温度でDエリトロノラクトン(C)とアミンR1-NH-R2とを混合することにより調製できる。
【0052】
-OR3がリン酸基を表しR4=Hである式(I)の化合物(化合物If)は、水酸化ナトリウムまたはトリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下でDエリトロノラクトン(C)を脱プロトン化し、次いでジアルキルリン酸クロリド(例えば、クロロリン酸ジメチルもしくはクロロリン酸ジフェニル)または亜リン酸トリアルキル(例えば、亜リン酸ジメチルもしくは亜リン酸トリベンジル)または代替的にピロリン酸(例えば、ピロリン酸テトラベンジル)などのリン酸化剤との反応による求核置換を行うことにより調製できる。このようにして得られるリン酸エステルを、続いて、化合物(D)を形成するために上述のようにしてリン酸またはその塩に変換し、次いで化合物(D)を、具体的にはジクロロメタンなどの無極性溶媒中で、およそ60℃の温度でアミンHN(R1)(R2)と反応させる。リン酸エステルをリン酸およびその塩に変換するためのステップは、アミドの形成後に実施できる。
【0053】
一緒にされた2つのR3基がイソプロピリデン基を形成し-OR4=Hである式(I)の化合物(化合物Ic)は、Dエリトロノラクトンのイソプロピリデン(E)(CAS番号25581-41-3で公知の化合物)を、具体的には極性のプロトン性もしくは非プロトン性の溶媒中、または無極性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中で、30〜60℃の間の温度でアミンHN(R1)(R2)と反応させることにより調製できる。
【0054】
R3=Hであり-OR4がリン酸基を表す式(I)の化合物(化合物Ie)は、上述のようなリン酸化剤との反応により遊離ヒドロキシルをリン酸化し、次いで水、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中で、具体的には20℃〜60℃の範囲の温度で、具体的には希塩酸または酸性樹脂(例えば、Dowex(登録商標)50WX8・水素型100〜200メッシュの商品名でDow Chemicalから、具体的にはSigma-Aldrich社により販売されている、スルホン酸官能基を含むスチレンジビニルベンゼン樹脂)で脱保護することにより、化合物(Ic)から調製できる。
【0055】
スキームIIの合成法により、2個の不斉炭素についてR,R立体化学を有する化合物を調製することが可能になる。
【0056】
【化6】

【0057】
R1基および/またはR2基が、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基、またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、1つまたは複数のCO2R6基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているとき、後者は、エステル化(-COOH基の)、鹸化または加水分解(対応するエステル基の)など、当業者に公知の簡単な化学変換を用いて得ることができることに注目すべきである。
【0058】
また、本発明は、上述のとおりの式(II)の化合物を生理学的に許容可能な媒体中に含む組成物にも関する。この組成物は、特に化粧品組成物または皮膚用組成物である。
【0059】
化合物(II)(または上述の使用のための式(I)の化合物)を採用し得るこのような化粧品組成物は、非治療的スキンケアのため、および/または皮膚をメーキャップするために使用できる。そのような組成物は、特に皮膚を保湿するために使用できる。
【0060】
このような組成物は、皮膚の維持のための非治療的トリートメントとして、すなわち予防の手段として、その有効性を示すことができる。また、このような組成物は、皮膚保湿の問題が生じた後の皮膚の非治療的トリートメントの手段として使用することもできる。
【0061】
この第2のケースでは、皮膚保湿の問題のこうした発生は、皮膚が漂白剤、特に塩素系、例えば次亜塩素酸系の漂白剤に接触することにより生じた炎症とは無関係であることが好ましい。
【0062】
最後に、本発明の化粧品組成物は、好ましくは非アルカリ性条件下で、さらにより好ましくは皮膚のpHに近いpHで、例えば5〜6の間のpHで処方される。
【0063】
式(I)または(II)の化合物は、該化粧品組成物の総重量に対し0.01重量%から20重量%、好ましくは0.01重量%から15重量%、さらにより好ましくは0.1重量%から10重量%の範囲の含有量で該化粧品組成物中に存在させ得る。
【0064】
本発明に従って使用される組成物は、生理学的に許容可能な媒体、すなわち皮膚および頭皮などの皮膚組織に適合する媒体を含有する。生理学的に許容可能なこうした媒体は、より具体的には水、場合により、例えば1〜8個の炭素原子を含有する、特にエタノール、イソプロパノール、プロパノールまたはブタノールなど1〜6個の炭素原子を含有する低級アルコール、6〜80個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール、ならびにプロピレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、グリセロールおよびソルビトールなどのポリオールから選択される、生理学的に許容可能な有機溶媒で構成し得る。
【0065】
本発明による組成物は、局所施用用に従来使用されている任意の医薬形態で、特に水溶液またはアルコール水溶液、水中油型(O/W)もしくは油中水型(W/O)もしくは多重型(三重型:W/O/WもしくはO/W/O)のエマルション、水性ゲル、または、小球を用いた水相中の脂肪相分散液の形態で存在させることができ、このような小球は、ナノスフェアおよびナノカプセルなどのポリマーナノ粒子、またはイオンおよび/または非イオン性の脂質ベシクル(リポソーム、ニオソーム、オレオソーム)にすることが可能である。このような組成物は、通常の方法に従って調製される。
【0066】
また、本発明に従って使用される組成物は、程度の差はあっても液体としてよく、白色または有色のクリーム、軟膏、ミルク、ローション、セラム、ペーストまたは泡剤の外見を有し得る。この組成物は、場合により噴霧剤の形態で皮膚に施用してもよい。また、この組成物は、固形、例えばスティックの形態としてもよい。
【0067】
本発明に従って使用される組成物が油相を含む場合、後者は好ましくは少なくとも1種の油を含有する。また、他の脂肪性物質を含有してもよい。
【0068】
本発明の組成物中で使用できる油としては、例えば、
- ペルヒドロスクワレンなど、動物由来の炭化水素系油、
- ヘプタン酸またはオクタン酸のトリグリセリドなど、4〜10個の炭素原子を含有する脂肪酸の液状トリグリセリド、または代替的に、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカデミア油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、Stearineries Dubois社により販売されている製品またはDynamit Nobel社により「Miglyol 810」、「812」および「818」の商品名で販売されている製品などのカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、ホホバ油およびシアバターなど、植物由来の炭化水素系油、
- 合成エステルおよびエーテル、特に脂肪酸のもの、例えば、R1が8〜29個の炭素原子を含有する脂肪酸残基を表し、R2が3〜30個の炭素原子を含有する分枝状または非分枝状の炭化水素系の鎖を表す、式R1COOR2およびR1OR2の油、例えばピュアセリン(purcellin)油、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルドデシルステアレート、2-オクチルドデシルエルケート、イソステアリン酸イソステアリル、水酸化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、脂肪アルコールのヘプタノエート、オクタノエートまたはデカノエート、ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコールおよびジイソノナン酸ジエチレングリコール、ならびにペンタエリトリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリトリチル、
- 揮発性または非揮発性の流動パラフィンおよびその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ならびにパーリーム(parleam)油などの水素化ポリイソブテンなど、鉱物由来または合成物由来の直鎖または分枝鎖の炭化水素、
- セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびその混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコールまたはリノレイルアルコールなど、8〜26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、
- 特開平2-295912号明細書に記載のような、一部が炭化水素系および/またはシリコーン系であるフッ化油、
- 直線状または環状のシリコーン鎖を有し周囲温度で液状またはペースト状である、揮発性または非揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン油、特に、シクロヘキサシロキサンなどのシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン)、シリコーン鎖から突き出ているかまたは該鎖の端に位置し2〜24個の炭素原子を含有するアルキル、アルコキシまたはフェニル基を含む、ポリジメチルシロキサン、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンまたは2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、およびポリメチルフェニルシロキサンなどのフェニルシリコーン、
- それらの混合物
を挙げ得る。
【0069】
上述の油のリスト中における「炭化水素系油」という用語は、主に炭素原子および水素原子を含む任意の油、また、場合によりエステル群、エーテル群、フッ化物群、カルボン酸群および/またはアルコール群を指すことを意図している。
【0070】
油相中に存在し得るその他の脂肪性物質は、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸など、8〜30個の炭素原子を含有する脂肪酸、ラノリン、蜜蝋、カルナバ蝋またはカンデリラ蝋、パラフィン蝋、亜炭蝋または微結晶蝋、セレシンまたはオゾケライト、ポリエチレン蝋およびフィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)蝋といった合成蝋などの蝋、トリフルオロメチル-Cl-4-アルキルジメチコーンおよびトリフルオロプロピルジメチコーンなどのシリコーン樹脂、ならびに、Shin-Etsu社により「KSG」の商品名で、Dow Corning社により「Trefil」、「BY29」もしくは「EPSX」の商品名で、またはGrant Industries社により「Gransil」の商品名で販売されている製品などのシリコーンエラストマーである。
【0071】
このような脂肪性物質は、例えば稠度や質感に関し所望の特性を有する組成物を調製するために、当業者が多様な様式で選択できる。
【0072】
本発明の特定の実施形態に従えば、本発明による組成物は、油中水型(W/O)または水中油型(O/W)のエマルションである。このエマルションの油相の比率は、組成物の総重量に対し5重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲とすることができる。
【0073】
このエマルションは一般に、単独で、または混合物として使用される、両性、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性の乳化剤から選択される少なくとも1種の乳化剤はまた、場合により共乳化剤を含有する。乳化剤は、入手しようとするエマルション(W/OまたはO/W)に従った適切な方法で選択される。乳化剤および共乳化剤は一般に、組成物の総重量に対し0.3重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲の比率で組成物中に存在する。
【0074】
W/Oエマルションの場合、挙げ得る乳化剤の例としては、シクロメチコーンの混合物およびDow Corning社により「DC 5225 C」の商品名で販売されているジメチコーンコポリオールの混合物などのジメチコーンコポリオール、ならびに、Dow Corning社により「Dow Corning 5200 Formulation Aid」の商品名で販売されているラウリルメチコーンコポリオール、およびGoldschmidt社により「Abil EM 90(登録商標)」の商品名で販売されているセチルジメチコーンコポリオールなどのアルキルジメチコーンコポリオールがある。他に使用し得るW/Oエマルション用の界面活性剤としては、米国特許第5412004号明細書の実施例3、4および8、および米国特許第5811487号明細書の実施例の手順に従って得られるもの、特に米国特許第5412004号の実施例3(合成例)中の作製物など、また、Shin Etsu社によりKSG 21として販売されているものなど、少なくとも1つのオキシアルキレン基を含む架橋されたエラストマー状固形オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0075】
O/Wエマルションの場合、挙げ得る乳化剤の例としては、オキシアルキレン化(より具体的にはポリオキシエチレン化)されたグリセロールの脂肪酸エステル、オキシアルキレン化されたソルビタンの脂肪酸エステル、オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)された脂肪酸エステル、オキシアルキレン化(オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化)された脂肪アルキルエーテル、糖エステル、例えばステアリン酸スクロースなどの非イオン性乳化剤、ならびに、ステアリン酸グリセリルの混合物およびPEG-40ステアレートの混合物など、それらの混合物がある。
【0076】
公知の様式では、本発明の化粧品組成物または皮膚用組成物は、油、蝋、増粘剤、皮膜形成ポリマー、保存剤、香料、充填剤、紫外線遮断剤、殺菌剤、吸臭剤、色素、化粧品活性剤、植物エキスおよび抗酸化剤など、化粧品または皮膚科学分野で一般的な補助剤を含有してもよい。こうした多様な補助剤の量は、対象の技術分野で従来使用されている量、例えば組成物の総重量の0.01%〜20%である。このような補助剤は、その性質によって、脂肪相中および/または水相中に導入し得る。
【0077】
式(II)の化合物は、この化合物同士で、または、上述の式(II)の化合物以外の追加的な他の皮膚保湿剤および/または少なくとも1種の他の化粧品活性剤と組み合わせることができる。
【0078】
具体的に挙げ得る追加的な化粧品活性剤には、皮膚のバリア機能に作用する活性剤、皮膚保湿を促進する活性剤、および剥落剤がある。
【0079】
「剥落剤」という用語は、
- β-ヒドロキシ酸、特にサリチル酸およびその誘導体(5-n-オクタノイルサリチル酸を含む)、グリコール酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸またはマンデル酸などのα-ヒドロキシ酸、尿素、ゲンチシン酸、オリゴフコース、ケイ皮酸、サフォラ・ジャポニカ(Saphora japonica)のエキス、リスベラトロールなど、剥離を促進することにより落屑に直接作用すること、
- または、グリコシダーゼ、角質層キモトリプシン酵素(SCCE)もしくは他のプロテアーゼ(トリプシン、トリプシン様酵素)などの、落屑または角質デスモソームの分解に関わる酵素に作用することのいずれかが可能な、任意の化合物を指すことを意図している。無機塩キレート剤としては、EDTA、N-アシル-N,N',N'-エチレンジアミン三酢酸、アミノスルホン化合物、特にN-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)、2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸(プロシステイン)の誘導体、グリシン型のα-アミノ酸(欧州特許第0852949号に記載のとおりのもの、また、BASFにより「TRILON M」の商品名で販売されているメチルグリシン二酢酸ナトリウム)の誘導体、蜂蜜、O-オクタノイル-6-D-マルトースおよびN-アセチルグルコサミンなどの糖誘導体を挙げ得る。
【0080】
皮膚のバリア機能に作用するか、または皮膚保湿を促進する活性剤の中では、
- 角質層の保湿を維持する目的でバリア機能に作用する化合物、または閉鎖性の化合物、特にセラミド、スフィンゴイド系化合物、レシチン、スフィンゴ糖脂質、リン脂質、コレステロールおよびその誘導体、植物ステロール(スチグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール)、必須脂肪酸、1,2-ジアシルグリセロール、4-クロマノン、ウルソル酸などの五環性トリテルペン、ワセリンおよびラノリン、
- または、トレアロースおよびその誘導体、ヒアルロン酸およびその誘導体、グリセロール、ペンタンジオール、ナトリウムピドレート、セリン、キシリトール、乳酸ナトリウム、アクリル酸ポリグリセリル、エクトインおよびその誘導体、キトサン、オリゴ糖および多糖、環状カーボネート、N-ラウロイルピロリドンカルボン酸、ならびにN-α-ベンゾイル-L-アルギニンなど、角質層の含水量を直接増加させる化合物、
- または、ステロイド系誘導体(DHEAを含む)ならびにビタミンDおよびその誘導体など、皮脂腺を活性化する化合物
のいずれかを挙げ得る。
【0081】
この組成物は、非治療的ケア製品またはメーキャップ製品の形態、また、リップクリームの形態で存在させ得る。
【0082】
最後に、本発明の主題は、上に定義したとおりの式(II)の化合物またはその混合物を比率に関わらず少なくとも1種含む、本発明による少なくとも1種の化粧品組成物または皮膚用組成物の皮膚への施用を含むことを特徴とする、非治療的スキンケアのための、および/または皮膚をメーキャップするための、美容トリートメント方法である。
【0083】
美容トリートメント方法から想定可能なメーキャップ種の用途の中では、特にファンデーション、メーキャップ用口紅、アイシャドウ、コンシーラー製品およびボディメーキャップ製品を挙げ得る。
【0084】
最後に、本発明は、皮膚の保湿のための、より具体的には、皮膚の乾燥のトリートメントにおける、または乾燥皮膚のトリートメントにおける使用のための皮膚用組成物を調製するための、上に定義したとおりの式(II)の化合物の使用に関する。
【0085】
以下の実施例は、本発明を例証するものであるが、その範囲を限定するものではない。
【0086】
(実施例)
(実施例1)
(2R,3R)-N-[ビス(トリメチルシリル)メチル]-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド(化合物4)の調製
【0087】
【化7】

【0088】
この化合物は、Dエリトロノラクトン354mg(3mmol)をアセトニトリル6ml中のアミン580mg(1.1当量、3.3mmol)と反応させることにより得られる。
【0089】
反応媒体を攪拌して反応を進行させた後、過マンガン酸カリウム溶液を用いて可視化した、シリカ上の薄層クロマトグラフィーを実施する。
【0090】
一旦反応が終了したら、反応媒体を水またはエタノール中で希釈し、そこにDowex 50WX8樹脂(Aldrich、CAS番号11119-67-8)を加えて余分なアミンを捕捉する。樹脂を水およびエタノールで洗い、濾液を真空下で蒸発させて、無色の油の形態で得られるアミドを回収する。
【0091】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0092】
【表2】

【0093】
(実施例2)
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]ブタンアミド(化合物5)の調製
【0094】
【化8】

【0095】
この化合物は、トリメチルシリルメチルアミンを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0096】
得られるアミドは、白色の固体の形態をしている。
【0097】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0098】
【表3】

【0099】
(実施例3)
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ブタンアミド(化合物6)の調製
この化合物は、トリフルオロエチルアミンを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0100】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0101】
(実施例4)
エチル4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}ブタノエート(化合物7)の調製
【0102】
【化9】

【0103】
この化合物は、γ-アミノ酪酸エチルを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0104】
得られるアミドは、淡黄色の油の形態をしている。
【0105】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0106】
【表4】

【0107】
(実施例5)
4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}ブタン酸(化合物8)の調製
【0108】
【化10】

【0109】
この化合物は、水酸化ナトリウムを用いて化合物7(実施例4)を鹸化し、次いで、形成されたカルボン酸塩を塩酸で酸性化することにより得られる。
【0110】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0111】
(実施例6)
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド(化合物9)の調製
【0112】
【化11】

【0113】
この化合物は、エタノールアミンを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0114】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0115】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0116】
【表5】

【0117】
(実施例7)
(2R,3R)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド(化合物10)の調製
【0118】
【化12】

【0119】
この化合物は、3-アミノ-1,2-プロパンジオールを用い、また、アセトニトリル/エタノール混合物を用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0120】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0121】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。2種のジアステレオ異性体の混合比は、50/50である。
【0122】
(実施例8)
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]ブタンアミド(化合物11)の調製
【0123】
【化13】

【0124】
この化合物は、トリスヒドロキシメチルメタンアミンおよびエタノール/水混合物を用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0125】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0126】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0127】
【表6】

【0128】
(実施例9)
3-ヒドロキシ-2-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}プロパン酸(化合物12)の調製
【0129】
【化14】

【0130】
この化合物は、Dエリトロノラクトンに対しDLセリンメチルエステルを作用させ、次いで、形成されたカルボン酸塩を、水酸化ナトリウムを用いて鹸化し、塩酸で酸性化することにより得られる。
【0131】
得られるアミドは、白色の固体の形態をしている。
【0132】
(実施例10)
(2R,3R)-4-[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]-4-オキソブタン-1,2,3-トリオール(化合物13)の調製
【0133】
【化15】

【0134】
この化合物は、Dプロリノールを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0135】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0136】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0137】
【表7】

【0138】
(実施例11)
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド(化合物14)の調製
【0139】
【化16】

【0140】
この化合物は、ジエタノールアミンを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0141】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0142】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0143】
【表8】

【0144】
(実施例12)
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド(化合物15)の調製
【0145】
【化17】

【0146】
この化合物は、エタノール中のN-エチルエタノールアミンを用い、実施例1に記載の手順に従って得られる。
【0147】
得られるアミドは、無色の油の形態をしている。
【0148】
NMR(1H、13C、DMSO d6):得られるスペクトルは、企図した構造と一致している。
【0149】
(実施例13)
化粧品製剤
(実施例13.1)
スキンケアクリーム
以下の成分を含むスキンケアクリーム組成物を調製する。
【0150】
【表9】

【0151】
手順
- B相をおよそ75℃まで加熱してから、その中にアンモニウムポリアクリルジメチルタウラミドを混ぜ入れる。その混合物を攪拌し続けると均質なゲルが得られる。
- A相をおよそ75℃まで加熱する。
- A相をB相中に混ぜ入れることによりエマルションが調製される。
- 40〜45℃でC相を混ぜ入れ、完全に冷めるまで攪拌を続ける。
【0152】
また、この処方に従い、化合物B、D、E、HおよびKを用いたスキンケアクリームも調製する。
【0153】
(実施例13.2)
スキンケアクリーム
以下の成分を含むスキンケア組成物を調製する。
- (2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]ブタンアミド、化合物11 3.0%
- モノステアリン酸グリセリル 0.8%
- セチルアルコール 2.0%
- ステアリルアルコール 5.0%
- ステアリン酸ポリオキシエチレン(20EO) 3.0%
- 架橋アクリル酸(CARBOPOL 941) 0.3%
- カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド 12.0%
- 保存剤 適量
- 水 適量 100.0%
【0154】
また、この処方に従い化合物B、C、F、IおよびJを用いたスキンケアクリームも調製する。
【0155】
例証した、皮膚に施用するこの化粧品製剤は、良好な皮膚保湿効果を示す。
【0156】
(実施例14)
保湿能力の評価
3%水溶液中に処方されている本発明の化合物の保湿能力を評価するために、試験を実施した。
- Dermometre,mechanical measurement of the plasticizing effect(J de Rigal、J-L.Leveque著、International Journal of Cosmetic Science、1982、247〜260頁)。
【0157】
実施する試験は、制御した温度および湿度(T=30℃およびRH=75%)のチャンバー中で、角質層に対し、標準的な条件下で行った。弾性係数の測定を、各対照試験試料について実施し、次いで、トリートメント施用の2時間および20時間後に実施する。該係数の相対的変動により、角質層に対する活性剤の柔軟化効果を評価することが可能になる。
【0158】
【表10】

【0159】
平均値および標準偏差は、角質層10試料で計算した。
【0160】
化合物3、5、9、14および15は、角質層に対し有意な柔軟化効果を有し、化合物14および15が最も有効である。
【0161】
この試験から、本発明に従う使用のための化合物は、角質層を柔軟化する上でさまざまな「保湿」プロファイルを有することが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
(i)R1およびR2は、互いに独立に、水素原子、あるいは、-OR5、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、または、
(ii)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成することができ(この複素環は、特に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンおよびシクロヘキサメチレンイミン(またはホモピペリジン)から選択され、好ましくはピロリドンである)、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R5は、水素原子、または(C1〜C3)の直鎖もしくはC3の分枝鎖飽和アルキル基、または(C2〜C3)の不飽和アルキル基を表し、
R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
R3は水素原子もしくは(C1〜C6)の直鎖飽和アルキル基を表し、または-OR3がリン酸基を表し、2つのR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、
R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]
の化合物ならびにその塩、その異性体およびその溶媒和物の、皮膚保湿剤としての化粧品使用。
【請求項2】
式(I)の化合物が、
(i)R1およびR2が、互いに独立に、水素原子、または、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つもしくは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C6の直鎖もしくはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、または
(ii)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成することができ(この複素環は、特に、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンおよびシクロヘキサメチレンイミン(またはホモピペリジン)から選択され、好ましくはピロリジンである)、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
R3が水素原子を表し、
R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表す
ような化合物、ならびにまたその塩、その溶媒和物およびその異性体であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が、
(i)R1およびR2が、互いに独立に、水素原子、または、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つもしくは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C4の直鎖もしくはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、または
(ii)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つで場合により置換されているピロリジン複素環を形成することができ、好ましくは、ピロリジン複素環はヒドロキシメチル基で置換されており
(R6は、水素原子、または、(C1〜C4)、好ましくは(C1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表す)、
R3が水素原子を表し、
R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表すが、好ましくは、R4は水素原子を表す
ような化合物、ならびにまたその塩、その溶媒和物およびその異性体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)の化合物が、
R1が、水素原子、または、-OHおよび-SiMe3から選択される基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R2が、-OHおよびSiMe3から選択される基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R3およびR4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
式(I)の化合物が、
R1が、-OH基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R2が、-OH基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R3およびR4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
式(I)の化合物が、
(2R,3R)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二水素ホスフェート;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ジメチルブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-N-[ビス(トリメチルシリル)メチル]-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]-ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)ブタンアミド;
エチル4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}-ブタノエート;
4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}ブタン酸;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
(2R,3R)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]ブタンアミド;
3-ヒドロキシ-2-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}-プロパン酸;
(2R,3R)-4-[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]-4-オキソブタン-1,2,3-トリオール;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド;
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
メチル[(2,3,4-トリヒドロキシブタノイル)アミノ]アセテート;
(2R,3R)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二ナトリウムホスフェート;
(2R,3S)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2S,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3S)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二ナトリウムホスフェート;
(2R,3S)-4-アミノ-2,3-ジヒドロキシ-4-オキソブチル二水素ホスフェート;
(2S,3S)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド
から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項7】
式(I)の化合物が、
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]-ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド;
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド
から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項8】
以下の式(II)
【化2】

[式中、
(i)R1およびR2は水素原子を表し、または
(ii)R1は水素原子を表し、R2は、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、
または
(iii)R1およびR2は、-OR5、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R5は、水素原子、または(C1〜C3)の直鎖もしくはC3の分枝鎖飽和アルキル基、または(C2〜C3)の不飽和アルキル基を表し、
R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
R3は水素原子もしくは(C1〜C6)の直鎖飽和アルキル基を表し、または-OR3はリン酸基を表し、2つのR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、
R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]
の化合物ならびにその塩、その異性体およびその溶媒和物と、
油、蝋、増粘剤、皮膜形成ポリマー、保存剤、香料、充填剤、紫外線遮断剤、殺菌剤、吸臭剤、色素、化粧品活性剤、植物エキス、抗酸化剤および界面活性剤から選択される化粧品成分とを、生理学的に許容可能な媒体中に含む組成物。
【請求項9】
式(II)の化合物が、
(i)R1およびR2が水素原子を表し、または
R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(ii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iii)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
R3が水素原子を表し、
R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
式(II)の化合物が、
(i)R1およびR2が水素原子を表し、または
(ii)R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で場合により置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つで場合により置換されているピロリジン複素環を形成することができ、好ましくは、ピロリジン複素環はヒドロキシメチル基で置換されており
(R6は、水素原子、または、(C1〜C4)、好ましくは(C1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表す)、
R3が水素原子を表し、
R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表すが、好ましくは、R4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
式(II)の化合物が、
R1が、水素原子、または、-OHおよび-SiMe3から選択される基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R2が、-OHおよび-SiMe3から選択される基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R3およびR4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
式(II)の化合物が、
R1が、-OH基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R2が、-OH基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R3およびR4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
式(II)の化合物が、
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ジメチルブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-N-[ビス(トリメチルシリル)メチル]-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]-ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル)-ブタンアミド;
エチル4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}-ブタノエート;
4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}ブタン酸;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
(2R,3R)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]ブタンアミド;
3-ヒドロキシ-2-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}-プロパン酸;
(2R,3R)-4-[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]-4-オキソブタン-1,2,3-トリオール;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド;
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド
から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項14】
式(II)の化合物が
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]-ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド;
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド
から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項15】
式(II)の化合物以外の追加の皮膚保湿剤、および/または、皮膚のバリア機能に作用する活性剤、皮膚保湿を促進する活性剤、および剥落剤から選択される少なくとも1種の活性剤も含有することを特徴とする、請求項8から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
化粧品組成物または皮膚用組成物を構成することを特徴とする、請求項8から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項8から16のいずれか一項に記載の少なくとも1種の組成物の皮膚への施用を含むことを特徴とする、非治療的スキンケアのための、および/または皮膚をメーキャップするための、美容トリートメント方法。
【請求項18】
皮膚保湿方法であることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
皮膚の保湿のための、より具体的には、皮膚の乾燥のトリートメントにおける、または乾燥皮膚のトリートメントにおける使用のための皮膚用組成物を調製するための、請求項8から14のいずれか一項に記載の式(II)の化合物の使用。
【請求項20】
式(III)
【化3】

[式中、
(i)R1は水素原子を表し、R2は、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表すが、R2は-CH2-CO-O-CH3基を表さず、
または
(ii)R1およびR2は、C2もしくはC4〜C6の飽和またはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基、あるいはC3〜C6の飽和または不飽和分枝鎖アルキル基を表し、この基は置換されておらず、
または
(iii)R1およびR2は、-OR5、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されている、C1〜C6の飽和もしくはC2〜C6の不飽和直鎖アルキル基またはC3〜C6の飽和もしくは不飽和分枝鎖アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2は、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R5は、水素原子、または(C1〜C3)の直鎖もしくはC3の分枝鎖飽和アルキル基、または(C2〜C3)の不飽和アルキル基を表し、
R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
R3は水素原子もしくは(C1〜C6)の直鎖飽和アルキル基を表し、または-OR3はリン酸基を表し、2つのR3基は一緒になってイソプロピリデン基を形成することが可能であり、
R4は水素原子を表し、または-OR4はリン酸基を表す]
の化合物ならびにその塩、その異性体およびその溶媒和物。
【請求項21】
式(III)の化合物が、
(i)R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表すが、R2は-CH2-CO-O-CH3基を表さず、
または
(ii)R1およびR2が、C2もしくはC4〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、この基は置換されておらず、
または
(iii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C6の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、5から7個の環員を有し硫黄および酸素から選択される別のヘテロ原子を場合により含む飽和複素環を形成し、この複素環は、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つから3つ(好ましくは1つ)で場合により置換されており
(R6は、水素原子、または(C1〜C4)の直鎖もしくは(C3〜C4)の分枝鎖飽和アルキル基を表す)、
R3が水素原子を表し、
R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項20に記載の式(III)の化合物。
【請求項22】
式(III)の化合物が、
(i)R1が水素原子を表し、R2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表すが、R2は-CH2-CO-O-CH3基を表さず、
または
(ii)R1およびR2が、C2もしくはC4の直鎖またはC3〜C6の分枝鎖飽和アルキル基を表し、この基は置換されておらず、
または
(iii)R1およびR2が、-OH、-SiMe3、-CO2R6および-Fから選択される1つまたは複数の基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されているC1〜C4の直鎖またはC3〜C4の分枝鎖飽和アルキル基を表し、
または
(iv)R1およびR2が、それらを支持している窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のOH基で場合により置換されている(C1〜C4)の直鎖または(C3〜C4)の分枝鎖アルキル基1つで場合により置換されているピロリジン複素環を形成することができ、好ましくは、ピロリジン複素環はヒドロキシメチル基で置換されており
(R6は、水素原子、または、(C1〜C4)、好ましくは(C1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表す)、
R3が水素原子を表し、
R4が水素原子を表し、または-OR4がリン酸基を表すが、好ましくは、R4は水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項20または21に記載の式(III)の化合物。
【請求項23】
式(III)の化合物が、
R1が、水素原子、または、-OHおよび-SiMe3から選択される基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R2が、-OHおよび-SiMe3から選択される基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R3およびR4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項20から22のいずれか一項に記載の式(III)の化合物。
【請求項24】
式(III)の化合物が、
R1が、-OH基で場合により置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R2が、-OH基で置換されているC1〜C4(好ましくはC1〜C2)の直鎖飽和アルキル基を表し、
R3およびR4が水素原子を表す
ような化合物であることを特徴とする、請求項20から23のいずれか一項に記載の式(III)の化合物。
【請求項25】
(2R,3R)-N-[ビス(トリメチルシリル)メチル]-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]-ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2,2,2-トリフルオロエチル]-ブタンアミド;
エチル4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}-ブタノエート;
4-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}ブタン酸;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
(2R,3R)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-2,3,4-トリヒドロキシブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]ブタンアミド;
3-ヒドロキシ-2-{[(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシブタノイル]アミノ}-プロパン酸;
(2R,3R)-4-[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]-4-オキソブタン-1,2,3-トリオール;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド;
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド
から選択されることを特徴とする、請求項20または21に記載の式(III)の化合物。
【請求項26】
式(III)の化合物が、
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-[(トリメチルシリル)メチル]-ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)ブタンアミド;
(2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド;
(2R,3R)-N-エチル-2,3,4-トリヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-ブタンアミド
から選択されることを特徴とする、請求項20または21に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−538856(P2009−538856A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512527(P2009−512527)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054278
【国際公開番号】WO2007/137925
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】